(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161650
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】観賞魚用水槽及び前記観賞魚用水槽の設置方法
(51)【国際特許分類】
A01K 63/00 20170101AFI20221014BHJP
【FI】
A01K63/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066622
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】519047130
【氏名又は名称】株式会社VIZION
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊政
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104CA03
2B104CB13
2B104CB22
2B104CB25
2B104CB27
2B104CB29
2B104CB34
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で省コスト化が実現可能であると共に、水槽の小型化や好みの位置への設置が可能で、更に、特にベタと呼ばれる観賞魚の飼育に好適に用いることが可能で、意外性を楽しむことができると共に、インテリア性に優れた観賞魚用水槽及び前記観賞魚用水槽の設置方法の提供を課題とする。
【解決手段】開口11を備えた透明アクリル樹脂製の外側水槽10と、開口21を備えると共に、外側水槽10の中に天地逆向きに配置される透明アクリル樹脂製の内側水槽20と、内側水槽20の開口21を持ち上げた状態で内側水槽20を外側水槽10の中に配置するための透明アクリル樹脂製の脚部30とを備え、脚部30を介して内側水槽20を外側水槽10の中に配置して水及び観賞魚40を入れた状態において、内側水槽20が水で満たされると共に、外側水槽10の水位が内側水槽20の開口よりも高い位置となるように水を入れた状態で使用する観賞魚用水槽1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に水及び観賞魚を入れるための開口を備えた透明アクリル樹脂製又は透明ガラス製の外側水槽と、内部に水及び観賞魚を入れるための開口を備えると共に、前記外側水槽の中に天地逆向きに配置される透明アクリル樹脂製又は透明ガラス製の内側水槽と、前記外側水槽の底面と前記内側水槽の開口との間に観賞魚が通過できる空間を空けて前記内側水槽の開口を持ち上げた状態で前記内側水槽を前記外側水槽の中に配置するための透明アクリル樹脂製又は透明ガラス製の脚部とを備え、前記脚部を介して前記内側水槽を前記外側水槽の中に配置して水及び観賞魚を入れた状態において、前記内側水槽が水で満たされると共に、前記外側水槽の水位が前記内側水槽の開口よりも高い位置となるように水を入れた状態で使用することを特徴とする観賞魚用水槽。
【請求項2】
外側水槽及び内側水槽は、平面視正方形の直方体状の箱型で構成されると共に、外側水槽と内側水槽との縦、横、高さの各比率が、1対0.5、1対0.5、1対1.25~1.30であると共に、脚部が内側水槽に着脱自在に取り付け可能なものであることを特徴とする請求項1に記載の観賞魚用水槽。
【請求項3】
外側水槽の底に、パネル型のヒーターや照明を格納可能な格納部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の観賞魚用水槽。
【請求項4】
外側水槽の側面に、水槽内の水を排出可能な排出用穴を設けると共に、前記排出用穴にチューブ等との連結が可能なジョイント部を嵌合固定してあることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の観賞魚用水槽。
【請求項5】
請求項2に記載の観賞魚用水槽の設置方法であって、外側水槽の中に内側水槽を横向きに配置した後に、前記内側水槽が水で満たされると共に、前記内側水槽よりも高い位置となるように前記外側水槽の中に水を入れ、
その後に、水で満たされた状態にある前記内側水槽を、前記内側水槽の開口が前記外側水槽の水面から出ないように前記外側水槽の中で直立させ、
その後に、前記内側水槽の開口が前記外側水槽の水面から出ないように前記内側水槽を持ち上げた状態で、前記外側水槽の水中で前記内側水槽に脚部を取り付けて、前記脚部を介して前記内側水槽を前記外側水槽の中に配置し、
