(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161722
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】配線基板および配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/38 20060101AFI20221014BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H01Q1/38
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066761
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】飯村 慶太
(72)【発明者】
【氏名】川口 修司
(72)【発明者】
【氏名】木下 一樹
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】武 誠司
【テーマコード(参考)】
5E338
5J046
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA13
5E338AA16
5E338BB75
5E338CC09
5E338CD12
5E338EE60
5J046AA12
5J046AB03
5J046PA07
(57)【要約】
【課題】配線パターン領域を視認しづらくすることが可能な、配線基板および配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置され、複数の配線21、22を含む配線パターン領域20と、配線パターン領域20の周囲に配置され、配線21、22から電気的に独立した複数のダミー配線30aを含むダミーパターン領域30と、を備えている。配線パターン領域20は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターン20Aから構成されている。第1方向において、配線パターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔G
1は、単位パターン20Aの第1方向におけるピッチP
bの0.01倍以上0.2倍以下である。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板であって、
透明性を有する基板と、
前記基板上に配置され、複数の配線を含む配線パターン領域と、
前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域と、を備え、
前記配線パターン領域は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、
前記第1方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、配線基板。
【請求項2】
前記単位パターンは、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って繰り返し配列され、前記第2方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第2方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記ダミーパターン領域は、繰り返し配列された所定のダミー単位パターンから構成され、前記ダミー単位パターンの形状は、前記単位パターンの形状と等しい、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
配線基板であって、
透明性を有する基板と、
前記基板上に配置され、複数の配線を含む配線パターン領域と、
前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域と、を備え、
前記配線パターン領域は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、
前記ダミーパターン領域は、互いに独立した複数の孤立パターンから構成され、
前記孤立パターンの前記ダミー配線の長さは、前記単位パターンの前記配線の長さの4.0倍以下であり、
前記第1方向において、前記孤立パターン同士の間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、配線基板。
【請求項5】
前記第1方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記単位パターンは、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って繰り返し配列され、前記第2方向において、前記孤立パターン同士の間の間隔は、前記単位パターンの前記第2方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、請求項4乃至5のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第2方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第2方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記孤立パターンは、ダミー単位パターンを含み、前記ダミー単位パターンの形状は、前記単位パターンの形状と等しい、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項9】
電波送受信機能を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項10】
配線基板の製造方法であって、
透明性を有する基板を準備する工程と、
前記基板上に、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域とを形成する工程と、を備え、
前記配線パターン領域は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、
前記第1方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、配線基板の製造方法。
【請求項11】
配線基板の製造方法であって、
透明性を有する基板を準備する工程と、
前記基板上に、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域とを形成する工程と、を備え、
前記配線パターン領域は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、
前記ダミーパターン領域は、互いに独立した孤立パターンから構成され、
前記孤立パターンの長さは、前記単位パターンの長さの4.0倍以下であり、
前記第1方向において、前記孤立パターン同士の間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施の形態は、配線基板および配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォン、タブレット等の携帯端末機器の高機能、小型化、薄型化および軽量化が進んでいる。これら携帯端末機器は、複数の通信帯域を使用するため、通信帯域に応じた複数のアンテナが必要とされる。例えば、携帯端末機器には、電話用アンテナ、WiFi(Wireless Fidelity)用アンテナ、3G(Generation)用アンテナ、4G(Generation)用アンテナ、LTE(Long Term Evolution)用アンテナ、Bluetooth(登録商標)用アンテナ、NFC(Near Field Communication)用アンテナ等の複数のアンテナが搭載されている。しかしながら、携帯端末機器の小型化に伴い、アンテナの搭載スペースは限られており、アンテナ設計の自由度は狭まっている。また、限られたスペース内にアンテナを内蔵していることから、電波感度が必ずしも満足できるものではない。
