(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161609
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/52 20060101AFI20221014BHJP
B65H 29/66 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B65H29/52
B65H29/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066549
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】南波 護
(72)【発明者】
【氏名】近本 忠信
(72)【発明者】
【氏名】星野 元季
(72)【発明者】
【氏名】塩見 大史
(72)【発明者】
【氏名】大濱 貴志
【テーマコード(参考)】
3F053
3F101
【Fターム(参考)】
3F053GB05
3F053GB11
3F053LA11
3F053LB02
3F101FB11
3F101FC05
3F101FD02
3F101LA11
3F101LB02
(57)【要約】
【課題】連続して搬送される原稿枚数が増えても、搬送されている原稿が、先に搬送された原稿の下方に潜り込むことができる手段を提供する。
【解決手段】ADF5は、原稿トレイ33と、排出トレイ34と、搬送路151と、原稿12を搬送する第1搬送機構16と、第1搬送機構16より下流に配置され搬送路151に下方を向いて突出する第1突出部材40と、第1突出部材40より下流に配置され上方を向いて突出する第2突出部材41と、第2突出部材41より下流に配置され原稿12を搬送する排出側搬送機構60と、第1搬送機構16により原稿12を検出する排紙センサ25と、コントローラ130とを具備する。コントローラ130は、排紙センサ25の信号により排出側搬送機構60を駆動し、原稿12の後端が第1突出部材40と第2突出部材41との間に位置するまで原稿12を搬送してから停止する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿トレイと、
排出トレイと、
上記原稿トレイと上記排出トレイとを繋ぐ搬送路と、
上記搬送路に沿って原稿を搬送向きへ搬送する第1搬送機構と、
上記搬送路において上記第1搬送機構より上記搬送向きの下流に配置されており、上記搬送路に下方を向いて突出する第1突出部材と、
上記第1突出部材より上記搬送向きの下流に配置されており、上方を向いて突出する第2突出部材と、
上記第2突出部材より上記搬送向きの下流に配置されており、原稿を上記搬送向きへ搬送する第2搬送機構と、
上記第1搬送機構により上記搬送向きへ搬送される原稿を検出するセンサと、
コントローラと、を具備しており、
上記コントローラは、
上記センサから取得した信号に基づいて上記第2搬送機構を駆動し、原稿の後端が上記第1突出部材と上記第2突出部材との間に位置するまで当該原稿を搬送してから停止する搬送装置。
【請求項2】
上記第1突出部材の第1突出端は、上記第2突出部材の第2突出端よりも上下方向の下方に位置する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記第1搬送機構は、上記第1突出部材よりも上記搬送向きの直上流に位置する搬送ローラと、当該搬送ローラとの間に原稿を挟み込むニップ部材と、を有しており、
上記搬送ローラ及び上記ニップ部材のニップ位置並びに上記第2突出部材の第2突出端を含む直線と当該直線に直交して水平方向に延びる直線とを含む仮想平面よりも、上記第1突出部材の第1突出端が下方に位置する請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記第1突出部材の第1突出端の下面は上記搬送向きに沿った曲面であり、
上記第2突出部材の第2突出端の上面は上記搬送向きに沿った曲面である請求項1から3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
上記センサは、上記第1突出部材より上記搬送向きの上流に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
上記センサは、上記第1突出部材より上記搬送向きの下流に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在搬送されている原稿を、先に搬送された原稿の下方に潜り込ませて排出する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿トレイから搬送路を通じて排出トレイへ原稿を搬送する搬送装置が知られている。原稿の読取面を上方へ向けた所謂フェイスアップで原稿が排出トレイに排出される搬送装置では、搬送された複数枚の原稿が、ページ順で排出トレイに積載されることが好ましい。特許文献1に記載されたシート搬送装置は、仕切り板19に排出される原稿の後端が、支持部材33により上方に持ち上げられる。したがって、その後に搬送される原稿の先端が、支持部材33により支持された先の原稿の後端の下方へ潜り込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート搬送装置において、支持部材33はプラスチックのフィルムであり、原稿の重量によって下方へ弾性変形する。ここで、複数枚の原稿が連続して搬送されると、支持部材33の上方に複数枚の原稿の後端が積載される。支持部材33に加わる原稿の重量が大きくなるほど、支持部材33は下方へ大きく変形する。その結果、支持部材33に支持されている原稿の後端よりも下方のスペースが狭くなるので、その後に搬送される原稿が先の原稿の後端の下方へ潜り込むためのスペースが狭くなる。したがって、上記シート搬送装置では、連続して搬送可能な原稿の枚数の上限が少ないという課題があった。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続して搬送される原稿の枚数が増えても、現在搬送されている原稿が、先に搬送された原稿の下方に潜り込むことができる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る搬送装置は、原稿トレイと、排出トレイと、上記原稿トレイと上記排出トレイとを繋ぐ搬送路と、上記搬送路に沿って原稿を搬送向きへ搬送する第1搬送機構と、上記搬送路において上記第1搬送機構より上記搬送向きの下流に配置されており、上記搬送路に下方を向いて突出する第1突出部材と、上記第1突出部材より上記搬送向きの下流に配置されており、上方を向いて突出する第2突出部材と、上記第2突出部材より上記搬送向きの下流に配置されており、原稿を上記搬送向きへ搬送する第2搬送機構と、上記第1搬送機構により上記搬送向きへ搬送される原稿を検出するセンサと、コントローラと、を具備している。上記コントローラは、上記センサから取得した信号に基づいて上記第2搬送機構を駆動し、原稿の後端が上記第1突出部材と上記第2突出部材との間に位置するまで当該原稿を搬送してから停止する。
【0007】
本構成によれば、第1搬送機構により搬送路を搬送される原稿は、後端が第1突出部材と第2突出部材との間に位置して停止する。このとき、原稿の後端は第2突出部材に支持されて搬送路の上側に位置する。続いて、第1搬送機構により搬送路を搬送される原稿の先端は、第1突出部材により搬送路の下側へ案内されて、停止している原稿の後端の下方へ潜り込む。潜り込んだ原稿は、後端が第1突出部材と第2突出部材との間に位置するまで、上方に位置する別の原稿と共に第2搬送機構により搬送向きに搬送されて停止する。このような原稿の搬送が繰り返されることにより、連続して搬送される原稿の枚数が増えても、第2突出部材に支持された原稿が順に搬送向きに積載される。
【0008】
(2)好ましくは、搬送装置は、上記第1突出部材の第1突出端が、上記第2突出部材の第2突出端よりも上下方向の下方に位置する。
【0009】
本構成によれば、現在搬送される原稿の先端が、先に搬送された原稿の後端の下方に確実に潜り込む。
