(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161662
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】収穫装置
(51)【国際特許分類】
A01D 46/30 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A01D46/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066649
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松岡 弘二
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 好人
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075JF02
2B075JF05
2B075JF06
2B075JF07
2B075JF08
2B075JF10
2B075JJ01
2B075JJ05
2B075JJ10
(57)【要約】
【課題】農作物に応じた切断制御を実行可能な収穫装置を提供する。
【解決手段】農作物を収穫するための収穫装置は、切断刃と、荷重センサと、制御部と、を備える。切断刃は、農作物における対象部位に貫入するように変位可能に支持されている。荷重センサは、外部から作用する荷重を検出可能に構成される。制御部は、対象部位が荷重センサに接触している状態において、切断刃を変位させて対象部位を切断する切断制御を実行するように構成される。また、制御部は、荷重センサにより検出される荷重に基づいて切断刃を変位させるように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を収穫するための収穫装置であって、
前記農作物における対象部位に貫入するように変位可能に支持されている切断刃と、
外部から作用する荷重を検出可能に構成された荷重センサと、
前記対象部位が前記荷重センサに接触している状態において、前記切断刃を変位させて前記対象部位を切断する切断制御を実行するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記荷重センサにより検出される前記荷重に基づいて前記切断刃を変位させるように構成されている、収穫装置。
【請求項2】
請求項1に記載の収穫装置であって、
前記制御部は、前記切断制御の実行に伴う前記荷重の変化量が所定の切断不良閾値に到達した場合に、前記切断刃を停止させるように構成されている、収穫装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の収穫装置であって、
第1挟持面を有する第1挟持部材と、
第2挟持面を有する第2挟持部材と、
を更に備え、
前記荷重センサは、前記第1挟持面及び前記第2挟持面の少なくとも一方に設けられ、
前記制御部は、
前記荷重センサにより検出される前記荷重に基づいて、前記第2挟持面が前記第1挟持面に近付くように前記第2挟持部材を変位させ、前記第1挟持面及び前記第2挟持面により前記対象部位を挟持する、挟持制御を実行し、
前記第1挟持面及び前記第2挟持面により前記対象部位を挟持している状態において前記切断制御を実行するように構成されている、収穫装置。
【請求項4】
請求項3に記載の収穫装置であって、
前記制御部は、前記挟持制御を実行中の前記荷重が所定の挟持閾値に到達した場合に、前記第2挟持部材を停止させるように構成されている、収穫装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の収穫装置であって、
前記農作物に対して移動可能に構成された移動部材を更に備え、
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材は、前記移動部材により支持され、
前記荷重センサは、前記第1挟持面に設けられ、
前記制御部は、前記第1挟持面が前記対象部位に近付くように前記移動部材を移動させて前記荷重が所定の接触閾値に到達した場合に、前記移動部材を停止させて前記挟持制御を実行するように構成されている、収穫装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の収穫装置であって、
前記制御部は、前記第1挟持部材側から前記第2挟持部材側へ前記切断刃を変位させて前記対象部位を切断するように構成されている、収穫装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の収穫装置であって、
支持部材を更に備え、
前記切断刃は、前記切断制御が実行されていない状態において前記支持部材から刃先が突出しないように、前記支持部材に支持されている、収穫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、農作物を収穫するための収穫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物を収穫するための収穫装置がある。例えば特許文献1には、農作物を支持する支持機構と、農作物における対象部位を切断する切断機構と、を備えた収穫装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の収穫装置は、農作物によらず同様の切断制御を実行する。したがって、特許文献1に記載の収穫装置では、例えば、農作物における対象部位の切断不良が生じたり切断機構に過負荷がかかったりする場合があった。
【0005】
本開示の一局面は、農作物に応じた切断制御を実行可能な収穫装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、農作物を収穫するための収穫装置であって、切断刃と、荷重センサと、制御部と、を備える。切断刃は、農作物における対象部位に貫入するように変位可能に支持されている。荷重センサは、外部から作用する荷重を検出可能に構成される。制御部は、対象部位が荷重センサに接触している状態において、切断刃を変位させて対象部位を切断する切断制御を実行するように構成される。また、制御部は、荷重センサにより検出される荷重に基づいて切断刃を変位させるように構成されている。
