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特開2022-161889光熱法によるセラミックスまたは金属材料のグリーン体部品の光造形による製造のための硬化性組成物
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  • 特開-光熱法によるセラミックスまたは金属材料のグリーン体部品の光造形による製造のための硬化性組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161889
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】光熱法によるセラミックスまたは金属材料のグリーン体部品の光造形による製造のための硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/50 20060101AFI20221014BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20221014BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20221014BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20221014BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20221014BHJP
   C08L 51/10 20060101ALI20221014BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20221014BHJP
   C08K 5/12 20060101ALI20221014BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20221014BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20221014BHJP
   B33Y 70/10 20200101ALI20221014BHJP
【FI】
C08F2/50
C08F2/44 A
C08F20/00 510
C08F292/00
C08K3/013
C08L51/10
C08K5/521
C08K5/12
C08K5/053
B29C64/124
B33Y70/10
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064361
(22)【出願日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】2103673
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】518249937
【氏名又は名称】エス.ア.エス. スリーディーセラム - シントー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シャピュー
(72)【発明者】
【氏名】リシャール ゲイニョン
(72)【発明者】
【氏名】シンディー シック
(72)【発明者】
【氏名】ステファン シュバイツァー
(72)【発明者】
【氏名】マリアム ボウズラティ - ゼレッリ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック ラルヴェー
【テーマコード(参考)】
4F213
4J002
4J011
4J026
【Fターム(参考)】
4F213AA43
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL24
4J002BN191
4J002DA076
4J002DA086
4J002DA116
4J002DC006
4J002DE096
4J002DF016
4J002DJ006
4J002EC058
4J002EH148
4J002EW047
4J002FD016
4J002FD028
4J002FD317
4J002GH00
4J011AA05
4J011AC04
4J011BA04
4J011PA04
4J011PA05
4J011PA07
4J011PB22
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA12
4J011QA24
4J011QB20
4J011SA82
4J011SA84
4J011SA87
4J011TA06
4J011TA09
4J011UA01
4J011WA01
4J011WA02
4J011WA07
4J026AC00
4J026BA28
4J026BA29
4J026DB05
4J026DB30
4J026DB36
4J026FA09
4J026GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】セラミックスまたは金属材料で作られたグリーン体部品を光造形によって製造するための硬化性組成物を提供する。
【解決手段】硬化性組成物は、少なくとも1種のセラミックス粉末および/または金属粉末と、少なくとも1種の重合性モノマーおよび/またはオリゴマーと、重合性モノマーおよび/またはオリゴマーの重合のための少なくとも1種の開始剤とを含む。開始剤は、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、およびジアゾニウム塩と、電荷移動錯体を形成するための少なくとも1種のアミンおよび/または少なくとも1種のホスフィンと組み合わせたオニウム塩とから選択される。開始剤は、少なくとも1つのUV、可視、またはIR照射源への曝露下で熱重合を開始できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスまたは金属材料で作られたグリーン体部品を光造形によって製造するための硬化性組成物であって、前記硬化性組成物は、
セラミックス粉末および/または金属粉末から選択される少なくとも1種の粉末と、
少なくとも1種の重合性モノマーおよび/または少なくとも1種の重合性オリゴマーと、
前記重合性モノマーおよび/または前記重合性オリゴマーの重合のための少なくとも1種の開始剤とを含む、硬化性組成物において、
前記開始剤は、
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、およびジアゾニウム塩と、
電荷移動錯体を形成するための少なくとも1種のアミンおよび/または少なくとも1種のホスフィンと組み合わせたオニウム塩とから選択され、
前記開始剤は、UV、可視、またはIR照射源から選択される少なくとも1つの照射源への曝露下で熱重合を開始できることを特徴とする、硬化性組成物。