【0010】
(3)好ましくは、搬送装置は、上記第1搬送機構が、上記第1突出部材よりも上記搬送向きの直上流に位置する搬送ローラと、当該搬送ローラとの間に原稿を挟み込むニップ部材と、を有しており、上記搬送ローラ及び上記ニップ部材のニップ位置並びに上記第2突出部材の第2突出端を含む直線と当該直線に直交して水平方向に延びる直線とを含む仮想平面よりも、上記第1突出部材の第1突出端が下方に位置する。
【0011】
本構成によれば、現在搬送される原稿の先端が、先に搬送された原稿の後端の下方に確実に潜り込む。
【0012】
(4)好ましくは、搬送装置は、上記第1突出部材の第1突出端の下面は上記搬送向きに沿った曲面であり、上記第2突出部材の第2突出端の上面は上記搬送向きに沿った曲面である。
【0013】
本構成によれば、搬送される原稿が第1突出端又は第2突出端を円滑に通過する。
【0014】
(5)好ましくは、搬送装置は、上記センサが、上記第1突出部材より上記搬送向きの上流に配置されている。
【0015】
(6)好ましくは、搬送装置は、上記センサが、上記第1突出部材より上記搬送向きの下流に配置されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連続して搬送される原稿の枚数が増えても、現在搬送されている原稿が、先に搬送された原稿の下方に潜り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の一例である複合機1の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、スキャナ部3の外観構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、プラテンガラス80より下方位置におけるスキャナ部3の主要構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るADF5の内部構成を示す断面図である。
【
図5】
図5は、スキャナ部3の機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、原稿12が搬送路151の下側搬送路159に搬送された状態を示す図である。
【
図7】
図7は、原稿12が搬送路151の湾曲路157に搬送された状態を示す図である。
【
図8】
図8は、原稿12が第1搬送機構16から排出された状態を示す図である。
【
図9】
図9は、原稿12が搬送路151の上側搬送路160に搬送された状態を示す図である。
【
図10】
図10は、複数の原稿12が連続して搬送路151の上側搬送路160に搬送された状態を示す図である。
【
図11】
図11は、変形例1に係る複合機1のADF5について示す断面図である。
【
図12】
図12は、変形例2に係る複合機1のADF5について示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に説明される各実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機1が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口4が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機1を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は互いに直交している。
【0019】
[複合機1の全体構造]
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るADF(Auto Document Feeder)5が搭載された複合機1の外観構成を示す外観斜視図である。
【0020】
複合機1は、
図1に示されるように、下部に設けられたインクジェット記録方式のプリンタ部2と、その上部に設けられたスキャナ部3とを一体的に備えた多機能装置(MFD;Multi Function Device)であり、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを有する。なお、本発明は、ADF5を具備するスキャナ部3のみを備えていれば足りる。すなわち、スキャン機能を除く他の機能は任意であって、スキャン機能を唯一の機能とするスキャナとして本発明が実施されていてもよい。
【0021】
コピー機能においては、スキャナ部3により読み取られた画像データがプリンタ部2において記録用紙に記録される。ファクシミリ機能においては、スキャナ部3により読み取られた画像データが電話回線などを通じてファクシミリ送信される。また、受信されたファクシミリデータは、プリンタ部2により記録用紙に記録される。
【0022】
スキャン機能においては、スキャナ部3により読み取られた原稿12の画像データが当該装置と有線或いは無線で接続されたコンピュータに転送される。また、読み取られた画像データをメモリカードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の各種記憶媒体に転送して記憶させることもできる。
【0023】
[スキャナ部3の構成]
スキャナ部3は、ADF原稿トレイ33と、ADF排出トレイ34と、搬送路151と、第1搬送機構16と、第1読取センサ85と、第2読取センサ95と、第2搬送機構60(排出側搬送機構とも称する)とを具備する。
【0024】
図1に示されるように、複合機1の外観は、高さより横幅及び奥行きが大きい幅広で薄型の直方体に概ね形成されている。複合機1の下部のプリンタ部2は、プリンタ部2のフレームを構成する筐体10を有する。筐体10の前面を構成する前面パネル11に開口4が形成されている。開口4の内部には、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が上下2段に設けられている。開口4の上側に、各種コネクタが配置されたコネクタパネル13が設けられている。コネクタパネル13の右端部にスロット部18が配置されている。スロット部18は、各種のメモリカードの装填を可能にして、複合機1のコントローラ130(
図5参照)とメモリカードとを電気的に接続するものである。メモリカードとは、記憶媒体としてフラッシュメモリが内蔵されたカード型の記憶装置のことである。スロット部18には、異なるタイプのメモリカードの装填を可能とするために、スロットタイプの異なる第1カードスロット19および第2カードスロット22が横並びに設けられている。前面パネル11の幅方向右端部には、インクカートリッジが収容されている。
【0025】
複合機1の前面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を動作させるための操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、各種操作ボタン35や液晶ディスプレイ36が適宜設けられ構成されている。複合機1は、操作パネル6において入力された指示に基づいて動作する。複合機1が外部のコンピュータに接続されている場合には、コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても複合機1は動作する。
【0026】
以下、
図2から
図4を参照してスキャナ部3の概略構成について説明する。
【0027】
スキャナ部3は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する支持台15に対して、原稿カバー30が、背面側の蝶番を介して
図2の矢印P1方向に開閉自在に取り付けられている。原稿カバー30は、プラテンガラス80(
図4参照)を有する支持台15に対して開位置と閉位置とに移動可能である。原稿カバー30は、閉位置においてプラテンガラス80を覆う。原稿カバー30は、ADF5を一体に備えており、原稿カバー30の開閉に伴ってADF5も移動する。ADF原稿トレイ33、ADF排出トレイ34、搬送路151、第1搬送機構16、第2読取センサ95及び排出側搬送機構60は、原稿カバー30に位置しており、第1読取センサ85は、支持台15に位置している。