【0007】
このような構成によれば、農作物に応じた切断制御を実行することが可能となる。
本開示の一態様では、制御部は、切断制御の実行に伴う荷重の変化量が所定の切断不良閾値に到達した場合に、切断刃を停止させるように構成されていてもよい。
【0008】
このような構成によれば、例えば、対象部位の切断不良が生じた場合や収穫装置への負荷が大きくなった場合に切断刃が停止されるため、農作物を痛めたり収穫装置に過負荷がかかったりすることを抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様は、第1挟持面を有する第1挟持部材と、第2挟持面を有する第2挟持部材と、を更に備えてもよい。荷重センサは、第1挟持面及び第2挟持面の少なくとも一方に設けられてもよい。制御部は、荷重センサにより検出される荷重に基づいて、第2挟持面が第1挟持面に近付くように第2挟持部材を変位させ、第1挟持面及び第2挟持面により対象部位を挟持する、挟持制御を実行してもよい。また、制御部は、第1挟持面及び第2挟持面により対象部位を挟持している状態において切断制御を実行するように構成されていてもよい。
【0010】
このような構成によれば、対象部位の挟持状態を把握するためのセンサを別途備えなくても、農作物に応じた挟持制御を実行することが可能となる。
本開示の一態様では、制御部は、挟持制御を実行中の荷重が所定の挟持閾値に到達した場合に、第2挟持部材を停止させるように構成されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、過剰に大きな力で対象部位を挟持してしまうことを抑制することができる。
本開示の一態様は、農作物に対して移動可能に構成された移動部材を更に備えてもよい。第1挟持部材及び第2挟持部材は、移動部材により支持されてもよい。荷重センサは、第1挟持面に設けられてもよい。制御部は、第1挟持面が対象部位に近付くように移動部材を移動させて荷重が所定の接触閾値に到達した場合に、移動部材を停止させて挟持制御を実行するように構成されていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、第1挟持面から対象部位までの距離を算出しなくても、対象部位を挟持するために適当な位置に第1挟持面を配置することができる。
本開示の一態様では、制御部は、第1挟持部材側から第2挟持部材側へ切断刃を変位させて対象部位を切断するように構成されていてもよい。
【0013】
本開示の一態様は、支持部材を更に備えてもよい。切断刃は、切断制御が実行されていない状態において支持部材から刃先が突出しないように、支持部材に支持されていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、切断刃の刃先が農作物に引っかかる等して農作物を痛めてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図2Aは、第1挟持面が対象部位に近付くように移動している状態における、第1実施形態に係る収穫ヘッドを示す模式的な上面図である。
図2Bは、
図2Aに対応する模式的な側面図である。
【
図3】
図3Aは、第1挟持面に対象部位が接触している状態における収穫ヘッドを示す模式的な上面図である。
図3Bは、
図3Aに対応する模式的な側面図である。
【
図4】第2挟持部材を変位させている状態における、第1実施形態に係る収穫ヘッドを示す模式的な上面図である。
【
図5】
図5Aは、
図4の状態のうち第2挟持部材が対象部位を押圧する前の状態における、第1実施形態に係る収穫ヘッドを示す模式的な断面図である。
図5Bは、
図4の状態のうち第2挟持部材が対象部位を押圧している状態における、第1実施形態に係る収穫ヘッドを示す模式的な断面図である。
【
図6】切断刃を変位させている状態における、第1実施形態に係る収穫ヘッドを示す模式的な上面図である。
【
図7】変位終了位置まで切断刃を変位させた状態における、第1実施形態に係る収穫ヘッドを示す模式的な上面図である。
【
図8】収穫装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10Aは、切断刃の変位に伴う検出荷重の変化の一例を示すグラフである。
図10Bは、切断刃の変位に伴う検出荷重の変化の他の一例を示すグラフである。
【
図11】
図11Aは、第2実施形態に係る収穫ヘッドを示す模式的な上面図である。
図11Bは、第2実施形態に係る収穫ヘッドにおける、第2挟持部材及び切断刃の変位方向を示す模式的な上面図である。
【
図12】第3実施形態に係る収穫ヘッドを示す模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す収穫装置1は、農作物90を収穫するために用いられる。ここでいう農作物90は、例えば、果菜(ナス、トマト、イチゴ等)及び果実(りんご、みかん等)を指す。また、ここでいう農作物90を収穫することとは、具体的には、農作物90における果実部91に連続する部位のうち、細さや硬さ等が切断に適する部位を切断して、果実部91を収穫することを意味する。以下では、農作物90における切断に適する部位を対象部位92という。対象部位92には、例えば、農作物90における枝部、果柄部、果梗部等が該当する。
【0017】
収穫装置1は、台車10、ロボットアーム20、収穫ヘッド30、カメラ40、収容かご50、及び制御部60を備える。
台車10は、台車10の下部に設けられた複数の車輪11を駆動することにより走行可能に構成されている。台車10の上部には平板状の天板12が配置されている。
【0018】
ロボットアーム20は、台車10の天板12上に配置されている。ロボットアーム20は、複数の関節21で連結された複数のリンク22を有し、ロボットアーム20の先端部を構成する先端部材23を6自由度で移動可能に構成されている。先端部材23は、移動部材の一例に相当する。ロボットアーム20の動作は、制御部60により電気的に制御される。
【0019】
収穫ヘッド30は、先端部材23に取り付けられている。収穫ヘッド30は、農作物90における対象部位92を挟持可能、且つ、挟持している対象部位92を切断可能に構成されている。
