(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161875
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業ユニット用の糸スプライシング装置
(51)【国際特許分類】
B65H 69/06 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B65H69/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022063798
(22)【出願日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】10 2021 108 703.1
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ズィークフリート シャットン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スプライシングブロックを、簡単に組み込むかまたは取り外すことが確保されているだけでなく、確実かつ正確な固定が常時保証されている、糸スプライシング装置を提供する。
【解決手段】綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業ユニット用の糸スプライシング装置(10)であって、耐摩耗性材料で構成されたスプライシングブロック(23)を備え、このスプライシングブロック(23)は、1つのスプライシング通路(17)と、少なくとも1つのスプライシング空気孔(18)とを有し、交換可能に基体(19)内に位置固定可能であり、対応する基体(19)内へのスプライシングブロック(23)の確実かつ簡単な組込みを可能にするために、基体(19)が、収容装置(26)を有し、収容装置(26)内にスプライシングブロック(23)が、下方から挿入可能であり、正確に位置決め可能で、かつ固定要素(27,30)によって確実に固定可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)の作業ユニット(2)用の糸スプライシング装置(10)であって、耐摩耗性材料によって構成されたスプライシングブロック(23)を備え、該スプライシングブロック(23)は、1つのスプライシング通路(17)と、少なくとも1つのスプライシング空気孔(18)とを有し、交換可能に基体(19)内に位置固定可能である、糸スプライシング装置(10)において、
前記基体(19)は、収容装置(26)を有し、該収容装置(26)内に前記スプライシングブロック(23)は、下方から挿入可能であり、正確に位置決め可能であり、かつ固定要素(27,30)によって確実に固定可能であることを特徴とする、糸スプライシング装置(10)。
【請求項2】
前記スプライシングブロック(23)は、工業用セラミックスから成っていて、セラミックス注型法で製造されていることを特徴とする、請求項1記載の糸スプライシング装置。
【請求項3】
前記スプライシングブロック(23)は、金属材料、例えばトムバックから金属鋳造法で製造されていることを特徴とする、請求項1記載の糸スプライシング装置。
【請求項4】
前記スプライシングブロック(23)は、金属材料、例えばシリコントムバックから金属鋳造法で製造されていることを特徴とする、請求項1記載の糸スプライシング装置。
【請求項5】
前記基体(19)は、プラスチック材料によって構成されていることを特徴とする、請求項1記載の糸スプライシング装置。
【請求項6】
前記スプライシングブロック(23)はその下側(33)の領域に、空気通流開口(34)を有する組付けプレート(35)を備えることを特徴とする、請求項1記載の糸スプライシング装置。
【請求項7】
組付け状態で前記組付けプレート(35)とカバー金属薄板(27)との間にシール要素(37)が配置されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の糸スプライシング装置。
【請求項8】
前記カバー金属薄板(27)は、ねじボルト(30)によって前記基体(19)に接続可能であり、組付け状態で前記スプライシングブロック(23)を前記基体(19)の前記収容装置(26)内に確実に固定していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の糸スプライシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業ユニット用の糸スプライシング装置であって、耐摩耗性材料によって構成されたスプライシングブロックを備え、このスプライシングブロックは、1つのスプライシング通路と、少なくとも1つのスプライシング空気孔とを有し、交換可能に基体内に位置固定可能である、糸スプライシング装置に関する。
