IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デュプロ精工株式会社の特許一覧

特開2022-161631液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法
<>
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図1
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図2
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図3
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図4
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図5
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図6
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図7
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図8
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図9
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図10
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図11
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図12
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図13
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図14
  • 特開-液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161631
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20221014BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20221014BHJP
   F04B 13/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
F04B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066579
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】宮本 力
(72)【発明者】
【氏名】大橋 政信
【テーマコード(参考)】
3H075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3H075AA08
3H075BB03
3H075CC24
3H075CC25
3H075DA04
3H075DA20
3H075DB03
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA35
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA01
4F042CA07
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB11
4F042CB19
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】エア抜き動作によって排出される液体の量を抑制する。
【解決手段】液体Lを貯留するタンク3とノズル4との間で液体Lを移送するポンプ5と、ポンプにおけるポンプ室53の容積を変化させるポンプ作動部21,31と、タンクとポンプとをつなぐ第1管路7と、ポンプとノズルとをつなぐ第2管路8と、第2管路に残留する残留流体を液体およびエアAに分離する分離室53,73と、ポンプ作動部を制御する制御部10とを備え、制御部は、残留流体を分離室に戻す戻し動作を行い、戻し動作のあとに、分離室で分離されたエアをノズルから吐出させる第1吐出動作を行うように、ポンプ作動部を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するタンクとノズルとの間で前記液体を移送するポンプと、
前記ポンプにおけるポンプ室の容積を変化させるポンプ作動部と、
前記タンクと前記ポンプとをつなぐ第1管路と、
前記ポンプと前記ノズルとをつなぐ第2管路と、
前記第2管路に残留する残留流体を前記液体およびエアに分離する分離室と、
前記ポンプ作動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記残留流体を前記分離室に戻す戻し動作を行い、前記戻し動作のあとに、前記分離室で分離された前記エアを前記ノズルから吐出させる第1吐出動作を行うように、前記ポンプ作動部を制御することを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1管路に対する開閉を行う第1開閉部、および、前記第2管路に対する開閉を行う第2開閉部を作動させる開閉作動部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1開閉部の閉状態および前記第2開閉部の開状態で前記ポンプ室の前記容積を大きくすることによって前記残留流体を前記分離室に戻す戻し動作を行い、前記戻し動作のあとに、前記第2開閉部の閉状態および前記第2開閉部の開状態で前記ポンプ室の前記容積を小さくすることによって前記分離室で分離された前記エアを前記ノズルから吐出させる第1吐出動作を行うように、前記ポンプ作動部および前記開閉作動部を制御することを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記ポンプが、プランジャポンプであることを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記プランジャポンプが、第1プランジャおよび第2プランジャを有し、
前記第1プランジャの外径が、前記第2プランジャの外径よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ポンプ作動部が、前記第1プランジャおよび前記第2プランジャのそれぞれを独立して作動させる第1機構および第2機構を有し、
前記制御部は、前記戻し動作および前記第1吐出動作において、前記第1プランジャおよび前記第2プランジャが同じ方向に動くように、前記第1機構および前記第2機構を作動させることを特徴とする、請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記ポンプ作動部が、前記第1プランジャおよび前記第2プランジャのそれぞれを独立して作動させる第1機構および第2機構を有し、
前記制御部は、前記第1吐出動作の後に、前記液体を前記ノズルから吐出させる第2吐出動作を行い、該第2吐出動作では、前記第1プランジャおよび前記第2プランジャが反対方向に動くように、前記第1機構および前記第2機構を作動させることを特徴とする、請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記プランジャポンプが、
第1プランジャおよび第2プランジャを有し、
前記第1プランジャの外径が、前記第2プランジャの外径よりも大きく、
前記第2プランジャが、段付きプランジャであることを特徴とする、請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記ポンプ作動部が、前記第1プランジャおよび前記第2プランジャのそれぞれを独立して作動させる第1機構および第2機構を有し、
前記制御部は、前記戻し動作および前記第1吐出動作において、前記第1プランジャが動くように、前記第1機構を作動させることを特徴とする、請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記ポンプ作動部が、前記第1プランジャおよび前記第2プランジャのそれぞれを独立して作動させる第1機構および第2機構を有し、