その後に、観賞魚を外側水槽内に入れることを特徴とする観賞魚用水槽の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱帯魚等の観賞魚用水槽及び前記観賞魚用水槽の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットとして、メダカや熱帯魚等の観賞魚を飼育する家庭や店舗等が増えてきている。
メダカや熱帯魚等の観賞魚を家庭や店舗等で飼育する場合、濾過器やエアーポンプ、電気ヒーター等を具備した観賞魚用水槽内で飼育するものが一般的である。
このような従来の観賞魚用水槽を示す従来技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は観賞魚用水槽に関するもので、水槽本体内の水中に配置される水中装置として、例えば電気ヒーターの発熱部の位置ずれを防止することができ、且つ美観が良好であるというメリットがある。
しかしながら、上記特許文献1に示すような従来の観賞魚用水槽においては、水槽の大きさがある程度大きくなり、装置が複雑化することで省コスト化を実現することができないという問題があった。また、通常、設置場所がコンセント近くに限定されて、好みの位置に設置することが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記従来技術の問題を解消し、簡易な構成で省コスト化が実現可能であると共に、水槽の小型化や好みの位置への設置が可能で、更に、特にベタと呼ばれる観賞魚の飼育に好適に用いることが可能で、意外性を楽しむことができると共に、インテリア性に優れた観賞魚用水槽及び前記観賞魚用水槽の設置方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観賞魚用水槽は、内部に水及び観賞魚を入れるための開口を備えた透明アクリル樹脂製又は透明ガラス製の外側水槽と、内部に水及び観賞魚を入れるための開口を備えると共に、前記外側水槽の中に天地逆向きに配置される透明アクリル樹脂製又は透明ガラス製の内側水槽と、前記外側水槽の底面と前記内側水槽の開口との間に観賞魚が通過できる空間を空けて前記内側水槽の開口を持ち上げた状態で前記内側水槽を前記外側水槽の中に配置するための透明アクリル樹脂製又は透明ガラス製の脚部とを備え、前記脚部を介して前記内側水槽を前記外側水槽の中に配置して水及び観賞魚を入れた状態において、前記内側水槽が水で満たされると共に、前記外側水槽の水位が前記内側水槽の開口よりも高い位置となるように水を入れた状態で使用することを第1の特徴としている。
また、本発明の観賞魚用水槽は、上記第1の特徴に加えて、外側水槽及び内側水槽は、平面視正方形の直方体状の箱型で構成されると共に、外側水槽と内側水槽との縦、横、高さの各比率が、1対0.5、1対0.5、1対1.25~1.30であると共に、脚部が内側水槽に着脱自在に取り付け可能なものであることを第2の特徴としている。
また、本発明の観賞魚用水槽は、上記第1又は第2の特徴に加えて、外側水槽の底に、パネル型のヒーターや照明を格納可能な格納部を備えることを第3の特徴としている。
また、本発明の観賞魚用水槽は、上記第1~第3の何れか1つの特徴に加えて、外側水槽の側面に、水槽内の水を排出可能な排出用穴を設けると共に、前記排出用穴にチューブ等との連結が可能なジョイント部を嵌合固定してあることを第4の特徴としている。
また、本発明の観賞魚用水槽の設置方法は、請求項2に記載の観賞魚用水槽の設置方法であって、外側水槽の中に内側水槽を横向きに配置した後に、前記内側水槽が水で満たされると共に、前記内側水槽よりも高い位置となるように前記外側水槽の中に水を入れ、
その後に、水で満たされた状態にある前記内側水槽を、前記内側水槽の開口が前記外側水槽の水面から出ないように前記外側水槽の中で直立させ、
その後に、前記内側水槽の開口が前記外側水槽の水面から出ないように前記内側水槽を持ち上げた状態で、前記外側水槽の水中で前記内側水槽に脚部を取り付けて、前記脚部を介して前記内側水槽を前記外側水槽の中に配置し、
その後に、観賞魚を外側水槽内に入れることを第5の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の観賞魚用水槽によれば、濾過器やエアーポンプ等が不要な簡易な構成で小型化が可能な観賞魚用水槽とすることができる。よって、省コスト化を実現することができると共に、部屋の好みの位置への設置が容易な観賞魚用水槽とすることができる。
