(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161850
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】高電圧バッテリ構成要素及び高電圧バッテリ構成要素を設置するための方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6551 20140101AFI20221014BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221014BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20221014BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20221014BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20221014BHJP
【FI】
H01M10/6551
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6567
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055860
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10 2021 108 761.9
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ケルナー
(72)【発明者】
【氏名】イマニュエル フォーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ディーター シーベル
(72)【発明者】
【氏名】ザッシャ モストフィ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン スタルチェフスキー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー フォルクマー
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031KK01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高電圧バッテリ構成要素及び高電圧バッテリ構成要素を設置するための方法を提供する。
【解決手段】冷却剤のための冷却剤ラインを高電圧バッテリのヒートシンク(3)に接続するための接続デバイス(2)を含む高電圧バッテリ構成要素(1)であって、接続デバイス(2)は、ヒートシンク(3)に接続可能な接続部分(4)の端部に配置される、接続部分(4)とヒートシンク(3)との間にシールを提供するための封止要素(5)と、接続デバイス(2)の接続部分(4)可動である拡大部分(6)は、接続部分(4)に押し込むことで、接続部分(4)をヒートシンク(3)に挿入するための挿入位置から封止位置(22)に移行され、封止位置(22)において、拡大部分(6)は、封止要素(5)を径方向外側に拡げ、封止要素(5)は、接続部分(4)がヒートシンク(3)に差し込まれ、ヒートシンク(3)に対して封止して配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に少なくとも部分的に電気駆動される車両のための高電圧バッテリ構成要素(1)であって、冷却剤のための少なくとも1つの冷却剤ライン(10)を高電圧バッテリのヒートシンク(3)に接続するための接続デバイス(2)を含み、前記接続デバイス(2)は、前記ヒートシンク(3)に接続可能な少なくとも1つの接続部分(4)と、前記接続部分(4)の端部に配置される、前記接続部分(4)と前記ヒートシンク(3)との間にシールを提供するための少なくとも1つの封止要素(5)とを有する、高電圧バッテリ構成要素(1)において、前記接続デバイス(2)は、前記接続部分(4)に対して可動である少なくとも1つの拡大部分(6)を含むことと、前記拡大部分(6)は、前記接続部分(4)に押し込むことにより、前記接続部分(4)を前記ヒートシンク(3)に挿入するための挿入位置(12)から封止位置(22)に移行され得ることと、前記封止位置(22)において、前記拡大部分(6)は、前記封止要素(5)を径方向外側に拡げ、それにより、前記封止要素(5)は、前記接続部分(4)が前記ヒートシンク(3)に差し込まれるとき、前記ヒートシンク(3)に対して封止して配置され得ることとを特徴とする高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項2】