前記制御部は、前記第1吐出動作の後に、前記液体を前記ノズルから吐出させる第2吐出動作を行い、該第2吐出動作において、前記ポンプ室の前記容積を小さくなるように、前記第1開閉部の閉状態および前記第2開閉部の開状態で前記第2プランジャが動くように、前記第2機構を作動させることを特徴とする、請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記分離室の内部空間が、前記残留流体を貯留し、前記内部空間の最上部に形成される上出口と、上出口につながる天井部とを有し、
前記天井部の内面形状が、前記上出口に向けて斜め上方に傾いていることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記分離室が、前記ポンプの前記ポンプ室であることを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記分離室が、前記第2管路の途中に設けられる分離容器のチャンバであることを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
液体を貯留するタンクとノズルとの間で前記液体を移送するポンプと、
前記タンクと前記ポンプとをつなぐ第1管路と、
前記ポンプと前記ノズルとをつなぐ第2管路と、
前記第2管路に残留する残留流体を前記液体およびエアに分離する分離室とを備える液体吐出装置におけるエア排出方法であって、
前記残留流体を前記分離室に戻す戻し動作を行い、前記戻し動作のあとに、前記分離室によって分離された前記エアを前記ノズルから吐出させる第1吐出動作を行うことにより、前記残留流体に含まれる前記エアを排出することを特徴とする、エア排出方法。
【請求項14】
前記ポンプが、プランジャポンプであることを特徴とする、請求項13に記載のエア排出方法。
【請求項15】
前記プランジャポンプが、第1プランジャおよび第2プランジャを有し、
前記第1プランジャが、前記第2プランジャよりも大径であることを特徴とする、請求項14に記載のエア排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、始動時において、吐出逆止弁とノズルとの間に残留する残留流体に含まれるエアを排出するエア抜き動作を行うことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭52-28801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエア抜き動作において、エア抜き孔よりも上流側に残留するエアは、エア抜き孔から排出されるが、エア抜き孔とノズルとの間の下流管路に残留するエアは、ノズルから排出される。エア抜き孔とノズルとの間の下流管路にエアおよび液体が残留する場合、エア抜き動作によって、エアとともに液体も排出される。したがって、従来のエア抜き動作では、エア抜き動作によって同時に排出される液体の量が多くなる。
【0005】
この発明の解決すべき技術的課題は、エア抜き動作によって排出される液体の量を抑制する液体吐出装置および該液体吐出装置におけるエア排出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下の液体吐出装置が提供される。
【0007】
この発明に係る液体吐出装置は、
液体を貯留するタンクとノズルとの間で前記液体を移送するポンプと、
前記ポンプにおけるポンプ室の容積を変化させるポンプ作動部と、
前記タンクと前記ポンプとをつなぐ第1管路と、
前記ポンプと前記ノズルとをつなぐ第2管路と、
前記第2管路に残留する残留流体を前記液体およびエアに分離する分離室と、
前記ポンプ作動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記残留流体を前記分離室に戻す戻し動作を行い、前記戻し動作のあとに、前記分離室で分離された前記エアを前記ノズルから吐出させる第1吐出動作を行うように、前記ポンプ作動部を制御することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、戻し動作によって分離室で残留流体が比重差で上層のエアと下層の液体とに分離され、第1吐出動作によってエアがノズルから先に吐出されるので、エア抜き動作によって排出される液体の量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の第1実施形態に係る液体吐出装置の全体構成を模式的に示す正面図である。
図2図1に示した液体吐出装置の側面図である。
図3図1に示した液体吐出装置の機能ブロック図である。
図4図1に示した液体吐出装置での状態Aを示す要部拡大図である。
図5図1に示した液体吐出装置での状態Bを示す要部拡大図である。
図6図1に示した液体吐出装置での状態Cを示す要部拡大図である。
図7図1に示した液体吐出装置での状態Dを示す要部拡大図である。
図8図1に示した液体吐出装置での状態Eを示す要部拡大図である。
図9図1に示した液体吐出装置での状態aを示す要部拡大図である。
図10図1に示した液体吐出装置での状態bを示す要部拡大図である。
図11図1に示した液体吐出装置での状態cを示す要部拡大図である。
図12】液体吐出装置におけるエア抜き動作に係るフローチャートである。
図13】液体吐出装置における第2吐出動作に係るフローチャートである。
図14】第2実施形態に係る液体吐出装置を説明する図である。
図15】第3実施形態に係る液体吐出装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、液体Lを所定の微量で吐出するための液体吐出装置1を説明する。なお、この発明において、流体は液体LまたはエアAのいずれかを意味し、残留流体は液体LおよびエアAを含む混在物を意味する。
【0011】
(液体吐出装置の全体構成)
図1図2および図4を参照しながら、液体吐出装置1の全体構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る液体吐出装置1の全体構成を模式的に示す正面図である。図2は、図1に示した液体吐出装置1の側面図である。図4は、図1に示した液体吐出装置1での状態Aを示す要部拡大図である。図1および図2に示すように、液体吐出装置1は、タンク3と、ノズル4と、ポンプ5と、第1管路7と、第2管路8と、第1モータ14と、第2モータ15と、弁モータ16と、第1機構21と、第2機構31と、弁機構41とを備える。
【0012】
第1モータ14と第2モータ15と第1機構21と第2機構31とは、ポンプ作動部を構成する。ポンプ作動部は、ポンプ5におけるポンプ室53の容積を変化させ、ポンプ室の容積を大きくしたり小さくしたりできる。第1機構21は、第1モータ14によって作動する。第2機構31は、第2モータ15によって作動する。したがって、ポンプ作動部において、第1機構21および第2機構31は、別個に独立して作動する。弁モータ16および弁機構41は、開閉作動部を構成する。開閉作動部において、弁機構41は、弁モータ16によって作動する。
【0013】
ポンプ5は、液体Lを貯留するタンク3とノズル4との間で液体を移送する。第1管路7は、タンク3とポンプ5とをつなぎ、例えば柔軟性を有するチューブからなる。第1管路7の先端がタンク3の底部に設けられる出口に接続され、第1管路7の基端がポンプ5の下部に設けられる吸入口59(図4などに図示)に接続される。第2管路8は、ポンプ5の上部とノズル4とをつなぎ、例えば柔軟性を有するチューブからなる。第2管路8の先端がノズルに接続され、第2管路8の基端がポンプ5の上部に設けられる吐出口58(図4などに図示)に接続される。
【0014】
第1モータ14と第1機構21との間には、無端のベルト67が架け渡されて、第1モータ14の回転駆動力が第1機構21に伝達される。第1機構21は、第1ネジ軸22と、第1ナット23とを有する。第1ネジ軸22は、上下方向に延在して、支持部30によって回転可能に支持される。第1ネジ軸22の雄ネジ部は、第1ナット23の雌ネジ部に螺合する。第1ナット23および第1プランジャ24は、例えば、ロールピンによって一体的に結合される。第1プランジャ24には、第1遮光板25が、例えば、ネジによって固定される。第1モータ14の回転駆動力が第1ネジ軸22に伝達されると、第1ナット23を介して、第1プランジャ24が上下方向に直進運動する。
【0015】
第2モータ15と第2機構31との間には、無端のベルト67が架け渡されて、第2モータ15の回転駆動力が第2機構31に伝達される。第2機構31は、第2ネジ軸32と、第2ナット33とを有する。第2ネジ軸32は、上下方向に延在して、支持部30によって回転可能に支持される。第2ネジ軸32の雄ネジ部は、第2ナット33の雌ネジ部に螺合する。第2ナット33および第2プランジャ34は、例えば、ロールピンによって一体的に結合される。第2プランジャ34には、第2遮光板35が、例えば、ネジによって固定される。第2モータ15の回転駆動力が第2ネジ軸32に伝達されると、第2ナット33を介して、第2プランジャ34が上下方向に直進運動する。
