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  • 特開-加工穴検査機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161614
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】加工穴検査機
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/02 20060101AFI20221014BHJP
   G01B 3/26 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G01B21/02 Z
G01B3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066555
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松崎 浩俊
【テーマコード(参考)】
2F061
2F069
【Fターム(参考)】
2F061AA16
2F061AA25
2F061CC40
2F061DD22
2F061DD23
2F061FF10
2F061FF21
2F061FF76
2F061GG01
2F061TT06
2F061VV05
2F069AA03
2F069AA40
2F069BB40
2F069DD08
2F069DD25
2F069GG01
2F069GG07
2F069GG66
2F069HH01
2F069JJ04
2F069JJ13
2F069JJ19
2F069MM02
2F069MM04
2F069RR05
(57)【要約】
【課題】被検査対象の形状にかかわらず検査可能な加工穴検査機の提供。
【解決手段】
加工穴51が形成されているワーク50を保持可能な保持部27と、前記保持部27と対向して配置される基台30と、前記基台30上に設置される検査ユニット40と、前記保持部27または基台30の何れか一方を他方に向けて往復移動させる往復駆動源とを備え、前記検査ユニット40は、前記ワーク50の加工穴51の延長上に配置され、当該加工穴51に挿入可能に構成された検査ロッド42と、この検査ロッド42をその軸線と直交する方向に移動させる摺動部424と、検査ロッド42および摺動部424を保持するハウジング41と、前記検査ロッド40が前記加工穴51に挿入されたか否かを判定可能な判定手段44とを備えていることを特徴とする加工穴検査機10による。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工穴が形成されているワークを保持可能な保持部と、
前記保持部と対向して配置される基台と、
前記基台上に設置される検査ユニットと、
前記保持部または基台の何れか一方を他方に向けて往復移動させる往復駆動源とを備え、
前記検査ユニットは、前記ワークの加工穴の延長上に配置された検査ロッドと、この検査ロッドをその軸線と直交する方向に移動させる摺動部と、検査ロッドおよび摺動部を保持するハウジングと、前記検査ロッドが前記加工穴に挿入されたか否かを判定可能な判定手段とを備えていることを特徴とする加工穴検査機。
【請求項2】
前記検査ロッドは、前記ハウジング内に収容され、その上下方向を前記摺動部に挟持される鍔部と、この鍔部に連続し、前記ワークに向かって伸びる軸部と、この軸部の先端に設けられる検査部とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加工穴検査機。
【請求項3】
摺動部は、放射状に配置された鋼球と、この鋼球を保持する保持板から構成されており、保持板は、鋼球の直径より薄く設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加工穴検査機。
【請求項4】
前記検査ロッドは、前記鍔部と軸部あるいは、軸部と検査部の少なくとも一方が着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の加工穴検査機。
【請求項5】
