(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161794
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】把持検知装置及びステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142783
(22)【出願日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2021066645
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大井川 敦彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 博士
(72)【発明者】
【氏名】内田 剛生
(72)【発明者】
【氏名】金子 和夢
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA25
3D030DA35
3D030DA44
3D030DA47
3D030DA69
3D030DB13
3D030DB17
(57)【要約】
【課題】ステアリング把持を高精度に検知できる把持検知装置を提供する。
【解決手段】把持検知装置10は、発信側圧電素子20と受信側圧電素子30とを連結し、発信側圧電素子20から発信された振動を受信側圧電素子30に伝達する、ステアリングホイール100のうち少なくとも把持部分に設置される検知機構部40と、ステアリングホイール100上の検知機構部40を設置する設置面と検知機構部40との間にクリアランスをとるクリアランス部(凸部41)を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員がステアリングホイールを把持していることを検知するための把持検知装置であって、
発信側圧電素子と、
受信側圧電素子と、
前記発信側圧電素子から発信された振動を前記受信側圧電素子に伝達する、前記ステアリングホイールのうち少なくとも把持部分に設置される伝達部と、
を備える把持検知装置。
【請求項2】
前記伝達部又は前記発信側圧電素子が振動するスペースを確保するスペーサを備える、請求項1に記載の把持検知装置。
【請求項3】
前記スペーサは、前記伝達部と前記ステアリングホイール上の前記伝達部を設置する設置面との間にクリアランスをとる、請求項2に記載の把持検知装置。
【請求項4】
前記伝達部は、樹脂製の板材である、請求項3に記載の把持検知装置。
【請求項5】
前記スペーサは、前記伝達部の裏面から突設する凸部である、請求項3または4に記載の把持検知装置。
【請求項6】
前記ステアリングホイールの前記伝達部の設置部分に、前記伝達部を篏合する溝が設けられ、前記設置面は前記溝の底面である、請求項3から5のいずれか一項に記載の把持検知装置。
【請求項7】
前記受信側圧電素子が第1の受信側圧電素子と第2の受信側圧電素子とを有し、
前記伝達部が、
前記発信側圧電素子と前記第1の受信側圧電素子とを連結し、前記発信側圧電素子から発信された振動を前記第1の受信側圧電素子に伝達する第1の検知機構部と、
前記発信側圧電素子と前記第2の受信側圧電素子とを連結し、前記発信側圧電素子から発信された振動を前記第2の受信側圧電素子に伝達する第2の検知機構部と、
を有する、請求項3から6のいずれか一項に記載の把持検知装置。
【請求項8】
前記発信側圧電素子が第1の発信側圧電素子と第2の発信側圧電素子とを有し、
前記伝達部が、
前記第1の発信側圧電素子と前記受信側圧電素子とを連結し、前記第1の発信側圧電素子から発信された振動を前記受信側圧電素子に伝達する第1の検知機構部と、
前記第2の発信側圧電素子と前記受信側圧電素子とを連結し、前記第2の発信側圧電素子から発信された振動を前記受信側圧電素子に伝達する第2の検知機構部と、
を有する、請求項3から6のいずれか一項に記載の把持検知装置。
【請求項9】
前記スペーサは、前記発信側圧電素子を収容し、前記発信側圧電素子が振動するスペースを確保するケーシングである、請求項2に記載の把持検知装置。
【請求項10】
前記伝達部は、前記ステアリングホイールの芯金とカバー部との間にあり、前記芯部よりも柔らかい、請求項9に記載の把持検知装置。
【請求項11】
前記伝達部は、ウレタンである、請求項10に記載の把持検知装置。
【請求項12】
車両の乗員がステアリングホイールを把持していることを検知するための把持検知装置であって、
圧電素子と、
前記圧電素子と連結し、前記圧電素子から発信された振動を伝達して、前記振動を前記圧電素子に戻す、前記ステアリングホイールのうち少なくとも把持部分に設置される検知機構部と、
前記検知機構部と前記ステアリングホイール上の前記検知機構部を設置する設置面との間にクリアランスをとるクリアランス部と、
を備える把持検知装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の把持検知装置を備えるステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、把持検知装置及びステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転の需要が高まっており、ステアリングの把持検知機能が法規でも要求される。現在、自動運転レベル2では、既存のステアリング把持装置としては静電容量式とトルクセンサ式とが主流である。しかし、自動運転レベル3では、これらの方式では誤検知の発生率が課題となる。
【0003】
静電容量式とトルクセンサ式の課題に対して、振動を用いた把持検知手法が提案されている。例えば特許文献1には、加振部によってステアリングホイールの芯金を加振し、芯金を加振部から検出部までの間の振動伝達部として利用して、検出部による振動波形変化からステアリングが把持状態を検知する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の手法のように、芯金のような剛体を加振させた場合、振動振幅は検知できるが、弾性変形がなく振動振幅や周波数特性の変化は極めて少なく、把持による検知が比較的困難である。また、芯金を振動伝達部とした場合、表皮を巻くことによってさらに振動は抑制されるため、さらに検知能力を低下させる要因になる。
【0006】
本開示は、ステアリング把持を高精度に検知できる把持検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一観点に係る把持検知装置は、車両の乗員がステアリングホイールを把持していることを検知するための把持検知装置であって、発信側圧電素子と、受信側圧電素子と、前記発信側圧電素子から発信された振動を前記受信側圧電素子に伝達する、前記ステアリングホイールのうち少なくとも把持部分に設置される伝達部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ステアリング把持を高精度に検知できる把持検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る把持検知装置の構成を示す斜視図
【
図3】把持検知装置が設置されたステアリングホイールの断面の模式図
【
図5】第1実施形態の把持検知装置の把持検知の仕組みを説明する模式図
【
図6】非把持時と把持時の振動振幅の変化を示す模式図
【
図8】第1実施形態に係る把持検知方法のフローチャート
【
