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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161847
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】電位測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/22 20060101AFI20221014BHJP
   D06H 3/10 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G01R29/22 Z
D06H3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053779
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2021065673
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(71)【出願人】
【識別番号】501270287
【氏名又は名称】帝人フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187584
【弁理士】
【氏名又は名称】村石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 昌由
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 誠人
(72)【発明者】
【氏名】辻 雅之
(72)【発明者】
【氏名】海老名 亮祐
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AA07
3B154AB20
3B154AB21
3B154AB22
3B154AB27
3B154BA53
3B154BB09
3B154BC28
3B154CA15
3B154CA34
(57)【要約】
【課題】織物、編物、不織布などの布帛において発生し得る表面電位をより安定して測定することができる装置を提供すること。
【解決手段】布帛の表面電位を測定するための測定装置であって、
接地電極として導電性ブロックを備え、該導電性ブロック上に配置した前記布帛を少なくとも1方向に引っ張ることが可能な引張機構を有する、布帛電位測定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛の表面電位を測定するための測定装置であって、
接地電極として導電性ブロックを備え、該導電性ブロック上に配置した前記布帛を少なくとも1方向に引っ張ることが可能な引張機構を有する、布帛電位測定装置。
【請求項2】
前記導電性ブロックに押し付けるように前記布帛を湾曲状に引っ張ることができる、請求項1に記載の布帛電位測定装置。
【請求項3】
前記布帛が配置される前記導電性ブロックの主面が曲面を成している、請求項1または2に記載の布帛電位測定装置。
【請求項4】
前記引張機構では、互いに逆向きの2方向に前記布帛を引っ張ることができる、請求項1~3のいずれかに記載の布帛電位測定装置。
【請求項5】
前記引張機構は、前記布帛の引張および弛緩を繰り返すことができる、請求項1~4のいずれかに記載の布帛電位測定装置。
【請求項6】
前記引張機構として、前記導電性ブロックの両側に配置される2つの移動ステージと、該2つの移動ステージの一方に前記布帛の一方の端部を固定するための第1固定部材と、該2つの移動ステージの他方に前記布帛の他方の端部を固定するための第2固定部材とを有し、前記2つの移動ステージが互いに逆向きに動くことで前記布帛を同時に逆向きに引っ張ることができる、請求項4に記載の布帛電位測定装置。
【請求項7】
前記引張機構として、前記導電性ブロックの片側に配置される移動ステージと、前記移動ステージに前記布帛の一方の端部を固定するための第3固定部材と、前記布帛の他方の端部を装置本体に固定するための第4固定部材とを有し、前記移動ステージが動くことで前記布帛を引っ張ることができる、請求項1に記載の布帛電位測定装置。
【請求項8】
前記移動ステージが往復運動することによって前記布帛の前記引張および前記弛緩を行う、請求項5に従属する請求項6または7に記載の布帛電位測定装置。
【請求項9】
前記接地電極の前記導電性ブロックと対向するように設けられる測定電極をさらに有して成る、請求項1~8のいずれかに記載の布帛電位測定装置。
【請求項10】
前記導電性ブロックが金属を含んで成る、請求項1~9のいずれかに記載の布帛電位測定装置。
【請求項11】
駆動モータに取り付けられた可動部と前記移動ステージとを連結するアームを有する、請求項6または7に記載の布帛電位測定装置。
【請求項12】
前記移動ステージと前記導電性ブロックとの間にテンションバーをさらに備える、請求項6または7に記載の布帛電位測定装置。
【請求項13】
前記測定電極が電気力顕微鏡のプローブである、請求項9に記載の布帛電位測定装置。
【請求項14】
前記測定電極が設けられたカンチレバーをさらに備える、請求項9または13に記載の布帛電位測定装置。
【請求項15】
前記布帛が配置される前記導電性ブロックの主面に対して法線方向に前記布帛を引っ張ることができる、請求項1~14のいずれかに記載の布帛電位測定装置。
【請求項16】
前記布帛が圧電性布帛である、請求項1~15のいずれかに記載の布帛電位測定装置。
【請求項17】
前記圧電性布帛がポリ乳酸を含んでなる圧電繊維を含む、請求項16に記載の布帛電位測定装置。
【請求項18】
糸または糸束の表面電位を測定するための測定装置であって、
接地電極として導電性ブロックを備え、該導電性ブロック上に配置した前記糸または糸束を少なくとも1方向に引っ張ることが可能な引張機構を有する、電位測定装置。
【請求項19】
前記糸がポリ乳酸を含んでなる圧電繊維を含む、請求項18に記載の電位測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は布帛などの電位測定用の装置に関する。より具体的には、本開示は、織物、編物、不織布などの布帛、特に圧電性布帛などにおいて発生し得る表面電位を測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高分子圧電フィルムなどの圧電部材の圧電特性、特に表面電位を測定するための装置が知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6396227号公報
【特許文献2】国際公開(WO)2017/213108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らは、従前の装置には克服すべき課題があることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者らは見出した。
【0005】
例えば特許文献1に記載の従前の装置ではフィルムなどの比較的硬い圧電材料の圧電特性は測定できるが、織物、編物、不織布などの柔らかい圧電性布帛の表面電位の測定には適していないことがわかった。特に特許文献1に開示のフィルムでは結晶が一方向に配向しているが、織物、編物、不織布などの圧電性布帛では見かけの配向度が低くなるため、特許文献1に記載の装置では圧電性布帛の表面電位の測定は困難であることがわかった。
