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特開2022-161797データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161797
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20120101AFI20221014BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150242
(22)【出願日】2021-09-15
(62)【分割の表示】P 2021519917の分割
【原出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
(72)【発明者】
【氏名】藤武 将人
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
5L055EE09
(57)【要約】
【課題】仕訳処理の業務負荷を軽減させる。
【解決手段】入力された請求書と過去に処理した請求書データとを組み合わせて仕訳データを作成するデータ処理装置である。請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部121と、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部122と、選択部が選択した選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成する作成部123と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部と、
過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成する作成部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記受領請求書データに含まれる請求元を示す文字列と、前記過去請求書データに含まれる請求元を示す文字列とを比較し、前記請求元を示す文字列が一致する前記過去請求書データの中から、前記選択請求書データを選択する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記受領請求書データに対応する前記請求元が過去に発行した複数の異なる形式の前記過去請求書データのうち、前記受領請求書データの形式に最も近い形式の前記過去請求書データを前記選択請求書データとして選択する、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記受領請求書データに含まれる請求対象を示す文字列と、前記過去請求書データに含まれる請求対象を示す文字列とを比較し、前記受領請求書データの請求対象と同一の請求対象に対応する前記過去請求書データの中から、前記選択請求書データを選択する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記作成部は、前記選択部が前記選択請求書データを選択しない場合、前記選択請求書データを用いることなく前記受領請求書データに含まれる文字列に基づいて作成した前記受領仕訳データを表示装置に表示させ、前記選択部が前記選択請求書データを選択した場合、前記受領請求書データに対応する前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させない、
請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記選択部は、一以上の前記選択請求書データを選択し、
前記作成部は、前記一以上の選択請求書データを前記表示装置に表示させ、前記表示装置に表示させた前記一以上の選択請求書データからユーザにより選択された前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて前記受領仕訳データを作成する、
請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記作成部は、前記選択部が選択した前記選択請求書データに対応する仕訳データが複数存在する場合、前記過去請求書データに対応する複数の仕訳データを前記表示装置に表示させ、前記表示装置に表示させた前記複数の仕訳データからユーザにより選択された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて前記受領仕訳データを作成する、
請求項5又は6のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記作成部が作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させてから前記受領仕訳データを会計システムに送信するか、前記作成部が作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させることなく前記受領仕訳データを会計システムに送信するかの設定を受け付ける設定受付部をさらに有し、
前記作成部は、前記設定受付部が受け付けた設定の内容に基づいて、前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させてから前記受領仕訳データを会計システムに送信するか、前記作成部が作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させることなく前記受領仕訳データを会計システムに送信するかを決定する、
請求項5から7のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記過去請求書データに関連付けて、前記作成部が作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させることなく前記受領仕訳データを会計システムに送信する自動処理モードに設定されたことを示す自動処理設定データを記憶する記憶部をさらに有し、
前記作成部は、前記選択請求書データに関連付けて前記記憶部に前記自動処理設定データが記憶されている場合、前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データを用いて作成された前記受領仕訳データを、前記表示装置に表示させることなく会計システムに送信する、
請求項5から8のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記作成部は、作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させ、表示した前記受領仕訳データを前記自動処理モードで処理する対象にするための操作をユーザから受けたことに応じて、前記受領仕訳データに対応する前記受領請求書データに関連付けて前記自動処理設定データを前記記憶部に記憶させる、