図2Aに示すように、収穫ヘッド30は、第1挟持部材31、第2挟持部材32、荷重センサ33、弾性部材34、切断刃35、2つのガイド部材36A,36Bを有する。収穫ヘッド30の素材を限定するものではないが、本実施形態の収穫ヘッド30は、弾性部材34が弾性を有する樹脂製、その他が金属製(具体的にはステンレス製)である。
【0020】
第1挟持部材31は、略平板状の部材である。本実施形態の第1挟持部材31は、略長方形状の平板状の部材であって、おもて面、うら面、及び4つの側面を有する。第1挟持部材31は、うら面側が先端部材23に固定され、先端部材23により支持されている。以下では、第1挟持部材31のおもて面を第1挟持面311という。
【0021】
第2挟持部材32は、湾曲した板状の部材である。本実施形態の第2挟持部材32は、略長方形状の湾曲した板状の部材である。本実施形態の第2挟持部材32は、長手方向に所定の曲率で湾曲しており、湾曲形状を構成する外面及び内面(すなわち凸面及び凹面)、並びに4つの側面を有する。以下では、第2挟持部材32の凹面を第2挟持面321という。第2挟持部材32は、長手方向に沿った一方の端部が、第1挟持部材31の長手方向に沿った一方の端部に連結されている。そして、第2挟持部材32は、第1挟持部材31との連結部Xを回転軸として、第1挟持面311と第2挟持面321との開度を変更するように回転可能、すなわち第1挟持部材31に対して変位可能に構成されている。
【0022】
第2挟持部材32の動作は、制御部60により電気的に制御される。具体的には、制御部60は、連結部Xを回転軸として所定の開位置と閉位置との間で第2挟持部材32が回転移動するように、第2挟持部材32の動作を制御する。第2挟持部材32の開位置とは、第1挟持面311と第2挟持面321との開度が十分に大きくなるような第2挟持部材32の位置である。本実施形態の第2挟持部材32の開位置は、
図2Aにおける第2挟持部材32の位置である。本実施形態では、第2挟持部材32が開位置に存在している状態は、第1挟持部材31を第1挟持面311側から見たときに、第1挟持面311の大部分が第2挟持部材32により覆われずに露出している状態とも言い換えられる。荷重センサ33の検出面331も同様に露出している。第2挟持部材32の閉位置とは、第1挟持面311と第2挟持面321との開度が十分に小さくなるような第2挟持部材32の位置である。第2挟持部材32の閉位置は、第1挟持面311と第2挟持面321とが互いに接触するような第2挟持部材32の位置であってもよい。
【0023】
荷重センサ33は、外部から作用する荷重を検出可能に構成されている。本実施形態では、荷重センサ33は、
図2A及び
図5Aに示すように、第1挟持部材31の第1挟持面311に設けられている。具体的には、荷重センサ33は、第1挟持面311の中央部から突出するように設けられている。言い換えれば、外部から荷重が作用していない状態における荷重センサ33は、第1挟持面311を基準として所定の高さH1を有する。この高さH1は、荷重センサ33に外部から荷重が作用していない状態における、第1挟持面311から荷重センサ33の検出面331までの高さH1とも言い換えられる。荷重センサ33は、
図5Bに示すように検出面331が外部から第1挟持面311側に押し込まれたときに、検出面331の押し込み量に応じた荷重を検出する。
【0024】
弾性部材34は、荷重センサ33の検出面331側から見たときに荷重センサ33の周囲を囲むように配置される板状の部材である。本実施形態では、荷重センサ33が第1挟持面311に設けられているため、この荷重センサ33の周囲を囲むように、弾性部材34も第1挟持面311に設けられる。以下では、弾性部材34における第1挟持面311側と反対側の面を当接面341という。
【0025】
図2Aに示すように、弾性部材34の厚さ、すなわち第1挟持面311を基準とした弾性部材34の高さH2は、前述した荷重センサ33の高さH1よりも低い。第1挟持面311を基準とした弾性部材34の高さH2は、第1挟持面311から当接面341までの高さH2とも言い換えられる。外部から荷重が作用していない状態における荷重センサ33の高さH1と、弾性部材34の高さH2と、の差ΔH(=H1-H2)は、後述する挟持閾値F2に対応する検出面331の押し込み量に設計されている。
【0026】
切断刃35は、農作物90における対象部位92を切断するための部材である。切断刃35は、第1挟持部材31の側面312に沿って配置される。第1挟持部材31の側面312とは、第1挟持部材31の長手方向に沿った2つの側面のうちの一方を指す。第1挟持部材31の側面312に沿って切断刃35が配置されている状態において、切断刃35の刃先351は、第1挟持面311側に向いている。
【0027】
第1挟持部材31の側面312に沿って配置されている状態の切断刃35の位置、すなわち
図2Aに示す切断刃35の位置を、以下では、切断刃35の基準位置という。切断刃35の基準位置は、切断刃35の刃先351が第1挟持部材31から突出しない位置でもある。更に本実施形態では、切断刃35の基準位置は、第1挟持部材31の側面312と垂直に見たときに切断刃35の外縁が側面312の外縁に包含される位置でもある。本実施形態の切断刃35は、平面視における大きさが第1挟持部材31の側面312よりも小さくなるように設計されている。
【0028】
切断刃35における長手方向に沿った一方の端部は、第1挟持部材31の側面312における長手方向に沿った一方の端部に連結されている。本実施形態では、切断刃35の一方の端部は、第1挟持部材31の側面312における、第1挟持部材31と第2挟持部材32との連結部X側と反対側の端部に連結されている。切断刃35は、第1挟持部材31の側面312に連結されることにより、第1挟持部材31に支持される。すなわち、第1挟持部材31は、切断刃35を支持するための支持部材としても機能する。切断刃35は、第1挟持部材31との連結部Yを回転軸として回転可能、すなわち第1挟持部材31に対して変位可能に構成されている。切断刃35の動作は、制御部60により電気的に制御される。
【0029】
2つのガイド部材36A,36Bは、略L字状の棒状の部材である。2つのガイド部材36A,36Bは、第1挟持面311に面する空間に延びるように、第1挟持部材31の側面313に取り付けられている。第1挟持部材31の側面313とは、
