(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161876
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】シート状化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20221014BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221014BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20221014BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/34
A61K8/25
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063816
(22)【出願日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2021066097
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慶太
(72)【発明者】
【氏名】友國 敦史
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB171
4C083AB172
4C083AC012
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC182
4C083AC432
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB33
4C083BB36
4C083CC23
4C083CC24
4C083DD12
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】保液性および組成物の肌への転写性に優れるともに、肌のべたつきを抑制し、肌のさらさら感の持続性を優れたものとするシート状化粧料を提供する。
【解決手段】成分(A):エタノール 0.1質量%以上20質量%以下、成分(B):水溶性高分子、成分(C):比表面積が50m2/g以上のシリカ 1質量%以上20質量%以下、および、水を含有する液状組成物を織布または不織布に含浸させた、シート状化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(C)および水を含有する液状組成物を織布または不織布に含浸させた、シート状化粧料。
(A)エタノール 0.1質量%以上20質量%以下
(B)水溶性高分子
(C)比表面積が50m2/g以上のシリカ 1質量%以上20質量%以下
【請求項2】
前記液状組成物中の前記成分(B)の含有量が、前記液状組成物全体に対して0.001質量%以上1質量%以下である、請求項1に記載のシート状化粧料。
【請求項3】
前記成分(B)がアニオン性高分子を含む、請求項1または2に記載のシート状化粧料。
【請求項4】
前記成分(B)が、カルボキシビニルポリマーおよびアクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1乃至3いずれか1項に記載のシート状化粧料。
【請求項5】
前記液状組成物中の前記成分(B)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の質量比((C)/(B))が100以上1800以下である、請求項1乃至4いずれか1項に記載のシート状化粧料。
【請求項6】
前記液状組成物中の前記成分(A)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の質量比((C)/(A))が0.1以上20以下である、請求項1乃至5いずれか1項に記載のシート状化粧料。
【請求項7】
以下の成分(D)をさらに含む、請求項1乃至6いずれか1項に記載のシート状化粧料。
(D)ポリオール 0.1質量%以上20%質量%以下
【請求項8】
当該シート状化粧料が前記液状組成物を前記不織布に含浸させたものであり、
前記不織布が親水性繊維を含む混合繊維からなる、請求項1乃至7いずれか1項に記載のシート状化粧料。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか1項に記載のシート状化粧料からなるシート状洗浄材。
【請求項10】
請求項1乃至8いずれか1項に記載のシート状化粧料が包装材内に収容されている、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の化粧料に関する技術として、特許文献1(特開2013-116868号公報)に記載のものがある。同文献には、HLB値が4~7であり、25℃で液状で、グリセリル基を有する非イオン性界面活性剤、粉体、HLB値が12~17である非イオン性界面活性剤および水を含有する液状組成物を、シート状基材に含浸させてなるシート状化粧料について記載されており、かかるシート状化粧料は、使用時に、適度な清涼感と肌にかさつきのないさらさら感を付与し、べたつきを抑え、さらさら感の持続性に優れるものであり、且つ、発汗後の肌のさらさら感の持続性に優れているとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、シート状化粧料の使いやすさおよび使用感をさらに向上すべく検討した。その結果、前述の技術においては、シート状化粧料の保液性および含浸させた組成物の肌への転写性に優れるともに、肌のべたつきを抑制し、肌のさらさら感の持続性を優れたものとするという点で改善の余地があることが明らかになった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
