(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161683
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20221014BHJP
E06B 9/06 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
E06B9/52 N
E06B9/06 620G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066686
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000107930
【氏名又は名称】セイキ販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(72)【発明者】
【氏名】戸田 宏次
(72)【発明者】
【氏名】橋間 康祐
(57)【要約】
【課題】可動框と受け框とを、磁石と磁性体との間に作用する吸着力により、互いに係止させることが可能なスクリーン装置において、可動框を清掃するにあたっての作業性を向上させることができ、さらに、意匠性にも優れたスクリーン装置を提供する。
【解決手段】可動框8の当接部21に設けた上下方向に延びる第1収容室25内に、焼結磁石26と非磁性体から成るスペーサ24とを交互に収容し、受け框5の被当接部30に設けた上下方向に延びる第2収容室31内に、焼結磁石に吸着される磁性体34を収容し、当接部21の当接面23aの全体、及び被当接部30の被当接面33aの全体を、当接壁23及び被当接壁33の上端から下端まで連続的かつ直線状に延びる平坦面によって形成した。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に装着され、可撓性のスクリーンの拡縮により該建物開口部を開閉することが可能なスクリーン装置であって、
上記スクリーン装置は、上記建物開口部に互いに対向するように固定される固定框及び受け框と、上記建物開口部において、上記固定框と受け框との間で、開閉方向に移動自在に支持される可動框と、開閉方向の一方の端部が上記固定框に取り付けられ、他方の端部が上記可動框に取り付けられた上記スクリーンとを有していて、
上記可動框には、上記スクリーンを拡張させて建物開口部を閉じた際に磁力により互いに係止される当接壁及び被当接壁の何れか一方が、該可動框の長手方向の一端部から他端部まで形成され、上記受け框には、上記当接壁及び被当接壁の何れか他方が、該受け框の長手方向の一端部から他端部まで形成されており、
上記当接壁及び被当接壁は磁力を透過させる材料から成っていて、上記当接壁及び上記被当接壁の各外面により、互いに平行を成して対向し、建物開口部を閉じた際に互いに当接する当接面及び被当接面が形成され、これら当接面及び被当接面は、上記当接壁及び上記被当接壁の長手方向の一端から他端まで連続的かつ直線状に延びており、
さらに、上記当接壁の内面側には、磁石を収容した第1収容室が、上記当接壁の長手方向に沿って形成され、上記被当接壁の内面側には、上記磁石が吸着される磁性体を収容した第2収容室が、上記被当接壁の長手方向に沿って形成され、
上記磁石は、上記第1収容室の長さよりも短い直線状に形成された焼結磁石であって、上記第1収容室内には、上記焼結磁石と非磁性材料から成るスペーサとが、上記第1収容室の長手方向に沿って交互に収容されている、
ことを特長とするスクリーン装置。
【請求項2】
上記可動框が上記当接壁を有し、上記受け框が上記被当接壁を有している、
ことを特長とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
上記当接壁が、上記可動框における上記開閉方向と直交する幅方向の一端から他端まで延びていて、上記当接面が、上記当接壁における上記幅方向の一端から他端まで延びた平坦面によって形成されている、
ことを特長とする請求項2に記載のスクリーン装置。
【請求項4】
上記第1収容室が、上記当接壁における上記幅方向の中央部の内面側に形成されている、
ことを特長とする請求項3に記載のスクリーン装置。
【請求項5】