図9】第2実施形態に係る把持検知装置のステアリングホイール上の配置の一例を示す模式図
【
図10】第2実施形態に係る把持検知装置のステアリングホイール上の配置の他の例を示す模式図
【
図11】第2実施形態の変形例に係る把持検知装置を示す模式図
【
図12】第3実施形態に係る把持検知装置のステアリングホイール上の配置の一例を示す模式図
【
図13】第3実施形態に係る把持検知装置のステアリングホイール上の配置の他の例を示す模式図
【
図14】第3実施形態における把持検出手法を説明するためのタイムチャート
【
図15】第4実施形態に係る把持検知装置のステアリングホイール上の配置の一例を示す模式図
【
図16】第4実施形態に係る把持検知装置の把持検知の仕組みを説明する模式図
【
図17】第4実施形態の把持検知装置のシステムブロック図
【
図18】第4実施形態の変形例に係る把持検知装置を示す模式図
【
図19】把持検知装置における振動伝達を説明する図
【
図20】検知機構部の凸部の第1の変形例の裏側の斜視図
【
図21】検知機構部の凸部の第2の変形例の裏側の斜視図
【
図22】検知機構部の凸部の第3の変形例の裏側の斜視図
【
図23】検知機構部の凸部の第4の変形例の裏側の斜視図
【
図24】検知機構部の凸部の第5の変形例の裏側の斜視図
【
図25】検知機構部の凸部の第6の変形例の裏側の斜視図
【
図30】第5実施形態の把持検知装置の非把持の状態を示す模式図
【
図31】第5実施形態の把持検知装置の把持の状態を示す模式図
【
図32】ケーシングありのときの振動メカニズムを説明するための模式図
【
図33】ケーシングなしのときの振動メカニズムを説明するための模式図
【
図34】ステアリングホイールの芯部の一部がウレタンで覆われた状態を示す図
【
図37】ステアリングホイールの芯部とブラケットとの間のスペースを示す図
【
図38】発信側圧電素子と受信側圧電素子と制御部との配置位置を例示する図
【
図39】ブラケットに取り付けられるケーシングの第1構造例の断面図
【
図40】ブラケットに取り付けられるケーシングの第1構造例の分解斜視図
【
図41】検知機構部に取り付けられるケーシングの第2構造例の断面図
【
図42】検知機構部に取り付けられるケーシングの第2構造例の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
[第1実施形態]
図1~
図8を参照して第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態に係る把持検知装置10の構成を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す把持検知装置10の分解斜視図である。
図3は、把持検知装置10が設置されたステアリングホイール100の断面の模式図である。
図4は、検知機構部40の裏側の斜視図である。
【0012】
第1実施形態に係る把持検知装置10は、車両の乗員がステアリングホイール100を把持していることを検知するための装置であり、ステアリングホイール100に設けられる。
【0013】
ステアリングホイール100は、車両を操舵するために運転者により操作される操舵装置の一部であり、運転者により把持される環状の部材である。なお、
図1、
図2の例ではステアリングホイール100は円環状であるが、例えば楕円形状など円形以外の形状でもよい。以下の説明では、ステアリングホイール100の円環形状に沿った方向を「環状方向」と表記する。
【0014】
また、
図3に示すように、ステアリングホイール100の環状方向に直交する断面では、ステアリングホイール100の中心には芯部101が配置されている。芯部101は例えば金属製の芯金により形成される。芯部101の外側は基部102により包囲されている。基部102は、芯金より柔らかい素材、例えばウレタンなどの弾性を有する樹脂などで形成される。なお基部102は、樹脂材以外にも不識布などの布やフィルムなどで形成してもよい。基部102の外側はさらにカバー部103により包囲される。カバー部103は、乗員が直接触れる部分であり、例えば皮革、人工皮革、樹脂、木材などで形成される。
【0015】
このように、ステアリングホイール100は、断面視において中心側から芯部101、基部102、カバー部103が積層される構造をとる。なお、
図3の例ではステアリングホイール100の断面形状は略円形状であるが、楕円など他の形状でもよい。以下の説明では、ステアリングホイール100の断面形状の中心側と外周側とを結ぶ方向を「径方向」と表記し、断面の円形状の外周に沿った方向を「周方向」と表記する。
【0016】
図1、
図2に示すステアリングホイール100の斜視図は、完成品から
図3に示すカバー部103の一部を除外し、基部102が露出された状態を図示している。すなわち本実施形態では、把持検知装置10は基部102に形成された溝104に設置され、カバー部103により被覆された状態で使用される。把持検知装置10は、ステアリングホイール100の環状方向に沿って、少なくとも乗員が把持する位置を検知範囲に含むように設置される。
【0017】
把持検知装置10は、発信側圧電素子20と、受信側圧電素子30と、検知機構部40とを備える。
【0018】
検知機構部40は、発信側圧電素子20から発信された振動を受信側圧電素子30に伝達する伝達部の一例である。検知機構部40は、発信側圧電素子20と受信側圧電素子30とを連結し、発信側圧電素子20から発信された振動を受信側圧電素子30に伝達する。検知機構部40は、ステアリングホイール100のうち少なくとも把持部分に設置される。検知機構部40は、長尺状の薄板部材であり、例えば樹脂や金属など弾性変形可能な素材により形成される。
【0019】
検知機構部40の短手方向(周方向)の幅は、例えば5~10mm程度であるのが好ましい。また、検知機構部40の薄板形状の厚み(径方向の寸法)は、0.05~2mm程度であるのが好ましい。
【0020】
一方、
図1、
図2に示すように、基部102の外周面には、検知機構部40の設置部分に、外周面から径方向内側に掘り下げた溝104が環状方向に沿って形成されており、把持検知装置10はこの溝104に嵌め込まれて設置される。より詳細には、溝104の位置は、基部102の周方向のうち、ステアリングホイール100の円環形状の最も外側の位置に配置されるのが好ましい。これにより、乗員がステアリングホイール100を把持するときに、把持検知装置10の検知機構部40が乗員の手のひらや指と対向しやすくでき、把持検知の精度を向上できる。
【0021】
また、
図4に示すように、検知機構部40の裏面には凸部41が設けられている。凸部41は、発信側圧電素子20から発信された振動を受信側圧電素子30に伝達する伝達部(この例では、検知機構部40)が振動するスペースを確保するスペーサの一例である。
図3に示すように、凸部41は把持検知装置10の設置時には溝104の底面と対向し、検知機構部40の板状部分と溝104の底面との間にクリアランスをとることができる。つまり、凸部41は、「検知機構部40と、ステアリングホイール100上の検知機構部40を設置する設置面との間にクリアランスをとるクリアランス部」として機能する。また、溝104の底面は、「ステアリングホイール100上の検知機構部40を設置する設置面」として機能する。
【0022】
また、
図4に示すように、凸部41は、検知機構部40の長手方向、すなわち環状方向に沿って略等間隔に複数個が配置される。また、
