(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161828
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】屋根ユニットの輸送方法および屋根ユニット組
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20221014BHJP
E04B 1/348 20060101ALI20221014BHJP
E04B 7/02 20060101ALI20221014BHJP
E04B 7/20 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
E04G21/16
E04B1/348 X
E04B7/02 521Z
E04B7/20 521C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035898
(22)【出願日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2021066087
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗本 泰幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 滋康
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174AA04
2E174BA05
2E174CA23
2E174CA38
2E174DA18
2E174DA22
2E174EA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】同寸法の屋根ユニットを用いながら効率的な輸送を可能にする屋根ユニットの輸送方法を提供する。
【解決手段】第2の軒側屋根ユニット20は、両妻小壁12(c)、12(d)のうちの一方の妻小壁12(c)が無い状態にして、ユニット建物への設置姿勢に対して90度の向きで起立させる。同様に第1の軒側屋根ユニット10を設置姿勢に対して90度の向きで起立させる。さらに、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11の外側面を、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11の内側面に対向させる。また、第1の軒側屋根ユニット10の一方の妻小壁12(b)の外側面を、第2の軒側屋根ユニット20に取り付けられた妻小壁12(d)の内側面に対向させる。そして、第1の軒側屋根ユニット10を第2の軒側屋根ユニット20の内側に重ねて配置する。この状態で第1の軒側屋根ユニット10と第2の軒側屋根ユニット20とを同時に輸送する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根パネルの両側に妻小壁を備えた第1の屋根ユニットと第2の屋根ユニットとを輸送する屋根ユニットの輸送方法であって、
前記第2の屋根ユニットを、両妻小壁の一方が無い状態で建物への設置姿勢に対して90度の向きで起立させ、
前記第1の屋根ユニットを、前記設置姿勢に対して90度の向きで起立させ、かつ、前記第1の屋根ユニットの前記屋根パネルの外側面を、前記第2の屋根ユニットの前記屋根パネルの内側面に対向させるとともに、前記第1の屋根ユニットの一方の前記妻小壁の外側面を、前記第2の屋根ユニットに取り付けられた前記妻小壁の内側面に対向させる向きとして、前記第1の屋根ユニットを前記第2の屋根ユニットの内側に重ねて配置して輸送する屋根ユニットの輸送方法。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根ユニットの輸送方法であって、
前記第1の屋根ユニットと前記第2の屋根ユニットとは、前記建物において隣接して設置される屋根ユニットであり、
前記第2の屋根ユニットは、前記第1の屋根ユニットに隣接されるのとは反対側のみに前記妻小壁が設けられ、
前記第1の屋根ユニットは、前記屋根パネルの両側部に前記妻小壁を備え、さらに、前記第1の屋根ユニットにおいて、前記第2の屋根ユニットが隣接される側の前記妻小壁には、前記第2の屋根ユニットの前記屋根パネルに結合可能な第3の前記妻小壁が連結され、
前記第1の屋根ユニットと前記第2の屋根ユニットとを重ねて配置して輸送する際には、前記第1の屋根ユニットの前記妻小壁の外側面および前記第3の前記妻小壁の内側面が、前記第2の屋根ユニットの前記妻小壁の内側面に対向する向きとする屋根ユニットの輸送方法。
【請求項3】
屋根パネルの側部に妻小壁を備え、隣接して設置される第1の屋根ユニットおよび第2の屋根ユニットから成る屋根ユニット組であって、
前記第2の屋根ユニットは、前記第1の屋根ユニットに隣接されるのとは反対側のみに前記妻小壁が設けられ、
前記第1の屋根ユニットは、前記屋根パネルの両側部に前記妻小壁を備え、さらに、前記第1の屋根ユニットにおいて、前記第2の屋根ユニットが隣接される側の前記妻小壁には、前記第2の屋根ユニットの前記屋根パネルに結合可能な前記妻小壁が連結されている屋根ユニット組。
【請求項4】
請求項3に記載の屋根ユニット組であって、
前記第2の屋根ユニットの前記妻小壁が無い側に、前記第2の屋根ユニットを起立した状態で安定させる起立輸送治具が取付けられ、
前記起立輸送治具は、前記屋根パネルの側部から前記屋根パネルに沿って前記妻小壁とは反対の側へ延びる延長部と、前記妻小壁と平行な支持脚部とを有する屋根ユニット組。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の屋根ユニット組であって、
前記第2の屋根ユニットおよび前記第1の屋根ユニットは、輸送架台の上に、起立した状態で、前記第2の屋根ユニットの内側に前記第1の屋根ユニットを重ね合わせて搭載し、荷締ロープにより前記輸送架台に固定して一体化されている屋根ユニット組。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋根ユニットの輸送方法および屋根ユニット組に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根ユニットの輸送方法として、屋根ユニットを入れ子状に重ねて輸送する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の輸送方法は、屋根ユニットとして、第1の屋根ユニットと、第2の屋根ユニットとを用いる。第1の屋根ユニットは、妻小壁に挟まれる桁方向の長さを相対的に大きくしている。第2の屋根ユニットは、妻小壁に挟まれる桁方向の長さを相対的に小さくしている。そして、第1の屋根ユニットは、野縁パネルが本来取り付けられている部分を開放して、野縁パネルを、屋根パネルの裏面側に仮止めしている。この開放部分から第2の屋根ユニットを入れ子状に配置して輸送するようにしている。
【0004】
したがって、各屋根ユニットをそれぞれ別々にして単独で輸送する場合と比較して、省スペースで安定して輸送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の輸送方法では、屋根ユニットとして桁方向の長さが異なる寸法のものを製造する必要があった。そのため、同一寸法の屋根ユニットを製造する場合と比較して、部品点数が多くなり非効率的であった。
【0007】
本開示は、上述の課題に着目して成されたもので、同一寸法の屋根ユニットを用いながらも、効率的な輸送を可能にする屋根ユニットの輸送方法および屋根ユニット組を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の屋根ユニットの輸送方法は、屋根パネルの両側に妻小壁を備えた第1の屋根ユニットと第2の屋根ユニットとを輸送する屋根ユニットの輸送方法である。そして、前記第2の屋根ユニットは、両妻小壁の一方が無い状態で建物への設置姿勢に対して90度の向きで起立させる。また、前記第1の屋根ユニットを、前記設置姿勢に対して90度の向きで起立させる。さらに、前記第1の屋根ユニットの前記屋根パネルの外側面を、前記第2の屋根ユニットの前記屋根パネルの内側面に対向させるとともに、前記第1の屋根ユニットの一方の前記妻小壁の外側面を、前記第2の屋根ユニットに取り付けられた前記妻小壁の内側面に対向させる向きとする。そして、前記第1の屋根ユニットを前記第2の屋根ユニットの内側に重ねて配置して輸送する。