上記可動框における上記開閉方向と直交する幅方向の中央部には、上記受け框側に向けて突設されて上記長手方向へと延びる凸条部が形成されており、
上記当接壁が上記凸条部に形成されている、
ことを特長とする請求項2に記載のスクリーン装置。
【請求項6】
上記第1収容室が、上記凸条部内に形成されている、
ことを特長とする請求項5に記載のスクリーン装置。
【請求項7】
上記焼結磁石及びスペーサは、上記第1収容室の長手方向に対して直線状に延びた棒状に形成されており、
上記焼結磁石における上記長手方向の長さが、上記スペーサのそれ以下に形成されている、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に対して開閉可能に装着するためのスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物開口部に装着するためのスクリーン装置としては、可撓性のスクリーンの一端部を可動框に取り付け、該可動框を移動させて上記スクリーンを拡縮させることにより、上記建物開口部を開閉するものが広く知られている。ところで、この種のスクリーン装置においては、建物開口部を閉じている間は、上記可動框を受け框に当接させた状態に保持する必要性があるが、拡張された上記スクリーンの面に風圧等の力が作用すると、上記受け框から可動框が離間してしまう虞がある。そこで、上記可動框を上記受け框に対して係止可能とすることによって、両者の当接状態をより確実に保持できるようにすることも考えられるが、両者の係脱の操作は出来るだけ簡便であることが望ましい。
【0003】
そのような課題を解決するものとして、特許文献1には、可動框に設けた磁石と、受け框に設けた磁性体から成る吸着板との間に生じる吸着力により、可動框と受け框との当接状態をより確実に保持することのできるスクリーン装置が開示されている。この従来のスクリーン装置においては、可動框及び受け框に、マグネットラッチと磁性体から成る吸着板との対が取り付けられており、スクリーンを閉じた際に、マグネットラッチと吸着板との間に作用する吸着力によって、受け框に対して可動框を当接させた状態で係止することが出来るようになっている。
【0004】
しかしながら、この特許文献1に開示されているマグネットラッチは、可動框の長手方向の一部分において、受け框との対向面から突出した状態で取り付けられているため、スクリーン装置の意匠性が損なわれるばかりでなく、対向面から突出した当該マグネットラッチ廻りには埃等の汚れが付着し易くなる。しかも、可動框の対向面全体を清掃するにあたって、部分的に突出したマグネットラッチ廻りの清掃は煩雑になりがちである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、スクリーンを拡張させて建物開口部を閉じた際に、可動框と受け框とを、磁石と磁性体との間に作用する吸着力により、互いに係止させることが可能なスクリーン装置において、可動框を清掃するにあたっての作業性を向上させることができ、さらに、意匠性にも優れたスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、建物開口部に装着され、可撓性のスクリーンの拡縮により該建物開口部を開閉することが可能なスクリーン装置であって、上記スクリーン装置は、上記建物開口部に互いに対向するように固定される固定框及び受け框と、上記建物開口部において、上記固定框と受け框との間で、開閉方向に移動自在に支持される可動框と、開閉方向の一方の端部が上記固定框に取り付けられ、他方の端部が上記可動框に取り付けられた上記スクリーンとを有していて、上記可動框には、上記スクリーンを拡張させて建物開口部を閉じた際に磁力により互いに係止される当接壁及び被当接壁の何れか一方が、該可動框の長手方向の一端部から他端部まで形成され、上記受け框には、上記当接壁及び被当接壁の何れか他方が、該受け框の長手方向の一端部から他端部まで形成されており、上記当接壁及び被当接壁は磁力を透過させる材料から成っていて、上記当接壁及び上記被当接壁の各外面により、互いに平行を成して対向し、建物開口部を閉じた際に互いに当接する当接面及び被当接面が形成され、これら当接面及び被当接面は、上記当接壁及び上記被当接壁の長手方向の一端から他端まで連続的かつ直線状に延びており、さらに、上記当接壁の内面側には、磁石を収容した第1収容室が、上記当接壁の長手方向に沿って形成され、上記被当接壁の内面側には、上記磁石が吸着される磁性体を収容した第2収容室が、上記被当接壁の長手方向に沿って形成され、上記磁石は、上記第1収容室の長さよりも短い直線状に形成された焼結磁石であって、上記第1収容室内には、上記焼結磁石と非磁性材料から成るスペーサとが、上記第1収容室の長手方向に沿って交互に収容されている、ことを特長とするスクリーン装置が提供される。