また、外側水槽、内側水槽、脚部の全てを透明アクリル樹脂製又は透明ガラス製とすることで、インテリア性に優れた観賞魚用水槽とすることができる。
更に、濾過器やエアーポンプ等が不要な構成であると共に、小型化が可能な水槽であることで、特にベタと呼ばれる観賞魚の飼育に好適に用いることが可能な観賞魚用水槽とすることができる。
また、外側水槽と内側水槽とを観賞魚が行き来することが可能で、従来の観賞魚用水槽にはない、意外性を楽しむことが可能な観賞魚用水槽とすることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の観賞魚用水槽によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、内側水槽及び脚部の設置作業や水及び観賞魚を入れる作業を外側水槽の中で全て完結可能な観賞魚用水槽とすることができる。よって、設置作業、水替えや掃除等のメンテナンス作業にかかる作業負担を著しく軽減でき、初心者や女性でも簡単且つ気軽に使用可能な観賞魚用水槽とすることができる。
また、内側水槽の高さを外側水槽の高さよりも高くすることで、内側水槽の上部を外側水槽よりも突出させることができる。これによって、透明アクリル樹脂製又は透明ガラス製であり、水で満たされた内側水槽の上部を水柱のように外側水槽から迫り出させることができ、意外性を楽しむことができると共に、幻想的な雰囲気を醸し出すことが可能な観賞魚用水槽とすることができる。また、観賞魚が内側水槽の上部まで移動した際には、観賞魚があたかもステージ上で舞っているかのごとく見せることができ、一段と意外性を楽しむことができると共に、幻想的な雰囲気を醸し出すことができ、インテリア性に優れたな観賞魚用水槽とすることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の観賞魚用水槽によれば、上記請求項1又は2に記載の構成による作用効果に加えて、パネル型のヒーターや照明を容易且つ迅速に設置可能な観賞魚用水槽とすることができる。よって、冬季においても安心して観賞魚の飼育が可能な観賞魚用水槽とすることができる。また、観賞魚用水槽を直接照らす照明を設置したい場合にも、容易且つ迅速に照明を設置可能な観賞魚用水槽とすることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の観賞魚用水槽によれば、上記請求項1~3の何れか1つに記載の構成による作用効果に加えて、水替えや掃除等のメンテナンス作業にかかる作業負担を軽減可能な観賞魚用水槽とすることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の観賞魚用水槽の設置方法によれば、内側水槽及び脚部の設置作業や水及び観賞魚の収容作業を外側水槽の中で全て完結可能な観賞魚用水槽の設置方法とすることができる。よって、設置作業にかかる作業負担を著しく軽減でき、観賞魚用水槽を初心者や女性でも簡単且つ気軽に短時間で設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽を示す全体斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽の分解図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽の設置方法を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽の設置方法を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽の変形例1、2を示す図で、(a)は変形例1を示す図、(b)は変形例2を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽の変形例3、4を示す図で、(a)は変形例3を示す図、(b)は変形例4を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽及び前記観賞魚用水槽の設置方法を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【0014】
まず、
図1~
図5を参照して、本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1及び観賞魚用水槽1の設置方法を説明する。
【0015】
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1は、観賞魚40を飼育するために使用するもので、外側水槽10と、内側水槽20と、脚部30とで構成される。