【0006】
特許文献2には圧電織物や圧電編物が開示されているが、表面電位の測定は、別途に糸状の圧電体などの特別な測定サンプルを準備して引張試験機および表面電位計を用いて行われていた。
【0007】
織物、編物、不織布などの圧電性布帛、特にニットなどの圧電性布帛は、比較的高い伸縮性を有することから、従前の引張試験機などで伸張させてその表面電位を測定する場合、測定ポイントが大きくズレて表面電位が安定して測定できないことがわかった。
【0008】
また、本願発明者らの研究により、織物や編物では布帛に複数本の糸が混在することから、従前の装置のように接地電極のない状態では布帛自体の表面電位を直接的に安定して測定することは困難であった。
【0009】
本開示はかかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本開示の主たる目的は、織物、編物、不織布などの布帛において発生し得る表面電位をより安定して測定することができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された装置の発明に至った。
【0011】
本開示では、布帛の表面電位を測定するための測定装置が提供される。当該布帛電位測定装置は、接地電極として導電性ブロックを備え、該導電性ブロック上に配置した前記布帛を少なくとも1方向に引っ張ることが可能な引張機構を有する。
【発明の効果】
【0012】
本開示では、織物、編物、不織布などの布帛において発生し得る表面電位をより安定して測定することができる装置が得られる。尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでなく、また、付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る装置を模式的に示す概略図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る装置において使用することができる導電性ブロックを模式的に示す概略図である。
図3図3は、本開示の別の実施形態に係る装置を模式的に示す概略図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る装置を示す上面図である。
図5図5は、本開示の一実施形態に係る装置を正面側から示す斜視図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係る装置を全体的に示す斜視図である。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る装置を左側から示す斜視図である。
図8図8は、本開示の一実施形態に係る装置を右側から示す斜視図である。
図9図9は、本開示の一実施形態に係る装置を示す背面図である。
図10図10は、本開示の一実施形態に係る装置を示す底面図である。
図11図11は、本開示の一実施形態に係る装置を示す左側面図である。
図12図12は、本開示の一実施形態に係る装置を示す右側面図である。
図13図13は、本開示の一実施形態に係る装置を背面から示す斜視図である。
図14図14は、本開示の一実施形態に係る装置において使用することができる移動ステージおよび固定部材の一例を模式的に示す概略図である。
図15図15は、本開示の一実施形態に係る装置(アームが開いた状態)の写真である。
図16図16は、本開示の一実施形態に係る装置において布帛を固定した状態を示す写真である。
図17図17は、実施例において本開示の一実施形態に係る装置を使用して圧電性布帛の表面電位を測定した結果を示すグラフである。
図18図18は、本開示の一実施形態に係る装置において圧電性繊維を含んで成る糸を固定した状態を示す写真である。
図19図19は、本開示の一実施形態に係る装置を使用して圧電性繊維を含んで成る糸の表面電位を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、布帛の表面電位を測定するための測定装置に関する(以下、「本開示の装置」または単に「装置」とよぶ場合もある)。
本開示において「布帛」とは、織物、編物、不織布などの布帛を意味する。より具体的には、以下にて詳説する圧電繊維を含んで成る織物、編物、不織布などの布帛(以下、「圧電性布帛」とよぶ場合もある)を意味する。
本開示において「圧電繊維」とは、概して、以下にて詳説する通り、張力や歪力や応力などの外力を加えることで変位して電位を発生させることができる繊維またはフィラメントを意味する。
【0015】
本開示の布帛電位測定装置は、接地電極として導電性ブロックを備え、この導電性ブロック上に配置した布帛を少なくとも1方向に引っ張ることが可能な引張機構を有する。また、本開示の布帛電位測定装置では、布帛の表面電位を導電性ブロック上で測定することができる。
【0016】
例えば図1図3に示す通り、本開示の装置は、布帛またはファブリック(F)の表面電位を測定することができるように構成されている。
【0017】
そのため、本開示の装置は、少なくとも接地電極として導電性ブロック(2)を備え、この導電性ブロック(2)上に配置した布帛(F)を少なくとも1方向に引っ張ることができる引張機構を有する(図1および図3参照)。引張機構として布帛(F)の少なくとも1つの端部を引っ張ることができる機構であれば特に制限はない。布帛(F)の少なくとも2つの端部を引っ張ることができる機構であることがより好ましい(図1参照)。
【0018】
例えば、図1に示すように、本開示の装置は、布帛(F)を2方向に引っ張ることができる引張機構を有していてよい。具体的には、装置本体(1)に結合(又は係合又は嵌合)または接続され得る少なくとも2つの移動部材(3)、例えば移動ステージ(3a,3b)に布帛(F)の2つの端部(Ta,Tb)をそれぞれ固定部材(図示せず)などで固定し、移動ステージ(3a,3b)を互いに対向して動かすことで布帛(F)を2方向(例えばD,Dの方向)に引っ張ることができる機構を有していてよい。
【0019】
あるいは、図3に示すように、本開示の装置は、布帛(F)を1方向に引っ張ることができる引張機構を有していてよい。より具体的には、装置本体(1)に結合(又は係合又は嵌合)または接続され得る少なくとも1つの移動部材(3)、例えば移動ステージ(3)に布帛(F)の一方の端部(Ta)を固定部材(図示せず)などを用いて固定し、布帛(F)の他方の端部(Tb)を例えば装置本体(1)の任意の箇所に別の固定部材(図示せず)などを用いて固定し、移動ステージ(3)を動かすことで布帛(F)を1方向(例えばDの方向)に引っ張ることができる機構を有していてよい。
【0020】
あるいは、図1に示す装置において、2つの移動ステージ(3a,3b)のいずれか一方を静止または固定した状態で、他方の移動ステージのみを動かすことで布帛(F)を1方向に引っ張ってもよい。
【0021】
本開示の装置では、例えば図1および図2に示すように、装置本体(1)に導電性ブロック(2)を取り付け、布帛(F)を導電性ブロック(2)の主面(又は上面)に押し付けるよう配置した状態で布帛(F)を少なくとも1方向に引っ張ることができる。導電性ブロック(2)は、以下にて詳説するように接地電極として機能することができ、例えば図1および図3に示すカンチレバー(40)に取り付けられた測定電極(50)とともに測定ポイント(P)において布帛(F)の表面電位を測定することができる。