また、本開示の屋根ユニット組は、屋根パネルの側部に妻小壁を備え、隣接して設置される第1の屋根ユニットおよび第2の屋根ユニットから成る。前記第2の屋根ユニットは、前記第1の屋根ユニットに隣接されるのとは反対側のみに前記妻小壁が設けられている。前記第1の屋根ユニットは、前記屋根パネルの両側部に前記妻小壁を備え、さらに、前記第1の屋根ユニットにおいて、前記第2の屋根ユニットが隣接される側の前記妻小壁には、前記第2の屋根ユニットの前記屋根パネルに結合可能な前記妻小壁が連結されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の屋根ユニットの輸送方法では、上記構成により、外側に配置する第2の屋根ユニットは、両妻小壁のうちの一方が無い状態で輸送するため、その内側に配置する第1の屋根ユニットの妻小壁と第2の屋根ユニットの妻小壁とは干渉しない。よって、例えば、内側に配置する屋根ユニットの桁方向の寸法を外側の屋根ユニットの妻小壁と干渉しない寸法に抑える必要が無くなるので、第1の屋根ユニットと第2の屋根ユニットの桁方向寸法の共通化を図ることができる。また、輸送時には、第1の屋根ユニットと第2の屋根ユニットとを起立状態にするとともに、内外に重ねて配置するため、安定し、かつ、省スペースで輸送できる。
したがって、本開示の屋根ユニットの輸送方法では、屋根ユニットの桁方向の寸法を同一の寸法にして、部品点数を抑えて製造効率の向上を図ることができるとともに、輸送時の省スペース化を図り輸送効率の向上を図ることができる。
また、本開示の屋根ユニット組では、上記構成により、第2の屋根ユニットから無くした妻小壁は、第1の屋根ユニットに連結して第1の屋根ユニットとともに輸送できる。そして、建物への設置時には、第1の屋根ユニットを設置した後、第2の屋根ユニットを設置する際に、屋根パネルを、第1の屋根ユニットに連結された第3の妻小壁に結合させれば、第2の屋根ユニットは、両妻小壁を有した状態になる。
このように、輸送時に、第2の屋根ユニットから無くした妻小壁は、第1の屋根ユニットとともに輸送し、かつ、第1の屋根ユニットとともに建物に設置するため、例えば、独立して輸送したり、建物に設置したりする場合と比較して、効率的な輸送および設置ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1の屋根ユニットの輸送方法を適用する屋根ユニットを用いて構築される屋根およびユニット建物を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1の屋根ユニット組を示す斜視図である。
【
図3A】第2の屋根ユニットを建物ユニットへ設置する際に、屋根ユニットに固定された妻小壁に屋根パネルを結合する前の状態を示す説明図である。
【
図3B】第2の屋根ユニットを建物ユニットへ設置した後の状態の概略を示す断面図である。
【
図4A】建物本体の上で隣接して設置された屋根ユニットの屋根パネルを示す平面図である。
【
図4B】
図4AのS4B-S4B線に沿ったジョイントプレートの位置の断面図である。
【
図5】
図3AのK5で示したボルト支持金具の部分の拡大図である。または、
図6を矢印Y6の方向から見た側面図である。
【
図6】
図5のボルト支持金具の位置の断面図である。または、
図3BのS4A-S4A線に沿った位置の断面図である。
【
図7】実施の形態2の屋根ユニットを示す図であり、
図4Bと同様の断面図である。
【
図8】実施の形態3にかかる第2の屋根ユニットに起立輸送治具を取付けて起立させた状態を示す斜視図である。
【
図9】起立輸送治具を用いて第2の屋根ユニットと第1の屋根ユニットとを重ね合わせて運搬車両で輸送する状態を示す図である。
【
図10】起立輸送治具を取付けて起立させた第2の屋根ユニットを回転して設置姿勢にする様子を示す斜視図である。
【
図11】輸送架台の上に第2の屋根ユニットを設置して荷締ロープで固定した状態を示す斜視図である。
【
図12】輸送架台の上の第2の屋根ユニットの内側に第1の屋根ユニットを設置して荷締ロープで固定した状態を示す斜視図である。
【
図15】輸送架台の上に固定した第2の屋根ユニットと第1の屋根ユニットとを運搬車両で輸送する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(実施の形態1)
【0013】
図1は、ユニット建物UBに設置される屋根RFの説明図である。
図2は、本実施の形態1にかかる屋根ユニットの輸送方法を適用するために、第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20を、屋根ユニット組にする様子を示す斜視図である。まず、
図1を用いて、ユニット建物UBおよび屋根RFについて説明する。
【0014】
ユニット建物UBは、複数の建物ユニットBUを組み合わせて構築した建物本体の上に、屋根RFを設置して構築される。屋根RFの全部または一部には、
図2の第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20が用いられる。例えば、第2の軒側屋根ユニット20は、
図3A、
図3Bのようにして建物本体の上に設置される。
図4A、
図4Bのように建物本体の上に並べられる。
【0015】
(屋根構造および建物の説明)
【0016】
図1に示すように、建物ユニットBUは、直方体状をしている。例えば、鉄骨系の建物ユニットBUの場合、建物ユニットBUは、内部に柱101と、短い天井梁102(天井妻梁)および長い天井桁梁102Lと、不図示の短い床梁(床妻梁)および長い床桁梁とからなる、ボックスラーメン構造の骨組み(ユニットフレーム)を備える。
【0017】
柱101は、建物ユニットBUの四隅に4本立設されている。天井梁102および天井桁梁102Lは、それぞれ2本ずつ平行に設けられて、柱101の上端どうしを矩形状に連結している。同様に、不図示の床梁(床妻梁)および床桁梁は、それぞれ2本ずつ平行に設けられて、柱101の下端どうしを矩形状に連結している。なお、建物ユニットBUでは、不図示の床梁(床妻梁)と天井梁102(天井妻梁)との間、および、不図示の床桁梁と天井桁梁102Lとの間には、それぞれ間柱103が複数本平行に立設されている(
図3A)。なお、妻方向は建物ユニットBUの短辺方向、桁方向は建物ユニットBUの長辺方向である。
【0018】
屋根RFは、軒先側部分を形成する第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20と、棟部分を形成する複数の棟側屋根ユニット30と、を結合させて構築されている。第1の軒側屋根ユニット10、第2の軒側屋根ユニット20、棟側屋根ユニット30は、各建物ユニットBUと一対一に対応させて設けられる。そして、例えば、第1の軒側屋根ユニット10、第2の軒側屋根ユニット20は、最上階の対応する各建物ユニットBUの上にそれぞれ設置されて、桁方向に隣接状態で並べられる。
【0019】
ここで、棟側屋根ユニット30の構造は、本開示の要旨を含まないため、説明を省略する。以下、屋根RFの軒先側部分を形成する第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20について説明する。
【0020】
第1の軒側屋根ユニット10は、本開示の第1の屋根ユニットであり、第2の軒側屋根ユニット20は、本開示の第2の屋根ユニットである。本開示では、第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20は、ほぼ同じ大きさおよびほぼ同じ形状とされている。
【0021】
なお、両軒側屋根ユニット10、20の構造は、一部を除き共通するため、共通する構成には、共通する符号を付すことで、説明を省略する。また、この実施の形態の輸送方法および屋根ユニット組は、主に、ほぼ同じ大きさおよびほぼ同じ形状の軒側屋根ユニット10、20に対して適用するものであるが、異なる大きさの場合についても適用が可能である。
【0022】
(第1の屋根ユニットの説明)
軒側屋根ユニット10、20は、屋根パネル11と、屋根パネル11を建物ユニットBUの上に支持する一対の妻小壁12とを有する。一対の妻小壁12は、建物ユニットBUの桁方向に、建物ユニットBUの側面(桁面)の長さとほぼ同じ間隔を有してほぼ平行に設置される。各妻小壁12は、建物ユニットBUの妻方向へ、建物ユニットBUの妻側の側面(妻面)とほぼ同じ長さで延びる。各妻小壁12は、建物ユニットBUの妻面の上にほぼ面一の状態で設置される。
【0023】
そして、第1の軒側屋根ユニット10は、
図2に示すように、屋根パネル11と、屋根パネル11の裏面側における、妻側の部分に桁方向に離して固定される三角形状の一対の妻小壁12(a)、12(b)とを備える。
