(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161725
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】インパクトレンチ吊り下げ装置
(51)【国際特許分類】
B25H 3/00 20060101AFI20221014BHJP
B25B 21/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B25H3/00 A
B25B21/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066765
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000185916
【氏名又は名称】小野谷機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】牧野 智將
(57)【要約】
【課題】 インパクトレンチの可動範囲を広げて、作業性を向上させることができるインパクトレンチ吊り下げ装置を提供する。
【解決手段】 基台2と、一端部に把持部3が設けられたインパクトレンチ4が保持される第1腕部5と、一端部6が、第1腕部5の他端部7に、鉛直な第1軸線L1まわりに回動可能に保持される第2腕部8と、基台2に配設される、鉛直な第2軸線L2を有する筒状の本体9と、本体9に挿入され、第2軸線L2上を昇降可能な昇降体10とを有する昇降装置11であって、昇降体10の上部には、第2腕部8の中間部12が、第2軸線L2まわりに回動可能に保持される昇降装置11と、鉛直方向に長尺なガイド部13を有するガイド体14であって、ガイド部13の上端部を第2腕部8の他端部15に接続する第1接続部16、および本体9に配設され、ガイド部13を鉛直方向に移動可能に支持する第2接続部17を有するガイド体14とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
一端部に把持部が設けられたインパクトレンチが保持される第1腕部と、
一端部が、前記第1腕部の他端部に、鉛直な第1軸線まわりに回動可能に保持される第2腕部と、
前記基台に配設される、鉛直な第2軸線を有する筒状の本体と、前記本体に挿入され、前記第2軸線上を昇降可能な昇降体とを有する昇降装置であって、
前記昇降体の上部には、前記第2腕部の中間部が、前記第2軸線まわりに回動可能に保持される昇降装置と、
鉛直方向に長尺なガイド部を有するガイド体であって、
前記ガイド部の上端部を前記第2腕部の他端部に接続する第1接続部、および前記本体に配設され、前記ガイド部を鉛直方向に移動可能に支持する第2接続部を有するガイド体とを備えることを特徴とするインパクトレンチ吊り下げ装置。
【請求項2】
前記第1接続部は、前記ガイド部の前記上端部を前記第2軸線に近接または離反する方向に変位可能な調整ねじを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のインパクトレンチ吊り下げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ホイールナットを車両のハブボルトに取り付け、あるいはホイールナットを車両のハブボルトから取り外すためなどに使用することができるインパクトレンチ吊り下げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術のインパクトレンチ吊り下げ装置の一例が特許文献1にインパクトレンチ保持装置として記載されている。特許文献1に記載のインパクトレンチ保持装置では、ボルト締緩作業に使用されるインパクトレンチを揺動自在なアームの先端に設け、該アームを介してインパクトレンチのバランスが保たれるように、アームがバランシングフレームに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインパクトレンチ保持装置では、揺動自在なアームの先端にインパクトレンチを設けているので、インパクトレンチ保持装置の本体に対するインパクトレンチの可能な移動範囲が、アームを半径とする円弧上に限定される。該円弧上以外の場所にインパクトレンチを移動させたい場合には、インパクトレンチ保持装置全体を移動させなければならず、作業性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、インパクトレンチの移動可能な範囲を広げて、作業性を向上することができるインパクトレンチ吊り下げ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基台と、