図5Aに示すように、第1挟持部材31の長手方向に沿った2つの側面のうち、切断刃35が連結される側面312と反対側の側面を指す。2つのガイド部材36A,36B同士は、
図2Aに示すように、第1挟持面311の長手方向に所定の間隔を空けて、第1挟持部材31の側面313に取り付けられている。第1挟持部材31の側面313と垂直に見たとき、つまり
図2Aの向きに見たとき、2つのガイド部材36A,36B同士の間には、荷重センサ33の検出面331の少なくとも一部(本実施形態では全部)が位置している。2つのガイド部材36A,36B同士の間隔は、農作物90における対象部位92の径よりも大きくなるように設計されている。本実施形態のように2つのガイド部材36A,36B同士の間隔が一定でない場合、いずれの部分における間隔も対象部位92の径よりも大きくなるように設計されている。
【0030】
図1に戻り、カメラ40は、ロボットアーム20の先端部材23又はその近辺に取り付けられている。カメラ40は、先端部材23の前方、すなわち先端部材23よりも収穫ヘッド30側を撮像可能に構成されている。カメラ40による撮像画像は、図示しない通信部により外部端末に送信される。収穫装置1の操作者は、外部端末に表示される撮像画像を基に、収穫対象とする果実部91を選定する。
【0031】
収容かご50は、農作物90における果実部91を収容するための部材である。本実施形態の収容かご50は、上方が開口した箱型の部材である。収容かご50は、台車10の天板12上に配置されている。
【0032】
図8に示すように、制御部60は、CPU61と、ROM及びRAM等の半導体メモリ62と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部60は、荷重センサ33により検出される荷重に基づいて、ロボットアーム20、第2挟持部材32及び切断刃35の動作を電気的に制御する。制御部60の各機能は、半導体メモリ62に格納されたプログラムをCPU61が実行することにより実現される。また、このプログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部60は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。
【0033】
[1-2.処理]
農作物90を収穫するために制御部60が実行する収穫処理について、
図9を用いて説明する。収穫処理は、収穫装置1の操作者により収穫対象とする果実部91が選定されたことを契機に実行される。収穫処理が実行されるとき、第2挟持部材32は前述した開位置に存在しており、切断刃35は前述した基準位置に存在している。
【0034】
まず、制御部60は、S101で、
図2A及び
図2Bに示すように、収穫ヘッド30における上方側に切断刃35が位置するように、すなわち第1挟持部材31の側面312が上方を向くように、先端部材23の向きを調整する。そして、制御部60は、選定された果実部91に連続する対象部位92に第1挟持面311が近付くように、先端部材23を移動させる。
【0035】
続いて、S102で、制御部60は、荷重センサ33により検出される荷重F(以下では、検出荷重Fという。)が所定の接触閾値F1に到達したかを判定する。言い換えれば、制御部60は、検出荷重Fが接触閾値F1以上であるかを判定する。接触閾値F1は、荷重センサ33の検出面331に対象部位92が接触したことを検出可能な荷重に設定される。
【0036】
S102で検出荷重Fが接触閾値F1に到達していないと判定した場合、言い換えれば検出荷重Fが接触閾値F1未満であると判定した場合、制御部60は、処理をS101に戻す。つまり、制御部60は、継続して先端部材23を移動させる。
【0037】
一方、S102で検出荷重Fが接触閾値F1に到達したと判定した場合、言い換えれば検出荷重Fが接触閾値F1以上であると判定した場合、制御部60は、S103で、先端部材23を停止させる。S102で検出荷重Fが接触閾値F1に到達したと判定され、S103で先端部材23が停止されたとき、対象部位92は、
図3A及び
図3Bに示すように荷重センサ33の検出面331に接触している状態である。
【0038】
続いて、
図9に示すS104で、制御部60は、
図4に示すように、第2挟持面321が第1挟持面311に近付くように第2挟持部材32を変位させる。言い換えれば、制御部60は、連結部Xを回転軸として、開位置に存在している第2挟持部材32を閉位置に向けて回転移動させる。このように制御部60が第2挟持部材32を変位させていくと、途中で第2挟持面321が対象部位92に接触する。そして、第2挟持面321が対象部位92を第1挟持面311側に押圧することにより、対象部位92は、第1挟持面311及び第2挟持面321により挟持される。すなわち、制御部60は、S104で、第2挟持面321が第1挟持面311に近付くように第2挟持部材32を変位させ、第1挟持面311及び第2挟持面321により対象部位92を挟持する、挟持制御を実行する。なお、ここでいう第1挟持面311及び第2挟持面321により対象部位92を挟持することとは、第1挟持面311及び第2挟持面321そのものにより対象部位92を挟持することの他、第1挟持面311又は第2挟持面321に設けられた部材により対象部位92を挟持することを含む。本実施形態では、第1挟持面311に設けられた荷重センサ33及び弾性部材34と、第2挟持面321と、により、対象部位92は挟持される。
【0039】
前述したように、挟持制御が実行される際の対象部位92は、第1挟持面311に設けられた荷重センサ33の検出面331に接触している状態である。したがって、
図5A及び
図5Bに示すように、S104で第2挟持面321が対象部位92を第1挟持面311側に押圧すると、対象部位92により荷重センサ33の検出面331が押圧される。すなわち、S104において、検出荷重Fは、第2挟持部材32の変位に伴って増大する。
【0040】
続いて、