【0003】
このため、携帯端末機器の表示領域に搭載することができるフィルムアンテナが開発されている。このフィルムアンテナは、透明基材上にアンテナパターンが形成された透明アンテナにおいて、アンテナパターンが、不透明な導電体層の形成部としての導体部と非形成部としての多数の開口部とによるメッシュ状の導電体メッシュ層によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-66610号公報
【特許文献2】特許第5636735号明細書
【特許文献3】特許第5695947号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、従来のフィルムアンテナにおいては、透明基材上に1つ又は複数のメッシュアンテナが搭載されるが、透明基材上にアンテナパターンが形成された領域と、アンテナパターンが形成されない領域との両方が存在する。この場合、アンテナパターンが形成されない領域が存在することにより、アンテナパターンが形成された領域が見え易くなってしまう。このため、アンテナパターン等の配線パターンを視認しづらくすることが求められている。
【0006】
本実施の形態は、配線パターン領域を視認しづらくすることが可能な、配線基板および配線基板の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施の形態による配線基板は、透明性を有する基板と、前記基板上に配置され、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域と、を備え、前記配線パターン領域は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、前記第1方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、配線基板である。
【0008】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記単位パターンは、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って繰り返し配列され、前記第2方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第2方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下であってもよい。
【0009】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記ダミーパターン領域は、繰り返し配列された所定のダミー単位パターンから構成され、前記ダミー単位パターンの形状は、前記単位パターンの形状と等しくなっていてもよい。
【0010】
本開示の一実施の形態による配線基板は、透明性を有する基板と、前記基板上に配置され、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域と、を備え、前記配線パターン領域は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、前記ダミーパターン領域は、互いに独立した複数の孤立パターンから構成され、前記孤立パターンの前記ダミー配線の長さは、前記単位パターンの前記配線の長さの4.0倍以下であり、前記第1方向において、前記孤立パターン同士の間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、配線基板である。
【0011】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記第1方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下であってもよい。
【0012】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記単位パターンは、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って繰り返し配列され、前記第2方向において、前記孤立パターン同士の間の間隔は、前記単位パターンの前記第2方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下であってもよい。
【0013】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記第2方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第2方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下であってもよい。
【0014】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記孤立パターンは、ダミー単位パターンを含み、前記ダミー単位パターンの形状は、前記単位パターンの形状と等しくなっていてもよい。
【0015】
本開示の一実施の形態による配線基板は、電波送受信機能を有していてもよい。
【0016】
本開示の一実施の形態による配線基板の製造方法は、透明性を有する基板を準備する工程と、前記基板上に、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域とを形成する工程と、を備え、前記配線パターン領域は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、前記第1方向において、前記配線パターン領域と前記ダミーパターン領域との間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、配線基板の製造方法である。
【0017】
本開示の一実施の形態による配線基板の製造方法は、透明性を有する基板を準備する工程と、前記基板上に、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域とを形成する工程と、を備え、前記配線パターン領域は、第1方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、前記ダミーパターン領域は、互いに独立した孤立パターンから構成され、前記孤立パターンの長さは、前記単位パターンの長さの4.0倍以下であり、前記第1方向において、前記孤立パターン同士の間の間隔は、前記単位パターンの前記第1方向におけるピッチの0.01倍以上0.2倍以下である、配線基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
本開示の実施の形態によると、配線パターン領域を視認しづらくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態による配線基板を示す平面図である。
【
図2A】
図2Aは、第1の実施の形態による配線基板を示す拡大平面図(
図1のIIA部拡大図)である。
【
図2B】
図2Bは、第1の実施の形態による配線基板を示す拡大平面図(
図1のIIB部拡大図)である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態による配線基板を示す断面図(