請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記作成部は、前記受領請求書データに含まれており、前記選択請求書データに含まれていない複数の文字列の少なくとも一部の文字列を摘要欄に含む前記受領仕訳データを作成する、
請求項5から10のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記作成部は、前記選択請求書データに含まれている請求対象の金額又は個数と前記受領請求書データに含まれている請求対象の金額又は個数との差分が閾値以上である場合、警告情報を前記表示装置に表示させ、前記警告情報を前記表示装置に表示させた後にユーザによる所定の操作を受けたことを条件として前記受領仕訳データを会計システムに送信する、
請求項5から11のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
前記作成部は、前記受領請求書データの形式が前記選択請求書データの形式と異なっている場合、警告情報を前記表示装置に表示させ、前記警告情報を前記表示装置に表示させた後にユーザによる所定の操作を受けたことを条件として前記受領仕訳データを会計システムに送信する、
請求項5から12のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項14】
請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部と、
過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記選択請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する補正請求書データを作成する作成部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する、
請求書の電子データである受領請求書データを取得するステップと、
過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択するステップと、
選択した前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項16】
コンピュータが実行する、
請求書の電子データである受領請求書データを取得するステップと、
過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択するステップと、
選択した前記選択請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する補正請求書データを作成するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項17】
コンピュータを、
請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部、
過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部、及び
前記選択部が選択した前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成する作成部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピュータを、
請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部、
過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部、及び
前記選択部が選択した前記選択請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する補正請求書データを作成する作成部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求書データを処理するためのデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力されたデータに含まれる仕訳対象を、予め生成された仕訳ルールに基づいて仕訳する技術が知られている。特許文献1には、摘要情報に軽減税率を示す文字列が含まれている場合に、摘要情報が示す取引の税区分を軽減税率として仕訳するための仕訳ルールを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020―86973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
請求書に記載された請求対象となる商品又はサービスを仕訳する際に使用されるルールは、経理処理を行う組織によって異なる。従来技術を用いても、組織によって異なる仕訳ルールを自動的に作成することはできないので、経理担当者が請求書ごとに仕訳処理を行う必要があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、仕訳処理の業務負荷を軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のデータ処理装置においては、請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部と、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部と、前記選択部が選択した前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成する作成部と、を有する。
【0007】
前記選択部は、前記受領請求書データに含まれる請求元を示す文字列と、前記過去請求書データに含まれる請求元を示す文字列とを比較し、前記請求元を示す文字列が一致する前記過去請求書データの中から、前記選択請求書データを選択してもよい。
【0008】
前記選択部は、前記受領請求書データに対応する前記請求元が過去に発行した複数の異なる形式の前記過去請求書データのうち、前記受領請求書データの形式に最も近い形式の前記過去請求書データを前記選択請求書データとして選択してもよい。
【0009】
前記選択部は、前記受領請求書データに含まれる請求対象を示す文字列と、前記過去請求書データに含まれる請求対象を示す文字列とを比較し、前記受領請求書データの請求対象と同一の請求対象に対応する前記過去請求書データの中から、前記選択請求書データを選択してもよい。
【0010】
前記作成部は、前記選択部が前記選択請求書データを選択しない場合、前記選択請求書データを用いることなく前記受領請求書データに含まれる文字列に基づいて作成した前記受領仕訳データを表示装置に表示させ、前記選択部が前記選択請求書データを選択した場合、前記受領請求書データに対応する前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させない、こととしてもよい。