なお、以下においては、観賞魚40として、熱帯魚のベタを1匹飼育するものとして説明するものとする。勿論、本発明の観賞魚用水槽で飼育可能な観賞魚はベタに限るものではなく、金魚やメダカ、グッピー、モーリー等、他のあらゆる観賞魚を飼育してもよいし、その数も1匹に限るものではない。
【0016】
前記外側水槽10は、観賞魚用水槽1の土台を構成するものである。
本実施形態においては、
図1~
図3に示すように、平面視正方形の直方体状の箱型部材で外側水槽10を形成する構成としてある。
具体的には、
図2(a)に示す縦の長さEが20cm、横の長さFが20cmの正方形で構成される透明なアクリル樹脂製の1枚の底板の四辺の上に、接着剤を介して、
図2(b)に示す高さJが12cmとなる長方形で構成される透明なアクリル樹脂製の4枚の側板をそれぞれ起立させた状態で貼り付けることで、開口11を備える平面視正方形の直方体状の箱型部材で構成される外側水槽10を形成してある。
なお、本実施形態においては、外側水槽10を形成する5枚の透明アクリル樹脂製の板の厚みを4mmとする構成としてある。勿論、外側水槽10を形成する透明アクリル樹脂製の板の厚みは4mmに限るものではなく、他の厚みの透明アクリル樹脂製の板を用いる構成としてもよいが、好適には、3mm~4mmとすることが望ましい。
【0017】
前記内側水槽20は、外側水槽10の中に外側水槽10とは天地逆向きに配置(載置)される水槽で、観賞魚40のいわゆるステージ(踊り場)を構成するものである。なお、ここで「天地」とは、外側水槽10及び内側水槽20において、開口側を天、開口と対向する底面側を地とするものである。
本実施形態においては、
図1~
図3に示すように、平面視正方形の直方体状の箱型部材で内側水槽20を形成する構成としてある。
具体的には
図2(a)に示す、縦の長さHが10cm、横の長さGが10cmの正方形で構成される透明なアクリル樹脂製の1枚の底板の四辺の上に、接着剤を介して、
図2(b)に示す高さKが15cmとなる長方形で構成される透明なアクリル樹脂製の4枚の側板を起立させた状態で貼り付けることで、開口21を備える平面視正方形の直方体状の箱型部材で構成される内側水槽20を形成してある。
つまり、本実施形態においては、外側水槽10と内側水槽20との縦、横、高さの各比率が、1対0.5、1対0.5、1対1.25である構成としてある。勿論、外側水槽10と内側水槽20との縦、横、高さの各比率は、この比率に限るものではなく、適宜変更可能であるが、好適には、外側水槽10と内側水槽20との縦、横、高さの各比率が、1対0.5、1対0.5、1対1.25~1.30である構成とすることが望ましい。
また、本実施形態においては、内側水槽20を形成する5枚の透明アクリル樹脂製の板の厚みを3mmとする構成としてある。勿論、内側水槽20を形成する透明アクリル樹脂製の板の厚みは3mmに限るものではなく、他の厚みの透明アクリル樹脂製の板を用いる構成としてもよいが、好適には、3mm~4mmとすることが望ましい。
【0018】
前記脚部30は、外側水槽10の底面と内側水槽20の開口21との間に観賞魚が通過できる空間を空けて内側水槽20の開口21を持ち上げた状態で内側水槽20を外側水槽10の中に配置するための部材である。
本実施形態においては、
図1~
図3に示すように、この脚部30は、載置台31と、脚32とで構成される。
【0019】
前記載置台31は、内側水槽20の開口21の開口縁部と当接して内側水槽20を載置させるための部材である。
本実施形態においては、
図1~
図3に示すように、平面視正方形の透明アクリル樹脂製の枠で載置台31を形成する構成としてある。具体的には、開口21の開口縁部と当接する部分の厚みが3mmで、高さが1cm程度の透明アクリル樹脂製の所定長さの棒状部材を、接着剤を介して、一辺が10cmの平面視正方形となるように接着させて載置台31を形成する構成としてある。勿論、載置台31の形成方法はこのようなものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0020】
前記脚32は、載置台31を支持する支持部材となるものである。
本実施形態においては、
図1~
図3に示すように、透明アクリル樹脂製の四角柱で脚32を形成する構成としてある。また、平面視正方形の透明アクリル樹脂製の枠で構成される載置台31の内側の四隅のそれぞれに各1本、合計4本の脚32を接着剤で接着させて配置する構成としてある。
より具体的には、