前記検査ロッドが、その軸線と直交する方向へ移動する寸法は、前記加工穴の形成位置に対する許容寸法誤差と同寸に設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の加工穴検査機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに形成された加工穴の良否を検査する加工穴検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンや流量計等、多数の加工穴が形成されたワークを検査する加工穴検査機として特許文献1に示されたものが知られている。この加工穴検査機は、ワークに形成された加工穴に挿入され、その軸方向に摺動可能に構成された検査ロッドと、これら検査ロッドを支持する基台と、ワークと基台とを接近させる往復駆動源と、検査ロッドの摺動する寸法から加工穴が適正か否かを判定する判定手段とを備えている。この加工穴検査機は、往復駆動源の駆動により、ワークと基台とを接近させた際、前記検査ロッドがワークの加工穴に挿通されるか否かあるいは、挿通される深さが規定の範囲内であるか否かに基づき、加工穴の位置、深さが適正であるかを検査する様に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-118207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の加工穴検査機は、加工穴の形成位置、深さのみを測定するものであったため、当該加工穴の穴径が規定の寸法より小さくても基準ロッドさえ挿入可能であれば、適正と判定するという問題があった。また、従来の加工穴検査機は、検査ロッドが軸方向に摺動する構成であったため、加工穴がそれぞれ基準点から異なる方向に位置ずれした場合、当該位置ずれが適正位置から許容誤差範囲内の位置ずれであっても検査ロッドが加工穴周辺に当接することがあった。これにより、従来の加工穴検査機には、本来良品であるワークを不良と誤判定する可能性があるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、加工穴が形成された位置および下降穴の穴径を同時に検査可能な穴検査機の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、加工穴が形成されているワークを保持可能な保持部と、前記保持部と対向して配置される基台と、前記基台上に設置される検査ユニットと、前記保持部または基台の何れか一方を他方に向けて往復移動させる往復駆動源とを備え、前記検査ユニットは、前記ワークの加工穴の延長上に配置された検査ロッドと、この検査ロッドをその軸線と直交する方向に移動させる摺動部と、検査ロッドおよび摺動部を保持するハウジングと、前記検査ロッドが前記加工穴に挿入されたか否かを判定可能な判定手段とを備えていることを特徴とする。なお、前記検査ロッドは、前記ハウジング内に収容され、その上下方向を前記摺動部に挟持される鍔部と、この鍔部に連続し、前記ワークに向かって伸びる軸部と、この軸部の先端に設けられる検査部とから構成されていることが好ましい。また、摺動部は、放射状に配置された鋼球と、この鋼球を保持する保持板から構成されており、保持板は、鋼球の直径より薄く設定されていることが好ましい。さらに、前記検査ロッドは、前記鍔部と軸部あるいは、軸部と検査部の少なくとも一方が着脱自在に構成されていることが好ましい。しかも、前記検査ロッドが、その軸線と直交する方向へ移動する寸法は、前記加工穴の形成位置に対する許容寸法誤差と同寸に設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の加工穴検査機によれば、加工穴の穴径を検査可能な検査ロッドが軸線と直交する方向に所定量移動可能であるため、加工穴の形成位置とその穴径とを同時に検査できる等の利点がある。なお、検査ロッドの鍔部が摺動部に挟まれ、この摺動部とともにハウジングに保持されており、検査ロッドの傾斜が防止されているため、検査精度が向上する等の利点もある。また、摺動部が鋼球とこれを保持する保持板とからなるため、比較的安価に製造可能等の利点もある。さらに、検査ロッドの鍔部、軸部、検査部がそれぞれ着脱自在に構成されているため、比較的摩耗しやすい検査部のみを交換できる等の利点もある。しかも、検査ロッドがその軸線と直交する方向へ移動可能な寸法が前記加工穴の位置ずれに対する許容寸法誤差と同寸に構成されており、別途検査ロッドの移動量を測定する手段を備える必要がないため、安価に製造可能等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る加工穴検査機の構造を示す一部断面概略正面図である。
図2図1の状態から次の状態へ以降する動作を示す一部断面概略正面図である。
図3】本発明に係る加工穴検査機の検査ユニットの構造を示す要部拡大一部断面正面図である。
図4図3のA-A線に沿った要部拡大一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1ないし図4において10は、ワーク50を検査する加工穴検査機である。この加工穴検査機10は、外部の搬送機構から受け取ったワーク50を昇降させる昇降ユニット20と、この昇降ユニット20の下方に配置される基台30と、この基台30上に配置される検査ユニット40,40′,40′′と、昇降ユニット20の駆動を制御する制御部(図示せず)とを有する。なお、ワーク50は、一例として、その上面に凹部が形成された鋳造製部材であり、複数の加工穴51,51′,51′′が上下方向に貫通形成されている。