前記冷却剤ライン(10)は、前記接続部分(4)及び/又は前記拡大部分(6)に取り付けられ得る、請求項1に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項3】
前記拡大部分(6)は、冷却剤が流れることができる少なくとも1つの拡大部分チャネル(16)を有し、前記拡大部分チャネル(16)は、流れに関して、直接又は前記接続部分(4)を介して間接的に前記冷却剤ライン(10)に接続される、請求項1又は2に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項4】
前記接続部分(4)は、冷却剤が流れることができる少なくとも1つの接続部分チャネル(14)を有し、前記拡大部分(6)は、少なくとも前記封止位置(22)では、前記接続部分チャネル(14)内において少なくとも部分的に延び、前記冷却剤ライン(10)は、前記接続部分(4)に接続され得、それにより、前記拡大部分チャネル(16)は、流れに関して、前記接続部分(4)を介して間接的に前記冷却剤ライン(10)に接続される、請求項3に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの封止ユニット(7)は、前記接続部分(4)と前記拡大部分(6)との間に配置され、前記封止ユニットは、少なくとも前記封止位置(22)において、前記接続部分(4)と前記拡大部分(6)との間での冷却剤の漏れを防ぐ、請求項1~4のいずれか一項に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項6】
前記接続部分(4)と前記拡大部分(6)とは、別個の構成要素として設計され、且つ少なくとも1つの拘束固定手段(8)によって互いに固定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項7】
前記接続デバイス(2)は、少なくとも1つのラッチ接続部(9)を含み、前記ラッチ接続部(9)は、前記封止位置(22)から前記挿入位置(12)への且つ/又は前記挿入位置(12)から前記封止位置(22)への前記拡大部分(6)の望ましくない移行を妨げるために適しており、且つそのように設計されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項8】
前記接続デバイス(2)が流れに関して接続され得る少なくとも1つの冷却接続部(13)を有する少なくとも1つのヒートシンク(3)を含み、前記冷却接続部(13)は、前記接続部分(4)及び/又は前記封止要素(5)の外側輪郭に対応する内側輪郭を有し、それにより、前記封止要素(5)は、前記挿入位置(12)では、少なくとも部分的に非接触方式において且つ/又は前記封止位置(22)におけるよりも小さい力で挿入され得る、請求項1~7のいずれか一項に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項9】
前記ヒートシンク(3)は、少なくとも1つの一体化された冷却チャネル(43)を有する形材体(23)、好ましくは押出形材(33)として設計され、前記冷却チャネル(43)は、少なくとも1つの軸方向端部に前記冷却接続部(13)を提供し、前記接続デバイス(2)は、流れに関して前記冷却チャネル(43)に接続され得る、請求項8に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項10】
前記接続部分(4)及び/若しくは前記拡大部分(6)は、前記ヒートシンク(3)にラッチされ得、且つ/又は前記接続部分(4)及び/若しくは前記拡大部分(6)は、少なくとも1つの解放可能な固定手段によって若しくは一体結合方式において、特に接着接続で前記ヒートシンク(3)に取り付けられる、請求項8又は9に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項11】
前記封止要素(5)は、前記接続部分(4)の第1の軸方向端部を延ばし、前記拡大部分(6)は、前記接続部分(4)の第2の軸方向端部から突出し、且つ前記封止位置(22)に押し込まれるように前記第2の軸方向端部から作動可能であり、前記封止位置(22)において、前記拡大部分(6)は、前記接続部分(4)の前記第1の軸方向端部から突出し、且つ径方向に内側から前記封止要素(5)に対して押圧する、請求項1~10のいずれか一項に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項12】
