(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161656
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】トレイ洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 1/02 20060101AFI20221014BHJP
A47L 15/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B08B1/02
A47L15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066629
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 直志
(72)【発明者】
【氏名】渡部 賢二
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 岳
(72)【発明者】
【氏名】北村 鉄治
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA02
3B116AA26
3B116AB16
3B116AB44
3B116AB48
3B116BB24
3B116CC03
3B116CD43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】積み重なった複数枚のトレイを自動洗浄可能なトレイ洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明は、物品載置用の底板部分T1と、底板部分T1の縁から外側へ斜めに立設される壁部T2とを有するトレイTを自動洗浄可能なトレイ洗浄装置であって、トレイTを上下逆向きの状態で積み重ね可能なトレイ受入口と、トレイ受入口から入ったトレイTが通過するトレイ洗浄室と、を備え、トレイ受入口は、トレイ受入口に置かれるトレイTを支持する固定支持部と、固定支持部とは異なる位置において壁部T2の上端に接触することにより、モータの動力で中心軸周りに回転駆動される円柱状の棒材13でトレイTを支持する可動支持部と、を有し、棒材13は、回転駆動されている状態において壁部T2の上端が摺動する外周面14と、外周面14に形成されており、壁部T2の上端が進入可能な凹部15と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品載置用の底板部分と、前記底板部分の縁から外側へ斜めに立設される壁部とを有するトレイを自動洗浄可能なトレイ洗浄装置であって、
前記トレイを上下逆向きの状態で積み重ね可能なトレイ受入口と、
前記トレイ受入口から入った前記トレイが通過するトレイ洗浄室と、を備え、
前記トレイ受入口は、
前記トレイ受入口に置かれる前記トレイを支持する固定支持部と、
前記固定支持部とは異なる位置において前記壁部の上端に接触することにより、モータの動力で中心軸周りに回転駆動される円柱状の棒材で前記トレイを支持する可動支持部と、を有し、
前記棒材は、
回転駆動されている状態において前記壁部の上端が摺動する外周面と、
前記外周面に形成されており、前記壁部の上端が進入可能な凹部と、を有する、
トレイ洗浄装置。
【請求項2】
固定支持部は、前記トレイ受入口に置かれる前記トレイの片側を支持し、
前記可動支持部は、前記トレイ受入口に置かれる前記トレイを、前記固定支持部の反対側から支持する、
請求項1に記載のトレイ洗浄装置。
【請求項3】
前記トレイは、長方形の長辺と短辺に相当する部位を有しており、
前記棒材の長手方向における前記凹部の長さは、前記長辺または前記短辺の長さ以上である、
請求項1又は2に記載のトレイ洗浄装置。
【請求項4】
前記トレイを積み上げ可能なトレイ排出口と、