【0008】
ここで、好ましくは、上記可動框が上記当接壁を有し、上記受け框が上記被当接壁を有しており、より好ましくは、上記当接壁が、上記可動框における上記開閉方向と直交する幅方向の一端から他端まで延びていて、上記当接面が、上記当接壁における上記幅方向の一端から他端まで延びた平坦面によって形成されている。そして、さらに好ましくは、 上記第1収容室が、上記当接壁における上記幅方向の中央部の内面側に形成されている。
【0009】
また、上記可動框が上記当接壁を有し、上記受け框が上記被当接壁を有したものにおいては、上記可動框における上記開閉方向と直交する幅方向の中央部に、上記受け框側に向けて突設されて上記長手方向へと延びる凸条部が形成され、上記当接壁が上記凸条部に形成されていても良い。この場合においては、上記第1収容室が、上記凸条部内に形成されていても良い。
【0010】
さらに、上記スクリーン装置においては、上記焼結磁石及びスペーサが、上記第1収容室の長手方向に対して直線状に延びた棒状に形成され、上記焼結磁石における上記長手方向の長さが、上記スペーサのそれ以下に形成されていると望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スクリーンを拡張させて建物開口部を閉じた際に、可動框と受け框とを、磁石と磁性体との間に作用する吸着力により、互いに係止させることが可能なスクリーン装置において、可動框を清掃するにあたっての作業性を向上させることができ、さらに、意匠性にも優れたものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るスクリーン装置の全体的構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示すスクリーン装置の縦断面図である。
【
図3】
図1に示すスクリーン装置において、受け框から可動框を離間させた状態を示す横断面図である。
【
図4】
図1に示すスクリーン装置において、受け框に対して可動框を当接させた状態を示す横断面図である。
【
図5】
図1に示すスクリーン装置における可動框の分解斜視図である。
【
図6】
図1に示すスクリーン装置における可動框及び受け框の要部拡大横断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るスクリーン装置における可動框及び受け框の要部拡大横断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るスクリーン装置における可動框の要部拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、
図1から
図6に基づいて、本発明に係るスクリーン装置の第1実施形態について説明する。スクリーン装置1は、窓や出入口等に配された矩形の建物開口部Baに装着して使用するもので、可動框8のスライド操作によって可撓性のスクリーン7を拡縮させることで、上記建物開口部Baを開閉することができるようになっている。なお、ここでは、プリーツ状(アコーディオン状)のスクリーン7を水平方向に拡縮させることにより建物開口部Baを開閉する横引き式のスクリーン装置1を一例に挙げて説明する。また、上記可動框8をスライド操作時に垂直姿勢で平行移動させるため、プリーツ式のスクリーン装置にはワイヤーを用いた平行移動機構が通常設けられているが、ここでは、そのような平行移動機構についての説明は省略することとする。
【0014】
