(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161640
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】水処理システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20060101AFI20221014BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C02F1/00 A
H05K5/02 T
C02F1/00 L
C02F1/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066594
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】596154376
【氏名又は名称】日本原料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 安弘
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA03
4E360AB02
4E360BA02
4E360BB22
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360GA29
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】水処理装置を含んで構成された水処理システムにおいて、水処理装置用の制御盤が浸水被害を受けることを防止する。
【解決手段】水処理装置と、この水処理装置に関連する電気機器であるコンプレッサ60やコンプレッサ60の駆動を制御する制御盤70を収容する枠体10とからなる水処理システムにおいて、枠体10内に、下端のみが開放された剛性函体からなる制御盤用筐体70aを配設する。そしてこの制御盤用筐体70aの内部において制御盤70を、筐体の下端よりも所定距離以上高い位置に固定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理装置と、
前記水処理装置に関連する電気機器および、前記水処理装置並びに前記電気機器の駆動を制御する制御盤を収容し、所定の面上に設置して使用される枠体と、
を有する水処理システムにおいて、
前記枠体内に、
下端のみが開放された剛性函体からなり、内部に、前記制御盤を前記下端よりも所定距離以上高い位置に固定した制御盤用筐体および/または、
下端のみが開放された袋体からなり、内部に前記電気機器を収めた電気機器用カバーが配されていることを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
前記水処理装置と前記枠体とが、水処理に関連する配管を介して一体化されている請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記水処理装置が前記枠体内に固定されている請求項1に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記制御盤用筐体の下端が略全周に亘って同一の高さ位置にある請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記電気機器用カバーが、可撓性袋体と、この可撓性袋体の中に配されて該可撓性袋体の外形形状を規定するカバー内枠とからなる請求項1から4のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項6】
前記カバー内枠によって外形形状が規定された電気機器用カバーの下端が、略全周に亘って同一の高さ位置にある請求項5に記載の水処理システム。
【請求項7】
前記制御盤用筐体が側面に、前記制御盤を露出させる開位置と、露出させない閉位置との間で揺動可能で、閉位置にあるとき筐体内部を外部に対して水密状態に保つ防水構造を備えた開口扉部を有する請求項1から6のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項8】
前記制御盤用筐体が、
前記剛性函体の内部に固定された制御盤用主操作パネルと、
前記剛性函体の外部に固定されて、前記主操作パネルと同様に作用する副操作パネルと、
を有する請求項1から7のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項9】
前記副操作パネルが防水カバーによって覆われている請求項8に記載の水処理システム。
【請求項10】
前記水処理装置用の薬剤を貯蔵する薬剤タンクが前記枠体内に配され、
前記薬剤タンクの上端近傍部に、下端が開放され上端が閉じられた連通管の上端近傍部が連通されている請求項1から9のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項11】
内部に制御盤を収める制御盤用筐体において、
下端のみが開放された剛性函体からなり、内部に、前記制御盤を前記下端よりも所定距離以上高い位置に固定したことを特徴とする制御盤用筐体。
【請求項12】
内部に電気機器を収める電気機器用カバーにおいて、