前記トレイ洗浄室を通過した前記トレイを、前記トレイ排出口の下部において、上へ突き上げる突き上げ機構と、を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載のトレイ洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店においては、食器皿を自動的に洗浄する食器皿洗浄装置が用いられている。回転寿司店のように飲食物を載せた皿をコンベアで搬送する飲食店においては、同じ形状の皿が大量に用いられているため、これらの皿を効率的に洗浄する連続式の洗浄装置が利用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積み重ねられた食器皿を自動洗浄する食器皿洗浄装置では、皿投入口に積まれた食器皿を装置内へ順に繰り落とす動作が行われる。そして、皿投入口から装置内部へ繰り落とされた食器皿は、横方向へ1枚ずつスライドしながら回転ブラシと洗浄水によって洗浄される。食器皿には、通常、糸切と呼ばれる脚部のような部位が存在するため、食器皿を積み重ねても、各食器皿の縁同士は間隔が空いた状態になる。このため、皿投入口に積まれた食器皿を装置内へ順に繰り落とす場合は、食器皿の縁の部分で食器皿同士を分離しやすい。
【0005】
一方、例えば、食器を載置可能なトレイは、互いにほぼ密着するような状態で積み重ね可能である。よって、トレイを積み重ねると、各トレイの縁同士は間隔が閉じた状態になる。このため、積み重なった複数枚のトレイを自動洗浄する実用的な装置を製作することは困難であった。
【0006】
そこで、本願は、積み重なった複数枚のトレイを自動洗浄可能なトレイ洗浄装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、トレイ受入口において、トレイを上下逆向きの状態で積み重ねたものを受け入れることにした。
【0008】
詳細には、本発明は、物品載置用の底板部分と、底板部分の縁から外側へ斜めに立設される壁部とを有するトレイを自動洗浄可能なトレイ洗浄装置であって、トレイを上下逆向きの状態で積み重ね可能なトレイ受入口と、トレイ受入口から入ったトレイが通過するトレイ洗浄室と、を備え、トレイ受入口は、トレイ受入口に置かれるトレイを支持する固定支持部と、固定支持部とは異なる位置において壁部の上端に接触することにより、モータの動力で中心軸周りに回転駆動される円柱状の棒材でトレイを支持する可動支持部と、を有し、棒材は、回転駆動されている状態において壁部の上端が摺動する外周面と、外周面に形成されており、壁部の上端が進入可能な凹部と、を有する。
【0009】
このトレイ洗浄装置は、物品載置用の底板部分と、底板部分の縁から外側へ斜めに立設される壁部とを有する、一般的な形状とも言えるこのようなトレイの自動洗浄を行う。このようなトレイを上下逆向きの状態でトレイ受入口に積み重ねると、トレイの壁部は、ト
レイ全体を俯瞰してみた場合に末広がり状になる。よって、トレイの壁部の上端、換言すると、上下逆向きの状態におけるトレイの壁部の下端は、トレイの側方へ向かって突き出た状態になっていると言える。したがって、この部分が外周面で摺動している円柱状の棒材に、外周面から窪む凹部が形成されている場合、トレイの壁部の上端が凹部へ進入しやすい。このため、トレイ受入口に積み重なったトレイであっても、下から順に1枚ずつ取り込み可能となる。そして、取り込んだトレイをトレイ洗浄室で洗浄することができる。
【0010】
なお、固定支持部は、トレイ受入口に置かれるトレイの片側を支持し、可動支持部は、トレイ受入口に置かれるトレイを、固定支持部の反対側から支持してもよい。これによれば、積み重なったトレイを、可動支持部が設けられている側で1枚ずつ取り込んで洗浄することが可能となる。
【0011】
また、トレイは、長方形の長辺と短辺に相当する部位を有しており、棒材の長手方向における凹部の長さは、長辺または短辺の長さ以上であってもよい。これによれば、長方形の長辺と短辺に相当する部位を有するトレイが積み重なっていても、1枚ずつ取り込んで洗浄することが可能となる。
【0012】
また、トレイを積み上げ可能なトレイ排出口と、トレイ洗浄室を通過したトレイを、トレイ排出口の下部において、上へ突き上げる突き上げ機構と、を更に備えてもよい。これによれば、洗浄済のトレイをトレイ排出口へ積み上げ可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトレイ洗浄装置であれば、積み重なった複数枚のトレイを自動洗浄可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係るトレイ洗浄装置の外観を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、トレイの動きの一例を示した図である。