前記接続部分(4)は、前記冷却剤ライン(10)のための少なくとも1つの径方向に配置された接続開口部(24)を有し、前記拡大部分(6)は、少なくとも1つの径方向に配置された開口部(26)を有し、前記封止位置(22)において、前記拡大部分(6)の前記開口部(26)は、前記挿入位置におけるよりも大きい、前記接続部分(4)の前記接続開口部(24)との重なりを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項13】
前記封止要素(5)は、弾性であり、且つ前記拡大部分(6)が前記挿入位置(12)にあるとき、プリロードされていない位置に収縮する、請求項1~12のいずれか一項に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の高電圧バッテリ構成要素(1)を設置するための方法であって、前記拡大部分(6)が前記挿入位置(12)にあるように、前記接続部分(4)を前記拡大部分(6)に接続、特にラッチする方法ステップ、前記接続部分(4)を前記ヒートシンク(3)に挿入する方法ステップ、前記拡大部分(6)が前記封止位置(22)にあり、及び前記封止要素(5)が径方向外側に拡げられ、且つ前記ヒートシンク(3)に対して封止して位置するように、前記拡大部分(6)を前記接続部分(4)に押し込む方法ステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部による、特に少なくとも部分的に電気駆動される車両のための高電圧バッテリ構成要素及びそのような高電圧バッテリ構成要素を設置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
完全に又は部分的に電気駆動される車両の高電圧バッテリは、通常、液冷によって冷却又は温度制御される。バッテリ側の冷却接続部は、一般にバッテリのヒートシンクに提供される。冷却接続部に冷却剤ラインを接続して、例えば外部クーラに冷却剤を導き、再びバッテリに戻すことができる。
【0003】
そのようなバッテリを冷却するために、バッテリセルがグループ化されたバッテリモジュールに押出形材の形態のモジュールハウジングを提供することが有利であることが実証されている。押出形材は、形材のチャンバによって提供される一体化された冷却剤チャネルを有する。したがって、そのような押出形材により、ハウジングが提供され、且つ同時にヒートシンクが提供される。それにより、確実な封入及び同時に高い信頼性の冷却効果が実現される。
【0004】
しかし、そのようなモジュールハウジングへの冷却剤ラインの接続には問題があることが実証されている。先行技術では、このために、接続スタブなどがモジュールハウジングに固定される。次いで、それに冷却剤ラインが封止して取り付けられる。しかし、これには、構造スペースが必要であり、設置の重量及び費用が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、冷却剤ラインを高電圧バッテリ、特に押出形材の形態のモジュールハウジングに接続するための改善された可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する高電圧バッテリ構成要素及び請求項14に記載の方法によって達成される。
【0007】
本発明の好ましい発展形態は、従属請求項の主題である。本発明のさらなる利点は、概要及び例示的実施形態の説明から明らかになる。
【0008】
本発明による高電圧バッテリ構成要素は、特に少なくとも部分的に電気駆動される車両のために提供される。高電圧バッテリ構成要素は、冷却剤のための少なくとも1つの冷却剤ラインを高電圧バッテリのヒートシンクに接続するための少なくとも1つの接続デバイスを含む。接続デバイスは、流れに関してヒートシンクに接続可能な少なくとも1つの接続部分と、接続部分の端部に(軸方向に)配置される少なくとも1つの封止要素とを含む。封止要素は、特に接続部分とヒートシンクとの間にシールを提供するために使用される。接続デバイスは、接続部分に対して可動である少なくとも1つの拡大部分を含む。拡大部分は、接続部分に押し込むことにより、接続部分をヒートシンクに挿入するために使用される挿入位置から、接続部分をヒートシンクに対して封止するために使用される封止位置に移行され得る。封止位置において(すなわち拡大部分が封止位置に移行されているとき又は移行されるとき)、拡大部分は、封止要素を径方向外側に拡げ、それにより、封止要素は、接続部分がヒートシンクに(正しく)差し込まれるとき、ヒートシンクに対して封止して配置され得る。