図2AのIII-III線断面図)である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態による配線基板を示す断面図(
図2AのIV-IV線断面図)である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態による配線基板を示す断面図(
図2AのV-V線断面図)である。
【
図6】
図6(a)-(e)は、第1の実施の形態による配線基板の製造方法を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態による画像表示装置を示す平面図である。
【
図8A】
図8Aは、第1の実施の形態に係る配線基板の変形例を示す平面図(
図2Aに対応する図)である。
【
図8B】
図8Bは、第1の実施の形態に係る配線基板の変形例を示す平面図(
図2Bに対応する図)である。
【
図9A】
図9Aは、第2の実施の形態による配線基板を示す拡大平面図(
図2Aに対応する図)である。
【
図9B】
図9Bは、第2の実施の形態による配線基板を示す拡大平面図(
図2Bに対応する図)である。
【
図10】
図10(a)-(d)は、第2の実施の形態による配線基板の孤立パターンの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の実施の形態
まず、
図1乃至
図7により、第1の実施の形態について説明する。
図1乃至
図7は第1の実施の形態を示す図である。
【0021】
以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0022】
本実施の形態において、「X方向」とは、配線パターン領域の長手方向に対して垂直な方向であり、アンテナ配線の周波数帯に対応する長さの方向に対して垂直な方向である。「Y方向」とは、X方向に垂直かつ配線パターン領域の長手方向に対して平行な方向であり、アンテナ配線の周波数帯に対応する長さの方向に対して平行な方向である。「Z方向」とは、X方向およびY方向の両方に垂直かつ配線基板の厚み方向に平行な方向である。また、「表面」とは、Z方向プラス側の面であって、基板に対してアンテナ配線が設けられた面をいう。「裏面」とは、Z方向マイナス側の面であって、基板に対してアンテナ配線が設けられた面と反対側の面をいう。なお、本実施の形態において、配線パターン領域20が、電波送受信機能(アンテナとしての機能)を有するアンテナパターン領域20である場合を例にとって説明するが、配線パターン領域20は電波送受信機能(アンテナとしての機能)を有していなくても良い。
【0023】
[配線基板の構成]
図1乃至
図5を参照して、本実施の形態による配線基板の構成について説明する。
図1乃至
図5は、本実施の形態による配線基板を示す図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態による配線基板10は、例えば画像表示装置のディスプレイ上に配置されるものである。このような配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置されたアンテナパターン領域(配線パターン領域)20と、基板11上でアンテナパターン領域20の周囲に配置されたダミーパターン領域30と、を備えている。また、アンテナパターン領域20には、給電部40が電気的に接続されている。
【0025】
このうち基板11は、平面視で略長方形状であり、その長手方向がY方向に平行であり、その短手方向がX方向に平行となっている。基板11は、透明性を有するとともに略平板状であり、その厚みは全体として略均一となっている。基板11の長手方向(Y方向)の長さL1は、例えば10mm以上200mm以下の範囲で選択することができ、基板11の短手方向(X方向)の長さL2は、例えば3mm以上100mm以下の範囲で選択することができる。
【0026】
基板11の材料は、可視光線領域での透明性および電気絶縁性を有する材料であればよい。本実施の形態において基板11の材料はポリエチレンテレフタレートであるが、これに限定されない。基板11の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂材料等の有機絶縁性材料を用いることが好ましい。また、基板11の材料としては、用途に応じてガラス、セラミックス等を適宜選択することもできる。なお、基板11は、単一の層によって構成された例を図示したが、これに限定されず、複数の基材又は層が積層された構造であってもよい。また、基板11はフィルム状であっても、板状であってもよい。このため、基板11の厚さは特に制限はなく、用途に応じて適宜選択できるが、一例として、基板11の厚みT
1(Z方向の長さ、
図3参照)は、例えば10μm以上200μm以下の範囲とすることができる。
【0027】
図1において、アンテナパターン領域20は、基板11上に複数(3つ)存在しており、それぞれ異なる周波数帯に対応している。すなわち、複数のアンテナパターン領域20は、その長さ(Y方向の長さ)L
aが互いに異なっており、それぞれ特定の周波数帯に対応した長さを有している。なお、対応する周波数帯が低周波であるほどアンテナパターン領域20の長さL
aが長くなっている。配線基板10が例えば画像表示装置90のディスプレイ91(後述する
図7参照)上に配置される場合、各アンテナパターン領域20は、配線基板10が電波送受信機能を有していてもよい。この場合、各アンテナパターン領域20は、電話用アンテナ、WiFi用アンテナ、3G用アンテナ、4G用アンテナ、LTE用アンテナ、Bluetooth(登録商標)用アンテナ、NFC用アンテナ等のいずれかに対応していても良い。あるいは、配線基板10が電波送受信機能を有していない場合、各アンテナパターン領域20は、例えばホバリング(使用者がディスプレイに直接触れなくても操作可能となる機能)、指紋認証、ヒーター、ノイズカット(シールド)等の機能を果たしても良い。
【0028】
各アンテナパターン領域20は、それぞれ平面視で略長方形状である。各アンテナパターン領域20は、その長手方向がY方向に平行であり、その短手方向がX方向に平行となっている。各アンテナパターン領域20の長手方向(Y方向)の長さLaは、例えば3mm以上100mm以下の範囲で選択することができ、各アンテナパターン領域20の短手方向(X方向)の幅Waは、例えば1mm以上10mm以下の範囲で選択することができる。
【0029】
アンテナパターン領域20は、第1方向(例えば、Y方向)に沿って繰り返し配列された所定の単位パターン20Aから構成されている。また、この単位パターン20Aは、第1方向とは異なる第2方向(例えば、X方向)に沿って繰り返し配列されている。言い換えれば、アンテナパターン領域20は、それぞれ金属線が格子形状または網目形状に形成され、X方向およびY方向に均一な繰り返しパターンを有している。すなわち
図2Aおよび
図2Bに示すように、アンテナパターン領域20は、X方向に延びる部分(後述するアンテナ連結配線22の一部)とY方向に延びる部分(後述するアンテナ配線21の一部)とから構成されるL字状の単位パターン20A(
図2Aおよび
図2Bの網掛け部分)の繰り返しから構成されている。このため、本実施の形態では、単位パターン20AのX方向におけるピッチP
aは、後述するアンテナ配線21のピッチP
1と等しくなっており、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。また、単位パターン20AのY方向におけるピッチP
bは、後述するアンテナ連結配線22のピッチP