【0011】
前記選択部は、一以上の前記選択請求書データを選択し、前記作成部は、前記一以上の選択請求書データを前記表示装置に表示させ、前記表示装置に表示させた前記一以上の選択請求書データからユーザにより選択された前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて前記受領仕訳データを作成してもよい。
【0012】
前記作成部は、前記選択部が選択した前記選択請求書データに対応する仕訳データが複数存在する場合、前記過去請求書データに対応する複数の仕訳データを前記表示装置に表示させ、前記表示装置に表示させた前記複数の仕訳データからユーザにより選択された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて前記受領仕訳データを作成してもよい。
【0013】
前記作成部が作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させてから前記受領仕訳データを会計システムに送信するか、前記作成部が作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させることなく前記受領仕訳データを会計システムに送信するかの設定を受け付ける設定受付部をさらに有し、前記作成部は、前記設定受付部が受け付けた設定の内容に基づいて、前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させてから前記受領仕訳データを会計システムに送信するか、前記作成部が作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させることなく前記受領仕訳データを会計システムに送信するかを決定してもよい。
【0014】
前記過去請求書データに関連付けて、前記作成部が作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させることなく前記受領仕訳データを会計システムに送信する自動処理モードに設定されたことを示す自動処理設定データを記憶する記憶部をさらに有し、前記作成部は、前記選択請求書データに関連付けて前記記憶部に前記自動処理設定データが記憶されている場合、前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データを用いて作成された前記受領仕訳データを、前記表示装置に表示させることなく会計システムに送信してもよい。
【0015】
前記作成部は、作成した前記受領仕訳データを前記表示装置に表示させ、表示した前記受領仕訳データを前記自動処理モードで処理する対象にするための操作をユーザから受けたことに応じて、前記受領仕訳データに対応する前記受領請求書データに関連付けて前記自動処理設定データを前記記憶部に記憶させてもよい。
【0016】
前記作成部は、前記受領請求書データに含まれており、前記選択請求書データに含まれていない複数の文字列の少なくとも一部の文字列を摘要欄に含む前記受領仕訳データを作成してもよい。
【0017】
前記作成部は、前記選択請求書データに含まれている請求対象の金額又は個数と前記受領請求書データに含まれている請求対象の金額又は個数との差分が閾値以上である場合、警告情報を前記表示装置に表示させ、前記警告情報を前記表示装置に表示させた後にユーザによる所定の操作を受けたことを条件として前記受領仕訳データを会計システムに送信してもよい。
【0018】
前記作成部は、前記受領請求書データの形式が前記選択請求書データの形式と異なっている場合、警告情報を前記表示装置に表示させ、前記警告情報を前記表示装置に表示させた後にユーザによる所定の操作を受けたことを条件として前記受領仕訳データを会計システムに送信してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様のデータ処理装置においては、請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部と、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部と、 前記選択部が選択した前記選択請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する補正請求書データを作成する作成部と、有する。
【0020】
本発明の第3の態様のデータ処理方法においては、コンピュータが実行する、請求書の電子データである受領請求書データを取得するステップと、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択するステップと、選択した前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成するステップと、を有する。
【0021】
本発明の第4の態様のデータ処理方法においては、コンピュータが実行する、請求書の電子データである受領請求書データを取得するステップと、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択するステップと、選択した前記選択請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する補正請求書データを作成するステップと、を有する。
【0022】
本発明の第5の態様のプログラムにおいては、コンピュータを、請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部、及び、前記選択部が選択した前記選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成する作成部、として機能させる。
【0023】
本発明の第6の態様のプログラムにおいては、コンピュータを、請求書の電子データである受領請求書データを取得するデータ取得部、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、前記受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の前記過去請求書データである選択請求書データを選択する選択部、及び前記選択部が選択した前記選択請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、前記受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、前記受領請求書データに対応する補正請求書データを作成する作成部、として機能させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、仕訳処理の業務負荷を軽減させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】データ処理装置1における仕訳処理の流れを模式的に示す図である。
