(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161877
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】自動車の流体回路または密閉エンクロージャ用の圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/12 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
G01L9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022063821
(22)【出願日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】2103622
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591136931
【氏名又は名称】ハッチンソン
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライス ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー ベナード
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA11
2F055CC02
2F055EE25
2F055FF34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動車の燃料システムまたは電池パックといった密閉エンクロージャなどの危険なまたは隔離された環境での測定に特に有用な無線圧力センサ技術を提供する。
【解決手段】特に自動車の流体回路用の圧力センサ(10)であって、流体入口(14)と、流体出口(16)と、本体内の流体の流れのために入口を流体出口に連結するための内部チャンバ(18)とを備える本体(12)と、チャンバ内に配置され、本体を流れる流体と接触するように意図された第1の面(20a)を備える弾性変形可能な膜(20)と、を備え、チャンバ内に配置され、チャンバ(18)の外側に配置された読み出し回路(23)に関連付けられたRLCタイプの共振回路(22)をさらに備えることを特徴とする、圧力センサ(10)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車の流体回路または密閉エンクロージャ用の圧力センサ(10,110)であって、
2つの対向する面(20a,20b)を備え、前記2つの対向する面のうちの一方の面が流体と接触するように意図された弾性変形可能な膜(20)と、
前記膜の一方の面(20a,20b)上に配置され、キャパシタンスが前記膜の弾性変形の振幅の関数として変化するコンデンサ(22c)と、前記コンデンサに接続された第1のコイル(22b)と、を備えるRLC型の共振回路(22)であって、前記共振回路が、前記コンデンサのキャパシタンスの関数として、したがって前記膜の弾性変形の関数として変化する共振周波数を有するように構成される、共振回路(22)と、
前記膜からオフセットされた読み出し回路(23)であって、前記第1のコイル(23b)と対向して配置され、前記共振回路の共振周波数を検出し、それに応じて読み出し信号を発するように構成された第2のコイル(22b)を備える読み出し回路(23)と、
を備える圧力センサ(10,110)において、
前記コンデンサ(22c)が、前記第1のコイル(22b)の前記端子にそれぞれ接続された2つの電極であって、2つの電極の両方ともが前記膜(20)の前記弾性変形に追従するように、2つの電極の両方の電極ともが前記膜(20)の前記面上に配置される2つの電極を備え、前記第1のコイル(22b)が前記膜(20)の前記面上または前記面の上方に配置される、
圧力センサ(10,110)。
【請求項2】
前記コンデンサ(22c)が、前記膜の前記面上に配置されたサンドイッチ構造を備え、前記サンドイッチ構造が、誘電体層(26)によって分離された2つの伸縮性導電層(24,28)を含み、これらの導電層(24,28)が前記電極を形成する、請求項1に記載のセンサ(10,110)。
【請求項3】