下端のみが開放された袋体からなることを特徴とする電気機器用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置やそれに関連する電気機器を含んで構成された水処理システムに関し、特に詳細には、水処理装置用の電気機器や制御盤が浸水被害を受けることを防止できるようにした水処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1や特許文献2に示されているように、濾過槽の内部に濾過材の層を有し、供給された原水を濾過材の層を通過させて濾過すると共に、濾過槽の内部に配されたスクリューを回転させて濾過材を揉み洗い洗浄するようにした濾過装置が知られている。この種の濾過装置は濾過材を良好に洗浄できるので、濾過材の交換は基本的に不要であり、この特性を活かせるように、車両に載せていわゆる辺鄙な場所に運搬し、そこに設置して使用されることも多い。なお、上述のように運搬して使用される濾過装置は、関連する電気機器や、この電気機器並びに濾過装置の駆動を制御する制御盤等と組み合わせたシステムとして使用されるのが一般的である。
【0003】
ここで、濾過装置が上述のように運搬可能とされていると、例えば河川の氾濫が起き易いような場所や、津波に襲われるような場所で使用されることも多くなる。そのような場所で濾過装置が使用されているとき、河川が氾濫したり津波が発生したりすると、上記システムを構成して濾過装置と共に用いられている電気機器や制御盤が浸水して、ショートや故障等の被害を招くことがある。そのような浸水被害から逃れるためには、電気機器や制御盤を、内部と外部とを高度な水密状態に保つ水密ケースの内部に収容しておくことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-198805号公報
【特許文献2】特開2014-144411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、そのような水密ケースは高度の水密状態を確保していることから、構造が複雑で高価であり、また、非常に重くなりがちである。そこで、この水密ケース内に配した電気機器や制御盤と、濾過装置とから構成された水処理システムも、高価で多大な重量を有するものとなってしまう。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、濾過装置等の水処理装置や関連する電気機器を含んで構成される水処理システムにおいて、水処理装置用の電気機器や制御盤が浸水被害を受けることを防止し、そして浸水被害防止のための構成を軽量化し、かつ低コストで形成可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による水処理システムは、
例えば濾過装置等の水処理装置と、
上記水処理装置に関連する電気機器および、上記水処理装置並びに電気機器の駆動を制御する制御盤を収容し、所定の面上に設置して使用される枠体と、
を有する水処理システムにおいて、
上記枠体内に、
下端のみが開放された剛性函体からなり、内部に、上記制御盤を上記下端よりも所定距離以上高い位置に固定した制御盤用筐体および/または、
下端のみが開放された袋体からなり、内部に上記電気機器を収めた電気機器用カバーが配されていることを特徴とするものである。
内部に制御盤を収める制御盤用筐体において、
【0008】
この本発明による水処理システムにおいては、水処理装置と前記枠体とが、水処理に関連する配管を介して一体化されていてもよい。あるいは、水処理装置が上記枠体内に固定されていてもよい。
【0009】
また、制御盤用筐体の下端は略全周に亘って同一の高さ位置にあることが望ましい。他方、電気機器用カバーは、可撓性袋体と、この可撓性袋体の中に配されて該可撓性袋体の外形形状を規定するカバー内枠とから構成されていることが望ましい。そのようにカバー内枠によって外形形状が規定された電気機器用カバーの下端は、略全周に亘って同一の高さ位置にあることが望ましい。
【0010】
また上記制御盤用筐体は側面に、前記制御盤を露出させる開位置と、露出させない閉位置との間で揺動可能で、閉位置にあるとき筐体内部を外部に対して水密状態に保つ防水構造を備えた開口扉部を有していることが望ましい。さらにこの制御盤用筐体は、上記剛性函体の内部に固定された制御盤用主操作パネルと、上記剛性函体の外部に固定されて、主操作パネルと同様に作用する副操作パネルとを有していることが望ましい。そしてこの副操作パネルは防水カバーによって覆われていることが望ましい。
【0011】
また本発明による水処理システムにおいては、
水処理装置用の薬剤を貯蔵する薬剤タンクが上記枠体内に配され、
上記薬剤タンクの上端近傍部に、下端が開放され上端が閉じられた連通管の上端近傍部が連通されていることが望ましい。
【0012】
本発明は、以上説明した通りの水処理システムを構成できる制御盤用筐体および電気機器用カバーを提供するものである。
すなわち本発明による制御盤用筐体は、
内部に制御盤を収める制御盤用筐体において、
下端のみが開放された剛性函体からなり、内部に、前記制御盤を前記下端よりも所定距離以上高い位置に固定したことを特徴とするものである。