図2】データ処理装置1において処理される請求書の例を示す図である。
図3】過去請求書データベースのデータ構造の例を示す図である。
図4】データ処理装置1の構成を示すブロック図である。
図5A】選択請求書を決定するための画面の例を示す図である。
図5B】選択請求書を決定するための画面の例を示す図である。
図5C】選択請求書を決定するための画面の例を示す図である。
図6】仕訳データの登録画面を説明する図である。
図7】データ処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[データ処理装置1の概要]
図1は、実施形態の形態に係るデータ処理装置1における仕訳処理の流れを模式的に示す図である。データ処理装置1は、入力された請求書に対応する仕訳データを作成し、外部の会計システム2に仕訳データを出力する。データ処理装置1は、類似している請求書は同一の仕訳となる可能性が高いという経験則に基づき、入力された請求書に記載された日付又は金額と、入力された請求書と類似する過去の請求書の仕訳データとを組み合わせることで、入力された請求書の仕訳データを作成する。データ処理装置1は会計システム2の一部である仕訳機能部として構成されてもよい。
【0027】
より具体的には、データ処理装置1は、例えばネットワークを介して入力された請求書データ(以下、受領請求書データという)に含まれるデータと、データベースに記憶された過去に処理を行った請求書データ(以下、過去請求書データという)との類似度を算出する。データ処理装置1は、類似度が基準レベル以上の過去請求書データを選択請求書データとして選択する。データ処理装置1は、複数の過去請求書データに対応する複数の過去仕訳データのうち、選択請求書データと関連付けられて記憶されている仕訳データ(以下、選択仕訳データという)を取得する。データ処理装置1は、選択仕訳データに含まれる勘定科目と、入力された受領請求書データに含まれる日付又は金額と、を組み合わせて受領請求書データの仕訳データ(以下、受領仕訳データという)を作成する。データ処理装置1は、作成した受領仕訳データを外部の会計システム2に出力する。
【0028】
データ処理装置1がこのように構成されていることで、データ処理装置1を利用する企業が請求書を受け取った場合、受け取った請求書に類似する過去の請求書と同じように仕訳されて自動作成された仕訳データを会計システム2に登録することができる。従来、同じ商品又はサービスであっても、どの企業が発行した請求書であるかによって仕訳方法が異なったり、仕訳処理をする企業のポリシーによって仕訳方法が異なったりするため、自動的に仕訳処理をすることは困難であった。しかし、データ処理装置1によれば、類似する過去請求書データに対応する過去仕訳データに含まれる勘定科目と、請求書ごとに異なる日付又は金額とを組み合わせて使用することで、受領した請求書の内容に適した仕訳データを自動的に作成することができる。その結果、経理担当者の仕訳処理の業務負荷が大幅に軽減する。
【0029】
図2は、受領請求書データの例を示す図である。図2に示す請求書データは、例えばコンピュータにより作成された請求書の電子ファイルである。請求書データは、紙の請求書がスキャナで読み取られた電子ファイルであってもよい。電子ファイルは、例えば画像ファイルであるが、電子ファイルがテキストファイルであってもよい。
【0030】
請求書データには、例えば請求書の宛先、請求書番号、請求書の発行日、請求書の発行元を示す情報(請求書発行元の住所、会社名)、請求の対象期間に関する情報、請求の対象に関する情報(注文日、品名、数量、単価、税額、合計金額)、及び振込先口座番号が含まれている。
【0031】
データ処理装置1は、請求書データに含まれている文字列(例えば単語又は番号)を抽出して、データベースに登録する。データ処理装置1は、例えばOCR(Optical Character Recognition)により請求書データに含まれている複数の文字列を認識し、認識した複数の文字列を過去請求書データベースに登録する。
【0032】
図3は、過去請求書データベースのデータ構造の例を示す図である。過去請求書データベースにおいては、過去請求書データに含まれていた情報と仕訳データとが関連付けられている。図3に示す過去請求書データベースには、それぞれの過去請求書データ及び仕訳データに関連付けて、自動処理設定フラグが格納されている。請求書データに含まれている情報は、例えば、請求元名、請求書発行日、請求書番号、請求対象名(商品名又はサービス名)、個数、単価及び金額である。仕訳データには、勘定科目及び仕訳金額が含まれている。自動処理設定フラグは、データ処理装置1がユーザの操作によらず自動的に仕訳データを作成するか否かを示すデータである。請求書データに摘要欄に記載された文字列が含まれていてもよく、仕訳データに摘要欄に記載された文字列が含まれていてもよい。なお、本明細書におけるユーザは、例えば経理担当者である。
【0033】
なお、過去請求書データベースにおいては、過去請求書データの画像データと仕訳データとが関連付けられていてもよい。仕訳データは、課税対象か否かを示す情報又は税率等の他の文字列を含んでいてもよい。
【0034】
[データ処理装置1の構成]
図4は、データ処理装置1の構成を示すブロック図である。データ処理装置1は記憶部11及び制御部12を有する。制御部12は、データ取得部121、選択部122、作成部123、出力部124及び設定受付部125を有する。
【0035】
データ処理装置1は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部12を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0036】
記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを記憶する。一例として記憶部11は、例えば図3に示した過去請求書データベースを記憶しており、過去請求書データと過去仕訳データとを関連付けて記憶する。
【0037】
記憶部11は、図3に示した自動処理設定フラグのように、過去請求書データに関連付けて、作成部123が作成した受領仕訳データを表示装置に表示させることなく受領仕訳データを会計システム2に送信する自動処理モードに設定されたことを示す自動処理設定データを記憶してもよい。すなわち、記憶部11は、過去請求書データとの類似度が基準レベル以上の受領請求書データがデータ処理装置1に入力された場合に、データ処理装置1が自動的に受領仕訳データを作成するか否かを示す自動処理設定データを記憶する。表示装置は、例えば、ユーザが使用するコンピュータのディスプレイである。
【0038】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、記憶部11に記憶されている制御プログラムを実行することによりデータ取得部121、選択部122、作成部123、出力部124及び設定受付部125として機能する。