【0009】
本発明による高電圧バッテリ構成要素により、多くの利点が提供される。可動の拡大部分によってヒートシンクに押圧することができる封止要素を有する接続デバイスにより、かなりの利点が提供される。それにより、確実であり且つ高い信頼性の封止効果が保証される。同時に、封止要素は、ヒートシンクに正しく配置されているときにのみ径方向に拡げられるため、特に簡単に損傷のリスクなくヒートシンクに挿入され得る。
【0010】
特定の利点は、本発明により、冷却剤ラインが押出形材の冷却チャネルに直接接続され得ることである。その結果、従来使用されている接続法に比べて、構造スペース及び重量が大幅に削減される。それにより、設置の複雑さも大幅に簡略化することができる。
【0011】
本発明により、押出形材のチャンバ、したがって冷却チャネルが非円形断面を有する場合でも、高い信頼性で確実な接続の封止が可能になる。先行技術では、非円形の封止点は、一般に、アキシャルシールで封止される。しかし、これは、設計上、押出形材で使用することができない。先行技術では、ラジアルシールも非円形の封止点に使用されることがある。しかし、そのようなラジアルシールでは、従来、挿入勾配が必要とされる。しかし、挿入勾配は、押出形材では非常に複雑な方法でのみ製造することができ、構造スペースの面で押出形材のより大きい壁厚、したがって全体としてより大きい重量及び構造スペースをもたらす。
【0012】
好ましくは、冷却剤ラインは、接続部分に取り付けられ得る。冷却剤ラインを拡大部分に取付け可能にすることも可能であり且つ有利である。冷却剤ラインは、接続部分及び/又は拡大部分に径方向で取り付けられ得る。これは、例えば、押すか又は引くことにより、拡大部分の軸方向又は端面での作動が提供される場合に有利である。しかし、冷却剤ラインは、特に封止要素を有する軸方向端部とは反対側の接続部分及び/又は拡大部分の軸方向端部に取付け可能でもあり得る。
【0013】
特に、拡大部分は、冷却剤が流れることができる少なくとも1つの拡大部分チャネルを有する。有利な改良形態では、拡大部分チャネルは、流れに関して、接続部分を介して間接的に冷却剤ラインに接続される。拡大部分チャネルが流れに関して冷却剤ラインに直接接続されることも可能であり且つ有利である。このとき、拡大部分チャネルは、例えば、冷却剤ラインを取り付けることができるフランジ又は接続部片などを有する。拡大部分チャネルは、特に拡大部分を通して軸方向に延びる。拡大部分は、特に軸方向(したがって特に拡大部分チャネルの長手方向)で変位可能であるように設計される。
【0014】
有利な発展形態では、接続部分は、冷却剤が流れることができる少なくとも1つの接続部分チャネルを有する。接続部分チャネルは、特に、接続部分を通して軸方向(又は長手方向)に延びる。特に、拡大部分は、少なくとも封止位置では、接続部分チャネル内において少なくとも部分的に延びる。特に、接続部分チャネルと拡大部分チャネルとは、少なくとも部分的に同軸に配置される。特に、冷却剤ラインは、接続部分に接続され得、それにより、拡大部分チャネルは、流れに関して、接続部分を介して間接的に冷却剤ラインに接続され得る。しかし、冷却剤ラインは、拡大部分に接続可能でもあり得る。
【0015】
少なくとも1つの封止ユニットは、好ましくは、接続部分と拡大部分との間に配置される。特に、封止ユニットは、少なくとも封止位置において、接続部分と拡大部分との間での冷却剤の漏れを防ぐ。特に、封止ユニットは、ラジアルシールとして設計されるか、又は少なくとも1つのそのようなラジアルシールを含む。例えば、封止ユニットは、少なくとも1つのOリングを含む。そのような封止ユニットは、冷却剤ラインが接続部分に接続され得、拡大部分が、流れを通過させることができるように設計される場合に特に有利である。
【0016】
特に、封止ユニットは、接続部分の軸方向端面に配置される。特に、封止ユニットは、封止位置で拡大部分に対して位置する。特に、封止ユニットは、封止位置において、拡大部分チャネルの外に延び、且つ/又は拡大部分チャネルを端面で閉じる、拡大部分の端面壁の内側に対して位置する。
【0017】