図4の例では、凸部41の形状は径方向視において、検知機構部40の短手方向(周方向)の全体に亘って延在し、その両端の一方から長手方向(環状方向)の一方の方向に延在し、その両端の他方から長手方向の他方の方向に延在する略Z字状に形成される。
【0023】
検知機構部40に配置される複数の凸部41の間隔は、例えば30~50mm程度が好ましい。
【0024】
検知機構部40及び凸部41の材料としては、例えばポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、錫、銅、ゴムなどが含まれる。ゴムの場合は、タイミングベルトのような相対的に固い性質のものが好ましい。また、シリコンなどの無機材質を用いてもよい。
【0025】
把持検知装置10は、例えば
図1に示すように、検知機構部40の両端に発信側圧電素子20と受信側圧電素子30とが積層配置されて接着剤などを用いて連結固定される。そして、ステアリングホイール100の設置面上に検知機構部40が配置されて、検知機構部40の両端部がネジ締結などの任意の手法によって設置面に固定される。なお、発信側圧電素子20と受信側圧電素子30は、検知機構部40の表面、裏面のどちらに取り付けてもよい。
【0026】
図5は、第1実施形態の把持検知装置10の把持検知の仕組みを説明する模式図である。
図5の(A)は非把持の状態を示し、(B)は把持の状態を示す。
図5(A)に示すように非把持の場合には、発信側圧電素子20から発信される振動は、検知機構部40において振幅を維持したまま受信側圧電素子30に伝達されて、受信側圧電素子30で計測される。
【0027】
一方、
図5(B)に示すように把持の場合には、検知機構部40に把持力による圧力が径方向外側から印加される。この圧力によって検知機構部40の板状部分が弾性変形することで、検知機構部40に伝達される振動は減衰する。減衰された振動が受信側圧電素子30に伝達されて、受信側圧電素子30で計測される。また、検知機構部40の裏面に設けられる凸部41によって、検知機構部40の板状部分と溝104の底面との間にクリアランスを大きくとることができるので、圧力による検知機構部40の弾性変形量を増やすことができ、減衰度合いを増大できる。
【0028】
図6は、非把持時と把持時の振動振幅の変化を示す模式図である。
図6に示すように、発信側圧電素子20により一定の周波数で振動している検知機構部40は、車両の乗員によって把持されることで振動波形が変化する。上述のように、把持の際には検知機構部40が弾性変形することによって振動が減衰されるので、把持時の振動振幅は非把持時よりも小さくなる。
【0029】
図7は、把持検知装置10の機能ブロック図である。
図7に示すように、把持検知装置10は、上述の発信側圧電素子20、受信側圧電素子30、及び検知機構部40の他に、制御部50を備える。
【0030】
制御部50は、把持検知装置10による把持検知処理を制御する。制御部50は、駆動部51と、信号処理部52と、AD変換部53と、演算処理部54とを有する。
【0031】
駆動部51は、検知機構部40(又は、後述のウレタン45)に振動が伝播するように発信側圧電素子20を振動させる駆動信号を出力する。駆動信号は例えば一定周期の交流電圧である。
【0032】
信号処理部52は、受信側圧電素子30から出力されるアナログの出力信号に含まれるノイズ(例えば、車両のエンジンや走行によるノイズ)をフィルタ処理等によって除去する。
【0033】
AD変換部53は、信号処理部52によるフィルタ処理等の信号処理が施されたアナログの出力信号をデジタル信号に変換する。
【0034】
演算処理部54は、AD変換部53から供給されるデジタル信号に基づいて、ステアリングホイール100に対する乗員の把持状態を検出し、その検出結果を外部装置に出力する。
【0035】
制御部50の各機能は、アナログ回路、デジタル回路又はアナログ・デジタル混合回路で構成された回路などのハードウェアによって実現できる。この場合、制御部50は、ステアリングホイール100の内側中央部に位置するハブの内部に設置されるのが好ましいが、車両の他の箇所に設置する構成でもよい。また、制御部50の一部または全部をCPUやRAMやROMなどを含むコンピュータシステムとして構成してもよく、この場合、例えば車両に搭載されているECU(Electronic Control Unit)によって制御部50の機能を実現してもよい。
【0036】
図8は、第1実施形態に係る把持検知方法のフローチャートである。
図8に示すフローチャートの各処理は、制御部50の各部により実施される。
【0037】
図8のフローの前段階として、駆動部51により、一定の振幅及び周波数の駆動信号が発信側圧電素子20に供給される。これにより、発信側圧電素子20は、駆動信号に応じた一定の振幅及び周波数の振動を発生させて、検知機構部40(又は、後述のウレタン45)に伝達されている。
【0038】
ステップS1では、受信側圧電素子30の出力信号が確認される。具体的には、信号処理部52及びAD変換部53により出力信号が処理されて、処理された出力信号が演算処理部54に入力される。
【0039】
ステップS2では、演算処理部54により、受信側圧電素子30の出力信号の振幅VがV1以上V2以下の所定の正常範囲にあるか否かを判定する。
【0040】
振幅Vが所定の正常範囲外にあると判定した場合、演算処理部54は、受信側圧電素子30または発信側圧電素子20の異常を外部に知らせる異常信号を出力するための異常診断処理を行う(ステップS3)。
【0041】
一方、演算処理部54は、振幅Vが所定の正常範囲内にあると判定した場合、出力信号の変化が、未把持状態と判定可能な範囲にあるのか、把持状態と判定可能な範囲にあるのかを判定する。演算処理部54は、ステアリングホイール100が把持されていない状態(未把持状態)と判定した場合、ステップS1の処理を再び実行する。演算処理部54は、ステアリングホイール100が把持されている状態(把持状態)と判定した場合、ステップS4の処理を実行する。
【0042】
ステップS4では、演算処理部54により、所定時間(例えば、1秒)以上継続して出力信号の変化が把持状態と判定可能な範囲(把持状態範囲)にあるのか否かが判定される。演算処理部54は、出力信号の変化状態が所定時間以上継続する前に把持状態範囲から外れたことが検出された場合、ステップS1の処理を再び実行する。一方、演算処理部54は、出力信号の変化状態が把持状態範囲にあることが所定時間以上継続していることが検出された場合、ステアリングホイール100が乗員によって把持されていると確定する(ステップS5)。
【0043】
第1実施形態に係る把持検知装置10の効果を説明する。
【0044】
従来の把持検知手法としては、例えば特許文献1に記載のように、加振部によってステアリングホイールの芯金を加振し、芯金を加振部から検出部までの間の振動伝達部として利用して、検出部による振動波形変化からステアリングが把持状態を検知する構成がある。しかし、特許文献1に記載の手法のように、芯金のような剛体を加振させた場合、振動振幅は検知できるが、弾性変形がなく振動振幅や周波数特性の変化は極めて少ないため、把持による検知が比較的困難である。また、芯金を振動伝達部とした場合、表皮を巻くことによってさらに振動は抑制されるため、さらに検知能力を低下させる要因になる。このため、従来技術で把持を検知するためには、駆動部の圧電素子を高い電圧で駆動する必要があり、消費電力が高く素子寿命が短くなる。また、高い駆動電圧によりユーザーに不快感となる振動音が発生し、実使用において不向きな技術である。
【0045】