【0024】
さらに、妻小壁12(b)には、第2の軒側屋根ユニット20のための妻小壁12(c)が取付けられる。妻小壁12(c)は、工場で第1の軒側屋根ユニット10に取付けられ、建築現場でも軒側屋根ユニット10に取付けられた状態のまま、建物本体の上に設置される。第2の軒側屋根ユニット20には、後述するように、妻小壁12(d)のみが取付けられる。
【0025】
これら妻小壁12(a)、12(b)、12(c)、12(d)は、基本構造は同様であるが、配置、目的、機能の違いにより、いずれかであることを特定したい場合に、符号12の末尾に(a)~(d)を付与して区別している。なお、以下の妻小壁12(a)、12(b)、12(c)、12(d)の説明において、これら配置、目的、機能の違いに関係の無い、共通の構成などの説明の際には、末尾の(a)~(d)の付与は省略する。
【0026】
<屋根パネルの説明>
屋根パネル11は、平面視矩形状をしたパネルであり、屋根RFの傾斜に沿って斜めに設置される。屋根パネル11は、建物ユニットBUに対して、屋外側へ張出す軒などの張出部分を形成するために、建物ユニットBUの平面形状よりも大きな面に形成されている。図では、屋根パネル11は、軒先側(水下側)の長辺と、屋外側の短辺の部分が、張出部分となることで、建物ユニットBUの平面形状よりも大きくなっている。妻小壁12は、張出部分を有する屋根パネル11に対し、張出部分にはならない棟寄りで、室内寄りの位置に設置される。
【0027】
屋根パネル11は、
図1に示す枠組構造部111を備えている。枠組構造部111に、野地板112(
図3B参照)を被せることでパネルになる。野地板112は、設置姿勢のときに枠組構造部111の上側となる面(上面)に取付けられる。なお、屋根パネル11全体として、設置姿勢のときに野地板112が取付けられた側の面を、起立状態における外側面(上面)とし、設置姿勢のときに野地板112の無い側の面を、起立状態における内側面(下面)とする。
【0028】
枠組構造部111は、外周が四角枠状をしており、長さがほぼ等しい平行な一対の桁トラス111a、111aと、長さがほぼ等しい平行な一対の側垂木111b、111bとを備えている。一対の桁トラス111a、111aと、一対の側垂木111b、111bとによって、四角枠状の外周が形成される。一対の桁トラス111a、111aは、板面が、設置姿勢のときに、棟側は上下方向に向き、軒先側は屋根RFの面と垂直な方向に向くように、非平行な向きに設置される。
【0029】
そして、一対の桁トラス111a、111aの間には、複数の垂木111cが互いに間隔を有して平行に配設され、垂木111cの端部が一対の桁トラス111a、111aにそれぞれ結合固定されている。また、枠組構造部111の一方(屋外側)の妻側の側垂木111bと、隣接する垂木111cとの間には、複数の横材111dが間隔を有して平行に配設され、横材111dの端部が妻側の側垂木111bと、隣接する垂木111cとにそれぞれ結合固定されている。
【0030】
また、複数の横材111dにおいて、最も軒先側に配置されたものと、軒先側の桁トラス111aとの間には、垂木111cと平行な短垂木111eが架け渡されている。この短垂木111eは、棟に沿う方向(桁方向)に対して、妻小壁12(a)と同位置に配置されている。この短垂木111eの位置は、建物ユニットBUの屋外側の妻面とほぼ同位置となっている。
【0031】
そして、短垂木111eと、一方(遠い側)の側垂木111bとの間には、桁構造材111fが桁方向に架け渡されている。この桁構造材111fは、
図3Bに示すように、吊り金具111gによって、短垂木111eおよび側垂木111bから吊り下がった状態で固定されている。この桁構造材111fは、後述する小壁下枠121とほぼ同じ高さであって、小壁下枠121の軒先側の端部に当接、あるいは近接される位置となっている。また、この桁構造材111fの位置は、また、ユニット建物UBの屋外側に向いた桁側の側面(桁面)とほぼ同位置となっている。なお、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11は、上記した第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11を桁方向に反転した構造となっている。
【0032】
<妻小壁の説明>
既に上記したように、
図2に示すように(併せて
図1も参照)、第1の軒側屋根ユニット10には、3つの妻小壁12(a)、12(b)、12(c)が備えられている。そして、第2の軒側屋根ユニット20は、妻小壁12(d)を1つのみ備えたものになっている。
【0033】
ここで、妻小壁12(a)、12(b)は、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11を建物本体の対応する最上階の建物ユニットBUの上に支持するためのものである。妻小壁12(c)、12(d)は、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11を建物本体の対応する別の最上階の建物ユニットBUの上に支持するためのものである。第1の軒側屋根ユニット10を設置する建物ユニットBUと、第2の軒側屋根ユニット20を設置する建物ユニットBUとは、桁方向に隣接する。
【0034】
なお、妻小壁12(a)、12(b)において、相互に対向する面を内側面とし、その反対側を外側面とする。また、妻小壁12(c)、12(d)も、同様に、建物本体へ設置した時に相互に対向する面を内側面とし、その反対側を外側面とする。そして、第1の軒側屋根ユニット10の妻小壁12(b)と、第2の軒側屋根ユニット20の妻小壁12(c)とは、互いに近接した状態で外側面どうしが対向される。また、第1の軒側屋根ユニット10の妻小壁12(a)と、第2の軒側屋根ユニット20の妻小壁12(d)とは、最も離れた位置に設置される。
【0035】
まず、妻小壁12に共通の構造について説明する。
妻小壁12は、外形が略直角三角形状をしており、小壁下枠121と、小壁縦枠122と、小壁上枠123と、を備える。小壁下枠121と、小壁縦枠122と、小壁上枠123とによって、略直角三角形状の外枠が形成される。
【0036】
小壁縦材124は、側方(桁に沿う方向)から見て略直角三角形状をした外枠における縦の辺となる。小壁下枠121は、略直角三角形状の外枠のほぼ水平な下辺となって、建物ユニットBUの上に接する。小壁下枠121は、建物ユニットBUの妻面に沿って妻方向へ延びる。小壁上枠123は、略直角三角形状の外枠の斜辺であり、屋根RFの傾きに沿って傾斜し、屋根パネル11に下から接する。小壁上枠123は、屋根パネル11の短垂木111eまたは側垂木111bに沿って妻方向へ延びる。そして、小壁縦枠122は、小壁下枠121と小壁上枠123との棟側の端部間の位置に、直立するように設置されて、その上下端部が、小壁下枠121と小壁上枠123とに結合されている。
【0037】
外枠の内側には、小壁縦枠122と平行な、長さの異なる複数の小壁縦材124が互いに間隔を有して平行に取付けられている。小壁縦材124は、例えば、建物ユニットBUの間柱103と上下に連続する位置に設置される。
【0038】
第1の軒側屋根ユニット10において、建物ユニットBUの屋外側の妻面の位置に配置される妻小壁12(a)は、最も屋外側に位置する一方の側垂木111bよりも室内側となる短垂木111eと同じ位置に配置されて、屋根パネル11(の横材111dや短垂木111e)に固定されている。
【0039】
一方、建物ユニットBUの室内側(桁方向の中央側)に配置される妻小壁12(b)は、
図4B(または
図6)に示すように、屋根パネル11の他方(屋内側)の側垂木111bに、釘N1(丸釘やスクリュー釘)により下側から上へ向けて直接当接固定されている。
【0040】
さらに、建物ユニットBUの屋外側の妻面から遠い側に配置される妻小壁12(b)には、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11を支持するための妻小壁12(c)が、外側面どうしを対向させた状態で連結されて一体化されている。この連結は、
図4Aの平面図、または
図4Bの断面図に示す金属製板状のジョイントプレート13により成されている。
【0041】