すべての改良形態において、接続部分と拡大部分とは、別個の構成要素として設計されることが特に好ましい。接続部分と拡大部分とは、好ましくは、少なくとも1つの拘束固定手段によって互いに固定される。したがって、構成要素は、バッテリの設置中に共通の構造単位として取り扱うことができる。
【0018】
接続デバイスは、少なくとも1つの(解放可能な)ラッチ接続部を含むことが有利であり且つ好ましい。特に、ラッチ接続部は、封止位置から挿入位置への且つ/又は挿入位置から封止位置への拡大部分の望ましくない移行を妨げるために適しており、且つそのように設計されている。特に、接続デバイスは、封止位置のための少なくとも1つの第1のラッチ接続部と、挿入位置のための少なくとも1つの第2のラッチ接続部とを含む。そのようなラッチ接続部は、拡大部分がそれぞれの位置に恒久的に且つ安定して固定されることを保証し、設置中、例えば拡大部分が封止位置に正しく押し込まれているかどうかに関する触覚的又は音響的監視を可能にする。
【0019】
ラッチ接続部は、特に少なくとも2つの対応するラッチ要素を含む。特に、各場合に少なくとも1つのラッチ要素が接続部分に配置され、各場合に少なくとも1つのラッチ要素が拡大部分に配置される。ラッチ接続部によって拘束固定手段を提供することが可能である。例えば、接続デバイスの設置中、拡大部分は、挿入位置で接続部分にラッチされる。ラッチ接続部は、クリップ接続部と呼ばれることもある。
【0020】
高電圧バッテリ構成要素は、少なくとも(上記の)1つのヒートシンクを含むことができる。ヒートシンクは、接続デバイスが流れに関して接続され得る少なくとも1つの冷却接続部を含む。特に、冷却接続部は、冷却チャネルの軸方向端部によって提供される。冷却接続部は、接続部分、及び/又は封止要素、及び/又は拡大部分の外側輪郭に対応する内側輪郭を有し、それにより、封止要素は、挿入位置では、少なくとも部分的に非接触方式において且つ/又は実質的に力を加えずに冷却接続部に挿入され得る。特に、挿入位置では、封止位置におけるよりも小さい力で封止要素を挿入することができる。
【0021】
好ましくは、ヒートシンクは、少なくとも1つの一体化された冷却チャネルを有する形材体として設計されるか、又は少なくとも1つのそのような冷却チャネルを含む。ヒートシンクは、特に好ましくは、押出形材として設計されるか、又は少なくとも1つのそのような押出形材を含む。冷却チャネルにより、少なくとも1つの軸方向端部に冷却接続部が提供される。冷却接続部は、軸方向で開いた冷却チャネルに対応することが可能である。特に、接続デバイスは、流れに関して冷却チャネルに接続され得る。特に、接続部分、及び/又は拡大部分、及び/又は封止要素は、冷却チャネルの断面に対応する外側輪郭を有する。
【0022】
接続部分及び/又は拡大部分は、ヒートシンクにラッチされ得ることも可能であり且つ有利である。接続部分及び/又は拡大部分は、少なくとも1つの解放可能な固定手段、例えばねじなどによってヒートシンクに取り付けられ得ることも可能である。例えば、接着接続又は別の一体結合方式の接合タイプにより、接続部分及び/又は拡大部分がヒートシンクに一体結合方式で取り付けられ得ることも可能であり且つ有利である。
【0023】
好ましくは、封止要素は、接続部分を少なくとも部分的に軸方向に延ばすように接続部分に配置される。特に、封止要素は、接続部分の第1の軸方向端部に固定される。特に、封止要素は、少なくとも部分的に接続部分の第1の軸方向端部の上流に固定される。封止要素は、接続部分の第1の軸方向端部を越えて少なくとも部分的に突出することが可能である。
【0024】
有利な発展形態では、拡大部分は、接続部分の第2の軸方向端部から突出する。特に、第2の軸方向端部は、第1の軸方向端部とは反対側にある。特に、拡大部分は、封止位置に押し込まれるように第2の軸方向端部から作動可能である。特に、拡大部分は、封止位置において、好ましくは封止位置においてのみ、接続部分の第1の軸方向端部から突出する。特に、拡大部分は、封止位置において、径方向に内側から封止要素に対して押圧する。これにより、ヒートシンクへの特に単純な挿入及び容易にアクセス可能な拡大部分の作動が可能になる。そのような改良形態では、冷却剤ラインを特に径方向に接続部分に取り付けることができる。
【0025】