以下の成分(A)~(C)および水を含有する液状組成物を織布または不織布に含浸させた、シート状化粧料が提供される。
(A)エタノール 0.1質量%以上20質量%以下
(B)水溶性高分子
(C)比表面積が50m2/g以上のシリカ 1質量%以上20質量%以下
【0006】
本発明によれば、
前記本発明におけるシート状化粧料からなるシート状洗浄材が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、
前記本発明におけるシート状化粧料が包装材内に収容されている、包装体が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保液性および組成物の肌への転写性に優れるともに、肌のべたつきを抑制し、肌のさらさら感の持続性を優れたものとするシート状化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、組成物に含まれる各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。また、本明細書中、数値範囲を表す「~」は、断りがなければ、以上から以下を表し、上限値および下限値をいずれも含む。
【0010】
(シート状化粧料)
本実施形態において、以下の成分(A)~(C)および水を含有する液状組成物を織布または不織布に含浸させたものである。
(A)エタノール 0.1質量%以上20質量%以下
(B)水溶性高分子
(C)比表面積が50m2/g以上のシリカ 1質量%以上20質量%以下
【0011】
本発明者らは、成分(A)~(C)を含み、成分(A)および(C)の量が調整された液状化粧料を織布または不織布に含浸させてシート状化粧料とすることにより、シート状化粧料の使いやすさおよび肌への使用感を優れたものとすることができることを新たに見出した。
さらに具体的には、本実施形態におけるシート状化粧料で肌を清拭することにより、たとえば、シートの液保持性および肌への化粧料中の粉体の転写性の点で使いやすさに優れるとともに、肌のべたつき除去効果、および、肌のさらさら感の持続性を優れたものとすることができる。
また、本実施形態によれば、たとえば、化粧が施された肌をシート状化粧料で清拭することにより、皮脂や崩れたメイクを効果的に除去しつつ、メイクをキープし清潔感のある肌を維持することも可能となる。たとえば、皮脂によるメイクのテカリを効果的に抑制することができる。
以下、各構成をさらに具体的に説明する。
【0012】
(液状組成物)
液状組成物は、皮膚洗浄用化粧料組成物等の化粧料組成物であってもよい。
【0013】
(成分(A))
成分(A)はエタノールである。
液状組成物中の成分(A)の含有量は、肌のべたつきを抑制する観点、および、肌のさらさら感の持続性を高める観点から、0.1質量%以上であり、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
また、シート状化粧料の保液性(液保持性)を高める観点から、液状組成物中の成分(A)の含有量は、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。
【0014】
(成分(B))
成分(B)は水溶性高分子である。
成分(B)として、具体的には、水溶性のカチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子、および、両性または双極性高分子からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
【0015】
カチオン性高分子としては、具体的には、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]基を有するヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10);(ビニルピロリドン-ジメチルアミノメチルエチルメタクリレート共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム-11);塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体;ポリオクタニウム-86(ビニルピロリドン、塩化-1-メチル-3-ビニルイミダゾリン、ビニルイミダゾールおよびメタクリル酸の共重合体)等の4級化ポリビニルピロリドン共重合体が挙げられる。
【0016】
アニオン性高分子としては、具体的には、カルボキシメチルセルロース、カラゲーナン、キサンタンガム、ポリスチレンスルホネート、寒天、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン、アルギネート塩、(メタ)アクリル酸もしくはその誘導体の(共)重合体、ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩が挙げられる。
【0017】
このうち、(メタ)アクリル酸もしくはその誘導体の(共)重合体としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋型ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、アクリロイルジメチルタウリン又はその塩をモノマー成分とするコポリマー、クロスポリマー、具体的には、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、ポリアクリレート-13、ポリアクリレートクロスポリマー-6等が挙げられる。
【0018】
(メタ)アクリル酸もしくはその誘導体の(共)重合体の市販品の具体例として、「AQUPEC HV-505E」(住友精化社製)、「カーボポール940」、「カーボポール941」、「カーボポール980」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)、「シンタレンK」、「シンタレンL」(以上、3Vシグマ社製)等のカルボキシビニルポリマー;
