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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161759
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20221014BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20221014BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20221014BHJP
   G03B 21/604 20140101ALI20221014BHJP
【FI】
H04N5/74 A
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
G03B21/604
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066828
(22)【出願日】2021-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】前田 真孝
【テーマコード(参考)】
2H021
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2H021BA21
2K203FA22
2K203FA25
2K203FA66
2K203FA82
2K203FA83
2K203GC09
2K203GC23
2K203HA33
2K203HB20
2K203MA30
5C058BA20
5C058BA23
5C058EA01
5C058EA02
5C058EA11
5C058EA26
5C058EA27
5C058EA32
(57)【要約】
【課題】パーティションとして機能する透明スクリーンの投影面のみに映像が映し出され、透明スクリーンの反対面側の映像が表示されない情報表示システムを提供する。
【解決手段】情報表示システムは、投影機1、第1偏光板2、透明または半透明のスクリーン3、第2偏光板4の順に配置され、第1偏光板2と第2偏光板4とが一方の偏光板の偏光透過軸8に対し他方の偏光板の偏光軸9が相直交している状態に配置され、透明スクリーン3と第2偏光板4とが対面する第1の観察者5と第2の観察者6との間に配置されるようにしている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影機、第1偏光板、透明または半透明のスクリーン、第2偏光板の順に配置され、前記第1偏光板と前記第2偏光板とが一方の偏光板の偏光透過軸に対し他方の偏光板の偏光軸が相直交している状態に配置され、前記透明スクリーンと前記第2偏光板とが対面する第1の観察者と第2の観察者との間に配置されることを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
前記第1偏光板の偏光透過軸と前記第2偏光板の偏光透過軸との配置を、直交状態から平行状態あるいはその逆に平行状態から直交状態に切り替え可能とすることにより、前記第2偏光板の背後の前記第2の観察者に対して前記透明スクリーンに投射される情報を可視化または非可視化の状態に切り替え可能とするものであることを特徴とする請求項1記載の情報表示システム。
【請求項3】
前記第1偏光板は回転可能であると共に前記投影機に接続される映像出力装置が出力画像を左右反転させる機能を有するものであり、前記第1偏光板の回転に連動して前記投影機から投影する画像が左右反転した映像にされ投影されることを特徴とする請求項2記載の情報表示システム。
【請求項4】
前記第2偏光板のさらに背面側に透明または半透明のスクリーンを備えると共に、前記第2偏光板の偏光透過軸に対し偏光透過軸が直交している第3偏光板と、前記投影機とは別の投影機とを順に配置し、それぞれの前記投影機から出射された投射映像を反射によりそれぞれの透明スクリーンで第1の観察者及び第2の観察者がそれぞれ見えるように表示可能としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影機を使ってスクリーンに情報を表示する情報表示システムに関するものである。