【0002】
数年来、繊維産業では、糸端同士を空気圧により継ぎ合わせるための糸スプライシング装置が、種々異なる実施形態で知られている。このような空気圧により作業する糸スプライシング装置は、例えば自動綾巻きワインダに相俟って使用されることが多く、特許文献に比較的詳細に記載されている。
【0003】
独国特許出願公開第3612230号明細書によって、例えば、機械的に製造されたスプライシングブロックを有する糸スプライシング装置が公知である。このようなスプライシングブロックは、それぞれ基礎工作物から製造されていて、この基礎工作物に機械的に、例えばフライス削りおよび穿孔によって、上向きに開放した1つのスプライシング通路が加工されている。このスプライシング通路には、通常2つのスプライシング空気孔が開口している。このようなスプライシングブロックは、それぞれねじボルトによって空気分配ブロックに固定される。この空気分配ブロック内には、糸端準備要素、いわゆる保持・解撚管が挿入されている。公知の糸スプライシング装置は、カバー要素なしで作業することが多い。つまり、このような糸スプライシング装置では、スプライシング通路が、スプライシング工程中に上向きに開放したままである。
【0004】
同等の糸スプライシング装置は、独国特許出願公開第10202781号明細書にも記載されている。この公知の糸スプライシング装置でも、通常、アルミニウムまたは青銅材料から機械的に製造されたスプライシングブロックが使用される。つまり、同明細書でも、金属基礎工作物が機械的に加工され、上向きに開放した1つのスプライシング通路を有していて、このスプライシング通路に複数のスプライシング空気孔が開口している。完成したスプライシングブロックは、公知のように、空気分配ブロックに位置固定可能であり、接続装置を介して作業ユニットのハウジングに位置固定可能である。
【0005】
しかしながら、これらの公知の糸スプライシング装置では、自体上向きに開放したスプライシング通路が、スプライシング工程中にカバー要素によって閉鎖されている。しかしながら、機械的に形成されたスプライシングブロックを備えた糸スプライシング装置はその製造の点で比較的高価である。つまり、このような糸スプライシング装置では、スプライシングブロックが使用可能となる前に常に手間をかけて後作業が施され、特に入念にばり取りが行われなければならない。
【0006】
したがって、整然とした糸スプライシング装置の製造をより廉価に行うことができるようにするために、すでに、スプライシングブロックを工業用セラミックス材料から射出成形法で製造することが提案されている。なぜならば、このような製造法の場合、スプライシングブロックの手間のかかる更なる後処理が不要となるからである。
【0007】
このような工業用セラミックス材料から製造されたスプライシングブロックは、空気分配ブロックに固定することができるようにするために、基体内に接着されていることが多い。この基体自体は、その後、空気分配ブロックにロックすることができる。
【0008】
しかしながら、このようなスプライシングブロックを付着によって固定することは、全く問題がないわけではないことが判っている。なぜならば、このような固定では、接着プロセスが絶対に綺麗に実施されなければならないからである。接着プロセスが適切でない形で実施されると、スプライシングブロックが基体から剥離してしまうかまたは漏れが生じてしまうという危険が常に存在している。両者は、形成された糸継ぎ部の品質を著しく低下させてしまう。つまり、整然とした接着アセンブリを形成するために必要となる製造時間も比較的長くなってしまう。このことは、糸スプライシング装置の製造コストに極めてマイナスの影響を与える。
【0009】
さらに、独国特許出願公開第102019122056号明細書には、スプライシングブロックが、それぞれ耐食性で耐摩耗性材料、例えばトムバックまたはシリコントバックから製造されていて、好ましくはプラスチックから製造された基体内に支持されている糸スプライシング装置が記載されている。つまり、スプライシングブロックは、プラスチックの射出により少なくとも部分的にこのプラスチックで取り囲まれていることによって、プラスチックから製造されたベースフレームに固定されている。
【0010】
しかしながら、スプライシングブロックを付着によって固定することと同様に、スプライシングブロックをプラスチックの射出によりこのプラスチックで部分的に取り囲むことによって固定することも、このように固定されたスプライシングブロックを、必要な場合に極めて困難な形でしか基体から再び取り外すことができないという顕著な欠点を有している。つまり、このようなスプライシングブロックを基体から取り外すことが、常に比較的手間をかけて行われる。
【0011】
しかしながら、すでに、スプライシングブロックを容易に交換可能に基体内に配置することも提案されている。