すなわち、建物ユニットBUの屋外側の妻面から遠い側(室内側)に配置される妻小壁12(b)と、妻小壁12(c)との小壁上枠123の間には、妻方向に沿って複数(本実施の形態1では2個)のジョイントプレート13が介在されて釘N2により下側から上へ向けて固定されている。これにより、妻小壁12(b)と妻小壁12(c)とは、間隔を空けて平行に固定されている。そして、この妻小壁12(c)は、軒側屋根ユニット10を建物ユニットBUの上に設置した際に、下側の建物ユニットBUの天井梁102の上に重なるように配置されている。なお、ジョイントプレート13の上面には、隣接する小壁上枠123の間の位置に、上記間隔を部分的にまたは全体的に埋めるように、ふかし材14が設けられている。
【0042】
また、妻小壁12(c)を構成する小壁上枠123については、さらに、最も棟側と軒先側に近い2本の小壁縦材124の近傍に、
図5、
図6に示す連結用ボルト125がそれぞれ設けられている。この連結用ボルト125は、上端部が小壁上枠123から上方に突出した状態で、下端側をボルト支持金具126(
図3B)によって小壁上枠123に支持固定されている。
【0043】
ボルト支持金具126は、妻小壁12(c)の小壁縦材124と小壁上枠123とで形成される角部に取り付けられるコーナー金具である。ボルト支持金具126は、2本の連結用ボルト125の位置に合わせて、最も棟側と軒先側に近い2本の小壁縦材124と小壁上枠123がなす角部の位置に、複数個、例えば、合わせて2個取付けられている。
【0044】
ボルト支持金具126は、
図5の部分拡大側面図に示すように、小壁垂木当接片126aと上枠当接片126bと補強板126cとを備えている。ボルト支持金具126は、
図6の断面図に示すように、小壁垂木当接片126aおよび上枠当接片126bの両側に一対の補強板126cを有するU字断面の部材とされる。
【0045】
小壁垂木当接片126aは、小壁縦材124と同じ幅寸法を有しており、小壁縦材124の側面に当接した状態で、別のボルト127aおよびナット127bにより、妻方向に向けて横向きに締結固定されている。
【0046】
上枠当接片126bは、小壁上枠123と同じ幅寸法を有しており、小壁上枠123の下面に当接される。上枠当接片126bは、小壁上枠123を面直方向に貫通する連結用ボルト125の下端部を、座板やナットなどを介して係止保持する。小壁垂木当接片126aと上枠当接片126bとは、間に屈曲部分を有して連続される。
【0047】
補強板126cは、小壁垂木当接片126a両側縁と上枠当接片126bの両側縁との間に、面直状態で一体に設けられている。補強板126cは、小壁垂木当接片126aと上枠当接片126bとを連結して補強する。一対の補強板126cは、小壁上枠123および小壁縦材124の両側面とほぼ面一に設置される。
【0048】
さらに、
図3Aに示すように、妻小壁12(c)を構成する小壁上枠123には、軒先側端部の上側に、滑り止め木桟128が設けられている。
【0049】
(第2の屋根ユニットの説明)
次に、第2の軒側屋根ユニット20について説明する。
【0050】
第2の軒側屋根ユニット20は、
図1、
図2に示すように、屋根パネル11と妻小壁12(d)とを備える。妻小壁12(d)は、第1の軒側屋根ユニット10の妻小壁12(a)と同様に、棟に沿う方向(桁方向)に対し建物ユニットBUの屋外側の妻面よりも内側の短垂木111eと同じ位置に配置されて屋根パネル11(の横材111dや短垂木111e)に固定されている。
【0051】
屋根パネル11は、上記したように、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11を桁方向に反転した構成となっている以外は、ほぼ同様の構造を有している。そして、第2の軒側屋根ユニット20において建物ユニットBUの屋外側の妻面から遠い側(室内側)の側垂木111bに、妻小壁12(c)を備えておらず、代わりに、建築現場で妻小壁12(c)を結合するための構造を備えている点が、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11と相違する。
【0052】
この妻小壁12(c)と結合するための構造として、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11は、
図3Aに示すように、建物ユニットBUの屋外側の妻面から遠い側の側垂木111bの下端に、頭つなぎ材111hが固定されている。この頭つなぎ材111hは、側垂木111bの下端部に沿って上方に凹状に形成された切欠部111j内に、下部が面一となるように配置されている。切欠部111jは、側垂木111bの棟側から、小壁上枠123とほぼ同じ長さとなる範囲に、頭つなぎ材111hの高さとほぼ同じ深さに形成されている。
図4Bまたは
図6に示すように、頭つなぎ材111hは、側垂木111bに、釘N3によって下から上に向けて固定される。
【0053】
また、頭つなぎ材111hは、全長を切欠部111jの全長よりも短い寸法に形成することで、側垂木111bの下端側の切欠部111j内に、滑り止め木桟128を収容可能な寸法の凹部111kを確保形成している。そして、
図4Bまた
図6に示すように、頭つなぎ材111hは、板面を横向きにして配置することで、板面を縦向きにして配置された側垂木111bよりも幅広に形成されて、側垂木111bよりも横方向(内側面の側)に突出されている。頭つなぎ材111hを、小壁上枠123とほぼ同じ幅にして上下に重ね合わせることで、屋根パネル11は、妻小壁12(c)により広い面で接して安定支持されるとともに、連結用ボルト125を通して、連結するのに適した面が確保形成される。
【0054】
さらに、頭つなぎ材111hにおいて、小壁上枠123の連結用ボルト125と対応する位置には、上面に座金111mが設けられている。小壁上枠123における、座金111mの下側の部分には、連結用ボルト125の上端部を通す不図示の貫通穴が座金111mの穴と連通するように設けられている。また、
図5に示すように、側垂木111bの下部の切欠部111j内の位置には、座金111mが設けられた位置の上側に、締結作業用の切込部111nが部分的に形成されている。切込部111nは、側垂木111bの両面間を横方向に貫通するように形成される。
【0055】
また、
図4Aに示すように、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11と、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11とが対向する近接部分には、
図4Bまた
図6に示すように、野地板112の縁部および側垂木111bの上部の外側面間の位置に、傾斜したふかし材113が、野地板112の上面と面一に取り付けられている。したがって、両軒側屋根ユニット10,20の設置の際には、ジョイントプレート13により生じる両屋根パネル11,11の間の隙間部分が、ふかし材113,113で上から覆われる。これにより、野地板112を屋根ふき材で覆う際に、野地板112,112の間の部分も屋根ふき材をふかし材113,113によって支持できる。また、ふかし材113,113は、互いに当接しない幅とされるが、ふかし材113,113の間に形成される僅かな隙間には、必要に応じて、
図6に示すように、スペーサSを充填して隙間を塞いでもよい。
【0056】
111n
【0057】
(実施の形態1の作用)
次に、実施の形態1の作用として、屋根ユニットの輸送方法および設置方法を順に説明する。
【0058】
(屋根ユニットの輸送方法)
工場から建築現場への輸送時には、第1の軒側屋根ユニット10と第2の軒側屋根ユニット20とを、1つの組として同時に輸送する。この場合、
図2に示すように、両軒側屋根ユニット10,20は、小壁縦枠122および棟側の桁トラス111aを下にして配置することで、建物本体への設置姿勢に対し90度回転した向きに起立させる(起立状態または、倒立状態)。小壁縦枠122および棟側の桁トラス111aは、起立状態の両軒側屋根ユニット10,20の接地部分となる。接地部分は、下側に位置して地面に接する部分である。
【0059】
そして、第2の軒側屋根ユニット20と第1の軒側屋根ユニット10とを、第2の軒側屋根ユニット20の内側に第1の軒側屋根ユニット10が入るように重ね合わせる。
【0060】
具体的には、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11の内側面と、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11の外側面とを対向させる。また、妻小壁12(b)の外側面、または、妻小壁12(b)の外側面に取付けた妻小壁12(c)の内側面を、妻小壁12(d)の内側面と対向させる。そして、このような向きに配置した第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11に、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11を当接あるいは近接させ、妻小壁12(c)を妻小壁12(d)に当接あるいは近接させることで、両軒側屋根ユニット10,20を重ね合わせる。これにより、第2の軒側屋根ユニット20の内側に第1の軒側屋根ユニット10が収容されて、屋根ユニット組となる。