2と等しくなっており、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。
【0030】
図2Aおよび
図2Bに示すように、各アンテナパターン領域20は、複数の配線21、22を含んでいる。本実施の形態では、各アンテナパターン領域20は、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線21と、複数のアンテナ配線21を連結する複数のアンテナ連結配線22とを含んでいる。具体的には、複数のアンテナ配線21と複数のアンテナ連結配線22とは、全体として一体となって、規則的な格子形状または網目形状を形成している。各アンテナ配線21は、アンテナの周波数帯に対応する方向(Y方向)に延びており、各アンテナ連結配線22は、アンテナ配線21に直交する方向(X方向)に延びている。アンテナ配線21は、所定の周波数帯に対応する長さL
a(上述したアンテナパターン領域20の長さ)を有することにより、主としてアンテナとしての機能を発揮する。一方、アンテナ連結配線22は、これらのアンテナ配線21同士を連結することにより、アンテナ配線21が断線したり、アンテナ配線21と給電部40とが電気的に接続しなくなったりする不具合を抑える役割を果たす。
【0031】
各アンテナパターン領域20においては、互いに隣接するアンテナ配線21と、互いに隣接するアンテナ連結配線22とに取り囲まれることにより、複数の開口部23が形成されている。また、アンテナ配線21とアンテナ連結配線22とは互いに等間隔に配置されている。すなわち複数のアンテナ配線21は、互いに等間隔に配置され、そのピッチP
1(
図2A参照)は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。また、複数のアンテナ連結配線22は、互いに等間隔に配置され、そのピッチP
2(
図2A参照)は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。このように、複数のアンテナ配線21と複数のアンテナ連結配線22とがそれぞれ等間隔に配置されていることにより、各アンテナパターン領域20内で開口部23の大きさにばらつきがなくなり、アンテナパターン領域20を肉眼で視認しにくくすることができる。また、アンテナ配線21のピッチP
1は、アンテナ連結配線22のピッチP
2と等しい。このため、各開口部23は、それぞれ平面視略正方形状となっており、各開口部23からは、透明性を有する基板11が露出している。このため、各開口部23の面積を広くすることにより、配線基板10全体としての透明性を高めることができる。なお、各開口部23の一辺の長さL
3(
図2A参照)は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。なお、各アンテナ配線21と各アンテナ連結配線22とは、互いに直交しているが、これに限らず、互いに鋭角または鈍角に交差していてもよい。また、各開口部23は、それぞれ平面視略長方形状等の形状であってもよい。さらに、開口部23の形状は、全面で同一形状同一サイズとするのが好ましいが、場所によって変えるなど全面で均一としなくても良い。
【0032】
図3に示すように、各アンテナ配線21は、その長手方向に垂直な断面(X方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。この場合、アンテナ配線21の断面形状は、アンテナ配線21の長手方向(Y方向)に沿って略均一となっている。また、
図4に示すように、各アンテナ連結配線22の長手方向に垂直な断面(Y方向断面)の形状は、略長方形形状又は略正方形形状であり、上述したアンテナ配線21の断面(X方向断面)形状と略同一である。この場合、アンテナ連結配線22の断面形状は、アンテナ連結配線22の長手方向(X方向)に沿って略均一となっている。アンテナ配線21とアンテナ連結配線22の断面形状は、必ずしも略長方形形状又は略正方形形状でなくても良く、例えば表面側(Z方向プラス側)が裏面側(Z方向マイナス側)よりも狭い略台形形状、あるいは、幅方向両側に位置する側面が湾曲した形状であっても良い。
【0033】
本実施の形態において、アンテナ配線21の線幅W
1(X方向の長さ、
図3参照)およびアンテナ連結配線22の線幅W
2(Y方向の長さ、
図4参照)は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。例えば、アンテナ配線21の線幅W
1は0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができ、アンテナ連結配線22の線幅W
2は、0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。また、アンテナ配線21の高さH
1(Z方向の長さ、
図3参照)およびアンテナ連結配線22の高さH
2(Z方向の長さ、
図4参照)は特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができ、例えば0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。
【0034】
アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の材料は、導電性を有する金属材料であればよい。本実施の形態においてアンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の材料は銅であるが、これに限定されない。アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属材料(含む合金)を用いることができる。
【0035】
再度
図1を参照すると、ダミーパターン領域30は、各アンテナパターン領域20の周囲を取り囲むように設けられており、各アンテナパターン領域20のうち、給電部40側(Y方向マイナス側)を除く周方向全域(X方向プラス側、X方向マイナス側、Y方向プラス側)を取り囲むように形成されている。この場合、ダミーパターン領域30は、基板11上であって、アンテナパターン領域20および給電部40を除く略全域にわたって配置されている。このダミーパターン領域30は、アンテナパターン領域20とは異なり、実質的にアンテナとしての機能を果たすことはない。
【0036】
図2Aおよび
図2Bに示すように、ダミーパターン領域30は、繰り返し配列された所定のダミー単位パターン30A(
図2Aおよび
図2Bの網掛け部分)から構成されている。このダミー単位パターン30Aは、L字状であり、第1方向(例えば、Y方向)および第2方向(例えば、X方向)に沿って繰り返し配列されている。言い換えれば、ダミーパターン領域30は、所定の単位パターンをもつダミー配線30aの繰り返しから構成されている。すなわち、ダミーパターン領域30は、複数の同一形状のダミー配線30aを含んでおり、各ダミー配線30aは、それぞれアンテナパターン領域20(アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22)および給電部40から電気的に独立している。また、複数のダミー配線30aは、ダミーパターン領域30内の全域にわたって規則的に配置されている。このダミー配線30aは、それぞれ金属線が格子形状または網目形状に形成され、X方向およびY方向に均一な繰り返しパターンを有している。すなわち
図2Aおよび
図2Bに示すように、各ダミー配線30aは、Y方向に延びる第1ダミー配線部分31と、X方向に延びる第2ダミー配線部分32とを有している。このうち第1ダミー配線部分31は、所定の長さL
4(Y方向の長さ)を有し、第2ダミー配線部分32は、所定の長さL