図9に示すS105で、制御部60は、検出荷重Fが所定の挟持閾値F2に到達したかを判定する。言い換えれば、制御部60は、検出荷重Fが挟持閾値F2以上であるかを判定する。挟持閾値F2は、対象部位92を過度に圧迫せずに挟持しつつ、挟持している対象部位92を介して果実部91を支持可能な荷重に設定される。挟持閾値F2に影響する果実部91の質量や対象部位92の性質は、農作物90の種類や生育状態等により異なる。すなわち、挟持閾値F2は、農作物90の種類等に応じて設定される。本実施形態では、挟持閾値F2は、農作物90の種類から想定される果実部91の最大質量を基準として、その1.5倍~2倍相当の質量の果実部91を支持可能な荷重に設定されている。
【0041】
S105で検出荷重Fが挟持閾値F2に到達していないと判定した場合、言い換えれば検出荷重Fが挟持荷重F2未満であると判定した場合、制御部60は、処理をS104に戻す。つまり、制御部60は、継続して第2挟持部材32を変位させる。
【0042】
一方、S105で検出荷重Fが挟持閾値F2に到達したと判定した場合、言い換えれば検出荷重Fが挟持閾値F2以上であると判定した場合、制御部60は、S106で第2挟持部材32を停止させる。
【0043】
図10A及び
図10Bには、ta1時点及びtb1時点でそれぞれ検出荷重Fが挟持閾値F2に到達したと判定され、第2挟持部材32が停止された例を示している。ta1時点及びtb1時点まではそれぞれ第2挟持部材32の変位に伴って検出荷重Fが増大するが、ta1時点及びtb1時点でそれぞれ第2挟持部材32が停止すると、検出荷重Fはそこから増大せずに概ね一定で推移する。
【0044】
前述したように、本実施形態では、外部から荷重が作用していない状態における荷重センサ33の高さH1と、弾性部材34の高さH2と、の差ΔHが、挟持閾値F2に対応する検出面331の押し込み量に設計されている。このため、S105で検出荷重Fが挟持閾値F2に到達したと判定され、S106で第2挟持部材32が停止されたとき、荷重センサ33の検出面331は、
図4及び
図5Bに示すように弾性部材34の当接面341と略面一になっている。
【0045】
続いて、
図9に示すS107で、制御部60は、カウンタNの値を1に設定する。
続いて、S108で、制御部60は、
図6に示すように、第1挟持面311及び第2挟持面321により挟持されている状態における対象部位92に貫入するように切断刃35を基準位置から変位させ、対象部位92を切断する、切断制御を実行する。本実施形態では、切断刃35が基準位置に存在している状態において、切断刃35の刃先351は、第1挟持面311側、すなわち対象部位92を挟持している状態の第2挟持部材32側に向いている。このため、制御部60は、切断制御として、第1挟持部材31側から第2挟持部材32側へ切断刃35を変位させる。
【0046】
後述するように、制御部60は、切断制御として、基準位置から変位終了位置まで切断刃35を変位させる。変位終了位置は、対象部位92に貫入した切断刃35における少なくとも刃先351が、当該対象部位92を通過した位置に設定される。本実施形態の変位終了位置は、対象部位92に貫入した切断刃35の全体が当該対象部位92を通過した位置、具体的には連結部Yを回転軸として切断刃35が初期位置から略90度回転した位置に設定されている。
図7には、この変位終了位置まで切断刃35が変位された状態を示している。
【0047】
続いて、
図9に示すS109で、制御部60は、切断制御の実行に伴う検出荷重Fの変化量である荷重変化量ΔFが、所定の切断不良閾値ΔF3に到達したかを判定する。言い換えれば、制御部60は、荷重変化量ΔFが切断不良閾値ΔF3以上であるかを判定する。荷重変化量ΔFは、具体的には、S108で切断刃35の変位が開始された時点からの検出荷重Fの変化量である。荷重変化量ΔFは、絶対値で表される。切断不良閾値ΔF3は、例えば、対象部位92を切断するために通常必要となる荷重を基に設定される。当該荷重は、農作物90の種類等により異なる。すなわち、切断不良閾値ΔF3は、農作物90の種類等に応じて設定される。本実施形態では、切断不良閾値ΔF3は、対象部位92を切断するために通常必要となる荷重よりも一定の程度大きな荷重に設定されている。
【0048】
S109で荷重変化量ΔFが切断不良閾値ΔF3に到達していないと判定した場合、言い換えれば荷重変化量ΔFが切断不良閾値ΔF3未満であると判定した場合、制御部60は、S110で、切断刃35が変位終了位置に到達したかを判定する。言い換えれば、制御部60は、切断刃35を変位終了位置まで変位させ終えたかを判定する。
【0049】
S110で切断刃35が変位終了位置に到達していないと判定した場合、制御部60は、処理をS108に戻す。
一方、S110で切断刃35が変位終了位置に到達したと判定した場合、制御部60は、S111で、切断刃35を基準位置に戻す。具体的には、制御部60は、連結部Yを回転軸として、切断制御における回転方向と反対方向へ切断刃35を回転させて、すなわち切断刃35を切断制御とは逆回転させて、切断刃35を基準位置に戻す。
【0050】
図10Aに示す例では、ta3時点で切断刃35による対象部位92の切断が完了し、ta4時点で切断刃35が変位終了位置に到達したと判定されている。対象部位92の切断が完了したこととは、切断刃35の刃先351が対象部位92を通過したことを指す。対象部位92の切断が完了すると、検出荷重Fは、S109で切断刃35の変位が開始された時点と同等の荷重まで戻る。また、対象部位92の切断が完了すると、対象部位92は、
図5Bに示す切断線Lで切断された状態になる。
【0051】
S111で切断刃35を基準位置に戻し終えると、制御部60は、
図9に示すように、本処理を終了する。そして、制御部60は、先端部材23を収容かご50上に移動させ、第2挟持面321が第1挟持面311から離れるように第2挟持部材32を変位させて、第1挟持面311及び第2挟持面321により対象部位92を挟持している状態を解消する。これにより、果実部91が収容かご50に収容される。
【0052】
また、前述したS109で荷重変化量ΔFが切断不良閾値ΔF3に到達したと判定した場合、言い換えれば荷重変化量ΔFが切断不良閾値ΔF3以上であると判定した場合、制御部60は、S112で、切断刃35を停止させる。つまり、制御部60は、切断制御を中断する。
図10Bに示す例では、tb2時点で切断刃35の変位が開始され、tb3時点で荷重変化量ΔFが切断不良閾値ΔF3に到達したと判定されて切断刃35が停止されている。
【0053】
続いて、