【
図3】
図3は、トレイ洗浄装置の内部構成図である。
【
図4】
図4は、トレイ洗浄装置のシステム構成図である。
【
図5】
図5は、トレイ洗浄装置におけるトレイの動きを示した第1の図である。
【
図6】
図6は、トレイ洗浄装置におけるトレイの動きを示した第2の図である。
【
図7】
図7は、トレイ受入口における回転支持棒とトレイとの相対的な位置関係を詳細に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げ、天ぷら、焼肉といった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0016】
図1は、実施形態に係るトレイ洗浄装置の外観を示した斜視図である。トレイ洗浄装置1は、
図1に示すように、略直方体の筐体2の正面側に操作パネル3を有し、筐体2の上面にトレイ受入口4とトレイ排出口6を備えた装置である。トレイ洗浄装置1は、トレイ受入口4に置かれたトレイをトレイ洗浄室5内で洗浄し、トレイ排出口6から排出する。トレイ受入口4は、トレイ洗浄装置1で洗浄したい使用済みのトレイを、上下逆向きの状態で積み重ね可能である。このため、トレイ受入口4には、積み重なったトレイが横倒しになるのを防ぐために、トレイを側方から支持するための支持棒7が設けられている。そして、トレイ洗浄装置1を取り扱う者は、トレイ洗浄装置1が設置されている店内で使用された食器(本願でいう「物品」の一例である)用のトレイを複数枚まとめてトレイ受入
口4へセットすることが可能である。また、トレイ排出口6には、洗浄済のトレイが下から積み上がる。このため、トレイ排出口6には、積み上がったトレイが横倒しになるのを防ぐために、トレイを側方から支持するための支持板8が設けられている。そして、トレイ洗浄装置1を取り扱う者は、トレイ洗浄装置1で洗浄されてトレイ排出口6に積み上がったトレイをトレイ排出口6から取り出すことができる。
【0017】
図2は、トレイの動きの一例を示した図である。トレイ洗浄装置1は、トレイ受入口4に積み重なったトレイTを下から順に1枚ずつ機内へ取り込む。そして、トレイ洗浄装置1は、
図4から機内に取り込んだトレイTをトレイ洗浄室5で洗浄し、トレイ排出口6で下から積み上げるようにトレイTを排出する。このため、
図2(A)に示すように、トレイ受入口4にトレイTが複数枚積み上げられた状態でトレイ洗浄装置1が作動すると、
図2(B)に示すように、トレイ受入口4に積み上がっているトレイTが徐々に減り、トレイ排出口6にトレイTが積み上がる。そして、
図2(C)に示すように、トレイTがトレイ受入口4から全て無くなり、トレイ洗浄装置1の機内に取り込まれたトレイTがトレイ排出口6へ全て排出されると、トレイ洗浄装置1は、トレイ受入口4に積み重なっていた全てのトレイTがトレイ排出口6へ積み上がった状態で自動停止する。
【0018】
図3は、トレイ洗浄装置1の内部構成図である。
図3に示すように、トレイ洗浄装置1には様々な部品が備わっている。トレイ洗浄装置1の内部構成について、以下、トレイ受入口4に取り込まれたトレイTがトレイ排出口6へ移動する経路の順に沿って説明する。
【0019】
トレイ受入口4には、上述したように、支持棒7が備わっている。この支持棒7は、