【0016】
弁モータ16と弁機構41との間には、無端のベルト67が架け渡されて、弁モータ16の回転駆動力が弁機構41に伝達される。図2および図4に示すように、弁機構41は、弁棒42と、第3遮光板46と、2つのスプリング47,47と、ブラケット60と、クランク63と、ベアリング64と、回転軸65とを有する。弁棒42は、上下方向に延在して、上下方向に移動可能にブラケット60に装着される。回転軸65には、第3遮光板46およびクランク63が取り付けられる。
【0017】
第3遮光板46およびクランク63は、回転軸65の回転軸心D1を中心に回転する。クランク63は、回転軸心D1に対して偏心した位置において、偏心軸心D2を有する偏心軸を有する。クランク63が回転軸心D1を中心に回転すると、クランク63の偏心軸は、回転軸心D1に対する偏心軸心D2の偏心距離を半径とする円軌道を描く。クランク63の偏心軸はベアリング64の内輪に取り付けられる。ベアリング64の外輪は、ブラケット60の収容部に収容される。ベアリング64は、回転軸心D1を中心にして偏心回転する。回転軸65が回転すると、ベアリング64が回転軸心D1を中心にして偏心回転することによって、ベアリング64の上下方向の位置が変化し、ブラケット60が上下方向に移動する。したがって、弁モータ16の回転駆動力がクランク63に伝達されると、ベアリング64を収容するブラケット60が上下方向に移動することによって、弁棒42が上下方向に直進運動する。
【0018】
第3遮光板46は、半円弧状の切り欠きを周縁に有する円板である。弁センサ13は、第3遮光板46における切り欠きの有無で、回転軸65の回転位置を検出する。2つのスプリング47,47は圧縮バネである。弁棒42が上下方向に直進運動するとき、すなわち、ベアリング64が偏心回転して、ブラケット60が上方向に移動するとき、上のスプリング47は、弁棒42を上方向に移動させて吐出弁部44を上のOリング45に向けて付勢し、ブラケット60が下方向に移動するとき、下のスプリング47は、弁棒42を下方向に移動させて吸入弁部43を下のOリング45に向けて付勢する。
【0019】
弁棒42は、下方の吸入弁部43および上方の吐出弁部44を有する。吸入弁部43および吐出弁部44は、先細のテーパー形状を有する。吸入弁部43と下のOリング45とによって吸入弁(第1開閉部)61が構成される。弁棒42が下方に移動して吸入弁部43が下のOリング45に押し当てられることによって、吸入弁(第1開閉部)61が閉じる。弁棒42が上方に移動して吸入弁部43が下のOリング45から離れることによって、吸入弁(第1開閉部)61が開く。吐出弁部44と上のOリング45とによって吐出弁(第2開閉部)62が構成される。弁棒42が上方に移動して吐出弁部44が上のOリング45に押し当てられることによって、吐出弁(第2開閉部)62が閉じる。弁棒42が下方に移動して吐出弁部44が上のOリング45から離れることによって、吐出弁(第2開閉部)62が開く。
【0020】
(ポンプの構成)
ポンプ5は、タンク3に貯留される液体Lをノズル4に向けて移送する。例えば、図1および図4に示すように、ポンプ5は、ボディ51と、ポンプ室53と、蓋56と、第1プランジャ24と、第2プランジャ34とを有する。ポンプ5は、プランジャポンプである。これにより、ポンプ5が容積式ポンプであるので、高い精度で吐出量を制御できる。
【0021】
ボディ51を蓋56で封止することによって、ボディ51の内部には、ポンプ室53が形成される。蓋56は、透光性を有する窓57を有する。窓57を通じて、ポンプ室53の内部が視認可能になっている。ポンプ室53の内部空間は、所定の容積を有し、残留流体や液体LやエアAを一時的に貯留する貯留部として働く。ポンプ室53の内部空間は、第2管路8に残留する残留流体を液体LおよびエアAに分離する分離室として働く。これにより、ポンプ5のポンプ室53が分離室53を兼ねるので、省スペース化を図ることができる。
【0022】
ポンプ室53の内部空間は、その最上部において上出口72を有する。ポンプ室53の内部空間は、その上部において、天井部55を有する。天井部55の内面形状は、上出口72に向けて斜め上方に傾いている。これにより、ポンプ室53の内部空間に存在するエアAが上出口72に集まりやすくなっているので、エア抜き動作において、エアAをポンプ室53の内部空間から容易に排出できる。天井部55は上出口72につながっているとともに、上出口72は吐出口58に連通しているので、残留流体や液体LやエアAをポンプ室53と第2管路8との間で移送できる。
【0023】
上出口72には、吐出弁(第2開閉部)62が配設される。吐出弁(第2開閉部)62は、第2管路8に対する開閉を行う。ポンプ室53の内部空間は、その下部において下入口71を有する。下入口71は、吸入口59に連通しているので、液体Lをポンプ室53と第1管路7との間で移送できる。下入口71には、吸入弁(第1開閉部)61が配設される。吸入弁(第1開閉部)61は、第1管路7に対する開閉を行う。
【0024】
液体LおよびエアAを含む残留流体がポンプ室53に一時的に貯留される場合、ポンプ室53においては、液体LおよびエアAの比重差によって、残留流体が上層のエアAと下層の液体Lとに分離される。
【0025】
第1プランジャ24は、円柱形状を有する。第1プランジャ24は、ボディ51に形成される第1シリンダ26に収容されて、直進往復運動可能に構成される。第1プランジャ24は、例えば、第1シリンダ26に設けられるOリング52によってシールされる。第1プランジャ24は、第1シリンダ26に格納されるかまたはポンプ室53に突出するように構成される。
【0026】
第2プランジャ34は、円柱形状を有する。第2プランジャ34は、ボディ51に形成される第2シリンダ36に収容されて、直進往復運動可能に構成される。第2プランジャ34は、例えば、第2シリンダ36に設けられるOリング52によってシールされる。第2プランジャ34は、第2シリンダ36に格納されるかまたはポンプ室53に突出するように構成される。
【0027】
格納状態にある第1プランジャ24および第2プランジャ34の各先端部は、天井部55の内面形状に沿うように構成されている。言い換えると、第1プランジャ24および第2プランジャ34の各先端部は、水平方向に延在する形状、または、上出口72に向けて斜め上方に延在するテーパー形状を有する。したがって、格納状態にある第1プランジャ24および第2プランジャ34は、残留流体に含まれるエアAが上出口72に向けて移送されるように構成されている。これにより、ポンプ室53の内部空間に存在するエアAは、上出口72に集まりやすくなっているので、エア抜き動作において、ポンプ室53に滞留することなく、上出口72を通じて、ノズル4の側にスムーズに移送されてノズル4から排出される。
【0028】
第1プランジャ24は、第2プランジャ34よりも大径であり、好ましくは第2プランジャ34よりも少しだけ大径である。例えば、第2プランジャ34の外径を10とすると、第1プランジャ24の外径は12である。言い換えると、第1プランジャ24の外径:第2プランジャ34の外径の比は、6:5である。
【0029】
第1プランジャ24および第2プランジャ34が同じ方向に同じストローク量で移動する場合、第1プランジャ24の移動容積と第2プランジャ34の移動容積とを足し合わせた総移動容積に応じた流体などの吸入または吐出が行われる。上で例示した外径サイズでは、(6の自乗)×π×(ストローク量)+(5の自乗)×π×(ストローク量)=61×π×(ストローク量)の容積変化が得られる。第1プランジャ24および第2プランジャ34の総移動容積が大きくなるとポンプ5の流体移送能力が高くなるので、大量の流体や残留流体を移送するのに好適である。
【0030】
第1プランジャ24および第2プランジャ34が異なる方向に同じストローク量で移動する場合、第1プランジャ24の移動容積と第2プランジャ34の移動容積との間での移動容積差に応じた流体などの吸入または吐出が行われる。上で例示した外径サイズでは、(6の自乗)×π×(ストローク量)-(5の自乗)×π×(ストローク量)=11×π×(ストローク量)の容積変化が得られる。第1プランジャ24と第2プランジャ34との間での移動容積差が小さくなるとポンプ5の流体移送能力が低くなるので、微量の流体(液体L)を移送するのに好適である。
【0031】