【請求項2】
前記セラミックス粉末は、
ランタンストロンチウムマンガナイトセラミックスや、イットリア安定化ジルコニアと混合したランタンストロンチウムマンガナイトセラミックス、フェライトなどの、酸化物セラミックス粉末と、
炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックス粉末とから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属粉末は、銀、銅、鉄、タングステン、およびそれらの合金から選択されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記モノマーおよび/またはオリゴマーは、ジエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびそれらの混合物などの多官能性(メタ)アクリレートから選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のアミンおよび/または少なくとも1種のホスフィンと組み合わせて使用される前記オニウム塩は、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、およびジアゾニウム塩から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヨードニウム塩は、ビス-(4-t-ブチルフェニル)-ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアリールヨードニウムであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記スルホニウム塩は、プロピレンカーボネートとの混合物中のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのトリアリールスルホニウム、特に前記混合物中のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートが50%の割合であるトリアリールスルホニウムであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記アミンは、第一級、第二級、および第三級の、脂肪族または芳香族アミンから選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アミンは、2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エタノール、2,2'-(4-メチルフェニルイミノ)ジエタノール、エチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、およびN-メチルジエタノールアミンから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ホスフィンは、第一級、第二級、および第三級の、脂肪族または芳香族ホスフィンから選択されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ホスフィンは、トリフェニルホスフィン、4-(ジフェニルホスフィノ)スチレン、4-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸、2-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸2-(ジフェニルホスフィノ)ベンズアルデヒド、(1R、2R)-(+)-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N、N'-ビス(2-ジフェニルホスフィノ-1-ナフトイル)または(R、R)-DACH-ナフチル-トロスト配位子、ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルから選択されることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
特にポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、およびグリセロールから選択される少なくとも1種の可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
特にリン酸エステルから選択される少なくとも1種の分散剤も含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
総体積に対して、
25~65体積部の前記金属および/またはセラミックス粉末と、
20~50体積部の前記モノマーおよび/またはオリゴマーと、
0.01~5体積部の重合開始剤と、
最大25体積部、特に5~25体積部の前記可塑剤と、
最大8体積部、特に1~8体積部の前記分散剤と
を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
光造形により、セラミックスまたは金属でできたグリーン体部品を製造する方法であって、前記方法によると、重合によって硬化可能であり、セラミックスまたは金属のグリーン体部品を製造することがそれぞれ望まれるかどうかに応じて、セラミックスまたは金属の粉末を含む組成物に基づく層が、各層に定義されたパターンに従って前記重合によって連続的に硬化され、第1の層は作業トレイ上に形成され、他の各層は前の層上に形成された後に硬化される、前記方法において、
請求項1~14のいずれか一項に記載の硬化性組成物が使用され、熱重合が、UV、可視、またはIR照射源の中から選択される少なくとも1つの照射源への曝露の作用下で各層に実施される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光造形によってセラミックスまたは金属材料のグリーン体部品を製造するための硬化性組成物に関するものである。このようなグリーン体部品は、完成したセラミックスまたは金属パーツを得るために、洗浄、脱バインダー、および焼結操作に供されることが意図されている。
【背景技術】
【0002】
光造形は、一般的に、これらのグリーン体部品を得るために、以下の製造ステップを含む。
コンピュータ支援設計により、製造される部品のコンピュータモデルが構築され、モデルのサイズは、セラミックスまたは金属材料の部品製造時の収縮を見込むように、製造される部品のサイズよりもわずかに大きい、モデル形成ステップ。
部品を製造する以下のステップ:
高剛性支持体上に、少なくとも1種のセラミックスまたは金属材料、光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマー、光開始剤、および適切な場合、以下:可塑剤、溶媒、分散剤、または重合阻害剤のうちの少なくとも1つを含む光硬化性組成物の第1の層を形成するステップと、