これに対して第1実施形態の把持検知装置10は、発信側圧電素子20と受信側圧電素子30とを連結し、発信側圧電素子20から発信された振動を受信側圧電素子30に伝達する、ステアリングホイール100のうち少なくとも把持部分に設置される検知機構部40と、ステアリングホイール100上の検知機構部40を設置する設置面と検知機構部40との間にクリアランスをとるクリアランス部(凸部41)を備える。
【0046】
この構成により、ステアリングホイール100の基部102の表面などの設置面に、所定のクリアランスをとって検知機構部40を配置することができるので、発信側圧電素子20から振動が発信されたときに、この振動に応じて検知機構部40が径方向に振動するスペースを充分に確保でき、発信側圧電素子20から発信された信号を、確実に検知機構部40を介して受信側圧電素子30に伝達することができる。これにより、把持状態の振動の減衰をより顕著に検出することが可能となり、ステアリング把持を高精度に検知できる。また、表皮によって外圧が常時かかる環境においても把持による圧力を検知できるので、発信側圧電素子20を従来よりも低い電圧で駆動することができ、低消費電力、素子寿命の低減、振動音によるユーザーへの不快感などの従来技術の課題を改善できる。
【0047】
また、第1実施形態の把持検知装置10では、検知機構部40が樹脂製の板材であるのが好ましい。これにより、検知機構部40の弾性変形を容易にでき、振動を効率よく伝達できる。また、把持検知装置10を軽量化できる。
【0048】
また、第1実施形態の把持検知装置10では、クリアランス部が、検知機構部40の裏面から突設する凸部41であるのが好ましい。これにより、クリアランス部を検知機構部40と一体的に形成できるので、部品点数を削減でき、製造効率を向上できる。
【0049】
また、第1実施形態の把持検知装置10では、ステアリングホイール100の検知機構部40の設置部分に、検知機構部40を篏合する溝104が設けられ、ステアリングホイール100上の検知機構部40を設置する設置面は、この溝104の底面であるのが好ましい。この構成により、検知機構部40の設置位置の位置決めを容易にでき、設置後の位置ずれも防止できる。また、溝104が設けられる基部102(芯部101でもよい)の表面に対して、検知機構部40が径方向外側に突出することを溝104の深さによって抑制できるので、設置位置より外側のカバー部103などが巻き付けられることによって検知機構部40に付加される圧力を軽減でき、振動伝達をより確実にできる。
【0050】
[第2実施形態]
図9~
図11を参照して第2実施形態を説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略する。後述の実施形態についても、他の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、他の実施形態の説明を援用することで省略する。
【0051】
図9は、第2実施形態に係る把持検知装置10Aのステアリングホイール100上の配置の一例を示す模式図である。第1実施形態では、1個の発信側圧電素子20と、1個の受信側圧電素子30とを用いる一系統の把持検知手法であったのに対して、
図9に示すように、第2実施形態の把持検知装置10Aでは、1個の発信側圧電素子20と2個の受信側圧電素子30A、30Bとを用いて、左手把持検知、及び右手把持検知の二系統を有する点で、第1実施形態と異なる。
【0052】
図9に示すように、把持検知装置10Aは、発信側圧電素子20と、第1の受信側圧電素子30Aと、第2の受信側圧電素子30Bと、第1の検知機構部40Aと、第2の検知機構部40Bとを備える。第1の検知機構部40Aは、発信側圧電素子20と第1の受信側圧電素子30Aとを連結し、発信側圧電素子20から発信された振動を第1の受信側圧電素子30Aに伝達する。第2の検知機構部40Bは、発信側圧電素子20と第2の受信側圧電素子30Bとを連結し、発信側圧電素子20から発信された振動を第2の受信側圧電素子30Bに伝達する。
【0053】
図9に示すように、発信側圧電素子20は、ステアリングホイール100を座席側から視たときの12時方向(すなわちステアリングホイール100の円環形状の中心位置から直上の方向)の位置に配置される。第1の受信側圧電素子30Aは、ステアリングホイール100の7時方向(すなわちステアリングホイール100の円環形状の中心位置から左斜め下方)の位置に配置される。第2の受信側圧電素子30Bは、ステアリングホイール100の5時方向(すなわちステアリングホイール100の円環形状の中心位置から右斜め下方)の位置に配置される。
【0054】
第2実施形態の把持検知装置10Aでは、2個の受信側圧電素子30A、30Bをステアリングホイール100の左右に1個ずつ配置することで、ステアリングホイール100の左側部分と右側部分の把持を別々に検出することができる。例えば
図9に示すように、乗員が左側を把持した場合には、発信側圧電素子20と第1の受信側圧電素子30Aとを連結する第1の検知機構部40Aのみで振動が減衰されるので、第1の受信側圧電素子30Aの出力信号に基づき、乗員がステアリングホイール100の左側を把持したことを検知できる。
【0055】
なお、第2実施形態でも、第1の受信側圧電素子30Aの出力信号と、第2の受信側圧電素子30Bの出力信号を用いて、
図8に示した第1実施形態と同様の把持検知手法によって、ステアリングホイール100の左側部分と右側部分の二系統の把持検知を行うことができる。
【0056】
図10は、第2実施形態に係る把持検知装置10Aのステアリングホイール100上の配置の他の例を示す模式図である。第2実施形態の把持検知装置10Aは、ステアリングホイール100の左側部分と右側部分の二系統の把持検知を行うことができればよく、各圧電素子20、30A、30Bの配置は
図9のものに限られない。例えば
図10に示すように、ステアリングホイール100の6時方向(すなわちステアリングホイール100の円環形状の中心位置から真下の方向)に発信側圧電素子20を配置し、11時方向(左斜め上方向)に第1の受信側圧電素子30Aを配置し、1時方向(右斜め上方向)に第2の受信側圧電素子30Bを配置することで、左右別々に把持を検出することができる。
【0057】
図11は、第2実施形態の変形例に係る把持検知装置10Bを示す模式図である。
図11の例では、ステアリングホイール100の7時方向(左斜め下方向)に発信側圧電素子20を配置し、12時方向(真上方向)に第1の受信側圧電素子30Aを配置し、5時方向(右斜め下方向)に第2の受信側圧電素子30Bを配置する。把持検知装置10Bでは、ステアリングホイール100の左側が把持された際には、
図11に示すように、第1の受信側圧電素子30Aと第2の受信側圧電素子30Bの両方が減衰波形を検知することで、左側を把持したことを検知する。一方、ステアリングホイール100の右側が把持された際には、第2の受信側圧電素子30Bのみが減衰波形を検知することで、右側を把持したことを検知する。
【0058】
[第3実施形態]
図12~
図14を参照して第3実施形態を説明する。
【0059】
図12は、第3実施形態に係る把持検知装置10Cのステアリングホイール100上の配置の一例を示す模式図である。
図12に示すように、第3実施形態の把持検知装置10Cでは、2個の発信側圧電素子20A、20Bと1個の受信側圧電素子30とを用いて、左手把持検知、及び右手把持検知の二系統を有する点で、第2実施形態と異なる。
【0060】