また本発明による電気機器用カバーは、
内部に電気機器を収める電気機器用カバーにおいて、
下端のみが開放された袋体からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明による水処理システムにおいて、前記枠体内に、下端のみが開放された剛性函体からなり、内部に制御盤を、上記下端よりも所定距離以上高い位置に固定した制御盤用筐体が配されている場合、枠体内が浸水しても制御盤用筐体の内部では、空気の層が出来ていることから、制御盤用筐体の外より水位が低く抑えられる。そこで、上記の所定距離を適切に設定しておけば、浸水の水位が制御盤まで到達し難くなるので、制御盤が浸水被害を受けることが防止される。
また本発明による水処理システムにおいて、前記枠体内に、下端のみが開放された袋体からなり、内部に電気機器を収めた電気機器用カバーが配されている場合、枠体内が浸水しても、袋体からなる電気機器用カバー内に空気の層が出来ていることにより、このカバー内の水位はカバー外の水位より低く抑えられる。屋外で使用される電気機器においては一般に、電気回路を含むような要部は、地表に近くなる低部ではなく比較的高い部分に配されるので、上述のようにカバー内の水位が低く抑えられれば、カバー内の電気機器の要部がショート等の浸水被害を受け難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態による水処理システムの枠体の内部を示す一部破断平面図
【
図4】上記水処理システムにおける濾過装置を示す平面図
【
図5】上記水処理システムにおける濾過装置を示す側面図
【
図6】上記水処理システムにおけるコンプレッサと、該コンプレッサ用のカバーとを示す平面図(a)、側面図(b)および正面図(c)
【
図7】上記水処理システムに用いられた凝集剤タンクを示す正面図(a)および側面図(b)
【
図8】本発明の第2実施形態による水処理システムの枠体の内部を示す一部破断平面図
【
図10】
図8の枠体の内部を、
図9とは異なる方向から見て示す一部破断側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1~
図5は、本発明の第1実施形態による水処理システムを示すものであり、
図1~
図3はこの水処理システムを構成する枠体内の構成を示し、
図4および
図5はこの水処理システムを構成する水処理装置を示している。本実施形態における水処理装置は、一例として濾過装置1である。以下の説明における「上」、「下」とは、特に注釈しない限り、濾過装置1や上記枠体をそれぞれ
図5、
図2に示すように設置面6の上に設置した状態における上、下を意味する。
【0016】
濾過装置1は、例えば前述した特許文献1に示されている基本構造を有するものであり、
図4、
図5は各々その平面形状、側面形状を示している。濾過装置1は濾過槽2の内部に濾過材層を有し、原水注入管3から供給された原水を上から下に濾過材層を通過させて濾過する。濾過された処理水は、処理水出口管4から濾過槽2の外に流出する。この濾過装置1は、濾過槽2の中心部に正立配置されたスクリュー(図示せず)を駆動装置5により回転させて濾過材を揉み洗い洗浄するスクリュー洗浄機構を備える。
【0017】
このスクリュー洗浄機構による濾過材洗浄工程が完了すると、スクリューの回転が停止される前に、処理水出口管4から洗浄水を逆流させて、すすぎ効果を得る逆流洗浄(逆洗)が行われる。この逆洗は、スクリューの停止後も継続される。処理水出口管4から逆流した逆洗水は、上に濾過材を載置している濾床側から濾過材の層に向けて噴出する。この逆洗により濾過材から剥離した汚濁物質は浮遊して、それを含んだ水と共に原水注入管3から濾過槽2の外に排出される。なお、原水注入管3および処理水出口管4の接続については後に詳述する。
【0018】
濾過装置1は、例えばコンクリートが打設された屋外の平坦な設置面6の上に設置して使用される。この設置に際しては、例えば濾過装置1を恒久的に使用する場合等はアンカーボルト等を使って濾過装置1を(より具体的には濾過槽2の底部を)設置面6の上に強固に固定してもよいし、あるいは設置面6の上に比較的緩く固定してもよい。この濾過装置1は、前述したスクリュー洗浄や逆流洗浄が可能であるため、濾過材の交換は基本的に不要である。そこで濾過装置1は、一般の浄水場等の施設に限らず、例えば工事現場等へ車両により運搬してそこで使用することも可能である。本発明は、このように車両により運搬可能な水処理装置を有する水処理システムに適用されるのが好ましい。つまり、そのように運搬可能な水処理装置は、後述する枠体10と共に運搬されて、河川の近く等、水の氾濫が起き易いような場所で使用されることも多いからである。
【0019】
次に
図1~
図3を参照して、濾過装置1と共に使用される電気機器等について説明する。
図1はこの電気機器や、電気機器等用の制御盤を収容している枠体10の内部を示す平面図であり、
図2はこの枠体10の内部を
図1中のA-A線に沿った部分から上方向に見て示す側面図、
図3はこの枠体10の内部を
