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特開2022-161735X線回折測定装置及びX線回折測定ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161735
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】X線回折測定装置及びX線回折測定ロボット
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2055 20180101AFI20221014BHJP
【FI】
G01N23/2055
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066785
(22)【出願日】2021-04-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム シーズ育成タイプ、「重要機械部品に対するX線を用いた高速高精度な全数検査技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】乾 典規
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】三井 真吾
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA18
2G001CA01
2G001DA02
2G001DA06
2G001KA07
(57)【要約】
【課題】測定対象物と干渉せずに測定する。
【解決手段】測定対象物に向けてX線を出射し、一方向が長いX線回折測定装置10であって、X線回折測定装置10の底面において当該X線回折測定装置10の長手方向に並べて設けられ、測定対象物にて回折したX線を検出する検出センサ40と、X線回折測定装置10の長手方向を回転軸としてX線回折測定装置10が短手方向に傾斜するようにX線回折測定装置10を回転移動させる回転手段16と、を備える。
【選択図】図5


【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に向けてX線を出射し、一方向が長いX線回折測定装置であって、
前記X線回折測定装置の底面において当該X線回折測定装置の長手方向に並べて設けられ、前記測定対象物にて回折したX線を検出する検出センサと、
前記X線回折測定装置の長手方向を回転軸として当該X線回折測定装置が短手方向に傾斜するように当該X線回折測定装置を回転させる回転手段と、
を備えるX線回折測定装置。
【請求項2】
前記検出センサは、長方形であり、長辺が前記X線回折測定装置の短手方向に沿うように設けられている、
請求項1に記載のX線回折測定装置。
【請求項3】
前記検出センサは、SOI(Silicon on Insulator)センサを含む、
請求項2に記載のX線回折測定装置。
【請求項4】
前記検出センサの位置を前記底面において回転移動させる回転台、
を備える請求項2又は3に記載のX線回折測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載のX線回折測定装置と、
前記X線回折測定装置の傾斜角を測定する測定手段と、
を備え、
前記回転手段は、前記傾斜角に応じて、前記回転台を回転させる、
を備えるX線回折測定ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線回折測定装置及びX線回折測定ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、X線出射器から測定対象物に対してX線を照射し、当該測定対象物で回折したX線を受光した検出センサの受光信号に基づき、当該測定対象物の残留応力等を測定するX線回折測定装置が知られている。
【0003】
これに関し、特許文献1には、略直方体状に形成されたX線回折測定装置の傾斜角を変更するときの回転軸が、X線回折測定装置の短手方向(特許文献1における図1及び図2の紙面垂直方向)であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-129513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、X線回折測定装置が長手方向に傾斜するため、測定対象物の形状によっては、X線回折測定装置が測定対象物と干渉してしまい、測定対象の測定ができない場合があった。
【0006】
図1は、従来におけるX線回折測定装置10の一例を示す概略図である。ここで、図1(A)は、測定対象物OBの側面からX線回折測定装置10を見た図である。また、図1(B)は、測定対象物OBの正面からX線回折測定装置10を見た図である。