【0061】
このような屋根ユニット組を作ることにより、両軒側屋根ユニット10,20を、分けてそれぞれ別々に輸送する場合よりも、数多くの両軒側屋根ユニット10,20を重ねて少ない床面積にて積載できる。また、両軒側屋根ユニット10,20を起立状態にして、互いに直交する小壁縦枠122と棟側の桁トラス111aとを床に当接させることで、安定した姿勢で運搬することができる。
【0062】
特に、第1の軒側屋根ユニット10は、複数の小壁縦枠122、122と棟側の桁トラス111aとがコの字の接地部分を形成するため、より安定して起立させることができる。これに対し、第2の軒側屋根ユニット20は、1つの小壁縦枠122と棟側の桁トラス111aとで接地部分がL字になる。しかし、第2の軒側屋根ユニット20も、安定した第1の軒側屋根ユニット10に近接あるいは当接して、第1の軒側屋根ユニット10にて支えられるため、重ね合わせることで第1の軒側屋根ユニット10と同等の安定度を得ることができる。よって、両軒側屋根ユニット10,20を、効率的かつ安定的に輸送することができる。
【0063】
(軒側屋根ユニットの設置方法)
建築現場でユニット建物UBを建築する場合、まず、敷地に複数の建物ユニットBUを設置して建物本体を構築する。そして、建物本体の最上階に位置する対応する各建物ユニットBUの上に各屋根ユニット10,20,30をそれぞれ設置する。
【0064】
ここで、両軒側屋根ユニット10,20を設置する場合、妻小壁12(c)を取付けた第1の軒側屋根ユニット10を先に設置する。
【0065】
この場合、第1の軒側屋根ユニット10を輸送時の起立状態から設置姿勢にして、妻小壁12(a)、12(b)の小壁下枠121および桁構造材111fを、建物ユニットBUの天井梁102および天井桁梁102Lに固定する。さらに、第1の軒側屋根ユニット10の妻小壁12(b)に連結された妻小壁12(c)の小壁下枠121を、
図3Aに示すように、ジョイントボルト129,129を用いて隣接する建物ユニットBUの天井梁102に締結固定する。なお、妻小壁12(a)、12(b)の小壁下枠121の天井梁102への固定についても、図示は省略するが、同様にジョイントボルト129,129の締結により行う。
【0066】
次に、第2の軒側屋根ユニット20を、隣接する建物ユニットBUの上に設置する。その際、妻小壁12(d)の小壁下枠121および桁構造材111fは、建物ユニットBUの天井梁102に同様にジョイントボルト129,129で固定するが、屋根パネル11の建物ユニットBUの屋外側の妻面から遠い側の端縁部は、設置済みの妻小壁12(c)の小壁上枠123に連結用ボルト125で連結固定する。
【0067】
この場合、
図3A、
図3Bの順に示すように、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11の側垂木111bの下端に設けられた頭つなぎ材111hを、妻小壁12(c)の小壁上枠123に対し、上方から重ねる。また、このとき、小壁上枠123に取り付けられた滑り止め木桟128が、側垂木111bに形成された凹部111kに嵌るように配置する。これにより、側垂木111bが小壁上枠123に沿って落下するのが規制されて、小壁上枠123の上に重なった状態に係止状態で安定して載置保持される。
【0068】
次に、
図6に示すように、小壁上枠123の下方から起立させた連結用ボルト125の小壁上枠123から上方へ突出する上端部を、頭つなぎ材111hおよび座金111mに挿通させて上からナットを取付けることで、妻小壁12(c)に屋根パネル11を締結固定する。このようにして、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11と妻小壁12(c)とを連結する。第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11と妻小壁12(c)とは、建築現場にてナットの取付けのみで容易に連結固定される。
【0069】
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の屋根ユニットの輸送方法および屋根ユニット組の効果を列挙する。
【0070】
(1)実施の形態1の屋根ユニットの輸送方法は、屋根パネル11の両側に妻小壁12(a)、12(b)を備えた第1の軒側屋根ユニット10と、第2の軒側屋根ユニット20とを輸送する屋根ユニットの輸送方法である。第2の軒側屋根ユニット20は、両妻小壁12(c)、12(d)の一方の妻小壁12(c)が無い状態でユニット建物UBへの設置姿勢に対して90度の向きで起立させる。そして、第1の軒側屋根ユニット10を、設置姿勢に対して90度の向きで起立させる。さらに、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11の外側面を、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11の内側面に対向させるとともに、第1の軒側屋根ユニット10の一方の妻小壁12(b)の外側面を、第2の軒側屋根ユニット20に取り付けられた妻小壁12(d)の内側面に対向させる向きとする。そして、第1の軒側屋根ユニット10を第2の軒側屋根ユニット20の内側に重ねて配置して輸送する。
【0071】
このように、外側に配置する第2の軒側屋根ユニット20は、一方の妻小壁12(c)が無い状態になっているため、その内側に配置する第1の軒側屋根ユニット10は、第2の軒側屋根ユニット20の妻小壁12(c)と干渉しない。よって、従来のように、内側に配置する屋根ユニットの桁方向の寸法を外側の屋根ユニットの妻小壁と干渉しない寸法に抑える必要が無くなり、第1の軒側屋根ユニット10と第2の軒側屋根ユニット20との桁方向寸法を共通化できる。そして、両軒側屋根ユニット10,20を設置する建物ユニットBUも桁方向寸法を共通化できる。よって、両軒側屋根ユニット10,20の桁方向寸法を異ならせる場合よりも部品点数を抑えることができる。
【0072】
また、輸送時には、第1の軒側屋根ユニット10と第2の軒側屋根ユニット20とを設置姿勢に対して90度の向きの起立状態にするとともに、設置姿勢での上下方向に重ね合わせて配置するため、安定し、かつ、省スペースで輸送できる。
【0073】
したがって、両軒側屋根ユニット10,20および建物ユニットBUの寸法共通化により部品点数を抑えて製造効率の向上を図ることができるとともに、輸送時の省スペース化を図り輸送効率の向上を図ることができる。
【0074】
(2)実施の形態1の屋根ユニットの輸送方法では、第1の軒側屋根ユニット10と第2の軒側屋根ユニット20とは、ユニット建物UBの建物本体に対し隣接して配置される。第2の軒側屋根ユニット20は、第1の軒側屋根ユニット10に隣接される側とは反対側のみに妻小壁12(d)が設けられている。第1の軒側屋根ユニット10は、屋根パネル11の両側部に妻小壁12(a)、12(b)を備えるのに加え、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11に結合可能な第3の妻小壁12(c)を備える。この妻小壁12(c)は、その外側面を妻小壁12(b)の外側面に対向させて妻小壁12(b)に連結されている。
【0075】
そして、両軒側屋根ユニット10,20を重ね合わせて輸送する際には、第1の軒側屋根ユニット10の妻小壁12(b)の外側面および第3の妻小壁12(c)の内側面を、第2の軒側屋根ユニット20の妻小壁12(d)の内側面に対向させる。
【0076】
このように、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11に結合される妻小壁12(c)は、第1の軒側屋根ユニット10とともに運搬し、しかも、ユニット建物UBに設置する際も、第1の軒側屋根ユニット10とともに吊り上げて設置することができる。よって、妻小壁12(c)を独立して輸送し、吊り上げて設置する場合と比較して、運搬作業の手間、吊り上げおよび設置作業の手間を削減できる。
【0077】