図2(a)に示すように、脚32を構成する四角柱の側面の2面が載置台31の四隅の内側2面と当接するように、脚32を載置台31に接着させて配置する構成としてある。
なお、本実施形態においては、脚32の総長さ(高さ)を65mm程度としてある。そして、
図2(b)に示す載置台31よりも下側部分の長さLを45mm程度、載置台31よりも上側部分の長さMを1cm程度とする構成としてある。勿論、脚32の構成はこのようなものに限るものではなく、適宜変更可能であるが、本実施形態の大きさの外側水槽10及び内側水槽20を用いる場合は、上記のような構成とすることが望ましい。
【0021】
次に
図4,
図5を参照して、本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1の設置方法を説明する。
【0022】
まず
図4(a)を参照して、外側水槽10の中に内側水槽20を横向きに配置した後に、内側水槽20が水で満たされると共に、内側水槽20よりも水面Wが高い位置となるように外側水槽10の中に水を入れる。この際、外側水槽10において、高さ11cm程度に水を入れることが必要である。
その後、
図4(b)、
図4(c)、
図5(a)を参照して、水で満たされた状態にある内側水槽20を、内側水槽20の開口21が外側水槽10の水面Wから出ないように外側水槽10の中で直立させる。この状態において、外側水槽10の水面Wを押す大気圧と、内側水槽20内の水が下向きに押す圧力とがつりあい、内側水槽20を満たす水が水柱のようになった状態で外側水槽10内に内側水槽20を起立させることが可能となる。
その後、
図5(b)、
図5(c)を参照して、内側水槽20の開口21が外側水槽10の水面Wから出ないように内側水槽20を持ち上げた状態で、外側水槽10の水中で内側水槽20に脚部30を取り付けて、脚部30を介して内側水槽20を外側水槽10の中に配置する。
その後、観賞魚40を外側水槽10内に入れる。
以上により、外側水槽10に最初に入れた水を抜く水抜き作業が全く必要なく、本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1が設置される。この際、
図5(c)には詳細には示していないが、本実施形態の観賞魚用水槽1においては、水面Wの位置が載置台31の上面から1.5cm上方の位置となっている。
上記設置方法は、本願発明者が、外側水槽10と、外側水槽10の中に天地逆向きに配置される内側水槽20とのいわゆる二重水槽であることから導かれる本願発明の観賞魚用水槽1における特有の解決課題、効果として、外側水槽10の中で全ての設置作業を完結させるためには、外側水槽10、内側水槽20、脚部30をどのような大きさで、またどのような比率の構成とすれば良いのか、そして外側水槽10に最初にどれ位の量の水を入れ、その後どのような順序で設置作業を行えばよいのか等について、鋭意研究を行った結果、はじめて見出した下記構成、具体的には、外側水槽10及び内側水槽20は、平面視正方形の直方体状の箱型で構成されると共に、外側水槽10と内側水槽20との縦、横、高さの各比率が、1対0.5、1対0.5、1対1.25~1.30であると共に、脚部30が内側水槽20に着脱自在に取り付け可能なものという構成によって生み出されたものである。このような構成は、従来技術にはない本願発明に特有の顕著な構成である。
【0023】
このような構成からなる本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1及び観賞魚用水槽1の設置方法は、以下の効果を奏する。
【0024】
透明アクリル樹脂製の外側水槽10と、透明アクリル樹脂製の内側水槽20と、透明アクリル樹脂製の脚部30とで観賞魚用水槽1を構成することで、濾過器やエアーポンプ等が不要な簡易な構成で小型化が可能な観賞魚用水槽1とすることができる。よって、省コスト化を実現することができると共に、部屋の好みの位置への設置が容易なインテリアとしても利用可能な観賞魚用水槽とすることができる。加えて、外側水槽10、内側水槽20、脚部30の全てを透明アクリル製の樹脂で構成することで、一段とインテリア性に優れた観賞魚用水槽1とすることができる。
また、外側水槽10と内側水槽20とを観賞魚が行き来することが可能で、従来の観賞魚用水槽にはない、意外性を楽しむことが可能で、幻想的な雰囲気を醸し出すことが可能な観賞魚用水槽1とすることができる。