「AQUPEC HV-501ER」(住友精化社製)、「カーボポール1342」、「カーボポールETD2020」(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー)、「カーボポールUltrez21」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等のアルキル変性カルボキシビニルポリマー;
「SIMULGEL EG」(SEPPIC社製)等の(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー;
「SIMULGEL NS」、「SEPINOV EMT 10」(以上、SEPPIC社製)等の(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー;
「SEPIMAX ZEN」(SEPPIC社製)等のポリアクリレートクロスポリマー-6が挙げられる。
【0019】
非イオン性高分子としては、具体的には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールアルギネート、ポリアクリルアミド(たとえば、「SEPIGEL 305」、SEPPIC社製)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アミロース、ヒドロキシエチルアミロースおよびこれらの混合物等が挙げられる。
【0020】
両性または双極性高分子として、具体的には、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-43等が挙げられる。
【0021】
また、成分(B)が多糖類であってもよい。多糖類としては、中性多糖類が好ましく、セルロースガム、ローカストビーンガム、グァーガム、デンプン、デキストリン、スクレログルカン、キャロブガム、ヒドロキシエチルグァーガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどが挙げられる。
また、カチオン性多糖類の具体例として、カチオン化セルロース、例えばカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースが挙げられる。
【0022】
シート状化粧料の保液性および液状組成物の肌への転写性のバランスを向上する観点、および、シート状化粧料中の成分(C)の偏在を抑制する観点から、成分(B)は、好ましくはアニオン性高分子を含み、より好ましくはアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマーおよびアクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含み、さらに好ましくはカルボキシビニルポリマーおよびアクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む。また、成分(B)がアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体およびアクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。
【0023】
液状組成物中の成分(B)の含有量は、シート状化粧料の保液性を向上する観点、および、シート状化粧料中の成分(C)の偏在を抑制する観点から、液状組成物全体に対して好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.003質量%以上、さらに好ましくは0.004質量%以上、さらにより好ましくは0.005質量%以上である。
また、液状組成物の肌への転写性を向上する観点から、液状組成物中の成分(B)の含有量は、液状組成物全体に対して好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらにより好ましくは0.02質量%以下である。
【0024】
(成分(C))
成分(C)はシリカであり、その比表面積が50m2/g以上である。
成分(C)は、具体的には粉体であり、好ましくは球状の粉体である。成分(C)の具体例として、球状シリカ;メソポーラスシリカ等の多孔質シリカが挙げられる。
また、成分(C)の粉体の表面は、シート状化粧料の保液性および液状組成物の肌への転写性のバランスを向上する観点から、好ましくは親水性である。表面が親水性のシリカとして、たとえば、表面が疎水化処理されていないシリカが挙げられる。
【0025】
成分(C)の比表面積は、肌のさらさら感の持続性を高める観点、および、肌のべたつきを抑制する観点から、50m2/g以上であり、好ましくは100m2/g以上、より好ましくは150m2/g以上、さらにより好ましくは200m2/g以上である。
また、肌のさらさら感の持続性を高める観点から、成分(C)の比表面積は、好ましくは1500m2/g以下、より好ましくは1000m2/g以下、さらに好ましくは600m2/g以下である。
ここで、成分(C)の比表面積は、気体吸着法(JIS Z 8830:2001 気体吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)に準拠して測定されるBET比表面積である。
【0026】
成分(C)の平均粒子径は、肌のさらさら感の持続性を高める観点から、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上である。
また、肌のさらさら感の持続性を高める観点、および、肌のべたつきを抑制する観点から、成分(C)の平均粒子径は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
