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特開2022-161658賃貸不動産シミュレーション装置、賃貸不動産シミュレーション方法、及び賃貸不動産シミュレーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161658
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】賃貸不動産シミュレーション装置、賃貸不動産シミュレーション方法、及び賃貸不動産シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20221014BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066635
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 勝也
(72)【発明者】
【氏名】菊池 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】賃貸不動産のストレステストを自動化して、低負荷かつ多面的な分析が可能な賃貸不動産シミュレーション装置、賃貸不動産シミュレーション方法、及び賃貸不動産シミュレーションプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置は、賃貸不動産毎の概況を登録した物件登録データにアクセス可能に構成されており、ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定するストレスシナリオ登録手段と、前記物件登録データについて、前記ストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出するストレステスト処理手段と、前記物件シミュレーションデータについて、所定の集計区分で集計した集計結果を出力する確認手段と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた賃貸不動産シミュレーション装置であって、
前記制御部は、
賃貸不動産毎の概況を登録した物件登録データにアクセス可能に構成されており、
ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定するストレスシナリオ登録手段と、
前記物件登録データについて、前記ストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出するストレステスト処理手段と、
前記物件シミュレーションデータについて、所定の集計区分で集計した集計結果を出力する確認手段と、
を備えたことを特徴とする賃貸不動産シミュレーション装置。
【請求項2】
前記物件登録データは、物件番号、店舗、所在地、最寄り駅、駅からの距離、構造、用途、部屋数、稼働数、元本返済額、ローン残高、建築年月日、家賃収入、駐車場収入、支払利息、修繕費、還元利回り、課税対象額、及び減価償却費を含むことを特徴とする請求項1に記載の賃貸不動産シミュレーション装置。
【請求項3】
前記ストレステストの所定の項目は、家賃収入、金利上昇、及び年間修繕費の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の賃貸不動産シミュレーション装置。
【請求項4】
前記集計区分は、地区年数別、駅からの距離別、及び店舗別の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の賃貸不動産シミュレーション装置。
【請求項5】
前記集計結果は、将来キャッシュフロー、LTV(Life Time Value)、DSCR(Debt Service Coverage Ratio)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の賃貸不動産シミュレーション装置。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置で実行される賃貸不動産シミュレーション方法であって、
前記制御部は、
賃貸不動産毎の概況を登録した物件登録データにアクセス可能に構成されており、
前記制御部において実行される、
ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定するストレスシナリオ登録工程と、
前記物件登録データについて、前記ストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出するストレステスト処理工程と、
前記物件シミュレーションデータについて、所定の集計区分で集計した集計結果を出力する確認工程と、
を含むことを特徴とする賃貸不動産シミュレーション方法。
【請求項7】
制御部を備えた情報処理装置で実行される賃貸不動産シミュレーションプログラムであって、
前記制御部は、
賃貸不動産毎の概況を登録した物件登録データにアクセス可能に構成されており、
前記制御部において、
ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定するストレスシナリオ登録工程と、
前記物件登録データについて、前記ストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出するストレステスト処理工程と、
前記物件シミュレーションデータについて、所定の集計区分で集計した集計結果を出力する確認工程と、