前記層のモデルに基づく定義されたパターンに従って、(前記層の自由表面のレーザー走査またはダイオード投影システムを使用することによる)照射によって光硬化性組成物の第1の層を硬化させ、第1のステージを形成するステップと、
第1のステージの上に、光硬化性組成物の第2の層を形成するステップと、
光硬化性組成物の第2の層を、前記層に対して定義されたパターンに従って照射することによって硬化させ、第2のステージを形成するステップであって、この照射は、第1の層と同じ方法で行われる、ステップと、
任意選択で、グリーン体部品が得られるまで上記の手順を繰り返するステップ
【0003】
次に、上記のように完成した部品を得るために、未硬化の組成物を除去するためにグリーン体部品を洗浄し、洗浄されたグリーン体部品は脱バインダーされ、洗浄されて脱バインダーされたグリーン体部品は、完成した部品を得るために焼結される。
【0004】
部品は、ペーストプロセスまたは液体プロセスによって製造することができる。
【0005】
ペーストプロセスによる製造では、光硬化性組成物はペーストの形態であり、高剛性支持体は、建造中の部品の異なる層ならびにペーストを支持する作業トレイとなり、層のそれぞれは通常、作業トレイを下げ、事前設定された厚さのペーストを広げることによって形成される。ペースト材料はタンクに保管され、タンクはピストンを使用して各層で事前設定された量のペーストが自動的に空になる。これにより、作業トレイによって以前に下げられた、製造中の部品の上層全域にわたって広がるペーストのビードが作られる。各層は、一般的に、例えば水平直線方向に前進することによって、作業トレイの作業面全域にわたって掃引する「スクレーパー」ブレードを使用してスクレーピングすることによって広げられる。
【0006】
液体プロセスによる製造の場合、光硬化性組成物は低粘度懸濁液の形態である。
【0007】
液体プロセスによる第1の実施形態では、高剛性支持体は、前記懸濁液の層でそれを覆うために光硬化性懸濁液の浴内に下げられるトレイであり、その後、前記層は、上記のように照射によって硬化される。その後、次の層のそれぞれは、トレイを段階的に浴内に下げることによってこの第1の層上に連続的に形成されるため、形成中の部品の上部レベルは、光硬化性懸濁液の自由表面の下方に下げられて、問題になっている層を形成し、その後、前記層は照射を受ける。
【0008】
液体プロセスによる第2の実施形態では、光硬化性懸濁液は、照射を可能にするために底部が透明なタンクに含まれ、一方、製造中の部品は、段階的に上昇する作業トレイの形態の高剛性支持体上に保持される。したがって、ベース層を硬化させることから始め、次に作業トレイを1ステップ上げて、懸濁液が新しい層を形成できるようにして、次に硬化させる新たな層を形成する一方で、操作は各層に対して連続して繰り返される。
【0009】
液体プロセスによる第3の実施形態では、光硬化性懸濁液は、照射のために透明なフィルム上に層状に広げられ、フィルムは水平に展開するように配置される。部品は、フィルムを介した照射によって硬化される層と接触するために下げられる高剛性の作業トレイ上に形成される。次に、新しい光硬化性層でコーティングされたフィルムの新しいセグメントを展開し、部品の構築が完了するまで操作を繰り返す。
【0010】
光造形で使用される様々なセラミックスまたは金属の粉末は、それぞれ異なる可能性のある、使用されるUVビームの波長(例えば355nm)でUV光吸収挙動を示す。
【0011】
ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)セラミックス、炭化ケイ素(SiC)、または銀(Ag)の粉末などの一部の粉末は非常に吸収性が高く、一方、アルミナ(Al)およびジルコニア(ZrO)などの他の粉末は吸収性がはるかに低い。
【0012】
したがって、ZrO粉末は355nmのUV光の8%しか吸収しないが、LSMおよびSiCはそれぞれ90%を超えて吸収する。
【0013】
図1は、特定のセラミックス/金属の粉末の吸収スペクトルを示している。
【0014】
これらの後者の場合、粉末によって吸収された光はもはや光開始剤に利用できず、したがって、光重合反応はもはや起こり得ない。
【0015】
言い換えれば、特定の感光性セラミックスまたは金属のペーストまたは懸濁液のUV曝露に対する反応性の欠如は、不可能ではないにしても、UV光造形によって物体を構築することを困難にする。
【0016】
この問題を解決するために、出願人は、熱重合の制御された開始を行うように、UV-可視光ならびにIR光への曝露中にセラミックスまたは金属の粉末によって放出される熱エネルギーを使用するために、セラミックスまたは金属のペーストまたは懸濁液における熱開始剤の使用を報告する最初のフランス特許出願(特許文献1)をすでに提出している。
【0017】
この場合、セラミックスまたは金属の粒子によって吸収された光エネルギーが熱に変換され、次にこの熱が熱開始剤によって吸収されて樹脂の重合を可能にするので、したがって作動波長でのセラミックスまたは金属の粒子の吸光性は好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3099079号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、熱開始剤は、懸濁液の製造、保管、輸送、および使用を困難にする可能性がある、一般的に危険な化合物であり、セラミックス懸濁液は比較的短い時間スケールで自発的に重合する傾向があることが指摘され得る。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらの欠点を克服するために、出願人は、UV-可視光ならびにIR光への曝露中にセラミックスまたは金属のペーストまたは懸濁液の重合を可能にする新しい開始剤システムであって、オニウム塩または電荷移動錯体(CTC)を使用する、開始剤システムを開発した。
【0021】
米国特許出願公開第2001/036591号は、光開始剤としてのヨードニウム塩化合物の使用に関するものである。同様に、米国特許出願公開第2005/070621号は光開始剤を記載している。
【0022】
電荷移動錯体は、電子供与体(ED)と電子受容体(EA)のペアである。これらの錯体は熱的および光化学的な反応性を示し、2つの方法でラジカル重合を開始できる。
・光化学的開始:CTC錯体は、UV-可視光を吸収して励起状態を形成する。EDからAEへの電子移動が、分子の切断を引き起こし、主に高反応性ラジカルが放出される。
・熱的開始:高温になると、CTC錯体が切断してフリーラジカルを放出する。この場合、セラミックスまたは金属の粒子は作動波長で吸収し、その後、吸収された光エネルギーは熱に変換され、その後、CTC開始剤によって吸収される。