(3)実施の形態1の屋根ユニット組は、第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20から成る。第2の軒側屋根ユニット20は、第1の軒側屋根ユニット10に隣接されるのとは反対側のみに妻小壁12(d)が設けられている。第1の軒側屋根ユニット10は、屋根パネル11の両側部に妻小壁12(a)、12(b)を備え、さらに、第2の軒側屋根ユニット20と隣接する側の妻小壁12(b)には、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11に結合可能な妻小壁12(c)が連結されている。
【0078】
そして、ユニット建物UBへの設置時には、第1の軒側屋根ユニット10を設置した後に、第2の軒側屋根ユニット20を設置する。この際、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11を、第1の軒側屋根ユニット10に連結された第3の妻小壁12(c)に結合させれば、第2の軒側屋根ユニット20は、両妻小壁12(c)、12(d)を有した状態となる。
【0079】
したがって、上記(2)で説明したように、効率的な運搬作業および設置作業を行うことができる。
【0080】
(他の実施の形態)
次に、本開示の他の実施の形態について説明する。 なお、他の実施の形態の説明において、上記実施の形態と共通する構成には当該実施の形態と同じ符号を付して説明を省略し、当該実施の形態との相違点のみ説明する。
【0081】
(実施の形態2)
図7は実施の形態2である。実施の形態2では、妻小壁12(b)および妻小壁12(c)の構造とその連結構造の変更例である。
【0082】
すなわち、実施の形態1では、妻小壁12(b)と妻小壁12(c)とは、別々の小壁上枠123を備えて独立化され、ジョイントプレート13で連結する構成としていた。これに対し、実施の形態2では、妻小壁12(b)と妻小壁12(c)とは同一の小壁上枠200を備えて上部が一体化される。
【0083】
したがって、ジョイントプレート13やふかし材14の省略、また、妻小壁12(b)と妻小壁12(c)との連結作業の省略が可能となる。なお、その他の構成、作用効果については、上記実施の形態1と同様である。
【0084】
(実施の形態3)
図8~
図10は、実施の形態3である。実施の形態3では、上記各実施の形態の屋根ユニット組に対し、
図8に示すように、第2の軒側屋根ユニット20の妻小壁12(c)が無い側に、第2の軒側屋根ユニット20を起立状態で安定させる起立輸送治具300を取付けている。
起立輸送治具300は、屋根パネル11の側部から屋根パネル11に沿って妻小壁12(d)とは反対の側へ延びる延長部310と、妻小壁12と平行な支持脚部320とを有しても良い。
【0085】
そして、上記屋根ユニットの輸送方法では、
図9に示すように、第1の軒側屋根ユニット10と第2の軒側屋根ユニット20とを外側と内側に重ね合わせて輸送する際に、第1の軒側屋根ユニット10の妻小壁12(b)の外側面および/または第3の妻小壁12(c)の内側面が、第2の軒側屋根ユニット20の妻小壁12(d)の内側面に対向する向きとされる。また、第1の軒側屋根ユニット10の反対側の妻小壁12(a)の外側面が第2の軒側屋根ユニット20の起立輸送治具300の支持脚部320の内側面に対向する向きとされる。そして、第1の軒側屋根ユニット10を第2の軒側屋根ユニット20の内側に重ねて配置して輸送する。
【0086】
ここで、妻小壁12(c)が無い側は、製造時や輸送時などに妻小壁12(c)が取付けられない側である。
【0087】
起立輸送治具300は、第2の軒側屋根ユニット20に取付けることで、第2の軒側屋根ユニット20を起立状態で安定して自立させるとともに、起立状態にした第1の軒側屋根ユニット10を重ねた状態で内側に収容できるようにする。起立輸送治具300は、小型軽量で輸送に必要な支持強度を有するものとするのが好ましい。起立輸送治具300は、第2の軒側屋根ユニット20を起立状態にする前に、第2の軒側屋根ユニット20に着脱可能に取付けられる。
【0088】
延長部310は、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11に取付けて、起立状態した屋根パネル11の接地部分を桁方向に延長する。延長部310は、第2の軒側屋根ユニット20を含めた全体の桁方向の長さが、両側に妻小壁12を有する第1の軒側屋根ユニット10の桁方向の長さよりも長くなるように、第2の軒側屋根ユニット20の桁方向の接地部分を延長する。
【0089】
第2の軒側屋根ユニット20の内側に第1の軒側屋根ユニット10を重ね合わせて設置する際に、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11と第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11とは、少なくとも妻小壁12(b)(c)の厚み分程度以上、桁方向に位置をズラして設置される。よって、延長部310は、このズラシ量も考慮して、桁方向の寸法を大きめに形成される。
【0090】
延長部310は、屋根パネル11の妻小壁12(c)が無い側(屋内側)の側垂木111bに対して横方向(桁方向)に釘やネジなどで横方向に当接固定される。
【0091】
支持脚部320は、延長部310の屋根パネル11とは反対側に固定される。支持脚部320は、起立状態の時に屋根パネル11と妻小壁12によってL字状になっている第2の軒側屋根ユニット20の接地部分に追加して、接地部分をコの字にする。支持脚部320は、妻小壁12の接地部分とほぼ同じ長さとするのが好ましい。
【0092】
支持脚部320の内側面は、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11の片側の妻小壁12(d)の内側面と対向する向きとなる。支持脚部320の内側面は、第1の軒側屋根ユニット10を第2の軒側屋根ユニット20の内側に収容したときに、第1の軒側屋根ユニット10の妻小壁12(a)の外側面と対向する。
【0093】
延長部310および支持脚部320は、接地部分が互いにほぼ直角で面一になるように取付けられて起立輸送治具300となる。延長部310および支持脚部320は、起立輸送治具300を第2の軒側屋根ユニット20に取付けるときに、一体化してもよいし、予め一体化しておいてもよい。
【0094】
延長部310および支持脚部320は、取付角度を固定で取付けてもよいし、丁番などによって折りたたみ可能(取付角度を可変)に取付けても良い。取付角度を可変にした場合には、延長部310と支持脚部320との間には、使用時に直角の状態にて固定可能なロック部を設けるようにする。
【0095】
延長部310および支持脚部320は、第2の軒側屋根ユニット20を起立状態で安定して保持できる範囲内で可能な限り桁方向および妻方向の寸法(起立状態のときの高さ)を小さくするのが好ましい。
【0096】
例えば、延長部310および支持脚部320は、妻方向(起立状態で上下方向)の寸法を、屋根パネル11の妻方向の1/3~2/3の範囲にする。図では、延長部310および支持脚部320の妻方向の寸法は、屋根パネル11の妻方向の寸法のほぼ1/2程度の寸法としている。また、延長部310および支持脚部320は、妻方向の寸法が互いにほぼ等しくなっている。この場合、延長部310および支持脚部320は、起立状態の時に接地できるように、第2の軒側屋根ユニット20の棟側(下側)に寄せて取付けられる。
【0097】
延長部310および支持脚部320は、それぞれ、板状体で構成してもよいし、枠状体で構成してもよいし、板状体と枠状体を組み合わせて構成してもよい。図では、延長部310は矩形枠状、支持脚部320は妻小壁12の棟側の部分(下側となる部分)とほぼ同じ大きさや形状の台形枠状となっている。延長部310および支持脚部320は、所要の支持強度が得られる程度に、屋根パネル11や妻小壁12と比べて細目の枠材を使用して軽量に形成されている。
【0098】
矩形枠状の延長部310は、起立状態で、平行な一対の縦枠部材311の上下端間および中間部に互いに長さが等しく平行な複数本の横枠部材312を上下に間隔を有して取付けたものとなっている。
【0099】
台形枠状の支持脚部320は、起立状態で、(下拡がり状に配置された)非平行な一対の縦枠部材321の上下端間および中間部に互いに長さが異なる平行な複数本の横枠部材322を上下に間隔を有して取付けたものとなっている。
【0100】
以下、この実施の形態の作用効果について説明する。
【0101】
輸送時などに第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を起立状態にして、第2の軒側屋根ユニット20の内側に第1の軒側屋根ユニット10を重ね合わせて配置する。