【0039】
データ取得部121は、請求書の電子データである受領請求書データを取得する。例えば、データ取得部121は、ユーザのコンピュータ又は外部のコンピュータから受領請求書データを取得する。
【0040】
選択部122は、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の過去請求書データである選択請求書データを選択する。受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列は、受領請求書データに含まれる金額以外の少なくとも一部の文字列、日付以外の少なくとも一部の文字列、又は金額及び日付の両方と異なる少なくとも一部の文字列である。受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列は、例えば、受領請求書データに含まれる請求元に関する情報、請求書番号、請求対象名又は個数である。
【0041】
選択部122は、例えば受領請求書データに含まれる請求元に関する情報、請求書番号、請求対象名、単価、個数又は金額に関する情報(以下、抽出データ)を抽出する。受領請求書データが、紙の請求書がスキャナで読み取られて作成された画像ファイルである場合、選択部122は、受領請求書データに含まれている文字をOCRで認識することにより、抽出データを抽出する。
【0042】
選択部122は、例えば抽出データに含まれる複数の文字列のうち金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、の類似度を計算する。選択部122が比較する対象の文字列は、発行元名、発行元住所、発行元連絡先、振込先口座番号、請求対象名又は個数のうちいずれか1以上の文字列である。選択部122が比較する対象の文字列として、請求対象の金額又は日付の一方が含まれていてもよい。
【0043】
選択部122は、例えば、比較する対象の全ての文字列に対する一致する文字列の割合が基準レベル以上の過去請求書データを選択する。基準レベルは、一例として、類似度が0から1の間の実数で表現される場合において、0.8の閾値に設定される。選択部122は、受領請求書データに含まれる文字列と過去請求書データに含まれる文字列とが一致する数の割合が閾値以上の過去請求書データを選択請求書データとして選択してもよい。
【0044】
なお、基準レベルは、数値に限定されるものではなく、選択部122は、比較する対象の文字列が同一である場合に、類似度が基準レベル以上であると判定してもよい。具体的には、選択部122は、受領請求書データに含まれている請求元を示す文字列が過去請求書データに含まれている場合に、類似度が基準レベル以上であると判定する。選択部122は、例えば、受領請求書データに含まれている請求元を示す文字列が過去請求書データに含まれている場合に、類似度が基準レベル以上であると判定する。選択部122は、受領請求書データに含まれている請求元を示す文字列及び請求対象を示す文字列と同一の文字列が過去請求書データに含まれている場合に、類似度が基準レベル以上であると判定してもよい。
【0045】
選択部122は、過去請求書データに含まれる文字列の単語ベクトルを変数として過去請求書データをクラスタリングすることで過去請求書データを分類した学習済みデータを生成してもよい。この場合、選択部122は、学習済みデータを用いて、受領請求書データが属するクラスを推論し、受領請求書データと同一のクラスに属する過去請求書データを選択請求書データとして選択してもよい。この場合、選択部122は、受領請求書データがクラスに属する尤度が閾値以上の場合に、類似度が基準レベル以上であると判定する。
【0046】
選択部122は、受領請求書データに含まれる請求対象を示す文字列と、過去請求書データに含まれる請求対象を示す文字列とを比較し、受領請求書データの請求対象と同一の請求対象に対応する過去請求書データの中から、選択請求書データを選択してもよい。例えば、選択部122は、受領請求書データ及び過去請求書データそれぞれの請求対象に対応する文字列のうち一致する文字の割合を数値化し、一致する文字の割合が閾値以上である場合に、受領請求書データと過去請求書データとが同一であると判定する。一例として、抽出データに含まれる請求対象項目名は「保守運用料」であり、過去請求書データに含まれる請求対象項目名は「保守運用費」である場合、選択部122は、両者の一致する文字の割合が0.8であると算出する。選択部122は、基準レベルを示す閾値が0.8に設定されている場合、保守運用料と保守運用費とが同一であると判定する。
【0047】
請求書データに複数の請求対象項目名が含まれる場合、選択部122は、複数の請求対象項目名に含まれる文字の一致数又は一致割合の加重平均を算出することで類似度を算出してもよい。選択部122は、例えば先頭から所定数(例えば5文字)の文字の重みを他の文字の重みよりも大きくして加重平均を算出する。選択部122は、請求対象項目名毎に異なる重みを乗算して加重平均を算出してもよい。選択部122は、例えば、金額が大きい請求対象項目名ほど重みを大きくする。選択部122がこのように動作することで、受領請求書データにおける主要な商品又はサービスと同一の商品又はサービスに対応する過去請求書データが選択されるので、受領請求書データの仕訳データの作成に適した過去請求書データが選択される確率が高まる。
【0048】
ところで、選択部122が類似度を計算した結果、基準レベル以上の類似度となる請求書データが複数存在する場合がある。この場合、選択部122は、複数の過去請求書データを選択請求書データとして選択してもよく、最も類似度が大きい過去請求書データを選択請求書データとして選択してもよい。
【0049】
また、1つの請求書データに含まれる複数の請求対象が、それぞれ異なる複数の仕訳データに関連付けられる場合もある。例えば、1つの受領請求書データの請求対象に「切手」及び「収入印紙」が含まれる場合である。この場合は、「切手」の勘定科目が「通信費」とされ、「収入印紙」の勘定科目が「租税公課」とされた仕訳データが作成されるべきである。この場合、選択部122は、受領請求書データの請求対象毎に過去請求書データとの類似度を算出する。選択部122が請求対象毎に類似度を算出することで、選択部122は、全ての請求対象が類似している過去請求書データがない場合であっても、一部の請求対象が類似している過去請求書データを選択することができる。
【0050】
ところで、同一の内容の請求対象であっても取引先ごとに仕訳ルールが異なる場合も存在する。そこで、選択部122は、受領請求書データに含まれる請求元を示す文字列と、過去請求書データに含まれる請求元を示す文字列とを比較し、請求元を示す文字列が一致する過去請求書データの中から、選択請求書データを選択してもよい。すなわち、選択部122は、抽出データに含まれる請求元名、請求元電話番号及び振込先口座番号のうち少なくとも1つと、過去請求書データに含まれる請求元名、請求元電話番号及び振込先口座番号のうち少なくとも1つと、を比較する。選択部122は、請求元名、請求元電話番号又及び振込先口座番号のうち少なくとも1つが一致する場合に類似度を算出する。