前記電極(30,32)が、平面状であり、前記膜の前記面上で伸縮性であり、互いに交互配置されている、請求項1に記載のセンサ(10,110)。
【請求項4】
前記膜(20)が取り付けられる本体(12,118)をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ(10,110)。
【請求項5】
前記本体(118)が、外側環状または外周固定フランジ(120)を備え、前記フランジは、前記膜(20)の周りに延在しており、固定要素(124)を通過させるためのオリフィス(122)を備える、請求項4に記載のセンサ(110)。
【請求項6】
前記本体(12)が、流体入口(14)と、流体出口(16)と、前記本体内の流体の流れのために、前記入口を前記流体出口に接続するための内部チャンバ(18)と、を備え、前記読み出し回路(23)が、前記チャンバ(18)の外側に配置されており、前記膜(20)によって前記チャンバから分離されている、請求項4に記載のセンサ(10)。
【請求項7】
前記本体(12)が、前記チャンバ(18)を画定する中央部分(38a)と、前記入口(14)および前記出口(16)をそれぞれ形成する2つの延長部(38a,38b)とを備える一体型ケーシング(38)を備える、請求項6に記載のセンサ(10)。
【請求項8】
前記本体(12)が、前記中央部分(38a)に取り付けられ、固定され、前記読み出し回路(23)を収容するための空間(19)を前記膜(20)と共に画定する蓋(40)をさらに備える、請求項7に記載のセンサ(10)。
【請求項9】
前記第2のコイル(23b)が、前記本体(118)内に配置されるか、前記蓋(40)上に配置されるか、または前記蓋の上方に配置されたカバー(42)によって担持される、請求項8に記載のセンサ(10)。
【請求項10】
前記膜(20)が、前記固定フランジ(120)によってクランプされるか、または前記蓋(40)と前記中央部分(38a)との間でクランプされる外周を有し、その結果、この膜がシールを提供する、請求項5または8または9に記載のセンサ(10,110)。
【請求項11】
前記第1および第2のコイル(22b,23b)が、共通の巻き軸を備える、請求項1から10のいずれか1項に記載のセンサ(10,110)。
【請求項12】
前記共振回路(22)全体が、前記膜(20)の前記面上に配置され、前記共振回路の前記コンデンサ(22c)が、前記膜の中央部分(46)上に配置され、前記第1のコイル(22b)が、上述の前記中央部分の周りに延在する前記膜の環状部分または周辺部分(48)上に配置される、請求項1から11のいずれか1項に記載のセンサ(10,110)。
【請求項13】
前記膜(20)の前記中央部分(46)が、一定の厚さE1を有し、前記膜の前記環状部分または周辺部分(48)が、E1よりも大きい一定の厚さE2を有し、前記一定の厚さE2は、例えば、E1よりも少なくとも3倍大きく、E1よりも最大で10倍大きい、請求項12に記載のセンサ(10,110)。
【請求項14】
前記膜(20)が、厚さE3の材料の環状または周辺のウェブ(52)によって前記膜の前記環状部分または周辺部分(48)に接続された環状ビードまたは周辺ビード(50)をその外周にさらに備え、E3がE1とE2との間にある、請求項12または13に記載のセンサ(10,110)。
【請求項15】
前記第2のコイル(23b)が、前記RLC回路のインピーダンスを調整するように構成された第1のモジュール(34)と、ベクトル周波数を分析するように構成された第2のモジュール(36)とを備える電子制御装置に接続される、請求項1から14のいずれか1項に記載のセンサ(10,110)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の少なくとも一つのセンサ(10)を備える、特に自動車用の流体回路。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか1項に記載の少なくとも1つのセンサ(110)を備える、特に自動車用の電池パックなどの密閉エンクロージャ。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか1項に記載の少なくとも1つのセンサ(10)、請求項16に記載の回路、または請求項17に記載の密閉エンクロージャを備える車両、特に自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車の流体回路または密閉エンクロージャ(筐体)用の圧力センサに、特に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的背景には、特に、US-A1-2006/144155、US-B1-7,146,861、US-A1-2014/3095773が含まれる。