【0009】
前記昇降ユニット20は、往復駆動源(図示せず)の駆動を受けて昇降する主動部21を有している。この主動部21は、空隙22が形成された板状部材であり、前記基台30上に基準穴23が貫通している。この主動部21には、上方に延びるガイド軸24が立設されており、このガイド軸24には、これに沿って上下方向摺動自在に構成された従動部26が装着されている。この従動部26は、ガイド軸24によって傾斜しないよう案内されており、この従動部26の下面には、前記主動部21の空隙22を通過する連結部材を介して保持部27が固定されている。この保持部27は、主動部21より下方に位置しており、別途設けられた搬送機構(図示せず)からワーク50を受け取り可能に構成されている。これにより、図1および図2に示すように前記往復駆動源の駆動を受けて主動部21が昇降すると、従動部26および保持部27が主動部21に連動して昇降する。また、前記主動部21と従動部26との間には、従動部26を常時上方に付勢する付勢部材の一例である前記クッションばね25が設けられており、このクッションばね25は、前記保持部27にワーク50が保持された際にも、最大撓みに達しないように設定されている。
【0010】
前記基台30は、図1に示すように前記加工穴検査機10のフレーム11に固定されており、その上面には、前記ワーク50を支持可能な支持ロッド31が複数設けられている。この支持ロッド31は、当該支持ロッド31上に載置されたワーク50の上面が基台30と平行になるよう構成されており、ワーク50の下面形状に合わせて、その上下方向の長さ寸法が設定されている。また、基台30には、前記主動部21の基準穴23の延長線上に基準ロッド32が設けられている。この基準ロッド32は、その上端が円錐形状に形成された棒状部材であり、前記基準穴23の穴径とほぼ同径に構成されている。これにより、後述する駆動時、主動部21が基台30に向かい下降してくると、基準ロッド32が前記基準穴23に挿入されて、主動部21と基台30とが水平方向にずれることがないように位置決め可能となる。なお、基準ロッド32は、駆動時、ワーク50の加工穴51,51′,51′′に後述する検査ユニット40,40′,40′′の検査ロッド42が挿入されるより前に基準穴23に挿入されるよう寸法設定されている。
【0011】
前記検査ユニット40,40′,40′′は、それぞれワーク50に形成された加工穴51,51′,51′′の延長線上に位置するように配置されている。これら検査ユニット40,40′,40′′は、加工穴51,51′,51′′に合わせて高さ寸法が設定されているものの、その基本構成は、同じであるため、以下では加工穴51を検査する検査ユニット40の構成のみを説明する。この検査ユニット40は、図3に示すように基台30上に設置されるハウジング41と、このハウジング41に保持される検査ロッド42と、この検査ロッド42を水平方向に摺動させる摺動ユニットとから構成されている。前記ハウジング41は、基台30に固定され、軸方向に所定の寸法で構成される台座411と、この台座411上に設けられ、上下方向に保持穴413が貫通している略円筒形状の筒部412と、この筒部412の上側に固定される蓋部414とから構成されている。蓋部414は、その中心に前記保持穴413より小さい径の挿通穴415が貫通しており、前記検査ロッド42を保持穴413内に内包した後、筒部412にねじ止め固定される。
【0012】
前記検査ロッド42は、上下方向に延びる棒状部材であり、前記ハウジング41の保持穴413に収容される鍔部421と、前記挿通穴415を通過して上方に延びる軸部422を有している。この検査ロッド42の鍔部421は、前記保持穴413より小さく、かつ挿通穴415より大きい径に構成されており、この鍔部421の上下には、検査ロッド42を水平方向に摺動自在に保持する一対の前記摺動部424が装着されている。一方、前記軸部422は、前記蓋部414の挿通穴415より十分小さい径で形成されている。このため、検査ロッド42は、鍔部421の外径と保持穴413の穴径との寸法差分、水平方向に移動可能となる。なお、鍔部421と保持穴413との寸法差は、前記加工穴51の形成位置に対する許容誤差寸法に基づいて設定されており、当該許容誤差寸法と同寸に設定されている。また、軸部422の上端には、略円錐形状の検査部423が装着されている。この検査部423は、その最大径部が加工穴51の穴径とほぼ同径に設定されており、検査ロッド42は、ワーク50が前記支持ロッド31に当接した際、検査部423の最大径部が前記加工穴51を通過して、その上側開口端より上方に位置するようにその長さ寸法が設定されている。さらに、軸部422の途中には円筒形状の封止部材43が設けられている。この封止部材43は、その外径が挿通穴415の穴径より大きく構成されており、前記蓋部414材の上面に沿って摺動可能な高さに配置されている。これにより、粉塵等が保持穴413内へ侵入することを防止する。