【0051】
また、一つの取引先の請求書であっても、フォーマットが異なる場合がある。例えば、多くの部門がある企業が発行する請求書の場合、請求元名が同一であっても、部門によってフォーマットが異なるという場合も想定される。そして、請求書を発行する部門ごとに、異なる仕訳処理が必要になる場合も想定される。そこで、選択部122は、受領請求書データに対応する請求元が過去に発行した複数の異なる形式の過去請求書データのうち、受領請求書データの形式に最も近い形式の過去請求書データを選択請求書データとして選択してもよい。
【0052】
例えば、受領請求書データ及び過去請求書データが画像データである場合に、選択部122は、受領請求書データ及び過去請求書データの枠線を画像認識することにより、請求書の形式を特定する。選択部122は、受領請求書データの形式と過去請求書データの形式との類似度を算出する。選択部122は、請求書形式の類似度が所定以上である過去請求書データを受領請求書データの形式に最も近い形式の過去請求書データであると判断する。選択部122は、受領請求書データの形式に最も近い形式の過去請求書データの中から選択請求書データを選択する。
【0053】
別の例として、選択部122は、請求書の機械学習により生成された学習済みモデルにより請求書の形式の類似度を特定してもよい。選択部122は、請求書に含まれている請求対象名、単価、個数及び金額等の要素の座標を変数として過去請求書の形式をクラスタリングすることにより請求書の形式を推論する学習済みモデルを作成してもよい。選択部122は、受領請求書における請求元会社名、請求対象名、単価、個数及び金額等の複数の要素を抽出し、抽出した複数の要素それぞれの座標を特定する。選択部122は、受領請求書データにおいて特定した要素名と座標とを関連付けて学習済みモデルに入力することで、受領請求書データに最も近い形式の過去請求書データを特定する。
【0054】
請求書のフォーマットが異なる場合であっても、フォーマットが異なる請求書データを選択していることをユーザが認識したうえで仕訳データが作成されればよい場合も存在する。そこで、選択部122は、フォーマットの異なる過去請求書データを選択した場合に、選択請求書と受領請求書のフォーマットが異なることを示すフラグを立てた選択請求書データを作成部123に出力してもよい。これにより、後述するように、作成部123が、作成した仕訳データを表示装置に表示させる際に、フォーマットが異なる過去請求書データの仕訳データを使用したことをユーザに通知することが可能になる。
【0055】
作成部123は、選択部122が選択した選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成する。すなわち、作成部123は、受領請求書データに含まれる金額又は日付に関する情報と、選択請求書データに含まれる勘定科目と、を組み合わせて受領仕訳データを作成する。作成部123は、例えば、受領請求書データ及び過去請求書データに関連付けられた過去仕訳データに共通に含まれる請求対象名と、過去仕訳データにおいて請求対象名に関連付けられた勘定科目と、受領請求書データにおいて請求対象名に関連付けられた金額又は日付とを含む受領仕訳データを作成する。
【0056】
作成部123は、一以上の選択請求書データを表示装置に表示させ、当該表示装置に表示させた一以上の選択請求書データからユーザにより選択された選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて受領仕訳データを作成してもよい。具体的には、作成部123は、選択請求書が選択された場合、図5に例示する選択請求書の決定画面を表示装置に表示する。
【0057】
図5は、選択請求書を決定するための画面の例を示す図である。作成部123は、図5Aに例示する画面に、受領請求書データと選択請求書データとを表示させる。図5Aの画面に配置された「次へ」又は「前へ」のアイコン画像は、選択請求書データが複数存在する場合に、他の選択請求書データを表示する切替操作を受け付けるための画像である。作成部123は、選択請求書データの切替操作を受け付けると他の選択請求書データを表示させる。決定ボタンが押されると、作成部123は、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、表示されている選択請求書データに関連付けられた勘定科目とを組み合わせて受領仕訳データを作成する。
【0058】
作成部123は、受領請求書データに含まれており、選択請求書データに含まれていない複数の文字列の少なくとも一部の文字列を摘要欄に含む受領仕訳データを作成してもよい。具体的には、作成部123は、選択請求書の摘要欄に時期又は段階を表す文字列が含まれるか否かを判定する。選択請求書の摘要欄に時期又は段階を表す文字列が含まれる場合、作成部123は、摘要欄の時期又は段階を表す文字列を、受領請求書に記載された時期や段階を表す文字列に置換して受領仕訳データを作成する。時期や段階を表す文字列とは例えば、「2021年分」、「6月分」、「ステップ3」、「フェーズ3」、「第3期」等である。
【0059】
例えば受領請求書の明細に「保守料(6月分)」と記載されており、かつ、選択請求書に関連付けられた摘要に「保守料(5月分)」と記載されている場合、作成部123は、時期を表す文字列が含まれていると判断し、「5月分」を「6月分」の文字列で置換する。作成部123は選択請求書の摘要と置換した文字列から作成した「保守料(6月分)」を受領仕訳データの摘要に入力し、受領仕訳データを作成する。作成部123がこのように構成されることで、摘要欄に受領請求書の請求対象に関する文言を自動的に反映することができ、ユーザに理解しやすい会計データを容易に作成することができる。
【0060】
ところで、選択請求書データに関連付けられた仕訳データが複数存在する場合がある。作成部123は、選択部122が選択した選択請求書データに対応する仕訳データが複数存在する場合、過去請求書データに対応する複数の仕訳データを表示装置に表示させ、当該表示装置に表示させた複数の仕訳データからユーザにより選択された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて受領仕訳データを作成してもよい。
【0061】
この場合、作成部123は、図5Bに例示するように、選択請求書を決定するための画面に、選択請求書に関連付けられた複数の仕訳データを表示させてもよい。ユーザは表示された仕訳データと関連付けられたラジオボタンを切り替えることで、選択する仕訳データを決定できる。決定ボタンが押されると、作成部123は、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、ラジオボタンにより選択された仕訳データに含まれる勘定科目とを組み合わせて受領仕訳データを作成する。