ここで、成分(C)の平均粒子径は、遠心沈降式粒度分布測定法で、ストークスの式から求めた体積による換算値のメジアン径(D50)である。
【0027】
液状組成物中の成分(C)の含有量は、液状組成物の肌への転写性を向上する、および、肌のさらさら感の持続性を高める観点から、液状組成物全体に対して1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上である。
また、肌の着色を抑制する観点から、液状組成物中の成分(C)の含有量は、液状組成物全体に対して20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0028】
液状組成物中の成分(B)の含有量に対する成分(C)の含有量の質量比((C)/(B))は、保液性および組成物の肌への転写性に優れるともに、肌のべたつきを抑制し、肌のさらさら感の持続性に優れる観点から、好ましくは100以上であり、より好ましくは250以上、さらに好ましくは400以上、さらにより好ましくは600以上である。
また、保液性および組成物の肌への転写性に優れるともに、肌のべたつきを抑制し、肌のさらさら感の持続性を優れる観点から、上記質量比((C)/(B))は、好ましくは1800以下であり、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは900以下、さらにより好ましくは800以下である。
【0029】
液状組成物中の成分(A)の含有量に対する成分(C)の含有量の質量比((C)/(A))は、保液性および組成物の肌への転写性に優れるともに、肌のさらさら感の持続性を優れる観点から、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上、さらにより好ましくは0.5以上である。
また、保液性および組成物の肌への転写性に優れるともに、肌のさらさら感の持続性を優れる観点から、上記質量比((C)/(A))は、好ましくは20以下であり、より好ましくは16以下、さらに好ましくは8以下、さらにより好ましくは5以下である。
【0030】
(水)
液状組成物中の水の含有量は、たとえば液状組成物中の水以外の成分を除いた残部とすることができる。
また、液状組成物中の水の含有量は、シート状化粧料の保液性を向上する観点、および、肌への刺激感を抑制する観点から、液状組成物全体に対して好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、殊更好ましくは83質量%以上である。
【0031】
また、シート状化粧料の保液性を向上する観点から、液状組成物中の成分水の含有量は、液状組成物全体に対して98.9質量%未満であり、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下、さらにより好ましくは90質量%以下である。
【0032】
また、液状組成物は、成分(A)~(C)以外の成分を含んでもよい。たとえば、液状組成物は以下の成分(D)をさらに含む。
【0033】
(成分(D))
成分(D)はポリオールである。ただし、成分(D)から前述の成分(B)は除かれる。
成分(D)の炭素数は、保液性および組成物の肌への転写性に優れる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下である。
【0034】
また、成分(D)として、たとえば炭素数2以上8以下の多価アルコールおよびこれらの重合体が挙げられる。
炭素数2以上8以下の多価アルコールとして、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコールおよびこれらの重合体からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
成分(D)の分子量は、たとえば200以下であり、好ましくは150以下、さらにより好ましくは100以下であり、また、たとえば50以上である。
【0035】
シート状化粧料の保液性を向上する観点から、成分(D)は、好ましくは1,3-ブチレングリコールおよびソルビトールのうち少なくとも1種である。
【0036】
液状組成物中の成分(D)の含有量は、シート状化粧料の保液性を向上する観点から、液状組成物全体に対して好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.6質量%以上である。
一方、保液性および組成物の肌への転写性に優れる観点から、液状組成物中の成分(D)の含有量は、液状組成物全体に対して好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下、殊更好ましくは2質量%以下である。
【0037】
また、たとえば、液状組成物は以下の成分(E)をさらに含む。
(成分(E))
成分(E)は、界面活性剤である。
成分(E)として、具体的には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される1種以上が挙げられる。シート状化粧料の保液性を向上する観点から、成分(E)は、好ましくは非イオン性界面活性剤である。
【0038】
成分(E)として、たとえば、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシドが挙げられる。
【0039】
このうち、シート状化粧料の保液性を向上する観点、および、肌のべたつきを抑制する観点から、成分(E)は、好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ポリオキシアルキレンC8-C20脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよび脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選択される1種または2以上であり、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群から選択される1以上の化合物であり、さらに好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群から選択される1以上の化合物である。