図1中のB-B線に沿った部分から右方向に見て示す正面図である。本実施形態における枠体10は一例として、「日」字状や「口」字状等に形成された底枠10aと、この底枠10aの上面に固定された底板10bと、この底板10bの四辺から各々上方に立設、固定された側板10cと、これらの側板10cで囲まれた空間を上方から閉じる天板10dとから構成されたものであり、内部に概略直方体状の機器配置用空間を画成している。
【0020】
上記底枠10aは例えば溝形鋼(チャンネル)を用いて形成され、底板10b、側板10cおよび天板10dは例えば鋼板を用いて形成されている。
図1は天板10dを省いて、
図2は
図1中の下側の側板10cを省いて、
図3は
図1中の左側の側板10cを省いて上記機器配置用空間内を示している。また
図2では、図示されている各要素よりも奥側に存在している要素の多くは図示を省略している。
図3では、図示されている各要素よりも手前側に存在している配管類は大部分図示を省略している。
【0021】
上記底板10bの上には、配管支持示具11等に支持された処理水流出/逆洗水導入管12が配設されている。この処理水流出/逆洗水導入管12の一端は、
図1および
図2中で側板10cより外側(右側)まで延びて、
図4および
図5に示した処理水出口管4に例えばフランジを介して接続されている。この処理水流出/逆洗水導入管12の他端は、
図1および
図2中で側板10cより外側(左側)まで延びて、図示外の処理水槽に接続されている。
【0022】
また、上記底板10bの上には、配管支持示具13等に支持された原水導入/逆洗水流出管14が配設されている。この原水導入/逆洗水流出管14の一端は、
図1および
図2中で側板10cより外側(右側)まで延びて、
図4および
図5に示した原水注入管3に例えばフランジを介して接続されている。この原水導入/逆洗水流出管14の他端は、
図1および
図2中で側板10cより外側(左側)まで延びて、図示外の逆洗排水槽等に接続されている。
【0023】
また、上記底板10bの上には、配管支持示具15等に支持された処理水流出管16が配設されている。この処理水流出管16は前述した処理水槽にフランジを介して接続されたものであり、上記機器配置用空間内で一度立ち上がってから立ち下がり、原水導入/逆洗水流出管14に上から接続している。処理水流出管16の上記立ち下がりの部分には分岐管17が接続され、この分岐管17は水平方向に曲がった後、処理水流出/逆洗水導入管12の上方位置を延びてから立ち下がって該処理水流出/逆洗水導入管12に上から接続している。
【0024】
処理水流出/逆洗水導入管12の上方位置には、原水導入管18が配設されている。この原水導入管18は図示外の原水槽にフランジを介して接続されたものであり、処理水流出/逆洗水導入管12に沿って延びてから水平方向に曲がった後、原水導入/逆洗水流出管14の上方位置を延び、そこから立ち下がって該原水導入/逆洗水流出管14に上から接続している。
【0025】
図1に明示されるように底板10bの上には、凝集剤タンク20、次亜塩素酸タンク30、凝集剤注入ポンプ40、次亜塩素酸注入ポンプ50、コンプレッサ60および制御盤70が配設されている。それらのうち、凝集剤注入ポンプ40、次亜塩素酸注入ポンプ50およびコンプレッサ60は、本発明における電気機器である。
【0026】
凝集剤注入ポンプ40は、凝集剤タンク20に貯留されている凝集剤を、図示外の配管を介して、濾過槽2の内部に濾過材層の上から原水と共に供給する。次亜塩素酸注入ポンプ50は、次亜塩素酸タンク30に貯留されている次亜塩素酸を、図示外の配管を介して、上記凝集剤と同様にして濾過槽2の内部に供給する。このような次亜塩素酸の供給は、前述したように処理水流出/逆洗水導入管12に接続している処理水槽内の処理水(つまり濾過装置1で濾過された水)に対してなされてもよい。コンプレッサ60は、上述の凝集剤供給用配管や次亜塩素酸供給用配管等に介設される供給制御用弁として例えば空気作動型の弁が用いられた場合、その作動用の空気を供給するものである。。
【0027】
上述のように底板10bの上に配設された、つまり枠体10の中に配設された各要素は、枠体10が置かれる場所によっては浸水被害を受ける可能性がある。つまり本実施形態において、底板10bや側板10c等から構成された枠体10は、その内部を外部に対して高度な水密状態に保つ構造とされたものではない。例えば
図2に示されるように側板10cの一部には、電気機器や制御盤70の保守、点検や操作のために、係員が枠体10の中に入るための扉10g等が設けられるが、この扉10gの周縁部と側板10cとの間を高度な水密状態に保つパッキン等の手段は設けられていない。それにより、枠体10の軽量化やコストダウンが達成される。
【0028】
以下、枠体10内に浸水した際に、その中の要素が被害を受けないようにした構成について説明する。まず、制御盤70の浸水被害を防止する構成について説明する。制御盤70は、多くの場合と同様に、概略上端が閉じた四角筒状の制御盤用筐体(以下、単に筐体という)70a内に固定されている。なお、制御盤用筐体70aの全体を制御盤と称し、制御盤70を制御部と称する場合もあるが、その場合と対比するならば、上記の対応関係に基づいて対比すればよい。
【0029】
筐体70aは、一例として鋼鈑等から形成された高剛性の函体であり、下端の基部を底板10bの上に例えばボルト結合する等により、枠体10内に固定されている。