【0028】
支持台15の上面には、
図4に示されるように、プラテンガラス80が設けられている。支持台15に対して原稿カバー30が閉じられると、プラテンガラス80は原稿カバー30に覆われる。原稿カバー30の下面、すなわち、プラテンガラス80と対向する面には弾性板82が設けられている。
【0029】
弾性板82は、原稿カバー30が閉位置にあるときプラテンガラス80に当接する。弾性板82は、プラテンガラス80上に載置された原稿12を押さえて固定する。弾性板82は、板部材74と、スポンジ部材75とを有する。板部材74は、原稿12から安定した反射光を得るために、全域に渡って白色などの単一色とされている。板部材74は、スポンジ部材75を介して原稿カバー30に取付けられている。弾性板82は、閉位置にあるとき原稿カバー30の最も下部分に位置する。
【0030】
プラテンガラス80は、例えば透明なガラス板やアクリル板である。プラテンガラス80の左端部には、ADF5を使用して原稿12の画像を読み取る場合の読取領域80Aと、スキャナ部3をFBSとして使用する場合の読取領域80Bとを区画する位置決め部材83が設けられている。位置決め部材83は、プラテンガラス80上に原稿12を載置する場合の位置決め基準である。位置決め部材83の上面には、A4サイズやB5サイズなどの原稿12のサイズに合わせて、載置位置を示す印が付されている。位置決め部材83は、ADF5が用いられる場合には、読取領域80A上を通過する原稿12をADF5内に設けられた搬送路151へ戻すように案内するガイドとして機能する。
【0031】
支持台15の内部には、第1画像読取ユニット32が内蔵されている。スキャナ部3がFBSとして使用される場合には、原稿カバー30が開かれて、プラテンガラス80上に原稿12が載置される。そして、原稿カバー30が閉じられて、原稿12がプラテンガラス80上に固定される。第1画像読取ユニット32がプラテンガラス80の下方を移動しつつプラテンガラス80に載置された原稿12の画像を読み取る。
【0032】
第1画像読取ユニット32は、第1コンタクトイメージセンサ(Contact Image Sensor、以下「第1CIS」と称する。)85と、細長長方体状のCISキャリッジ86とを有する。CISキャリッジ86は、その上側に担持するようにして第1CIS85を搭載している。これにより、第1CIS85がプラテンガラス80の下面に対向される。第1CIS85は、搬送路151における湾曲部分54より搬送向き17の上流に位置している。第1CIS85は、搬送路151の下方から原稿12の画像を光学的に読み取る。第1CIS85は、LEDなどの光源を発光させて原稿12に光を照射し、原稿12からの反射光をレンズにより光電変換素子に導き、光電変換素子が反射光強度に応じた電気信号を出力するいわゆる密着型のラインイメージセンサである。第1CIS85は、CISキャリッジ86に搭載されて、プラテンガラス80の下方を往復動される。
【0033】
図3に示されるように、ケーシング84の左右方向9に渡ってガイドシャフト87が架設されている。第1画像読取ユニット32は、CISキャリッジ86がガイドシャフト87に嵌め合わされることにより、プラテンガラス80の下方をCISキャリッジ86の長手方向に直交する方向(左右方向9)に円滑に移動可能に支持される。ガイドシャフト87に沿ってCISキャリッジ駆動機構88が設けられている。CISキャリッジ駆動機構88は、プーリ間にタイミングベルト89が架設されたものである。CISキャリッジ86は、CISキャリッジ駆動機構88のタイミングベルト89に固定されており、タイミングベルト89の周運動によって往復動される。これにより、スキャナ部3がFBSとして使用される場合に、CISキャリッジ86をプラテンガラス80の下面に平行に移動させることができ、その際に、CISキャリッジ86に搭載された第1CIS85にプラテンガラス80上に載置された原稿12の画像を読み取らせることができる。
【0034】
図1及び
図2に示されるように、スキャナ部3の上部の原稿カバー30には、ADF原稿トレイ33(原稿トレイの一例)及びADF排出トレイ34(排出トレイの一例)が上下二段に構成されている。ADF原稿トレイ33には、複合機1の前後方向8に隔てられて一対のADF原稿ガイド93が、前後方向8へスライド移動可能に設けられている。ADF原稿ガイド93は、ADF原稿トレイ33から起立して、ADF原稿トレイ33に載置される原稿12の幅方向の位置を規制する。
【0035】
ADF原稿ガイド93は、ラック・ピニオンなどの周知の連動機構により、いずれか一方のADF原稿ガイド93をスライド移動させると、他方のADF原稿ガイド93も連動して相反する方向へスライド移動される。
【0036】
一対のADF原稿ガイド93には、ADF原稿トレイ33の上方向に隔てられてADF排出トレイ34が一体的に形成されている。ADF排出トレイ34は、ADF原稿ガイド93の頂部から内側に向けて迫り出すように延設された庇状の平板として構成される。ADF排出トレイ34は、後述する排出シュート部158の下側排出ガイドを構成する上段トレイ179(
図4参照)の上面よりも下側に設けられている。
【0037】
ADF5から排紙された原稿12は、その両側をADF排出トレイ34に担持されて、ADF原稿トレイ33上の原稿と分離した状態で保持される。ADF排出トレイ34は、排紙方向の長さが原稿12の長さより短いので、原稿12の排紙方向先端側は、ADF排出トレイ34から垂れ下がるようにして、ADF原稿トレイ33上に保持される。
【0038】
図4に示されるように、ADF5の筐体は、原稿カバー30と一体に成形されたADF本体152と、ADF本体に対して回動可能に設けられたADFカバー153とによって構成される。このADFカバー153は、主にADF5の筐体の上面を形成している。ADFカバー153は、ADF本体152に対してADF本体152の側方(
図4の左側)に設けられた不図示の回動軸を中心として図中の矢印P2方向に回動される。これにより、ADF5の内部の一部が露出される。
【0039】
ADFカバー153は、ADF本体152に対して回動されることにより、閉姿勢と、開姿勢とに姿勢変化する。ADF5を使用する際には、ADFカバー153は
図4に示されるような閉姿勢である。ADFカバー153は、閉姿勢においてADF本体152に係止される。
【0040】
ADF5の内部には、搬送路151において、ADF原稿トレイ33からADF排出トレイ34へと向かう搬送向き17に原稿12を搬送する第1搬送機構16が設けられている。第1搬送機構16は吸入ローラ164、分離ローラ166と、第2搬送ローラ168、第2ピンチローラ169と、第3搬送ローラ171(搬送ローラの一例)、第3ピンチローラ172(ニップ部材の一例)とを有する。
【0041】
搬送路151は、断面視で横向き略U字形状に形成されており、下側搬送路159、湾曲路157及び上側搬送路160に区分される。搬送路151は、ADF本体152やADFカバー153によって構成される。
【0042】
ADF原稿トレイ33から搬送路151に連続するようにして、吸入シュート部154が形成されている。ADF5の吸入シュート部154は、ADF原稿トレイ33上の空間と連続するように形成されている。吸入シュート部154は、上面を原稿12のガイド面とし、上下方向7に所定幅の通路として構成されている。ADF原稿トレイ33に載置された原稿12において下方を向く面を第1面51とし、上方を向く面を第2面52とすると、画像が読み取られる原稿12は、第1面51を下向きにした状態で、給紙方向の先端を吸入シュート部154に挿入するようにして、ADF原稿トレイ33上に載置される。
【0043】
吸入シュート部154には、複数のローラ体等で構成されるシート供給機構が設けられている。シート供給機構は、吸入ローラ164及びこれに圧接される吸入ニップ片165と、分離ローラ166及びこれに圧接される分離ニップ片167とを有する。なお、各ローラやニップ片の構成はシート供給機構の単なる一例であり、ローラの数や配置を変更したり、各ニップ片に代えてピンチローラを用いたりする等、その他の公知のシート供給機構に変更できることは勿論である。