【0022】
本開示の装置は、接地電極として機能し得る導電性ブロックを備えることによって、より安定して織物、編物、不織布などの布帛の表面電位を測定することができる。また、本開示の装置では導電性ブロックを用いることによって、布帛(F)を下側から支持することができ、測定ポイント(P)における布帛(F)のズレを抑制することができる。ひいては、さらにより安定して布帛の表面電位を測定することができる。
【0023】
測定ポイント(P)は導電性ブロック(2)の上方、例えば導電性ブロック(2)の主面の幾何学的中心の上方に位置付けられることが好ましい。
【0024】
以下、本開示の装置を構成し得る部品または部材について説明する。
【0025】
(装置本体)
本開示において「装置本体」(以下、省略して「本体」とよぶ場合もある)とは、少なくとも導電性ブロックおよび引張機構に関連する部品または部材(例えば移動ステージなどの移動部材)を取り付けることができる部品または部材を意味する。
装置本体の形状および寸法に特に制限はないが板状の形状を有することが好ましい。
装置本体は、導電性ブロックを接地電極として機能させるために導電性であることが好ましい。装置本体は、アルミニウムなどの金属または合金(例えばステンレス鋼)などから構成されることがより好ましい。
【0026】
(導電性ブロック)
本開示において「導電性ブロック」とは、その主面に布帛を配置することができる導電性を有する部品または部材を意味する(図1~3、特に図2参照)。
導電性ブロックは、導電性、つまり電気を通す性質を有する。換言すると、導電性ブロックは、絶縁性、つまり電気を全く通さない性質を有するものではない。
導電性ブロックは、金属(例えば、アルミニウム、金、銀、銅、白金)または合金(例えばステンレス鋼)などから構成されていてよい。
導電性ブロックが導電性を有することで接地電極として機能することができる。換言すると、本開示の装置において、導電性ブロックを使用することでグランド(GND)を形成することができる。このようにして接地電極として機能し得る導電性ブロックを使用することで本開示の装置ではより安定して布帛の表面電位を測定することができる。
【0027】
導電性ブロックは直接または間接的に装置本体に取り付けられていてよい。
導電性ブロックを装置本体に直接的に取り付ける場合にはネジやボルト-ナットなどの締結具を用いてもよいし溶接などで固定してもよい。
導電性ブロックを装置本体に間接的に取り付ける場合には、支持台やポールなど他の部品や部材を介して固定してよい(図4図13参照)。このとき支持台やポールは導電性を有することが好ましい。支持台やポールを使用して導電性ブロックを装置本体に間接的に取り付けることで導電性ブロックの高さを任意に調節することができる。また、支持台やポールは、その高さを調節することで布帛にかかる張力などを調節することもできる。
【0028】
導電性ブロックは布帛と接触することができればその形状および寸法に特に制限はない。特に導電性ブロックの主面が布帛と接触することができるような形状および寸法を有することが好ましい(図2参照)。本開示において導電性ブロックの「主面」とは導電性ブロックの幾何学的に最も大きな面積を有する面を意味する。導電ブロックにおいて装置本体に対向する側の面の反対側の面が主面であることが好ましい。換言すると、導電性ブロックの主面の反対側の面が装置本体に対向することが好ましい。
【0029】
例えば、図2(A)において本開示の装置で使用することができる導電性ブロック(2)を示し、図2(B)において本開示の装置で使用することができる導電性ブロック(2)の主面に布帛(F)が配置されて互いに接した状態を示す。
【0030】
例えば図2に示すように導電性ブロック(2)の布帛(F)が配置され得る側の主面は隆起して曲面を成していてよい(図2(A)参照)。換言すると導電性ブロック(2)の主面は、長手方向に垂直な方向(又は幅方向)の断面視で曲線または円弧を描いていてよい。換言すると導電性ブロック(2)の主面は山形または蒲鉾などの形状を有していてよい。
あるいは、導電性ブロック(2)の主面は、長手方向に垂直な方向(又は幅方向)の断面視において三角形や四角形、多角形や台形などの幾何学的な形状を有していてよい。また、その角部は丸められていてよい。
尚、導電性ブロック(2)の主面の形状は、上記の形状に限定されず、様々な形状を有していてよい。
【0031】
導電性ブロック(2)が隆起した形状を有することで布帛(F)を導電性ブロック(2)に押し付けるように湾曲状に引っ張ることができる。換言すると、導電性ブロック(2)が布帛(F)を押圧しながら又は布帛(F)に張力をかけながら布帛(F)を引っ張ることができる(図1および図3参照)。より具体的には図1および図3の矢印で示すDおよび/またはDの方向に布帛(F)を引っ張ることができる。
【0032】
導電性ブロック(2)がこのような形状を有することで布帛(F)を下側から相対的に押圧することができるので測定ポイント(P)(図1および図3参照)における布帛(F)のズレを抑制することができる。ひいては、より安定して布帛(F)の表面電位を測定することができる。
【0033】
測定ポイント(P)は導電性ブロック(2)の主面が最も隆起した点あるいは最も高い所に位置付けられることが好ましい。
【0034】
本開示において布帛(F)の形状に特に制限はない。布帛(F)の形状は図示する形態(図2(B)参照)のように帯状のものに制限されるものではない。
【0035】
(引張機構)
本開示において「引張機構」は、導電性ブロック上に配置され得る布帛を少なくとも1方向に引っ張ることができる機構、構造または構成を意味する。布帛を引っ張る方向は、特に制限なく、例えば図1および図3の矢印で示すDおよび/またはDの方向あるいは図4図13に示すX軸方向(又は左右方向)であっても、図1および図3の矢印で示すDおよび/またはDの方向に垂直な方向あるいは図4~13に示すZ軸方向(又は上下方向)であってもよい。布帛(F)を上下方向(Z軸方向)に引っ張る場合にはモータなどの駆動手段を使用して導電性ブロック(2)を上下方向(Z軸方向)に昇降させればよい。
【0036】
例えば図2(B)に示すように帯状の布帛(F)の2つの端部(Ta,Tb)を左右方向(Dおよび/またはDの方向あるいはX軸方向)に引っ張ることができる機構として、例えば図1および図3に符号3で示すような移動ステージなどの移動部材を用いた引張機構を使用してよい(より具体的には図4および図14参照)。
【0037】
(移動部材)
本開示において「移動部材」とは、布帛の端部を配置して固定することができ、その位置が変位することによって、例えば可動式で移動することができ、ひいては布帛を引っ張ることができる部品または部材を意味する。移動部材として例えば図1および図3において符号3で示される移動ステージを使用してよい(図14参照)。
【0038】
例えば図1に示すように2つの移動ステージ(3a,3b)を使用した引張機構によって、互いに逆向きの2方向(例えば矢印で示すDおよびDの方向)に布帛を引っ張ることができる。布帛を互いに逆向きに引っ張ることで測定ポイント(P)における布帛のズレを有意に抑制することができる。ひいては表面電位をより安定して測定することができる。2つの移動ステージ(3a,3b)は互いに対向して配置されることが好ましい。
【0039】