【0003】
車両、特に自動車は、車両の正しい動作をリアルタイムで確認するために、圧力を測定および制御しなければならないいくつかの流体回路を備える。これには、例えば、車両の燃料システムが当てはまる。
【0004】
車両、特に電気またはハイブリッドは、電気電池セルが収容される密閉エンクロージャを備える電池パックをさらに備えることができる。この電池パックは、特に不良セルからのガスの放出に起因する、エンクロージャ内の圧力の上昇を検出するために、圧力センサを装備することができる。
【0005】
いくつかの圧力センサ技術がある。いくつかの圧力センサは、例えば、流体と接触している膜上に配置された歪みゲージを含む。流体の圧力が変化すると、膜が変形し、ゲージの抵抗率の変化の測定値を流体の圧力に関連付けることができる。この測定原理は広く使用されているが、ゲージの変化する特性を読み取るためにワイヤが存在する必要がある。
【0006】
他のセンサは、電気圧電材料を含む。しかしながら、ここでも、圧電材料への圧力によって発生する電圧を測定するために2本のワイヤが必要とされる。
【0007】
他のセンサは、MEMS(微小電気機械システム)技術を使用し、したがって半導体材料を使用する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、自動車の燃料システムまたは電池パックといった密閉エンクロージャなどの危険なまたは隔離された環境での測定に特に有用な無線圧力センサ技術を提供する。
【0009】
本発明は、流体回路または密閉エンクロージャ用の圧力センサに関し、圧力センサは、
2つの対向する面を備え、2つの対向する面のうちの第1の面が流体と接触するように意図された弾性変形可能な膜と、
膜の2つの面の一方の面上に配置され、キャパシタンスが膜の弾性変形の振幅の関数として変化するコンデンサと、コンデンサに接続された第1のコイルと、を備えるRLC型の共振回路であって、当該共振回路が、コンデンサのキャパシタンスの関数として、したがって膜の弾性変形の関数として変化する共振周波数を有するように構成される、共振回路と、
膜からオフセットされた読み出し回路であって、第1のコイルと対向して配置され、前記共振回路の共振周波数を検出し、それに応じて読み出し信号を発するように構成された第2のコイルを備える読み出し回路と、
を備える圧力センサにおいて、
コンデンサが、2つの電極を備え、2つの電極は、第1のコイルの端子にそれぞれ接続されており、2つの電極の両方ともが膜の弾性変形に追従するように、2つの電極両方ともが膜の面上に配置され、第1のコイルが膜の面上または面の上方に配置されることを特徴とする。
【0010】
したがって、共振回路と読み出し回路との間の協働は、ワイヤなしで達成されることが理解される。言い換えれば、共振回路はワイヤによって接続されておらず、これは有利であり、センサの製造および保守整備を容易にする。読み出し回路は、ワイヤによって他の電子機器、および特に車両の車載コンピュータに接続され得る。
【0011】
2つの電極が膜上に配置され、膜の上方の大きな空間を占有しないため、コンデンサは、ほとんど空間を占有しないことも理解される。2つの電極は、膜の変形に追従し、したがって有利には可撓性であり、例えばフィルムまたは薄層の形態である。膜上または膜の上方の第1のコイルの配置はまた、センサの空間要件を最適化する。
【0012】
本発明による圧力センサは、互いに独立して、または互いに組み合わせて、以下の特徴のうちの1つまたは複数を備えることができる:
膜は、略平面状、例えばディスク形状を有する;
コンデンサは、膜の前記面上に配置されたサンドイッチ構造を備え、当該サンドイッチ構造は、誘電体層によって分離された2つの伸縮性導電層を備え、これらの導電層は電極を形成し、前記第1のコイルの端子にそれぞれ接続されている;