【0013】
前記摺動部424は、前記検査ロッド42に挿通される略円環形状の保持板425を有している。この保持板425は、その外径が前記鍔部421の外径と同径に設定されており、図4に示すように周方向等間隔に収容穴が貫通形成されている。この収容穴は、その直径が当該保持板425の厚さ寸法より大きくなるように構成されてり、この収容穴の内部には、保持板425の厚さ寸法より大きく、なおかつ収容穴の直径より若干小さい直径を有する鋼球426が収容されている。この鋼球426により、検査ロッド42の鍔部421と、ハウジング41の台座411または蓋部414との接触面積が小さくなるため、これらの間に生じる摩擦抵抗が小さくなる。これら構造により、検査ロッド42が前記ハウジング41に対して水平方向に摺動可能となる。なお、前記鍔部421は、上側に配される鋼球426が蓋部414下面に接触するようにその軸方向寸法が設定されており、検査ロッド42は、鍔部421が鋼球426を介して前記台座411および蓋部414に挟まれていることにより、傾斜が防止される。
【0014】
また、検査ユニット40は、前記検査ロッド42が加工穴51に挿入されたか否かを判定する判定手段の一例として、光学センサ44を備えている。この光学センサ44は、対向配置されている一方の投光部から他方の受光部に向けて光を投光するものであり、前記フレーム11の前記ワーク50が支持ロッド31に支持された際、その上面より若干上側となる高さに設置されている。前記制御部は、この光学センサ44の光がワーク50に遮られているか否かにより、ワーク50が支持ロッド31との当接位置に達したか否かを判定している。これにより、ワーク50に形成された加工穴51は、前記検査部423が通過可能な適正な位置、穴径で形成されているか否かが判定される。なお、制御部は、この光学センサ44からの信号に基づき、前記往復駆動源や搬送機構等の駆動を制御している。
【0015】
次に上記のように構成された加工穴検査機10の作用を説明する。
外部の搬送機構により、ワーク50が前記基台30の上方に搬送されると、制御部は、前記保持部27を駆動させ、搬送機構からワーク50を受け取り、保持する。保持部27がワーク50を保持すると、前記往復駆動源が駆動して、主動部21および従動部26を基台30に向けて下降させる。これにより、前記主動部21の基準穴23に前記基台30の基準ロッド32が挿入されることにより、主動部21が基台30に対して適正な位置へ整合される。その後、主動部21と、これに連動する従動部26およびワーク50とがさらに下降することで、図2の二点鎖線に示すようにワーク50が前記光学センサ44の光を遮断するため、光学センサ44から制御部に投光部と受光部との間にワーク50が存在する旨の信号(以下、存在信号という)が出力される。
【0016】
上述の様に光学センサ44から存在信号が出力された後、往復駆動源の駆動を受け、ワーク50がさらに下降すると、前記検査ロッド42が当該ワーク50の加工穴51に挿入される。この時、検査ロッド42が水平方向に移動可能に構成されているため、加工穴51が多少基準位置からずれていても、検査ロッド42は、加工穴51に合わせて水平移動してその内部に進入する。この時、検査部423が錐体状に構成されており、その斜面が加工穴51の縁に接触して水平方向に摺動するため、上端が平面のものと比して円滑に加工穴51に進入可能となる。この状態のワーク50がさらに下降することにより、検査部423が加工穴51内を進み上側開口部から突出する。その後、往復駆動源は、図2に示すようにワーク50の下面に支持ロッド31が当接する最下降位置まで主動部21を下降させ、主動部21が最下降位置まで到達すると、制御部に、その旨の信号(以下、到達信号という)を出力する。また、光学センサ44が前述のように設置されており、ワーク50の下面が支持ロッド31に当接する直前、ワーク50が前記光学センサ44の間から脱するため、光学センサ44から制御部にその投光部と受光部との間にワーク50が存在しない旨の信号(以下、不在信号という)が出力される。制御部は、往復駆動源からの到達信号を受信した時に光学センサ44からの不在信号を受信していれば、ワーク50を良品と判定する。この判定後、制御部は、往復駆動源を駆動させて主動部21を当初の高さまで上昇させた後に、再度搬送機構を駆動させてワーク50を保持部27から受け取らせるとともに当該ワーク50を良品排出部(図示せず)まで搬送させる。