更に、濾過器やエアーポンプ等が不要な構成であると共に、小型化が可能な水槽であることで、特にベタと呼ばれる観賞魚の飼育に好適に用いることが可能な観賞魚用水槽1とすることができる。つまり、ベタはラビリンス器官という補助呼吸器官を備えることから、エアーポンプ不要で、水替えも週に一度程度で良い習性を備える観賞魚であることから、本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1での飼育に特に適した観賞魚である。また、エアーポンプがないことで、無音状態での飼育、観賞が可能となり、従来の観賞魚用水槽には全くなかった一段と幻想的な雰囲気を醸し出すことが可能な観賞魚用水槽1とすることができる。このような効果は、家庭用はもとより、ブティックや美容院などの店舗用として観賞魚用水槽1を設置する場合により効果的なものである。
加えて、外側水槽10内に内側水槽20を載置させるだけの構成であることで、内側水槽20の配置位置を容易且つ迅速に自由に変更することが可能な観賞魚用水槽1とすることができる。
【0025】
また、外側水槽10と内側水槽20との縦、横、高さの各比率が、1対0.5、1対0.5、1対1.25である構成、具体的には、外側水槽10の縦の長さEが20cm、横の長さFが20cm、高さが12cm、内側水槽20の縦の長さHが10cm、横の長さGが10cm、高さが15cmである構成に加えて、脚部30の構成を、内側水槽20に着脱自在であり、
図2(b)に示す載置台31よりも下側部分の長さLを45mm程度、載置台31よりも上側部分の長さMを1cm程度とする構成とすることで、外側水槽10に最初に入れた水の水抜きが全く不要で、内側水槽20及び脚部30の設置作業や水及び観賞魚40の収容作業を外側水槽10の中で全て完結可能な観賞魚用水槽1とすることができる。よって、設置作業、水替えや掃除等のメンテナンス作業にかかる作業負担や作業時間を著しく軽減、短縮でき、初心者や女性でも簡単且つ気軽に使用可能な観賞魚用水槽1とすることができる。
また、内側水槽20の高さKを外側水槽10の高さJよりも高くすることで、内側水槽20の上部を外側水槽10よりも突出させることができる。これによって、
図5(c)に破線で示すように、観賞魚40が水柱のごとく起立した内側水槽20の上部まで移動した際には、観賞魚40があたかもステージ上で舞っているかのごとく見せることができ、一段と意外性を楽しむことができると共に、幻想的な雰囲気を醸し出すことができ、インテリア性に優れたな観賞魚用水槽1とすることができる。特に、本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1は、外側水槽10、内側水槽20、脚部30の全てを透明アクリル樹脂製とする構成であると共に、観賞魚40として、ゆっくりと優雅に動くベタを飼育する構成とすることで、観賞魚40があたかもステージ上で舞っているかのごとく見せることが一段と可能となる。
また、外側水槽10の縦の長さEが20cm、横の長さFが20cm、高さが12cm、内側水槽20の縦の長さHが10cm、横の長さGが10cm、高さが15cm、脚部32の
図2(b)に示す載置台31よりも下側部分の長さLを45mm程度、載置台31よりも上側部分の長さMを1cm程度とする構成は、ベタの成魚の体調が4cm~5cm程度であり、そのベタが内側水槽20内で自由に動き回れるようにすると共に、外側水槽10と内側水槽20との間を自由に行き来できるようにする必要がある点、またベタの成魚1匹にとって必要な水の量が3リットル~4リットルである点、内側水槽20内に水を満たした状態で外側水槽10の水の中で内側水槽20を回転させて外側水槽10内で起立させることが必要な点、外側水槽10から内側水槽20の上部を可能な限り高く水柱のように迫り出させる(限界値まで高く立たせせる)ことが必要な点、設定作業を外側水槽10内で完結させることが必要な点という上記全ての必要性を満たすことができるように本願発明者が鋭意研究の末導き出した構成であり、この構成によって、見る者に意外性を与えることができると共に、幻想的な雰囲気を醸し出すことが可能であり、また、設置作業を外側水槽10内で全て完結することができることで、部屋のどこにでも容易且つ迅速に設置可能な最小限の小型の観賞魚用水槽1とすることができる。
【0026】
また、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1の設置方法によれば、内側水槽20及び脚部30の設置作業や水及び観賞魚40の収容作業を、水抜き用のチューブ等、他の補助道具や補助容器を全く使用することなく、外側水槽10、内側水槽20、脚部30を準備するだけで、外側水槽10の中で全て完結可能な観賞魚用水槽1の設置方法とすることができ、設置作業にかかる作業負担や作業時間を著しく軽減、短縮でき、観賞魚用水槽1を初心者や女性でも簡単且つ気軽に短時間で設置することができる。