図12に示すように、把持検知装置10Cは、第1の発信側圧電素子20Aと、第2の発信側圧電素子20Bと、受信側圧電素子30と、第1の検知機構部40Aと、第2の検知機構部40Bとを備える。第1の検知機構部40Aは、第1の発信側圧電素子20Aと受信側圧電素子30とを連結し、第1の発信側圧電素子20Aから発信された振動を受信側圧電素子30に伝達する。第2の検知機構部40Bは、第2の発信側圧電素子20Bと受信側圧電素子30とを連結し、第2の発信側圧電素子20Bから発信された振動を受信側圧電素子30に伝達する。
【0061】
図12に示すように、受信側圧電素子30は、ステアリングホイール100を座席側から視たときの12時方向(直上方向)の位置に配置される。第1の発信側圧電素子20Aは、ステアリングホイール100の7時方向(左斜め下方)の位置に配置される。第2の発信側圧電素子20Bは、ステアリングホイール100の5時方向(右斜め下方)の位置に配置される。
【0062】
すなわち、
図12に示す把持検知装置10Cの各圧電素子の配置は、
図9に示した第2実施形態の把持検知装置10Bと発信側と受信側とを入れ替えた配置となる。第3実施形態の把持検知装置10Cでも、2個の発信側圧電素子20A、20Bをステアリングホイール100の左右に1個ずつ配置することで、第2実施形態と同様に、ステアリングホイール100の左側部分と右側部分の把持を別々に検出することができる。
【0063】
図13は、第3実施形態に係る把持検知装置10Cのステアリングホイール100上の配置の他の例を示す模式図である。
図13に示す把持検知装置10Cの各圧電素子の配置は、
図10に示した第2実施形態の把持検知装置10Bと発信側と受信側とを入れ替えた配置となる。
【0064】
図14は、第3実施形態における把持検出手法を説明するためのタイムチャートである。
図14(A)は、第1の発信側圧電素子20A及び第2の発信側圧電素子20Bの駆動信号の波形を示す。図中の「第2の発信側圧電素子(5時(右))」とは、第2の発信側圧電素子20Bの駆動信号を示し、「第1の発信側圧電素子(7時(左))」とは、第1の発信側圧電素子20Aの駆動信号を示す。すなわち、
図14のタイムチャートは、
図12に示す把持検知装置10Cの各圧電素子の配置に対応するものである。
【0065】
図14(A)に示すように、第1の発信側圧電素子20Aと第2の発信側圧電素子20Bとは、一方がオン(振動発生)のときに他方がオフ(振動無し)となり、振動タイミングを一定周期で切り替わるよう駆動信号が制御される。振動タイミングと、受信側圧電素子30が検出した波形とを比較することにより、ステアリングホイール100の左右別々に把持を検出することができる。
【0066】
図14(B)は、非把持のときの受信側圧電素子30の出力信号を示す。図中の「受信側圧電素子の受信波形」とは、受信側圧電素子30の出力信号を示す。ここでは、
図6に示した非把持時の波形を「振幅大」とし、把持時の波形を「振幅小」として簡略化して表示している。非把持の場合、受信側圧電素子30は、第1の発信側圧電素子20A及び第2の発信側圧電素子20Bの両方の振動振幅を常に検知するため、振幅は常に振幅大となる。なお、逆に両方把持している場合、受信波形は、常に振幅小となる。
【0067】
図14(C)は、左側把持のときの受信側圧電素子30の出力信号を示す。
図14(C)の例では、第2の発信側圧電素子20Bがオンとなる時刻t1から、振動のオンとオフを3回切り替えた後の第1の発信側圧電素子20Aがオンとなる時刻t2までの期間で、ステアリングホイール100の左側部分が把持されている。
図14(C)に示すように、左把持の場合、左側の第1の発信側圧電素子20Aの振動がオフになるため、すなわち、第1の発信側圧電素子20Aの振幅が減衰されるため、受信側圧電素子30は右側の第2の発信側圧電素子20Bの振動波形のみを受信するようになる。
図14(C)の例では、時刻t1の後の1回目の切り替えタイミングである時刻t3において、受信側圧電素子30の出力信号が振幅大から振幅小に切り替わることを検知するとき、第2の発信側圧電素子20Bの波形と一致するため、左把持と判断できる。
【0068】
また、
図14(C)では、時刻t2において非把持状態に遷移した後に、第2の発信側圧電素子20Bがオンからオフに切り替わる時刻t4では、受信側圧電素子30の出力信号が振幅大のままであり、第2の発信側圧電素子20Bの波形と不一致となるため、非把持と判断できる。
【0069】
図14(D)は、右側把持のときの受信側圧電素子30の出力信号を示す。
図14(D)の例でも、(C)と同様に、第2の発信側圧電素子20Bがオンとなる時刻t1から、振動のオンとオフを3回切り替えた後の第1の発信側圧電素子20Aがオンとなる時刻t2までの期間で、ステアリングホイール100の右側部分が把持されている。
図14(D)に示すように、右把持の場合、右側の第2の発信側圧電素子20Bの振動がオフになるため、すなわち、第2の発信側圧電素子20Bの振幅が減衰されるため、受信側圧電素子30は左側の第1の発信側圧電素子20Aの振動波形のみを受信するようになる。
図14(D)の例では、左把持が開始される時刻t1において、受信側圧電素子30の出力信号が振幅大から振幅小に切り替わることを検知するとき、第1の発信側圧電素子20Aの波形と一致するため、右把持と判断できる。
【0070】
また、
図14(D)では、非把持状態に遷移する時刻t2において、受信側圧電素子30の出力信号が振幅大のままであり、第1の発信側圧電素子20Aの波形と不一致となるため、非把持と判断できる。
【0071】
なお、
図13に示す把持検知装置10Cの各圧電素子の配置の場合でも、
図14と同様の手法によって、ステアリングホイール100の左右別々に把持を検出することができる。
【0072】
[第4実施形態]
図15~
図19を参照して第4実施形態を説明する。
【0073】
図15は、第4実施形態に係る把持検知装置10Dのステアリングホイール100上の配置の一例を示す模式図である。第4実施形態では、発信受信併用の単一の圧電素子21を用いる点で、上記の第1~第3実施形態とは異なる。把持検知装置10Dでは、例えば
図15に示すように、発信受信兼用圧電素子21(以下では単に「圧電素子21」とも表記する)が、ステアリングホイール100の左斜め下の位置に配置され、検知機構部40は、一方の端部が発信受信兼用圧電素子21と連結され、ステアリングホイール100の上部を通るよう延在して、他方の端部がステアリングホイール100の右斜め下の位置に配置される。なお、
図15の例とは左右反転して、発信受信兼用圧電素子21をステアリングホイール100の右斜め下の位置に配置する構成でもよい。
【0074】
図16は、第4実施形態に係る把持検知装置10Dの把持検知の仕組みを説明する模式図である。発信受信兼用圧電素子21は、所定のタイミングで発信機能と受信機能とを切り替えて用いられる。まず、圧電素子21を発信用として駆動する。検知機構部40を伝播した振動は、検知機構部40の末端(他の端部)に到達した後に反射する。反射した振動は、再度、検知機構部40を反対方向(圧電素子21側)に伝播し、圧電素子21まで戻ってくる。圧電素子21は、発信後、受信用に切り替えられ、反射振動を受信する。把持による反射振動の波形変化(例えば振動が減衰した波形)を検知することで、一つの圧電素子21で把持を検知することが出来る。
【0075】
図17は、第4実施形態の把持検知装置10Dのシステムブロック図である。
図17に示すように、把持検知装置10Dは、上述の発信受信兼用圧電素子21と、検知機構部40の他に、制御部50Dを備える。制御部50Dは、駆動回路55と、スイッチング回路56と、受信回路57と、信号処理回路58とを有する。