【0012】
独国特許出願公開第102015204469号明細書には、例えば、上向きに開放した収容装置を備えた基体を有する糸スプライシング装置が記載されている。この収容装置内には、例えばセラミックスから製造されたスプライシングブロックが挿入可能である。組付け状態では、スプライシングブロックを弾性的なOリングまたはこれに類するものによって基体の収容装置内に固定し、必要な場合に基体から容易に取り外して、交換することができる。
【0013】
しかしながら、例えばゴムから製造されたこのような弾性的なOリングは、時間が経つにつれて劣化現象を示すことが多い。つまり、スプライシングブロックを基体内に弾性的なOリングによって固定すると、時間が経つにつれてスプライシングブロックが緩んでしまい、その後、もはや整然と基体内に位置固定されていないという危険が常に存在している。整然と固定されないスプライシングブロックは、すでに前述したように、低価値の糸継ぎ部を招いてしまうことが多いので、このように構成された糸スプライシング装置では、Oリングを規則的に検査し、必要な場合に常に即座に交換することが推奨されている。
【0014】
前述した先行技術から出発して、本発明の根底にある課題は、糸スプライシング装置を改良して、耐摩耗性材料によって構成されたスプライシングブロックを、対応する基体に対して簡単に組み込むかまたは取り外すことが確保されているだけでなく、基体内でのスプライシングブロックの確実かつ正確な固定が常時保証されているように、糸スプライシング装置を形成することも求められている。
【0015】
この課題は、本発明によれば、基体が、収容装置を有し、この収容装置内にスプライシングブロックが、下方から挿入可能であり、正確に位置決め可能であり、かつ固定要素によって確実に固定可能であることによって解決される。別の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0016】
本発明による構成は、組付け状態において、スプライシングブロックの全作動時間中に基体内でのスプライシングブロックの確実かつ正確な固定が保証されているだけでなく、スプライシングブロックを必要な場合に基体から極めて簡単に取り外すこともできるという利点を有している。
【0017】
有利な実施形態では、スプライシングブロックが、自体公知のように、工業用セラミックスから成っていて、セラミックス注型法で製造されていることが特定されている。しかしながら、基本的には、スプライシングブロックを耐摩耗性の金属材料、例えばトムバックまたはシリコントムバックから金属鋳造法で製造することも可能である。
【0018】
セラミックス注型法によっても、金属鋳造法によっても、スプライシングブロックをその注型型もしくは鋳型から取り外す際にすでに完全に仕上がっているスプライシングブロックを製造することが可能となる。つまり、このようなスプライシングブロックをセラミックス注型法もしくは金属鋳造法で製造する際には、スプライシングブロックの全ての縁部がすでに形成されていて、更なる後処理がもはや不要となる。このように製造されたスプライシングブロックは、それぞれ、整然と形成された1つのスプライシング通路と、規定通りに形成された複数のスプライシング空気孔とを有しているため、即座にその基体内に正確に嵌合するように組み込むことができる。
【0019】
組み込まれたスプライシングブロックを空気分配ブロックに対して整然とロックすることを可能にする基体は、金属材料、例えばアルミニウムによって構成されていることが多い。しかしながら、基体は、基本的にプラスチック材料によって構成されていてもよい。基体をプラスチック注型部材として製造することは、基体の製造コストに一層有利な影響を与えることが多い。
【0020】
有利な実施形態では、スプライシングブロックがその下側の領域に、空気通流開口を有する組付けプレートを備える。この組付けプレートはその外側寸法でもって、基体の収容装置の内側寸法に正確に合わされている。したがって、基体内でのスプライシングブロックの規定通りの組込み位置を簡単に保証することができるだけでなく、スプライシングブロックのスプライシング通路に開口したスプライシング空気孔が、繊維機械の圧縮空気システムに整然と接続されていることを確保することもできる。
【0021】
別の有利な実施形態では、組付け状態でスプライシングブロックの組付けプレートにシール要素が位置しており、このシール要素は、カバー金属薄板によって押圧可能かつ固定可能であることが特定されている。つまり、カバー金属薄板が、ねじボルトによって基体に接続可能であり、組付け状態でシール要素を介してスプライシングブロックを基体の収容装置内に確実に固定している。これは、基体に設けられた対応する切欠き内に配置され、ねじボルトにより押圧されたカバー金属薄板が、スプライシングブロックの組付けプレートに作用し、これによって、スプライシングブロックを基体内に正確かつ確実に位置決めしていることを意味している。