図1等に示すように、上向きに立設された棒状の部材である。支持棒7の中腹には、固定支持片11(本願でいう「固定支持部」の一例である)が設けられている。固定支持片11は、トレイ受入口4に置かれるトレイTを支持する部材である。固定支持片11は、トレイTの片側を支持する。よって、固定支持片11は、トレイT全体を支持することはできない。そこで、トレイ洗浄装置1のトレイ受入口4には、支持棒7の他に、回転支持棒13(本願でいう「可動支持部」の一例である)が備わっている。回転支持棒13は、トレイTを固定支持片11の反対側で支持する。回転支持棒13は、モータによって回転駆動される円柱状の棒材であり、外周面14と、外周面14から窪む凹部15と、を有している。凹部15は、回転支持棒13の長手方向に沿って延在する筋状の窪みである。凹部15は、回転支持棒13の長手方向に直交する断面で扇状の形態を呈する窪みである。そして、凹部15の長手方向沿いにおける長さは、トレイTに対応する長さを有している。例えば、トレイ洗浄装置1が、トレイTの長辺と回転支持棒13の長手方向とが沿うような向きでトレイTをトレイ受入口4に置く形態の場合であれば、凹部15の長手方向沿いにおける長さは、トレイTの長辺の長さ以上とされる。また、例えば、トレイ洗浄装置1が、トレイTの短辺と回転支持棒13の長手方向とが沿うような向きでトレイTをトレイ受入口4に置く形態の場合であれば、凹部15の長手方向沿いにおける長さは、トレイTの短辺の長さ以上とされる。凹部15は、様々な方法で形成可能であるが、例えば、金属製の丸棒に、長手方向に沿った切削加工を施して形成すれば、回転支持棒13を比較的安価に製作可能である。
【0020】
また、トレイ洗浄装置1には、支持部材12が設けられている。支持部材12は、トレイ洗浄装置1の作動により、トレイ受入口4に置かれて固定支持片11と回転支持棒13に支持されていたトレイTが、固定支持片11と回転支持棒13から落ちると、落ちたトレイTを支持する。また、トレイ洗浄装置1には、トレイTをトレイ洗浄室5経由でトレイ排出口6へ送るための回転ローラ22が設けられている。回転ローラ22は、モータによって回転駆動されるローラである。回転ローラ22は、
図3に示すように、トレイ洗浄装置1の機内において、トレイ受入口4からトレイ排出口6までの間に適当な間隔で複数設けられている。このため、回転ローラ22は、トレイ洗浄装置1の機内へ取り込まれた
トレイTを、トレイ受入口4からトレイ排出口6へ搬送することが可能である。トレイ洗浄装置1には、回転ローラ22に搬送されるトレイTが洗浄水の圧力で浮き上がるのを防ぐための抑えローラ30が設けられているため、トレイTは、トレイ受入口4からトレイ排出口6へ回転ローラ22上をスムーズに移動することができる。抑えローラ30は、自重でトレイTを抑える。
【0021】
また、トレイ洗浄装置1には、洗浄ノズル16と水切りノズル17が設けられている。洗浄ノズル16と水切りノズル17は、トレイ洗浄室5内に設けられている。洗浄ノズル16は、回転ローラ22によって搬送されるトレイTへ洗浄水を吹き付けるノズルである。また、水切りノズル17は、回転ローラ22によって搬送されるトレイTへ空気を吹き付けるノズルである。これにより、回転ローラ22によってトレイ受入口4からトレイ排出口6へ向けて搬送されるトレイTは、トレイ洗浄室5内において、洗浄ノズル16から吹き出る洗浄水で洗浄され、水切りノズル17から吹き出る風で水分が除去される。
【0022】
そして、トレイ洗浄装置1には、遊転ローラ18がトレイ排出口6に設けられている。遊転ローラ18は、回転ローラ22に搬送されたトレイTをトレイ排出口6の下部で一時的に支持するローラである。遊転ローラ18は、トレイ排出口6の下部に複数設けられており、トレイTが自重で
図3の紙面右側へ移動するように、各遊転ローラ18が徐々に右下へ下がる下り勾配の搬送路を形成するように配置されている。このため、回転ローラ22から遊転ローラ18へ乗り移ったトレイTは、遊転ローラ18の上を自重で移動する。
【0023】
そして、トレイ洗浄装置1には、遊転ローラ18に支持されているトレイTを下から突き上げるための突き上げ部材19及び昇降装置20が、トレイ排出口6の下部に設けられている。突き上げ部材19は、トレイTの下面に接触してトレイTを突き上げる部材である。昇降装置20は、突き上げ部材19をモータで昇降する装置である。
【0024】
また、トレイ洗浄装置1には、トレイ排出口6で突き上げ部材19に突き上げられたトレイTが再び下がるのを止めるための、トレイTを爪で引っ掛けるトレイ支持ストッパ21が設けられている。トレイ支持ストッパ21は、