一端部に把持部が設けられたインパクトレンチが保持される第1腕部と、
一端部が、前記第1腕部の他端部に、鉛直な第1軸線まわりに回動可能に保持される第2腕部と、
前記基台に配設される、鉛直な第2軸線を有する筒状の本体と、前記本体に挿入され、前記第2軸線上を昇降可能な昇降体とを有する昇降装置であって、
前記昇降体の上部には、前記第2腕部の中間部が、前記第2軸線まわりに回動可能に保持される昇降装置と、
鉛直方向に長尺なガイド部を有するガイド体であって、
前記ガイド部の上端部を前記第2腕部の他端部に接続する第1接続部、および前記本体に配設され、前記ガイド部を鉛直方向に移動可能に支持する第2接続部を有するガイド体を備えることを特徴とするインパクトレンチ吊り下げ装置である。
【0007】
また、本発明は、前記第1接続部は、前記ガイド部の前記上端部を前記第2軸線に近接または離反する方向に変位可能な調整ねじを含んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインパクトレンチ吊り下げ装置では、第1腕部と、第1腕部に連結される第2腕部との2つの腕部を備えているので、インパクトレンチの移動範囲が1つの腕部の円弧上に限定されることはなく、第2腕部の円弧の半径方向内側の領域にインパクトレンチを移動させることができる。これによって、作業性の向上を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明によれば、前記第1接続部は、前記ガイド部の前記上端部を前記第2軸線に近接または離反する方向に変位可能な調整ねじを含んでいるので、該調整ねじを調整して、第2接続部がガイド部に与える抵抗力を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】インパクトレンチ吊り下げ装置1の斜視図である。
【
図2】インパクトレンチ4が第1腕部5に装着された状態を示す斜視図である。
【
図3】第1接続部16および第2接続部17を示す拡大図である。
【
図4(a)】キャスタ32がロックされていない状態を示す正面図である。
【
図4(b)】キャスタ32がロックされた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態のインパクトレンチ吊り下げ装置1の斜視図である。
図2は、第1腕部5にインパクトレンチ4が装着された状態を示す斜視図である。
図3は、第1接続部16および第2接続部17を示す拡大図である。
【0012】
インパクトレンチ吊り下げ装置1は、基台2と、一端部に把持部3が設けられたインパクトレンチ4が保持される第1腕部5と、一端部6が第1腕部5の他端部7に、鉛直な第1軸線L1まわりに回動可能に保持される第2腕部8と、を備える。インパクトレンチ吊り下げ装置1は、さらに昇降装置11を備える。昇降装置11は、基台2に配設される鉛直な第2軸線L2を有する本体9と、本体9に挿入され、第2軸線L2上を昇降可能な昇降体10とを有する。
【0013】
インパクトレンチ4は、空気圧モータ41と、空気圧モータ41の出力軸46の先端部46aに装着されるソケットレンチ47とを有している。ソケットレンチ47の嵌合凹部にナットなどの対象部品を嵌合させた状態で、作業者が操作ハンドル48に設けられる操作レバー49を握り込むと、出力軸46が回転して、対象部品を締付け、または緩めることができる。
【0014】
インパクトレンチ吊り下げ装置1は、さらに基台2に配設される、鉛直な第2軸線L2を有する筒状の本体9と、本体9に挿入され、第2軸線L2上を昇降可能な昇降体10とを有する昇降装置11を備えている。昇降体10の上部には、第2腕部の中間部が、第2軸線まわりに回動可能に保持される。
【0015】