接続部分は、冷却剤ラインのための少なくとも1つの径方向に配置された接続開口部を有することが可能であり且つ有利である。特に、拡大部分は、少なくとも1つの径方向に配置された開口部を有する。封止位置において、拡大部分の開口部は、挿入位置におけるよりも大きい、接続部分の接続開口部との重なりを有する。これにより、例えば、拡大部分が依然として挿入位置にある限り、冷却剤ラインの自動閉止を可能にする。特に、接続部分は、冷却剤ラインのための少なくとも1つの接続スタブを含む。この接続スタブは、特に接続開口部の領域に配置される。
【0026】
封止要素は、好ましくは、弾性である。特に、封止要素は、拡大部分が挿入位置にあるとき、プリロードされていない位置に収縮する。その結果、設置中の封止要素の傾き又は損傷が確実に回避される。特に、封止要素は、径方向外側でそれを取り囲む少なくとも1つの封止リップを有する。
【0027】
本発明による方法は、高電圧バッテリ構成要素、好ましくは前述したような高電圧バッテリ構成要素を設置するために使用される。ここで、方法は、以下の順序又は別の有意義な順序で少なくとも以下の方法ステップを含む:拡大部分が挿入位置にあるように、接続部分を拡大部分に接続、特にラッチする方法ステップ、接続部分をヒートシンクに挿入する方法ステップ、拡大部分が封止位置にあり、及び封止要素が径方向外側に拡げられ、且つヒートシンクに対して封止して位置するように、拡大部分を接続部分に押し込む方法ステップ。
【0028】
特に、拡大部分と接続部分とは、組立前操作で挿入位置に互いにラッチされる。特に、拡大部分の押込みにより、封止要素は、ヒートシンク、特に形材体の冷却チャネルの内壁に対して径方向に内側から封止して押圧されるように拡げられる。特に、拡大部分を封止位置に移行することにより、それ以前には拡大部分によって少なくとも部分的に遮断されていた冷却剤ラインからヒートシンクへの流れ接続が開かれる。
【0029】
特に、接続デバイスは、ヒートシンクの冷却チャネルに直接接続するために適しており、且つそのように設計されている。特に、接続デバイスは、非円形及び/又は円形断面を有する冷却チャネルに接続可能である。接続デバイスは、特にヒートシンクの他の接続デバイスにも接続可能である。特に、接続デバイスは、ヒートシンクの非円形又は円形の接続開口部に接続可能である。
【0030】
特に、ヒートシンクは、少なくとも1つの冷却チャネルを含む。特に、冷却チャネルは、ヒートシンクの端面から出る。特に、ヒートシンクは、複数の冷却チャネルを含む。特に、冷却チャネルは、ヒートシンクを通して互いに平行に延び、ヒートシンクの軸方向端部において又は端面から少なくとも部分的に出る。ここで、冷却チャネルは、端面で少なくとも部分的に閉じられ得る。冷却チャネルは、特に非円形断面を有する。冷却チャネルは、円形断面を有することもできる。
【0031】
特に、ヒートシンクは、バッテリモジュールハウジングを提供するか、又はそのようなバッテリモジュールハウジングの一部である。ヒートシンクは、ハウジングとは別個に形成することもできる。本発明によれば、ヒートシンクは、特に、高電圧バッテリを冷却するための冷却剤が流れることができる物体を意味すると理解される。ヒートシンクは、冷却プレートとして且つ/又はバッテリハウジングの一部として設計することができる。
【0032】
特に、ヒートシンクは、形材体、好ましくは押出形材として設計されるか、又は少なくとも1つのそのような形材体を含む。ヒートシンクは、特に押出形材の幾何学的特性を有するが、押出以外の製造プロセスにより、例えば連続鋳造などにより製造することもできる。特に、ヒートシンクは、エンドレス製造プロセスで製造される。形材体は、特に、それぞれ冷却チャネルを提供するチャンバを有する。チャンバは、特に非円形断面を有する。形材体は、特に、互いに平行に形材体の軸方向(又は長手方向)に延びる複数の(一体化された)冷却チャネルを含む。それらの製造により、冷却チャネルは、特にアンダーカットを有さない。ヒートシンク、特に形材体は、好ましくは、管状である。ヒートシンク、特に形材体は、U字形若しくはL字形又はプレート状であり得る。接続デバイスは、異なる形状のヒートシンクに接続可能でもあり得る。
【0033】
特に、接続部分及び/又は拡大部分は、冷却剤が接続部分及び/又は拡大部分を通して冷却剤ラインとヒートシンクとの間を流れることができるように、流れに関して冷却剤ライン及びヒートシンクに接続可能である。接続部分及び/又は拡大部分は、冷却剤が流れるように設計される。冷却剤ラインは、特に(外部)冷却回路に接続可能であるか又は接続される。
【0034】