図1(A)及び図1(B)に示すように、従来におけるX線回折測定装置10は、長手方向(図1(B)における矢印の方向)に傾斜する。すなわち、この傾斜の回転軸は、X線回折測定装置10の短手方向である。このため、X線回折測定装置10は、測定対象物OB(例えば、ベアリング)と干渉して、測定対象(例えば、ベアリングの内側)の測定ができない場合があった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、測定対象物と干渉せずに測定することができるX線回折測定装置及びX線回折測定ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るX線回折測定装置は、測定対象物に向けてX線を出射し、一方向が長いX線回折測定装置であって、前記X線回折測定装置の底面において当該X線回折測定装置の長手方向に並べて設けられ、前記測定対象物にて回折したX線を検出する検出センサと、前記X線回折測定装置の長手方向を回転軸として当該X線回折測定装置が短手方向に傾斜するように当該X線回折測定装置を回転させる回転手段と、を備える。なお、この回転は、回転移動を含んでもよい。
【0009】
また、本発明の第二態様では、前記検出センサは、長方形であり、長辺が前記X線回折測定装置の短手方向に沿うように設けられている。
【0010】
また、本発明の第三態様では、前記検出センサは、SOI(Silicon on Insulator)センサを含む。
【0011】
また、本発明の第四態様では、前記検出センサの位置を前記底面において回転移動させる回転台を備える。
【0012】
また、本発明の第五態様では、本発明の第一態様に係るX線回折測定ロボットは、X線回折測定装置と、前記X線回折測定装置の傾斜角を測定する測定手段と、を備え、前記回転手段は、前記傾斜角に応じて、前記回転台を回転させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定対象物と干渉せずに測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来におけるX線回折測定装置の一例を示す概略図である。図1(A)は、測定対象物の側面からX線回折測定装置を見た図である。図1(B)は、測定対象物の正面からX線回折測定装置を見た図である。
図2】本実施形態に係るX線回折測定ロボットの一例を示す概略図である。
図3】本実施形態に係るX線回折測定ロボットの概略構成の一例を示すブロック図である。
図4図3に示すX線回折測定ロボットの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図5】本実施形態におけるX線回折測定装置の一例を示す概略図である。図5(A)は、測定対象物の側面からX線回折測定装置を見た図である。図5(B)は、測定対象物の正面からX線回折測定装置を見た図である。
図6】本実施形態に係るX線回折測定装置の一部構成の一例を示す図である。
図7図6に示すX線回折測定装置の分解図である。
図8図6に示すX線回折測定装置の底面図である。
図9】本実施形態におけるX線回折測定装置の変形例を示す底面図の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0016】
<全体構成>
図2は、本実施形態に係るX線回折測定ロボット1の一例を示す概略図である。なお、図2では、X線回折測定装置10の図示は簡略化している。
【0017】
図2に示すように、X線回折測定ロボット1は、傾斜部8(8A、8B)と、X線回折測定装置10と、を備える。
【0018】
傾斜部8は、X線回折測定装置10を傾斜させる機構である。
傾斜部8Aは、X線回折測定装置10の長手方向を回転軸としてX線回折測定装置10を短手方向に傾斜させる機構である。具体的には、傾斜部8Aは、X線回折測定装置10の長手方向を回転軸とするモータを備える。
また、傾斜部8Bは、X線回折測定装置10の位置や姿勢を変更する機構である。傾斜部8Bは、例えばモータが回転することにより、X線回折測定ロボット1のアームや傾斜部8Aを移動させ、X線回折測定装置10の位置や姿勢を変更することができる。例えば、傾斜部8Bは、X線回折測定装置10の短手方向を回転軸としてX線回折測定装置10を長手方向に傾斜させる。具体的には、傾斜部8Bは、X線回折測定装置10の短手方向を回転軸とするモータを備える。
【0019】
X線回折測定装置10は、測定対象物に向けてX線を出射し、当該測定対象物から回折したX線の回折強度を測定する機能を有する。このX線回折測定装置10は、一方向が長い略直方体状である。このX線回折測定装置10についての詳細は後述する。