【0022】
本発明の更なる詳細は、以下に図面に基づき説明する実施例から知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明により形成された糸スプライシング装置を有する、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の1つの作業ユニットを示す図である。
【
図2】本発明に係る糸スプライシング装置のやや斜視的な正面図および部分的な断面図である。
【
図3】本発明に係る糸スプライシング装置の詳細な分解図である。
【0024】
図1には、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の1つの作業ユニット2、本実施例では、自動綾巻きワインダ1の巻取りユニットが概略的に側面図で示してある。公知のように、このような自動綾巻きワインダ1は、通常、同形に形成されて一列に相並んで配置された複数のこのような作業ユニット2を有している。これらの作業ユニット2では、生産プロセスにおいて上流側に配置されたリング精紡機で製造され、比較的少ない糸材料を有する解舒ボビン、例えば紡績コップ9が巻き返されて、大きな体積の綾巻きパッケージ15が形成される。綾巻きパッケージ15はその完成後、機械長さにわたって延在する綾巻きパッケージ搬送装置21に移送され、この綾巻きパッケージ搬送装置21から、例えば、機械端側に配置されたパッケージ移載ステーションまたはこれに類するものに搬送される。さらに、このような自動綾巻きワインダ1は、紡績コップ・空管搬送システム3の形態のロジスティクス装置を備えていることが多い。このロジスティクス装置のうち、
図1には、コップ供給区間4、可逆的に駆動可能な蓄え区間5、巻取りユニット2に通じる横方向搬送区間6および巻管返送区間7だけが示してある。巻取り運転中、この紡績コップ・空管搬送システム3では、紡績コップ9もしくは空管が搬送トレー8に鉛直方向で位置決めされた状態で循環する。コップ供給区間4を介して供給され、最初に蓄え区間5に一時的に蓄えられた紡績コップ9は、それぞれ横方向搬送区間6の領域で作業ユニット2のレベルに位置する解舒位置ASに位置決めされ、その後、巻き返されて、大きな体積の綾巻きパッケージ15が形成される。巻取りプロセス中には、走行する糸の糸欠陥が同時に監視される。この糸欠陥は、場合により即座に取り除かれる。
【0025】
図1からさらに明らかであるように、作業ユニット2は、さらに、それぞれ巻取り装置24を有している。この巻取り装置24は、特にパッケージフレーム28を有している。このパッケージフレーム28は、旋回軸線22を中心として可動に支承されていて、綾巻きパッケージ15の巻管を回転可能に保持するための装置を備えている。巻取りプロセス中、パッケージフレーム28に自由に回転可能に保持されている綾巻きパッケージ15はその表面でもって、例えば、いわゆる糸案内ドラム14に載置されていて、この糸案内ドラム14によって摩擦接続を介して駆動される。このような糸案内ドラム14は、公知のように、いわゆる糸案内溝を有しているので、巻取りプロセス中、巻き上げられる糸は、さらに、互いに交差する巻き層でテークアップパッケージへと巻き上げられるように案内される。
【0026】
しかしながら、糸案内ドラムの代わりに、巻取りプロセス中に綾巻きパッケージを単に摩擦接続的に回転させる溝なしのパッケージ駆動ローラが使用されてもよい。このような場合には、綾巻きパッケージ15へと巻き上げられる糸のトラバースが、例えばフィンガ糸ガイドを備えた別体の糸綾振り装置によって行われる。
【0027】
さらに、このような自動綾巻きワインダ1は中央制御ユニット11を有していることが多い。この中央制御ユニット11は、例えば機械バス16を介して個々の作業ユニット2の作業ユニットコンピュータ29に接続されている。
【0028】
同じく公知であるため概略的にしか示さないが、個々の作業ユニット2は、このような作業ユニット2の整然とした運転を保証する種々様々な装置を有している。
【0029】
このような作業ユニット2は、例えば、それぞれ糸処理装置もしくは糸ハンドリング装置、例えば糸テンショナ、糸断ち装置が接続された糸クリアラ、ワキシング装置、糸張力センサおよび下糸センサ備えていて、さらに、それぞれサクションノズル12と、グリッパ管25と、本発明に係る糸スプライシング装置10とを有している。
【0030】
旋回軸線13を中心として制限されて回転可能に支承されたサクションノズル12は、巻取り中断後、綾巻きパッケージ15の表面へと巻き上げられる上糸31の糸端を受け取り、糸スプライシング装置10に移送するために使用される。旋回軸線20を中心として制限されて回転可能なグリッパ管25も類似の機能を有している。つまり、巻取り中断後、グリッパ管25は、紡績コップ9に結合された、一般的には糸テンショナに固定された下糸32の糸端を受け取り、この糸端を同じく糸スプライシング装置10に移送する。