図9に示すS113で、制御部60は、切断刃35を基準位置に戻す。具体的には、制御部60は、連結部Yを回転軸として切断刃35を切断制御とは逆回転させて、切断刃35を基準位置に戻す。切断刃35が基準位置に戻されると、検出荷重Fは、S109で切断刃35の変位が開始された時点と同等の荷重まで戻る。
【0054】
続いて、S114で、カウンタNの値が所定の反復回数Nsに到達したか、言い換えればカウンタNの値が反復回数Ns以上かを判定する。反復回数Nsは、切断制御を反復する回数を示すものであって、任意の正数を設定することができる。本実施形態では、一例として、反復回数Nsの値を5と設定している。
【0055】
S114でカウンタNの値が反復回数Nsに到達していないと判定した場合、言い換えればカウンタNの値が反復回数Ns未満であると判定した場合、制御部60は、S115でカウンタNの値を1つ繰り上げる。そして、制御部60は、処理をS108に戻す。
【0056】
一方、S112でカウンタNの値が反復回数Nsに到達したと判定した場合、言い換えればカウンタNの値が反復回数Ns以上であると判定した場合、更に言い換えれば反復回数Nsだけ切断制御を反復しても対象部位92を切断できなかった場合、制御部60は、本処理を終了する。そして、制御部60は、第2挟持面321が第1挟持面311から離れるように第2挟持部材32を変位させ、第1挟持面311及び第2挟持面321により対象部位92を挟持している状態を解消する。
【0057】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)収穫装置1は、対象部位92が荷重センサ33に接触している状態において切断制御を実行するように構成されている。収穫装置1は、検出荷重Fに基づいて切断刃35を変位させるように構成されている。
【0058】
検出荷重Fは対象部位92の切断状態によって相違し得るため、上記のような構成によれば、個々の農作物90に応じた切断制御を実行することが可能となる。
(1b)収穫装置1は、荷重変化量ΔFが切断不良閾値ΔF3に到達した場合に、切断刃35を停止させるように構成されている。
【0059】
このような構成によれば、例えば、対象部位92の切断不良が生じた場合や収穫装置1への負荷が大きくなった場合に切断刃35が停止されるため、農作物90を痛めたり収穫装置1に過負荷がかかったりすることを抑制することができる。
【0060】
(1c)収穫装置1では、荷重センサ33が第1挟持面311に設けられる。収穫装置1は、検出荷重Fに基づいて挟持制御を実行し、第1挟持面311及び第2挟持面321により対象部位92を挟持している状態において切断制御を実行するように構成されている。
【0061】
このような構成によれば、単一の荷重センサ33により対象部位92の挟持状態及び切断状態の双方を把握することができる。すなわち、対象部位92の挟持状態を把握するためのセンサを別途備えなくても、個々の農作物90に応じた挟持制御を実行することが可能となる。
【0062】
(1d)収穫装置1は、挟持制御を実行中の検出荷重Fが挟持閾値F2に到達した場合に、第2挟持部材32を停止させるように構成されている。
このような構成によれば、過剰に大きな力で対象部位92を挟持してしまうことを抑制することができる。したがって、農作物90を痛めにくくすることができる。
【0063】
(1e)収穫装置1は、第1挟持面311が対象部位92に近付くように先端部材23を移動させて検出荷重Fが接触閾値F1に到達した場合に、先端部材23を停止させて挟持制御を実行するように構成されている。
【0064】
このような構成によれば、第1挟持面311から対象部位92までの距離を算出しなくても、対象部位92を挟持するために適当な位置に第1挟持面311を配置することができる。
【0065】
(1f)収穫装置1では、切断制御が実行されていない状態において第1挟持部材31から刃先351が突出しないように、切断刃35が第1挟持部材31に支持されている。
このような構成によれば、刃先351が農作物90に引っかかる等して農作物90を痛めてしまうことを抑制することができる。
【0066】
(1g)収穫装置1では、荷重センサ33の検出面331側から見たときに荷重センサ33の周囲を囲むように、弾性部材34が配置されている。弾性部材34は、弾性を有する。検出荷重Fが挟持閾値F2に到達したと判定され、第2挟持部材32が停止された状態において、対象部位92は、第1挟持面311に設けられた荷重センサ33及び弾性部材34と、第2挟持面321と、により挟持される。
【0067】
このような構成によれば、弾性部材34を有さず、荷重センサ33と第2挟持面321とにより対象部位92を挟持する構成と比較して、対象部位92の挟持の際に荷重センサ33にかかる負荷を低減することができる。また、弾性部材34は弾性を有するため、挟持されている状態の対象部位92の位置をずれにくくすることができる。さらに、挟持によって対象部位92を痛めてしまうことを抑制することもできる。
【0068】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0069】
第2実施形態に係る収穫装置は、前述した収穫ヘッド30に代えて、
図11Aに示す収穫ヘッド30Aを備える。収穫ヘッド30Aは、基本的には、第1実施形態の収穫ヘッド30と同様の構成である。ただし、第1実施形態の収穫ヘッド30では、第1挟持部材31の側面312における長手方向に沿った一方の端部に第2挟持部材32が連結され、他方の端部に切断刃35が連結されているのに対して、収穫ヘッド30Aでは、第1挟持部材31の側面312における長手方向に沿った一方の端部に第2挟持部材32及び切断刃35の双方が連結されている。本実施形態では、前述した第1挟持部材31と切断刃35との連結部Yに、第2挟持部材32の長手方向に沿った一方の端部も連結されている。すなわち、第2挟持部材32及び切断刃35は、
図11Bに示すように、同一の連結部Yを回転軸として回転可能に構成されている。なお、
図11Bでは、第2挟持部材32の開位置及び切断刃35の基準位置を破線で示している。
【0070】
[2-2.処理]
第2実施形態において制御部60が実行する収穫処理は、基本的に第1実施形態と同様である。ただし、前述したS104では、制御部60は、挟持処理として、前述した連結部Xではなく連結部Yを回転軸として、開位置に存在している第2挟持部材32を閉位置に向けて回転移動させる。