さらに詳述すると、本発明は、スクリーンを挟んで対面する相手との間で互いに顔などを見ながら応対する際に、自分には見えるが相手には見えないようにしてあるいはあるいは見せながら情報を表示する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報表示手段として、投影機を使って投影スクリーン上に映像光を投射して情報を表示する方法が広く使われている。投影機(広くプロジェクタと呼ばれいる)は、画像や映像等を大型スクリーンなどに投影することにより表示する装置であり、フロント投射用スクリーンの表面に投影した映像を反射光でスクリーンの手前にいる人に見せたり、あるいはリア投射用スクリーンの背面から投射した映像をスクリーンの前の人に表示するものであるが、スクリーン越しに背後に存在するものを見ることができないものが一般的であるが、中には透過性スクリーンを用いて投影した映像を反射させて観察することを可能とするフロント投射や、透過させて映像を投射するリア投射を可能とするものもある。
【0003】
例えば、一方側から所定の角度で入射した所定の白色光を反射し、他方側から所定の角度で入射した所定の白色光を透過し、反射光に対する回折効率が透過光に対する回折効率よりも高いホログラムから成るスクリーンを用いた投影システムがある(特許文献1)。
【0004】
他方、店舗のショーウィンドーなどで使用するデジタル広告の透明表示板、即ちデジタルサイネージの分野においては、店舗のガラスに対して透過型スクリーンを貼り、映像を店舗内から投射して表示するとともに背景である店舗内を同時に見えるようにする透過型表示装置がある(特許文献2)。
【0005】
一方、世界的パンデミックを引き起こした新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、例えば顧客と接客員との接客様式や対話様式さえをも変えた。飛沫飛散防止のアクリル板を机上に立設可能とするパーティション(例えば特許文献3)が、接客を必要とする窓口のカウンタの上やオフィスの会議テーブルの上などに配置して使用されている。このパーティションは、人と人との接触を回避して対面する顧客と接客者との間の飛沫飛散防止を企図したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-228010号公報
【特許文献2】特開平9-33856号公報
【特許文献3】実用新案登録第3229988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のパーティションは、相手からの飛沫を浴びず且つ自分の飛沫を相手に飛ばさずに、相手の顔を見ながら対話できるものであるが、単に人と人との接触を回避するに止まる。このため、接客応対や会議などで役立つ情報を映し出したりする情報表示機能を有していないものである。
【0008】
そこで、パーティションとして機能する透明スクリーン上に投影機を使って映像光を投射して情報を表示することが望まれる。しかしながら、透明スクリーンに映像を投影すると、投影機から投影された映像は透明スクリーンの表面に投影されると同時に裏面側にも透過して映し出されるので、相手に知られたくない情報例えば顧客情報などの秘密情報を表示することとなってしまう。しかも、透明スクリーンの反対側面(裏面)に透過する映像は左右反転して表示されてしまうため、読みにくい上に情報として誤解を招く恐れのあるものとなる。
【0009】
本発明は、パーティションとして機能する透明スクリーンの投影面のみに映像が映し出され、透明スクリーンの反対面側の映像が表示されない情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための情報表示システムは、投影機、第1偏光板、透明または半透明のスクリーン、第2偏光板の順に配置され、第1偏光板と第2偏光板とが一方の偏光板の偏光透過軸に対し他方の偏光板の偏光軸が相直交している状態に配置され、透明スクリーンと第2偏光板とが対面する第1の観察者と第2の観察者との間に配置されるようにしている。
【0011】
また、本発明の情報表示システムは、第1偏光板の偏光透過軸と第2偏光板の偏光透過軸との配置を、直交状態から平行状態あるいはその逆に平行状態から直交状態に切り替え可能とすることにより、第2偏光板の背後の第2の観察者に対して透明スクリーンに投射される情報を可視化または非可視化の状態に切り替え可能とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明の情報表示システムは、第1偏光板が回転可能であると共に投影機に接続される映像出力装置が出力画像を左右反転させる機能を有するものであり、第1偏光板の回転に連動して投影機から投影する画像が左右反転した映像にされ投影されるようにすることが好ましい。