を実行するための賃貸不動産シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃貸不動産シミュレーション装置、賃貸不動産シミュレーション方法、及び賃貸不動産シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、賃貸不動産に融資している金融業界では、融資物件の現状を分析する必要がある。賃貸不動産を分析するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-120503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、賃貸不動産のストレステストを自動化して、低負荷かつ多面的な分析が可能なシミュレーションを行うことに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、賃貸不動産のストレステストを自動化して、低負荷かつ多面的な分析が可能な賃貸不動産シミュレーション装置、賃貸不動産シミュレーション方法、及び賃貸不動産シミュレーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた賃貸不動産シミュレーション装置であって、前記制御部は、賃貸不動産毎の概況を登録した物件登録データにアクセス可能に構成されており、ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定するストレスシナリオ登録手段と、前記物件登録データについて、前記ストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出するストレステスト処理手段と、前記物件シミュレーションデータについて、所定の集計区分で集計した集計結果を出力する確認手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記物件登録データは、物件番号、店舗、所在地、最寄り駅、駅からの距離、構造、用途、部屋数、稼働数、元本返済額、ローン残高、建築年月日、家賃収入、駐車場収入、支払利息、修繕費、還元利回り、課税対象額、及び減価償却費を含むことにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記ストレステストの所定の項目は、家賃収入、金利上昇、及び年間修繕費の少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記集計区分は、地区年数別、駅からの距離別、及び店舗別の少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記集計結果は、将来キャッシュフロー、LTV(Life Time Value)、DSCR(Debt Service Coverage Ratio)の少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される賃貸不動産シミュレーション方法であって、前記制御部は、賃貸不動産毎の概況を登録した物件登録データにアクセス可能に構成されており、前記制御部において実行される、ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定するストレスシナリオ登録工程と、前記物件登録データについて、前記ストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出するストレステスト処理工程と、前記物件シミュレーションデータについて、所定の集計区分で集計した集計結果を出力する確認工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される賃貸不動産シミュレーションプログラムであって、前記制御部は、
賃貸不動産毎の概況を登録した物件登録データにアクセス可能に構成されており、前記制御部において、ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定するストレスシナリオ登録工程と、前記物件登録データについて、前記ストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出するストレステスト処理工程と、前記物件シミュレーションデータについて、所定の集計区分で集計した集計結果を出力する確認工程と、を実行するための賃貸不動産シミュレーションプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、賃貸不動産融資のストレステストを自動化して、低負荷かつ多面的な分析が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の制御部の全体の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。
図3図3は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図4図4は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図5図5は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
賃貸不動産に融資している金融業界では、融資に適した物件であるかを常に分析する必要がある。しかしながら、従来は、従来は紙(EXCEL)にて顧客単位で手運用により分析していた。そのため、様々な切り口からのシミュレーション及び融資している全体の状況の把握が煩雑になっており、かつ、手計算により時間を要していた。
【0017】