【0071】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
【0072】
第2実施形態に係る収穫装置では、第2挟持部材32及び切断刃35が、いずれも連結部Yを回転軸として回転可能に構成されている。そして、この収穫装置は、挟持制御として、連結部Yを回転軸として第1挟持部材31に近付く方向へ第2挟持部材32を変位させるように構成されている。また、この収穫装置は、切断制御として、連結部Yを回転軸として第1挟持部材31側から第2挟持部材32側へ切断刃35を変位させるように構成されている。
【0073】
このような構成によれば、
図11Bに示すように、挟持制御における第2挟持部材32の変位方向S1と、切断制御における切断刃35の変位方向S2と、が互いに対向する向きになりやすい。すなわち、挟持制御における第2挟持部材32の回転の接線方向と、切断制御における切断刃35の回転の接線方向と、が互いに対向する向きになりやすい。このため、挟持されている状態における対象部位92の切断刃35による切断性を向上することが可能となる。
【0074】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
第3実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0075】
第3実施形態に係る収穫装置は、前述した収穫ヘッド30に代えて、
図12に示す収穫ヘッド30Bを備える。収穫ヘッド30Bは、基本的には、第1実施形態の収穫ヘッド30と同様の構成である。ただし、収穫ヘッド30Bは、対象部位92を挟持するための部材として、第1挟持部材31及び第2挟持部材32に加えて第3挟持部材37を備える。
【0076】
第3挟持部材37は、第2挟持部材32と略同一の形状及び大きさの部材である。以下では、第3挟持部材37の凹面を第3挟持面371という。第3挟持部材37は、長手方向に沿った一方の端部が、第1挟持部材31の側面312における長手方向に沿った2つの端部のうち、第1挟持部材31と第2挟持部材32との連結部X側と反対側の端部に連結されている。すなわち、第3挟持部材37の一方の端部は、第1挟持部材31の側面312における、第1挟持部材31と切断刃35との連結部Y側と同じ側の端部に連結されている。本実施形態では、連結部Yに、第3挟持部材37は連結されている。そして、第3挟持部材37は、連結部Yを回転軸として、第1挟持面311と第3挟持面371との開度を変更するように回転可能、すなわち第1挟持部材31に対して変位可能に構成されている。
【0077】
第3挟持部材37の動作は、制御部60により電気的に制御される。具体的には、制御部60は、連結部Yを回転軸として所定の開位置と閉位置との間で第3挟持部材37が回転移動するように、第3挟持部材37の動作を制御する。第3挟持部材37の開位置及び閉位置は、前述した第2挟持部材32の開位置及び閉位置とそれぞれ同義である。なお、
図12では、第2挟持部材32及び第3挟持部材37それぞれの開位置を破線で示している。
【0078】
[3-2.処理]
第3実施形態において制御部60が実行する収穫処理は、基本的に第1実施形態と同様である。ただし、前述したS104では、制御部60は、挟持処理として、連結部Xを回転軸として、開位置に存在している第2挟持部材32を閉位置に向けて回転移動させるとともに、連結部Yを回転軸として、開位置に存在している第3挟持部材37も閉位置に向けて回転移動させる。これにより、第1挟持面311、第2挟持面321及び第3挟持面371により、対象部位92が挟持される。
【0079】
なお、第2挟持部材32及び第3挟持部材37は、第2挟持面321及び第3挟持面371のそれぞれが対象部位92に接触するように配置されてもよいし、第2挟持面321が対象部位92に接触して第3挟持面371が第2挟持部材32の凸面に接触するように配置されてもよいし、第3挟持面371が対象部位92に接触して第2挟持面321が第3挟持部材37の凸面に接触するように配置されてもよい。
【0080】
[3-3.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
【0081】
第3実施形態に係る収穫装置では、収穫ヘッド30Bが、第1挟持部材31及び第2挟持部材32に加えて第3挟持部材37を備える。そして、この収穫装置は、挟持制御として、第1挟持部材31、第2挟持部材32及び第3挟持部材37により、対象部位92を挟持するように構成されている。
【0082】
このような構成によれば、第1挟持部材31及び第2挟持部材32により対象部位92を挟持する構成と比較して、挟持されている状態の対象部位92の位置をずれにくくすることができる。これにより、荷重センサ33の応答性を向上させることも可能となる。
【0083】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0084】
(4a)上記実施形態では、制御部60は、切断制御を反復回数Nsだけ反復しても対象部位92を切断できなかった場合に収穫処理を終了する。しかし、前述したように反復回数Nsは任意の正数を設定可能であるため、例えば、反復回数Nsの値を1と設定し、1回の切断制御で対象部位92を切断できなかった場合に収穫処理を終了する構成としてもよい。すなわち、切断制御を反復しない構成としてもよい。また、反復回数Nsは必ずしも設定されなくてもよく、例えば、対象部位92の切断が完了するまで切断制御を反復する構成としてもよい。
【0085】
(4b)上記実施形態では、制御部60は、荷重変化量ΔFが切断不良閾値ΔF3に到達したと判定した場合に切断制御を中断する。上記実施形態の切断不良閾値ΔF3は、対象部位92を切断するために通常必要となる荷重よりも一定の程度大きな荷重に設定されていることから、制御部60は、対象部位92の切断不良が生じた場合に切断制御を中断するとも言い換えられる。しかし、制御部60が切断制御を中断する理由は、対象部位92の切断不良に限定されない。例えば、対象部位92の切断が通常完了しない程度の荷重を閾値に設定し、1回目の切断制御として、荷重変化量ΔFが当該閾値に到達するまでの切断刃35の変位量から対象部位92の性質(例えば硬さ等)を判定する構成としてもよい。そして、判定した対象部位92の性質に基づいて、2回目以降の切断制御における切断刃35の動作条件を決定する構成としてもよい。