【0040】
より具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油におけるポリオキシエチレンの付加モル数は、シート状化粧料の保液性を向上する観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは30以上、より好ましくは50以上であり、また、好ましくは100以下であり、より好ましくは80以下である。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるポリオキシアルキレンの付加モル数は、シート状化粧料の保液性を向上する観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、また、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。
アルキルグリコシドとしては、アルキル基の炭素数8~14で、糖(グルコース)の縮合度1~2のもの等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビタンヤシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等が挙げられる。
脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8~18、中でも炭素数10~16のアシル基を有するものが好ましく、またモノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよいが炭素数2~3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましい。
脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド等が挙げられる。
【0041】
液状組成物中の成分(E)の含有量は、シート状化粧料の保液性を向上する観点から、液状組成物全体に対して好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上である。
また、肌のべたつきを抑制する観点から、液状組成物中の成分(E)の含有量は、液状組成物全体に対して2質量%以下であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下である。
【0042】
また、液状組成物は、上述した成分以外の成分を含んでもよい。
たとえば液状組成物は、pH調整剤、防腐剤、着香剤、着色剤および冷感剤からなる群から選択される1種または2種以上を含んでもよい。
このうち、pH調整剤として、たとえばコハク酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸およびその塩;リン酸等の無機酸およびその塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム等の塩基が挙げられる。
【0043】
液状組成物のpHは、肌への刺激性を低減する観点から、好ましくは4.5以上であり、より好ましくは6.5以上であり、また、好ましくは8.5以下であり、より好ましくは8.0以下である。
【0044】
(織布または不織布)
織布または不織布は、具体的にはシート状化粧料の基材となる。
織布または不織布の材料として、具体的には、リヨセル、キュプラ、レーヨン、アセテート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン、ポリアミド、コットン、パルプおよびこれらを混綿したものが挙げられる。
シート状化粧料の保液性および液状組成物の肌への転写性のバランスを向上する観点から、織布または不織布は、好ましくはコットン、レーヨン、PE、PPおよびPETからなる群から選択される1または2以上の材料を含む。
【0045】
シート状化粧料は、シート状化粧料の保液性および液状組成物の肌への転写性のバランスを向上する観点から、好ましくは液状組成物を不織布に含浸させたものであり、かかる不織布が好ましくは親水性繊維を含む混合繊維からなる。
不織布が親水性繊維と他の繊維との混合繊維である例として、たとえば、パルプ、レーヨンおよびコットンの少なくとも1つが、PE、PP、PET等の熱可塑性樹脂で強化されたシート等が挙げられる。このとき、パルプ、レーヨン、コットンおよび熱可塑性樹脂の割合において、パルプ、レーヨンおよびコットンの合計が全体に占める質量比は、シート状化粧料の保液性および液状組成物の肌への転写性のバランスを向上する観点から、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0046】
また、織布または不織布の材料がパルプであるとき、やわらかさと強度との両立の観点から、薄いパルプを重ね合わせて用いることが好ましく、さらに熱可塑性樹脂で強化したパルプは、エンボス処理により適度な厚さ(嵩高さ)を付与でき、かつ肌を濡らしすぎないので好ましい。さらに、ヒートシールにより複数枚のシートを部分的に貼り合わせることで、柔らかく、拭きごたえのある厚さのあるシートにより良好な使用感を提供できる。
【0047】
織布または不織布の平均坪量は、液状組成物の保持性や、清拭時の感触が良好である観点から、好ましくは20g/m2以上であり、より好ましくは30g/m2以上、さらに好ましくは40g/m2以上である。