【0044】
吸入ローラ164は、吸入シュート部154の用紙幅方向(前後方向8)の中央付近に回転可能に設けられている。図には示されていないが、吸入ローラ164は、ローラ軸のキーに嵌合するキー溝を有するが、このキー溝の周方向の幅がキーの幅に対して充分に長い。したがって、吸入ローラ164は、ローラ軸に対して約1周程度の空転が可能である。
【0045】
分離ローラ166は、吸入ローラ164から記録用紙の給紙方向下流へ隔てられた位置に回転可能に設けられている。吸入ローラ164及び分離ローラ166は、LF搬送モータ110(
図5参照)からの駆動力が伝達されて回転駆動される。
【0046】
吸入ニップ片165は、吸入ローラ164の対向位置に、吸入ローラ164と接離する方向へ上下動可能に設けられている。吸入ニップ片165は、不図示のバネ部材により下方へ付勢されており、原稿12をニップしない状態で吸入ローラ164に接触している。
【0047】
分離ニップ片167は、分離ローラ166の対向位置に、分離ローラ166と接離する方向へ上下動可能に設けられている。分離ニップ片167は、不図示のバネ部材により下方へ付勢されており、原稿12をニップしない状態で分離ローラ166のローラ面に圧接されている。
【0048】
搬送路151は、ADF原稿トレイ33とADF排出トレイ34とを繋いでおり、下方から上方へ向かって湾曲する湾曲部分54を有する。搬送路151は、吸入シュート部154から、下側搬送路159、湾曲路157、上側搬送路160を経て、排出シュート部158へ連続して形成されている。
【0049】
搬送路151の下側搬送路159は、吸入シュート部154の出口付近から読取領域80Aの出口付近までの所定幅の通路として緩やかに傾斜されて連続的に形成されている。吸入シュート部154から送り出された原稿12は強く湾曲されることなく下側搬送路159を円滑に案内される。
【0050】
下側搬送路159には、搬送向き17の上流から下流に向かって、第2ピンチローラ169、第2搬送ローラ168、原稿センサ116、位置決め部材83、第2画像読取ユニット94、原稿ガイド173、第1画像読取ユニット32が配置されている。
【0051】
第2ピンチローラ169は、下側搬送路159の幅方向(前後方向8)に軸方向を一致させて設けられている。第2ピンチローラ169は、ローラ面の一部を下側搬送路159に露出するようにして、回転可能に設けられている。
【0052】
下側搬送路159を挟んで第2ピンチローラ169に対向する位置に第2搬送ローラ168が設けられている。第2搬送ローラ168は、下側搬送路159の幅方向(前後方向8)に軸方向を一致させて設けられている。第2搬送ローラ168はADF本体152に回転可能に支持されており、ローラ面の一部が下側搬送路159に露出されている。
【0053】
第2ピンチローラ169は図示しないコイルバネなどの弾性部材によって第2搬送ローラ168側へ付勢された状態で支持されており、下側搬送路159において、第2ピンチローラ169のローラ面が第2搬送ローラ168のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ168は、図示しない駆動伝達機構を介してLF搬送モータ110(
図5参照)と連結されており、LF搬送モータ110からの駆動力が伝達されて回転駆動される。第2搬送ローラ168の外径は、第2ピンチローラ169の外径よりも十分に大きい。
【0054】
下側搬送路159において、第2搬送ローラ168、第2ピンチローラ169の下流には原稿センサ116が位置する。原稿センサ116は、第2搬送ローラ168、第2ピンチローラ169によって送られた原稿12の先端及び後端を検知する。
【0055】
下側搬送路159において、原稿センサ116の下流に第2画像読取ユニット94が位置する。第2画像読取ユニット94は、第2コンタクトイメージセンサ(以下「第2CIS」と称する。)95と、第2プラテン96と、原稿支持部材97とを有する。第2画像読取ユニット94は、原稿12の第2面52を読取る。
【0056】
第2CIS95は、第2プラテン96の上面に対向して配置されている。第2CIS95は、搬送路151における第1CIS85よりも搬送向き17の上流に位置している。第2CIS95は、原稿12の画像を搬送路151の上方から光学的に読み取る。第2CIS95は、直方体形状であり、第2プラテン96の上面に載置されている。
【0057】
第2プラテン96は、下側搬送路159よりも上方に位置する。第2プラテン96は所定の厚みを有する板状である。第2プラテン96の下面は、下側搬送路159を搬送される原稿12に対して平行になる。第2プラテン96は、読取面120と、上流端121と、下流端122とを有する。
【0058】
読取面120は、搬送向き17に沿う。読取面120は、下側搬送路159を搬送される原稿12の第2面52に対して平行である。
【0059】
上流端121は、第2CIS95の搬送向き17における上流側の端である。また、下流端122は、第2CIS95の搬送向き17における下流側の端である。上流端121は、搬送向き17において下流端122よりも上方に位置している。
【0060】
原稿支持部材97は、搬送向き17の上流側の端部を軸(前後方向8に沿っている。)にして回動可能に支持されている。原稿支持部材97は、第2プラテン96と接離する方向へ回動可能に設けられている。原稿支持部材97は、不図示のバネ部材により読取面120に向かって付勢されている。外力が付与されていない状態において、原稿支持部材97は、搬送路151を挟んで第2CIS95の読取面120と対向する位置にある。
【0061】
下側搬送路159においては、第2画像読取ユニット94の搬送向き17の下流に位置決め部材83が位置する。位置決め部材83の左端部(搬送向き17の下流端部)は、搬送向き17へ向かって下方に傾斜する傾斜面である。位置決め部材83は、第2画像読取ユニット94を通過した原稿12を、プラテンガラス80と原稿ガイド173との間へ案内する。
【0062】
下側搬送路159において、位置決め部材83の搬送向き17の下流に第1画像読取ユニット32が位置する。第1画像読取ユニット32は、原稿12の第1面51を読み取る。なお、第1画像読取ユニット32は、ADF5による画像読取りにおいて、位置決め部材83の搬送向き17の下流に位置していればよい。
【0063】
原稿ガイド173は、原稿カバー30の第1画像読取ユニット32に対向する位置に設けられている。原稿ガイド173は、読取領域80Aに対向する水平部分と、当該水平部分の両端から上流側及び下流側の上方に延びる傾斜部分とを有する。原稿ガイド173は、ADF本体152に固定されたバネ部材によって読取領域80Aへ付勢されている。前後方向8における原稿ガイド173の水平部分の両端部には凸部が形成されている。凸部が読取領域80Aに当接することにより、原稿ガイド173の水平部分と読取領域80Aとの上下方向7の間に原稿12が通過可能な隙間が形成される。
【0064】
搬送路151の湾曲路157は、読取領域80Aの出口付近から始まり、上方へ向かって延びつつ
図4の左方向から右方向に大きく反っている。湾曲路157の搬送向き17の下流端は、上側搬送路160と連続する。湾曲路157は、第3搬送ローラ171を内側の搬送ガイド面とし、ADF本体152及びADFカバー153を外側搬送ガイド面として形成されている。
【0065】
湾曲路157には、第3搬送ローラ171と第3ピンチローラ172とが設けられている。第3搬送ローラ171は湾曲路157の湾曲内側に位置しており、第3ピンチローラ172は湾曲路157の湾曲外側に位置している。第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172は、ローラ面の一部が湾曲路157に露出している。
【0066】
第3ピンチローラ172は、図示しないコイルバネなどの弾性部材によって第3搬送ローラ171側へ付勢されている。これにより、湾曲路157において、第3ピンチローラ172のローラ面が第3搬送ローラ171のローラ面に圧接されている。第3搬送ローラ171は、図示しない駆動伝達機構を介してLF搬送モータ110(