【0023】
CTC錯体は従来の熱開始剤よりも安定しているため、懸濁液のポット安定性が向上する。また、CTC錯体は、危険物としてリストされていない分子で構成されている。
【0024】
この目的のために、本発明は、セラミックスまたは金属材料で作られたグリーン体部品を光造形によって製造するための硬化性組成物であって、硬化性組成物は、
セラミックス粉末および/または金属粉末から選択される少なくとも1種の粉末と、
少なくとも1種の重合性モノマーおよび/または少なくとも1種の重合性オリゴマーと、
重合性モノマーおよび/または重合性オリゴマーの重合のための少なくとも1種の開始剤とを含む、硬化性組成物において、
開始剤は、
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、およびジアゾニウム塩と、
電荷移動錯体を形成するための少なくとも1種のアミンおよび/または少なくとも1種のホスフィンと組み合わせたオニウム塩とから選択され、
開始剤は、UV、可視、またはIR照射源から選択される少なくとも1つの照射源への曝露下で熱重合を開始できることを特徴とする、硬化性組成物に関するものである。
【0025】
硬化性組成物は、粘稠度において半液体からペースト状とすることができる。
【0026】
セラミックス粉末は、
ランタンストロンチウムマンガナイトセラミックスや、イットリア安定化ジルコニアと混合したランタンストロンチウムマンガナイトセラミックス、フェライトなどの、酸化物セラミックス粉末と、
炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックス粉末とから選択され得る。金属粉末は、銀、銅、鉄、タングステン、およびそれらの合金から選択され得る。
【0027】
モノマーおよび/またはオリゴマーは、ジエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびそれらの混合物などの多官能性(メタ)アクリレートから選択され得る。
【0028】
少なくとも1種のアミンおよび/または少なくとも1種のホスフィンと組み合わせて使用されるオニウム塩は、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、およびジアゾニウム塩から選択され得る。
【0029】
本発明に係る組成物に入り得るヨードニウム塩は、ビス-(4-t-ブチルフェニル)-ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアリールヨードニウムとすることができる。
【0030】
本発明に係る組成物に入り得るスルホニウム塩は、プロピレンカーボネートとの混合物中のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのトリアリールスルホニウム、特に混合物中のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートが50%の割合であるトリアリールスルホニウムとすることができる。
【0031】
アミンは、第一級、第二級、および第三級の、脂肪族または芳香族アミンから選択され得る。特に、アミンは、2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エタノール、2,2'-(4-メチルフェニルイミノ)ジエタノール、エチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、およびN-メチルジエタノールアミンから選択され得る。
【0032】
ホスフィンは、第一級、第二級、および第三級の、脂肪族または芳香族ホスフィンから選択され得る。特に、ホスフィンは、トリフェニルホスフィン、4-(ジフェニルホスフィノ)スチレン、4-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸、2-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸2-(ジフェニルホスフィノ)ベンズアルデヒド、(1R、2R)-(+)-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N、N'-ビス(2-ジフェニルホスフィノ-1-ナフトイル)または(R、R)-DACH-ナフチル-トロスト配位子(トロスト配位子)、ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルから選択され得る。
【0033】
本発明に係る組成物はまた、特にポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、およびグリセロールから選択される少なくとも1種の可塑剤を含み得る。
【0034】
本発明に係る組成物はまた、特にリン酸エステルから選択される少なくとも1種の分散剤を含み得る。
【0035】
本発明に係る組成物は、総体積に対して、
25~65体積部の金属および/またはセラミックス粉末と、
20~50体積部のモノマーおよび/またはオリゴマーと、
0.01~5体積部の重合開始剤と、
最大25体積部、特に5~25体積部の可塑剤と、
最大8体積部、特に1~8体積部の分散剤とを含み得る。
【0036】
本発明はまた、光造形により、セラミックスまたは金属材料でできたグリーン体部品を製造するための方法であって、方法によると、重合によって硬化可能であり、セラミックスまたは金属のグリーン体部品を製造することがそれぞれ望まれるかどうかに応じて、セラミックスまたは金属の粉末を含む組成物に基づく層が、各層に定義されたパターンに従って前記重合によって連続的に硬化され、第1の層は作業トレイ上に形成され、他の各層は前の層上に形成された後に硬化される、方法において、上記の硬化性組成物が使用され、熱重合が、UV、可視、またはIR照射源の中から選択される少なくとも1つの照射源への曝露の作用下で各層に実施される、方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】特定のセラミックス/金属の粉末の吸収スペクトルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の実施例は、本発明を、その範囲を限定することなく説明する。
【0039】
組成を以下の表に総体積の体積%で示した懸濁液を調製し、表に示されている波長、2Wの出力、および300μmのビーム径で光造形試験を実行した。これらの実験は、異なるレーザーを備えたCERAMAKERタイプの光造形機を使用して実行された。
【0040】
結果も、表1と表2のそれぞれに示されている。
【表1】
【0041】
【表2】
図1
【外国語明細書】