図2に示されるように筐体70aは、一側面の下部に設けた作業用の開口を閉じる開口扉部70cを、また上部に同様の開口扉部70dを有する。開口扉部70c、70dは、ヒンジ保持される等により、中の制御盤70を露出させる開位置と、露出させない閉位置(図示の位置)との間で揺動可能とされている。上側の開口扉部70dは、開位置に設定された際に露出する主操作パネル70bを内側に固定している。主操作パネル70bは、制御盤70の操作を行うためのものである。なお、このような主操作パネル70bを制御盤70側に固定し、開口扉部70dを開位置に設定するとその主操作パネル70bが現れるようにしてもよい。
【0030】
一方、筐体70aの外部、特に本実施形態では枠体10の外部に、上記主操作パネル70bと同様に作用する副操作パネル80が配されている。具体的にこの副操作パネル80は、1つの側板10cの上に固定されている。副操作パネル80は常時は、水平な軸の周りに回動可能とされた防水カバー81によって覆われており(
図2の状態)、この防水カバー81を跳ね上げるように回動させれば副操作パネル80が現れて、操作を行うことができる。このような副操作パネル80が設けられていれば、制御盤70の操作を行いたいとき、係員が前述した扉10gを開けて枠体10の中に入る必要が無く便利である。なお、枠体10が屋外に設置されていても、防水カバー81が有るので、副操作パネル80が雨等に曝されることは無い。
【0031】
筐体70aには、上側の開口扉部70dの周縁部との間を高度な水密状態に保つパッキン等の手段が設けられている。こうして開口扉部70dは、閉状態にあるとき筐体内部を外部に対して水密状態に保つ防水構造を有するものとなっている。同様の防水構造は下側の開口扉部70cに対しても適用されている。なお、万一浸水被害を受けたとしても、少なくとも主操作パネル70bは操作できるように、この主操作パネル70bを覆う防水カバーが設けられてもよい。
【0032】
筐体70aの下端の基部は、全周に亘って略同じ高さに形成されて、前述したように枠体10の底板10bの上に例えばボルト結合されるが、該基部と底板10bとの間にパッキン等の防水構造は設けられていない。したがって、もし枠体10内が浸水した場合は、この筐体基部の周囲部分から筐体70a内に容易に水が浸入し得る。本発明において制御盤用筐体に関して「下端のみが開放された」とは、このように隙間を水が通過し得る状態も含んで「開放」と言うものとする。
【0033】
上記パッキン等の防水構造を設けていない本実施形態の筐体70aは、その軽量化やコストダウンを図る上で有利なものとなる。そして、このように筐体70aの下端が開放されていても、その内部に有る制御盤70に浸水被害が及ぶことは下記の通りにして防止されている。
【0034】
枠体10内への浸水は、多くの場合、底板10b上の水位が時間経過につれて次第に上昇するように進行する。例えば、枠体10の近くの河川が氾濫したことによる浸水がそうである。以下、このような浸水を「通常浸水」と称することとする。
【0035】
本実施形態は基本的には、上述した通常浸水が生じた際に、制御盤70の被害を最大限防止するようにしたものである。そのために本実施形態では、筐体70a内において制御盤70を、筐体70aの下端より所定距離H(
図2参照)以上高い位置に固定している。枠体10内への浸水が有った場合、筐体70aの内部には空気の層が出来ることから、筐体70aの内部の水位は通常、筐体70aの外部の水位より低くなるが、以下では説明を簡単にするために、この水位差を無視して所定距離Hについて検討する。なお、必要に応じて、この水位差も考慮して所定距離Hを設定するようにしてもよい。
【0036】
上記所定距離Hの値は、枠体10の設置環境や設置条件等に応じて適宜定めることができる。例えば、この枠体10を
図3および
図4に示した濾過装置1と共に使用する使用者が、枠体10の設置位置近辺にある河川の氾濫状況およびそれによる通常浸水の状況を過去に遡って調べた結果、設置面6より距離H1高い位置まで浸水する可能性は極めて低いという検討結果が得られた場合は、底枠10aの全高をH0として、所定距離H=H1-H0とすればよい。勿論であるが、この所定距離Hに余裕分の距離を加えた値を、実際に制御盤70を取り付ける際の所定距離としてもよい。
【0037】
また、上述のような河川の氾濫等による通常浸水は、一般に、設置面6より距離H2だけ低い位置から始まることが多い。つまり、通常浸水が始まる地表面の上に盛り土や鉄骨組み等の嵩上げ手段を設け、その嵩上げ手段の上面を設置面6とすることが多いからである。その手段による嵩上げ高さをH2(m)としたとき、例えば地表面から2mまでの高さの浸水から制御盤70を保護したい場合は、所定距離H=2-H2(m)とすればよい。また、通常浸水が始まる地表面よりも高い高台地表を設置面6とする場合は、その地表面と高台地表の高低差をH2(m)として、所定距離H=2-H0-H2(m)とすればよい。
【0038】