図5参照)と連結されており、LF搬送モータ110からの駆動力が伝達されて回転駆動される。
【0067】
上側搬送路160の搬送向き17の上流部分には、排出シュート部158が形成されている。排出シュート部158は、ADFカバー153の裏面によって上側ガイド面が構成される。排出シュート部158は、上段トレイ179及び上段トレイ179から左方に連続して延びる傾斜部180によって下側ガイド面156が構成される。排出シュート部158は、これらの各ガイド面によって上下方向に所定幅だけ隔てられた通路として構成されている。排出シュート部158に原稿12が排出されると、排出シュート部158のガイド面によって原稿12がADF排出トレイ34に案内される。傾斜部180は、上段トレイ179から左方に下る傾斜面である。上段トレイ179は、第3搬送ローラ171と第3ピンチローラ172のニップ位置よりも上側に設定されている。
【0068】
傾斜部180は、上段トレイ179よりも搬送向き17の上流に位置する。傾斜部180は、上段トレイ179に向けて上昇する傾斜面を有する。傾斜部180の傾斜面の上端56は、第3搬送ローラ171と第3ピンチローラ172のニップ位置57よりも上下方向7の上方に位置する。すなわち、
図4に示されるように、上下方向7における傾斜面の上端56の位置をQ1とし、第3搬送ローラ171と第3ピンチローラ172のニップ位置57の位置をQ2とした場合、Q1の位置がQ2の位置より上方に位置する。
【0069】
排出シュート部158には、第1突出部材40と、第2突出部材41とが設けられている。第1突出部材40は、搬送路151において、第3搬送ローラ171と第3ピンチローラ172のニップ位置57よりも搬送向き17の直下流に配置されている。ここで、直下流とは、第1突出部材40とニップ位置57との搬送向き17に沿った距離が近く、第1突出部材40とニップ位置57との搬送向き17に沿った間に、排出シュート部158を区画する部材の他に原稿12に物理的にアクセスする部材(ローラやリブなど)がないことを意味する。第1突出部材40は、搬送路151に下方を向いて突出する。
【0070】
第2突出部材41は、第1突出部材40よりも搬送向き17の直下流に配置されている。ここで、直下流とは、第2突出部材41と第1突出部材40との搬送向き17に沿った距離が近く、第2突出部材41と第1突出部材40との搬送向き17に沿った間に、排出シュート部158を区画する部材の他に原稿12に物理的にアクセスする部材(ローラやリブなど)がないことを意味する。第2突出部材41は、下側ガイド面156に設けられている。第2突出部材41は、搬送路151に上方を向いて突出する。
【0071】
第1突出部材40は、ADFカバー153の内側面に設けられている。第1突出部材40は、前後方向8に厚みを有する合成樹脂製の板状部材である。第1突出部材40は、前後方向8に間隔を空けて複数が設けられている。
【0072】
第2突出部材41は、厚さ0.2mm~1.0mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂製の板材で構成される。第2突出部材41は、原稿12が複数枚積載されても容易に座屈しない程度の強度である。第2突出部材41は、前後方向8において所定幅を有する。第2突出部材41は、前後方向8に間隔を空けて複数が設けられる。なお、第1突出部材40及び第2突出部材41の構成は単なる一例であり、配置や数などを変更してもよいことは勿論である。
【0073】
第1突出部材40は、ADFカバー153の上壁に固定されている。第1突出部材40は、断面視で略L字形状に屈曲している。第1突出部材40は、下案内部42と、下案内支持部43と、第1突出端44とを有する。
【0074】
下案内部42は、第1突出部材40の搬送向き17上流側に位置して斜め下方を向いた傾斜部分である。下案内部42は、第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172から排出された原稿12を傾斜部180に円滑に案内する。下案内部42は、ADFカバー153から搬送向き17下流側且つ下方に向かって延びる傾斜面である。
【0075】
下案内支持部43は、第1突出部材40の搬送向き17下流側に位置して斜め下方を向いた傾斜部分である。下案内支持部43は、下案内部42の下端部から搬送向き17下流側且つ上方に向かって延びる傾斜面である。
【0076】
第1突出端44は、第1突出部材40の最も下方に位置する。第1突出端44は、下案内部42と下案内支持部43の連結部分に位置する。
【0077】
第2突出部材41は、傾斜部180の搬送向き17の下流側から上段トレイ179の搬送向き17の上流側にかけて配置されている。第2突出部材41は、断面視で略L字形状に屈曲している。第2突出部材41は、上案内部45と、上案内支持部46と、第2突出端47とを有する。
【0078】
上案内部45は、第2突出部材41の搬送向き17上流側に位置して上方を向く傾斜部分である。上案内部45は、第1突出部材40を通過した原稿12を第1突出部材40の第1突出端44よりも上方に案内する。上案内部45は、傾斜部180から搬送向き17の下流側且つ上方に向かって延びる傾斜面である。
【0079】
上案内支持部46は、第2突出部材41の搬送向き17下流側に位置して上方を向く傾斜部分である。上案内支持部46は、上案内部45の上端部から搬送向き17下流側且つ下方に向かって延びる傾斜面である。
【0080】
第2突出端47は、第2突出部材41の最も上方に位置する。第2突出端47は、上案内部45と上案内支持部46の連結部分に位置する。
【0081】
第1突出部材40の第1突出端44は、第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラのニップ位置57並びに第2突出部材41の第2突出端47を含む仮想直線と、この仮想直線に直交して前後方向8(水平方向の一例)に延びる仮想直線とを含む仮想平面58(
図4において2点鎖線で示す)よりも、上下方向7の下方に位置する。
【0082】
排出側搬送機構60は、原稿12を搬送向き17へ搬送する機構であり、第2突出部材41の搬送向き17の下流に位置する。排出側搬送機構60は、排紙ローラ61と、排紙センサ25と、排紙側ニップ片62とを有する。なお、各ローラやニップ片の構成は排出側搬送機構60の単なる一例であり、ローラの数や配置を変更したり、各ニップ片に代えてピンチローラを用いたりする等、その他の公知の搬送機構に変更できることは勿論である。
【0083】
排紙ローラ61は、第2突出部材41の搬送向き17の直下流に配置されている。ここで、直下流とは、排紙ローラ61と第2突出部材41との搬送向き17に沿った距離が近く、排紙ローラ61と第2突出部材41との間に排出シュート部158や上側搬送路160を区画する部材の他に原稿12に物理的にアクセスする部材(ローラやリブ)がないことを意味する。排紙ローラ61は、上側搬送路160の幅方向、すなわち前後方向8を軸方向とする。排紙ローラ61は、ADF本体152に回転可能に支持されており、ローラ面の一部が上側搬送路160に露出されている。
【0084】
排紙側ニップ片62は、ADFカバー153に設けられている。排紙側ニップ片62は、排紙ローラ61の対向位置に、排紙ローラ61と接離する方向へ上下動可能に設けられている。排紙ローラ61は、不図示のバネ部材により下方へ付勢されており、原稿12をニップしない状態で排紙ローラ61に接触している。
【0085】
排紙センサ25は、上側搬送路160に配置されている。排紙センサ25は、第1突出部材40より搬送向き17の下流、より具体的には、排紙ローラ61及び排紙側ニップ片62の下流に配置されている。排紙センサ25は、第1搬送機構16によって搬送向き17へ搬送される原稿を検知する。排紙センサ25は、原稿12の先端を光学的に検知する。
【0086】
[スキャナ部3の駆動制御]
図5は、複合機1のコントローラ130及びその周辺デバイスの構成を示している。コントローラ130は、スキャナ部3のみでなくプリンタ部2も含む複合機1の全体動作を統括して制御するものであるが、本実施形態の説明においては、
