(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161655
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】食事用衛生マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221014BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 M
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066628
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】513084517
【氏名又は名称】有限会社川越システム
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川越 聡
(72)【発明者】
【氏名】川越 大輔
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA17
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】衛生マスクを着用したままでも、多人数の会食など一定時間継続する通常の食事に対応可能な使い捨てタイプの紙製の食事用衛生マスクを提供する。
【解決手段】マスク基体1と、被装着者の口と鼻および顔面を覆うフラップ2との2つの部品を一枚の洋紙シートSからプレスカットして切り出す。または、これら2つの部品のカットラインを施したシートSから人手で切り離し、それぞれ折紙式に立体成形した後、組合わせて構成さする。すなわち、マスク基体1とフラップ2を、平面紙から山折線と谷折り線を折ってなる折紙組立式として立体形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着者の口と鼻および顔面を覆う紙製のマスク基体と、当該マスク基体を被装着者の顔面に固定するストラップを有し、前記マスク基体の略中央部分に設けられる開口と、当該開口を開閉自在に閉蓋する紙製のフラップとを備えた会食用衛生マスクであって、当該紙製フラップとマスク基体の少なくとも一部を雌雄嵌合して連結すると共に、フラップの開閉支持となるフラップ開閉機構を設けたことを特徴とする会食用衛生マスク。
【請求項2】
フラップ開閉機構が、マスク基体又はフラップに設けられた透孔と、フラップ又はマスク基体に設けられて前記透孔に挿通かつ固定可能な突起からなることを特徴とする請求項1記載の会食用衛生マスク。
【請求項3】
マスク基体又はフラップが、平面紙から山折線と谷折り線を折ってなる折紙組立式として立体形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の会食用衛生マスク。
【請求項4】
マスク基体及びフラップは抗菌洋紙製または抗菌加工を施した洋紙又は板紙製であることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の衛生マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生マスクに関し、とくに会食等の多人数で食事する際に用いて好適な使い捨てタイプの紙製の食事用衛生マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マスクは、利用者の口および口周辺を覆うマスク本体と、このマスク本体の左右に設けられ、利用者の耳に掛けられる耳掛け部とを備えている。このようなマスクは、通常は花粉などを防ぐためや風邪をひいた際などに利用される。
【0003】
従来から、繊維や抗菌材等様々な素材が衛生マスクに使用され、人体へのウイルスや細菌の侵入を防止又は捕集することが図られてきた。
【0004】
近年十数年の間、様々な伝染病が世界各地で流行しており、2002年~2003年にはSARSコロナウイルス(SARS-CoV)による呼吸器系感染症、2012~2013年には「中東呼吸器症候群(MERS)、その中でもとくに、最近全世界的に流行している新型コロナウイスル(COVID-19)による肺炎等の呼吸器疾患に罹患することが深刻で、世界レベルでの社会や経済に深刻な打撃を与えている。このため、これに対応し得る有効な衛生マスクの開発は喫緊の課題となっている。
【0005】
これらの呼吸器疾患は主にウイルスや細菌を含んだ飛沫を感染経路とするものであり、人々が近距離で接触するだけで、患者の咳やくしゃみの時に噴出した呼吸飛沫によってウイルスや細菌(以下、まとめて病原体と記す)が至るところで発散されるため、感染度が極めて高く、広域な集団感染を起こす可能性が高い。しかし、人同士の接触、交流は避けられない。
【0006】
病原体の蔓延を効果的に防止するためには、病原体の主要な感染媒体である飛沫を効果的に遮断しなければならない。そのため、衛生マスクは最適な選択となり、防疫に欠かせない役割を担っている。
【0007】