以上説明した通り筐体70a内において制御盤70を、筐体70aの下端より所定距離H以上高い位置に固定しておくことにより、通常浸水によって制御盤70に被害が及ぶことを防止できる。ただしこの通常浸水に限らず、前述したように枠体10が津波に襲われたような場合でも、筐体70aが一たん上から水を浴びた後に、時間経過に伴って筐体70aの周りの水位が次第に上昇することがあり、そのような状況においても制御盤70に被害が及ぶことを防止できる。
【0039】
なお本実施形態における枠体10は、底枠10a、底板10b、側板10cおよび天板10dから構成されたものであるが、前述したように側板10cおよび天板10dは設けられなくてもよい。天板10dを省いて側板10cは設ける場合でも、その側板10cは底板10b上の要素、例えば筐体70aより低く形成しても構わない。さらに底板10bは、本実施形態におけるような1枚板とはしないで、底枠10aの上に互いに間隔を置いて差し渡された小幅の板の集合であってもよい。
【0040】
次に、電気機器の一つであるコンプレッサ60の浸水被害を防止する構成について説明する。
図6は、底板10bの上に設置されたコンプレッサ60と、このコンプレッサ60を上方から覆っているカバーとを示すものであり、それらの平面形状、側面形状および正面形状をそれぞれ(a)、(b)および(c)示している。なおこの
図6において、コンプレッサ60は、一部を2点鎖線で外形形状だけを示すようにして、概略的に図示している。
【0041】
コンプレッサ60は、例えば山形鋼(アングル)等を用いて形成された、概略矩形枠状の架台61aの上に取り付けられている。この架台61aには上方に向かって延びる縦部材61bが立設され、この縦部材61bの上端にはカバー受け部材61cが固定されている。カバー受け部材61cは横方向に拡がる枠状部分を有する部材であり、その上に、後述するコンプレッサカバー60Cが取り付けられる。
【0042】
コンプレッサカバー60Cは基本的に、縦方向に延びる部材からなる概略四角枠状のカバー基部62aと、このカバー基部62aの上に形成されたカバー内枠62bと、カバー内枠62bの外側に配された可撓性のカバー生地63とから構成されている。カバー基部62aは、例えば金属板から形成されている。カバー内枠62bは例えば金属製の棒部材を組み合わせて、かご状に形成されたものである。カバー生地63は例えば合成樹脂製シート材や合成樹脂製布材等から形成されたもので、概略長円形の一部が切り取られた形状の左右両端部(
図6の(a)および(b)でも左右両端部となっている)と、これらの左右両端部の周縁部を連結するように延びる中間部とからなる。
【0043】
図6においてカバー生地63は、カバー内枠62b等の表示のために透明なものとして図示しているが、実際そのように形成されてもよいし、あるいは不透明なものに形成されてもよい。このカバー生地63は可撓性のものであるが、後述するようにカバー内枠62bの上に被着された場合は、カバー内枠62bによって外形形状が規定されて、概略かまぼこ形の袋体となる。なお、特にカバー内枠62bを使用しないで、カバー生地63だけで該カバー生地63を上述のような外形形状の袋体としても構わない。
【0044】
カバー生地63はカバー内枠62bおよびカバー基部62aの上に被着され、ついで下端に近い部分が例えば12個の釘鋲63aによって、カバー基部62aに固定される。この状態になったとき、カバー基部62a、カバー内枠62b、およびカバー生地63からなるコンプレッサカバー60Cは、下端つまりカバー基部62aの下端が開放し、それよりも上の部分は上端も含めて全てカバー生地63により閉じられたものとなっている。またカバー生地63の下端に近い部分は、全周に亘って略水密状態を保ってカバー基部62aに固定されている。
【0045】
上記構成のコンプレッサカバー60Cのカバー受け部材61cへの取付けは、下記の通りにしてなされる。カバー基部62aには横方向に延びる部分が形成されており、その部分には、頭部が上に有る向きにして例えば2つの位置決め用キャップボルト62cが保持されている。またカバー基部62aには、アジャストファスナー62dのフック部が取り付けられ、該アジャストファスナー62dのクランプハンドルを含む本体部は、架台61aに立設された縦部材61bに取り付けられている。そこで、まず上記2つの位置決め用キャップボルト62cをカバー受け部材61c側に固設されたナットに合わせて、カバー受け部材61cに対するカバー基部62aの位置決めを行い、次いでアジャストファスナー62dのクランプハンドルを押してクランプ操作する。
【0046】
以上の操作により、カバー基部62aが、つまりはコンプレッサカバー60Cが所定の相対位置を保ってカバー受け部材61cに保持される。なお通常は、その後に位置決め用キャップボルト62cを六角レンチにより回転させて、上記ナットに対して締め付ける。
【0047】
こうしてコンプレッサカバー60Cがカバー受け部材61cに保持されると、下端が開放され上端が閉じた袋体状のコンプレッサカバー60Cが、内部にコンプレッサ60を収めた状態となる。この状態で、コンプレッサカバー60Cの下端、つまり概略四角枠状のカバー基部62aの下端は、全周に亘って同一の高さ位置に有る。
【0048】
上述した通りのコンプレッサカバー60Cが設けられていると、前述した通常浸水が起きた際、コンプレッサカバー60Cの周りの水位がコンプレッサ60よりも高い位置に達した場合でも、内部に空気が残っているコンプレッサカバー60C内の水位は