【0062】
また、受領請求書に記載された請求対象ごとに、適した仕訳データが異なるという場合もある。この場合、図5Cに例示するように、作成部123は、請求対象単位で仕訳データを決定するように構成された選択請求書を決定するための画面を表示する。図5Cに示す選択請求書を決定する画面では、決定対象となる受領請求書の明細データがハイライトされている。ユーザは画面操作により決定対象となる受領請求書の明細データを切り替えることができる。決定ボタンが押下されると、作成部123は、受領請求書の明細データごとに、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、ラジオボタンにより選択された仕訳データに含まれる勘定科目とを組み合わせて受領仕訳データを作成する。
【0063】
ところで、受領請求書データと類似する過去請求書データが存在しないため、選択部122が選択請求書データを選択しない場合がある。そこで、作成部123は、選択部122が選択請求書データを選択しない場合、選択請求書データを用いることなく、受領請求書データに含まれる文字列に基づいて作成した受領仕訳データを表示装置に表示させてもよい。具体的には、作成部123は選択部122が選択請求書データを選択しない場合、図6に例示する仕訳データ登録画面を表示装置に表示する。
【0064】
図6は仕訳データの登録画面の例を示す図である。図6に示す仕訳データの登録画面には、仕訳データを入力するパネルが表示される。作成部123は、仕訳データを入力するパネルにおける請求対象名及び金額を受領請求書データに基づいて表示し、摘要及び勘定科目をブランク状態で表示する。ユーザは、画面内に表示された請求書の内容を確認し、摘要及び勘定科目の表示箇所に適切な文字を入力し、登録ボタンを押す。作成部123は、登録ボタンが押されると、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、画面に入力された摘要及び勘定科目と、を含む受領仕訳データを作成する。
【0065】
作成部123がこのように構成されていることで、データ処理装置1は、類似する過去請求書データが存在しない場合であっても仕訳データを作成することができる。また、このようにして登録された受領仕訳データを作成部123が記憶部11に記憶させることで、作成部123は、登録した受領仕訳データに類似する将来の受領請求書データに対応する仕訳データを自動的に作成することが可能になる。
【0066】
作成部123は、選択請求書データに含まれている請求対象の金額又は個数と受領請求書データに含まれている請求対象の金額又は個数との差分が閾値以上である場合、警告情報を表示装置に表示させ、警告情報を表示装置に表示させた後にユーザによる所定の操作を受けたことを条件として受領仕訳データを会計システム2に送信してもよい。作成部123は、選択請求書データと受領請求書とデータと比較し、単価、数量及び金額のうちいずれか1つが所定の閾値以上乖離しているか否かを判定する。
【0067】
所定の閾値は、例えば、選択請求書データに含まれている単価に対する、選択請求書データに含まれている単価と受領請求書データに含まれている単価との差分の割合として許容される値である。所定の閾値はデータ処理装置1の管理者により設定されており、例えば10%である。
【0068】
単価、数量又は金額のうちいずれかが所定の閾値以上乖離している場合、作成部123は、単価、数量又は、金額又が過去の請求書に比べての乖離が大きいことを表示し、ユーザに注意を促す画面を表示装置に表示する。当該画面において、ユーザから承認操作を受け付けた場合、作成部123は、受領仕訳データを出力部124に出力する。当該画面において、ユーザから承認しないという操作を受け付けた場合、作成部123は、受領仕訳データを出力部124に出力せず、図6に示した仕訳データ登録画面を表示装置に表示させてもよい。なお、作成部123は、稟議書、発注書又は見積書等のように、受領した請求書に対応する他の書面に含まれる金額との差が所定の閾値以上である場合に警告情報を表示装置に表示させてもよい。
【0069】
ところで、ユーザが過去に確認した請求書と類似する請求書の仕訳処理においては、作成部123が作成した受領仕訳データを確認する操作を行うことはユーザにとって煩雑である。そこで、確認操作を省略するように設定されている状態で、選択部122が選択請求書データを選択した場合、作成部123は、受領請求書データに対応する受領仕訳データを表示装置に表示させないこととしてもよい。すなわち、作成部123は、設定受付部125が受け付けた設定の内容に基づいて、受領仕訳データを表示装置に表示させてから受領仕訳データを会計システム2に送信するか、作成部が作成した受領仕訳データを前記表示装置に表示させることなく前記受領仕訳データを会計システムに送信するかを決定してもよい。
【0070】
具体的には、作成部123は、選択請求書データに関連付けて記憶部11に自動処理設定データが記憶されている場合、選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データを用いて作成された受領仕訳データを、表示装置に表示させることなく会計システム2に送信してもよい。
【0071】
作成部123は、選択請求書が選択された場合、受領仕訳データを作成後、選択請求書に関連付けられた自動処理設定がTRUEであるか否かを判定する。図3に示す過去請求書データベースにおいて選択請求書に関連付けられた自動処理設定がTRUEである場合、作成部123は図5に示す選択請求書の決定画面を表示せずに受領仕訳データを出力部124に出力する。このように作成部123が構成されることで、データ処理装置1は、ユーザによる操作を削減し、請求書を効率よく処理することが可能になる。なお、選択請求書データが複数存在する場合、作成部123は、最も類似度が高い選択請求書データ又は最も日付が新しい選択請求書データを用いて受領仕訳データを作成する。
【0072】
また、自動処理モードの設定は、新たに仕訳データが作成された時点でユーザが設定できると便利である。そこで、作成部123は、作成した受領仕訳データを表示装置に表示させ、表示した受領仕訳データを自動処理モードで処理する対象にするための操作をユーザから受けたことに応じて、受領仕訳データに対応する受領請求書データに関連付けて自動処理設定データを記憶部11に記憶させてもよい。
【0073】
一例として、選択請求書の決定画面において決定ボタンが押された場合、作成部123は、決定した請求書を自動処理モードに設定するか否かの確認を促す画面を表示装置に表示する。ユーザから自動処理モードに設定する操作を受け付けた場合、作成部123は、受領仕訳データの自動処理設定フラグをTRUEに設定して出力部124へ受領仕訳データを出力する。作成部123がこのように構成されることで、ユーザが、請求書の処理業務の流れの中で容易に自動処理モードに設定することができる。