あるいは図3に示すように1つの移動ステージ(3)だけを使用して1方向(例えば矢印で示すDの方向)にだけ布帛(F)を引っ張ってもよい。このような場合においても導電性ブロック(2)が存在することから測定ポイント(P)において布帛のズレを有意に抑制することができる。ひいては表面電位をより安定して測定することができる。
【0040】
本開示において引張機構は布帛の引張および弛緩を繰り返すことができるように構成されていてよい。このような引張機構を有することによって一定の距離および周期を保ちながら、布帛の表面電位を測定することができる。特に布帛が圧電性布帛である場合、布帛の引張および弛緩の間、換言すると布帛の伸縮の間に布帛に発生し得る表面電位を測定することができる。尚、このような圧電性布帛の表面電位の測定は従来の測定装置では極めて困難であった。
【0041】
移動ステージなどの移動部材の形状や寸法に特に制限はなく、例えば図4図13に示すように装置本体にスライド可能に結合(又は係合又は嵌合)するような形状および寸法を移動ステージが有することが好ましい。例えば移動ステージは板状の形状を有していてよい(図14参照)。
【0042】
(固定部材)
移動ステージなどの移動部材や装置本体に布帛の端部をより確実に固定するための手段として固定部材を使用してよい。
【0043】
説明の便宜上、図1に示す引張機構において布帛(F)の一方の端部(Ta)(以下、「第1端部」とよぶ場合もある)を移動ステージ(3a)(以下、「第1ステージ」とよぶ場合もある)に固定するための固定部材を「第1固定部材」と称する。
図1に示す引張機構において布帛(F)の他方の端部(Tb)(以下、「第2端部」とよぶ場合もある)を移動ステージ(3b)(以下、「第2ステージ」とよぶ場合もある)に固定するための固定部材を「第2固定部材」と称する。
図3に示す引張機構において布帛(F)の一方の端部(Ta)を移動ステージ(3)(以下、「第3ステージ」とよぶ場合もある)に固定するための固定部材を「第3固定部材」と称する。
図3に示す引張機構において布帛(F)の他方の端部(Tb)を装置本体(1)に固定するための固定部材を「第4固定部材」と称する。
【0044】
固定部材の形状および寸法に特に制限はない。固定部材は例えば板状の形状を有していてよい。より具体的には、板状の形状を有する固定部材と、同じく板状の形状を有する移動ステージとを組み合わせて、それらの間に布帛を挟持することで布帛を固定してよい(図16参照)。
【0045】
例えば図4図14、特に図14に示す通り、板状の移動ステージ(3)と板状の固定部材(4)とを組み合わせて使用し、それらの間に布帛を挟持することで移動ステージ(3)に布帛を配置して固定してよい(図16参照)。例えば図14において破線は移動ステージ(3)において固定部材(4)が配置され得る位置を示す。ネジやボルト-ナットなどの締結具を使用して移動ステージ(3)と固定部材(4)とを互いに結合させてよい(図15および図16参照)。
【0046】
移動ステージ(3)および固定部材(4)の互いに対向する面には相補的に係合および/または嵌合することができる凹凸を設けてよい。このような凹凸を設けることでより確実に布帛を配置して固定することができる。例えば図14に示す通り、移動ステージ(3)に凹部として溝(3g)を設け、固定部材(4)に凸部として隆起部(4p)を設けてよい。移動ステージ(3)に設けられ得る凹部および固定部材(4)に設けられ得る凸部の形状に特に制限はない。
あるいは、移動ステージ(3)に凸部を設け、固定部材(4)に凹部を設けてもよい。
あるいは、移動ステージ(3)に凸部および凹部の両方を設け、固定部材(4)にも凸部および凹部の両方を設けてそれらを互いに係合および/または嵌合させてもよい。
【0047】
(測定電極)
測定電極は、接地電極として機能し得る導電性ブロックと対となって布帛の表面電位を測定するための電極を意味する。従って、測定電極は導電性ブロックと対となって電位を測定することができるものであればその種類に特に制限はない(図1および図3参照)。測定電極は、例えば電気力顕微鏡(Electric Force Microscope (EFM))のプローブまたは探針であってよい。測定電極はカンチレバーに設けられていてよい。
【0048】
(カンチレバー)
カンチレバーは、概して、一端が固定端であり、他端が自由端とされる構造体を意味する。カンチレバーとして、例えば顕微鏡のカンチレバーを使用してよい。カンチレバーとして走査顕微鏡のカンチレバーを使用することができる。カンチレバーとして電気力顕微鏡のカンチレバーを使用することがより好ましい。このようなカンチレバーの自由端には測定電極が設けられている。電気力顕微鏡のプローブまたは探針がカンチレバーの自由端に設けられていることが好ましい。
【0049】
(圧電性布帛)
「圧電性布帛」は、例えば、以下にて説明する圧電繊維を含んで成る織物、編物、不織布などの布帛を意味する。尚、布帛は圧電性布帛に限定されるものではない。
【0050】
「織物」として、平織(plain weave)、綾織(twill weave)、朱子織(satin weave)などの基本的な織物が挙げられるが、これらに限定されず、あらゆる種類の織物を使用してよい。織物として以下にて説明する圧電繊維を含んで成る織物を使用することが好ましい。
【0051】
「編物」として、緯編み(ヨコ編み)や経編み(タテ編み)等の基本的な編物が挙げられるが、これらに限定されず、あらゆる種類の編物を使用してよい。編物として以下にて説明する圧電繊維を含んで成る編物を使用することが好ましい。
【0052】
「不織布」として、特に制限はなく、従来公知の不織布および以下にて説明する圧電繊維を含んで成る不織布などを使用することができる。
【0053】
(圧電繊維)
本開示において「圧電繊維」とは、外部からのエネルギーにより電荷を発生して電位を発生させること、および電場を形成することができる繊維(又はフィラメント)を意味する(以下、「電位発生繊維(又はフィラメント)」、「電荷発生繊維(又はフィラメント)」または「電場形成繊維(又はフィラメント)」あるいは単に「繊維」または「フィラメント」と呼ぶ場合もある)。
【0054】
「外部からのエネルギー」として、例えば、外部からの力(以下、「外力」と称する場合もある)、具体的には繊維に変形もしくは歪みを生じさせるような力および/または繊維の軸方向にかかる力、より具体的には、張力(例えば繊維の軸方向の引張力)および/または応力もしくは歪力(繊維にかかる引張応力もしくは引張歪み)および/または繊維の横断方向にかかる力などの外力が挙げられる。
【0055】
繊維は、長繊維であっても、短繊維であってもよい。繊維は、例えば0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1mm以上、さらにより好ましくは10mm以上または20mm以上または30mm以上の長さ(又は寸法)を有してよい。長さは、所望の用途に応じて、適宜、選択すればよい。長さの上限の値に特に制限はなく、例えば10000mm、100mm、50mmまたは15mmである。
【0056】
繊維の太さ、すなわち単繊維径に特に制限はなく、繊維の長さに沿って、同一(又は一定)であっても、同一でなくてもよい。繊維は、例えば0.001μm(1nm)~1mm、好ましくは0.01μm~500μm、より好ましくは0.1μm~100μm、特に1μm~50μm、例えば10μmまたは30μmなどの単繊維径を有してよい。単繊維径は、所望の用途に応じて、適宜、選択すればよい。
【0057】