図3において破線の枠線内に示すように、トレイ洗浄装置1の右側から見ると、トレイ排出口6の内壁面から爪状のものを突き出す形態の部材である。トレイ支持ストッパ21は、下から突き上げられたトレイTが接触すると引っ込み、トレイTが下から上へ向かって通過するのを許容する。一方、トレイ支持ストッパ21は、トレイTが上から下へ向かって通過しようとする場合には引っ込まず、トレイTの通過を阻害する。このため、トレイ排出口6においてトレイTが下から突き上げられると、トレイ排出口6においてトレイTがトレイ支持ストッパ21に支持された状態になる。そして、トレイ排出口6においてトレイTが下から繰り返し突き上げられると、トレイ排出口6においてトレイTが積み上がっていくことになる。トレイ支持ストッパ21は、長手方向全体でトレイTを支持する棒状のストッパであってもよいし、或いは、トレイTを4点で支持する4つの爪状のストッパであってもよい。
【0025】
図4は、トレイ洗浄装置1のシステム構成図である。トレイ洗浄装置1は、
図4に示すように、モータや電磁弁等の制御を司る制御装置23と、トレイ受入口4にトレイTが置かれたことを検知するトレイセンサ24を備える。制御装置23は、トレイ受入口4にトレイTが置かれていることをトレイセンサ24で検知すると、回転ローラ22や回転支持棒13を回転させるためのモータ25、水切りノズル17へ空気を送るブロワ26、洗浄ノズル16へ水を送るポンプ27、トレイTを突き上げるための昇降装置20を作動させる。また、制御装置23は、ポンプ27の吸込口側に設けられた貯水タンク28が所定の水位を保つように、給水経路に設けられた電磁弁29を開閉する。トレイ洗浄装置1は、ポンプ27や貯水タンク28を省略し、店舗に設けられた水道管に給水経路が直接繋がる形態であってもよい。
【0026】
図5は、トレイ洗浄装置1におけるトレイTの動きを示した第1の図である。トレイ洗浄装置1は、トレイTがトレイ受入口4に積み重ねられたことをトレイセンサ24で検知すると、制御装置23がモータ25等を作動させる。この状態では、
図5(A)に示されるように、トレイTがトレイ受入口4で固定支持片11と回転支持棒13に支持された状態である。そして、モータ25が作動すると、回転支持棒13や回転ローラ22が回転する。
【0027】
トレイTを支持している回転支持棒13が回転すると、
図5(B)に示されるように、トレイTの外周面14に接触していた部分が凹部15に入る。これにより、トレイ受入口4に積み重なった複数のトレイTのうち最下段のトレイTが、1つ上のトレイTから離れる。そして、回転支持棒13が回転し続けると、トレイ受入口4に積み重なった複数のトレイTのうち最下段のトレイTが固定支持片11と回転支持棒13の支持を失い、
図5(C)に示されるように、固定支持片11と回転支持棒13の間を通り抜けて下へ落ちる。
【0028】
図6は、トレイ洗浄装置1におけるトレイTの動きを示した第2の図である。固定支持片11と回転支持棒13の間を通り抜けて下へ落ちたトレイTは、
図6(A)に示されるように、回転ローラ22に載る。そして、トレイTは、
図6(B)に示されるように、トレイ受入口4からトレイ洗浄室5を経てトレイ排出口6へ移動する。トレイTは、トレイ排出口6において突き上げ部材19と昇降装置20に突き上げられ、
図6(C)に示されるように、トレイ排出口6内のトレイ支持ストッパ21に支持された状態になる。
【0029】
これら一連の動作が繰り返し行われることにより、トレイ排出口6には、トレイTが徐々に積み上がっていく。トレイ洗浄室5では、トレイTの洗浄が行われるので、トレイ排出口6に積み上がるトレイTは、清潔な状態になっている。よって、トレイ排出口6に積み上がったトレイTは、飲食物の運搬等に利用可能な状態である。
【0030】
図7は、トレイ受入口4における回転支持棒13とトレイTとの相対的な位置関係を詳細に示した図である。トレイ洗浄装置1は、トレイ受入口4にトレイTを上下逆向きの状態で積み重ねる設計となっている。トレイ洗浄装置1が洗浄対象とするトレイTは、食器載置用の底板部分である底板部分T1と、底板部分T1の縁T3から外側へ斜めに立設される壁部T2を有するトレイである。壁部T2は、底板部分T1の縁T3の全周部分に渡って立設されている。よって、壁部T2は、食器が載置される底板部分T1の表面を取り囲むような形態となっている。そして、トレイTは、