【0076】
スイッチング回路56は、一定周期で圧電素子21を発信側と受信側とに切り変える。スイッチング回路56は、圧電素子21を発信側として用いる場合には、駆動回路55と圧電素子21を接続する。一方、圧電素子21を受信側として用いる場合には、受信回路57と圧電素子21とを接続する。
【0077】
駆動回路55は、
図7に示した駆動部51と同様の機能であり、受信回路57及び信号処理回路58は、
図7に示した信号処理部52、AD変換部53、及び演算処理部54と同様の機能であるので説明を省略する。
【0078】
図18は、第4実施形態の変形例に係る把持検知装置10Eを示す模式図である。
図18に示すように、検知機構部40の両端が発信受信兼用圧電素子21に接続される構成としてもよい。
【0079】
把持検知装置10Eでは、例えば
図18に示すように、発信受信兼用圧電素子21が、ステアリングホイール100の12時方向(真上)の位置に配置され、検知機構部40は、一方の端部が発信受信兼用圧電素子21と連結され、ステアリングホイール100の下部を通るよう全周に亘って延在して、他方の端部も発信受信兼用圧電素子21と連結される。なお、発信受信兼用圧電素子21のステアリングホイール100上の設置位置は、12時方向以外の任意の位置でもよい。
【0080】
図18に示す把持検知装置10Eでも、
図15などに示した把持検知装置10Dと同様に、発信受信兼用圧電素子21の発信機能と受信機能とを所定のタイミングで切り替えて用いることによって、単一の圧電素子21でもステアリングホイール100の把持を検知することができる。
【0081】
図19は、把持検知装置10Eにおける振動伝達を説明する図である。
図19の(A)は、左把持時において圧電素子21が発信側のときの振動伝達を例示している。
図19(A)に示すように、圧電素子21から発信された振動W1、W2は当初は左右に均等に伝播されるが、ステアリングホイール100の左側の把持部分では振動W1が減衰される。
【0082】
図19の(B)は、(A)の後に圧電素子21が受信側に切り替わったときの振動伝達を例示している。
図19(B)に示すように、(A)にて減衰された振動W1は、ステアリングホイール100の右側を伝達して減衰された状態のままで圧電素子21により受信される。一方、振動W2も、ステアリングホイール100の右側から左側に伝播して把持部分を通過する際に減衰されて、圧電素子21により受信される。
【0083】
ここで、
図19(A)に示す把持部分よりステアリングホイール100の下部の領域Xでは、左右から伝播される振動W1と振動W2とがぶつかることになる。
図19の(C)は、2つの振動W1、W2が交差するときの波形の推移を示す。
図19(C)に示すように、逆方向に伝播する振動波形W1、W2は、独立性をもっているため、合成された後に合成前の同振幅のまま反対側へ伝達することができる。
【0084】
したがって、最終的には、
図19(B)に示すように、振幅波形W1、W2は、共に把持部分にて同様に減衰された状態で圧電素子21に戻される。したがって、把持検知装置10Eでも、圧電素子21が受信した出力信号に基づいて、ステアリングホイール100の把持を検出できる。
【0085】
[検知機構部の凸部の変形例]
図20~
図25を参照して、検知機構部40の凸部の変形例について説明する。
図4の例では、凸部41が略Z字状に形成される構成を例示したが、凸部は他の形状でもよい。
【0086】
図20は、検知機構部の凸部の第1の変形例41Aの裏側の斜視図である。
図20に示す凸部41Aのように、径方向視において、検知機構部40の短手方向(周方向)の全体に亘って延在し、その一方の端部から長手方向(環状方向)の反対側へそれぞれ延在する略T字状に形成されるものでもよい。
【0087】
図21は、検知機構部の凸部の第2の変形例41Bの裏側の斜視図である。
図21に示す凸部41Bのように、径方向視において、検知機構部40の短手方向(周方向)の全体に亘って延在し、その両方の端部から長手方向(環状方向)の両側へそれぞれ延在する略H字状に形成されるものでもよい。
【0088】
図22は、検知機構部の凸部の第3の変形例41Cの裏側の斜視図である。
図22に示す凸部41Cのように、径方向視において、検知機構部40の短手方向(周方向)の全体に亘って延在する略I字状に形成されるものでもよい。
【0089】
図23は、検知機構部の凸部の第4の変形例41Dの裏側の斜視図である。
図23に示す凸部41Dのように、径方向視において
図4に示した略Z字状が所定間隔をとって断続的に形成されるものでもよい。凸部41Dでは、略正方形状の角形ドット42が、検知機構部40の短手方向(周方向)に沿って所定間隔をとって複数個(
図23の例では2個)配置され、検知機構部40の短手方向の両端の一方から長手方向(環状方向)の一方の方向に所定間隔をとって1個配置され、両端の他方から長手方向の他方の方向に所定間隔をとって1個配置される。なお、角形ドット42の配列は、
図20に示した略T字状、
図21に示した略H字状、
図22に示した略I字状でもよい。
【0090】
図24は、検知機構部の凸部の第5の変形例41Eの裏側の斜視図である。
図24に示す凸部41Eのように、
図23に示した角形ドット42の代わりに、周方向視において半円形状に形成される半円形ドット43を複数個配置する構成でもよい。なお、凸部41Eは、環状方向視において半円形状に形成される半円形ドット43を複数個配置する構成でもよい。
【0091】
図25は、検知機構部の凸部の第6の変形例41Fの裏側の斜視図である。
図25に示す凸部41Fのように、
図23に示した角形ドット42の代わりに、環状方向視において半球形状に形成される半球形ドット44を複数個配置する構成でもよい。
【0092】
図23~
図25に例示した角形ドット42、半円形ドット43、半球形ドット44の間隙は、例えば7mm程度が好ましい。
【0093】
[検知機構部の形状の変形例]
図26~
図28を参照して、検知機構部の形状の変形例について説明する。
図1などでは、長尺状の薄板部材であり、ステアリングホイール100の環状方向に沿って延在する形状を例示したが、検知機構部は他の形状でもよい。
【0094】
図26は、検知機構部の形状の第1の変形例40-1の模式図である。
図26の(A)は、検知機構部40-1をステアリングホイール100に設置した状態を示す図であり、(B)は環状方向から視た図である。
図26に示す検知機構部40-1のように、周方向に沿って幅広い部材をステアリングの周方向の一部に被せるような形状としてもよい。
【0095】
図27は、検知機構部の形状の第2の変形例40-2の模式図である。
図27の(A)は、検知機構部40-2をステアリングホイール100に設置した状態を示す図であり、(B)は環状方向から視た図である。
図27に示す検知機構部40-2のように、帯状の部材をステアリングに螺旋状に巻き付ける形状としてもよい。
【0096】
図28は、検知機構部の形状の第3の変形例40-3の模式図である。
図28に示す検知機構部40-3のように、連続したS字形状の部材をステアリングホイール100に巻き付ける形状としてもよい。連続したS字形状の検知機構部40-3は、例えば革巻きステアリングの場合において、革巻きの糸の部分を除いた場所に設置される。
【0097】
[その他の変形例]
図29は、発信周波数の変形例を示す図である。