特に、拡大部分の軸方向運動によって封止要素を径方向に拡げることができる。特に、封止要素は、環状に閉じられる。封止要素は、特に中央凹部を有する。拡大部分は、特に封止要素の中央凹部に(同心状に)可動である。拡大部分は、凹部にあるとき、封止要素を径方向に拡げる。特に、封止位置では、拡大部分は、挿入位置におけるよりも封止要素の凹部内にさらに延びる。特に、拡大部分は、封止位置でのみ封止要素の凹部内に延びる。特に、接続部分は、封止要素の径方向内部又は径方向外側に延びない。特に、封止要素は、接続部分に固定される。特に、封止要素は、接続部分の第1の軸方向端部に固定される。
【0035】
拡大部分は、特に接続部分内に延びる。特に、接続部分と拡大部分とは、同心状に配置される。特に、接続部分の第2の軸方向端部において、拡大部分は、接続部分の径方向外側と接続部分の径方向内部との両方に延びる。特に、拡大部分により、接続部分の第2の軸方向端部が少なくとも部分的に閉じられる。特に、封止ユニットは、少なくとも接続部分の第2の軸方向端部に配置される。
【0036】
本発明のさらなる利点は、添付図面を参照して以下で説明する例示的実施形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明による高電圧バッテリ構成要素を非常に概略的に示す断面斜視図を示す。
【
図2】ヒートシンクでの挿入位置にある高電圧バッテリ構成要素の断面斜視図を示す。
【
図3】ヒートシンクでの封止位置にある
図2の高電圧バッテリ構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1では、冷却剤ライン10(図示せず)をヒートシンク3(例えば
図2及び3に示される)に接続するための接続デバイス2を有する、本発明による高電圧バッテリ構成要素1を示す。これにより、例えば、少なくとも部分的に電気駆動される車両の高電圧バッテリを冷却剤で冷却することができ、必要に応じて加熱することもできる。
【0039】
接続デバイス2は、ヒートシンク3に接続可能な接続部分4を含む。ここで、接続部分4は、軸方向に延びる接続部分チャネル14を有する。接続部分チャネル14に接続開口部24が径方向で配置される。
【0040】
ここで、接続部分4は、冷却剤ライン10を接続するための接続スタブ34をさらに含む。したがって、冷却剤は、冷却剤ライン10から接続開口部24を通して接続部分チャネル14に流れ込み、接続部分チャネル14の軸方向開端部から出ることができる。
【0041】
接続部分4とヒートシンク3との間にシールを提供する封止要素5は、接続部分4の端部に配置される。封止要素5は、接続部分4の端部を軸方向に延ばすように接続部分4の軸方向端部に配置される。
【0042】
さらに、接続デバイス2は、接続部分4に対して可動である拡大部分6を含む。ここで、拡大部分6は、接続部分チャネル14内に延びる。冷却剤は、拡大部分6を通して流れることもできる。この目的のために、拡大部分6は、ここで、冷却剤が封止要素5の領域に出ることができるように、軸方向端部で開いた拡大部分チャネル16を有する。
【0043】
拡大部分6は、挿入位置12と封止位置22との間で変位され得る。拡大部分6は、ここで、挿入位置12に位置する。拡大部分6を接続部分4に押し込むことにより、前記拡大部分は、
図3に示されるように封止位置22に移行される。
【0044】
ここで、開口部26が拡大部分チャネル16に径方向に配置される。冷却剤が冷却剤ライン10から到来し、拡大部分6が封止位置22にあるとき、冷却剤は、その開口部を通して拡大部分チャネル16に入ることができる。
【0045】
ここに示される接続デバイス2を使用して、ヒートシンク3に冷却剤を導入し、またヒートシンク3から冷却剤を再び放出することができる。したがって、ここで述べる流路には、必要に応じて一方向及び他方向の両方で冷却剤を流すことができる。
【0046】
高電圧バッテリ構成要素1を設置するための本発明によるさらなる構成要素及び機能並びに方法を
図1~3に関して以下により詳細に示す。
図1及び2によって挿入位置12を示す。
図3によって封止位置22を示す。
【0047】
図2及び3では、接続デバイス2がヒートシンク3に導入されている。ここでは、ヒートシンク3の一部のみが示されている。ヒートシンク3は、ここで、形材体23、例えば押出形材33として設計されている。形材体23は、複数の冷却チャネル43を有する。ここでは、そのうちの1つのみが例として示されている。冷却チャネル43は、形材体23の互いに平行に延びるチャンバによって提供される。
【0048】