同様の観点から、織布または不織布の平均坪量は、好ましくは150g/m2以下であり、より好ましくは100g/m2以下である。また、組成物の肌への転写性向上の観点から、織布または不織布の平均坪量は、好ましくは70g/m2以下であり、より好ましくは50g/m2以下である。
なお、平均坪量は、JIS L 1913に準拠し、不織布を一定面積の寸法に切り出してその質量(g)を測定し、これを1m2の質量に換算して求めることができる。
【0048】
織布または不織布の厚さは、液状組成物の保持性を向上する観点、および、清拭時に良好な使用感を与える観点から、好ましくは0.15mm以上であり、より好ましくは0.30mm以上である。
同様の観点から、織布または不織布の厚さは、好ましくは1.30mm以下であり、より好ましくは0.90mm以下である。
ここで、織布または不織布の厚さは、押圧20gf/cm2荷重のダイアルゲージによる測定により得られる。
【0049】
織布または不織布は、具体的にはシート状であり、顔等の肌を清拭しやすい形状および大きさとすることが好ましい。
上記の観点から、織布または不織布の形状は、具体的にはシート状である。また、織布または不織布の平面形状は、たとえば矩形状とすることができる。矩形の一片の長さは、たとえば3~30cm程度、好ましくは5~20cm程度である。
【0050】
次に、シート状化粧料の製造方法を説明する。
シート状化粧料の製造方法は、たとえば、液状組成物と、シート基材となる織布または不織布とを準備する工程と、液状組成物を織布または不織布に含浸させる工程と、を含む。
液状組成物を含浸させる工程において、含浸方法に制限はなく、たとえば、スプレーやエアーガン等を用いて液状組成物をシート基材に噴霧して含浸させる方法や、スリット型のノズル等を用いて液状組成物を直接シート基材に塗布して含浸させる方法が挙げられる。
【0051】
液状組成物の含浸率は、拭き取り後の爽快感の観点から、織布または不織布の質量に対して好ましくは180質量%以上であり、より好ましくは200質量%以上、さらに好ましくは230質量%以上である。
また、清拭後の速乾の観点から、液状組成物の含浸率は、織布または不織布の質量に対して好ましくは550質量%以下であり、より好ましくは500質量%以下、さらに好ましくは470質量%以下、さらにより好ましくは450質量%以下である。
【0052】
本実施形態において得られるシート状化粧料は、たとえば、シート状洗浄材として好適に用いることができる。
【0053】
また、本実施形態において得られるシート状化粧料は、たとえば素肌に適用してもよいし、また、たとえば、メイクが施された肌をシート状化粧料で清拭するステップを含む、スキンケア方法に用いることもできる。
【0054】
(包装体)
本実施形態において、包装体は、たとえば本実施形態におけるシート状化粧料が包装材に収容されているものであり、好ましくは密封されたものである。
包装体の材料に制限はなく、たとえばアルミシート(アルミ箔)やシリカ蒸着フィルム等のバリア層を挟んでその表裏両面をたとえばポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等により構成された合成樹脂フィルム層で覆った積層フィルム等とすることができる。
また、包装体の形状に制限はなく、たとえばピロー袋、ガゼット袋、パウチ、箱、ボトル、ジャー等とすることができる。
1つの包装材内に、1枚のシート状化粧料が収容されていてもよいし、2枚以上のシート状化粧料が収容されていてもよい。また、1つの包装材内に、2枚以上のシート状化粧料が連結した状態で収容されていてもよい。このとき、たとえば不織布にミシン目が設けられていてよく、使用する分のシート状化粧料をミシン目に沿って切り取って用いることができる。
シート状化粧料は、たとえば折りたたんだ状態または巻いた状態で収納される。
【0055】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のシート状化粧料、シート状洗浄材および包装材を開示する。
<1> 以下の成分(A)~(C)および水を含有する液状組成物を織布または不織布に含浸させた、シート状化粧料。
(A)エタノール 0.1質量%以上20質量%以下
(B)水溶性高分子
(C)比表面積が50m2/g以上のシリカ 1質量%以上20質量%以下
【0056】
<2> 前記液状組成物中の前記成分(B)の含有量が、前記液状組成物全体に対して好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.003質量%以上、さらに好ましくは0.004質量%以上、さらにより好ましくは0.005質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらにより好ましくは0.02質量%以下である、<1>に記載のシート状化粧料。
<3> 前記成分(B)がアニオン性高分子を含む、<1>または<2>に記載のシート状化粧料。
<4> 前記成分(B)が、カルボキシビニルポリマーおよびアクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む、<1>乃至<3>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<5> 前記液状組成物中の前記成分(B)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の質量比((C)/(B))が好ましくは100以上であり、より好ましくは250以上、さらに好ましくは400以上、さらにより好ましくは600以上であり、また、好ましくは1800以下であり、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは900以下、さらにより好ましくは800以下である、<1>乃至<4>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<6> 