【0013】
また、本発明の情報表示システムは、第2偏光板のさらに背面側に透明または半透明のスクリーンを備えると共に、第2偏光板の偏光透過軸に対し偏光透過軸が直交している第3偏光板と、投影機とは別の投影機とを順に配置し、それぞれの投影機から出射された投射映像を反射によりそれぞれの透明スクリーンで第1の観察者及び第2の観察者がそれぞれ見えるように表示可能とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の装置によれば、透明スクリーンの反対面へのプロジェクタの映像のみを透過させず、それ以外の光は透過させて見ることができる。つまり、投影機から投影された映像は直線偏光となって透明スクリーンの表面に投影されると同時に裏面側にも透過して映し出されるが、直線偏光と偏向透過軸が直交する関係にある第2偏光板の存在によって投射映像の光は透過できない。このため、透明スクリーンの前にいる一方の観察者(例えば接客者)には反射により投影映像は見られるが、透明スクリーンの背後にいる他方の観察者(例えば顧客)には投影映像は見られない。しかし、第2偏光板を通過できないのは直線偏光となった投影映像だけなので、その他の光は透明スクリーン越しに互いに見られる。つまり、透明スクリーンの背後にいる他方の観察者(例えば顧客)には透明スクリーンに表示される情報は(投影機の映像)は見えないが、相手側の顔などは見える。
【0015】
これによって、飛沫感染を防ぐために配置した透明なパーティション(透明スクリーン)を挟んで対面する一方の観察者例えば接客者と他方の観察者例えば顧客との間で、自分例えば接客者には見えるが相手例えば顧客には見えない状態で面前の透明スクリーンに情報表示を行い、情報を確認しながら応対することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の情報表示システムの一実施形態を示す説明図である。
図2図1の情報表示システムにおける投射映像の光の変化状態を説明する原理図である。
図3】同情報表示システムの原理を示す説明図で、(A)は図1の情報表示システムの概略を説明する斜視図、(B)は第1の観察者から見た透明スクリーン上の投影映像、(C)は図1の情報表示システムの第1の偏光板の偏光透過軸を90°回転させたときに第2の観察者から見える投射映像を示す。
図4】本発明の情報表示システムの他の実施形態を示す説明図である。
図5図4の実施形態にかかる情報表示システムにおいて、第1の偏光板を第2の偏光板と同じ偏光透過軸に揃えた状態を示す説明図である。
図6図4の実施形態にかかる情報表示システムにおいて、第1の偏光板の偏光透過軸を第2の偏光板の偏光透過軸と直交させた状態を示す説明図である。
図7】本発明の情報表示システムのさらに他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1及び図3に、本発明の情報表示システムの一実施形態を示す。この実施形態にかかる情報表示システムは、例えば銀行の窓口やホテルのフロントあるいは古物買い取り業の窓口などに適用して好適なものであり、投影機1、第1偏光板2、透明スクリーン3、第2偏光板4の順に配置され、透明スクリーン3と第2偏光板4とのパーティションあるいは窓を挟んで第1の観察者(いわゆる接客者)5と第2の観察者(いわゆる顧客)6とが対面するように設けられている。
【0019】
投影機(広くプロジェクタと呼ばれいる)1は、ディスクプレイ装置の一種で、画像や映像を大型スクリーンなどに投影することにより表示する装置である。投影機1は、現在DLP(登録商標、デジタルミラーデバイスを用いた映像表示システム)や液晶を使い、画像を拡大して投影する装置のことを指すのが一般的であるが、スライドを投影するスライドプロジェクタ、透明なシート上に書いた図版を投影するオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)も含まれる。本実施形態において用いられる投影機1は特定の形式に限られるものではないが、好ましくはデジタルミラーデバイスや液晶を用いた映像表示システムの使用である。この投影機1には、図1には図示していないが、映像出力装置を接続して各種情報、映像を投影可能とされる。例えば、パソコンを接続してパワーポイントやウェブページを表示したり、各種映像再生器と接続して映画やライブ映像を流したり、さらにはテレビなどの受像機を接続してテレビ放送を視聴したり、あるいはストリーミング端末やゲーム機などを接続してeスポーツやゲームなどを映しだすようにしても良い。