【0020】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係るX線回折測定ロボット1の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
図3に示すように、X線回折測定ロボット1は、例えば、制御装置2と、記憶装置7と、傾斜部8と、X線回折測定装置10と、を備える。制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)4及びメモリ6を主に備えて構成される。
【0022】
制御装置2は、CPU4がメモリ6或いは記憶装置7等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
【0023】
記憶装置7は、ハードディスク等で構成される。記憶装置7は、制御装置2における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0024】
<機能的構成>
図4は、図3に示すX線回折測定ロボット1の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図4に示すように、X線回折測定ロボット1は、機能的構成として、記憶手段12と、測定手段14と、回転手段16と、を備える。記憶手段12は、一又は複数の記憶装置7で実現される。記憶手段12以外の機能手段は、記憶装置7等に格納されたプログラムを制御装置2が実行することにより実現される。
【0026】
記憶手段12は、ロボット情報12A等を記憶する機能を有する。
ロボット情報12Aは、X線回折測定ロボット1の各種情報として、X線回折測定ロボット1の質点モデルや、重心位置、重量、干渉領域(可動域)、電流情報等の各種パラメータを含む。電流情報は、傾斜部8を動作させる各種モータの電流量を含む。
【0027】
測定手段14は、測定対象物から回折したX線の回折強度を測定する機能を有する。測定手段14は、例えば、X線回折測定装置10から回折強度の測定結果を受信し、当該測定結果に基づき、測定対象物の構造や特性の分析・測定を行う。本実施形態では、測定手段14は、測定結果に基づき、測定対象物の残留応力を分析・測定する。
また、本実施形態では、測定手段14は、X線回折測定装置10の傾斜角を測定する。測定手段14は、例えば、傾斜部8(8A、8B)を動作させるモータ内に組み込まれたエンコーダが出力する信号に基づいて、当該X線回折測定装置10の長手方向及び短手方向における傾斜角を測定する。
【0028】
回転手段16は、X線回折測定ロボット1に設けられた各種機構を回転(駆動)させる機能を有する。例えば、回転手段16は、傾斜部8や、後述する回転台44等を動作させるモータを制御する。具体的には、回転手段16は、X線回折測定装置10の長手方向を回転軸として当該X線回折測定装置10が短手方向に傾斜するように当該X線回折測定装置10を回転させる。
【0029】
図5は、本実施形態におけるX線回折測定装置10の一例を示す概略図である。ここで、図5(A)は、測定対象物OBの側面からX線回折測定装置10を見た図である。また、図5(B)は、測定対象物OBの正面からX線回折測定装置10を見た図である。
【0030】
図5(A)及び図5(B)に示すように、本実施形態におけるX線回折測定装置10は、短手方向(図5(B)における矢印の方向)に傾斜するように回転する。すなわち、この傾斜の回転軸は、X線回折測定装置10の長手方向である。このため、X線回折測定装置10は、測定対象物OB(例えば、ベアリング)と干渉せずに、測定対象(例えば、ベアリングの内側)の測定ができる。
【0031】
<X線回折測定装置10の詳細>
本実施形態に係るX線回折測定装置10は、測定対象物(測定対象)に向けてX線を出射し、当該測定対象物から回折したX線の回折強度を測定する機能を有する。この測定対象物としては、ベアリング以外にも、歯車やシャフト等が挙げられる。
ここで、X線回折測定装置10の傾斜角は、回転手段16によって制御される傾斜部8によって変更される。例えば、傾斜部8AがX線回折測定装置10の傾斜角を変更するときの回転軸は、X線回折測定装置10の長手方向である。このため、X線回折測定装置10は、短手方向に傾斜する。そして、測定手段14は、例えば、X線回折測定装置10(検出センサ40)が異なる傾斜角によって測定した回折環の形状データに基づいて、測定対象物の残留応力を分析・測定する。
【0032】
図6は、本実施形態に係るX線回折測定装置10の一部構成の一例を示す図である。また、図7は、図6に示すX線回折測定装置10の分解図である。
【0033】
図6及び図7に示すように、X線回折測定装置10は、例えば、管球20と、コリメータ22と、他方の流路としての第一冷却流路24と、基板26と、冷却部材28と、絶縁部材30と、を備える。
【0034】