前記液状組成物中の前記成分(A)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の質量比((C)/(A))が好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上、さらにより好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは20以下であり、より好ましくは16以下、さらに好ましくは8以下、さらにより好ましくは5以下である、<1>乃至<5>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<7> 以下の成分(D)をさらに含む、<1>乃至<6>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
(D)ポリオール 液状組成物全体に対して好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.6質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下、殊更好ましくは2質量%以下
<8> 前記液状組成物中の前記成分(A)の含有量が、前記液状組成物全体に対して好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である、<1>乃至<7>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<9> 前記液状組成物中の前記成分(C)の含有量が、前記液状組成物全体に対して好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である、<1>乃至<8>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<10> 前記成分(C)の比表面積が、好ましくは100m2/g以上であり、より好ましくは150m2/g以上、さらにより好ましくは200m2/g以上であり、また、好ましくは1500m2/g以下であり、より好ましくは1000m2/g以下、さらに好ましくは600m2/g以下である、<1>乃至<9>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<11> 前記成分(C)の平均粒子径が、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、また、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である、<1>乃至<10>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<12> 前記液状組成物中の前記水の含有量が、前記液状組成物全体に対して好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、殊更好ましくは83質量%以上であり、また、98.9質量%未満であり、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下、さらにより好ましくは90質量%以下である、<1>乃至<11>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<13> 以下の成分(E)をさらに含む、<1>乃至<12>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
(E)界面活性剤
<14> 成分(E)が好ましくは非イオン性界面活性剤であり、より好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群から選択される1以上の化合物である、<13>に記載のシート状化粧料。
<15> 前記液状組成物中の前記成分(E)の含有量が、前記液状組成物全体に対して好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下である、<13>または<14>に記載のシート状化粧料。
<16> 当該シート状化粧料が前記液状組成物を前記不織布に含浸させたものであり、
前記不織布が親水性繊維を含む混合繊維からなる、<1>乃至<15>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<17> 前記液状組成物の含浸率が、前記織布または前記不織布の質量に対して好ましくは180質量%以上であり、より好ましくは200質量%以上、さらに好ましくは230質量%以上であり、また、好ましくは550質量%以下であり、より好ましくは500質量%以下、さらに好ましくは470質量%以下、さらにより好ましくは450質量%以下である、<1>乃至<16>いずれか1つに記載のシート状化粧料。
<18> <1>乃至<17>いずれか1つに記載のシート状化粧料からなるシート状洗浄材。
<19> <1>乃至<17>いずれか1つに記載のシート状化粧料が包装材内に収容されている、包装体。
【0057】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0058】
(実施例1~31、比較例1および2)
以下の方法で表1~表6に示す配合で各例の液状組成物を調製し、これを不織布に含浸させて、各例のシート状化粧料を得た。
ここで、表1~表6において、各成分の量はアクティブ量(単位:質量%)である。
【0059】
(液状組成物の調製方法)
水相に各成分を投入して各例の液状組成物を調製した。
【0060】
(シート状化粧料の製造方法)