5(X方向の長さ)を有し、これらは互いに等しい(L
4=L
5)。
【0037】
本実施の形態において、ダミー単位パターン30Aの形状は、単位パターン20Aの形状と等しくなっている。言い換えれば、ダミー配線30aの形状は、上述したアンテナパターン領域20の単位パターン20Aの形状と等しい。このように、ダミー単位パターン30Aの形状が、単位パターン20Aの形状と等しいことにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違を目視で認識しにくくすることができ、基板11上に配置されたアンテナパターン領域20を見えにくくすることができる。
【0038】
ダミーパターン領域30においては、互いに隣接する第1ダミー配線部分31と、互いに隣接する第2ダミー配線部分32とに取り囲まれることにより、複数の開口部33が形成されている。また、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とは互いに等間隔に配置されている。このように、複数の第1ダミー配線部分31と複数の第2ダミー配線部分32とがそれぞれ等間隔に配置されていることにより、ダミーパターン領域30内で開口部33の大きさにばらつきがなくなり、ダミーパターン領域30を肉眼で視認しにくくすることができる。
【0039】
なお、第1ダミー配線部分31のピッチは、アンテナ配線21のピッチP
1(
図2A参照)と等しくなっていてもよく、第2ダミー配線部分32のピッチは、アンテナ連結配線22のピッチP
2(
図2A参照)と等しくなっていてもよい。このため、各開口部33は、それぞれ平面視略正方形状となっており、各開口部33からは、透明性を有する基板11が露出している。このため、各開口部33の面積を広くすることにより、配線基板10全体としての透明性を高めることができる。なお、各第1ダミー配線部分31と各第2ダミー配線部分32とは、互いに直交しているが、これに限らず、互いに鋭角または鈍角に交差していてもよい。また、各開口部33は、それぞれ平面視略長方形状等の形状であってもよい。さらに、開口部33の形状は、全面で同一形状同一サイズとするのが好ましいが、場所によって変えるなど全面で均一としなくても良い。
【0040】
図2Aにおいて、Y方向にアンテナパターン領域20とダミーパターン領域30とが隣接している。このアンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界近傍において、第1ダミー配線部分31がアンテナ配線21の延長上に形成されている。このため、Y方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違が目視で視認しにくくなっている。
【0041】
また、
図2Bにおいて、X方向にアンテナパターン領域20とダミーパターン領域30とが隣接している。このアンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界近傍において、第2ダミー配線部分32がアンテナ連結配線22の延長上に形成されている。このため、X方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違が目視で視認しにくくなっている。
【0042】
ここで、本実施の形態では、Y方向(第1方向)において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔G1は、単位パターン20AのY方向(第1方向)におけるピッチPbの0.01倍以上0.2倍以下になっている。間隔G1がピッチPbの0.01倍以上であることにより、ダミーパターン領域30のダミー配線30aが、アンテナパターン領域20における電波の送受信に影響を与えてしまうことを効果的に抑制できる。このため、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制できる。また、間隔G1がピッチPbの0.2倍以下であることにより、Y方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違を目視で視認しにくくすることができる。
【0043】
同様に、X方向(第2方向)において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔G2は、単位パターン20AのX方向(第2方向)におけるピッチPaの0.01倍以上0.2倍以下になっている。間隔G2がピッチP1の0.01倍以上であることにより、ダミーパターン領域30のダミー配線30aが、アンテナパターン領域20における電波の送受信に影響を与えてしまうことを効果的に抑制できる。このため、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制できる。また、間隔G2がピッチPaの0.2倍以下であることにより、X方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違を目視で視認しにくくすることができる。この場合、間隔G1は、間隔G2と等しくなっていてもよい(G1=G2)。
【0044】
図5に示すように、各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31は、その長手方向(Y方向)に垂直な断面(X方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。また、
図4に示すように、各ダミー配線30aの第2ダミー配線部分32は、その長手方向(X方向)に垂直な断面(Y方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。この場合、第1ダミー配線部分31の断面形状はアンテナ配線21の断面形状と略同一であり、第2ダミー配線部分32の断面形状はアンテナ連結配線22の断面形状と略同一である。
【0045】
本実施の形態において、第1ダミー配線部分31の線幅W
3(X方向の長さ、
図5参照)は、アンテナ配線21の線幅W
1と略同一であり、第2ダミー配線部分32の線幅W
4(Y方向の長さ、
図4参照)は、アンテナ連結配線22の線幅W
2と略同一となっている。また、第1ダミー配線部分31の高さH
3(Z方向の長さ、
図5参照)および第2ダミー配線部分32の高さH
4(Z方向の長さ、
図4参照)についても、それぞれアンテナ配線21の高さH
1およびアンテナ連結配線22の高さH
2と略同一となっている。
【0046】
ダミー配線30aの材料は、アンテナ配線21の材料およびアンテナ連結配線22の材料と同一の金属材料を用いることができる。
【0047】
ところで、本実施の形態において、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30は、それぞれ所定の開口率を有する。アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30の開口率は、例えば85%以上99.9%以下の範囲とすることができる。
【0048】
さらに、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30の全体の開口率(アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30を合わせた開口率)は、例えば87%以上100%未満の範囲とすることができる。配線基板10の全体の開口率A3をこの範囲とすることにより、配線基板10の導電性と透明性を確保することができる。
【0049】