コンデンサは、膜の前記第2の面上に配置され、互いに交互配置された2つの平面状の伸縮性電極を備え、これらの電極は、前記第1のコイルの端子にそれぞれ接続されている;
第1および第2のコイルは、膜の外径または最大横断寸法以下の外径を有する;
センサは、膜が取り付けられる本体を備える;
本体は、外側環状または外周固定フランジを備え、このフランジは、前記膜の周りに延在し、固定要素の通過のためのオリフィスを備える;
本体は、前記チャンバを画定する中央部分と、前記入口および出口をそれぞれ形成する2つの延長部とを備える一体型ケーシングを備える;
ケーシングの中央部分は、略円筒形状を有し、前記延長部は、中央部分の軸に対して直径方向に対向している(反対向きである);
本体は、蓋をさらに備え、蓋は、中央部分に取り付けられ、固定されており、前記読み出し回路を収容するための空間を膜と共に画定する;
膜は、固定フランジによってクランプされるか、または蓋と中央部分との間でクランプされる外周を有し、その結果、この膜がシール(封止)を提供する;
膜は、その外周に、環状または外周の余剰厚さを含む;
第2のコイルは、蓋上に配置されているか、または蓋の上方に配置されたカバーによって担持(保持)されている;
第1および第2のコイルは、共通の巻き軸を備える;
前記巻き軸は、中央部分の軸と一致する;
共振回路全体が膜の面上に配置され、共振回路のコンデンサが膜の中央部分上に配置され、第1のコイルが上述の中央部分の周りに延在する膜の環状部分または周辺部分上に配置される;
共振回路は、流体に曝される膜の面上に配置されるか、または流体に曝される膜の反対側の面上に配置される;
膜の中央部分は一定の厚さE1を有し、膜の環状または周辺部分はE1より大きい一定の厚さE2を有し、厚さE2は例えばE1より少なくとも3倍大きく、E1より最大10倍大きい;
膜は、その外周に、厚さE3の材料の環状または周辺ウェブによって膜の環状または周辺部分に接続された環状または周辺ビードをさらに備え、E3はE1とE2との間にある;
ウェブは、本体の2つの同軸円筒リムの間に配置されている;
第2のコイルは、RLC回路のインピーダンスを調整するように構成された第1のモジュールと、ベクトル周波数を分析するように構成された第2のモジュールとを備える電子制御装置に接続される;
第1のコイルは、中央部分の軸の周りに延在する。
【0013】
本発明はまた、上述の少なくとも1つのセンサを備える、特に自動車用の流体回路に関する。
【0014】
本発明はまた、上述の少なくとも1つのセンサを備える、特に自動車用の電池パックなどの密閉エンクロージャに関する。
【0015】
本発明はまた、上述の少なくとも1つのセンサ、回路、または密閉エンクロージャを備える車両、特に自動車に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明の過程で明らかになるであろう。その理解のために、添付の図面を参照する。
【0017】
【
図1】本発明による圧力センサの非常に概略的な図である。
【
図2】本発明による圧力センサ用のRLC回路の可変電気コンデンサ用の交互配置された電極の一実施形態の一例の非常に概略的な図である。
【
図3】本発明による圧力センサの共振回路および読み出し回路を示す図である。
【
図4】本発明による圧力センサの一実施形態の概略斜視図である。
【
図5】
図4の圧力センサの概略軸方向断面図である。
【
図6】本発明による圧力センサの代替実施形態の部分的な概略斜視断面図である。
【
図7】本発明による圧力センサの代替実施形態の部分的な概略斜視断面図である。
【
図8】本発明による圧力センサの代替実施形態の部分的な概略斜視断面図である。
【
図9】本発明による圧力センサの別の実施形態の概略分解斜視図である。
【
図11】
図9の線IX-IXに沿った断面図である。
【
図12】本発明によるセンサの別の変形形態を装備した、電池パック型の密閉エンクロージャの部分的な概略斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、特に自動車の流体回路または密閉エンクロージャを装備するように意図された圧力センサに関する。流体回路は、例えば燃料システムである。密閉エンクロージャは、例えば、電池パック、すなわち、電気電池セルを収容するボックスである。しかしながら、本発明によるセンサのこれらの用途は限定的ではない。