増え続ける賃貸不動産融資用の分析するため、煩雑になっているEXCEL帳票や賃貸不動産融資のストレステストをシステム化し途上リスク管理の負荷軽減・分析力強化が必要となっている。
【0018】
そこで、本実施の形態では、賃貸不動産融資のストレステストを自動化して、低負荷かつ多面的な分析が可能なシミュレーションシステムを構築した。具体的には、年度毎に様々な状況を変更可能に構成して、将来的なキャッシュフロー、LTV(Life Time Value)、DSCR(Debt Service Coverage Ratio)を算出することを実現した。加えて、物件単位、地区単位等様々な切り口でシミュレーションできることも実現した。
【0019】
[2.構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の一例について説明する。図1は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置の構成の一例を示すブロック図である。図1において、賃貸不動産シミュレーション装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。賃貸不動産シミュレーション装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0020】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、賃貸不動産シミュレーション装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、賃貸不動産シミュレーション装置100とサーバ200等とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0021】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、および、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。
【0022】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、および、ファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等を用いることができる。また、記憶部106は、データファイル106aを備えている。
【0023】
データファイル106aは、物件登録データ等の各種データを格納するためのファイルである。物件登録データは、物件番号、店舗、所在地、最寄り駅、駅からの距離、構造、用途、部屋数、稼働数、元本返済額(千円)、ローン残高(千円)、建築年月日、家賃収入(千円)、駐車場収入(千円)、支払利息(千円)、修繕費(千円)、還元利回り、課税対象額(千円)、減価償却費(千円)を含んでいてもよい(図3参照)。
【0024】
制御部102は、賃貸不動産シミュレーション装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、記憶部106に格納されているデータファイル106aにアクセス可能に構成されている。なお、データファイル106aは、他の場所(例えば、サーバ200)に設けられていてもよく、制御部102がアクセス可能な構成であればよい。
【0025】
制御部102は、機能概念的に、物件登録部102aと、ストレスシナリオ登録部102bと、ストレステスト処理部102cと、確認部102dと、画面表示制御部102eと、を備えている。
【0026】
物件登録部102aは、物件登録データを入力して、データファイル106aに登録する。例えば、物件登録部102aは、不図示の物件登録画面上でのオペレータの操作に応じて、物件登録データを入力したり、ネットワーク300を介して外部装置から物件登録データを取得して入力することにしてもよい。
【0027】
物件登録データは、物件番号、店舗、所在地、最寄り駅、駅からの距離、構造、用途、部屋数、稼働数、元本返済額、ローン残高、建築年月日、家賃収入、駐車場収入、支払利息、修繕費、還元利回り、課税対象額、及び減価償却費を含むことにしてもよい。
【0028】
ストレスシナリオ登録部102bは、例えば、モニタ114に表示されるストレスシナリオ入力画面(図4参照)上でのオペレータの操作に応じて、ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定する。ストレステストの所定の項目は、家賃収入、金利上昇、及び年間修繕費の少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0029】
ストレステスト処理部102cは、データファイル106aに登録されている物件登録データについて、ストレスシナリオ登録部102bで設定されるストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出して、データファイル106aに格納する。
【0030】
確認部102dは、例えば、モニタ114に表示されるストレス結果確認画面(図6参照)上でのオペレータの操作に応じて、所定の集計区分を指定し、データファイル106aに格納されている物件シミュレーションデータについて、指定した所定の集計区分で集計した集計結果(評価結果)を出力する。
【0031】
集計区分は、地区年数別、駅からの距離別、及び店舗別の少なくとも1つを含むことにしてもよい。評価結果は、将来キャッシュフロー(例えば、年度収入計)、LTV、DSCRの少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0032】