繊維の形状、特に断面形状に特に制限はないが、例えば円形、楕円形、または異形の断面を有していてよい。円形の断面形状を有することが好ましい。
【0058】
繊維は、圧電効果(外力による分極現象)または圧電性(機械的ひずみを与えたときに電圧を発生する、あるいは逆に電圧を加えると機械的ひずみを発生する性質)を有する材料(以下、「圧電材料」又は「圧電体」と称する場合もある)を含んで成ることが好ましい。
【0059】
圧電材料は、圧電効果または圧電性を有する材料であれば特に制限なく使用することができ、圧電セラミックスなどの無機材料であっても、ポリマーなどの有機材料であってもよい。
【0060】
圧電材料は、「圧電性ポリマー」を含んで成ることが好ましい。
圧電性ポリマーとして、「焦電性を有する圧電性ポリマー」や、「焦電性を有していない圧電性ポリマー」などが挙げられる。
【0061】
「焦電性を有する圧電性ポリマー」とは、概して、焦電性を有し、例えば温度変化を与えることで、その表面に電荷を発生させることもできるポリマー材料(高分子材料又は樹脂材料)から成る圧電材料を意味する。このような圧電性ポリマーとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。特に、人体の熱エネルギーによって、その表面に電荷を発生させることができるものが好ましい。
【0062】
「焦電性を有していない圧電性ポリマー」とは、概して、ポリマー材料(高分子材料又は樹脂材料)から成り、上記の「焦電性を有する圧電性ポリマー」を除く圧電性ポリマー(以下、「高分子圧電体」と称する場合もある)を意味する。このような圧電性ポリマーとして、例えば、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。
ポリ乳酸(PLA)としては、L体モノマーが重合したポリ-L-乳酸(PLLA)(換言すると、実質的にL-乳酸モノマー由来の繰り返し単位のみからなる高分子)や、D体モノマーが重合したポリ-D-乳酸(PDLA)(換言すると、実質的にD-乳酸モノマー由来の繰り返し単位のみからなる高分子)およびそれらの混合物などが知られている。
【0063】
ポリ乳酸(PLA)として、L-乳酸および/またはD-乳酸と、このL-乳酸および/またはD-乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマーを使用してもよい。
【0064】
また、「ポリ乳酸(実質的にL-乳酸およびD-乳酸から成る群から選択されるモノマー由来の繰り返し単位からなる高分子)」と「L-乳酸および/またはD-乳酸と、このL-乳酸および/またはD-乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」との混合物を使用してもよい。
【0065】
本開示では上記のポリ乳酸を含む高分子を「ポリ乳酸系高分子」と称する。換言すると、「ポリ乳酸系高分子」とは、「ポリ乳酸(実質的にL-乳酸およびD-乳酸から成る群から選択されるモノマー由来の繰り返し単位からなる高分子)」、「L-乳酸および/またはD-乳酸と、このL-乳酸および/またはD-乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」およびそれらの混合物などを意味する。
【0066】
ポリ乳酸系高分子のなかでも特に「ポリ乳酸」が好ましく、L-乳酸のホモポリマー(PLLA)およびD-乳酸のホモポリマー(PDLA)を使用することが最も好ましい。
【0067】
ポリ乳酸系高分子は、結晶性部分を有していてよい。あるいはポリマーの少なくとも一部が結晶化していてよい。ポリ乳酸系高分子として、圧電性を有するポリ乳酸系高分子、換言すると圧電ポリ乳酸系高分子、特に圧電ポリ乳酸を使用することが好ましい。
【0068】
ポリ乳酸(PLA)は、キラル高分子であり、主鎖が螺旋構造を有する。ポリ乳酸は、一軸延伸されて分子が配向すると、圧電性を発現することができる。さらに熱処理を加えて結晶化度を高めることで圧電定数を高めておいてもよい。換言すると「結晶化度」に応じて「圧電定数」を高くすることができる(「ポリ乳酸を用いた固相延伸フィルムの高圧電性発現機構の検討」,静電気学会誌,40,1 (2016) 38-43参照)。
【0069】
ポリ乳酸(PLA)の光学純度(エナンチオマー過剰量(e.e.))は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%)={|L体量-D体量|/(L体量+D体量)}×100
例えば、D体およびL体のいずれにおいても、光学純度は、90重量%以上、好ましくは95重量%以上または97重量%以上、より好ましくは98重量%以上100重量%以下、さらにより好ましくは99.0重量%以上100重量%以下、特に好ましくは99.0重量%以上99.8重量%以下である。ポリ乳酸(PLA)のL体量とD体量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法により得られる値を用いることができる。
【0070】
ポリ乳酸(PLA)の結晶化度は、例えば15%以上、好ましくは35%以上、より好ましくは50%以上、さらにより好ましくは55%以上100%以下である。結晶化度は、高ければ高い程よいが、染着性の観点から、例えば35%以上50%以下、好ましくは38%以上50%以下であってよい。
【0071】
結晶化度は、例えば示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)(例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製のDSC7000X)を用いる方法、X線回折法(XRD:X-ray diffraction)(例えば、株式会社リガク製のultraX 18を用いたX線回折法)、広角X線回折測定(WAXD:Wide Angle X-ray Diffraction)などの測定方法により決定することができる。なお、本開示において、WAXDを用いて測定された結晶化度の測定値と、DSCを用いて測定された結晶化度の測定値は、約1.5倍異なる知見(DSC測定値/WAXD測定値≒1.5)が得られている。
【0072】
ポリ乳酸系高分子以外にも、例えば、ポリペプチド系(例えば、ポリ(グルタル酸γ-ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ-メチル)等)、セルロース系(例えば、酢酸セルロース、シアノエチルセルロース等)、ポリ酪酸系(例えば、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)等)、ポリプロピレンオキシド系などの光学活性を有する高分子およびその誘導体などを高分子圧電体として使用してもよい。
【0073】
本開示の電位発生繊維または電位発生フィラメントにおいて、好ましくは、可塑剤および/または滑剤等の添加剤は入っていない。一般的に、電位発生繊維または電位発生フィラメントにおいて添加剤が含有されていると、表面電位が発生し難い傾向にあることが分かっている。そこで、適切に表面電位を発生させるため、電位発生繊維または電位発生フィラメントには添加剤を含有させないことが好ましい。本明細書でいう「可塑剤」とは、電位発生繊維または電位発生フィラメントに柔軟性を与えるための材料であり、「滑剤」とは、圧電性の糸の分子の滑りを向上させる材料である。具体的には、ポリエチレングリコール、ヒマシ油系脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ステアリン酸アマイドおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル等を意図している。これらの材料が本開示の電位発生繊維または電位発生フィラメントに含有されていない。