図3は、液体吐出装置1の機能ブロック図である。図3に示すように、液体吐出装置1は、液体吐出装置1における各種動作を制御するための制御部10を備える。制御部10は、例えば、CPU(中央演算処理装置)である。制御部10は、ポンプ作動部の第1モータ14および第2モータ15を制御することにより、ポンプ5における各種動作を制御する。制御部10は、開閉作動部の弁モータ16を制御することにより、吸入弁(第1開閉部)61および吐出弁(第2開閉部)62における各種動作を制御する。制御部10は、各種メモリと、各種の入力デバイスや出力デバイスとを通じて、各種の演算処理や動作処理や判断処理の制御を行う。
【0032】
制御部10には、各種プログラムが格納されているROM(リード・オンリー・メモリ)17、各種情報が格納されているRAM(ランダム・アクセス・メモリ)18、およびEEPROM(電気的に消去・書き込みが可能なメモリ)19などの各種メモリが接続される。制御部10には、ボタンやスイッチなどによって情報の入力操作を行ったり、情報の表示動作を行ったりするための操作部20が接続される。操作部20は、戻し動作や第1吐出動作や第2吐出動作を行うために必要な情報を入力するための入力部として働く。作業者は、操作部20を操作して、例えば、第2吐出動作における液体Lの吐出量を入力する。吐出量の入力は、例えば、単位面積または単位時間当たりに吐出される液体Lの重量(数値)の入力や、「少ない・普通・多い」などの液体Lの吐出量のレベルの選択にすることができる。また、入力された吐出量の情報は、EEPROMに書き込まれて記憶される。制御部10は、第2吐出動作を行う際、EEPROMから吐出量の情報を読み出し、読み出した吐出量の情報に基づいて液体Lをノズル4から吐出するように、後述する各モータ(第1モータ14、第2モータ15および弁モータ16)を制御する。
【0033】
制御部10には、第1モータ14、第2モータ15および弁モータ16などの各種モータが接続されている。第1モータ14、第2モータ15および弁モータ16は、例えばステッピングモータである。制御部10には、第1センサ11、第2センサ12および弁センサ13などの各種センサが接続されている。第1センサ11は、例えば、発光部および受光部を有するフォトセンサであり、第1プランジャ24の上死点位置に配設される。第1センサ11は、第1プランジャ24の第1遮光板25と連携して第1プランジャ24の位置を検出する。第2センサ12は、例えば、発光部および受光部を有するフォトセンサであり、第2プランジャ34の上死点位置に配設される。第2センサ12は、第2プランジャ34の第2遮光板35と連携して第2プランジャ34の位置を検出する。弁センサ13は、例えば、発光部および受光部を有するフォトセンサである。弁センサ13は、第3遮光板46と連携して弁棒42の位置を検出する。
【0034】
制御部10は、第1センサ11と協働して、第1機構21によって上下方向に直進運動する第1プランジャ24に取り付けられた第1遮光板25の位置を検出して、第1ネジ軸22を所定の回数回転させることで第1プランジャ24が上下方向に直進運動するように第1モータ14を制御する。制御部10は、第2センサ12と協働して、第2機構31によって上下に直進運動する第2プランジャ34に取り付けられた第2遮光板35の位置を検出して、第2ネジ軸32を所定の回数回転させることで第2プランジャ34が上下方向に直進運動するように第2モータ15を制御する。制御部10は、弁センサ13と協働して、弁機構41によって偏心状態で回転するクランク63に取り付けられた第3遮光板46の位置を検出して、弁棒42が所定のタイミングで上下方向に直進運動するように弁モータ16を制御する。
【0035】
(エア抜き動作)
図4から図8および図12を参照しながら、液体吐出装置1におけるエア抜き動作に係る制御を説明する。図4は、図1に示した液体吐出装置1での状態Aを示す要部拡大図である。図5は、図1に示した液体吐出装置1での状態Bを示す要部拡大図である。図6は、図1に示した液体吐出装置1での状態Cを示す要部拡大図である。図7は、図1に示した液体吐出装置1での状態Dを示す要部拡大図である。図8は、図1に示した液体吐出装置1での状態Eを示す要部拡大図である。図12は、液体吐出装置1におけるエア抜き動作に係るフローチャートである。
【0036】
エア抜き動作は、残留流体をポンプ室(分離室)53に戻す戻し動作と、ポンプ室(分離室)53で分離されたエアAをノズル4から吐出させる第1吐出動作とを有する。戻し動作では、吸入弁(第1開閉部)61の閉状態および吐出弁(第2開閉部)62の開状態でポンプ室(分離室)53の容積を大きくすることによって残留流体をポンプ室(分離室)53に戻す。第1吐出動作では、戻し動作のあとに、吸入弁(第1開閉部)61の閉状態および吐出弁(第2開閉部)62の開状態でポンプ室(分離室)53の容積を小さくすることによってポンプ室(分離室)53で分離されたエアAをノズル4から吐出させる。
【0037】
図4に示す状態Aでは、制御部10は、第1プランジャ24が第1シリンダ26に格納されるとともに第2プランジャ34が第2シリンダ36に格納される両格納状態になるように制御する。状態Aでは、ポンプ室53の有効容積が最大になる。制御部10は、弁棒42が上方に位置するように制御する。これにより、吸入弁(第1開閉部)61が開いた状態になり、吐出弁(第2開閉部)62が閉じた状態になる。
【0038】
図5に示す状態Bでは、制御部10は、吸入弁(第1開閉部)61の開状態と吐出弁(第2開閉部)62の閉状態とを維持するように制御する。制御部10は、第1プランジャ24がポンプ室53に突出するとともに第2プランジャ34がポンプ室に突出する両突出状態になるように制御する。これにより、ポンプ室53の液体Lは、下入口71を通じて、タンク3の側(第1管路7)に移送される。状態Bでは、ポンプ室53の有効容積が状態Aの最大から最小に変化することにより、ポンプ5の流体移送能力が高くなるので、大量の液体Lをポンプ室53の側からタンク3の側(第1管路7)に移送できる。
【0039】
図6に示す状態Cでは、制御部10は、弁棒42が下方に位置するように制御する。これにより、吸入弁(第1開閉部)61が閉じた状態になり、吐出弁(第2開閉部)62が開いた状態になる。そのあと、制御部10は、第1プランジャ24が第1シリンダ26に格納されるとともに第2プランジャ34が第2シリンダ36に格納される両格納状態になるように制御する。これにより、ノズル4の側(第2管路8)の残留流体は、上出口72を通じて、ポンプ室53の側に移送される。状態Cでは、ポンプ室53の有効容積が状態Bの最小から最大に変化することにより、ポンプ5の流体移送能力が高くなるので、大量の残留流体をノズル4の側(第2管路8)からポンプ室53の側に移送できる。
【0040】
図7に示す状態Dでは、制御部10は、吸入弁(第1開閉部)61の閉状態と吐出弁(第2開閉部)62の開状態とを維持するように制御する。そのあと、制御部10は、第1プランジャ24がポンプ室53に突出するとともに第2プランジャ34がポンプ室に突出する両突出状態になるように制御する。これにより、ポンプ室53の流体(エアAまたは液体L)は、上出口72を通じて、ノズル4の側(第2管路8)に移送される。状態Dでは、ポンプ室53の有効容積が状態Cの最大から最小に変化することにより、ポンプ5の流体移送能力が高くなるので、大量の流体(エアAまたは液体L)をポンプ室53の側からノズル4の側(第2管路8)に移送できる。
【0041】
図8に示す状態Eでは、制御部10は、弁棒42が上方に位置するように制御する。これにより、吸入弁(第1開閉部)61が開いた状態になり、吐出弁(第2開閉部)62が閉じた状態になる。そのあと、制御部10は、第1プランジャ24が第1シリンダ26に格納されるとともに第2プランジャ34が第2シリンダ36に格納される両格納状態になるように制御する。これにより、タンク3の側(第1管路7)の液体Lは、下入口71を通じて、ポンプ室53の側に移送される。状態Eでは、ポンプ室53の有効容積が状態Dの最小から最大に変化することにより、ポンプ5の流体移送能力が高くなるので、大量の液体Lをタンク3の側(第1管路7)からポンプ室53の側に移送できる。
【0042】
図12に示すように、ステップS10において、液体吐出装置1におけるエア抜き動作が開始する。ステップS11において、制御部10は、液体吐出装置1が状態Aになるように、第1機構21を作動させる第1モータ14と、第2機構31を作動させる第2モータ15と、弁機構41を作動させる弁モータ16とを制御する。図4に示すように、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が格納される両格納状態になるとともに、吸入弁(第1開閉部)61が開状態になり且つ吐出弁(第2開閉部)62の閉状態になる。これにより、最大容積のポンプ室53が、液体Lで満たされる。