【0019】
図1~
図11に示す第1の実施形態によれば、圧力センサ10は、流体回路を装備するように意図されている。センサ10は、例えばプラスチック材料で作られた本体12を備え、本体12は、流体入口14と、流体出口16と、入口14から出口16への本体12内の流体の流れ(矢印Fを参照)のために入口を流体出口に連結するための内部チャンバ18と、を備える。
【0020】
センサ10は、本体12を通って流れる流体と接触するように意図された第1の面20aを有する弾性変形可能な膜20をさらに備える。
【0021】
本出願において、「膜」は、実質的に平面状で弾性変形可能な要素を意味する。この膜は、例えばエラストマー等の弾性変形可能な材料からなる。以下でより詳細に説明するように、膜の特性、特に弾性変形の振幅は、本体内を循環する流体の圧力を測定できるように使用される。
【0022】
したがって、膜20は、流体と接触するここでは下側の面20aと、ここでは上側の面20bも備える。
【0023】
膜20は、例えば膜20の下に配置されるチャンバ18を膜20の上方に存在する空間19から分離する。
【0024】
チャンバ18および空間19は、好ましくは互いに密封され、この密封は、好ましくは、以下に説明するように膜20によって保証される。
【0025】
これらの変形中、膜20は、流体中で負圧の場合にはチャンバ18の内側に向かって平面位置から湾曲位置に移動し、流体中で過剰圧力の場合には空間19の内側に向かって平面位置から湾曲位置に移動する。
【0026】
圧力センサ10はまた、それぞれ共振22および読み出し23の2つの電子回路を備える。
【0027】
共振回路22は空間19内に収容され、読み出し回路23は空間19の外側に配置される。
【0028】
共振回路22は、RLC型であり、すなわち、抵抗器22a(符号R-
図3参照)、インダクタまたはコイル22b(符号L)およびコンデンサ22cまたはキャパシタンス(符号C)を直列に備えると考えることができる回路である。
【0029】
実際には、共振回路22は、コイル22bの端子に取り付けられたコンデンサ22cを備え、回路22の抵抗は、コイルおよびコンデンサの自己抵抗によって形成される。
【0030】
共振回路22のコンデンサ22cは、膜20上、特にその面20b上に直接配置される。コンデンサ22cは、膜20の弾性変形の振幅に応じてキャパシタンスが変化するように構成されている。コンデンサ22cの構成に応じて、変形の振幅が大きいほど、コンデンサのキャパシタンスは大きくなり得るか、または逆に小さくなり得る。
【0031】
本発明によれば、コンデンサ22cは、2つの電極を備え、2つの電極は、前記第1のコイル22bの端子にそれぞれ接続されており、2つの電極の両方ともが膜の弾性変形に追従することができるように、2つの電極の両方とも膜20の面20b上に配置される。
【0032】
それらの電極は、有利には可撓性であり、したがって変形可能である。それらはフィルムまたは層の形態であることができる。
【0033】
第1の構成によれば、コンデンサ22cは、
図1に見ることができるサンドイッチ構造を備えており、当該サンドイッチ構造は、面20b上に配置されており、誘電体層26によって分離された2つの伸縮性導電性電極または層24,28を備える。導電層24,28は、電極を構成し、それぞれコイル22bの端子に接続されている。
【0034】
図2に見ることができる別の構成によれば、コンデンサ22cは、面20b上に配置される、互いに交互配置または交互嵌合する2つの平面状かつ伸縮性の電極30,32を備え、これらの電極は、第1のコイル22bの端子にそれぞれ接続されている。
【0035】
これらの各構成において、コンデンサ22cは、コンデンサ22cおよび面20bの少なくとも一部の上に堆積されたパッシベーション層によって保護されていることが好ましい。
【0036】
コイル22bは、好ましくは環状または円筒形状を有し、好ましくは膜20の中心である軸Aの周りに延在する。言い換えると、コイル22bと膜20とは同軸である。
【0037】
さらに、コイル22bは、好ましくは、膜20の外径または最大横断寸法よりも小さい外径を有する。
【0038】
図1に見られるように、コイル22bは、膜20の頂部に配置され得るが、膜20、特にその面20b上にも配置され得る。