図29の横軸は圧電素子から発信させる振動の周波数(Hz)を示し、縦軸は振幅を示す。圧電素子から発信させる振動の周波数を複数点(例えば3点や5点)設定し、これらの複数の周波数を切り替えて発信して、各周波数帯の振動レベルを検知する構成としてもよい。
図29に示すように、非把持と把持とでは各周波数での振動レベルは変化する。この変化を比較することによって把持を検知できる。
【0098】
また、把持検知装置10の発信側圧電素子20、受信側圧電素子30、検知機構部40の3つの要素は、少なくともステアリングホイール100の表面のカバー部103より内側に配置される構成であればよい。例えば、把持検知装置は、芯部101の外側の表面、基部102の内側の表面、基部102の外側の表面、カバー部103の内側の表面に配置されてもよい。これらの表面は、径方向側の表面でも、ドライバー側(手前側)の表面でも、ドライバー側とは反対側(奥側)の表面でもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、検知機構部40をステアリングホイール100とは別体として設け、ステアリングホイール100の設置面(溝104など)に設置する構成を例示したが、ステアリングホイール100の芯部101自体に検知機構部40を形成する構成でもよい。例えば、薄板状の検知機構部40と、凸部41と、溝104に相当する要素を、芯部101の一部分に一体的に形成し、これらの要素を上記実施形態の検知機構部40として代用する。これにより部品点数を削減でき、製造コストを抑制できる。
【0100】
また、上記実施形態では、検知機構部40の裏面に複数個が配置される凸部41は、略等間隔で配置される構成を例示したが、配置間隔を個別に変更してもよい。また、検知機構部40の長手方向(環状方向)の全域に凸部41を設けなくてもよく、把持を検知したいエリアのみに凸部41を設ける構成でもよい。この場合、把持を検知したくないエリアでは凸部41の間隔を極めて小さくして凸部を密にして、当該エリアでの把持の検知精度を落としてもよい。
【0101】
[第5実施形態]
図30は、第5実施形態に係る把持検知装置11の非把持の状態を示す模式図である。
図31は、第5実施形態に係る把持検知装置11の把持の状態を示す模式図である。
図30に示すように、非把持の場合には、発信側圧電素子20から発信される振動は、ウレタン45において振幅を維持したまま受信側圧電素子30に伝達されて、受信側圧電素子30で計測される。ウレタン45は、発信側圧電素子20から発信された振動を受信側圧電素子30に伝達する伝達部の一例であり、ステアリングホイール100のうち少なくとも把持部分に設置される。
【0102】
一方、
図31に示すように、把持の場合には、ウレタン45に把持力による圧力が径方向外側から印加される。この圧力によってウレタン45のうち発信側圧電素子20と受信側圧電素子30との間のウレタン部分が弾性変形することで、ウレタン45の当該ウレタン部分に伝達される振動は減衰する。減衰された振動が受信側圧電素子30に伝達されて、受信側圧電素子30で計測される。
【0103】
また、把持検知装置11は、発信側圧電素子20を収容するケーシング60を備える。ケーシング60は、発信側圧電素子20が振動するスペースを確保するスペーサの一例である。ケーシング60は、発信側圧電素子20が振動するスペース(クリアランス61)を確保するので、発信側圧電素子20の動きがウレタン45によって抑制されることを回避でき、発信側圧電素子20の振動振幅が極端に小さくなることを抑制できる。したがって、発信側圧電素子20を比較的低電圧で駆動できるので、乗員に不快な振動音の発生を抑制できる。
【0104】
図32は、ケーシングありのときの振動メカニズムを説明するための模式図である。ケーシング60は、クリアランス61が発信側圧電素子20の周囲に存在するように発信側圧電素子20を収容する。発信側圧電素子20は、上述の制御部50の駆動部51により駆動されることで径方向に伸縮を繰り返す。径方向に伸縮を繰り返す発信側圧電素子20は、接着剤64を介してブラケット62を押し、ブラケット62を振動させる。発信側圧電素子20とケーシング60の内壁との間にクリアランス61があることで、低駆動電圧でも、発信側圧電素子20の変位量は大きくなる。これにより、ブラケット62に与える衝撃は大きくなるため、発生する振動も大きくなる。
【0105】
ケーシング60は、ウレタン45が内部空間に流れ込まないようにシーリング材65でシーリングされている。シーリング材65は、ブラケット62とケーシング60との間の隙間をシーリングする。シーリング材65は、シーリングラバーでも接着剤でもよい。
【0106】
図33は、ケーシングなしのときの振動メカニズムを説明するための模式図である。
図33のように、発信側圧電素子20がウレタン45で埋まる場合、発信側圧電素子20は、ウレタン45によって伸縮が抑制されるため、発信側圧電素子20の変位量が小さくなる。これにより、ブラケット62に与える衝撃は減少するため、発生する振動振幅は、小さくなる。
【0107】
図34は、ステアリングホイールの芯部101の一部がウレタン45で覆われた状態を示す図である。ウレタン45は、芯部101のうちハブ101aを除く部分を覆い、この例では、環状のリムと、ハブ101aとリムとを繋ぐ複数のスポークとを覆う。ウレタン45は、発信側圧電素子20を収容するケーシング60と、ケーシング60を芯部101に固定するブラケット62と、ケーシングされていない受信側圧電素子30と、受信側圧電素子30を芯部101に固定するブラケット63とを覆う。ウレタン45は、例えば
図3において、芯部101とカバー部103との間に挟まれた基部102に相当する。ウレタン45は、芯部101よりも柔らかい樹脂である。
【0108】
図35は、ウレタン45が取り除かれた状態を示す図である。
図36は、芯部101へのブラケット62の取り付け例を示す図である。ブラケット62は、リベット66等の締結部材により、芯部101に固定される。
【0109】
図34~36の例では、発信側圧電素子20及び受信側圧電素子30は、ステアリングホイール100の6時方向に配置されているが、ウレタン45に覆われる箇所であれば、この方向とは異なる任意の方向(位置)に配置されてもよい。例えば、発信側圧電素子20及び受信側圧電素子30は、ステアリングホイール100の12時方向の把持部分に配置されてもよい。発信側圧電素子20及び受信側圧電素子30は、ステアリングホイール100の同一方向の箇所に配置されるのではなく、ステアリングホイール100の相違する方向の各箇所に配置されてもよい。例えば、発信側圧電素子20は、ステアリングホイール100の6時方向の把持部分に配置され、受信側圧電素子30は、ステアリングホイール100の12時方向の把持部分に配置されてもよい。
【0110】
図37は、ステアリングホイールの芯部101とブラケット62との間のスペースを示す図である。芯部101とブラケット62との間には、ウレタン45が流れ込むように、スペースが設けられている。当該スペースは、ウレタン45で充填される。これにより、ケーシング60内の発信側圧電素子20の振動は、ブラケット62と芯部101との間のスペースに充填されたウレタン45を介して、芯部101に伝達する。ウレタン45がケーシング60の内部に流れ込まないように、発信側圧電素子20は、ケーシング60に収容されている。
【0111】