【0102】
この際、妻小壁12(d)を片側のみに有する第2の軒側屋根ユニット20は、そのままでは接地部分がL字状であるため、単独では、起立状態で安定して自立させることが難しい。そこで、上記した実施の形態では、第2の軒側屋根ユニット20は、両側に妻小壁12(a)(b)を有する第1の軒側屋根ユニット10によって支えさせるようにしている。この場合、安定性の低い第2の軒側屋根ユニット20を先に起立状態にすると、作業に手間がかかる。そのため、安定性の高い第1の軒側屋根ユニット10を先に起立状態にしてから、第2の軒側屋根ユニット20を起立状態にして、第1の軒側屋根ユニット10の外側に配置し、その後、第1の軒側屋根ユニット10で支えさせるのが作業としては順当である。
【0103】
しかし、段取り的には、内側の位置を先に決めるよりも、外側の位置を先に決めた方がやり易い。即ち、外側となる第2の軒側屋根ユニット20を先に起立状態にして外側部分の位置を決め、第2の軒側屋根ユニット20の位置を基準にして、その内側に第1の軒側屋根ユニット10を後から収容させる方が都合がよい。
【0104】
また、例えば、第2の軒側屋根ユニット20の棟側にトラス部材330(
図13、
図14)が予め取付けられているような場合には、第2の軒側屋根ユニット20を先に起立状態にして、トラス部材330を接地させてから、トラス部材330の上に第1の軒側屋根ユニット10を置く必要がある。即ち、構造的に設置順が決まってしまう場合がある。
【0105】
これらのような場合に、第2の軒側屋根ユニット20に起立輸送治具300を取付けることで、第2の軒側屋根ユニット20を安定した起立状態にして、単体で自立させることができる。そのため、第2の軒側屋根ユニット20を先に起立状態にして、外側部分の立ち位置を決めることができる。そして、第2の軒側屋根ユニット20を第1の軒側屋根ユニット10によって支えさせる必要をなくすことができる。また、第2の軒側屋根ユニット20の棟側にトラス部材330を設けた場合でも、トラス部材330の上に第1の軒側屋根ユニット10を置くことができる。
【0106】
また、輸送後、建築現場では、
図10に示すように、自立状態の第2の軒側屋根ユニット20を回転して設置姿勢にする必要があるが、その際にも起立輸送治具300に、回転の支点Oの役割を果たさせることができる。起立輸送治具300は、支持脚部320の延長部310とは反対側の縦枠部材321と、最も長い横枠部材322とのコーナー部を回転が支点Oとなる。反対側は、妻小壁12(d)を支点Oにすることで、第2の軒側屋根ユニット20を安定して回転させることができる。起立輸送治具300は、支点Oを中心として第2の軒側屋根ユニット20を回転して設置姿勢にした後に、第2の軒側屋根ユニット20から取外される。
【0107】
さらに、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10は、起立状態にして運搬車両340の荷台341の上に順番に搭載して行くことで、屋根ユニット組にしても良い。
【0108】
しかし、
図11~
図14に示すように、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10は、起立状態にして、輸送架台350の上に、第2の軒側屋根ユニット20の内側に、第1の軒側屋根ユニット10を重ね合わせるように搭載して、荷締ロープ360,370により輸送架台350に固定して屋根ユニット組にするのが好ましい。
【0109】
図15に示すように、屋根ユニット組にした第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10は、輸送架台350ごと、運搬車両340の荷台341の上に一度に搭載されて、固定用ロープ342により荷台341に固定される。固定用ロープ342は、荷締ロープ360,370とは別のものが用いられる。
【0110】
ここで、輸送架台350は、
図11~
図13に示すように、起立状態の第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10が外側と内側に重ね合わされた状態で、搭載できる大きさの平板状の部材とされる。第2の軒側屋根ユニット20は、輸送架台350の1つの長辺に位置を合わせた状態で搭載される。輸送架台350の1つの長辺または長辺の近傍には、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11の位置を規定する位置決め部材351を突設してもよい。
【0111】
輸送架台350は、荷締ロープ360,370を通すための紐通し部352を適宜の位置に取付けてもよい。紐通し部352は、例えば、輸送架台350の1つの長辺または位置決め部材351と、その反対側の長辺などの、荷締ロープ360,370を取付ける位置の近くに取付けるようにする。紐通し部352は、輸送架台350に予め備え付けられていてもよいし、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を固定する際に輸送架台350に取付けてもよい。また、同様の紐通し部353は、必要に応じて、第2の軒側屋根ユニット20や第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11の軒先側などに取付けてもよい。紐通し部353は、荷締ロープ360,370やワイヤWを通すのに使うことができる。
【0112】
さらに、
図14に示すように、輸送架台350の上面には、最初に搭載した第2の軒側屋根ユニット20に対して、第1の軒側屋根ユニット10が接触しないように、第1の軒側屋根ユニット10を第2の軒側屋根ユニット20と間隔を有して搭載するための位置決め用のストッパー380を取付けてもよい。ストッパー380は、輸送架台350における、第1の軒側屋根ユニット10の屋根パネル11の接地部分に沿った位置に直接固定される。また、第2の軒側屋根ユニット20にトラス部材330が取付けられている場合には、ストッパー380は、トラス部材330の隙間から上へ突出するように取付けたり、トラス部材330に取付けたりしても良い。ストッパー380は、突起状の部材としてもよい。ストッパー380は、着脱可能に設置してもよい。
【0113】
また、輸送架台350に搭載された第2の軒側屋根ユニット20と第1の軒側屋根ユニット10との上部間には、干渉防止用のクッション材390を介在してもよい。クッション材390は、第1の軒側屋根ユニット10と第2の軒側屋根ユニット20との設置間隔とほぼ等しい厚みとされる。クッション材390は、屋根パネル11の軒先寄りの部分の間に設置される。この位置は、屋根パネル11における、太陽電池パネルPが取付けられない位置とされる。クッション材390には、柔軟な発泡系の材料やゴム系の材料などが使われる。
【0114】
輸送架台350に搭載する第1の軒側屋根ユニット10は、第2の軒側屋根ユニット20の内側に納まる大きさの小型のものとしても良いし(
図13)、第2の軒側屋根ユニット20の内側に納まらない大きさのほぼ同型のものとしても良い。
【0115】
第1の軒側屋根ユニット10が、第2の軒側屋根ユニット20の内側に納まらない場合には、上記した起立輸送治具300を第2の軒側屋根ユニット20に取付けて、輸送架台350に先に搭載および荷締ロープ360で固定し、後から第1の軒側屋根ユニット10を内側に収める。第1の軒側屋根ユニット10は、第2の軒側屋根ユニット20ごと輸送架台350に荷締ロープ370で固定する。
【0116】
第1の軒側屋根ユニット10が、第2の軒側屋根ユニット20の内側に納まる大きさであれば、第2の軒側屋根ユニット20の屋根パネル11の両側に予め妻小壁12(c)(d)を取付けることができるので、起立輸送治具300は必要ない。この場合、輸送架台350にストッパー380が取付けられ、また、第2の軒側屋根ユニット20にトラス部材330などが取付けられていなければ、輸送架台350への搭載順は、どちらを先にしてもよい。ただし、第2の軒側屋根ユニット20を先に搭載するのが好ましい。
【0117】
荷締ロープ360,370は、第2の軒側屋根ユニット20と第1の軒側屋根ユニット10とをそれぞれ固定するロープである。荷締ロープ360は、第2の軒側屋根ユニット20の輸送架台350への荷締めに2本使用される(
図11)。荷締ロープ370は、第1の軒側屋根ユニット10の輸送架台350への荷締めに2本使用される(
図12、
図13)。
【0118】
