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  • 特開-二酸化炭素濃度測定装置 図1
  • 特開-二酸化炭素濃度測定装置 図2
  • 特開-二酸化炭素濃度測定装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161702
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/78 20060101AFI20221014BHJP
   G01N 21/77 20060101ALI20221014BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G01N21/78 Z
G01N21/77 A
G01N31/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066710
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】514293008
【氏名又は名称】株式会社東亜産業
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
2G042
2G054
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BB05
2G042CA01
2G042CB01
2G042DA08
2G042FA12
2G042FB02
2G042HA10
2G054AA01
2G054AB10
2G054BB08
2G054BB10
2G054CA01
2G054CB10
2G054CD03
2G054CE02
2G054EA04
2G054EA05
2G054EA06
2G054GA03
2G054GB04
2G054JA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構成によって二酸化炭素濃度を測定することができる二酸化炭素濃度測定装置を提供する。
【解決手段】内部を視認可能であり、大気を取り込み可能な二酸化炭素検出容器50と、二酸化炭素検出容器の内部に設けられた二酸化炭素検出試薬と、二酸化炭素検出容器を揺動させる揺動手段を備え、揺動手段が二酸化炭素検出容器を揺動させることで大気を取り込み、取り込んだ大気と二酸化炭素検出試薬が撹拌されることで二酸化炭素検出試薬の色調を変化させて二酸化炭素濃度の増減が確認可能であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を視認可能であり、大気を取り込み可能な二酸化炭素検出容器と、
前記二酸化炭素検出容器の内部に収納可能な二酸化炭素検出試薬と、を備え、
前記二酸化炭素検出容器に取り込まれた大気と、前記二酸化炭素検出試薬が撹拌されることで前記二酸化炭素検出試薬の色調を変化させて二酸化炭素濃度の増減が確認可能であることを特徴とする二酸化炭素濃度測定装置。
【請求項2】
前記二酸化炭素検出容器を揺動させることで前記二酸化炭素検出容器に取り込まれた大気と、前記二酸化炭素検出試薬が撹拌されることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素濃度測定装置。
【請求項3】
前記二酸化炭素検出容器の内部に凹凸を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の二酸化炭素濃度測定装置。
【請求項4】
前記二酸化炭素検出容器にPTFE延伸多孔質膜を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二酸化炭素濃度測定装置。
【請求項5】
回動可能な軸と、
前記軸に固定された吊下手段と、をさらに備え、
前記二酸化炭素検出容器は前記吊下手段に固定されており、前記軸が回動することで揺動することを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項記載の二酸化炭素濃度測定装置。
【請求項6】
前記軸の回動角度を規制するための回動角度規制手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の二酸化炭素濃度測定装置。
【請求項7】
前記二酸化炭素検出容器に連通する管と、
前記二酸化炭素検出容器に大気を取り込むためのポンプをさらに備え、