図5においてプリンタ部2の構成要素は省略されている。コントローラ130は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)104を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス105を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)106に接続されている。
【0087】
ROM102には、複合機1の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。EEPROM104には、上記プログラムに従った処理に用いられる各種データが格納されている。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又はデータやプログラムの展開領域として使用される。
【0088】
CPU101は、コントローラ130を構成する周辺デバイス、或いはコントローラ130により制御される被制御機器を統括的に制御するものである。CPU101によって、ROM102に格納されたプログラムや、RAM103またはEEPROM104に格納されたデータが読み出され、上記プログラムに従った演算が行われる。
【0089】
ASIC106は、CPU101からの指令に従い、スキャナ部3のキャリッジモータ(
図5においてCRモータと称する)108及びADF5のLF搬送モータ(
図5においてLFモータと称する)110、112それぞれに通電する相励磁信号等を生成して、信号をキャリッジモータ108のCR駆動回路107及びLF搬送モータ110、112のR駆動回路109、111に付与する。CR駆動回路107及びR駆動回路109、111を介して駆動信号がキャリッジモータ108及びLF搬送モータ110、112に通電されることにより、キャリッジモータ108及びLF搬送モータ110、112の回転制御が行われる。
【0090】
CR駆動回路107は、スキャナ部3のCISキャリッジ86に接続されたキャリッジモータ108を駆動させるものである。CR駆動回路107は、ASIC106からの出力信号を受けて、キャリッジモータ108を回転するための電気信号を生成する。電気信号を受けたキャリッジモータ108が回転し、キャリッジモータ108の回転力が周知の走査機構を介して、CISキャリッジ86へ伝達されることによりCISキャリッジ86が移動される。
【0091】
本実施形態における駆動回路は、独立した2つのR駆動回路109、111によって構成される。一方のR駆動回路111は、ADF5の排紙ローラ61に接続されたLF搬送モータ112を駆動させるものである。R駆動回路111は、ASIC106からの出力信号を受けて、LF搬送モータ112を回転するための電気信号を生成する。電気信号を受けたLF搬送モータ112が回転し、LF搬送モータ112の回転力がギアや駆動軸等で構成される周知の駆動機構を介して、排紙ローラ61へ伝達される。
【0092】
他方のR駆動回路109は、ADF5の吸入ローラ164、分離ローラ166、第2搬送ローラ168及び第3搬送ローラ171に接続されたLF搬送モータ110を駆動させるものである。R駆動回路109は、ASIC106からの出力信号を受けて、LF搬送モータ110を回転するための電気信号を生成する。電気信号を受けたLF搬送モータ110が回転し、LF搬送モータ110の回転力がギアや駆動軸等で構成される周知の駆動機構を介して、吸入ローラ164、分離ローラ166、第2搬送ローラ168及び第3搬送ローラ171へ伝達される。
【0093】
ASIC106には、スキャナ部3において原稿12の画像読取りを行う第1CIS85及び第2CIS95が接続されている。ASIC106は、CPU101の指令に基づいて、光源から光を照射するための電気信号や光電変換素子から画像データを出力するためのタイミング信号を第1CIS85に付与する。第1CIS85及び第2CIS95は、これら信号を受けて、所定のタイミングで原稿12に光を照射し、光電変換素子により変換された画像データを出力する。
【0094】
ASIC106には、複合機1に所望の指令を入力する操作ボタン35を制御するパネルゲートアレイ(パネルG/A)28が接続されている。パネルゲートアレイ28は、操作パネル6の操作ボタン35の押下を検出して、所定のコード信号を出力する。このキーコードは、複数の操作ボタン35に対応して割り当てられている。CPU101は、パネルゲートアレイ28から所定のキーコードを受信すると、所定のキー処理テーブルに従って、実行すべき制御処理を行う。キー処理テーブルは、キーコードと制御処理とを対応させてテーブル化したものであり、例えば、ROM102に記憶されている。
【0095】
ASIC106には、液晶ディスプレイ(LCD)36の画面表示を制御するLCDコントローラ114が接続されている。LCDコントローラ114は、CPU101の指令に基づいて、液晶ディスプレイ36にプリンタ部2又はスキャナ部3の動作に関する情報を画面に表示させる。
【0096】
ASIC106には、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部18、コンピュータとパラレルケーブル又はUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース113及びUSBコネクタ14が接続されている。
【0097】
ASIC106には、ADF5内の下側搬送路159において原稿12の先端及び後端を検出するための原稿センサ116が接続されている。
【0098】
ASIC106には、ADF5内の上側搬送路160において原稿12の先端を検出するための排紙センサ25が接続されている。
【0099】
[ADF5による原稿12の搬送動作]
上述のように構成されたスキャナ部3では、コントローラ130によって、第1搬送機構16、第1読取センサ85、第2読取センサ95、及び排出側搬送機構60の制御が実行される。以下、ADF5による原稿12の搬送動作について説明する。
【0100】
原稿12の画像を読み取る際、ユーザは、原稿12の第1面51を下方へ向けた状態で、複数枚の原稿12をADF原稿トレイ33に載置する。ユーザは、操作パネル6を操作し、原稿12の画像読取り開始のコマンドを入力する。
【0101】
コントローラ130は、画像読取り開始のコマンドを受信したことに応じて、CRモータ108及びLFモータ110を駆動する。LFモータ110が駆動され、吸入ローラ164、分離ローラ166、及び第2搬送ローラ168が駆動すると、
図6に示されるように、複数枚の原稿12のうちの最下位置の原稿12がADF原稿トレイ33から搬送される。CRモータ108が駆動すると、第1CIS85が読取領域80Aに移動する。
【0102】
原稿センサ116は、ADF原稿トレイ33から搬送された原稿12の前端を検知する。コントローラ130は、原稿センサ116の検知信号に基づいて、原稿12を所定距離だけ搬送した後、第2CIS95及び第1CIS85による画像読取りを開始する。
【0103】
下側搬送路159を搬送される原稿12は、第1面51を下方に向け第2面52を上方に向けた状態である。原稿12は、第2画像読取ユニット94の第2CISによって第2面52の画像が読み取られる。
【0104】
第2画像読取ユニット94によって画像が読み取られた原稿12は、更に、位置決め部材83に案内されて第1画像読取ユニット32に至ると、第1CISによって第1面51の画像が読み取られる。第1画像読取ユニット32によって画像が読み取られた後、原稿12は、先端部分が上方へ案内されて、ADF5の湾曲路157に搬送される。
【0105】
原稿センサ116は、下側搬送路159を搬送される過程においては、原稿12の後端も検知する。コントローラ130は、原稿センサ116の検知信号に基づいて、原稿12を所定距離だけ搬送した後、第2CIS95及び第1CIS85による画像読取りを終了する。
【0106】
コントローラ130は、画像読取り開始のコマンドを受信したことに応じて、LFモータ110を駆動し、第3搬送ローラ171も駆動する。湾曲路157に搬送された原稿12は、