【0074】
作成部123は、受領請求書データの形式が選択請求書データの形式と異なっている場合、警告情報を表示装置に表示させ、警告情報を表示装置に表示させた後にユーザによる所定の操作を受けたことを条件として受領仕訳データを会計システム2に送信してもよい。具体的には、選択部122により選択請求書と受領請求書のフォーマットが異なることを示すフラグを設定された選択請求書が入力された場合、作成部123は、受領請求書と選択請求書のフォーマットが異なることを示す警告画面を表示装置に表示する。ユーザから選択請求書を決定する操作を受け付けた場合、受領仕訳データを出力部124に出力する。作成部123がこのように構成されることで、誤った受領仕訳データの作成を防止することができる。
【0075】
以上の説明において、作成部123が、受領請求書データと、受領請求書データに類似する過去請求書データに対応する仕訳データに基づいて、受領請求書データに対応する仕訳データを作成する場合を例示したが、作成部123は、仕訳データ以外のデータを作成してもよい。作成部123は、選択部122が選択した選択請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、受領請求書データに対応する補正請求書データを作成してもよい。
【0076】
具体的には、作成部123は、選択部122が選択した選択請求書データに含まれており、請求書ごとに変化しない情報(例えば請求元に関する情報)と、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて補正請求書データを作成する。作成部123は、作成した補正請求書データを表示装置に表示させ、仕訳データの入力を受け付ける。作成部123は、入力された仕訳データと、補正請求書データと、を組み合わせて受領仕訳データを作成する。
【0077】
出力部124は、データ取得部121が取得した受領請求書データと、作成部123が作成した受領仕訳データと、を関連付けて出力する。出力部124は、例えば、受領請求書データ及び受領仕訳データを会計システム2に送信したり、経理担当者のコンピュータに送信したり、プリンタに出力したりする。出力部124は、受領仕訳データを出力せず、補正請求書データを出力してもよい。出力部124は、補正請求書データ及び受領仕訳データを出力してもよい。
【0078】
設定受付部125は、作成部123が作成した受領仕訳データを表示装置に表示させてから受領仕訳データを会計システム2に送信するか、作成部123が作成した受領仕訳データを表示装置に表示させることなく受領仕訳データを会計システム2に送信するかの設定を受け付ける。設定受付部125は、自動処理モードに設定するか否かの確認を促す画面でユーザの操作を受け付ける。
【0079】
[データ処理装置1における処理の流れ]
図7は、データ処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、データ処理装置1が受領請求書データの入力を受け付けた時点から開始する。データ取得部121は、受領請求書データを取得する(S11)。選択部122は、受領請求書データから文字列を抽出する。
【0080】
選択部122は、請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較する(S12)。選択部122は、過去請求書データと受領請求書データとの類似度を算出し、類似度が基準レベル以上である過去請求書データが存在するか否かを判定する(S13)。類似度が基準レベル以上の過去請求書データが存在する場合(S13におけるYES)、S14に進む。類似度が基準レベル以上の過去請求書データが存在しない場合(S13におけるNO)、S17へ進む。
【0081】
類似度が基準レベル以上である場合、選択部122は、受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の過去請求書データを選択請求書データとして選択する(S14)。作成部123は、選択請求書データが自動処理設定されているか否かを判定する(S15)。選択請求書データが自動処理設定されている場合(S15におけるYES)、作成部123は、決定画面を表示せず、S18に進む。選択請求書データが自動処理設定されていない場合(S15におけるNO)、S16に進む。
【0082】
選択請求書データが自動処理設定されていない場合、作成部123は、選択請求書を決定するための画面を表示する(S16)。作成部123は、ユーザからの選択請求書の決定操作を受け付けると、S18に進む。
【0083】
類似度が基準レベル以上の過去請求書データが存在しない場合、作成部123は、仕訳データの登録画面を表示し(S17)、ユーザから仕訳データの登録操作を受け付ける。作成部123は、ユーザから仕訳データの登録操作がされると、S18に進む。
【0084】
作成部123は、入力された仕訳データ又は選択仕訳データに含まれる文字列と受領請求書データに含まれる文字列とを組み合わせて受領仕訳データを作成する(S18)。作成部123は、出力部124に受領仕訳データを出力する。
【0085】
選択部122は、次の処理対象の受領請求書データがあるか否かを判定する(S19)。処理対象の受領請求書データがある場合(S19におけるYES)、データ処理装置1はS12に処理を進める。処理対象の受領請求書データがない場合(S19におけるNO)は、データ処理装置1はS20に処理を進める。処理対象の受領請求書データがない場合、出力部124は会計システム2に受領仕訳データを出力する。会計システム2に受領仕訳データを出力すると、データ処理装置1は仕訳処理を終了する。
【0086】
以上説明したように、データ処理装置1においては、選択部122が、過去の複数の請求書の複数の過去請求書データに含まれる少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、を比較することにより、受領請求書データとの類似度が基準レベル以上の過去請求書データである選択請求書データを選択する。そして、作成部123が、選択部122が選択した選択請求書データに関連付けて記憶された仕訳データに含まれる金額又は日付以外の少なくとも一部の文字列と、受領請求書データに含まれる金額又は日付と、を組み合わせて、受領請求書データに対応する仕訳データである受領仕訳データを作成する。データ処理装置1がこのように構成されることで、受領した請求書データに適した仕訳処理が自動的に行われるので、仕訳処理の業務負荷を軽減させることができる。
【0087】
以上、実施の形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0088】
1 データ処理装置
11 記憶部
12 制御部
121 データ取得部
122 選択部
123 作成部
124 出力部
125 設定受付部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7