前記管から排出された外気と、前記二酸化炭素検出試薬が撹拌されることで前記二酸化炭素検出試薬の色調を変化させて二酸化炭素濃度の増減が確認可能であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素濃度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルスの感染防止対策の観点から室内の換気が十分になされることが大切である。室内の換気が十分になされるためには、室内の二酸化炭素濃度をモニターする必要がある。従来、二酸化炭素濃度を測定する装置として例えば、特許文献1の二酸化炭素濃度測定装置がある。特許文献1は、BTB溶液の色調を変化させて二酸化炭素濃度の増減が確認可能であり、BTB溶液の色が黄色に変化した場合に、二酸化炭素を高濃度と判断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭56-17669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の二酸化炭素濃度測定装置を使用して大気中の二酸化炭素濃度を検出しようとした場合には、資料封入用透明容器に空気を入れた後にピンチコックを開き、装置を傾斜させた後、逆方向に傾斜させる動作を5回繰り返すものである。このように、特許文献1記載の二酸化炭素濃度測定装置を使用する場合には、室内の二酸化炭素濃度を知るために手間がかかっており、特に飲食店等の換気の度にこのような操作を行わなければならないのは煩わしさを感じざるを得なかった。そこで本発明は、簡単な構成によって二酸化炭素濃度を測定することができる二酸化炭素濃度測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
内部を視認可能であり、大気を取り込み可能な二酸化炭素検出容器と、前記二酸化炭素検出容器の内部に収納可能な二酸化炭素検出試薬と、を備え、前記二酸化炭素検出容器に取り込まれた大気と、前記二酸化炭素検出試薬が撹拌されることで前記二酸化炭素検出試薬の色調を変化させて二酸化炭素濃度の増減が確認可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、内部に二酸化炭素検出試薬が設けられた二酸化炭素検出容器が揺動することで大気を取り込み、取り込んだ大気によって二酸化炭素検出試薬の色調を変化させて二酸化炭素濃度の増減が確認可能であるため、簡単な構成によって二酸化炭素濃度を測定することができる。これにより、非常に簡単に室内の換気のタイミングを適切に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る二酸化炭素濃度測定装置の斜視図である。
図2】実施形態に係る二酸化炭素濃度測定装置の正面図である。
図3】実施形態に係る二酸化炭素濃度測定装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態において手前、後方、右、左とは図1に示す通りである。
【実施例0009】
図1は本発明による二酸化炭素濃度測定装置1の斜視図である。図1、2において、10は基台であり、基台10上には支柱20が立設されている。支柱20は、図3に示すように、逆U字状の釣り針形状を有しており、基台10から上方になるにつれて後方に湾曲し、さらに上方では手前に向けて湾曲する形状となっている。
【0010】
支柱20の先端には前後に軸方向が向くように軸部材30が軸支されており、左右に回動可能となっている。軸部材30には吊下紐41、42の一端が固定されており、吊下紐41、42の他端は後述する二酸化炭素検出容器50に固定されている。
【0011】
二酸化炭素検出容器50は中空の筒形状であり、内部が視認可能となるよう例えばガラスで形成されている。また、二酸化炭素検出容器50は、左右の端部が高くなるようU字状に湾曲している。二酸化炭素検出容器50の左右両端は金属円環71、72が取り付けられており、当該金属円環71、72に前述した吊下紐41、42が固定されている。二酸化炭素検出容器50は左右両端が開口しており、揺動した際に空気が筒内に取り込まれる構造となっている。また、二酸化炭素検出容器50の内部には所定量のBTB溶液60が注入されている。なお、本実施形態におけるBTB溶液は、0.04%のBTB水溶液4mlに90%~100%エタノール50mlと、水を46ml加えて100mlにしたものを使用した。二酸化炭素の吸収率を上げるためにアルコールを加えることが好ましく、アルコール:水の比率を30~70:70~30とすることが好ましい。
【0012】
以上のように構成された二酸化炭素濃度測定装置1の使用例を説明する。二酸化炭素検出容器50の端部を指先等で押すことで、二酸化炭素検出容器50は軸部材を中心に左右に揺動する。これにより内部に注入されたBTB溶液60も揺動する。
【0013】
そして、二酸化炭素検出容器50の揺動に伴い、左右両端の開口から空気が二酸化炭素検出容器50内に取り込まれ、BTB溶液60の色調が変化する。その結果、BTB溶液60が黄色に変色した場合には二酸化炭素が高濃度であると判断されるため換気等の措置を行う目安となる。
【0014】
このように本実施形態の二酸化炭素濃度測定装置1は、二酸化炭素検出容器50の端部を指先等で押すだけで二酸化炭素濃度が高濃度であるか否かを把握することが可能となり、簡単な操作によって二酸化炭素濃度を測定することができる。その結果、新型コロナウイルスの感染防止対策やインフルエンザ感染防止対策に寄与することができる。