【0043】
ステップS12において、制御部10は、液体吐出装置1が状態Bになるように、ポンプ作動部の第1モータ14および第2モータ15を制御する。図5に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の開状態と吐出弁(第2開閉部)62の閉状態とが維持されるとともに、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が突出する両突出状態になる。これにより、ポンプ室53を満たしていた液体Lは、下入口71を通じて、タンク3の側(第1管路7)に移送される。
【0044】
ステップS13において、制御部10は、液体吐出装置1が状態Cになるように、第1機構21を作動させる第1モータ14と、第2機構31を作動させる第2モータ15と、弁機構41を作動させる弁モータ16とを制御する。図6に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の閉状態と吐出弁(第2開閉部)62の開状態とになるとともに、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が格納される両格納状態になる。これにより、残留流体は、上出口72を通じて、第2管路8からポンプ室53に移送される。液体LおよびエアAを含む残留流体がポンプ室53に移送されることにより、液体LおよびエアAの比重差で、ポンプ室53に貯留される残留流体が、上層のエアAと下層の液体Lとに分離される。
【0045】
ステップS14において、制御部10は、ステップS12およびステップS13の繰り返し回数をカウントすることにより、残留流体の戻し動作が完了したか否かを判断する。制御部10は、所定の回数を繰り返していなければ、所定の繰り返し回数に達するまでステップS12およびステップS13を繰り返す。
【0046】
所定の繰り返し回数に達していなければ(ステップS14でのNO)、ステップS12に戻り、制御部10は、液体吐出装置1が状態Bになるように、ポンプ作動部の第1モータ14および第2モータ15と弁作動部の弁モータ16とを制御する。図5に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の開状態と吐出弁(第2開閉部)62の閉状態とになるとともに、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が突出する両突出状態になる。これにより、ポンプ室53における残留流体のうち下層の液体Lは、下入口71を通じて、第1管路7に移送される。
【0047】
ステップS13において、制御部10は、液体吐出装置1が状態Cになるように、第1機構21を作動させる第1モータ14と、第2機構31を作動させる第2モータ15と、弁機構41を作動させる弁モータ16とを制御する。図6に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の閉状態と吐出弁(第2開閉部)62の開状態とになるとともに、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が格納される両格納状態になる。これにより、残留流体は、上出口72を通じて、第2管路8からポンプ室53の側に移送される。
【0048】
液体LおよびエアAを含む残留流体が第2管路8からポンプ室53に移送されることにより、ポンプ室53における上層のエアAの量が徐々に増加する。言い換えると、ステップS12およびステップS13を繰り返すことにより、第2管路8に残留するエアAが、ポンプ室53に蓄積(集約)される。
【0049】
制御部10は、所定の繰り返し回数に達していれば(ステップS14でのYES)、残留流体の戻し動作が完了したと判断して、ステップS15を実行する。
【0050】
ステップS15において、制御部10は、液体吐出装置1が状態Dになるように、ポンプ作動部の第1モータ14および第2モータ15を制御する。図7に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の閉状態と吐出弁(第2開閉部)62の開状態とが維持されるとともに、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が突出する両突出状態になる。これにより、ポンプ室53に貯留される流体のうち上層のエアAは、上出口72を通じて、第2管路8に移送される。
【0051】
ステップS16において、制御部10は、液体吐出装置1が状態Eになるように、第1機構21を作動させる第1モータ14と、第2機構31を作動させる第2モータ15と、弁機構41を作動させる弁モータ16とを制御する。図8に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の開状態と吐出弁(第2開閉部)62の閉状態とになるとともに、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が格納される両格納状態になる。これにより、液体Lは、下入口71を通じて、第1管路7からポンプ室53に移送され、ポンプ室53に貯留される流体における下層の液体Lの割合が増加する。
【0052】
ステップS17において、制御部10は、ステップS15およびステップS16の繰り返し回数をカウントすることにより、第1吐出動作が完了したか否かを判断する。制御部10は、所定の回数を繰り返していなければ、所定の繰り返し回数に達するまでステップS15およびステップS16を繰り返す。
【0053】
所定の繰り返し回数に達していなければ(ステップS17でのNO)、ステップS15に戻り、制御部10は、液体吐出装置1が状態Dになるように、ポンプ作動部の第1モータ14および第2モータ15と弁作動部の弁モータ16とを制御する。図7に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の閉状態と吐出弁(第2開閉部)62の開状態とになるとともに、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が突出する両突出状態になる。これにより、ポンプ室53に貯留される流体のうち上層のエアAは、上出口72を通じて、第2管路8に移送され、ポンプ室53に貯留される流体における上層のエアAの割合が減少する。
【0054】
ステップS16において、制御部10は、液体吐出装置1が状態Eになるように、第1機構21を作動させる第1モータ14と、第2機構31を作動させる第2モータ15と、弁機構41を作動させる弁モータ16とを制御する。図8に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の開状態と吐出弁(第2開閉部)62の閉状態とになるとともに、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が格納される両格納状態になる。これにより、第1管路7にある液体Lは、下入口71を通じて、ポンプ室53に移送され、ポンプ室53に貯留される流体における下層の液体Lの割合が増加する。
【0055】
ステップS15およびステップS16を繰り返すことにより、ポンプ室53に貯留される流体における上層のエアAの割合が徐々に減少する一方、ポンプ室53に貯留される流体における下層の液体Lの割合が徐々に増加する。ポンプ室53に貯留される流体のうち上層のエアAは、上出口72を通じて、第2管路8に移送され、ノズル4から排出される。全てのエアAの排出が行われたあと、ポンプ室53に貯留される流体のうち下層の液体Lは、上出口72を通じて、第2管路8に移送され、ノズル4から排出される。なお、第2管路8が上方に湾曲した湾曲部を有していても、第2管路8の湾曲部に貯留するエアAは、液体Lによってノズル4の側に押し出される。
【0056】
制御部10は、所定の繰り返し回数に達していれば(ステップS17でのYES)、第1吐出動作が完了したと判断する。ステップS18において、液体吐出装置1は状態Aになる。そして、ステップS19において、液体吐出装置1におけるエア抜き動作が終了する。
【0057】
上述したエア排出方法によれば、戻し動作においてポンプ室53によって残留流体が比重差で上層のエアAと下層の液体Lとに分離され、第1吐出動作によってエアAがノズル4から先に吐出されるので、エア抜き動作によってノズル4から排出される液体Lの量を抑制できる。
【0058】
(第2吐出動作)