【0020】
また、スクリーン3は、対面する相手即ち第1の観察者(いわゆる接客者)5と第2の観察者(いわゆる顧客)6とが互いに視認可能とするために、透明あるいは半透明であり、尚且つ投影機1から出射された投射映像を反射により第1の観察者5に見えるようにする、フロント投射用スクリーンを構成するものである。例えば、PETフィルムの一面に光拡散層を設けた透明スクリーンの使用が可能であり、第1の観察者5と第2の観察者6のどちらからでも映像が見えるようにできる。この透明スクリーン3は、ガラス板やアクリル板に貼った状態で、あるいは場合によっては透過フィルムそのものを用いるようにしても良い。尚、図示していないが、第2偏光板の背後(つまり、第2偏光板と第2の観察者との間)にリア投射用スクリーンを設けることにより、より高い映像視認性が得られるようにしても良い。尚、本実施形態では、透明スクリーン3と呼んでいるが、これには半透明スクリーンも含まれるものとする。
【0021】
ここで、第1偏光板2と第2偏光板4とはクロスニコル配置即ち一方の偏光板の偏光透過軸を垂直に設置するのに対し他方の偏光板の偏光軸を水平に設置して、それぞれの偏光軸が相直交している状態に配置されている。したがって、図2に示すように、投影機1から出射された投射映像の光は電界波の偏波面が様々な方向に振動する自然光であるが、第1の偏光板を通過することによって直線偏光となり(第1の偏光板の偏向透過軸方向の光だけが通過する)、透明または半透明のスクリーン3の表面あるいは裏面に投影した後、第2の偏光板を透過しようとするが、偏向透過軸が直交する関係にあるため投射映像の光は透過できない(第2の偏光板の偏向透過軸方向は第1の偏光板の偏向透過軸と90°傾いた状態で設置されているため第2偏光板を通過することができない)。即ち、透明または半透明のスクリーンを透過した投射映像の光は第2の偏光板を透過できないため、第2の観察者には見えない。
【0022】
これによって、スクリーンを挟んで対面する顧客と接客者との間で、自分には見えるが相手には見えない状態で面前のスクリーンに情報表示を行い、情報を確認しながら応対することができる。例えば、銀行の窓口においては顧客情報などを、またホテルのフロントでは空き部屋情報や顧客情報などを、さらには古物買い取り業の窓口においては買い取り相場情報などを顧客には知られずに情報表示しながら応対できる。
【0023】
また、図4に他の実施形態を示す。この実施形態にかかる情報表示システムは、第1の偏光板2の偏光透過軸8と第2の偏光板4の偏光透過軸9との配置を、直交状態から平行状態あるいはその逆に平行状態から直交状態に切り替え可能とすることにより、第2の観察者6に対して透明スクリーン3に投射される情報を可視化または非可視化と切り替え可能とするものである。あくまで一例ではあるが、第1の偏光板2を回転可能な構造、例えば偏光透過軸8が少なくとも90°の範囲で回転可能な構造とし、第1の偏光板2の偏光透過軸8を垂直から水平あるいはその逆に切替ることにより、第2の観察者6に対して透明スクリーン3に投射される情報を可視化ないし非可視化するものである。
【0024】
ここで、図3(A)の第2の偏光板4の偏光透過軸9と直交する状態(例えば、垂直配置(0°))状態から、第1の偏光板2の偏光透過軸8を回転させて第2の偏光板4の偏光透過軸9と平行となる状態(例えば、水平配置(90°))に切り替えるだけでは、透明スクリーン3の投射面・表面に投影された映像(第1の観察者は光の反射で見える)と透明スクリーン3を透過して投影面とは反対側の面(第2の観察者側の面)に映し出される映像とは左右反転した関係にある。このため、第1の観察者と第2の観察者との間で取得する情報に齟齬が生じる場合がある。例えば第1の観察者から見て図3(B)に示すような情報が映し出された場合に、第1の観察者が見た画像情報は、向かって左側で腕(画像自体の右手側)を曲げて上げた状態であるが、第2の観察者から見た画像情報は図3(C)に示すように、右側で腕を曲げて上げた状態に一瞬認識してしまう虞れが生ずるし、文字情報であれば第2の観察者には判読し難い鏡文字となり、両者の間で取得する情報に齟齬が生ずるなど、情報の共有がスムーズに行かない問題がある。