【0074】
本開示の電位発生繊維または電位発生フィラメントは、加水分解防止剤を含有してよい。特に、ポリ乳酸(PLA)に対する加水分解防止剤を含有してよい。加水分解防止剤の一例として、カルボジイミドを含有してよい。より好ましくは環状カルボジイミドを含有してよい。より具体的には、特許5475377号に記載の環状カルボジイミドとしてもよい。このような環状カルボジイミドによれば、高分子化合物の酸性基を有効に封止することができる。なお、環状カルボジイミド化合物に対し、高分子の酸性基を有効に封止できる程度にカルボキシル基封止剤を併用してもよい。かかるカルボキシル基封止剤としては、特開2005-2174号公報記載の剤、例えば、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物および/またはオキサジン化合物、などが例示される。
【0075】
以下、加水分解防止剤の役割について説明する。従来から一般的に知られたPLAを含有する繊維またはフィラメント(表面電位を発生させない繊維またはフィラメント)は、PLAの加水分解によって酸が発生し、当該酸が菌に作用することによって抗菌効果を奏していた。そのため、PLAに加水分解が起きると繊維またはフィラメントの劣化が生じていた。しかしながら、本開示の電位発生繊維または電位発生フィラメントは、抗菌メカニズムが従来と異なり、上述したとおり表面電位を発生させることによって抗菌効果を奏するため、加水分解を起こす必要はない。さらに、本開示の電位発生繊維または電位発生フィラメントは加水分解防止剤を含有するため、繊維またはフィラメントに加水分解が起きることを防止して繊維またはフィラメントの劣化を抑えることが可能となる。
【0076】
繊維は、複数の繊維を引きそろえた糸(引きそろえ糸または無撚糸)として、あるいは撚りをかけた糸(撚り合わせ糸または撚糸)として、捲縮をかけた糸(捲縮加工糸または仮撚糸)、紡いだ糸(紡績糸)として布帛に含まれていてよい。
【0077】
本開示において使用することができる布帛に含まれ得る繊維は上記のものに限定されない。
【0078】
本開示の装置では表面電位の有無を確認するために通常または既存の織物、編物、不織布などの布帛を使用してもよい。また、本開示の装置では、布帛だけでなく、糸(1本)や糸束の表面電位も布帛と同様に測定することができる。
【0079】
以下、本開示の一実施形態に係る電位測定装置について、図4図13を参照しながら詳説する。
【0080】
(実施形態)
図4図13に本開示の一実施形態に係る電位測定装置10を示す(以下、「装置10」と称する)。
図4は装置10の上面図であり、図5は装置10を正面側から見た斜視図であり、図6は装置10を全体的に示す斜視図であり、図7は装置10を左側から見た斜視図であり、図8は装置10を右側から見た斜視図であり、図9は装置10の背面図であり、図10は装置10の底面図であり、図11は装置10の左側面図であり、図12は装置10の右側面図であり、図13は装置10の背面から見た斜視図である。
【0081】
装置10は、布帛などの表面電位を測定することができる測定装置である。装置10は、接地電極として機能し得る導電性ブロック2を備え、この導電性ブロック2上に配置することができる布帛を少なくとも1方向に引っ張ることが可能な引張機構を有する(図1参照)。図示する形態では布帛をX軸方向(例えば図4に示すXおよび/またはXの方向)に引っ張ることができる。
【0082】
装置10は、導電性ブロック2に押し付けるように布帛を湾曲状に引っ張ることができる(図2(B)および図16参照)。導電性ブロック2が接地電極として機能し得ることから布帛を導電性ブロック2に押し付けることでより安定して布帛の表面電位を測定することができる。
【0083】
装置10において布帛が配置され得る導電性ブロック2の主面は曲面を成している。より具体的には、導電性ブロック2の主面のX軸方向の断面視によると、電性ブロック2の主面は曲線で描かれている。換言すると、導電性ブロック2の主面が湾曲している。ここで導電性ブロック2の主面のX軸方向の断面視の形状は、角部が丸められた台形の形状を有していてもよい。このような形状によって、導電性ブロック2に布帛を押し付けたとき、測定ポイント(P)において布帛のズレを抑制することができる。ひいては、より安定して布帛の表面電位を測定することができる。
【0084】
装置10では、引張機構によって、互いに逆向きの2方向に布帛を引っ張ることができる(例えば図1および図16参照)。より具体的には、図4に示すXの方向およびXの方向に布帛を引っ張ることができる。布帛を互いに逆向きの2方向に引っ張ることによって、導電性ブロック2の上側に位置する測定ポイント(P)において、布帛のズレをより顕著に抑制することができる。ひいては、より安定して布帛の表面電位を測定することができる。
【0085】
装置10では、引張機構によって、布帛の引張および弛緩を繰り返すことができる。換言すると、布帛を一定の間隔および/または一定の周期で伸縮させることができる。また、その間に布帛の表面電位を測定することができる。例えば、圧電繊維を含んで成る圧電性布帛において、布帛の伸縮とともに布帛の表面電位を測定することができる。換言すると、布帛の伸縮と表面電位との相関関係を確認することができる。
【0086】
布帛の変位量は、例えば0.1%以上65%以下である。
【0087】
布帛の変位速度は、例えば0.1mm/sec以上50mm/sec以下である。
【0088】
引っ張る周期は、例えば0.1Hz以上10Hz以下である。
【0089】
装置10では、引張機構として、導電性ブロック2の両側に配置され得る2つの移動ステージ(3a,3b)と、この2つの移動ステージの一方(3a)に布帛の一方の端部(Ta)を固定するための第1固定部材(4a)と、この2つの移動ステージの他方(3b)に布帛の他方の端部(Tb)を固定するための第2固定部材(4b)とを少なくとも有する(図4参照)。2つの移動ステージ(3a,3b)が互いに逆向きに対向して動くことで布帛を同時に逆向きに引っ張ることができる。より具体的には2つの移動ステージ(3a,3b)がX軸に沿って互いに逆向きにそれぞれXおよびXの方向に動くことで布帛を同時に逆向きに引っ張ることができる。
【0090】
移動ステージ(3a,3b)および固定部材(4a,4b)は、それぞれ板状の形状を有することが好ましい。例えば図14に示すように移動ステージ3と固定部材4はそれぞれ必要に応じて対応し得る複数の孔(3h,4h)を介してネジまたはボルト-ナットなどの締結具によって互いに結合可能(又は係合可能または嵌合可能)である。尚、図14に示す移動ステージ3および固定部材4は、図4図13に示す移動ステージ3aおよび固定部材4aに対応し得るものである。図4図13に示す移動ステージ3bおよび固定部材4bは、それぞれ図14に示す移動ステージ3および固定部材4と左右対称に形成され得る。また、図14に示す移動ステージ3および固定部材4は移動ステージ3の破線で示す部分に固定部材4を配置することができるように構成されている。このように構成された移動ステージ3と固定部材4との間に布帛を挟持することで布帛の端部を移動ステージ3に配置して固定することができる(図16参照)。このとき移動ステージ3の溝3gと固定部材4の隆起部4pとが相補的な形状を有することによって、より確実に布帛の端部を固定することができる(図16参照)。