このスクリーン装置1は、上記建物開口部Baに取り付けるための一対の横枠2,3及び一対の縦枠4,5と、上記一対の縦枠4,5間において上記一対の横枠2,3によりガイドされ、水平方向に移動自在に設けられた上記可動框8と、図中右側の一端が上記可動框8に取り付けられ、図中左側の他端が上記一対の縦枠4,5のうち左側の縦枠4に取り付けられた上記スクリーン7とを有している。そして、このスクリーン装置1においては、スクリーン7を拡張させて建物開口部Baを閉じた際に、可動框8と右側の縦枠5(受け框)とを、磁石26と磁性体34との間に作用する吸着力により、互いに係止させることができるようになっている。
【0015】
上記一対の横枠2,3は、何れも水平方向に延びる中空の枠体であって、上側に配された上横枠2と下側に配された下横枠3とから構成されており、上記スクリーン7及び可動框8を挟んで互いに平行を成して対向するように、上記建物開口部Baの上下枠に固定的に取り付けられている。上記上横枠2には、上記下横枠3側すなわち図中下方に向けて開口する上摺動溝11が該上横枠2の長手方向に沿って形成されており、上記下横枠3には、上記上横枠2側すなわち図中上方に向けて開口する下摺動溝12が該下横枠3の長手方向に沿って形成されている。そして、上記可動框8の上端部8a及び下端部8bが、これら上下の摺動溝11,12の内部に挿入され、水平方向に対して摺動自在に支持されている。
【0016】
上記一対の縦枠4,5は、何れも上下方向に延びる中空の枠体であって、上記スクリーン7及び可動框8を挟んで互いに平行を成して対向するように、上記建物開口部Baの左右枠に固定的に取り付けられている。これら縦枠4,5のうち、図中左側に配された左縦枠4の上下端が上横枠2の左端と下横枠3の左端にそれぞれ連結され、図中右側に配された右縦枠5の上下端が上横枠2の右端と下横枠3の右端にそれぞれ連結されている。そして、上記左縦枠4は、スクリーン7における左側の第1端部7aを保持した「固定框」を構成している。その一方で、上記右縦枠5は、スクリーン7における右側の第2端部7bを保持した上記可動框8を接離させるための「受け框」を構成している。
【0017】
本実施形態においては、上記可動框8に磁石26が設けられ、受け框5にその磁石26を吸着させる磁性体34が設けられていて、上記可動框8は上記磁石26を備えた当接部21を有し、上記受け框5は上記磁性体34を備えた被当接部30を有している。上記可動框8は、固定框4と受け框5との間で水平方向に往復スライド操作させて上記スクリーン7を拡縮させた際に、上記受け框5の被当接部30に対して接離する上記当接部21と上記固定框4に対して接離する本体部22とによって形成されている。上記当接部21は、可動框8における上記受け框5と対向する側に配されていて、上下方向に延びる中空の筒状に形成されている。また、上記本体部22は、可動框における上記固定框4と対向する側に配されていて、該固定框4側に開口し上下方向に延びる中空の溝状に形成されている。
【0018】
上記スクリーン7は、網戸の防虫網等、可撓性を有するシート状の材料から成っていて、上下方向に延びる多数の襞(プリーツ)を交互に逆方向に折り畳むことにより、水平方向に対してアコーディオン状に拡縮自在に形成されている。そして、スクリーン7の上記第1端部7aには、上記固定框4に取り付けるため、上下方向に延びる平板状に形成された第1固定板15が固定されている。また、スクリーン7の上記第2端部7bには、上記可動框8の当接部21に取り付けるため、同じく上下方向に延びる平板状に形成された第2固定板16が固定されている。
【0019】
上記固定框4には、受け框5側に開口する溝13が固定框4の長手方向に沿って形成されている。この溝13の内幅(溝幅)は、上記スクリーン7の襞の幅や上記可動框8の本体部22の外幅よりも僅かに大きくなるように形成されており、その溝内には、上記スクリーン7の第1端部7aを固定框4に対して係脱可能に保持させるための溝部材17が、該固定框4の長手方向に沿って設けられている。この溝部材17には、上記受け框5側に開口するスクリーン取付溝18が該溝部材17の長手方向に沿って形成されており、このスクリーン取付溝18の開口部には、スクリーン取付溝18の幅方向両端の側壁から内方に一対の係止片18a,18aが突設されている。そして。上記スクリーン7の第1固定板15が、上記一対の係止片18a,18aで開口幅が絞られたスクリーン取付溝18内に係脱可能に収容され、それにより、スクリーン7の第1端部7aが固定框4に保持されている。