図7に示すように、略長方形のトレイ(お盆)であり、長辺と短辺をそれぞれ2つずつ有している。また、凹部15は、トレイTの長辺と同等の長さを有している。よって、トレイ受入口4に上下逆向きの状態で積み重なったトレイTは、トレイ洗浄装置1が作動すると、トレイ受入口4で以下のように動く。
【0031】
すなわち、トレイTは、トレイ受入口4では上下逆向きの状態で積み重なっているため、略長方形を構成する2つの長辺のうちの一つの長辺の対する部分において、壁部T2の上端T4が回転支持棒13の外周面14に接触している。そして、回転支持棒13は、トレイ洗浄装置1の作動中、回転している。よって、
図7(A)に示されるように、外周面14は、回転支持棒13が回転駆動されている状態において、トレイTの上端T4が摺動している。トレイTの上端T4が、外周面14上を摺動するため、トレイTには回転支持棒13から離れる方向へ向かう摩擦力が外周面14から加わるが、トレイTは、回転支持棒13の反対側が支持棒7に接触している。このため、トレイTは、外周面14から摩擦力を受けても、横方向には移動しない。
【0032】
そして、
図7(B)に示されるように、外周面14に窪みを形成する凹部15が上端T
4に対向する位置関係になると、上端T4が凹部15に進入する。この時、凹部15に上端T4が進入したトレイTよりも1つ上のトレイTの上端T4は、凹部15よりも上側で外周面14に接触する状態となる。このため、凹部15に上端T4が進入したトレイTよりも1つ上のトレイTは、回転支持棒13の外周面14に支持された状態となる。この結果、凹部15に上端T4が進入したトレイTは、回転支持棒13が回転し続けることにより、1つ上のトレイTから徐々に離れる。そして、
図7(C)に示されるように、回転支持棒13の支持を失って下へ落ちる。
【0033】
トレイ洗浄装置1の作動中、トレイ受入口4における回転支持棒13とトレイTの相対的な位置関係のこのような変化が繰り返されるため、トレイ受入口4に積み重なったトレイTは、1枚ずつトレイ受入口4内の下部へ繰り落とされることになる。また、トレイTが上下逆向きの状態でトレイ受入口4内の下部へ繰り落とされるため、トレイTの表面(上面)に付着していた付着物をトレイTから落とすことができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、略長方形のトレイTを洗浄する形態となっていたが、トレイ洗浄装置1は、このような形態のトレイTの洗浄に限定されるものではない。トレイ洗浄装置1は、例えば、円形、楕円形、台形、三角形、その他各種形態のトレイの洗浄に適用することもできる。その場合、回転支持棒13やその他の構成要素は、トレイの形態に合わせた形状や寸法が採用されることになる。
【0035】
また、トレイTを洗浄する水は、例えば、洗剤を含んだ水、高温の水、その他各種の洗浄水であってもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、機内でトレイTを回転ローラ22に載せて搬送しているが、トレイ洗浄装置1は、ベルトやチェーン等にトレイTを載せて搬送する形態であってもよい。
【0037】
また、上記実施形態のトレイ洗浄装置1は、機内を洗浄する内部洗浄装置を備えたり、トレイTをブラッシングする洗浄ブラシを備えたり、その他の各種変更を加えてもよい。また、上記実施形態のトレイ洗浄装置1は、飲食用の食器以外の物品を載せるトレイの洗浄に用いてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・トレイ洗浄装置
2・・筐体
3・・操作パネル
4・・トレイ受入口
5・・トレイ洗浄室
6・・トレイ排出口
7・・支持棒
8・・支持板
T・・トレイ
11・・固定支持片
12・・支持部材
13・・回転支持棒
14・・外周面
15・・凹部
16・・洗浄ノズル
17・・水切りノズル
18・・遊転ローラ
19・・突き上げ部材
20・・昇降装置
21・・トレイ支持ストッパ
22・・回転ローラ
23・・制御装置
24・・トレイセンサ
25・・モータ
26・・ブロワ
27・・ポンプ
28・・貯水タンク
29・・電磁弁
30・・抑えローラ
T1・・底板部分
T2・・壁部
T3・・縁
T4・・上端