図9から図11および図13を参照しながら、液体吐出装置1における第2吐出動作に係る制御を説明する。第2吐出動作は、上述したエア抜き動作の後に行われて、液体Lを所定の微量で吐出する動作である。図9は、図1に示した液体吐出装置1での状態aを示す要部拡大図である。図10は、図1に示した液体吐出装置1での状態bを示す要部拡大図である。図11は、図1に示した液体吐出装置1での状態cを示す要部拡大図である。図13は、液体吐出装置1における第2吐出動作に係るフローチャートである。
【0059】
第2吐出動作では、エア抜き動作における第1吐出動作の後に、液体Lをノズル4から吐出させる。
【0060】
図9に示す状態aでは、制御部10は、第1プランジャ24が第1シリンダ26に格納される格納状態と、第2プランジャ34がポンプ室53に突出する突出状態とになるように制御する。制御部10は、弁棒42が上方に位置するように制御する。これにより、吸入弁(第1開閉部)61が開いた状態になり、吐出弁(第2開閉部)62が閉じた状態になる。
【0061】
図10に示す状態bでは、制御部10は、弁棒42が下方に位置するように制御する。これにより、吸入弁(第1開閉部)61が閉じた状態になり、吐出弁(第2開閉部)62が開いた状態になる。そのあと、制御部10は、第1プランジャ24がポンプ室53に突出する突出状態と、第2プランジャ34が第2シリンダ36に格納される格納状態とになるように制御する。これにより、ポンプ室53内の流体は、上出口72を通じて、ノズル4の側(第2管路8)に移送される。状態bでは、ポンプ室53の有効容積の変化が、第1プランジャ24と第2プランジャ34との間での移動容積差に応じて小さくなるので、ポンプ5の流体移送能力が低くなる。したがって、微量の液体Lをポンプ室53の側からノズル4の側(第2管路8)に移送でき、微量の液体Lをノズル4から吐出できる。
【0062】
図11に示す状態cでは、制御部10は、弁棒42が上方に位置するように制御する。これにより、吸入弁(第1開閉部)61が開いた状態になり、吐出弁(第2開閉部)62が閉じた状態になる。そのあと、制御部10は、第1プランジャ24が第1シリンダ26に格納される格納状態と、第2プランジャ34がポンプ室53に突出する突出状態とになるように制御する。これにより、タンク3の側(第1管路7)の液体Lは、下入口71を通じて、ポンプ室53内に移送される。状態cでは、ポンプ室53の有効容積の変化が、第1プランジャ24と第2プランジャ34との間での移動容積差に応じて小さくなるので、ポンプ5の流体移送能力が低くなる。したがって、微量の液体Lをタンク3の側(第1管路7)からポンプ室53の側に移送でき、微量の液体Lをポンプ室53に供給できる。
【0063】
第2吐出動作は、上述したエア抜き動作の後に行われるので、ポンプ室53を満たしていた流体は、基本的に液体Lだけになる。図13に示すように、ステップS30において、液体吐出装置1における第2吐出動作が開始する。ステップS31において、制御部10は、液体吐出装置1が状態Aになるように、第1機構21を作動させる第1モータ14と、第2機構31を作動させる第2モータ15と、弁機構41を作動させる弁モータ16とを制御する。図4に示すように、第1プランジャ24および第2プランジャ34の両方が格納される両格納状態になるとともに、吸入弁(第1開閉部)61が開状態になり且つ吐出弁(第2開閉部)62の閉状態になる。これにより、最大容積のポンプ室53が、液体Lで満たされる。
【0064】
ステップS32において、制御部10は、液体吐出装置1が状態aになるように、ポンプ作動部の第2モータ15を制御する。図9に示すように、吸入弁(第1開閉部)61の開状態と吐出弁(第2開閉部)62の閉状態とが維持されるとともに、第1プランジャ24の格納状態が維持されて、第2プランジャ34が突出状態になる。これにより、ポンプ室53の液体Lは、下入口71を通じて、タンク3の側(第1管路7)に移送される。
【0065】
ステップS33において、制御部10は、液体吐出装置1が状態bになるように、弁機構41を作動させる弁モータ16を制御する。これにより、吸入弁(第1開閉部)61が閉じた状態になり、吐出弁(第2開閉部)62が開いた状態になる。そのあと、制御部10は、ポンプ作動部の第1モータ14および第2モータ15を制御することによって、第1プランジャ24がポンプ室53に突出する突出状態と、第2プランジャ34が第2シリンダ36に格納される格納状態とになる。これにより、微量の液体Lがポンプ室53の側からノズル4の側(第2管路8)に移送され、微量の液体Lがノズル4から吐出される。
【0066】
ステップS34において、制御部10は、ステップS33の繰り返し回数をカウントすることにより、第2吐出動作が完了したか否かを判断する。制御部10は、所定の回数を繰り返していなければ(ステップS34でのNO)、ステップS35を実行する。
【0067】
ステップS35において、制御部10は、液体吐出装置1が状態cになるように、弁機構41を作動させる弁モータ16を制御する。これにより、吸入弁(第1開閉部)61が開いた状態になり、吐出弁(第2開閉部)62が閉じた状態になる。そのあと、制御部10は、ポンプ作動部の第1モータ14および第2モータ15を制御することによって、第1プランジャ24が第1シリンダ26に格納される格納状態と、第2プランジャ34がポンプ室53に突出する突出状態とになる。これにより、微量の液体Lがタンク3の側(第1管路7)から下入口71を通じてポンプ室53に移送され、微量の液体Lがポンプ室53に供給される。
【0068】
ステップS33に戻り、ステップS33を実行した後、ステップS34において、制御部10は、所定の回数を繰り返していなければ、所定の繰り返し回数に達するまでステップS33およびステップS35を繰り返す。
【0069】
ステップS33およびステップS35を繰り返すことにより、ポンプ室53に貯留されてエアAを含まない液体Lが、上出口72を通じて第2管路8に移送されて、所定の微量でノズル4から吐出される。
【0070】
制御部10は、所定の繰り返し回数に達していれば(ステップS34でのYES)、第2吐出動作が完了したと判断する。そして、ステップS36において、液体吐出装置1における第2吐出動作が終了する。
【0071】
したがって、上述した第2吐出動作によれば、エアAを含まない液体Lが、所定の微量でノズル4から吐出される。
【0072】
(第2実施形態)
図14を参照しながら、第2実施形態に係る液体吐出装置1を説明する。図14は、第2実施形態に係る液体吐出装置1を説明する図である。
【0073】
図14に示すように、第2実施形態では、分離容器70が第2管路8の途中に設けられる。上述した第1実施形態では、ポンプ5のポンプ室53が、残留流体を液体LおよびエアAに分離する分離室として働くが、第2実施形態では、分離容器70のチャンバ73が分離室として働く。
【0074】
分離容器70は、残留流体を液体LおよびエアAに分離する分離室として働くチャンバ73を有する。チャンバ73の内部空間は、残留流体や液体LやエアAを貯留する貯留部として働く。チャンバ73は、その最上部において上出口72を有する。チャンバ73の内部空間は、その上部において、天井部75を有する。天井部75の内面形状は、上出口72に向けて斜め上方に傾いている。天井部75は上出口72につながっている。これにより、チャンバ73の内部空間に存在するエアAは、上出口72に集まりやすくなっているので、エア抜き動作において、チャンバ73に滞留することなく、上出口72を通じて、分離容器70からノズル4の側にスムーズに排出される。第2管路8は、先端管路8aおよび基端管路8bによって構成される。分離容器70の上出口72は先端管路8aの基端部に接続される。先端管路8aの先端部は、ノズル4に接続される。
【0075】
チャンバ73の内部空間は、その下部において下入口71を有する。下入口71は、基端管路8bの先端部に接続される。基端管路8bは、吐出弁(第2開閉部)62を介して、ポンプ5の吐出口58に接続される。吐出弁(第2開閉部)62は、第2管路8に対する開閉を行う。第1管路7は、吸入弁(第1開閉部)61を介して、ポンプ5の吸入口59に接続される。吸入弁(第1開閉部)61は、第1管路7に対する開閉を行う。なお、ポンプの種類によっては(例えばチューブポンプでは)、吸入弁(第1開閉部)61および吐出弁(第2開閉部)62を省略できる。
【0076】
第2実施形態に係る液体吐出装置1のポンプ5では、上述したプランジャポンプに加えて、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプなどの容積式ポンプを用いることができる。チューブポンプは、可撓性を有する樹脂製のチューブと、チューブを変形させる押圧部を有する回転体とを備え、回転体をモータ等の駆動部で回転させて、チューブをその一端側から他端側へ順次押圧することによって、チューブ内の移送対象の液体を移送する。そのため、チューブポンプにおいて吸入弁61および吐出弁62を省略して構成するときは、チューブポンプの押圧部が第1開閉部および第2開閉部として作用することになる。