【0020】
上記可動框8における溝状に形成された本体部22の内幅(溝幅)は、上記スクリーン7の襞の幅よりも僅かに大きくなるように形成されている。また、上記本体部22内における溝底寄りの位置には、一対の係止片22a,22aが幅方向両端の側壁から内方に突設されている。そして、上記スクリーン7の第2固定板16が、上記一対の係止片22a,22aで溝幅が絞られた本体部22内に係脱可能に収容され、それにより、上記スクリーン7の第2端部7bが可動框8に保持されている。さらに、上記本体部22内における上記一対の係止片22a,22aよりも開口側に形成された空間には、スクリーン7を縮小させて建物開口部Baを開いた際に、折り畳まれたスクリーン7が収容されるようになっている。
【0021】
上記可動框8に設けられた上記当接部21は当接壁23を有し、上記受け框5に設けられた上記被当接部30は被当接壁33を有しており、スクリーン7を拡張させて建物開口部Baを閉じた際に、上記当接壁23が上記被当接壁33に対して当接するようになっている。これら当接壁23及び被当接壁33はアルミ等の磁力を透過させる材料から成っており、そのため、上記当接壁23を上記被当接壁33に対して当接させると、上記磁石26と磁性体34との間に作用する吸着力によって、これら当接壁23と被当接壁33との当接状態、すなわち可動框8と受け框5との当接状態をより確実に保持させることができるようになっている。
【0022】
上記当接壁23は、外面23a及び内面23bを有していて、上記可動框8の長手方向(図中、上下方向)の一端部から他端部まで延設されており、上記被当接壁33も、同様に、外面33aと内面33bを有していて、上記受け框5の長手方向(図中、上下方向)の一端部から他端部まで延設されている。そして、上記当接壁23及び被当接壁33の各外面23a,33aが、互いに平行を成して対向しており、上記当接壁23と被当接壁33とを当接させて建物開口部Baを閉じた際に互いに面で接する当接面23a及び被当接面33aを形成している。これら当接面23a及び被当接面33aは、上記当接壁23及び被当接壁33の長手方向の一端から他端まで連続的かつ直線状に延びている。
【0023】
さらに、本実施形態においては、上記当接壁23が、上記可動框8の当接部21における上記開閉方向と直交する短手の幅方向の一側端から他側端まで延びており、上記当接面23aの全体が、上記当接壁23における上記幅方向の一側端から他側端まで延びた平坦面によって形成されている。
【0024】
また、上記可動框8の当接部21における上記当接壁23の内面23b側には、上記磁石26を収容するための第1収容室25が、該当接壁23の長手方向に沿って、該当接壁23の一端から他端まで形成されている。この第1収容室25は、上記当接壁23における上記幅方向の中央部に形成されており、上記当接壁23と、その内面23bから互いに対向させて立設された断面略L字状の一対の係止側壁25a,25aとで囲まれて、これら当接壁23及び係止側壁25a,25aの内面によって区画されている。また、これら係止側壁25a,25aは、空隙を挟んで互いに対向するように内向きに屈曲された先端壁25b,25bを先端部に有し、それにより、上記第1収容室25は、上記本体部22側に開放され、その長手方向の全体に亘って均一な略C形の横断面に形成されている。
【0025】
その一方で、上記被当接部30は、上記被当接壁33に加えて、該被当接壁33を間に挟んで上記受け框5の両側端部から上記固定框4側に向けて立設された一対の係止突壁32,32を有している。この一対の係止突壁32,32は、上記可動框8の当接部21の幅よりも僅かに大きい間隔で配置されており、受け框5の長手方向に延設されている。上記被当接壁33はこれら係止突壁32,32の間に配された底壁によって形成されており、該被当接壁33の外面から成る上記被当接面33aは、上記当接面23aと平行かつ実質的に同幅の平坦面によって形成されている。
【0026】