管球20は、X線を生成し、生成したX線を測定対象物に向けて出射するX線出射器としての機能を有する。この管球20は、冷却部材28に載置される。
【0035】
コリメータ22は、冷却部材28において絶縁部材30とは反対側の面に取り付けられ、基板26側に延伸し、管球20によるX線の出射範囲を調整する機能を有する。このコリメータ22の先端は、基板26から下側に突出している。
【0036】
第一冷却流路24は、不図示のポンプにより吸い上げられた冷却水が循環している。これにより、第一冷却流路24は、管球20を冷却している。
【0037】
基板26の一面(図6及び図7では下面)には、測定対象物にて回折したX線を検出する検出センサ40が2つ並べて設けられている。検出センサ40としては、測定対象物にて回折したX線を検出するセンサ部と、検出したX線を電気信号に変換する回路部とが一体化されているものが好ましい。このような検出センサ40としては、例えば、SOI(Silicon onInsulator)センサが挙げられる。
【0038】
図8は、図6に示すX線回折測定装置10の底面図である。
【0039】
図8に示すように、検出センサ40は、略長方形であるX線回折測定装置10の底面(基板26の一面)においてX線回折測定装置10の長手方向(幅方向)に、2つ並べて設けられている。また、2つの検出センサ40の間には、コリメータ22が突出している。また、基板26の一面には、検出センサ40が変換した電気信号を測定手段14に送信するためのコネクタ42等が設けられている。
本実施形態では、検出センサ40は、傾斜部8(8A)によってX線回折測定装置10の長手方向を回転軸として当該X線回折測定装置10が短手方向に傾斜した状態で、測定対象物にて回折したX線を検出する。
また、検出センサ40は、長方形であり、長辺がX線回折測定装置10の短手方向(X線回折測定装置10が短手方向に傾斜している場合の上下方向)に沿うように設けられている。なお、検出センサ40は、2つ並べて配置されることにより略正方形状となる。
このように、検出センサ40の長辺がX線回折測定装置10の短手方向に沿うように設けられ、かつ、検出センサ40がX線回折測定装置10の長手方向に2つ並べて設けられることで、X線回折測定装置10を短手方向に傾斜させてX線を入射させたとき、回折環厚さ(ピーク幅)が上下方向にばらついてピーク決定精度(測定精度)が低下することを抑制できる。
【0040】
図6及び図7に戻って、冷却部材28は、基板26における一面と反対の他面側(管球20側)に設けられ、一方の流路として冷却水を流すための第二冷却流路32が内部に形成され、基板26を冷却する機能を有する。この第二冷却流路32は、不図示のポンプにより吸い上げられた冷却水が循環している。これにより、第二冷却流路32は、冷却部材28を冷却し、ひいては、絶縁部材30を介して基板26の検出センサ40を冷却する。言い換えると、検出センサ40の熱が、基板26及び絶縁部材30を介して冷却部材28に移動して検出センサ40を冷却する。
【0041】
絶縁部材30は、基板26と冷却部材28の間に挟まれて基板26と冷却部材28とに接触し、電気的絶縁性及び熱伝導性を有する。このような絶縁部材30としては、例えば、シリコンシートが挙げられる。なお、絶縁部材30及び基板26には、コリメータ22が突出する貫通穴30A、26Aが設けられている。
【0042】
図9は、本実施形態におけるX線回折測定装置10の変形例を示す底面図の一部拡大図である。
【0043】
図9に示すように、2つの検出センサ40は、X線回折測定装置10の底面(基板26の一面)に設けられた回転台44によって、当該底面に垂直な回転軸により(矢印の方向に)回転可能に設けられている。すなわち、回転台44は、X線回折測定装置10の底面側に設けられた2つの検出センサ40の位置を当該底面において回転移動させる。この回転台44は、回転手段16によって回転量が制御される。例えば、回転手段16は、回転台44を回転させて、検出センサ40の位置を微調整して、測定対象物にて回折したX線の測定精度が低下することを抑制する。なお、この回転台44には、2つの検出センサ40の間においてコリメータ22が突出するための穴が設けられている。
ここで、回転手段16は、測定手段14によって測定されたX線回折測定装置10の傾斜角に応じて、回転台44を回転させ、検出センサ40の位置を回転移動させる。例えば、回転手段16は、X線回折測定装置10の短手方向を回転軸としてX線回折測定装置10が長手方向に傾斜している場合、2つの検出センサ40の位置がX線回折測定装置10の短手方向に並ぶように回転台44を回転させる。すなわち、回転手段16は、検出センサ40の長辺が、X線回折測定装置10が長手方向(傾斜の上下方向)に沿うように回転移動させる。また、例えば、回転手段16は、X線回折測定装置10の長手方向を回転軸としてX線回折測定装置10が短手方向に傾斜している場合、2つの検出センサ40の位置がX線回折測定装置10の長手方向に並ぶように回転台44を回転させる。すなわち、回転手段16は、検出センサ40の長辺がX線回折測定装置10が短手方向(傾斜の上下方向)に沿うように回転移動させる。これにより、回折環厚さ(ピーク幅)が上下方向にばらついてピーク決定精度(測定精度)が低下することを抑制できる。