画面表示制御部102eは、例えば、モニタ114に表示する各種画面(例えば、物件登録画面、ストレスシナリオ入力画面、ストレス結果確認画面)の表示及びその入力の受付を制御する。
【0033】
[3.具体例]
本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置100の処理の具体例について、図1図7を参照して説明する。図2は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置100の全体の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。図3図7は、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置100の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【0034】
(3-1.全体の処理)
図2を参照して、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置100の全体の処理の流れを説明する。図2において、物件登録部102aは、物件登録処理を実行する(ステップS1)。具体的には、物件登録処理では、物件登録部102aは、例えば、モニタ114に表示される不図示の物件登録画面上でのオペレータの操作に応じて、物件登録データを入力してデータファイル106aに登録したり、ネットワーク300を介して外部装置から物件登録データを取得してデータファイル106aに登録してもよい。
【0035】
物件登録データは、物件番号、店舗、所在地、最寄り駅、駅からの距離、構造、用途、部屋数、稼働数、元本返済額、ローン残高、建築年月日、家賃収入、駐車場収入、支払利息、修繕費、還元利回り、課税対象額、及び減価償却費を含むことにしてもよい。
【0036】
ストレスシナリオ登録部102bは、ストレスシナリオ登録処理を実行する(ステップS2)。具体的には、ストレスシナリオ登録処理では、ストレスシナリオ登録部102bは、例えば、モニタ114に表示されるストレスシナリオ入力画面(図4参照)上でのオペレータの操作に応じて、抽出条件及びストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定する。ストレステストの所定の項目は、家賃収入、金利上昇、及び年間修繕費の少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0037】
ストレステスト処理部102cは、ストレステスト処理を実行する(ステップS3)。具体的には、ストレステスト処理では、ストレステスト処理部102cは、ストレスシナリオ登録部102bで設定される抽出条件に該当する物件登録データをデータファイル106aから抽出して、抽出した物件登録データに基づいて、ストレスシナリオ登録部102bで設定されるストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出して、データファイル106aに格納する。
【0038】
確認部102dは、確認処理を実行する(ステップS4)。具体的には、確認処理では、確認部102dは、例えば、モニタ114に表示されるストレス結果確認画面(図6参照)上でのオペレータの操作に応じて、所定の集計区分を指定し、物件シミュレーションデータについて、指定した所定の集計区分で集計した集計結果(評価結果)を出力する。
【0039】
集計区分は、地区年数別、駅からの距離別、及び店舗別の少なくとも1つを含むことにしてもよい。集計結果は、将来キャッシュフロー(例えば、年度収入計)、LTV、DSCRの少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0040】
(3-2.サンプルデータ)
つぎに、図3図7のサンプルデータを参照して、本実施の形態に係る賃貸不動産シミュレーション装置100の制御部の処理の具体例を説明する。
【0041】
(物件登録処理S1)。
物件登録部102aは、例えば、モニタ114に表示される不図示の物件登録画面上でのオペレータの操作に応じて、物件登録データを入力してデータファイル106aに登録する。図3は、物件登録処理を説明するための図である。
【0042】
図3に示す物件登録データの例では、1行目は、物件番号「PJ0001」、店舗「A」、所在地「東京都中央区・・・」、最寄り駅「日本橋」、駅からの距離「5分」、構造「鉄骨鉄筋コンクリート造り」、用途「居宅」、部屋数「10」、稼働数「8」元本返済額(千円)「10,000」、ローン残高(千円)「100,000」、建築年月日「1998/01/01」、家賃収入(千円)「10,000」、駐車場収入(千円)「1,000」、支払利息(千円)「1,600」、修繕費(千円)「1,000」、還元利回り「7.0」、課税対象額(千円)「20,000」、減価償却費(千円)「2,500」となっている。
【0043】
2行目は、物件番号「PJ0002」、店舗「B」、所在地「東京都中野区・・・」、最寄り駅「中野」、駅からの距離「10分」、構造「鉄骨コンクリート造り」、用途「居宅」、部屋数「20」、稼働数「16」元本返済額(千円)「8,000」、ローン残高(千円)「80,000」、建築年月日「1999/02/01」、家賃収入(千円)「12,000」、駐車場収入(千円)「1,200」、支払利息(千円)「1,800」、修繕費(千円)「1,000」、還元利回り「7.0」、課税対象額(千円)「10,000」、減価償却費(千円)「2,200」となっている。
【0044】
(ストレスシナリオ登録処理S2)