さらに、上記受け框5は、上記被当接壁33を構成する底壁及び上記一対の係止突壁32,32に加えて、上記被当接壁33と間隔を設けて配され、上記建物開口部Baに対する受け框5の固定に供される外方壁31aと、該外方壁31aの幅方向の両端から立設されて上記一対の係止突壁32,32へと連接された一対の固定側壁31b,31bとを有している。そして、上記被当接壁33の内面33b側には、上記外方壁31aと上記一対の固定側壁31b,31bによって区画された断面略矩形の第2収容室31が、該被当接壁の長手方向に沿って、該被当接壁33の一端から他端まで形成されている。
【0027】
この第2収容室31は、上記一対の係止突壁32,32の内幅と同じ幅を有しており、その内部に、上記被当接壁33の全幅に亘って上記磁性体34が配されている。この磁性体34は、磁石26によって吸着される鉄板等の磁性材料を折り曲げることで上記受け框5の長手方向に延びる柱状に形成されたもので、平板状の主板部34aと、この主板部34aの幅方向の両端から上記一対の固定側壁31b,31bに沿うように立設された一対の側板部34b,34bとによって、断面略C字状に一体成形されている。そして、この主板部34aが上記第2収容室31の内面33bに面で当接されると共に、上記側板部34b,34bが第2収容室31の固定側壁31b,31bに面で当接された状態で、上記第2収容室31に収容されている。
【0028】
ところで、上記磁石26と磁性体34との間に作用する吸着力は、可動框8の操作に支障を生じない範囲においてより大きいことが望ましい。そこで、本実施形態においては、上記可動框8の第1収容室25に収容された磁石26として、「焼結磁石」を用いている。ただし、焼結磁石は衝撃や曲げ等の外力に対して脆いため、ここでは、上記第1収容室25の長さよりも短くて長手方向に直線状に延びた焼結磁石26と、樹脂等の非磁性材料から成り長手方向に直線状に延びたスペーサ24とを準備した。そして、これら焼結磁石26とスペーサ24とを、上記第1収容室25にその長手方向に対して交互に収容し、これら焼結磁石26及びスペーサ24の長さの合計が上記第1収容室25の長さとほぼ等しくなるようにした。
【0029】
さらに具体的に説明すると、本実施形態において、上記焼結磁石26とスペーサ24はそれぞれ、横断面が略矩形で上記第1収容室25の長手方向に対して均一な棒状に形成されている。そして、上記第1収容室25の長手方向における上記焼結磁石26の長さは、上記スペーサ24のそれ以下に形成されている。また、上記焼結磁石26及びスペーサ24の横断面は、上記第1収容室25の横断面とほぼ等しくなるように形成されている。
【0030】
以上のような構成を備えたスクリーン装置1においては、上記可動框8を操作して建物開口部Baを閉じた際に、上記可動框8の当接部21が上記受け框5の被当接部30における一対の係止突壁32,32間に挿入され、上記当接部21における当接壁23の当接面23aが、上記被当接部30における被当接壁33の被当接面33aに対して面で当接した状態となる。そのとき、焼結磁石26と磁性体34との間に作用する吸着力によって、当接面23aと被当接面33aとのより強固な当接状態(すなわち、可動框8と受け框5とのより強固な係止状態)を確保することができる。そのため、風等によりスクリーン7にその面と直交する方向の力が作用しても、可動框8が受け框5から離間するのを防止することができる。また、そのとき、上記当接部21が、スクリーン7の面と直交する方向に対しては、上記被当接部30の一対の係止突壁32,32によって支持されるため、上記被当接面33aに対する上記当接面23aの当接位置がずれてしまうことで、可動框8と受け框5との間に作用する吸着力が低下する虞もない。
【0031】
さらに、上記スクリーン装置1においては、上記可動框8における当接部21の当接面23aの全体、及び上記受け框5における被当接部30の被当接面33aの全体が、上記当接壁23の長手方向、及び上記被当接壁33の長手方向の一端から他端(図中、上下方向の上端から下端)まで連続的かつ直線状に延びる平坦面によって形成されている。そのため、上記当接面23a及び被当接面33aを清掃するにあたって、これら当接面23a及び被当接面33aを一端から他端(図中、上端から下端)まで直線的に払拭することができ、可動框5の清掃作業性を向上させることができる。また、上記当接面23a及び被当接面33aの形態がシンプルで意匠性にも優れている。
【0032】
次に、