【0077】
分離容器70がポンプ5とは別体に設けられるので、ポンプ5におけるポンプ室53の構造を簡略化できる。
【0078】
(第3実施形態)
図15を参照しながら、第3実施形態に係る液体吐出装置1を説明する。図15は、第3実施形態に係る液体吐出装置1を説明する図である。
【0079】
図15に示すように、第3実施形態では、ポンプ5は、第1プランジャ24と、第2プランジャ34として働く段付きプランジャ37とを有する。第1プランジャ24の外径は、段付きプランジャ37の外径よりも大きい。段付きプランジャ37は、円柱形状を有する小径部38および大径部39を有する。大径部39は、小径部38よりも大径であり、好ましくは小径部38よりも少しだけ大径である。小径部38の外径を10とすると、大径部39の外径は、例えば、12である。言い換えると、大径部39の外径:小径部38の外径の比は、6:5である。
【0080】
ポンプ室53における第1プランジャ24の突出量が増加する場合、第1プランジャ24の移動容積に応じた流体の吐出が行われる。ポンプ室53における第1プランジャ24の突出量が減少する場合、第1プランジャ24の移動容積に応じた流体の吸入が行われる。第1プランジャ24の外径が段付きプランジャ37の外径よりも大きいので、第1プランジャ24は大きな流体移送能力を有する。したがって、第1プランジャ24によって、大量の残留流体の吸入、大量の液体LやエアAの吐出が可能になり、エア抜き動作が可能になる。
【0081】
ポンプ室53における段付きプランジャ37の大径部39の突出量が増加する場合、段付きプランジャ37の移動容積に応じた液体Lの吐出が行われる。ポンプ室53における段付きプランジャ37の大径部39の突出量が減少する場合、段付きプランジャ37の移動容積に応じた液体Lの吸入が行われる。
【0082】
大径部39の移動容積と小径部38の移動容積との間での差分容積に応じた液体Lの吸入または吐出が行われる。例えば、大径部39の外径が小径部38の外径よりも少しだけ大きいように構成する場合、段付きプランジャ37が移動することによる容積変化が、小さくなる。容積変化が小さい段付きプランジャ37は、小さな流体移送能力を有する。したがって、段付きプランジャ37によって、微量の液体Lの吸入または吐出が可能になり、第2吐出動作が可能になる。なお、大径部39および小径部38を有する段付きプランジャ37は、小径部38だけが軸方向に延在する細長い円柱形状のプランジャと比較して、機械的強度や微量吐出性の面で優れている。
【0083】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態で記載した内容を適宜に組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。また、この明細書に示した具体的な数字は、この発明の理解を容易にするための単なる例示であって、この発明を限定するものではない。
【0084】
タンク3に貯留される液体Lは、低粘度または中粘度を有する。液体Lは、好ましくは、0.5mPa・s~10Pa・sの粘度、より好ましくは、1mPa・s~5Pa・sの粘度を有する。本実施形態における液体Lは、例えば、0.5Pa・s~3Pa・sの粘度を有する有機系の接着剤である。また、液体Lの粘度が上記粘度以下である場合、戻し動作と第1吐出動作との間において、分離室53,73によって残留流体を液体LおよびエアAに分離するための待ち時間を必要とすること無く、戻し動作および第1吐出動作を連続的に行うことが可能である。逆に、液体Lの粘度が高くて、残留流体を液体LおよびエアAに分離することが困難である場合、戻し動作と第1吐出動作との間において、上記待ち時間を所定時間設けるようにしてもよい。この場合の待ち時間は、液体Lの粘度に応じて設定され、液体Lの粘度が大きくなるに従って、待ち時間が長く設定される。
【0085】
また、第1プランジャ24および第2プランジャ34における、各移動方向と各移動速度と各ストローク量との少なくとも1つを制御することにより、単位時間当たりの流体移送能力(流体搬送量)を調整することができる。
【0086】
大径の第1プランジャ24の移動速度を低速にすると流体移送能力が低くなり、第1プランジャ24の移動速度を高速にすると流体移送能力が高くなる。また、第1プランジャ24および第2プランジャ34を同じ方向に移動させる場合、小径の第2プランジャ34の移動速度を低速にすると流体移送能力が低くなり、第2プランジャ34の移動速度を高速にすると流体移送能力が高くなる。また、第1プランジャ24および第2プランジャ34を逆の方向に移動させる場合、小径の第2プランジャ34のストローク量に比して大径の第1プランジャ24のストローク量を小さくすると流体移送能力が低くなり、第1プランジャ24のストローク量を大きくすると流体移送能力が高くなる。
【0087】
第1プランジャ24および第2プランジャ34は、上死点を基準として、第1プランジャ24および第2プランジャ34のそれぞれを移動させる第1モータ14および第2モータ15のカウントパルス数を設定することによって、下死点を検出することができる。すなわち、下死点として設定されるパルス数を変更することにより、第1プランジャ24および第2プランジャ34の各ストローク量を調整できる。また、第1センサ11および第2センサ12を上死点に配設する代わりに下死点に配設することによって、第1プランジャ24および第2プランジャ34の各下死点を第1センサ11および第2センサ12で検出し、上死点をカウントパルス数で検出するように構成してもよい。なお、第1プランジャ24および第2プランジャ34の各ストローク量を調整可能とする必要がなければ、各上死点を検出するセンサおよび各下死点を検出するセンサを配設するように構成してもよい。
【0088】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0089】
この発明の一態様に係る液体吐出装置1は、
液体Lを貯留するタンク3とノズル4との間で前記液体Lを移送するポンプ5と、
前記ポンプ5におけるポンプ室53の容積を変化させるポンプ作動部21,31と、
前記タンク3と前記ポンプ5とをつなぐ第1管路7と、
前記ポンプ5と前記ノズル4とをつなぐ第2管路8と、
前記第2管路8に残留する残留流体を前記液体LおよびエアAに分離する分離室53,73と、
前記ポンプ作動部21,31を制御する制御部10とを備え、
前記制御部10は、前記残留流体を前記分離室53,73に戻す戻し動作を行い、前記戻し動作のあとに、前記分離室53,73で分離された前記エアAを前記ノズル4から吐出させる第1吐出動作を行うように、前記ポンプ作動部21,31を制御することを特徴とする。
【0090】
上記構成によれば、戻し動作によって分離室53,73で残留流体が比重差で上層のエアAと下層の液体Lとに分離され、第1吐出動作によってエアAがノズル4から先に吐出されるので、エア抜き動作によって排出される液体Lの量を抑制できる。
【0091】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記第1管路7に対する開閉を行う第1開閉部61、および、前記第2管路8に対する開閉を行う第2開閉部62を作動させる開閉作動部41をさらに備え、
前記制御部10は、前記第1開閉部61の閉状態および前記第2開閉部62の開状態で前記ポンプ室53の前記容積を大きくすることによって前記残留流体を前記分離室53,73に戻す戻し動作を行い、前記戻し動作のあとに、前記第1開閉部61の閉状態および前記第2開閉部62の開状態で前記ポンプ室53の前記容積を小さくすることによって前記分離室53,73で分離された前記エアAを前記ノズル4から吐出させる第1吐出動作を行うように、前記ポンプ作動部21,31および前記開閉作動部41を制御する。
【0092】
上記構成によれば、戻し動作によって分離室53,73で残留流体が比重差で上層のエアAと下層の液体Lとに分離され、第1吐出動作によってエアAがノズル4から先に吐出されるので、エア抜き動作によって排出される液体Lの量を抑制できる。
【0093】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記ポンプ5が、プランジャポンプである。
【0094】
上記構成によれば、ポンプ5が容積式ポンプであるので、高い精度で吐出量を制御できる。