図6の(b)および(c)にWLで示すような高さ位置に留まる。それにより、コンプレッサ60の電気的構成を含む要部が浸水被害を受けることを防止できる。
【0049】
そしてコンプレッサカバー60Cは、前述した通り下端が開放された簡単な袋体からなるものであるので、コンプレッサ60全体を水密性の高い函体等の中に収容する場合と比べれば、浸水被害防止のための構成をより軽量で、かつ低コストで形成できるという効果が得られる。特に本実施形態では、コンプレッサカバー60Cを上記のような袋体とするために、棒部材を組み合わせてかご状に形成された簡単なカバー内枠62bを用い、このカバー内枠62bによって、シート材や布材等からなるカバー生地63の外形形状を規定するようにしているので、上記の効果が特に顕著なものとなっている。
【0050】
なお本実施形態においては上述した通り、コンプレッサカバー60Cの下端が全周に亘って同一の高さ位置に有る。この状態になっていればそうではない場合と比べると、浸水の水位が次第に上昇する際に、コンプレッサカバー60Cの内部に多量の浸水を流入させることがない。つまりコンプレッサカバー60C内の浸水の水位(これは、コンプレッサカバー60C外の水位(水頭)にもよる)は、コンプレッサカバー60Cの下端より上がり難くなっている。そうであれば、コンプレッサ60の電気的構成を含む要部を、より低い位置から浸水に対して保護可能となる。
【0051】
図1および
図2に示される凝集剤注入ポンプ40および次亜塩素酸注入ポンプ50も、詳しい図示は省略するが、上記コンプレッサカバー60Cと同様の電気機器用カバーによって覆われている。したがってこれらの凝集剤注入ポンプ40および次亜塩素酸注入ポンプ50も、同様に浸水被害を受け難くなっている。このように本発明の水処理システムにおいては、複数の電気機器を共通の1つの電気機器用カバーによって覆うようにしてもよい。
【0052】
以上説明したコンプレッサカバー60Cによって、その内部に配された要素を浸水被害から守る構成は、水処理システム内のその他の要素に適用することも可能である。例えばこの種の水処理システムにおいては、各種配管内の圧力を計測する、電気的接点を有する圧力計が使用されることが多い。そのような圧力計に対しては、その表示部を上記接点と共に上方から覆う例えば桝状の透明な部材を設けるとよい。それにより、浸水した際の水位が、この部材内では下端の開口から大きく上方に上昇しないようにして、上記表示部および接点を浸水から守ることが可能である。
【0053】
次に、薬液タンクに貯留されている薬液が、浸水被害を受けないようにした構成について
図7を参照して説明する。この
図7は、薬液タンクの1つである凝集剤タンク20を拡大して詳細に示すものであり、(a)に正面形状を、(b)に側面形状を示している。以下ではこの凝集剤タンク20について説明するが、もう1つの薬液タンクである次亜塩素酸タンク30も同様の構成となっている。
【0054】
凝集剤タンク20は、例えば液状のPAC(ポリ塩化アルミニウム)を貯留するものであり、枠体10の底板10bの上面に固定される底板20aと、この底板20aの上に立設、固定された前板20c、後板20dおよび左右1対の側板20eと、これらの前板20c、後板20dおよび側板20eの上端に接合された天板20fとから構成されたものであり、内部に概略直方体状の凝集剤貯留用の空間を画成している。なお底板20aには、複数の取付孔10bが設けられている。底板20aは、例えばこれらの取付孔10bに通した取付用ボルト等を用いて上記底板10bへ取り付けられるが、その詳しい説明は省略する。
【0055】
前板20cには、凝集剤の貯留状態を確認するための、透明部材21が嵌められた確認窓が設けられている。天板20fには、凝集剤投入用の開口が設けられ、この開口には該開口を開閉する蓋22が組み合わされている。また一方の側板20eを突き抜けるようにして、弁付きの排出管23が設けられている。前述した凝集剤注入ポンプ40(
図1および
図2参照)の吸込口は図示外の配管を介してこの排出管23に接続されている。そして凝集剤注入ポンプ40の吐出口には図示外の配管が接続され、この配管は前述した濾過槽2(
図4および
図5参照)の内部において、濾過材層の上方位置に開口している。そこで、凝集剤注入ポンプ40を駆動することにより、凝集剤タンク20内に貯留されている凝集剤を、濾過槽2内において濾過材層の上から供給することができる。
【0056】
上記構成を有する凝集剤タンク20の内部は、凝集剤注入ポンプ40によって凝集剤を吸入するために、大気に開放されていることが必要である。そのために本例の凝集剤タンク20では、左右1対の側板20eを後板20dより後方(
図7(b)中で右方)まで延ばし、これら1対の側板20eの後端を付加後板20gで閉じている。それにより後板20dの後方には、この後板20dと1対の側板20eと付加後板20gと天板20fとで囲まれた空間が画成されている。
【0057】
なお後板20dの上端近傍には、上記空間と凝集剤貯留用空間とを連通させる開口20mが設けられている。また、上記空間の下部は適宜の部材によって閉じられてもよいが、その部材の一部には、凝集剤タンク20の内部を大気に開放するための連通開口20hが設けられる。