【0086】
(4c)上記実施形態では、制御部60は、切断制御として、第1挟持部材31側から第2挟持部材32側へ切断刃35を変位させて対象部位92を切断するように構成されているが、切断刃35の変位方向は、特に限定されない。例えば、制御部60は、切断制御として、切断刃35を上記実施形態とは逆回転させ、第2挟持部材32側から第1挟持部材31側へ対象部位92を切断するように構成されてもよい。
【0087】
上記実施形態のように、切断制御として、制御部60が切断刃35を荷重センサ33から離れる方向へ変位させる場合、検出荷重Fは切断刃35の変位に伴って減少するが、制御部60が切断刃35を上記実施形態とは逆回転させる場合、すなわち制御部60が切断刃35を荷重センサ33に近付く方向へ変位させる場合、検出荷重Fは切断刃35の変位に伴って増加する。このような場合であっても、対象部位92の切断状態については、荷重変化量ΔF、つまり切断制御の実行に伴う検出荷重Fの変化量を基に判定されるため、上記実施形態と同様に判定可能である。
【0088】
(4d)上記実施形態では、制御部60は、第1挟持部材31との連結部を回転軸として第2挟持部材32を回転移動させ、第1挟持面311と第2挟持面321との開度を変更するように構成されている。しかし、第1挟持部材31に対する第2挟持部材32の変位方法は、回転移動に限定されない。例えば、制御部60は、第2挟持部材32を第1挟持部材31に対して平行移動させ、第1挟持面311と第2挟持面321との間隔を変更するように構成されてもよい。上記第3実施形態における第3挟持部材37についても同様である。
【0089】
(4e)上記実施形態では、切断刃35は、第1挟持部材31の側面312に沿って第1挟持部材31の外部に配置され、第1挟持部材31により支持されている。しかし、切断刃35の配置は特に限定されず、例えば、切断刃35は、第1挟持部材31の内部に収容されるように配置されてもよい。
【0090】
また例えば、切断刃35は、第1挟持部材31ではなく第2挟持部材32又は第3挟持部材37により支持されてもよい。すなわち、第2挟持部材32又は第3挟持部材37が、切断刃35を支持するための支持部材として機能してもよい。
【0091】
また、このような支持部材は、必ずしも対象部位92を挟持するための挟持部材と兼ねなくてもよい。すなわち、このような支持部材は、挟持部材と別個の部材として設けられてもよい。
【0092】
(4f)上記実施形態では、荷重センサ33は第1挟持面311に設けられているが、荷重センサ33は対象部位92に接触する他の面に設けられてもよい。例えば、荷重センサ33は、第2挟持面321又は第3挟持面371に設けられてもよい。
【0093】
(4g)上記実施形態では、収穫ヘッド30は第1挟持部材31に支持される切断刃35を有するが、例えば、収穫ヘッド30は、第2挟持部材32や第3挟持部材37といった第1挟持部材31と異なる部材に支持される別の切断刃を有してもよい。そして、収穫ヘッド30は、2つの切断刃をハサミとして機能させて対象部位92を切断するように構成されてもよい。
【0094】
(4h)上記実施形態では、第1挟持部材31はロボットアーム20の先端部材23に固定されているが、第1挟持部材31は必ずしも先端部材23に固定されなくてもよい。言い換えれば、上記実施形態では、第1挟持部材31及び第2挟持部材32のうち第2挟持部材32のみが先端部材23に対して変位可能に構成されているが、例えば、第1挟持部材31及び第2挟持部材32の双方が先端部材23に対して変位可能に構成されてもよい。
【0095】
(4i)上記実施形態では、収穫ヘッド30は第1挟持部材31及び第2挟持部材32を有するが、収穫ヘッド30は必ずしもこのような挟持部材を有さなくてもよい。例えば、収穫ヘッド30が対象部位92に接触するための接触部材を有し、当該接触部材に設けられた荷重センサ33に対象部位92が接触して、当該接触部位により対象部位92の位置が規制されている状態において、対象部位92を挟んで接触部材と反対側から接触部材側へ切断刃35を変位させて対象部位92を切断する構成としてもよい。
【0096】
(4j)上記実施形態では、収穫ヘッド30は単一の荷重センサ33を有するが、収穫ヘッド30は荷重センサ33以外のセンサを有してもよい。例えば、収穫ヘッド30は、対象部位92の接触状態や挟持状態を把握するためのセンサとして、荷重センサ33とは異なる荷重センサを有してもよいし、光センサ等の公知のセンサを有してもよい。
【0097】
(4k)上記実施形態では、収穫ヘッド30は弾性部材34を備えるが、収穫ヘッド30は必ずしも弾性部材34を備えなくてもよい。
(4l)上記実施形態では、収穫ヘッド30は2つのガイド部材36A,36Bを備えるが、ガイド部材の個数は特に限定されない。また、収穫ヘッド30は、必ずしもガイド部材を備えなくてもよい。
【0098】
(4m)上記実施形態では、収穫装置1の操作者が収穫対象とする果実部91を選定するが、例えば、制御部60が、カメラ40による撮像画像を解析する等して収穫対象とする果実部91を選定してもよい。
【0099】
(4n)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0100】
(4o)本開示は、前述した収穫装置1の他、収穫装置1を構成する制御部60、制御部60としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、農作物90を収穫する方法など、種々の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…収穫装置、10…台車、20…ロボットアーム、23…先端部材、30,30A,30B…収穫ヘッド、31…第1挟持部材、311…第1挟持面、32…第2挟持部材、321…第2挟持面、33…荷重センサ、34…弾性部材、35…切断刃、351…刃先、36A,36B…ガイド部材、37…第3挟持部材、371…第3挟持面、40…カメラ、50…収容かご、60…制御部、90…農作物、91…果実部、92…対象部位。