なお、開口率とは、所定の領域(アンテナパターン領域20、ダミーパターン領域30、または、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30)の単位面積に占める、開口領域(アンテナ配線21、アンテナ連結配線22、ダミー配線30a等の金属部分が存在せず、基板11が露出する領域)の面積の割合(%)をいう。
【0050】
再度
図1を参照すると、給電部40は、アンテナパターン領域20に電気的に接続されている。この給電部40は、略長方形状の導電性の薄板状部材からなる。給電部40の長手方向はX方向に平行であり、給電部40の短手方向はY方向に平行である。また、給電部40は、基板11の長手方向端部(Y方向マイナス側端部)に配置されている。給電部40の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属材料(含む合金)を用いることができる。この給電部40は、配線基板10が画像表示装置90(
図7参照)に組み込まれた際、画像表示装置90の無線通信用回路92と電気的に接続される。なお、給電部40は、基板11の表面に設けられているが、これに限らず、給電部40の一部又は全部が基板11の周縁よりも外側に位置していても良い。
【0051】
[配線基板の製造方法]
次に、
図6(a)-(e)を参照して、本実施の形態による配線基板の製造方法について説明する。
図6(a)-(e)は、本実施の形態による配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0052】
まず、透明性を有する基板11を準備する。
【0053】
次に、
図6(a)に示すように、基板11上に、複数のアンテナ配線21および複数のアンテナ連結配線22を含むアンテナパターン領域20と、アンテナパターン領域20の周囲に配置され、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22から電気的に独立した複数のダミー配線30aを含むダミーパターン領域30とを形成する。この際、まず、基板11の表面の略全域に金属箔51を積層する。本実施の形態において金属箔51の厚さは、0.1μm以上5.0μm以下であってもよい。本実施の形態において金属箔51は、銅を含んでいてもよい。
【0054】
次に、
図6(b)に示すように、金属箔51の表面の略全域に光硬化性絶縁レジスト52を供給する。この光硬化性絶縁レジスト52としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ系樹脂等の有機樹脂を挙げることができる。
【0055】
続いて、
図6(c)に示すように、絶縁層54をフォトリソグラフィ法により形成する。この場合、フォトリソグラフィ法により光硬化性絶縁レジスト52をパターニングし、絶縁層54(レジストパターン)を形成する。この際、アンテナ配線21、アンテナ連結配線22およびダミー配線30aに対応する金属箔51が露出するように、絶縁層54を形成する。
【0056】
次に、
図6(d)に示すように、基板11の表面上の金属箔51を除去する。この際、塩化第二鉄、塩化第二銅、硫酸・塩酸等の強酸、過硫酸塩、過酸化水素またはこれらの水溶液、または以上の組合せ等を用いたウェット処理を行うことによって、基板11の表面が露出するように金属箔51をエッチングする。
【0057】
続いて、
図6(e)に示すように、絶縁層54を除去する。この場合、過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドン、酸またはアルカリ溶液等を用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、金属箔51上の絶縁層54を除去する。
【0058】
このようにして、基板11と、基板11上に配置されたアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30と、を有する配線基板10が得られる。この場合、アンテナパターン領域20は、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22を含み、ダミーパターン領域30は、ダミー配線30aを含む。
【0059】
[本実施の形態の作用]
次に、このような構成からなる配線基板の作用について述べる。
【0060】
図7に示すように、配線基板10は、ディスプレイ91を有する画像表示装置90に組み込まれる。配線基板10は、ディスプレイ91上に配置される。このような画像表示装置90としては、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末機器を挙げることができる。配線基板10のアンテナパターン領域20は、給電部40を介して画像表示装置90の無線通信用回路92に電気的に接続される。このようにして、アンテナパターン領域20を介して、所定の周波数の電波を送受信することができ、画像表示装置90を用いて通信を行うことができる。なお、ダミーパターン領域30は、アンテナパターン領域20から離間し、電気的に独立している。このため、ダミーパターン領域30が設けられていた場合であっても、電波の送受信に影響が生じないようになっている。
【0061】
本実施の形態によれば、配線基板10が、透明性を有する基板11と、基板11上に配置され、複数のアンテナ配線21および複数のアンテナ連結配線22を含むアンテナパターン領域20を有するので、配線基板10の透明性が確保されている。これにより、配線基板10がディスプレイ91上に配置されたとき、アンテナパターン領域20の開口部23からディスプレイ91を視認することができるので、ディスプレイ91の視認性が妨げられることがない。
【0062】
また、アンテナパターン領域20の周囲に、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22から電気的に独立した複数のダミー配線30aを含むダミーパターン領域30が配置されている。そして、アンテナパターン領域20は、Y方向に沿って繰り返し配列された所定の単位パターン20Aから構成され、Y方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔G1が、単位パターン20AのY方向におけるピッチPbの0.01倍以上0.2倍以下である。このように、間隔G1がピッチPbの0.01倍以上であることにより、ダミーパターン領域30のダミー配線30aが、アンテナパターン領域20における電波の送受信に影響を与えてしまうことを効果的に抑制できる。このため、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制できる。また、間隔G1がピッチPbの0.2倍以下であることにより、Y方向において、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30の境界を不明瞭にすることができる。このため、ディスプレイ91の表面上でアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30を見えにくくすることができ、画像表示装置90の使用者がアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0063】