【0095】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記プランジャポンプが、
第1プランジャ24および第2プランジャ34を有し、
前記第1プランジャ24の外径が、前記第2プランジャ34の外径よりも大きい。
【0096】
上記構成によれば、外径の大きい第1プランジャ24によって大量の残留流体の吸入、大量の液体LやエアAの吐出が可能になり、外径の小さい第2プランジャ34によって微量の液体Lの吸入または吐出が可能になる。
【0097】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記ポンプ作動部21,31が、前記第1プランジャ24および前記第2プランジャ34のそれぞれを独立して作動させる第1機構21および第2機構31を有し、
前記制御部10は、前記戻し動作および前記第1吐出動作において、前記第1プランジャ24および前記第2プランジャ34が同じ方向に動くように、前記第1機構21および前記第2機構31を作動させる。
【0098】
上記構成によれば、第1プランジャ24および前記第2プランジャ34が同じ方向に動くことによって、大量の残留流体の吸入、大量の液体LやエアAの吐出が可能になる。
【0099】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記ポンプ作動部21,31が、前記第1プランジャ24および前記第2プランジャ34のそれぞれを独立して作動させる第1機構21および第2機構31を有し、
前記制御部10は、前記第1吐出動作の後に、前記液体Lを前記ノズル4から吐出させる第2吐出動作を行い、該第2吐出動作では、前記第1プランジャ24および前記第2プランジャ34が反対方向に動くように、前記第1機構21および前記第2機構31を作動させる。
【0100】
上記構成によれば、第1プランジャ24および前記第2プランジャ34が反対方向に動くことによって、微量の流体(液体L)の吸入または吐出が可能になる。
【0101】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記プランジャポンプが、第1プランジャ24および第2プランジャ37を有し、
前記第1プランジャ24の外径が、前記第2プランジャ37の外径よりも大きく、
前記第2プランジャ37が、段付きプランジャである。
【0102】
上記構成によれば、外径の大きい第1プランジャ24によって大量の流体(液体Lおよび/またはエアA)の吸入または吐出が可能になり、段構造を有するとともに外径の小さい第2プランジャ37によって微量の流体(液体L)の吸入または吐出が可能になる。
【0103】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記ポンプ作動部21,31が、前記第1プランジャ24および前記第2プランジャ34のそれぞれを独立して作動させる第1機構21および第2機構31を有し、
前記制御部10は、前記戻し動作および前記第1吐出動作において、前記第1プランジャ24が動くように、前記第1機構21を作動させる。
【0104】
上記構成によれば、外径の大きい第1プランジャ24が動くことによって、大量の残留流体の吸入、大量の液体LやエアAの吐出が可能になる。
【0105】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記ポンプ作動部21,31が、前記第1プランジャ24および前記第2プランジャ37のそれぞれを独立して作動させる第1機構21および第2機構31を有し、
前記制御部10は、前記第1吐出動作の後に、前記液体Lを前記ノズル4から吐出させる第2吐出動作を行い、該第2吐出動作において、前記ポンプ室53の前記容積を小さくなるように、前記第1開閉部61の閉状態および前記第2開閉部62の開状態で前記第2プランジャ37が動くように、前記第2機構31を作動させる。
【0106】
上記構成によれば、段構造を有するとともに外径の小さい第2プランジャ37が動くことによって、微量の流体(液体L)の吸入または吐出が可能になる。
【0107】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記分離室53,73の内部空間が、前記残留流体を貯留し、前記内部空間の最上部に形成される上出口72と、前記上出口72につながる天井部55,75とを有し、
前記天井部55,75の内面形状が、前記上出口72に向けて斜め上方に傾いている。
【0108】
上記構成によれば、分離室53,73の内部空間に存在するエアAは、上出口72に集まりやすくなっているので、エア抜き動作において、分離室53,73に滞留することなく、上出口72を通じて、ノズル4の側にスムーズに移送されてノズル4から排出される。
【0109】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記分離室53が、前記ポンプ5の前記ポンプ室53である。
【0110】
上記構成によれば、ポンプ5のポンプ室53が分離室53を兼ねるので、省スペース化を図ることができる。
【0111】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記分離室73が、前記第2管路8の途中に設けられる分離容器70のチャンバ73である。
【0112】
上記構成によれば、分離容器70がポンプ5とは別体に設けられるので、ポンプ5におけるポンプ室53の構造を簡略化できる。
【0113】
この発明の別の局面に係る、液体吐出装置1におけるエア排出方法は、
液体Lを貯留するタンク3とノズル4との間で前記液体Lを移送するポンプ5と、
前記タンク3と前記ポンプ5とをつなぐ第1管路7と、
前記ポンプ5と前記ノズル4とをつなぐ第2管路8と、
前記第2管路8に残留する残留流体を前記液体LおよびエアAに分離する分離室53,73とを備える液体吐出装置1におけるエア排出方法であって、
前記残留流体を前記分離室53,73に戻す戻し動作を行い、前記戻し動作のあとに、前記分離室53,73によって分離された前記エアAを前記ノズル4から吐出させる第1吐出動作を行うことにより、前記残留流体に含まれる前記エアAを排出することを特徴とする。
【0114】
上記方法によれば、戻し動作によって分離室53,73によって残留流体が比重差で上層のエアAと下層の液体Lとに分離され、第1吐出動作によってエアAがノズル4から先に吐出されるので、エア抜き動作によって排出される液体Lの量を抑制できる。
【0115】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記ポンプ5が、プランジャポンプである。
【0116】
上記方法によれば、ポンプ5が容積式ポンプであるので、高い精度で吐出量を制御できる。
【0117】
また、一実施形態の液体吐出装置1では、
前記プランジャポンプが、第1プランジャ24および第2プランジャ34を有し、
前記第1プランジャ24の外径が、前記第2プランジャ34の外径よりも大きい。
【0118】
上記方法によれば、外径の大きい第1プランジャ24によって大量の残留流体の吸入、大量の液体LやエアAの吐出が可能になり、外径の小さい第2プランジャ34によって微量の液体Lの吸入または吐出が可能になる。
【符号の説明】
【0119】
1…液体吐出装置
3…タンク
4…ノズル
5…ポンプ
7…第1管路
8…第2管路
8a…先端管路
8b…基端管路
10…CPU(制御部)
11…第1センサ
12…第2センサ
13…弁センサ
14…第1モータ(ポンプ作動部)
15…第2モータ(ポンプ作動部)
16…弁モータ(開閉作動部)
17…ROM
18…RAM
19…EERROM
20…操作部
21…第1機構(ポンプ作動部)
22…第1ネジ軸
23…第1ナット
24…第1プランジャ
25…第1遮光板
26…第1シリンダ
30…支持部
31…第2機構(ポンプ作動部)
32…第2ネジ軸
33…第2ナット
34…第2プランジャ
35…第2遮光板
36…第2シリンダ
37…段付きプランジャ(第2プランジャ)
38…小径部
39…大径部
41…弁機構(開閉作動部)
42…弁棒
43…吸入弁部
44…吐出弁部
45…Oリング
46…第3遮光板
47…スプリング
51…ボディ
52…Oリング
53…ポンプ室(分離室)
55…天井部
56…蓋
57…窓
58…吐出口
59…吸入口
60…ブラケット
61…吸入弁(第1開閉部)
62…吐出弁(第2開閉部)
63…クランク
64…ベアリング
67…ベルト
70…分離容器
71…下入口
72…上出口
73…チャンバ(分離室)
75…天井部
A…エア
D1…回転軸心
D2…偏心軸心
L…液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15