【0039】
読み出し回路23は、好ましくは第1のコイル22bと対向して配置され、共振回路22の共振周波数を検出し、それに応じて読み出し信号を出力するように構成された、さらなるコイル23bを備える。
【0040】
コイル23bは、好ましくは、環状または円筒形状を有し、軸Aの周りに延在する。したがって、それはコイル22bおよび膜20の中心にあることが好ましい。
【0041】
さらに、コイル23bは、好ましくは、膜20の外径または最大横断寸法よりも小さく、好ましくはコイル22bの外径と同一の外径を有する。
【0042】
コイル23bは、コイル22bの上方に配置され、その端子は、
図1および
図3に示すように、リーダアンテナ(すなわち、コイル23b)のインピーダンスを調整するように構成された第1のモジュール34と、回路22の共振周波数の変動に追従するように構成された第2のモジュール36とを備える電子制御装置に接続される。
【0043】
モジュール34は、送信されたすべてのエネルギーが伝送されるように(すなわち、反射を最小化する)、リーダアンテナのインピーダンスを整合させることを可能にする。このモジュール34は、必要に応じて直列または並列に接続されたコンデンサおよびインダクタで構成され得る。
【0044】
モジュール36は、周波数ベクトル分析装置である。これは、所与の範囲にわたって周波数掃引を実行し、これにより、回路の共振周波数の推移に追従することが可能になる。
【0045】
本発明による圧力センサ10は、以下のように機能する。流体の圧力に関係する膜20の変形の影響下で、コンデンサ22cのキャパシタンスの値は変化し、したがって共振回路22の共振周波数の変化を引き起こす。この共振周波数におけるオフセットは、流体によって加えられる圧力に比例する。
【0046】
実際には、周波数オフセットに対する圧力変化の変換関数を決定するために、圧力センサ10の較正が必要とされ得る。
【0047】
図4~
図11は、本発明による圧力センサ10のより具体的な実施形態を示す。
【0048】
図4および
図5に示す実施形態では、センサ10の本体12は、チャンバ18を画定する中央部分38aと、入口14および出口16をそれぞれ形成する2つの延長部38b,38cと、を備える一体型ケーシング38を備える。
【0049】
ケーシング38の中央部分38aは、軸Aを有する略円筒形状を有し、延長部38b,38cは、この軸Aに対して直径方向に対向している。
【0050】
本体12は、中央部分38aに取り付けられ、中央部分38aに固定され、共振回路22が配置される空間19を画定する蓋40をさらに備える。
【0051】
膜20は、チャンバ18を空間19から分離し、膜20の外周は、蓋40と中央部分38aとの間にクランプされている。そして、膜20は、チャンバ18と空間19との間にシールを提供する。膜20の外周は、チャンバ18を通って流れる流体によって達成され得る最大圧力を大きく超える十分な圧力までシールを保証するように、軸方向に圧縮されることが意図された環状の余剰厚さ20cを含むことができる。
【0052】
膜20は、好ましくは、略平面状、例えばディスク状の形状を有し、10mm~50mmの間、好ましくは20mm~40mmの間の外径または横断寸法を有することができる。代替的に、膜20は、別の形状を有することもできる。
【0053】
膜20は、1~3mmの間の最小厚さと、3~8mmの間、好ましくは4~7mmの間の外周における最大厚さと、を有する。
【0054】
図6~
図8は、圧力センサ10の代替実施形態を示す。
【0055】
図6において、読み出し回路のコイル23bは、蓋40の上方に、蓋40から離隔して配置されたカバー42によって担持される。コイル23bは、このカバーの凹部に収容され、したがってカバーによって保護されている。
【0056】
共振回路22のコイル22bは、膜20の上方に配置され、センサ10の本体12の蓋40によって支持される。ワイヤ44は、コイル22bの端子を、膜20の面20b上に配置されたコンデンサ22cに接続する。
【0057】
以下では、「環状」という用語は、膜の略ディスク形状の要素または部分を指すことができる。膜が正確にそのような形状でない場合、「環状」は、例えば「周辺」として解釈されるべきである。
【0058】