【0044】
<効果>
以上、本実施形態では、測定対象物に向けてX線を出射し、一方向が長いX線回折測定装置10は、X線回折測定装置10の底面において長手方向に並べて設けられ、測定対象物にて回折したX線を検出する検出センサ40と、X線回折測定装置10の長手方向を回転軸として当該X線回折測定装置10が短手方向に傾斜するように当該X線回折測定装置10を回転させる回転手段16と、を備える。なお、この回転は、回転移動を含んでもよい。
【0045】
この構成によれば、X線回折測定装置10の長手方向を回転軸としてX線回折測定装置10が短手方向に傾斜するように回転させながら、測定対象物にて回折したX線を検出することができるため、X線回折測定装置10が測定対象物と干渉せずに測定対象の測定ができる。また、検出センサ40がX線回折測定装置10の底面において長手方向に並べて設けられているため、測定精度が低下することを抑制できる。
【0046】
また、本実施形態では、検出センサ40は、長方形であり、長辺がX線回折測定装置10の短手方向に沿うように設けられている。
【0047】
この構成によれば、検出センサ40の長辺がX線回折測定装置10の短手方向(X線回折測定装置10が短手方向に傾斜している場合の上下方向)に沿うように設けられているため、測定精度が低下することを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態では、検出センサ40は、SOI(Silicon on Insulator)センサを含む。
【0049】
この構成によれば、測定対象物にて回析したX線を検出するセンサ部と、検出したX線を電気信号に変換する回路部とを一体化することができ、小型で高精度の検出を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、検出センサ40の位置を底面において回転移動させる回転台44を備える。
【0051】
この構成によれば、検出センサ40の位置をX線回折測定装置10の底面において回転移動させることができるため、測定精度が低下することを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態では、X線回折測定ロボット1は、X線回折測定装置10と、X線回折測定装置10の傾斜角を測定する測定手段14と、を備え、回転手段16は、傾斜角に応じて、回転台44を回転させる。
【0053】
この構成によれば、X線回折測定装置10の傾斜角に応じて、検出センサ40の位置を回転移動させることができるため、ユーザの手間を軽減しつつ、測定精度が低下することを抑制できる。
【0054】
<変形例>
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記の実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0055】
例えば、上記実施形態では、検出センサ40は、X線回折測定装置10の底面に2つ並べられている場合を説明したが、3つ以上の検出センサ40が並べられていてもよい。例えば、X線回折測定装置10の底面には、上下左右に4つの検出センサ40が並べられて、略正方形状に配置されていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、回転台44は、回転手段16によって回転する場合を説明したが、ユーザによる手動によって回転及び静止可能に構成されていてもよい。これにより、検出センサ40の位置を微調整することができる。
【0057】
また、上記実施形態では、回転手段16は、測定手段14によって測定されたX線回折測定装置10の傾斜角に応じて、回転台44を回転させる場合を説明したが、測定対象物との位置関係に応じて、回転台44を回転させてもよい。例えば、回転手段16は、X線回折測定装置10と測定対象物との距離や角度に応じて、回転台44を回転させてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…X線回折測定ロボット、8(8A、8B)…傾斜部、10…X線回折測定装置、14…測定手段、16…回転手段、40…検出センサ、44…回転台

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9