ここで、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制するためには、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔を大きくすることが好ましい。一方、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔を大きくした場合、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30の境界が明瞭になってしまう可能性がある。これに対して本実施の形態によれば、Y方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔G1が、単位パターン20AのY方向におけるピッチPbの0.01倍以上0.2倍以下になっている。これにより、配線基板10の透明性を確保しつつ、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制できる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、X方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔G2が、単位パターン20AのX方向におけるピッチPaの0.01倍以上0.2倍以下である。このように、間隔G2がピッチPaの0.01倍以上であることにより、ダミーパターン領域30のダミー配線30aが、アンテナパターン領域20における電波の送受信に影響を与えてしまうことを効果的に抑制できる。このため、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制できる。また、間隔G2がピッチPaの0.2倍以下であることにより、X方向において、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30の境界を不明瞭にすることができる。このため、ディスプレイ91の表面上でアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30を見えにくくすることができ、画像表示装置90の使用者がアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0065】
さらに、本実施の形態によれば、ダミー単位パターン30Aの形状が、単位パターン20Aの形状と等しくなっている。これにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界を更に不明瞭にすることができ、ディスプレイ91の表面上でアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0066】
なお、上述した実施の形態において、アンテナ配線21がY方向に延び、アンテナ連結配線22がX方向に延びている例について説明したが、これに限られない。例えば、
図8Aおよび
図8Bに示すように、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22が、それぞれX方向及びY方向のいずれに対しても非平行となっていてもよい。この場合、アンテナ配線21とアンテナ連結配線22とは、斜めに交わっており、各開口部23は、平面視で菱形状に形成されている。アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22は、それぞれX方向及びY方向のいずれに対しても非平行となっている。
【0067】
また、ダミーパターン領域30の第1ダミー配線部分31は、それぞれアンテナ配線21と平行に伸びていてもよい。同様に、ダミーパターン領域30の第2ダミー配線部分32は、アンテナ連結配線22と平行に伸びていてもよい。
【0068】
本変形例においても、Y方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔G1が、単位パターン20AのY方向におけるピッチPbの0.01倍以上0.2倍以下になっている。また、X方向において、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との間の間隔G2が、単位パターン20AのX方向におけるピッチPaの0.01倍以上0.2倍以下になっている。これにより、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制できる。また、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30の境界を不明瞭にすることができる。このため、ディスプレイ91の表面上でアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30を見えにくくすることができ、画像表示装置90の使用者がアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0069】
第2の実施の形態
次に、
図9Aおよび
図9Bを参照して第2の実施の形態について説明する。
図9Aおよび
図9Bに示す第2の実施の形態は、主として、ダミーパターン領域30が、互いに独立した複数の孤立パターン30Bから構成されている点が第1の実施の形態と異なるものである。
図9Aおよび
図9Bにおいて、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
図9Aおよび
図9Bに示すように、本実施の形態では、ダミーパターン領域30は、互いに独立した複数の孤立パターン30Bから構成されている。この孤立パターン30Bは、Y方向に延びる第1ダミー配線部分31と、X方向に延びる第2ダミー配線部分32とを有するダミー配線30aによって構成されている。
【0071】
また、本実施の形態においても、孤立パターン30Bにおいて、互いに隣接する第1ダミー配線部分31と、互いに隣接する第2ダミー配線部分32とに取り囲まれることにより、開口部33が形成されている。図示された例においては、孤立パターン30Bにおいて、2つの開口部33が形成されている。各開口部33は、それぞれ平面視略正方形状となっている。また、孤立パターン30Bにおいて、各開口部33は、それぞれX方向またはY方向に沿って配列されている。例えば、
図9Aに示すように、Y方向においてアンテナパターン領域20に隣接する孤立パターン30Bでは、各開口部33は、X方向に沿って配列されている。また、
図9Bに示すように、X方向においてアンテナパターン領域20に隣接する孤立パターン30Bでは、各開口部33は、Y方向に沿って配列されている。なお、これに限られず、Y方向においてアンテナパターン領域20に隣接する孤立パターン30Bの各開口部33が、Y方向に沿って配列されていてもよく、X方向においてアンテナパターン領域20に隣接する孤立パターン30Bの各開口部33が、X方向に沿って配列されていてもよい。なお、各々の孤立パターン30Bの形状は、互いに同一であってもよい。また、孤立パターン30Bは、規則的に配置されていてもよく、不規則的に配置されていてもよい。さらに、孤立パターン30Bにおいて、形成される開口部33は1つであってもよく、3つ以上の開口部33が形成されていてもよい。
【0072】
孤立パターン30Bは、ダミー単位パターン30Aを含んでいる。そして、ダミー単位パターン30Aの形状が、単位パターン20Aの形状と等しくなっている。これにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界を更に不明瞭にすることができる。なお、図示はしないが、ダミー単位パターン30Aの形状と、単位パターン20Aの形状とが、互いに異なっていてもよい。
【0073】
本実施の形態では、孤立パターン30Bのダミー配線30aの長さ(以下、長さL
30Bとも記す)は、単位パターン20Aのアンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の長さ(以下、長さL
20Aとも記す)の4.0倍以下になっている。ここで、本明細書中、ダミー配線30aの長さL
30Bは、ダミー配線30aの各第1ダミー配線部分31の長さと、ダミー配線30aの各第2ダミー配線部分32の長さとの合計値であり、