インパクトレンチ吊り下げ装置1は、さらに鉛直方向に長尺なガイド部13を有するガイド体14であって、ガイド部13の上端部を第2腕部8の他端部15に接続する第1接続部16、および本体9に配設され、ガイド部13を鉛直方向に移動可能に支持する第2接続部17を有するガイド体14を備えている。第1接続部16は、鉛直方向に長尺なガイド部13の上端部を第2軸線L2に近接または離反する方向に変位可能な調整ねじ20を含んでいる。第2接続部17は、昇降装置11の本体9に装着され、ガイド部13をガイド部13の厚み方向に挟んだ状態でガイド部13を鉛直方向に移動させる2つの板部19と、ガイド部13の背面21が当接するローラ22を有している。
【0016】
基台2は、たとえば平面視が略長方形の板状構造体25と、板状構造体25の4隅に取り付けられたキャスタ31,32とを有する。板状構造体25の上面には、鉛直方向に長尺な昇降装置11が配設される。昇降装置11は、本体9のフランジ部が板状構造体25にねじ止めされて固定される。本体9は上部が開口した長尺な筒状であり、昇降体10は、本体9に挿入される筒状体である。
【0017】
中間部12が第2軸線L2まわりに回動可能に保持される第2腕部8は、昇降装置11と平行に下方に延びる第1腕片8aと、第1腕片8aの下端部に水平方向に連設される第2腕片8bとを含んでいる。第2腕片8bの端部に、第1軸線L1まわりに回動可能に連結される第1腕部5は、水平方向に延びている。
【0018】
このように、水平方向に延びる第2腕片8bおよび第1腕部5が低い位置に配設されているので、使用者が、ホイールナットを車両のハブボルトに取り付け、あるいはホイールナットを車両のハブボルトから取り外すために、インパクトレンチをホイールナットに掛けるとき、第1腕部5、第2腕部8が車両と干渉して、インパクトレンチ4をホイールナットに装着することができなくなることを防止できる。
【0019】
昇降装置11は、筒状の本体9と、本体9に挿入され、第2軸線L2上を昇降可能な筒状の昇降体10とを有している。本体9の内部には、オイルまたは空気などの流体が圧縮コイルばねとともに収容されており、たとえば本体9の内部にオリフィスを設けることによってダンパが構成されており、使用者は小さい力で緩やかにインパクトレンチ4を昇降させることができる。
【0020】
ガイド体14は、鉛直方向に長尺なガイド部13を有している。ガイド部13は、たとえば長尺な平板状である。ガイド体14は、さらにガイド部13の上端部を第2腕部8の他端部15に接続する第1接続部16を有している。第1接続部16は、ガイド部13の上端部を第2軸線L2に近接または離反する方向に変位可能な調整ねじ20を含んでいる。ガイド体14は、さらに第2接続部17を有している。第2接続部17は、昇降装置11の本体9に装着され、ガイド部13をガイド部13の厚み方向に挟んだ状態でガイド部13を鉛直方向の移動を案内する2つの板部19と、ガイド部13の背面21が当接するローラ22を有する。
【0021】
使用者は、第1接続部16の調整ねじ20を調整して、ガイド部13の上端部を第2軸線L2に近接または離反する方向に変位させて、第2接続部17のローラ22にガイド部13を当接させて、昇降変位時の制動力を適切に調整することができる。
【0022】
図4(a)は、キャスタ31,32がロックされていない状態を示す正面図であり、
図4(b)は、キャスタ31,32がロックされた状態を示す正面図である。基台2は、平面視で長方形の板状構造体25の四隅に配設されるキャスタ31,32を有している。板状構造体25の下面27には、支軸28を中心として回動するレバー29が設けられており、
図4(a)の状態で、使用者がレバー29を踏み込むと、レバー29が支軸28まわりに回動して、リンク部材35および作動軸36を介して押圧部30をキャスタ32に近接する方向に移動させ、押圧部30によってキャスタ32の外周部を半径方向内方へ押圧する。この状態で、
図4(b)に示すように、キャスタ32がロックされてキャスタ32の回転が阻止される。
図4(b)に示す状態で、使用者がレバー29を引き上げると、レバー29が支軸28まわりに逆方向に回動して、押圧部30がキャスタ32の外周部から離れ、ロックの状態が解除される。
【0023】
このようなロック手段が基台2に設けられるので、作業中に基台2が不用意に移動してしまうことが防がれ、安全かつ円滑にボルトおよびナットなどの締付けおよび緩め外し作業を行なうことができ、作業性を向上することができる。
【0024】