【0027】
次に、
図6、
図7を参照して、本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1の変形例1~変形例4を説明する。なお、
図6、
図7に示す変形例1~変形例4において、既述した観賞魚用水槽1と同一部材、同一機能を果たすものには同一番号を付し、以下詳細な説明は省略するものとする。
【0028】
まず、
図6(a)を参照して変形例1を説明する。本変形例1は、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1に対して、外側水槽10の底面に、パネル型のヒーター(図示しない)や照明(図示しない)を格納可能な格納部13を備える構成としたものである。
具体的には、
図6(a)に示すように、本変形例1においては、外側水槽10の4面ある側面の内、1組の対向する2面の長さを下方に同一長さだけ延出させることで、パネル型のヒーター(図示しない)や、各種証明(図示しない)を出し入れ可能な開口13aを備えた空間を設け、この空間を格納部13とする構成としてある。
このような構成とすることで、パネル型のヒーターや、各種証明を容易且つ迅速に設置可能な観賞魚用水槽2とすることができる。よって、冬季においても安心して観賞魚の飼育が可能な観賞魚用水槽2とすることができる。また、観賞魚用水槽2を直接照らす照明を設置したい場合にも、容易且つ迅速に照明を設置可能な観賞魚用水槽2とすることができる。なお、格納部13の形成方法は、上記の形成方法に限るものではなく、外側水槽10の底に、パネル製のヒーターや照明を格納可能な格納部13を形成することができる方法であれば、如何なる方法を用いてもよい。
【0029】
次に、
図6(b)を参照して変形例2を説明する。本変形例2は、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1に対して、外側水槽10の上部に、観賞魚40が外側水槽10から飛び出すことを防止するための上蓋50を備える構成としたものである。
具体的には、
図6(b)に示すように、外側水槽10の上部に接着剤を介して透明アクリル樹脂製のロの字状の薄板を取り付けて備える構成としたものである。
このような構成とすることで、観賞魚40が外側水槽10から飛び出すことを確実に防止することが可能な観賞魚用水槽3とすることができる。
【0030】
次に、
図7(a)を参照して変形例3を説明する。本変形例3は、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1に対して、内側水槽20の高さを変更したものである。
具体的には、内側水槽20の上部が外側水槽10から飛び出さない構成としたものである。このような構成も本発明の観賞魚用水槽の範囲内に含まれるものである。
このような構成とすることで、外側水槽10を通して内側水槽20内を泳ぐ観賞魚40を見る、いわゆる二重水槽とすることができ、従来の観賞魚用水槽にはない、意外性を楽しむことが可能な観賞魚用水槽4とすることができる。
【0031】
次に、
図7(b)を参照して変形例4を説明する。本変形例4は、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1に対して、変形例3と同様に内側水槽20の高さを変更すると共に、外側水槽10の側面に、水槽内の水を排出可能な排出用の貫通孔14を設け、排出用の貫通孔14にチューブ70やコック(図示しない)等とワンタッチで連結可能なジョイント部60を嵌合固定してある構成としてものである。
具体的には、本変形例4においては、貫通孔14として、外側水槽10の側面に円形の孔を設けてある。また、ある程度の硬質なプラスチック樹脂製で、水の排出時以外には水の漏れ出しを防ぐ着脱自在なキャップ(図示しない)を備えた管状部材を貫通孔14に嵌合固定してある構成としてある。なお、水の排出時には、ジョイント部60のキャップ(図示しない)を外し、ジョイント部60内にチューブ70を接続して外側水槽10内の水を排出する。なお、チューブ70に代えて、ジョイント部60に外側水槽10内の水を排出可能なコックを接続する構成としてもよい。
このような構成とすることで、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1のように、外側水槽10の中で設置作業や水換え作業等の全ての作業を完結可能な大きさの構成ではない観賞魚用水槽とする場合において、水替えや掃除等のメンテナンス作業にかかる作業負担を軽減可能な観賞魚用水槽5とすることができる。