【0025】
また、店舗のガラスに対して透過型スクリーンを貼り、映像を店舗内から投射して表示するとともに背景である店舗内を同時に見えるようにするディスプレイする、いわゆるデジタルサイネージとして用いる場合などには、昼間の営業時間内には店内の客や店員向けの情報を表示し、夜間などの営業時間外時などには店外の通行人に広告や情報提供などの目的で、店内から窓に情報を表示するが、そのときに透明スクリーンたる窓ガラスを透過して投影される情報は、左右反転した映像とならないようにする必要がある。
【0026】
そこで、投影機1から投影する画像が予め左右反転した映像となって投影されるように映像出力装置11を制御するようにしても良い。つまり、投影機1に接続される映像出力装置11は出力画像を左右反転させる機能を有するものであり、第1偏光板2の回転に連動して投影機1から投影する画像を左右反転映像にしてから投影させるものであることが好ましい。この場合、例えば透明スクリーン3を挟んで対面する第1の観察者(いわゆる接客者)と第2の観察者(いわゆる顧客)との間で、自分には見えるが相手には見えない状態で透明スクリーン3に相手に見せたくない情報あるいは相手に見せる必要のない情報の表示を行いながら応対し、必要に応じて映像出力装置の制御だけで相手に情報を見せることができる。尚、この投影機1から投影する情報・画像が左右反転させて投影させる機能は、必ずしも第1偏光板の偏光透過軸の切替動作と連動する必要はなく、個別に切替操作されるようにしても良い。因みに、ほとんどの投影機にはフロント投射とリア投射とを切り替える機能を有しているので、プロジェクタの設定を切り替えることで対応することも可能である。しかしながら、会話の途中などに一々切り替えるのは手間がかかる。
【0027】
尚、偏光板を2枚組み合わせると、偏光透過軸の組み合わせ方によって光の透過量を変化させることが可能になることから、例えば、第1の偏光板2の偏光透過軸を回転させることにより、投射映像の明るさを調整することもできる。
【0028】
図7にさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、透明スクリーンを挟んで対面する第1の観察者と第2の観察者との間で情報を共有したりあるいは異なる情報を表示可能とするのに適した情報表示システムである。この場合、投影機及び第1偏光板は対面する観察者のそれぞれの背後に1組みずつ計2組み配置する。例えば、図7に示すように、第1の観察者側の投影機(本実施形態では第1の投影機1と呼ぶ)、第1偏光板2、透明スクリーン3、第2偏光板4、第2の観察者側の透明スクリーン(本実施形態では第2の透明スクリーン14と呼ぶ)、第2の観察者側の偏光板(本実施形態では第3偏光板13と呼ぶ)、第2の観察者側の投影機(本実施形態では第2の投影機12と呼ぶ)の順に配置し、それぞれの投影機1,12から出射された投射映像を反射によりそれぞれの透明スクリーン3,14で第1の観察者5及び第2の観察者6がそれぞれ見えるようにする、フロント投射システムを構成するものである。ここで、第1偏光板2と第3偏光板13は偏光透過軸9,15を例えば0°に配置し、透明スクリーン3,14の間に配置される第2偏光板4の偏光透過軸9を例えば90°に配置される。尚、本実施形態の場合、第2偏光板4を透明スクリーン3,14で挟んだサンドイッチ構造とし、第1の観察者5と第2の観察者6との間の構造物の壁面あるいはカウンタやテーブル上に配置する卓上スクリーンあるいはパーティションなどとして用いても良い。
【0029】
このシステムの場合、それぞれの投影機1,12から出射される光は第1偏光板2あるいは第3偏光板13を通過して直線偏光とされているので透明スクリーン3,14の間に配置された第2偏光板4を透過できない。このため、透明スクリーンを通過して投影される左右反転した情報あるいは相手側プロジェクタ1,12からの不要な情報・映像をカットすることができる。しかも、第1の観察者5及び第2の観察者6にとっては、互いの間に透明スクリーン3,14と第2偏光板4のみしか存在しないため、直線偏光となっていない光即ちお互いの顔などを含めた様子を見ることができ、尚且つプロジェクタ1が透明スクリーン3の表面(投影面)に映し出す映像は反射により第1の観察者のみが、また第2プロジェクタ12が透明スクリーン14の表面(投影面)に映し出す映像は反射により観察者2のみが見ることができる。