膜20の環状の余剰厚さ20cは、本体12の蓋40とケーシング38との間に配置される。ケーシング38および蓋40は、円筒形リム38d,40dを備え、円筒形リム38d,40dは、軸Aの周りに延在し、互いに対向し、それらの間に膜20が配置される。
【0059】
図7の代替実施形態は、カバー42が直接嵌合され、蓋40に固定され得るという点で、
図5の実施形態とは異なる。したがって、カバー42と蓋40との間に距離または隙間はない。
【0060】
図8に示す代替的な実施形態は、カバーを備えないという点で、
図5および
図6に示す実施形態とは異なる。コイル23bは、蓋40によって担持され、図示の例では、軸Aに沿って蓋40の円筒状延長部40aの周りに延在する。
【0061】
次に、本発明による圧力センサ10の別の代替実施形態を示す
図9から
図11を参照する。
【0062】
この代替実施形態は、本質的にその膜20およびその共振回路22によって前述の実施形態と区別される。
【0063】
共振回路22全体は、膜20の面20b上に配置される。共振回路22のコンデンサ22cは、膜20の中央部分46に配置され、コイル22bは、中央部分46の周りに延在する膜20の環状部分48上に配置される。
【0064】
膜20の中央部分46は一定の厚さE1を有し、環状部分48はE1よりも大きい一定の厚さE2を有し、厚さE2は例えばE1の少なくとも3倍、さらには5倍である。E2は、E1よりも最大で10倍大きいことが好ましい。
【0065】
膜20は、その外周に、厚さE3の材料の環状ウェブ52によって膜20の環状部分48に接続された環状ビード50をさらに備える。E3は、E1とE2との間にある。
【0066】
図9に見られるように、このウェブ52は、ケーシング38および蓋40それぞれの2つの前述の円筒状リム38dと40d(蓋40のリム40dは見えない)との間に配置されている。
【0067】
図12~
図15は、本発明によるセンサ110の別の実施形態を示しており、ここでは、電池パックタイプの密閉エンクロージャを装備することを意図している。
【0068】
エンクロージャまたはバッテリパックは、
図12に部分的に示されており、明確性のために2つのみが示されている電池セル114が収容されるボックス112を備える。
【0069】
電池セル114は、密閉されたボックス112内に封入されている。セル114の少なくとも1つが故障すると、それは熱くなり、ボックス112の内部でガスを生成する可能性がある。エンクロージャの密封性により、このガスはエンクロージャの内圧を上昇させ、圧力センサ110はこの圧力上昇を検出し、それによってセルの故障を検出するように設計される。
【0070】
ボックス112は、センサ110が取り付けられる貫通孔116を備える壁112aを備える。図示の例では、孔116およびセンサ110は、この壁112aの略中央に配置されている。センサ110は、孔を封止するために、孔116上に外部から取り付けられている。
【0071】
センサ110は、共振回路22が装備された膜20を備えるという点で上述したものと同様である。しかしながら、センサ10とは異なり、センサ110の共振回路22は、ここでは、流体(ガス)に曝されるように意図された面20a上に配置され、したがってエンクロージャの内面に配置される。
【0072】
センサ110は、適切な固定手段によって壁112aに固定される。
【0073】
センサ110は、ここでは、外部環状固定フランジ120を備える本体118を備える。このフランジ120は、膜20の周りに延在しており、ねじナットタイプの固定要素124を通過させるために壁112aのオリフィスと位置合わせされるオリフィス122を備える。
【0074】
本体118は、面20aとは反対側の膜20の面20bと共に、読み出し回路23を収容するための空間を画定する。
【0075】
本体118は、ここでは、電子制御装置、特にモジュール34,36への読み出し回路23の電気的接続を可能にする電気的プラグイン接続126を備える。
【0076】
膜20の材料は、好ましくはエラストマーであり、例えばHNBRである。
【0077】
膜20は、以下の特性のうちの1つまたは複数を有することができる:
10~40MPaの間の引張強度;
50~100ptsの間のIRHD硬度;
100~600%の間、好ましくは200~500%の間の破断伸び。
【外国語明細書】