荷締ロープ360,370は、第2の軒側屋根ユニット20、および、第1の軒側屋根ユニット10の桁方向の両端近傍の位置に、互いに干渉しないように、桁方向の位置をズラして取付けられる。荷締ロープ370は、荷締ロープ360よりも内側に取付けるようにする。なお、荷締ロープ360,370で第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を荷締めする際には、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10をそれぞれ吊りワイヤWで吊った状態にして安定させてから行うのが好ましい。
【0119】
運搬車両340は、第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20を輸送架台350の上で一体化させた状態で、工場から建築現場へ輸送するのに使用できる大きさのトラックなどの車両である。
【0120】
荷台341は、運搬車両340の後部に備えられた、第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20を搭載する運搬台である。
【0121】
以下、上記輸送架台350による作用効果について説明する。
【0122】
起立状態にした第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を、輸送架台350の上に順番に搭載し、それぞれを荷締ロープ360,370で輸送架台350に搭載順に固定して輸送架台350と一体化する(
図11~
図13)。
【0123】
まず、
図11に示すように、クレーンにより、第2の軒側屋根ユニット20を、吊りワイヤWで吊って起立状態にする。起立状態に吊った第2の軒側屋根ユニット20を、輸送架台350の上に位置を合わせて設置する。そして、第2の軒側屋根ユニット20の両側部を2本の荷締ロープ360で輸送架台350に固定する。固定の際には、第2の軒側屋根ユニット20は、吊りワイヤWで吊ったままにして安定させておく。
【0124】
次に、
図12、
図13に示すように、クレーンにより、第1の軒側屋根ユニット10を、吊りワイヤWで吊って起立状態にする。起立状態に吊った第1の軒側屋根ユニット10を、輸送架台350の上に設置する。このとき、第1の軒側屋根ユニット10を、第2の軒側屋根ユニット20の内側に重ね合わせて設置する。そして、第1の軒側屋根ユニット10の両側部を2本の荷締ロープ370で輸送架台350および第2の軒側屋根ユニット20に固定する。固定の際には、第1の軒側屋根ユニット10は、吊りワイヤWで吊ったままにして安定させておく。
【0125】
このようにすることで、大型の部材である第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を、輸送架台350を基準にして段取り良く、容易に外側と内側に重ね合わせて、安定した状態に設置できる。
【0126】
また、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を荷締ロープ360,370により輸送架台350に固定することで、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を強固に固定できるとともに、固定後に一体に取り扱うことができる。そして、運搬車両340の荷台341への第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10の積み下ろしが容易になる。
【0127】
そして、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を、輸送架台350ごと、運搬車両340の荷台341の上に搭載することで、安定して長距離移動することができる。なお、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10は、予め荷台341の上に搭載した輸送架台350の上に設置して固定するようにしても良い。
【0128】
輸送架台350の上に設置する際には、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10は、それぞれ大型の部材であるため、視界を遮るので、作業中に正確な位置関係を把握し難くなることがある。また、微妙な位置調整を行い難い状況にもなり易い。しかし、輸送架台350が、位置決め用のストッパー380を備えることで、先に搭載された第2の軒側屋根ユニット20に対して、ストッパー380を頼りにして、第1の軒側屋根ユニット10を設置する作業を行うことができる。そして、ストッパー380により、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10を、互いに接触しないように、所要の間隔を有して輸送架台350に正確に設置することが容易かつ可能となる。
【0129】
また、輸送架台350に搭載された第2の軒側屋根ユニット20と第1の軒側屋根ユニット10との上部間に、干渉防止用のクッション材390を介在させて固定することで、クッション材390により、第2の軒側屋根ユニット20と第1の軒側屋根ユニット10との上側間の干渉を防止できる。そして、屋根パネル11に設置された太陽電池パネルPの、輸送中の損傷を防止できる。
【0130】
なお、建築現場への搬送後には、例えば、第2の軒側屋根ユニット20および第1の軒側屋根ユニット10は、輸送架台350ごと、運搬車両340の荷台341の上から地上に降ろす。そして、第1の軒側屋根ユニット10、第2の軒側屋根ユニット20の順に荷締ロープ360,370を外して、輸送架台350から第2の軒側屋根ユニット20と第1の軒側屋根ユニット10とを分離する。さらに、それぞれを一度にまたは順番に建物本体の上に吊り上げて、第1の軒側屋根ユニット10、第2の軒側屋根ユニット20の順に屋根の上に並べて設置する。
【0131】
あるいは、輸送架台350を荷台341から降ろさずに、荷台341の上で荷締ロープ360,370を外して、それ以後の建物本体の上に設置する作業を荷台341から行っても良い。第1の軒側屋根ユニット10および第2の軒側屋根ユニット20は、地上で、または、吊り上げ中や建物本体の上で起立状態から設置姿勢に回転することができる。
【0132】
なお、その他の構成、作用効果については、上記実施の形態1と同様である。また、各実施の形態は、適宜組み合わせて使用することができる。
【0133】
以上、図面を参照して、本開示の屋根ユニットの輸送方法および屋根ユニット組の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0134】
実施の形態では、屋根RFを、棟側屋根ユニット30と軒側屋根ユニット10,20とにより構築し、本開示の輸送方法および屋根ユニット組を、軒側屋根ユニット10,20に適用した例を示したが、これに限定されない。例えば、棟側屋根ユニット30を用いずに、屋根RFの棟の部分で分割した屋根ユニットとし、この屋根ユニットに適用してもよい。
【0135】
また、実施の形態では、棟側屋根ユニット30と軒側屋根ユニット10,20とを、それぞれ各建物ユニットBUと一対一に対応する大きさとしたが、これに限らず、建物ユニットBUと対応しない大きさに形成してもよい。
【0136】
また、実施の形態では、第2の屋根ユニットとしての第2の軒側屋根ユニット20の一方の妻小壁12(c)を、第1の屋根ユニットとしての第1の軒側屋根ユニット10に連結した例を示した。しかし、この一方の妻小壁12(c)は、第1の軒側屋根ユニット10に連結せずに、第1の軒側屋根ユニット10、および、第2の軒側屋根ユニット20とは別に、独立して輸送するようにしてもよい。この場合、一方の妻小壁12(c)は、建築現場への輸送後に、地上部で第2の軒側屋根ユニット20に取付けてもよい。あるいは、一方の妻小壁12(c)は、地上部で第1の軒側屋根ユニット10に取付けてから、上記実施の形態と同様に、第1の軒側屋根ユニット10ごと建物本体の上に設置してもよい。また、一方の妻小壁12(c)は、第1の軒側屋根ユニット10を建物本体の上に設置した後に、単体で、建物本体の上に取付けても良い。
【符号の説明】
【0137】
10 第1の軒側屋根ユニット
11 屋根パネル
12 妻小壁
12(a) 妻小壁
12(b) 妻小壁
12(c) 妻小壁
12(d) 妻小壁
13 ジョイントプレート
20 第2の軒側屋根ユニット
30 棟側屋根ユニット
112 野地板
121 小壁下枠
122 小壁縦枠
123 小壁上枠
124 小壁縦材
125 連結用ボルト
126 ボルト支持金具
300 起立輸送治具
310 延長部
320 支持脚部
350 輸送架台
360 荷締ロープ
370 荷締ロープ
BU 建物ユニット
RF 屋根
UB ユニット建物