ストレスシナリオ登録部102bは、例えば、モニタ114に表示されるストレスシナリオ入力画面(図4参照)上でのオペレータの操作に応じて、抽出条件及びストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定する。図4は、ストレスシナリオ登録処理を説明するための図である。
【0045】
図4に示すストレスシナリオ入力画面の例では、実績開始年度の入力欄と、シナリオ内容の入力欄と、築年数別、構造、駅からの距離別、都道府県、市区町村、店番号等の抽出条件を入力するエリアと、ストレステストのパラメータ値(家賃収入(%)、金利上昇(%)、年間修繕費(%))を入力するエリアと、実行ボタンと、を備えている。この画面でデータを設定して、実行ボタンを押すと、ストレスシナリオ処理が実行される。同図に示す例では、抽出条件は、全物件が対象に設定されている(指定無し)。ストレスシナリオのパラメータ値として、家賃収入(%)「80%」、金利上昇(%)「0.1%」、年間修繕費(%)「120%」が設定されている。
【0046】
(ストレステスト処理S3)
ストレステスト処理部102cは、ストレスシナリオ登録部102bで設定される抽出条件に該当する物件登録データをデータファイル106aから抽出して、抽出した物件登録データに基づいて、ストレスシナリオ登録部102bで設定されるストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出して、データファイル106aに登録する。図5は、ストレステスト処理を説明するための図である。
【0047】
ここでは、図4の設定に従い、抽出条件は全物件を対象とし、ストレスシナリオのパラメータ値として、家賃収入(%)「80%、金利上昇(%)「0.1%」、年間修繕費(%)「120%」の場合の計算例を説明する。
【0048】
(1)家賃収入
家賃収入は、物件登録データの家賃収入×家賃収入のパラメータ値(%)=家賃収入(計算後)で算出する。例えば、10,000千円(家賃収入)×80%(パラメータ値)=8,000千円(家賃収入)となる。
【0049】
(2)支払利息
支払利息は、物件登録データの支払利息(約定レート)÷借入金×100=利率、利率+金利上昇(%)のパラメータ値(%)=利率(計算後)、物件登録データの借入金×利率(計算後)÷100=支払利息(計算後)で算出する。
【0050】
例えば、1500千円(支払利息(約定レート))÷100,000千円(借入金)×100=1.5%(利率)、1.5%(利率)+0.1%(パラメータ値)=1.6%(利率(計算後))、100,000千円(借入金)×1.6%(利率(計算後))÷100=1600千円(支払利息(約定レート))となる。
【0051】
(3)修繕費
修繕費は、物件登録データの年間修繕費×年間修繕費(%)のパラメータ値(%)=年間修繕費(計算後)で算出する。
【0052】
例えば、800千円(年間修繕費)×120%(パラメータ値)=960千円(年間修繕費)となる。
【0053】
図5に示す物件シミュレーションデータ(計算後)の例では、物件番号「PJ0001」については、家賃収入(千円)「80,000」、駐車場収入(千円)「8,000」、支払利息(千円)「1,760」、修繕費(千円)「1,200」、還元利回り「7.0」となっている。物件番号「PJ0002」については、家賃収入(千円)「96,000」、駐車場収入(千円)「9,600」、支払利息(千円)「1,980」、修繕費(千円)「1,200」、還元利回り「7.0」となっている。
【0054】
(確認処理S4)。
確認部102dは、例えば、モニタ114に表示されるストレス結果確認画面(図6参照)上でのオペレータの操作に応じて、所定の集計区分を指定し、物件シミュレーションデータに基づいて、指定した所定の集計区分で集計した評価結果を出力する。図6及び図7は、確認処理を説明するための図である。
【0055】
図6に示すストレス結果確認画面の例では、シナリオNOの入力欄と、集計区分の入力欄と、出力ボタンと、再選択ボタンを備えている。ストレス結果確認画面より、シナリオNo、集計区分を選択し、出力ボタンを押下すると、物件シミュレーションデータを指定した所定の集計区分で集計した評価結果(ストレス結果集計表)の所定形式のファイル(例えば、EXCEL)が作成される。
【0056】
ストレスNoは、ストレスシナリオ入力で入力したシナリオ内容を選択する。集計区分は、築年数別、駅からの距離別、店舗別のいずれかを選択する。選択した項目で集計を実施する。集計区分については以下の単位でぞれぞれの集計結果のファイル(例えば、EXCELのシート)が作成される。
【0057】
築年数別の場合は、例えば、(1)0~9年、(2)10~19年、(3)20~29年、(4)30年以上とする。築年数は、物件シミュレーションデータの建築年月日から実績開始年度から現在日付までの年度毎で計算する。
【0058】
駅からの距離別の場合は、例えば、(1)0分、(2)5分以内、(3)6~10分、(4)11~15分、(5)16~20分、(6)21~30分、(7)30分以上とする。駅からの距離は、物件シミュレーションデータの駅からの距離項目から(1)~(7)に当てはまる箇所に選別する。
【0059】
店舗別の場合は、1シートとして、登録している店舗別に集計する。店舗別は、物件シミュレーションデータの店舗毎となる。
【0060】
図6のストレス結果確認画面で、集計区分として築年数別が選択された場合(築年数:20~29年)の集計結果(評価結果)の例が以下となる。集計区分は物件シミュレーションデータの構造毎で集計する。全体行は構造毎の平均値とする。以下の例では、平成29年度と平成30年度の例を示す。
【0061】