【0091】
図4図13に示す2つの移動ステージ(3a,3b)は、それぞれ装置本体1に対して移動可能な様式で装置本体1に結合(又は係合又は嵌合)している。2つの移動ステージ(3a,3b)は、好ましくは、それぞれ装置本体1にスライド可能に結合(又は係合又は嵌合)している。2つの移動ステージ(3a,3b)をスライド可能に動かすために本体1にレールを設けたり、移動ステージ(3a,3b)の装置本体1と対向する側の面に本体1に設けたレールに対応し得る相補的な形状を有する溝を有する部品や部材を設けたり、移動ステージ(3a,3b)の装置本体1と対向する側の面に車輪を設けてもよい。
【0092】
2つの移動ステージ(3a,3b)は、互いに連動して動くことが好ましい。例えば、X軸に沿って、互いに離間するように動くことが好ましい。また、X軸に沿って、互いに近づくように動くことが好ましい。より好ましくはX軸に沿って、互いに離間したり、互いに近づくように往復運動することが好ましい。
【0093】
装置10では、2つの移動ステージ(3a,3b)が往復運動することによって布帛の引張および弛緩を行うことができる。好ましくは周期的に布帛の引張および弛緩を繰り返し行うことができる。
【0094】
あるいは、2つの移動ステージ(3a,3b)を連動させることなく、2つの移動ステージのいずれか一方を停止し、好ましくは固定することによって、2つの移動ステージの他方のみ動かしてもよい。そうすることで図3に示す態様と同様に一方向に布帛を引っ張ることができる。装置10では、このような場合であっても、安定して布帛の表面電位を測定することができる。
【0095】
2つの移動ステージ(3a,3b)は、それぞれ、X軸に沿って、例えば0.1mm以上16mm以下の範囲内で動くことができる。
【0096】
装置10は、2つの移動ステージ(3a,3b)を動かすための駆動モータ5を有していてよい(図7図12参照)。駆動モータ5は本体1の下側(図示する形態ではZの方向)に配置されることが好ましい(図9図12参照)。駆動モータ5は本体1と台座(以下、「ベース」とよぶ場合もある)9との間に配置されることがより好ましい(図11および図12参照)。台座9は駆動モータを支持するための上部台座9aと装置10を設置するための下部台座9bとから構成されていてよい(図11および図12参照)。上部台座9aと本体1の間には複数の支柱(11a,11b)が介在していてよい(図9図11および図12参照)。さらに上部台座9aには装置10を持ち運ぶためのハンドル12が設けられていてよい(図9および図10参照)。ハンドル12を設ける位置に特に制限はない。駆動モータ5は電力を供給するためのケーブル14を有していてよい(図4図8および図10参照)。
【0097】
駆動モータ5は装置本体1を横切る方向、例えば図4に示すY軸に沿って配置されることが好ましい。駆動モータ5は、例えば図4に示すY軸に沿って、シャフト13を有していてよい(図10図12参照)。シャフト13は、例えば図10に示すY軸に沿って動くことができる。より具体的には、シャフト13は、YおよびYの方向に動くことができ、より好ましくはYおよびYの方向に往復運動することができる。
【0098】
駆動モータ5のシャフト13には可動部6が取り付けられていてよい。可動部6は、駆動モータのケース上をスライドすることが可能な第1可動部6aと、第1可動部6aに結合され得る第2可動部6bとから構成されていてよい(図10図11および図12参照)。第1可動部6aおよび第2可動部6bの形状や寸法に特に制限はない。第1可動部6aは側面またはY軸に沿う断面がL字形などの形状を有していてよい(図11および図12参照)。第2可動部6bは板状またはブロック状などの形状を有していてよい(図6図8参照)。
【0099】
装置10は、駆動モータ5に取り付けられた可動部6、より具体的には第2可動部6bと、移動ステージ(3a,3b)とを連結する複数のアームまたはリンク(7a,7b)を有していてよい。アーム(7a,7b)は、その一方の端部が移動ステージ(3a,3b)と回転可能に結合(又は係合又は嵌合)され、アーム(7a,7b)の他方の端部は第2可動部6bと回転可能に結合(又は係合又は嵌合)されていてよい。このようなアーム(7a,7b)を使用することによって、駆動モータ5のY軸に沿う運動を移動ステージ(3a,3b)のX軸に沿う運動に変換することができる(図4参照)。2つのアーム(7a,7b)は、2つの移動ステージ(3a,3b)を互いに対向させてX軸に沿う方向に同時に動かすことができる。
【0100】
アーム(7a,7b)の形状および寸法に特に制限はない。アーム(7a,7b)は、板状の形状を有することが好ましい。板状のアーム(7a,7b)の角部は丸められていてよく、好ましくは上面視で楕円形(又は卵型又はオーバル形)の形状を有することが好ましい。アーム(7a,7b)が楕円形の形状を有することによって、アーム(7a,7b)が第2可動部6bの結合部において互いに接触して干渉することを回避することができる。
【0101】
装置10は、移動ステージ(3a,3b)と、導電性ブロック2との間にテンションバー(8a,8b)を備えていてよい(図4図15および図16参照)。テンションバー(8a,8b)は、布帛を導電性ブロック2に押し付けことを助力することができる。テンションバー(8a,8b)を設けることで導電性ブロック2の主面、特に測定ポイント(P)での布帛の移動を抑制または制限することができる。また、テンションバー(8a,8b)を設けることでより確実に導電性ブロック2の主面を布帛と接触させることができ、より確実にGNDを形成することができる。ひいては、より安定して布帛の表面電位を測定することができる。また、テンションバー(8a,8b)を設けることによって布帛が導電性ブロック2を上側からZからZの方向に押圧する力、換言すると導電性ブロック2が布帛を下側からZからZの方向に押圧する力をより適切に調節することができる。
【0102】
装置10は、布帛が配置され得る導電性ブロック2の主面に対して法線方向(又はZ軸方向、より具体的にはZ方向)に布帛を引っ張る又は押し上げることができるように構成されていてよい(図11図12参照)。換言すると、装置10は、布帛が配置され得る導電性ブロック2の主面に対して法線方向(又はZ軸方向、より具体的にはZ方向)に布帛を押圧することができるように構成されていてよい。図4図13に示す実施形態では、導電性ブロック2は支持台に載せられて高さを調節するための複数のポールを介して装置本体1に取り付けられているが、導電性ブロック2を載せる支持台を昇降させるためにポールを可動式とすることで高さ方向(又はZ軸方向、より具体的にはZおよび/またはZ方向)に導電性ブロック2を昇降させることができる。導電性ブロック2は一定の距離および/または一定の周期で動かしてもよい。より好ましくは導電性ブロック2を往復運動させてよい。そうすることで布帛を導電性ブロック2の主面に対して法線方向(又は高さ方向又はZ軸方向、より具体的にはZ方向)に引っ張る又は押し上げることができる。例えばモータなどの昇降器を使用して導電性ブロック2をZ軸に沿って上下させてもよい。