図7に示されるように、第3搬送ローラ171の外周面上を左方向から右方向に大きく反るように搬送される。第3ピンチローラ172は、第3搬送ローラ171に従動して回転する。第3ピンチローラ172によって第3搬送ローラ171に原稿12が圧接されて、原稿12に第3搬送ローラ171の回転力が伝達される。これにより、原稿12が湾曲路157を搬送されて、上側搬送路160へ搬送される。
【0107】
第1突出部材40の第1突出端44は、第2突出部材41の第2突出端47よりも上下方向7の下方に位置する。このため、湾曲路157を通って搬送された原稿12が第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172によって狭持されつつ搬送向き17の下流へ搬送されると、原稿12の先端が第1突出部材40によって下方に案内される。この後、原稿12は、傾斜部180によって上方に案内されて、第2突出部材41に乗り上げる。第2突出部材41は、原稿12を下方から支持する。原稿12は、上側搬送路160の排出側搬送機構60に案内される。
【0108】
第3搬送ローラ171によって原稿12が上側搬送路160に搬送されると、排紙センサ25は、原稿12の先端を検知し、コントローラ130は、排紙センサ25からの検知信号を受信する。排紙センサ25が原稿12の先端を検知したとき、コントローラ130は、
図8に示されるように、原稿12の後端を排出する位置まで第3搬送ローラ171を駆動する。すなわち、原稿12は、排紙センサ25が原稿12の先端を検知したタイミングから、搬送向き17における原稿12の全長から搬送向き17におけるニップ位置57と排紙センサ25との距離を差し引いた距離移動する。
【0109】
原稿12の後端が第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172から排出された後、コントローラ130は、搬送向き17におけるニップ位置57の出口付近から下案内支持部43の上端近傍位置である原稿後端停止位置63までの距離E(
図8参照)だけ排紙ローラ61を駆動する。コントローラ130は、排紙ローラ61を駆動した後、排紙ローラ61を停止する。原稿12は、
図9に示されるように、上側搬送路160に搬送され原稿12の後端が原稿後端停止位置63に位置する。
【0110】
上側搬送路160に搬送された原稿12は、
図9に示されるように、先端側がADF排出トレイ34によって支持される。原稿12の後端側は上段トレイ179及び第2突出部材41の第2突出端47によって支持され、後端部分が原稿後端停止位置63に配置される。すなわち、
図9に示されるように、第2突出端47と原稿後端停止位置63との水平方向(左右方向9)の離間距離Dが設定されており、後続の原稿12が離間距離Dの間に案内されるように第1突出部材40及び第2突出部材41が配置されている。また、原稿12の後端が原稿後端停止位置63に配置されることで原稿12の後端部分の下方には常にスペースが確保される。
【0111】
先行の原稿に続いて後続の原稿が搬送される際、ADF原稿トレイ33に載置された複数枚の原稿12のうち最下位置の原稿12が、吸入ローラ164及び分離ローラ166により搬送された後、第2搬送ローラ168により搬送される。分離ローラ166及び第2搬送ローラ168による原稿12の搬送速度は、吸入ローラ164による原稿12の搬送速度より速い。したがって、原稿12が分離ローラ166及び第2搬送ローラ168により搬送されると、吸入ローラ164が連れ回って、ローラ軸のキーと吸入ローラ164のキー溝とが離れる。原稿12の後端が吸入ローラ164を通過すると、回転するローラ軸のキーと吸入ローラ164のキー溝とが当接するまで吸入ローラ164の回転が停止する。これにより、先行の原稿12の後端と後続の原稿12の先端とが所定距離だけ離れるので、複数枚の原稿12から1枚ずつ所定距離をおいて原稿12がADF原稿トレイ33から給送される。1枚ずつ給送された原稿12は、前述と同様にして、第1CIS85及び第2CIS95により第1面51及び第2面52の画像読取りが行われて、ADF排出トレイ34に順次排出される。
【0112】
先行の原稿12が上側搬送路160に搬送され原稿12の後端側が第2突出部材41によって支持された状態で、更に後続の原稿12が排出シュート部158に排出されると、後続の原稿12は、先行して排出された原稿12と同じようにして原稿12の先端が第1突出部材40によって下方に案内されて傾斜部180によって上方に案内される。このとき、後続の原稿12の先端は、先に排出された原稿12の後端に先端部分が当接して、
図10に示されるように、先行の原稿12の下側に潜り込むようにして進入する。排紙センサ25は、後続の原稿12が、先行の原稿12の下側に潜り込んで進む際、後続の原稿12の先端を検知する。コントローラ130は、排紙センサ25からの検知信号を受信する。コントローラ130は、
図10において破線で示されるように、原稿12の後端が排出される位置まで第3搬送ローラ171を駆動する。すなわち、先行の原稿12の下側に潜り込んだ後続の原稿12は、排紙センサ25が原稿12の先端を検知したタイミングから、搬送向き17における原稿12の全長から搬送向き17におけるニップ位置57と排紙センサ25との距離を差し引いた距離移動する。
【0113】
後続の原稿12の後端が第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172から排出された後、コントローラ130は、搬送向き17におけるニップ位置57の出口付近から原稿後端停止位置63までの距離E(
図10参照)だけ排紙ローラ61を駆動する。このとき、先行の原稿12の後端と後続の原稿12の後端は、距離Eだけずれた状態であり、先行の原稿12と後続の原稿12は、排紙ローラ61と排紙側ニップ片62とに挟まれた状態で共に搬送向き17の下流側に搬送される。コントローラ130は、排紙ローラ61を駆動して原稿12を共に距離Eだけ搬送した後、排紙ローラ61を停止する。搬送された後続の原稿12は、上側搬送路160に搬送され後端が原稿後端停止位置63に位置する。先行の原稿12の後端は、後続の原稿12の後端よりも搬送向き17の下流側に距離Eずれた位置となる。この距離Eは、離間距離Dに設定されることで、第2突出端47の上方より下流側に位置する原稿12が常に1枚に維持される。
【0114】
後続の原稿(以下、2枚目の原稿とも称する。)12が排出された後に、更に後続の原稿(以下、3枚目の原稿とも称する。)12が搬送される際、3枚目の原稿12は、2枚目の原稿と同様にして搬送される。その結果、2枚目の原稿12と3枚目の原稿12の後端が、離間距離D(距離E)だけずれた状態となる。
【0115】
このような工程が繰り返されることで、上側搬送路160に搬送された複数枚の原稿12のうちの最下位置の原稿12は、常に後端部分が原稿後端停止位置63に向かって延びるように配置される。また、先行の原稿12は、後端部分が原稿後端停止位置63に位置する後続の原稿12よりも離間距離D(距離E)だけ離れた下流側に位置するため、第2突出端47の上方に位置する原稿12は常に少ない枚数(本実施形態では1枚)となる。第2突出部材41は、積載された原稿12の重みによって下方に移動することが抑制され、原稿後端停止位置63の下方のスペースが常に確保される。原稿後端停止位置63の下方のスペースが確保されることで、搬送する原稿12の枚数が多い場合であっても、後続の原稿12が先行の原稿12の下側に潜り込むことが可能な状態が常に維持される。
【0116】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、第1搬送機構16により搬送路151を搬送される原稿12は、後端が第1突出部材40と第2突出部材41との間に位置して停止する。このとき、原稿12の後端は第2突出部材41に支持されて搬送路151の上側に位置する。続いて、第1搬送機構16により搬送路151を搬送される後続の原稿12の先端は、第1突出部材40により搬送路151の下側へ案内されて、停止している原稿12の後端の下方へ潜り込む。潜り込んだ原稿12は、後端が第1突出部材40と第2突出部材41との間に位置するまで、上方に位置する別の原稿と共に排出側搬送機構60により搬送向き17に搬送されて停止する。搬送された原稿12の後端は第2突出部材41に支持されて常に下方にスペースが設けられるため、このような原稿12の搬送が繰り返されることにより連続して搬送される原稿12の枚数が増えても、第2突出部材41に支持された原稿が順に搬送向きに積載される。