図7は集計結果(評価結果)の表の例を示している。図7に示す集計結果(評価結果の例)の例では、No、集計区分名、入居率(%)、年度収入計(千円)、LTV(評価額)、DSCRの項目を含んでいる。6行目の例では、平成29年度の場合は、No「6」、集計区分名「鉄骨鉄筋コンクリート造り×20~29年」、入居率(%)「80.000%」、年度収入計(千円)「88,000千円」、LTV(評価額)「35.000%」、DSCR「2.164」となっている。
【0062】
各項目の計算方法を説明する。
(1)入居率
物件シミュレーションデータの稼働数÷物件シミュレーションデータの部屋数×100=入居率(%)で算出する。上記の例では、8(稼働数)÷10(部屋数)×100=80(%)となる。上記計算を物件番号毎に実施し、対象構造分毎に加算し、加算した数の平均の値結果をセットする。
【0063】
(2)年度収入計
物件シミュレーションデータの家賃収入+物件シミュレーションデータの駐車場収入=年度収入計(千円)で算出する。上記の例では、80,000千円(家賃収入)+8,000千円(駐車場収入)=88,000(千円)となる。上記計算を物件番号毎に実施し、対象構造分毎に加算した結果をセットする。
【0064】
(3)LTV(評価額)
LTV=ローン残高/物件の価値(課税対象額/還元利回り)
物件シミュレーションデータのローン残高÷(物件シミュレーションデータの課税対象額÷物件シミュレーションデータの還元利回り)=LTVで算出する。上記の例では、100,000(千円)÷(20,000(千円)÷7(%))=35(%)となる。上記計算を物件番号毎に実施し、対象構造分毎に加算し、加算した数の平均の値結果をセットする。
【0065】
(4)DSCR(評価額)
DSCR=NOI(課税対象額+減価償却費+支払利息+年間修繕費)÷元利金返済額
(物件シミュレーションデータの課税対象額+物件シミュレーションデータの現価償却費+物件シミュレーションデータの支払利息+物件シミュレーションデータの年間修繕費)÷元利金返済額(物件シミュレーションデータの元本返済額+物件シミュレーションデータの支払利息)=DSCRで算出する。上記の例では、(20,000(千円)+2,500(千円)+1,760(千円)+1,200(千円))÷(10,000(千円)+1,760(千円))=2.164となる。上記計算を物件番号毎に実施し、対象構造分毎に加算し、加算した数の平均の値結果をセットする。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態の賃貸不動産シミュレーション装置100によれば、賃貸不動産毎の概況を登録した物件登録データにアクセス可能に構成されており、ストレステストの所定の項目のパラメータ値を設定するストレスシナリオ登録部102bと、前記物件登録データについて、前記ストレステストの所定の項目のパラメータ値から物件シミュレーションデータを算出するストレステスト処理部102cと、前記物件シミュレーションデータについて、所定の集計区分で集計した集計結果を出力する確認部102dと、を備えているので、賃貸不動産融資のストレステストを自動化して、低負荷かつ多面的な分析が可能となる。
【0067】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0070】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0071】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0072】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0073】
また、賃貸不動産シミュレーション装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0074】
例えば、賃貸不動産シミュレーション装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて賃貸不動産シミュレーション装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
【0075】
また、このコンピュータプログラムは、賃貸不動産シミュレーション装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0076】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0077】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0078】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0079】
また、賃貸不動産シミュレーション装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、賃貸不動産シミュレーション装置100は、当該情報処理装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0080】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能付加に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 賃貸不動産シミュレーション装置
102 制御部
102a 物件登録部
102b ストレスシナリオ登録部
102c ストレステスト処理部
102d 確認部
102e 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7