【0030】
ここで、それぞれの投影機1,12から出射される情報は、同じでも良いし互いに異なる情報であっても良い。第1の観察者と第2の観察者との双方が反射による映像を見るので、同一情報の場合には取得する内容に齟齬が生じることがなく、情報の共有がスムーズに行い得る。他方、互いに異なる情報を表示するのであれば、互いの秘密情報を共有せずに秘したまま情報を確認しながら応対することができる。
【0031】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態は、銀行窓口やホテルのフロントなどのカウンタに設置する飛沫飛散防止用パーティションを兼ねた透明スクリーンに情報を投影するシステムの例を挙げて主に説明したが、これに特に限られるものではなく、場合によっては周辺の環境とは切り離された仕切られた空間即ち一人しか入れない閉鎖空間(いわゆる個室)であっても良い。即ち、個室の少なくとも1つの壁面に上述の透明スクリーン3と第2偏光板4を組み込み、投影機1と第1偏光板2とを室内の反対側例えば透明スクリーン3と対向する壁面に備えるようにしても良い。この場合、室内と室外、あるいは同構造の個室を向かい合わせた状態で、第1の観察者5と第2の観察者6とが対面するようにして使われる。
【0032】
また、上述の各実施形態においては、説明の便宜上、透明スクリーン3と第2偏光板4とをそれぞれ独立した部材として構成した例を挙げて主に説明したが、本発明はこれに特に限られるものではない。本発明においては、映像などを表示するための光を散乱する機能と、偏光機能とを有していること、並びに投影機及び第1偏光板惹いては第1の観察者5に向けて散乱機能、偏光機能の順番で配置されることが必要であって、透明スクリーン3及び第2偏光板4としてそれぞれ独立したものとして存在させることが必要とされるものではない。つまり、本発明は、場合によっては、透明スクリーン3と第2偏光板4とを透明あるいは半透明の1枚の板あるいはスクリーンで構成しても良く、例えば第2偏光板の表面に、ある程度光が散乱する加工を施すことによって、あるいはスクリーン自体が偏光機能を備えたアクリル板のようなものとして構成することによって、映像などを表示するための光を散乱する機能と偏光機能とを備える1つの部材としても良い。
【0033】
例えば、偏光板は偏光フイルム自体が薄いためガラスやアクリル板に貼り付けて使用するのが一般的である。そこで、偏光フイルムを裏面に貼り付けたガラスやアクリル板の表面にある程度光を散乱させる加工を施すことによって、ガラスやアクリル板越しに対面する第1の観察者5と第2の観察者6とのそれぞれが互いの顔を見える透明性あるいは半透明性を確保した上で、映像などを表示するためのある程度の散乱機能を表面側に、偏光機能を裏面側に備えるものとして構成しても良い。勿論、偏光フイルムの表面に光が散乱する加工を施すことによって、映像などを表示するための光を散乱する機能と、偏光機能とを備える1つのスクリーン部材として構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明にかかる情報表示システムは、顧客と接客者との接客や会議などにおける対話において、相手側に情報を見せずにあるいは見せながら接客ないし対話可能とするのに寄与する。また、店内にのみ向けて情報を表示したり、あるいは店外に向けて店内の様子とともに情報例えば広告などを表示するデジタルサイネージなどにも寄与する。
【符号の説明】
【0035】
1 投影機(第1の投影機)
2 第1の偏光板
3 透明スクリーン(第1の透明スクリーン)
4 第2の偏光板
5 第1の観察者(例えば接客者)
6 第2の観察者(例えば顧客)
7 プロジェクタ出射光
8 第1の偏光板の偏光透過軸
9 第2の偏光板の偏光透過軸
10 第1の偏光板を通過した電界波
11 映像出力装置
12 投影機(第2の投影機)
13 第3の偏光板
14 透明スクリーン(第2の透明スクリーン)
15 第3の偏光板を通過した電界波
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7