また、人々は上述した病原体に起因する伝染病の脅威に加えて、深刻な大気汚染問題にも直面している。工業社会の発展によってもたらされた大量の有害な汚染物質が大気中に浮遊し、深刻な大気汚染問題を引き起こしている。これらの大気中の汚染物質の防塵対策としても、現在、衛生マスクは日常的防護用品となっている。
【0008】
以上の問題に対して、衛生マスクの防護効能を強化するとともに衛生問題を解決して、伝染病と外部の汚染物に対する抵抗力を高めるために、効果的な濾過機能を有しつつ、抗菌機能あるいは殺菌機能を有するマスクを設計する必要がある。咳やくしゃみなどによって飛び散る飛沫(直径約5μm)に含まれる病原体の遮断性、すなわちフィルター捕集効率が極めて高い医療用サージカルマスクが提供されている。
【0009】
現在、上述した新型コロナ禍を受け、「新しい生活様式」の実践例が推奨されている。例えば、一人ひとりの基本的感染対策として、「身体的距離の確保(いわゆる、ソーシャルディスタンス)、マスクの着用、手洗い」を励行し、日常生活を営む上での基本的生活様式としては、「密集、密接、密閉の3密の回避」や咳エチケットなどの徹底が求められている。この中で、マスクの着用は、重要な位置を占めており、特に人が集まるような場所においては、マスクを着用することが求められている。
【0010】
ここで、マスクを着用している場合の問題点の一つとして、会食などの多人の飲食時における取り扱いがある。通常、飲食時には、例えば、マスクを外す、マスク全体を顎の下に下げる、一方のストラップ(耳掛け部)を外して他方のストラップで耳にマスクを掛けたままとする、などの取り扱いがされる。しかし、外した場合には外したマスクの飲食中の保管をどうするか、マスク全体を顎の下に無造作に下げた場合にはマスクの表裏の区別が付かなくなる状態をどうするか、片方の耳に掛けた場合には飲食の邪魔になったり見かけが悪くなったりする状態をどうするか、といったそれぞれの課題を抱えている。
【0011】
このような点に着目し、マスクに開口部を設けて、マスクを着用したまま飲食を可能にするマスクが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1のマスクでは、開放状態の開口をマスク本体の表側から開閉可能に覆う蓋片を備えておき、飲食したくなったときには、蓋片を開いて開口の覆いを外し、開口を通じて飲食を行うこととされている。
しかしながら、特許文献1では、小さな食べ物(例えば、あめ玉、ガム、ビスケット、クラッカー等)を通すための)開口とすれば足り、大きな開口とする必要はないとされており、また、一旦開いた蓋片がフリーな状態であるので、一定時間継続する通常の食事には対応が困難である。
【0012】
他にも、マスク本体の中央部に穴を設け、面ファスナーを使用して開閉式の蓋を設けたもの(特許文献2及び特許文献3参照。)、同様にファスナー式の開口を設けたもの(特許文献4参照。)、フック部材とアイ部材によるホック式のものなど種々提案されている(特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2017-2430号公報
【特許文献2】実開昭64-959号公報
【特許文献3】特開2012-192154号公報
【特許文献4】実用新案登録第3228247号公報
【特許文献5】実用新案登録第3228351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、衛生マスクを着用したままでも、多人数の会食など一定時間継続する通常の食事に対応可能な使い捨てタイプの紙製の食事用衛生マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため本発明の食事用衛生マスクは、被装着者の口と鼻および顔面を覆う紙製のマスク基体と、当該マスク基体を被装着者の顔面に固定するストラップを有し、前記マスク基体の略中央部分に設けられる開口と、当該開口を開閉自在に閉蓋する紙製のフラップとを備えた会食用衛生マスクであって、当該紙製フラップとマスク基体を雌雄嵌合して連結すると共に、フラップの開閉支持となるフラップ開閉機構を設けたことを第1の特徴とする。また、フラップ開閉機構が、マスク基体又はフラップに設けられた透孔と、フラップ又はマスク基体に設けられて前記透孔に挿通かつ固定可能な突起からなることを第2の特徴とする。さらに、マスク基体又はフラップが、平面紙から山折線と谷折り線を折ってなる折紙組立式として立体形成されることを第3の特徴とする。さらにまた、マスク基体及びフラップは抗菌洋紙製または抗菌加工を施した洋紙又は板紙製であることを特徴とする第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の優れた効果がある。
(1)ストラップを除く全ての部品が紙製なので、印刷やシール貼付による装飾や広告を容易かつ自在に施すことができるばかりでなく、廃棄物処理上の問題解決の一助となる。
(2)折紙組立式として立体成形したので、糊や粘着テープ等を使用することなく十分な強度が得られる。
(3)左右どちらの手でも開閉操作ができる。