冷却チャネル43は、ここで、形材体23の軸方向端面で開いており、接続デバイス2に接続するための冷却接続部13を設けられている。ここで、形材体23は、非円形断面を有するチャンバを有する。非円形の内側輪郭は、冷却接続部13及び冷却チャネル43についても生成される。冷却チャネル43での最適な封止及び適切な嵌め合わせのために、封止要素5及び接続部分4は、ここで、対応する非円形の外側輪郭を備える。
【0049】
ここで、ヒートシンク3は、高電圧バッテリのバッテリモジュール(特に図示せず)のモジュールハウジングの一部でもある。複数のバッテリセルがグループ化され、モジュールハウジングに囲まれる。高電圧バッテリは、バッテリモジュールハウジングとして設計された少なくとも2つ、好ましくは複数のそのようなヒートシンク3を含む。
【0050】
ヒートシンク3への接続のために、接続デバイス2は、
図1及び2に示されるように挿入位置12にある。挿入位置12では、拡大部分6は、封止要素5を有する接続部分4の軸方向端部において、突出するとしてもごくわずかにのみ突出するように接続部分4内に位置決めされる。その結果、拡大部分6により、封止要素5が影響を受けることはない。したがって、封止要素5は、非接触方式において又は少なくとも封止位置22におけるよりも小さい力で冷却チャネル43に挿入され得る。
【0051】
図2に示されるように、接続デバイス2が冷却チャネル43に配置された後、拡大部分6が封止位置22に変位される。この設置状態は、
図3で容易に見ることができる。この目的のために、ここで、接続部分4は、カラーでヒートシンク3の端壁に対して嵌合式に位置する。それにより、接続部分4が過度に深く押し込まれることが防止される。
【0052】
拡大部分6を接続部分4に押し込むことにより、拡大部分6の軸方向端部が接続部分4から摺動して出て、封止要素5の中央凹部に入る。その結果、封止要素5は、径方向外側に拡げられ、冷却チャネル43の内壁に封止して押圧される。
【0053】
図3で容易に見ることができるように、封止位置22では、拡大部分チャネル16における開口部26は、接続部分チャネル14の接続開口部24と重なる。その結果、封止位置22では、冷却剤ライン10からヒートシンク3への流路が開かれる。
【0054】
図1及び2で見ることができるように、挿入位置12では、接続部分チャネル14の接続開口部24は、拡大部分6によって閉じられている。このとき、拡大部分チャネル16の開口部26は、接続部分チャネル14の接続開口部24と重ならない。それにより、設置中、流れ接続が自動的に閉じられる。
【0055】
設置中、拡大部分6が挿入位置12から封止位置22に意図せず移行することを防止するために、ここで、第1のラッチ接続部9が設けられる。この目的のために、各場合に1つ又は複数のラッチ要素が接続部分4及び拡大部分6に提供される。ラッチ要素は、拡大部分6の意図しない変位を妨げる。ラッチ接続部9は、拡大部分6の軸方向後端部への狙いを定めた加圧によって克服することができる。それにより、拡大部分6を接続部分4に押し込むことができる。
【0056】
拡大部分6が封止位置22に変位されると、第1のラッチ接続部9が解放され、第2のラッチ接続部19が所定の位置でラッチされる。第2のラッチ接続部19により、接続デバイス2は、封止位置22に確実にロックされる。
【0057】
ここで、同時に、第1のラッチ接続部9により、設置中に接続部分4と拡大部分6とを共通の構成要素として扱うことができるように拘束固定手段8が提供される。
【0058】
拡大部分6と接続部分4との間での冷却剤の漏れを防ぐために、ここで、封止ユニット7が設けられる。封止ユニット7は、ここで、ラジアルシール、例えばOリングとして設計される。封止位置22では、封止ユニット7は、接続部分4と拡大部分6との間に封止して位置する。
【0059】
本明細書に示される本発明により、特に簡単であり、迅速であり、大量生産される高電圧バッテリの設置が可能になる。本発明の特定の利点は、挿入勾配を使用せずにラジアルシーリング効果が可能になることである。それにより、ハウジングの壁厚の減少が可能である。全体として、構造スペースの使用、重量及びコストが削減される。
【符号の説明】
【0060】
1 高電圧バッテリ構成要素
2 接続デバイス
3 ヒートシンク
4 接続部分
5 封止要素
6 拡大部分
7 封止ユニット
8 拘束固定手段
9 ラッチ接続部
10 冷却剤ライン
12 挿入位置
13 冷却接続部
14 接続部分チャネル
16 拡大部分チャネル
19 ラッチ接続部
22 封止位置
23 形材体
24 接続開口部
26 開口部
33 押出形材
34 接続スタブ
43 冷却チャネル