図9Aに示す例においては、L
30B=3×L
31+2×L
32である。また、本明細書中、単位パターン20Aのアンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の長さL
20Aは、単位パターン20Aのアンテナ配線21の長さと、単位パターン20Aのアンテナ連結配線22の長さとの合計値であり、
図9Aに示す例においては、L
21A=L
21+L
22である。このように、孤立パターン30Bのダミー配線30aの長さL
30Bが、単位パターン20Aのアンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の長さL
20Aの4.0倍以下であることにより、ダミーパターン領域30のダミー配線30aが、アンテナパターン領域20における電波の送受信に影響を与えてしまうことを効果的に抑制できる。このため、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制できる。また、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違を目視で視認しにくくすることができる。
【0074】
また、Y方向(第1方向)において、孤立パターン30B同士の間の間隔G3は、単位パターン20AのY方向(第1方向)におけるピッチPbの0.01倍以上0.2倍以下である。間隔G3がピッチPbの0.01倍以上であることにより、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制することができる。また、間隔G3がピッチPbの0.2倍以下であることにより、Y方向において、孤立パターン30B同士の相違を目視で視認しにくくすることができる。
【0075】
同様に、X方向(第2方向)において、孤立パターン30B同士の間の間隔G4は、単位パターン20AのX方向(第2方向)におけるピッチPaの0.01倍以上0.2倍以下である。間隔G4がピッチPaの0.01倍以上であることにより、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制することができる。また、間隔G4がピッチPaの0.2倍以下であることにより、X方向において、孤立パターン30B同士の相違を目視で視認しにくくすることができる。
【0076】
なお、本実施の形態においても、
図6(a)-(e)に示す方法により、配線基板10を作製することができる。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態によれば、孤立パターン30Bのダミー配線30aの長さL30Bが、単位パターン20Aのアンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の長さL20Aの4.0倍以下である。これにより、ダミーパターン領域30のダミー配線30aが、アンテナパターン領域20における電波の送受信に影響を与えてしまうことを効果的に抑制できる。このため、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制できる。また、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違を目視で視認しにくくすることができる。
【0078】
また、Y方向(第1方向)において、孤立パターン30B同士の間の間隔G3が、単位パターン20AのY方向(第1方向)におけるピッチPbの0.01倍以上0.2倍以下である。このように、間隔G3がピッチPbの0.01倍以上であることにより、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制することができる。また、間隔G3がピッチPbの0.2倍以下であることにより、Y方向において、孤立パターン30B同士の相違を目視で視認しにくくすることができる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、X方向(第2方向)において、孤立パターン30B同士の間の間隔G4が、単位パターン20AのX方向(第2方向)におけるピッチPaの0.01倍以上0.2倍以下である。このように、間隔G4がピッチPaの0.01倍以上であることにより、アンテナ性能が低下してしまうことを抑制することができる。また、間隔G4がピッチPaの0.2倍以下であることにより、X方向において、孤立パターン30B同士の相違を目視で視認しにくくすることができる。
【0080】
さらに、本実施の形態によれば、孤立パターン30Bが、ダミー単位パターン30Aを含み、ダミー単位パターン30Aの形状が、単位パターン20Aの形状と等しくなっている。これにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界を更に不明瞭にすることができ、ディスプレイ91の表面上でアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0081】
なお、上述した実施の形態において、孤立パターン30Bの各開口部33が、それぞれX方向またはY方向に沿って配列されている例について説明したが、これに限られない。例えば、
図10(a)に示すように、各開口部33が、X方向およびY方向にずらして配列されていてもよい。
【0082】
また、上述した実施の形態において、第1ダミー配線部分31がY方向に延び、第2ダミー配線部分32がX方向に延びている例について説明したが、これに限られない。例えば、
図10(b)-(c)に示すように、第1ダミー配線部分31および第2ダミー配線部分32が、それぞれX方向及びY方向のいずれに対しても非平行となっていてもよい。この場合、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とは、斜めに交わっており、各開口部33は、平面視で菱形状に形成されていてもよい。
【0083】
また、
図10(b)に示すように、孤立パターン30Bの各開口部33が、X方向(またはY方向(図示せず))に沿って配列されていてもよく、
図10(c)に示すように、各開口部33が、X方向およびY方向にずらして配列されていてもよい。
【0084】
なお、図示はしないが、アンテナパターン領域20のアンテナ配線21は、第1ダミー配線部分31と平行に伸びていてもよく、非平行に延びていてもよい。同様に、アンテナパターン領域20のアンテナ連結配線22は、第2ダミー配線部分32と平行に伸びていてもよく、非平行に延びていてもよい。
【0085】
さらに、
図10(d)に示すように、第1ダミー配線部分31が、X方向及びY方向のいずれに対しても非平行となる第1部分31aと、X方向及びY方向のいずれに対しても非平行となり、第1部分31aと斜めに交わる第2部分31bとを含んでいてもよい。そして、各開口部33は、平面視で略正六角形状に形成されていてもよい。この場合、各開口部33が、X方向およびY方向にずらして配列されていてもよく、図示はしないが、各開口部33が、それぞれX方向またはY方向に沿って配列されていてもよい。また、図示はしないが、開口部33は、平面視で、略正三角形状や略五角形状等の多角形状に形成されていてもよい。
【0086】
上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 配線基板
11 基板
20 アンテナパターン領域
20A 単位パターン
21 アンテナ配線
22 アンテナ連結配線
30 ダミーパターン領域
30A ダミー単位パターン
30B 孤立パターン
30a ダミー配線
31 第1ダミー配線部分
32 第2ダミー配線部分