【0117】
また、本実施形態によれば、第2突出端47の直上流に配置される第1突出端44が第2突出端47よりも下方に位置するため、後続の原稿12の先端が、先行の原稿12の後端の下方に確実に潜り込む。
【0118】
また、本実施形態によれば、第1突出端44は、第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172のニップ位置及び第2突出端47を含む直線とこれに直交して水平方向に延びる直線とを含む仮想平面よりも下方に位置する。このため、後続の原稿12の先端が、先行の原稿12の後端の下方に確実に潜り込む。
【0119】
[変形例1]
上述の実施形態においては、ADF5の筐体の上面に固定されている第1突出部材40及び傾斜部180の下流側に固定されている第2突出部材41は、それぞれ断面視で略L字形状に屈曲されているが、この形状に限られるものではない。第1突出部材40Aは、例えば、
図11に示されるように、第1突出端44Aの下面が搬送向き17に沿って曲面であってもよい。また、第2突出部材41Aは、第2突出端47Aの上面が搬送向き17に沿って曲面であってもよい。
【0120】
第1突出部材40Aは、下案内部42Aと、下案内支持部43Aと、第1突出端44Aとを有する。
【0121】
下案内部42Aは、第1突出部材40Aの搬送向き17上流側に位置して斜め下方を向いた傾斜部分である。下案内部42Aは、ADFカバー153から搬送向き17下流側且つ下方に向かって延びる傾斜面である。
【0122】
下案内支持部43Aは、第1突出部材40Aの搬送向き17下流側に位置して斜め下方を向いた傾斜部分である。下案内支持部43Aは、第1突出端44Aの搬送向き17下流側の端部から更に下流側且つ上方に向かって延びる傾斜面である。
【0123】
第1突出端44Aは、第1突出部材40Aの最も下方に位置する。第1突出端44Aは、下案内部42Aと下案内支持部43Aの下端部分を連結する。第1突出端44Aは、下面が上下方向7の下方に向けて円弧状に膨らむ状態で配置されている。
【0124】
第2突出部材41Aは、傾斜部180の搬送向き17の下流側から上段トレイ179の搬送向き17の上流側にかけて配置されている。第2突出部材41Aは、上案内部45Aと、上案内支持部46Aと、第2突出端47Aとを有する。
【0125】
上案内部45Aは、第2突出部材41Aの搬送向き17上流側に位置して上方を向く傾斜部分である。上案内部45Aは、第1突出部材40Aを通過した原稿12を第1突出部材40Aの第1突出端44Aよりも上方に案内する。上案内部45Aは、傾斜部180から搬送向き17の下流側且つ上方に向かって延びる傾斜面である。
【0126】
上案内支持部46Aは、第2突出部材41Aの搬送向き17下流側に位置して上方を向く傾斜部分である。上案内支持部46Aは、第2突出端47Aの搬送向き17下流側の端部から更に下流側且つ下方に向かって延びる傾斜面である。
【0127】
第2突出端47Aは、第2突出部材41Aの最も上方に位置する。第2突出端47Aは、上案内部45Aと上案内支持部46Aの上端部分を連結する。第2突出端47Aは、上面が上下方向7の上方に向けて円弧状に膨らむ状態で配置されている。
【0128】
本変形例では、湾曲路157を通って搬送された原稿12が第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172によって狭持されつつ搬送向き17の下流へ搬送されると、原稿12の先端は、下面が曲面である第1突出端44Aに沿って緩やかに下方に案内される。原稿12は、第1突出端44Aに沿って下方に案内された後、傾斜部180によって上方に案内されて、上面が曲面である第2突出端47Aに沿って案内されて、第2突出部材41Aに乗り上げる。
【0129】
本変形例によれば、第1突出端44の下面及び第2突出端47の上面が、曲面であるため、搬送路151を搬送される原稿12は、第1突出端又は第2突出端を円滑に通過する。
【0130】
[変形例2]
上述の実施形態においては、排紙センサ25が第1突出部材40より搬送向き17の下流に配置されている場合を例にあげて説明したが、これに限られない。排紙センサ25Bは、例えば、
図12に示されるように、第1突出部材40より搬送向き17の上流に配置されていてもよい。
【0131】
変形例に係る複合機1のADF5は、排紙センサ25Bが第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172の直下流、すなわち、第1突出部材40の直上流に配置されている。ここで、直上流とは、第3搬送ローラ171と排紙センサ25Bとの搬送向き17に沿った距離が近く、第3搬送ローラ171と排紙センサ25Bとの搬送向き17に沿った間に、排出シュート部158を区画する部材の他に原稿12に物理的にアクセスする部材(ローラやリブなど)がないことを意味する。排紙ローラ61及び排紙側ニップ片62Bは、第2突出部材41の下流に配置されている。
【0132】
原稿12が下側搬送路159及び湾曲路157を搬送された後、コントローラ130は、第3搬送ローラ171及び第3ピンチローラ172から排出された原稿12の先端を排紙センサ25Bで検知する。原稿12の先端が排紙センサ25Bによって検知された後、コントローラ130は、排紙ローラ61を駆動し、上段トレイ179上において原稿12を所定距離搬送する。コントローラ130は、排紙ローラ61を、原稿12の後端が第1突出部材40と第2突出部材41との間に位置するまで駆動した後停止する。
【0133】
なお、上述の実施形態においては、FBSとして機能する支持台15に対して、第2読取センサ95が設けられた原稿カバー30が開閉自在に取り付けられている複合機1を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、複合機1は、FBSを有しないものであってもよい。すなわち、複合機1は、スキャナ部3として原稿カバー30を有しておらず、ADF5の構成がケーシング84に備えた構成であってもよい。
【0134】
また、上述の実施形態においては、ADF5の内部の搬送路151が、断面視で横向き略U字形状に形成され、下側搬送路159、湾曲路157及び上側搬送路160に区分される場合を例にあげて説明したが、これに限られない。例えば、ADFの内部の搬送路が筐体の後方から前方へ向かうような所謂ストレートパスで構成されるものであってもよい。
【0135】
この場合、ADF原稿トレイに第1面を上向きにした状態で原稿を載置すると、原稿は、搬送路に沿って第1搬送機構によって搬送されるとともに画像が読み取られ、排出側搬送機構を経てADF排出トレイに排出される。
【0136】
排出された原稿の後端は、第2突出端から第1突出部材の後端部分に向かって上流側に延びるよう支持される。第2突出端に支持された原稿の後端部分の下方にはスペースが確保される。後続の原稿の先端部分は、先行の原稿の後端下方スペースへと案内される。後続の原稿は、先行の原稿の下側に潜り込むようにして進入する。このような原稿の搬送が繰り返されるため、所謂ストレートパスで構成されるADFであっても、原稿が複数であっても連続して搬送され順に積載される。
【符号の説明】
【0137】
5・・・ADF(搬送装置)
16・・・第1搬送機構
25,25B・・・排紙センサ(センサ)
33・・・ADF原稿トレイ(原稿トレイ)
34・・・ADF排出トレイ(排出トレイ)
40,40A・・・第1突出部材
41,41A・・・第2突出部材
44,44A・・・第1突出端
47,47A・・・第2突出端
60・・・排出側搬送機構(第2搬送機構)
61・・・排紙ローラ(搬送ローラ)
172・・・第3ピンチローラ(ニップ部材)
130・・・コントローラ
151・・・搬送路