図7に基づいて本発明の第2実施形態に係るスクリーン装置1Aについて説明する。ただし、ここでは説明の重複を避けるため、第1実施形態と同じ構成及びそれに基づく作用効果については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。第2実施形態のスクリーン装置1Aと第1実施形態のスクリーン装置1とは、主に可動框の当接部及び受け框の被当接部の具体的な構成において相違している。
【0033】
上記スクリーン装置1Aの可動框8Aにおいては、当接部21Aの横断面が受け框5A側に向けて凸字形状に形成されており、上記当接部21Aにおける受け框5Aと対向する先端壁によって当接壁41が形成されている。具体的には、上記可動框8Aの当接部21Aは、上記可動框8Aの幅方向の中央部において、上記受け框5A側に向けて突設されると共に長手方向へと延設された凸条部40と、上記本体部22に連結されて上記凸条部40が固定された基部46とを有している。上記当接壁41は、上記凸条部40における最も受け框5A側に配された先端壁によって形成され、外面41a及び内面41bを有しており、その外面によって当接面41aが形成されている。また、上記凸条部40は、その長手方向(図中、上下方向)に対して中空で、上記当接壁41の内面41bによって区画された第1収容室42を有しており、該第1収容室42には、上記第1実施形態と同様にして上記焼結磁石26及びスペーサ24が収容されている。
【0034】
さらに、上記凸条部40は、上記当接壁41に加えて、該当接壁41の幅方向の両側端から上記基部46側に延びる一対の収容側壁45a,45aと、上記当接壁41の内面41b側において該当接壁41と間隔を設けて平行に配され、上記一対の収容側壁45a,45aに連結された固定基板45bとを有している。すなわち、これら当接壁、一対の収容側壁及び固定基板45bとによって四方が取り囲まれた空間によって、上記第1収容室42が形成されている。
【0035】
一方、上記当接部21Aの基部46は、長手方向に中空に形成されていて、その上記受け框5A側を向く面の幅方向両端部に、上記当接壁41と平行を成した一対の肩壁44,44を有している。それら肩壁44,44における互いに対向する両側端部44a,44aによって、上記基部46が上記受け框5A側に開口されている。また、上記固定基板45bの幅方向両端部からは、一対の鉤部45c,45cが、互いに背向させた状態で上記基部46側に向けて立設されている。そして、これら鉤部45c,45cが、対応する上記側端部44a,44aに係合され、上記凸条部40が上記基部46に対して係止により固定されている。
【0036】
上記受け框5Aの被当接部30Aは、上記一対の係止突壁32,32と、これら係止突壁32,32間に形成され、上記当接壁41と平行を成して対向する被当接壁50とを有している。そして、この被当接壁50は、外面50aと内面50bを有していて、その外面50aによって被当接面が形成されており、この被当接面50aは、上記当接面41aと平行で実質的に同じ幅と長さを有する平坦面によって形成されている。すなわち、上記一対の係止突壁32,32は、上記被当接壁50aを含んだ平坦な底壁の幅方向両側端から上記固定框4側に向けて立設されており、その底壁の幅方向中央部によって上記被当接壁50aが形成されている。
【0037】
また、上記受け框5Aの被当接部50における上記被当接壁50の内面50b側には、磁性体51を収容するための第2収容室52が、該被当接壁50の長手方向に沿って、該被当接壁50の一端から他端まで形成されている。この第2収容室52は、上記被当接壁50と同じ幅と長さを有しており、上記被当接壁50と、その内面50bの幅方向両端から互いに対向させて立設された断面略L字状の一対の係止側壁52a,52aとで囲まれて、これら被当接壁50及び係止側壁52a,52aの内面によって区画されている。また、これら係止側壁52a,52aは、空隙を挟んで互いに対向するように内向きに屈曲された先端壁52b,52bを先端部に有し、それにより、上記第2収容室52は上記外方壁31a側に開放されている。上記磁性体51は、横断面が略矩形で上記第2収容室52の長手方向に対して均一な1本の棒状に形成されている。なお、上記可動框8Aに対する受け框としては、上記受け框5Aに限られるものではなく、例えば、上記第1実施形態の受け框5を用いても良い。