【0103】
このようにして導電性ブロック2は、Z軸に沿って、例えば0.1mm以上16mm以下の範囲内で動くことができる。
【0104】
支持台および高さを調節するためのポールは導電性であることが好ましく、それぞれアルミニウムなどの金属またはステンレス鋼などの合金から形成されることがより好ましい。
【0105】
導電性ブロック2は、導電性の高い金、銀、銅、白金などの金属製であってもステンレス鋼などの合金から形成されていてもよい。導電性ブロックは金属を含んで成ることが好ましく、銅から構成されることがより好ましい。
【0106】
装置10は、導電性ブロック2と対向するように設けられる測定電極50をさらに有していてよい(図1参照)。測定電極50は、接地電極として機能し得る導電性ブロック2と対となって布帛の表面電位をより安定して測定することができる。測定電極50が電気力顕微鏡(EFM)のプローブであることが好ましい。このような測定電極50を備えることによって、装置1は、例えば0V以上1kV以下、好ましくは0.5V以上1kV以下の範囲で布帛の表面電位を測定することができる。
【0107】
装置10は、測定電極50が設けられたカンチレバー40をさらに備えることが好ましい(図1参照)。カンチレバー40を使用することによって、より正確に測定電極50を測定ポイント(P)の上方に配置することができ、より正確に布帛の表面電位を測定することができる。
【0108】
布帛は圧電性布帛であることが好ましい。圧電性布帛がポリ乳酸を含んで成る圧電繊維を含むことがより好ましい。
尚、従来の装置では、圧電性布帛、なかでも圧電性布帛がポリ乳酸を含む場合、特にポリ乳酸を含んで成る繊維またはその糸から構成され得る圧電性布帛、特にニットなどの編物については、その表面電位を安定して測定することは困難であった。しかし、本開示の装置によると、このような圧電性布帛であっても、より安定して表面電位を測定することができる。
【0109】
(別の実施形態)
本開示の装置は、別の実施形態として、例えば図3に示すような一方向に布帛を引っ張ることができる装置であってもよい。例えば、引張機構として、導電性ブロック2の片側に配置され得る移動ステージ3と、この移動ステージ3に布帛(F)の一方の端部(Ta)を固定するための第3固定部材(図示せず)と、布帛(F)の他方の端部(Tb)を装置本体1に固定するための第4固定部材(図示せず)とを有していてよい。
ここで、移動ステージ3は、装置10の移動ステージ(3a,3b)と同様のものを使用することができ、第3固定部材も装置10の固定部材(4a,4b)と同様のものを使用することができる。
布帛(F)の他方の端部(Tb)を装置本体1に固定する位置に特に制限はない。装置本体1にアンカーなどの固定部材を第4固定部材として装置本体1に別途に設けてもよい。あるいは、第4固定部材として、装置10の固定部材(4a,4b)と同様のものを使用してもよい。
このような実施形態では、移動ステージ3が動くことで布帛(F)を一方向に引っ張ることができる。
このような実施形態によると、より少ない部品点数でより簡便に布帛の表面電位を安定して測定することができる。
【0110】
本開示の装置は、別の実施形態として、糸または糸束の表面電位を測定することができる測定装置に関する。当該電位測定装置は、接地電極として導電性ブロック(2)を備え、この導電性ブロック(2)上に配置した前記糸または糸束を少なくとも1方向に引っ張ることが可能な引張機構を有する。
【0111】
この態様では上記の実施形態で使用することができる引張機構を特に制限なく使用することができる。当該装置によると、糸または糸束の表面電位を布帛と同様に安定して測定することができる。
【0112】
糸として圧電繊維を含んで成る糸が好ましい。糸としてポリ乳酸を含んで成る圧電繊維を含んで成る糸がより好ましい。糸束は例えば圧電繊維を含んで成る糸をそろえて束にしたものや編んだものであってよい。糸束に含まれる繊維の数に特に制限はない。
【0113】
本開示の装置は、いずれも組立式であってよい。換言すると、本開示の装置は、いずれも分解可能であってよい。
【0114】
本開示の装置は、上記で例示した実施形態に限定されるものではない。
【実施例0115】
(実施例1)
図4図13に示す装置に以下の布帛を固定し、以下の条件で布帛の表面電位を測定した(図16参照)。
・布帛
圧電繊維を含んでなる布帛:シングルニット 46G 天竺
前処理として、一般財団法人 繊維評価技術協議会により定められたSEKマーク繊維製品の洗濯方法(標準洗濯法)に準じ、布帛に洗濯処理を行った。
この布帛には、圧電繊維を含む84T72 無撚糸が使用されていた。
この糸は、PLLAの圧電繊維(光学純度99%以上、結晶化度38%、結晶サイズ13nm、配向度94%のポリ乳酸)を含む無撚糸(フィラメント数:72本、フィラメント径:10μm、糸の径:0.1mm)であった。
・測定条件
変位量:5%(予備伸長:15%、測定時の伸長:5%)
変位速度:20mm/sec
測定回数N=1
【0116】
測定した表面電位を図17に示す。
【0117】
(実施例2)
図4図13に示す装置に以下の糸を固定し、以下の条件で糸の表面電位を測定した。
・糸
圧電繊維を含んで成る糸:T16 84T24 Z1000T(85℃40分 スチームセットあり)
この糸は、PLLAの圧電繊維(光学純度99%以上、結晶化度44%、結晶サイズ13.5nm、配向度90%のポリ乳酸)を含むZ糸(フィラメント数:24本、フィラメント径:19μm、糸の径:0.1mm)であり、前処理としてIPAで2分間の浸漬処理を行った。
・測定条件
変位量:1%(予備伸張:0%、測定時の伸張:1%)
変位速度:0.1mm/sec
測定回数N=5
【0118】
表面電位の測定は、カンチレバーに電気力顕微鏡:トレック社製、Model 1100TNのプローブを測定電極として設け、この測定電極と銅製の導電性ブロックとの間で行った。
【0119】
糸の表面電位を測定した結果を図19のグラフに示す。
図19に示すグラフから糸の表面電位は+0.7Vから+2.9V(平均1.9V)であることがわかった。尚、この糸の表面電位の値は、従来のように糸を導電体にカバリングして電気力顕微鏡で測定した値とほぼ同じであった。
【0120】
本開示の装置は上記で例示した実施例に限定して解釈されるべきではない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示の装置は、例えば、織物、編物、不織布などの布帛の表面電位の測定に利用することができる。特に本開示の装置は圧電繊維を含んで成る布帛の表面電位の測定に利用することができる。本開示の装置は、圧電繊維を含んで成る糸または糸束の表面電位も測定することができる。本開示の装置は、布帛、繊維、糸などの表面電位に基づく抗菌試験などにも利用することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 本体(又は装置本体)
2 導電性ブロック
3 移動部材/移動ステージ
4 固定部材
5 駆動モータ
6 可動部
7 アーム/リンク
8 テンションバー
9 台座/ベース
10 装置
11 支柱
12 ハンドル
13 シャフト
14 ケーブル
40 カンチレバー
50 測定電極
F 布帛/ファブリック
P 測定ポイント
T 端部
図1
図2
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