不織布に各例で得られた液状組成物をまんべんなく染み込ませた後、液をなじませて均一に含浸させた。液状組成物の含浸率は、実施例16、17および28~31以外の例(表1~5)では300質量%とし、実施例16および17(表6)では350質量%とした。実施例28~31(表6)では、それぞれ、含浸率を200質量%、250質量%、400質量%および450質量%とした。
各例で用いた不織布は以下の通りである。
実施例1~11、14~17、19~31、比較例1、比較例2(表1、表2、表4~表6):不織布1(AS-40、大和紡績社製、レーヨン/PP・PE=80/20、9cm×12cm、平均厚さ0.45±0.04mm、平均坪量40g/m2)
実施例12(表3):不織布2(コットエースC045R/A02、ユニチカ社製、コットン100%、9cm×12cm、平均厚さ0.35±0.08mm、平均坪量45g/m2)
実施例13(表3):不織布3(エスコットCO60P/A01、ユニチカ社製、コットン/PET/PE=50/31/19、9cm×12cm、平均厚さ0.48±0.07mm、平均坪量60g/m2)
実施例18(表1):不織布4(PT-50、大和紡績社製、レーヨン/PP・PE=80/20、9cm×12cm、厚さ0.36mm、平均坪量50g/m2)
【0061】
(評価方法)
表1~表6に記載の各例で得られたシート状化粧料について、シートの液保持性、肌への化粧料中の粉体の転写性、肌のべたつき除去効果、肌のさらさら感の持続およびメイクの皮脂によるテカリ抑制を以下の方法で評価した。液保持性以外の各項目について、評価値2点以上を合格とした。評価結果を表1~表4に示す。
【0062】
(シートの液保持性)
各例のシート状化粧料を4回折って16つ折りにして絞り、絞り出された液質量(g)を測定した。液質量が小さいほど、液状組成物の染み出し量が少なく、液保持性に優れる。
ここで、16つ折りは、シート状化粧料の長辺が半分になるよう2つに折り(1回目、2つ折り)、2つ折りされたものの長辺が半分になるよう2つに折り(2回目、4つ折り)、4つ折りされたものの長辺が半分になるよう2つに折り(3回目、8つ折り)、さらに8つ折りされたものの長辺が半分になるよう2つに折る(4回目、16つ折り)ことによりおこなった。
【0063】
(肌への化粧料中の粉体の転写性)
各例で得られたシート状化粧料で素肌(頬部)を清拭し、清拭直後の肌への粉体の転写性を触感官能評価した。評価は、専門パネリスト2名が以下の基準に従っておこない、平均点を算出した。
0:素肌と同等
1:弱いさらさら
2:やや弱いさらさら
3:さらさらする
4:やや強いさらさら
5:強いさらさら
【0064】
(肌のべたつき除去効果)
各例で得られたシート状化粧料で素肌(頬部)を清拭し、清拭直後の肌のべたつき感を触感官能評価した。評価は、専門パネリスト2名が以下の基準に従っておこない、平均点を算出した。
1:べたつく
2:ややべたつく
3:べたつかない
【0065】
(肌のさらさら感の持続)
各例で得られたシート状化粧料で素肌(頬)を清拭し、清拭3時間後の肌のさらさら感を触感官能評価した。評価は、専門パネリスト2名が以下の基準に従っておこない、平均点を算出した。
0:素肌と同等
1:弱いさらさら
2:やや弱いさらさら
3:さらさらする
4:やや強いさらさら
5:強いさらさら
【0066】
(メイクの皮脂によるテカリ抑制)
リキッドファンデーション(セザンヌ化粧品社製、セザンヌクリーミィファンデーションナチュラルカバータイプ)を顔肌に塗布し、30分乾燥後に、各例で得られたシート状化粧料で押さえ、3時間経過後にテカリの有無を目視官能評価した。
0:強いテカリが確認される
1:テカリが確認される
2:ややテカリが確認される
3:わずかにテカリが確認される
4:極わずかにテカリが確認される
5:テカリが確認されない
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
表1~表6で用いた成分の詳細を以下に示す。
*1 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:PEMULEN TR-1、Lubrizol社製
*2 アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー:カーボポールETD2020、Lubrizol社製
*3 シリカ1:SILICA MICRO BEAD LB-1500、日揮触媒化成社製、比表面積310m2/g、平均粒子径5μm
*4 シリカ2:CHIFFONSIL P-3R、日揮触媒化成社製、比表面積2m2/g、平均粒子径5μm
*5 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.):CH-60K、花王社製
*6ポリオキシエチレンラウリルエーテル(6E.O.):エマルゲン108、花王社製
*7 シリカ3:サンスフェアH-51、AGCエスアイテック社製、比表面積800m2/g、平均粒子径5μm
*8 シリカ4:SATINIER M5、日揮触媒化成社製)、比表面積170m2/g、平均粒子径5μm
*9 カルボマー:Carbopol 980 Polymer、Lubrizol社製
*10 カチオン化セルロース:各例において、以下とした。
(実施例23)カチオン化ヒドロキシエチルセルロース:カチセロM-80、花王社製
(実施例24)カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース:ソフケアC-HP2-W、花王社製
*11 ポリエチレングリコール:各例において、以下とした。
(実施例25)ポリエチレングリコール:POLYGLYKOL 8000 S、クラリアントジャパン社製
(実施例26)ポリエチレングリコール:PEG-20000、三洋化成工業株式会社製
【0074】
表1~表6より、各実施例で得られたシート状化粧料においては、シートの液保持性、肌への化粧料中の粉体の転写性、肌のべたつき除去効果、肌のさらさら感の持続、および、メイクの皮脂によるテカリ抑制の各効果のバランスに優れていた。