(4)フラップが開いた状態で料理や手元が看取でき、両手も使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る食事用衛生マスクの切り出しシートを示す平面図である。
【
図2】本発明に係る食事用衛生マスクの組み合わせ状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る食事用衛生マスク使用状態を示す(a)はフラップが閉じた状態、(b)はフラップを開いた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1乃至
図2に示すように、本発明の食事用衛生マスクは、被装着者の耳に引掛けて固定する一対のストラップ(輪ゴム)9を係止するための複数のスリット9aを有するマスク基体1と、被装着者の口と鼻および顔面を覆うフラップ2との2つの部品を一枚の洋紙シートSからプレスカットして切り出す。または、これら2つの部品のカットラインCを施したシートSから人手で切り離し、それぞれ折紙式に立体成形した後、組合わせて構成される。すなわち、マスク基体1とフラップ2は、平面紙から山折線と谷折り線を折ってなる折紙組立式として立体形成される。
【0019】
また、例えば、フラップ2の上蓋係止片10を差込スリット10aに差し込むことで保形する。尚、本実施例では、A3サイズ斤量180kgの洋紙を用い、山折線を破線、谷折り線を一点鎖線で表示している。また、図示はしないが、シートSの余白に作成手順や折順、また、各差込み片と対応するスリットに同じ番号やアルファベット等の記号を附記することや、完成図や写真画像を掲載して組立て作業の一助とすることが望ましい。また、シートSを上下に分割してマスク基体1とフラップ2とを個別に作成するようにしてもよい。
【0020】
マスク基体1には、略中央部分に設けられる上端が開放された略U字型の開口8が折り込んで形成され、この開口8を紙製フラップ2により開閉自在に閉蓋する。その場合、フラップ2の一対の回動片2aの下端部分に開けた透孔aとマスク基体1に突片3bを立上げた状態で挿通させた後、これら突片3bを拡開させることで、フラップ開閉機構3を構成する。そして、フラップ2の上端を折込んで形成した持手片7を左右いずれか又は両手で摘んで回動させて、フラップ2を開閉動作ができるようにされている。図中、1aは突片カバー片で、突片カバー係止片5を係止スリット5aに差し込んで固定される。
【0021】
すなわち、本実施例の食事用衛生マスクは、被装着者の口と鼻および顔面を覆う紙製のマスク基体と、マスク基体1を被装着者の顔面に固定するストラップ9を有し、マスク基体1の略中央部分に設けられる開口8と、この開口8を開閉自在に閉蓋する紙製のフラップ2とを備え、紙製フラップ2とマスク基体1の少なくとも一部を雌雄嵌合して連結すると共に、フラップ2の開閉支持となるフラップ開閉機構3を設けた構成とされている。
【0022】
マスク基体1及びフラップ2は抗菌印刷を施した洋紙製である。他にも、抗菌板紙FSC(商品名:三菱製紙株式会社製)等の板紙を使用してもよい。用紙の斤量や構成は特に限定されるものではなく、例えば、不織紙などを単層または、複層にして貼り合わせて用いることもできる。複層にする場合には、異なる紙材を組み合わせてもよい。
【0023】
フラップ2の形状や大きさは、口と鼻およびその周囲を覆うことができれば、特に限定されるものではないが、フラップ2の立体状態を保形するために、帯片6を回動片2aの上部に設けたスリット6aに挿通させて補強するのがよい。
【0024】
上述のようにしたように形成されるマスク基体1には略U字型の開口8が設けられ、開口は、食事用衛生マスクを装着した状態で装着者の鼻と口が露出するように、マスク基体1の略中央部分に形成されものであれば、開口の大きさは、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、三角形や四角形といった矩形状にも形成することもできる。
【0025】
また、マスク基体1の裏面の下端部には三角柱状の顎当て4が設けられ、その表面にクッションスリット条4aを切込むことで装着感が良好になる。
【0026】
耳掛け用のストラップ9は、一般的な輪ゴムが軽量かつ丈夫で好ましく、マスク基体1の両端に設けられて装着者の耳に掛けられる部材であり、これによりマスク基体1が顔面に装着される。耳掛け部には、例えば、ナイロンやポリエステル等からなる紐状またはベルト状のゴム部材など、既知のものを用いることができる。マスク基体1への取り付け方法も特に限定されるものではなく、縫着、接着、融着等の他に、マスク基体の両端に形成した挿通スリット9aに挿通させて取り付けることが好ましい。
【0027】
なお、本発明は上記実施例の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせも権利範囲に含むものである。
本発明に係る食事用衛生マスクは、会食の際の防塵、飛沫飛散防止の目的で使用することができる。また、フラップ2表面や突片カバー片1a等に、印刷を施したり装飾シール11を貼付することで、飲食店舗等や提供者の広告媒体としても有効に機能する。また、マスク全体に動物やアニメキャラクター等の意匠を施すことも販促手段として好ましい。