図38は、発信側圧電素子と受信側圧電素子と制御部との配置位置を例示する図である。制御部50は、ステアリングホイール100の内側中央部に位置するハブに設置されている。発信側圧電素子20及びケーシング60は、ブラケット62によって、ステアリングホイール100の6時方向の芯部101に固定されている。受信側圧電素子30は、ブラケット63によって、ステアリングホイール100の6時方向の芯部101に固定されている。制御部50の上述の駆動部51は、配線67によって発信側圧電素子20に接続され、制御部50の上述の信号処理部52は、配線68によって受信側圧電素子30に接続されている。
【0112】
図39は、ブラケットに取り付けられるケーシングの第1構造例の断面図であり、ケーシングがブラケットに取り付けられる形態を例示する。
図40は、ブラケットに取り付けられるケーシングの第1構造例の分解斜視図であり、ケーシングがブラケットに取り付けられる形態を例示する。ケーシング60は、発信側圧電素子20をブラケット62との間に挟むようにブラケット62に取り付けられる。発信側圧電素子20は、配線67に電気的に接続される。
【0113】
図41は、検知機構部に取り付けられるケーシングの第2構造例の断面図であり、ケーシングが検知機構部に取り付けられる形態を例示する。
図42は、検知機構部に取り付けられるケーシングの第2構造例の分解斜視図であり、ケーシングが検知機構部に取り付けられる形態を例示する。検知機構部40と発信側圧電素子20は、ケーシング60Aとケーシング60Bとの間に挟み込まれる。ケーシング60Aは、発信側圧電素子20を検知機構部40との間に挟むようにケーシング60Bに取り付けられる。
【0114】
図43は、ケーシングの第3構造例を示す断面図である。ケーシング60は、ブラケット32に対して開閉可能に取り付けられた蓋でもよい。発信側圧電素子20は、ブラケット32の内壁に固定される。
【0115】
図44は、ケーシングの第4構造例を示す断面図である。ケーシング60は、芯部101に嵌め込まれてもよい。発信側圧電素子20は、ケーシング60の内壁に固定される。
【0116】
図45は、スペーサの第1構造例を示す断面図である。発信側圧電素子20は、ブラケット62に設けられた突起62aに取り付けられる。突起62aは、発信側圧電素子20が振動するスペース(クリアランス61)を確保するスペーサの一例である。クリアランス61が存在するため、ウレタン45が発信側圧電素子20に接してもよい。
【0117】
図46は、スペーサの第2構造例を示す断面図である。ブラケット62は、芯部101との間に空間(クリアランス61)を形成するように芯部101に取り付けられる。発信側圧電素子20は、当該空間に配置される。ブラケット62は、当該空間を仕切る側壁62bを有する。
【0118】
図47は、ブラケットの第1構造例を示す断面図である。芯部101及びブラケット62に穴が設けられ、リベット66が差し込まれる。ブラケット62は、リベット66によって芯部101に固定される。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。
【0119】
図48は、ブラケットの第2構造例を示す断面図である。ブラケット62は、芯部101を取り囲むように取り付けられるアタッチメントである。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。
【0120】
図49は、ブラケットの第3構造例を示す断面図である。ブラケット62は、芯部101のエッジ部に引っ掛けて固定されるアタッチメントである。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。
【0121】
図50は、ブラケットの第4構造例を示す断面図である。ブラケット62は、芯部101を樹脂等でモールドするモールド部である。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。
【0122】
図51は、ブラケットの第5構造例を示す断面図である。ブラケット62は、芯部101に接着剤64で接着されてもよい。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。
【0123】
図52は、ブラケットの第6構造例を示す断面図である。ブラケット62は、少なくとも一つのネジ69により芯部101に固定されてもよい。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。
【0124】
図53は、ブラケットの第7構造例を示す断面図である。制御部50のハウジングの一部を、発信側圧電素子20を固定するためのブラケット62として使用されてもよい。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。
【0125】
図54は、ブラケットの第8構造例を示す断面図である。コネクタ62c付きブラケット62は6時の位置にウレタン45で埋められる。発信側圧電素子20に電気的に接続されるコネクタ62cは、ウレタン45から突出する。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。コネクタ62cは、制御部50のコネクタ50cに電気的に接続されることで、発信側圧電素子20と制御部50とが一体化される。
【0126】
図55は、ブラケットの第9構造例を示す断面図である。発信側圧電素子20に電気的に接続されるコネクタ62cは、ウレタン45から突出する。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、ブラケット62に固定される。コネクタ62cは、表示装置71のコネクタ71cに電気的に接続されることで、発信側圧電素子20と表示装置71とが一体化される。発信側圧電素子20は、表示装置71を介して制御部50に接続されてもよい。表示装置71は、制御部50により判定された把持状態を、光等による表示により乗員に知らせる。
【0127】
図56は、ブラケットの第10構造例を示す図である。芯部101及びブラケット62に穴が設けられ、リベット66が差し込まれる。ブラケット62は、リベット66によって芯部101に固定される。不図示のケーシングに収容される発信側圧電素子20は、受信側圧電素子30と共通のブラケット62に固定される。発信側圧電素子20は、発信側圧電素子20と対向してもよいし、発信側圧電素子20と隣接してもよい。
【0128】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0129】
10、10A、10B、10C、10D、10E、11 把持検知装置
20 発信側圧電素子
20A 第1の発信側圧電素子
20B 第2の発信側圧電素子
21 発信受信兼用圧電素子
30 受信側圧電素子
30A 第1の受信側圧電素子
30B 第2の受信側圧電素子
40、40-1、40-2、40-3 検知機構部
40A 第1の検知機構部
40B 第2の検知機構部
41、41A、41B、41C、41D、41E、41F 凸部(クリアランス部)
42 角形ドット
43 半円形ドット
44 半球形ドット
45 ウレタン
50,50D 制御部
51 駆動部
52 信号処理部
53 AD変換部
54 演算処理部
55 駆動回路
56 スイッチング回路
57 受信回路
58 信号処理回路
60,60A,60B ケーシング
61 クリアランス
62,63 ブラケット
64 接着剤
65 シーリング材
66 リベット
67,68 配線
69 ネジ
71 表示装置
100 ステアリングホイール
101 芯部
102 基部
103 カバー部
104 溝(設置面)