【0031】
以下に
図2および
図3に基づき詳しく説明する本発明による構成の糸スプライシング装置10は、好ましくは、相応の収容装置(図示せず)を介して作業ユニット2のハウジング38に接続されていて、正規の糸走路、つまり、巻取りプロセス中の通常の糸走路に対して幾分ずらして配置されている。
【0032】
糸スプライシング装置10の領域には、さらに、慣用のように、スプライシング工程用に糸端を提供する保持・解撚管(図示せず)が配置されている。さらに、糸スプライシング装置10の領域には、より見やすくするという理由から同じく図面に示していない付加的な糸ハンドリング装置、例えば糸クランプ装置、糸断ち装置および糸寄せ器が配置されている。
【0033】
図2に示したように、本発明に係る糸スプライシング装置10は、基体19の収容装置26内に位置固定可能であるスプライシングブロック23を有している。有利にはセラミックス注型法で工業用セラミック材料によって構成されたスプライシングブロック23は、従来のように、1つのスプライシング通路17を備えていて、このスプライシング通路17に複数のスプライシング空気孔18が開口している。つまり、公知のように、好ましくは互いにずらされて配置された2つのスプライシング通路室を有するスプライシングブロック23のスプライシング通路17に、好ましくは、それぞれ斜め上方からスプライシング空気孔18が開口している。両方のスプライシング空気孔18は、両方のスプライシング通路室内に互いに逆向きのスプライシング空気流れが形成されるように配置されている。さらに、スプライシング空気孔18は、例えば空気通路を介して自動綾巻きワインダ1の空気分配システムに接続されている。明らかなように、スプライシングブロック23の外周面は、基体19の収容装置26の内側寸法に正確に合わされていて、その下側33の領域に組付けプレート35を有している。この組付けプレート35の外側輪郭も同じく基体19の収容装置26の内側輪郭に正確に合わされていて、空気通流開口34を有している。
【0034】
図2に示した組付け状態では、スプライシングブロック23が、基体19の収容装置26に差し込まれている。スプライシングブロック23の正確な組込み深さは、組付けプレート35によって予め設定されている。明らかなように、スプライシングブロック23は、組付け状態でカバー金属薄板27によって押圧される。このカバー金属薄板27は、ねじボルト30によって基体19に固定されている。図示のように、カバー金属薄板27と組付けプレート35との間には、さらに、シール要素37が位置決めされている。さらに、好ましくはねじボルト36により糸案内金属薄板が組み付けられた基体19は、空気分配ブロック(図示せず)に固定されている。この空気分配ブロック自体は、例えば作業ユニット2のハウジング38の固定装置にねじ締結されている。
図3には、本発明に係る糸スプライシング装置10の分解図が斜視図で示してある。
【0035】
示唆し、すでに前述したように、基体19には、ねじボルト36を介して糸案内金属薄板39が接続可能である。この糸案内金属薄板39によって、継ぎ合わせるべき上糸31の糸端と下糸32の糸端とを、必要な場合にはサクションノズル12もしくはグリッパ管25によってスプライシングブロック23のスプライシング通路17内に整然と通すことができる。
【0036】
空気通流開口34を有する組付けプレート35を下側33に備えたスプライシングブロック23自体は、下方から基体の収容装置26内に位置決め可能である。組付け状態では、組付けプレート35にシール要素37が配置されている。このシール要素37はカバー金属薄板27によって固定される。このカバー金属薄板27は、ねじボルト30によって基体19に接続される。
【符号の説明】
【0037】
1 自動綾巻きワインダ
2 作業ユニット
3 紡績コップ・空管搬送システム
4 コップ供給区間
5 蓄え区間
6 横方向搬送区間
7 巻管返送区間
8 搬送トレー
9 紡績コップ
10 糸スプライシング装置
11 中央制御ユニット
12 サクションノズル
13 12の旋回軸線
14 糸案内ドラム
15 綾巻きパッケージ
16 機械バス
17 スプライシング通路
18 スプライシング空気孔
19 基体
20 25の旋回軸線
21 綾巻きパッケージ搬送装置
22 28の旋回軸線
23 スプライシングブロック
24 巻取り装置
25 グリッパ管
26 収容装置
27 カバー金属薄板
28 パッケージフレーム
29 作業ユニットコンピュータ
30 ねじボルト
31 上糸
32 下糸
33 下側
34 空気通流開口
35 組付けプレート
36 ねじボルト
37 シール要素
38 2のハウジング
39 糸案内金属薄板
AS 解舒位置
【外国語明細書】