【0032】
なお、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1及び変形例1~変形例4に係る観賞魚用水槽2~観賞魚用水槽5においては、外側水槽10、内側水槽20、脚部30を全て透明アクリル樹脂で形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、透明アクリル樹脂に代えて、外側水槽10、内側水槽20、脚部30の全て或いは外側水槽10、内側水槽20、脚部30の何れか1つ又は2つを透明ガラスで形成する構成としてもよい。
【0033】
また、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1及び変形例1~変形例4に係る観賞魚用水槽2~観賞魚用水槽5においては、脚部30を構成する脚32を4本の四角柱とする構成としたが、脚32の本数や形状は必ずしもこのような構成に限るものではなく、これとは異なる本数、形状としてもよい。
また、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1及び変形例1~変形例4に係る観賞魚用水槽2~観賞魚用水槽5においては、脚部30を内側水槽20に対して着脱自在に取り付け可能な構成したが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、内側水槽20と脚部30とが一体化された構成としてもよい。但し、外側水槽10と内側水槽20との縦、横、高さの各比率を、1対0.5、1対0.5、1対1.25~1.30である構成とする場合には、脚部30を内側水槽20に対して着脱自在に取り付け可能な構成とすることが必要である。
更に、外側水槽10の底面12に、脚32を嵌合可能な凹所を設けるような構成としてもよい。このような構成とすることで、外側水槽10内における内側水槽20の配置位置を外側水槽10の中央に固定する場合において、内側水槽20の位置決めが容易となり、一段と設置作業の作業負担や作業時間を軽減、短縮可能な観賞魚用水槽とすることができる。また、使用時に内側水槽20がずれて移動するようなことを効果的に防止可能な観賞魚用水槽とすることができる。
【0034】
また、既述した本発明の実施形態に係る観賞魚用水槽1及び変形例1~変形例4に係る観賞魚用水槽2~観賞魚用水槽5においては、外側水槽10及び内側水槽20を、平面視正方形の直方体状の箱型で構成するものとしたが、外側水槽10及び内側水槽20の形状は必ずしもこのような形状に限定されるものではない。例えば、円柱形状等、他の形状とする構成としてもよい。
【0035】
また、内側水槽20の底に、内側水槽20の底面の全面を覆うことが可能で、内側水槽20の底に敷くだけで内側水槽20の4つの側面にてずれ動くことなく固定可能な色付きフィルムを敷くような構成としてもよい。このような構成とすることで、簡易な構成にて、太陽光や室内の照明、観賞魚用水槽の照明(外側水槽10の底や上部等に別途設置した場合)等を介して好みの色の発色が可能な観賞魚用水槽とすることができる。特に、外側水槽10の底に別途照明を設置した場合においては、照明に照らされたフィルムの色が内側水槽20の天板にも投影され、一段と幻想的な雰囲気を醸し出すことが可能な観賞魚用水槽とすることができる。なお、フィルムの色としては、赤、濃紺、灰色など、如何なる色を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の観賞魚用水槽及び鑑賞魚用水槽の設置方法は、簡易な構成で省コスト化が実現可能であると共に、水槽の小型化や好みの位置への設置が可能で、更に、特にベタと呼ばれる観賞魚の飼育に好適に用いることが可能で、意外性を楽しむことができると共に、インテリア性に優れた観賞魚用水槽を実現できることから、観賞魚用水槽に関連する産業分野において有用であり、産業上の利用可能性が大きい。
【符号の説明】
【0037】
1 観賞魚用水槽
2 観賞魚用水槽
3 観賞魚用水槽
4 観賞魚用水槽
5 観賞魚用水槽
10 外側水槽
11 開口
12 底面
13 ヒーター格納部
13a 開口部
14 貫通孔
20 内側水槽
21 開口
30 脚部
31 載置台
32 脚
40 観賞魚
50 上蓋
60 ジョイント部
70 チューブ
E 長さ
F 長さ
G 長さ
H 長さ
J 高さ
K 高さ
L 長さ
M 長さ
W 水面