【0017】
一方、加工穴51の内、何れか一つでも許容誤差の範囲以上にずれている場合や、加工穴51の穴径が規定の穴径より小さい場合、前記検査部423は、当該加工穴51内に進入できないため、前記ワーク50の下面に当接して、これを支持する。この時、前記クッションばね25にワーク50が検査部423に当接することで生じる衝撃が吸収されるため、検査ロッド42およびワーク50が破損すること等が防止される。また、前記従動部26と主動部21がガイド軸24によって上下方向相対移動可能に連結されているため、検査ロッド42に支持されるワーク50と、これを保持する保持部27および従動部26等とが停止しても主動部21のみ前記往復駆動源の駆動を受けて、下降することができる。この時、クッションばね25により、従動部26やワーク50が上側に付勢されているおり、ワーク50と当接した検査ロッド42にワーク50や従動部26等の全荷重が負荷されることが防止され、検査ロッド42が屈曲することが防止される。このようにワーク50および従動部26に対し、相対的に下降する主動部21が前記最下降位置に到達すると、往復駆動源は、制御部に到達信号を出力する。この時、前記光学センサ44の間に検出ロッドに支持されたワーク50が存在しているため、光学センサ44は存在信号を出力している。制御部は、往復駆動源からの到達信号を受信した時に光学センサ44からの存在信号を受信していれば、ワーク50を不良品と判定する。この判定後、制御部は、往復駆動源を駆動させて主動部21を当初の高さまで上昇させた後に、再度搬送機構を駆動させてワーク50を保持部27から受け取らせるとともに当該ワーク50を不良品排出部(図示せず)まで搬送させる。
【0018】
本加工穴検査機10は、摺動部424により、検査ロッド42が水平方向に許容誤差範囲分移動可能に構成されているため、検査部423が加工穴51とほぼ同径に構成されていても加工穴51の位置ずれに対応して移動可能となる。これにより、加工穴51の位置および深さとその穴径と同時に検査することが可能となり、検査機の構成を比較的簡易することが可能となる。また、その移動量が上述のように加工穴51の形成位置に対する許容誤差寸法と同寸に設定されているため、別途その移動量を測定する手段を設ける必要がなく安価に製造可能となる。さらに、前記摺動部424が鋼球426と、この鋼球426を保持する保持板425とから構成されていることにより、安価に製造することが可能である。
【0019】
なお、本発明に係る加工穴検査機10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、加工穴検査機10は、往復駆動源の駆動を受けたワーク50が検査部423に向かって移動する構成であったが、これに限定されず、検査部423がワーク50に向かって移動する構成であっても良い。また、前記判定手段は、前記検査ロッド42が加工穴51に挿入されたか否かを判定可能であれば、光学センサ52に限定されず、所定の位置に達したワーク50または基台30に接触する接触式センサや、昇降駆動源が停止した位置を検出する位置検出手段等であっても何ら問題ない。
【0020】
また、前記鋼球426と鍔部421との間および鋼球426と台座411あるいは蓋部414との間には、鋼材等からなるワッシャが配置されていてもよい。これにより、鋼球426と接触する検査ロッド42やハウジング41に過度な力がかからないため、これらの破損を防止する可能となる。さらに、長期間の使用により、ワッシャや鋼球426が変形しても、これらのみを交換すればよいため、検査ロッド42やハウジング41を交換するのに比べて維持費を安価にできる。さらに、前記検査ロッド42は、前記鍔部421と、軸部422と、検査部423がそれぞれ着脱自在に構成されていてもよい。これにより、検査する加工穴51の形成位置に対する許容誤差寸法、加工穴51の深さおよび穴径等に適するよう組み合わせ可能となるとともに、加工穴51と接触し、比較的摩耗しやすい検査部423のみを交換すること等が可能になる。結果、維持費等が安価となるという利点もある。もちろん、基準穴23は、主動部21に限定されることなく、従動部26やワーク50等に形成されていても何ら問題無い。
【符号の説明】
【0021】
10 … 加工穴検査機
20 … 昇降ユニット
27 … 保持部
30 … 基台
40 … 検査ユニット
41 … ハウジング
42 … 検査ロッド
421 … 鍔部
422 … 軸部
423 … 検査部
424 … 摺動部
425 … 保持板
426 … 鋼球
44 … 判定手段
50 … ワーク
51 … 加工穴
図1
図2
図3
図4