【0038】
次に、
図8に基づいて、本発明の第3実施形態に係るスクリーン装置1Bについて説明する。ただし、ここでは説明の重複を避けるため、第1実施形態及び第2実施形態と同じ構成及びそれに基づく作用効果については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。 第3実施形態のスクリーン装置1Bと第2実施形態のスクリーン装置1Aとは、主に可動框の当接部における凸条部の具体的な構成において相違している。
【0039】
この第3実施形態に係るスクリーン装置1Bにおいて、可動框8Bの当接部21Bは、第2実施形態と同様に、上記基部46と凸条部60とによって構成されているが、そのうち、上記凸条部60が、上記当接壁41及び一対の収容側壁45a,45aに加えて、上記各収容側壁45aにおける上記基部46側の端に一体に連結された内鍔部62及び外鍔部63を有している。上記一対の収容側壁45a,45aに設けられた内鍔部62,62は、可動框8Bの幅方向において、上記凸条部60の内方に延びており、空隙を挟んで互いに対向している。また、上記当接壁41の内面41bと一対の収容壁45a,45aの内面とによって、前記焼結磁石26及びスペーサ24を交互に収容するための第1収容室61が区画されている。そして、前記一対の内鍔部62,62間の空隙によって、上記第1収容室61が上記基部46側に開口している。
【0040】
一方、上記一対の収容側壁45a,45aに設けられた外鍔部63,63は、可動框8Bの幅方向において、上記凸条部60の外方に互いに背向して延びている。また、これら外鍔部63,63からは、上記一対の鉤部45c,45cが、互いに背向させた状態で上記基部62側に向けて立設されている。そして、これら鉤部45c,45cが、対応する上記肩壁44,44の側端部44a,44aに係合され、上記凸条部60が上記基部46に対して係止により固定されている。なお、ここでは可動框8Bを接離させる受け框についての説明は省略するが、例えば、上記第1実施形態や第2実施形態のものを使用することができる。
【0041】
以上、本発明に係るスクリーン装置について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能であることは言うまでもない。例えば、上記の第1-第3実施形態のスクリーン装置は、いずれも可動框側に焼結磁石とスペーサを設け、受け框側に磁性体を設けたが、逆に、可動框側に磁性体を設け、受け框側に焼結磁石とスペーサを設けても良い。また、上記の第1-第3実施形態のスクリーン装置は、可動框を方向に移動させてスクリーンを水平方向に拡縮することでスクリーンを開閉する横引き式のスクリーン装置であるが、可動框を上下方向に移動させてスクリーンを上下方向に拡縮することで開閉される縦引き式のスクリーン装置であってもよい。さらに、本発明は、プリーツ式のスクリーン装置ばかりでなく、ロール式のスクリーン装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1,1A,1B スクリーン装置
2 上横枠
3 下横枠
4 左縦枠(固定框)
5,5A 右縦枠(受け框)
7 スクリーン
7a 第1端部
7b 第2端部
8,8A,8B 可動框
8a 上端部
8b 下端部
11 上摺動溝
12 下摺動溝
13 溝
15 第1固定板
16 第2固定板
17 溝部材
18 スクリーン取付溝
18a 係止片
21,21A,21B 当接部
22 本体部
22a 係止片
23,41 当接壁
23a,41a 外面(当接面)
23b,41b 内面
24 スペーサ
25,42,61 第1収容室
25a 係止側壁
25b 先端壁
62 内鍔部
63 外鍔部
26 焼結磁石
30,30A 被当接部
31,52 第2収容室
31a 外方壁
31b 固定側壁
52a 係止側壁
52b 先端壁
32 係止突壁
33,50 被当接壁
33a,50a 外面(被当接面)
33b,50b 内面
34,51 磁性体
34a 主板部
34b 側板部
40,60 凸条部
44 肩壁
44a 側端部
45a 収容側壁
45b 固定基板
45c 鉤部
46 基部
Ba 建物開口部