【0015】
特に、飲食店等で使用する場合にあっては、二酸化炭素検出容器50の端部を指先等で押した後に他の業務を行いながら二酸化炭素濃度を測定し、換気の目安を知ることができるため、換気の目安を知るためにわざわざ別の業務を中断などして多くの時間を費やすことがなくなる。
【0016】
本実施形態の二酸化炭素濃度測定装置1における二酸化炭素検出容器50は両端に金属円環71、72を設けたことにより、二酸化炭素検出容器50が揺動する際に両端が他の物に衝突したとしても二酸化炭素検出容器50の損傷を防ぐことができる。
【0017】
例えば、本実施形態では二酸化炭素の濃度を検出するための試薬にBTB溶液を使用したが、石灰水を使用してもよい。石灰水を使用した場合は、石灰水が白濁になった場合に二酸化炭素が高濃度であると判断される。
【0018】
本実施形態では、二酸化炭素検出容器50の両端部を開口としたが、空気を通して液体を通さないPTFE延伸多孔質膜を設けるようにしてもよい。なお、PTFE延伸多孔質膜を設ける位置は端部に限らず、筒内であれば任意の位置に設けることができる。
【0019】
また、二酸化炭素検出容器50の内壁に凹凸を設けてもよい。凹凸を設けると二酸化炭素検出容器50の揺動に伴い、BTB溶液が凹凸に衝突しながら揺動することになるため、凹凸を設けない場合に比べてより効果的に二酸化炭素による色調の変化を促進することが可能となる。
【0020】
さらに、軸部材が回動する角度を所定角度に制限するための回動角度規制手段としてのストッパを設けてもよい。ストッパを設けることで二酸化炭素検出容器の揺動範囲を抑えることができ、内部に注入されたBTB溶液が零れてしまうことを防止することができる。
【0021】
二酸化炭素検出容器の所定位置に磁石を設け、さらに、基台の相対する位置に同極の磁石を設けてもよい。このようにすることで、磁石の反作用を利用し、揺動を促進することができる。なお、二酸化炭素検出容器に磁石を設ける位置は、二酸化炭素検出容器の左右いずれか又は左右両方の端部に近い位置が好ましい。左右いずれか又は左右両方の端部に近い位置に設けると、反作用の力を大きく利用でき、揺動を好適に促進できる。
【0022】
本実施形態では、二酸化炭素検出容器50をガラスで形成したが、透明または半透明であればガラスでなくてもよい。例えばプラスチックで形成してもよい。軽い素材の場合、揺動させやすくするために二酸化炭素検出容器に錘を設けてもよい。
【0023】
本実施形態では、吊下紐にて二酸化炭素検出容器を吊り下げたが、紐でなくてもよい。例えば、針金、ワイヤーまたは釣り糸であってもよい。
【0024】
本実施形態では、軸部材30および吊下紐41、42にて二酸化炭素検出容器50を揺動させるよう構成したが、これに限られることなく、二酸化炭素検出容器を揺動させることが可能な構成であればよい。例えば、二酸化炭素検出容器を基台の表面に固定し、基台の裏面側にワイヤー又は棒状体からなる下に凸となる円弧状体を取付けて揺動させるよう構成してもよい。
【0025】
また、二酸化炭素検出容器内に注入されたBTB溶液にチューブや管により外気を取り入れるようにし、二酸化炭素検出試薬であるBTB溶液が撹拌されることで、BTB溶液の色調を変化させる構成としてもよい。チューブや管により外気を取り入れる方法としては、ポンプ等によって取り込むようにしてもよい。
【0026】
本発明は、上述の各実施の形態および各変形例には限定されない。例えば、上述の実施の形態および各変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また、上述の構成要素以外の構成要素を含む形態も、本発明の実施形態に含まれる。また、上述の構成要素のうちの一部の要素が含まれない形態も、本発明の実施の形態に含まれる。また、本発明のある実施の形態に含まれる一部の構成要素と、本発明の他の実施の形態に含まれる一部の構成要素とを含む形態も、本発明の実施の形態に含まれる。したがって、上述の実施形態および変形例、および上述以外の本発明の実施の形態の各々に含まれる構成要素同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本発明の実施の形態に含まれる。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施の形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想および趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書および図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 二酸化炭素濃度測定装置
10 基台
20 支柱
30 軸部材
41、42 吊下紐
50 二酸化炭素検出容器
60 BTB溶液
71、72 金属円環
図1
図2
図3