【0058】
以上の構成は、換言すれば、後板20dより前方(
図7(b)中で左方)に凝集剤貯留用空間を有する凝集剤タンク20が形成され、後板20dと1対の側板20eと付加後板20gと天板20fとで、下端が開放され上端が閉じられた連通路が構成され、この連通路の上端近傍部分が凝集剤タンク20の上端近傍部分に連通しているものである。
【0059】
凝集剤タンク20の周囲が通常浸水した場合、その浸水は上記連通開口20hを通って、後板20dと、1対の側板20eと、付加後板20gと、天板20fとで囲まれた空間内にも入ることになる。しかし凝集剤タンク20の凝集剤貯留用空間に空気が残っていることにより、上記空間内の浸水水位WLは、凝集剤タンク20の周囲の浸水水位よりも低くなる。そこで、凝集剤タンク20の周囲の浸水水位が凝集剤タンク20の高さ以上となるほどに高くなったとしても、上記空間内の浸水水位WLは多くの場合、上記開口20mより低い位置に留まる。そうであれば、浸水が上記開口20mを経て凝集剤貯留用空間内まで浸入することがないので、貯留されている凝集剤が浸水を受けて使い物にならなくなることが防止される。
【0060】
次に
図8~
図11を参照して、本発明の第2実施形態による水処理システムについて説明する。先に述べた第1実施形態による水処理システムは、濾過装置1を構成する濾過槽2と枠体10とが、水処理に関連する配管を介して一体化されたものであるが、それに対してこの第2実施形態による水処理システムは、濾過槽2が枠体10内に設置されて両者が一体化されている点で基本的に異なるものである。
【0061】
図8は枠体10の内部を示す平面図であり、
図9は枠体10の内部を
図8中の下から上に見て示す側面図、
図10は枠体10の内部を
図8中の上から下に見て示す側面図、
図11は枠体10を
図8中の右から左に見て示す正面図である。この
図11において、枠体10の外に有る副操作パネル80や防水カバー81は省略している。なおこれらの図において、既に説明した要素と基本的に同等の要素には
図1~
図7における番号と同じ番号を付してあり、それらの要素については重複した説明を省略する。
【0062】
この第2実施形態による水処理システムにおいて、原水導入管100は、
図8内で枠体10から左方に出た部分が図示外の原水槽に接続されている。この原水導入管100は枠体10内で立ち上がってから戻り、
図8内で上向きに曲がってから立ち上がり、原水導入/逆洗水流出管101の立上り部分に接続している。原水導入/逆洗水流出管101は上記の立上り部分から上の部分が濾過槽2側に曲がり、その一端が、濾過槽2の内部で濾過材層の上方位置に開口している。原水導入/逆洗水流出管101の上記立上り部分から下の部分は、
図8中で左右方向に延び、枠体10外に出た他端が図示外の逆洗排水槽等に接続されている。
【0063】
濾過槽2の内部には、濾過材層の下方位置において、処理水流出/逆洗水導入管102の一端が開口している。この処理水流出/逆洗水導入管102から分岐した処理水流出管103は、枠体10外に出てから図示外の処理水槽に接続されている。また処理水流出/逆洗水導入管102から分岐した逆洗水導入管104は、例えば処理水を逆洗水として利用するために上記処理水槽に接続されている。その他の水位調整管105等の、本発明と直接関連しない配管類については説明を省略する。
【0064】
この第2実施形態による水処理システムにおいても、凝集剤注入ポンプ40、次亜塩素酸注入ポンプ50、コンプレッサ60および制御盤70や、凝集剤タンク20内の凝集剤および次亜塩素酸タンク30内の次亜塩素酸が浸水被害を受けないようにする構成が、第1実施形態におけるのと同様に適用されている。それにより本実施形態においても、第1実施形態におけるのと同様の効果を得ることができる。
【0065】
以上、水処理装置が濾過装置である2つの実施形態について説明したが、本発明は濾過装置以外の水処理装置が用いられている水処理システムに対しても適用可能であり、その場合も、上記実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。そのような濾過装置以外の水処理装置としては、例えば脱水処理装置や、凝集沈殿処理装置等が挙げられる。
【符号の説明】
【0066】
1 濾過装置
2 濾過槽
3 原水注入管
4 処理水出口管
10 枠体
10a 枠体の底枠
10b 枠体の底板
10c 枠体の側板
10d 枠体の天板
12 処理水流出/逆洗水導入管
14 原水導入/逆洗水流出管
16 処理水流出管
18 原水導入管
20 凝集剤タンク
30 次亜塩素酸タンク
40 凝集剤注入ポンプ
50 次亜塩素酸注入ポンプ
60 コンプレッサ
60C コンプレッサカバー
61a 架台
61b 縦部材
61c カバー受け部材
62a カバー基部
62b カバー内枠
63 カバー生地
70 制御盤
70a 制御盤用筐体
70b 主操作パネル
70c、70d 制御盤用筐体の開口扉部
80 副操作パネル
81 防水カバー
100 原水導入管
101 原水導入/逆洗水流出管
102 処理水流出/逆洗水導入管
103 処理水流出管
104 逆洗水導入管