このように、インパクトレンチ吊り下げ装置1は、基台2と、一端部に把持部3が設けられたインパクトレンチ4が保持される第1腕部5と、一端部6が、第1腕部5の他端部7に、鉛直な第1軸線L1まわりに回動可能に保持される第2腕部8と、基台2に配設される、鉛直な第2軸線L2を有する筒状の本体9と、本体9に挿入され、第2軸線L2上を昇降可能な昇降体10とを有する昇降装置11とを備える。昇降体10の上部には、第2腕部8の中間部12が、第2軸線L2まわりに回動可能に保持される。インパクトレンチ吊り下げ装置1は、さらに鉛直方向に長尺なガイド部13を有するガイド体14であって、ガイド部13の上端部を第2腕部8の他端部15に接続する第1接続部16、および本体9に配設され、ガイド部13を鉛直方向に移動可能に支持する第2接続部17を有するガイド体14とを備えている。
【0025】
インパクトレンチ吊り下げ装置が1つの腕部のみ備えている場合には、インパクトレンチの移動範囲が1つの腕部の円弧上に限定されるが、本発明によれば、第1腕部と、第1腕部に連結される第2腕部との2つの腕部を備えているので、インパクトレンチの移動範囲が1つの腕部の円弧上に限定されることはなく、第2腕部の円弧の半径方向内側の領域にインパクトレンチを移動させることができる。これによって、作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 インパクトレンチ吊り下げ装置
2 基台
3 把持部
4 インパクトレンチ
5 第1腕部
6 一端部
7,15 他端部
8 第2腕部
9 本体
10 昇降体
11 昇降装置
12 中間部
13 ガイド部
14 ガイド体
16 第1接続部
17 第2接続部
19 板部
20 調整ねじ
21 背面
22 ローラ
25 板状構造体
27 下面
28 支軸
29 レバー
30 押圧部
31,32 キャスタ
35 リンク部材
36 作動軸
41 空気圧モータ
46 出力軸
46a 先端部
47 ソケットレンチ
48 操作ハンドル
49 操作レバー
L1 第1軸線
L2 第2軸線
【手続補正書】
【提出日】2022-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
一端部に把持部が設けられたインパクトレンチが保持される第1腕部と、
一端部が、前記第1腕部の他端部に、鉛直な第1軸線まわりに回動可能に保持される第2腕部と、
前記基台に配設される、鉛直な第2軸線を有する筒状の本体と、前記本体に挿入され、前記第2軸線上を昇降可能な昇降体とを有する昇降装置であって、
前記昇降体の上部には、前記第2腕部の中間部が、前記第2軸線まわりに回動可能に保持される昇降装置と、
鉛直方向に長尺なガイド部を有するガイド体であって、
前記ガイド部の上端部を前記第2腕部の他端部に接続する第1接続部、および前記本体に配設され、前記ガイド部を鉛直方向に移動可能に支持する第2接続部を有するガイド体とを備え、
前記第1接続部は、前記ガイド部の前記上端部を前記第2軸線に近接または離反する方向に変位可能な調整ねじを含み、
前記第2接続部は、前記ガイド部を前記ガイド部の厚み方向に挟んだ状態で前記ガイド部の鉛直方向の移動を案内する2つの板部と、ガイド部の背面が当接するローラとを有することを特徴とするインパクトレンチ吊り下げ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、基台と、
一端部に把持部が設けられたインパクトレンチが保持される第1腕部と、
一端部が、前記第1腕部の他端部に、鉛直な第1軸線まわりに回動可能に保持される第2腕部と、
前記基台に配設される、鉛直な第2軸線を有する筒状の本体と、前記本体に挿入され、前記第2軸線上を昇降可能な昇降体とを有する昇降装置であって、
前記昇降体の上部には、前記第2腕部の中間部が、前記第2軸線まわりに回動可能に保持される昇降装置と、
鉛直方向に長尺なガイド部を有するガイド体であって、
前記ガイド部の上端部を前記第2腕部の他端部に接続する第1接続部、および前記本体に配設され、前記ガイド部を鉛直方向に移動可能に支持する第2接続部を有するガイド体とを備え、
前記第1接続部は、前記ガイド部の前記上端部を前記第2軸線に近接または離反する方向に変位可能な調整ねじを含み、
前記第2接続部は、前記ガイド部を前記ガイド部の厚み方向に挟んだ状態で前記ガイド部の鉛直方向の移動を案内する2つの板部と、ガイド部の背面が当接するローラとを有することを特徴とするインパクトレンチ吊り下げ装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】