(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161911
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】複数の被覆材陰圧創傷療法システム
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022119613
(22)【出願日】2022-07-27
(62)【分割の表示】P 2019547089の分割
【原出願日】2018-02-27
(31)【優先権主張番号】62/464,988
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/464,992
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/465,011
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397070118
【氏名又は名称】ティージェイ スミス アンド ネフュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビクトリア・ビードル
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ジェニー・コリンソン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エラーリントン
(72)【発明者】
【氏名】ヤシュワント・ガッデ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ヤーベリー・ハートウェル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ケルビー
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ・ミドルトン
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・モーティマー
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー・ジェーン・ノーブル
(72)【発明者】
【氏名】ギャレス・ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー・ウィードン
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・ウィンクス
(57)【要約】
【課題】一度に一つの創傷のみを治療できる既存のNPWTシステムが二つ以上の創傷を治療するために使用される場合、不正確な治療をもたらす。治療の便益を完全に実現するにはNPWTの更なる改良が必要とされる。
【解決手段】陰圧療法装置は、陰圧を各流体流路を介して複数の創傷被覆材に提供する陰圧源と、複数の流体流路内の組み合わせた圧力を測定するように構成される圧力センサと、陰圧源を操作するためのコントローラを備える。コントローラは、圧力センサから受領した第一の圧力データが第一の閉塞閾値を満たすとの判定に基づいて、複数の流体流路が閉塞状態と関連した流体流路を含むと判定し、かつ、圧力センサから受領した第二の圧力データに基づいて、複数の流体流路における前記閉塞状態と関連した少なくとも一つの流体流路を特定するように構成される。第二の圧力データは、第一の流路のための第一のバル及び第二の流路のための第二のバルブの少なくとも一方が閉じているときに測定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体流路を介して複数の創傷被覆材に結合し、陰圧を複数の前記創傷被覆材に提供するように構成された陰圧源であって、複数の前記流体流路が、
第一の創傷被覆材を前記陰圧源に流体接続するように構成された第一の流体流路であって、第一のバルブを有し、前記第一のバルブが、開くと、流体が当該第一の流体流路を通過することを可能とし、前記第一のバルブが、閉じると、流体が当該第一の流体流路を通過することを阻止する、第一の流体流路、および、
第二の創傷被覆材を前記陰圧源に流体接続するように構成された第二の流体流路であって、第二のバルブを有し、前記第二のバルブが、開くと、流体が当該第二の流体流路を通過することを可能とし、前記第二のバルブが、閉じると、流体が当該第二の流体流路を通過することを阻止する、第二の流体流路、を含む、陰圧源と、
複数の前記流体流路内の組み合わせた圧力を測定するように構成される圧力センサと、
前記陰圧源を操作するように構成されたコントローラであって、該コントローラがさらに、前記圧力センサから受領した第一の圧力データが第一の閉塞閾値を満たすとの判定に基づいて、複数の前記流体流路が閉塞状態と関連した流体流路を含むと判定し、かつ、前記圧力センサから受領した第二の圧力データに少なくとも部分的に基づいて、複数の前記流体流路における前記閉塞状態と関連した少なくとも一つの流体流路を特定するように構成され、前記第二の圧力データは、前記第一のバルブまたは前記第二のバルブの少なくとも一方が閉じているときに測定される、コントローラと、
を含む、陰圧療法装置。
【請求項2】
前記第一の閉塞閾値は、複数の前記流体流路の少なくとも一つが前記閉塞状態と関連しているときの複数の前記流体流路の予想される組み合わされた陰圧に対応する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの流体流路の特定は、前記コントローラが、
前記第一のバルブが開いたままの状態で、前記第二のバルブを閉じ、かつ、
前記第一のバルブが開きかつ前記第二のバルブが閉じているときに測定された前記第二の圧力データが第二の閉塞閾値を満たすとの決定に少なくとも部分的に基づいて、前記第一の流体流路が前記閉塞状態に関連していると判定する
ように構成されていることを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第二の閉塞閾値は、前記閉塞状態に関連しない単一の流体流路の予想される陰圧に対応する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラが、さらに、
前記第二のバルブを開き、
前記第一のバルブを閉じ、
前記第二のバルブが開きかつ前記第一のバルブが閉じているときの第三の圧力データを受領するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラが、さらに、
前記第二のバルブが開かれかつ前記第一のバルブが閉じられているときに測定された前記第三の圧力データが第三の閉塞閾値を満たすとの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記第二の流体流路が前記閉塞状態に関連していると判定する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第三の閉塞閾値は、前記閉塞状態に関連しない単一の流体流路の予想される陰圧に対応する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラが、さらに、
前記第二のバルブが開かれかつ前記第一のバルブが閉じられているときに測定された前記第三の圧力データが第三の閉塞閾値を満たさないとの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記第二の流体流路が前記閉塞状態に関連していないと判定し、前記第三の閉塞閾値は、前記閉塞状態に関連しない単一の流体流路の予想される陰圧に対応する、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
複数の前記流体流路がさらに、第三の創傷被覆材を前記陰圧源に流体接続するように構成された第三の流体流路を備え、該第三の流体流路が第三のバルブを含み、該第三のバルブが、開くと、流体が当該第三の流体流路を通過することを可能とし、該第三のバルブが、閉じると、流体が当該第三の流体流路を通過することを阻止する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第二の圧力データは、前記第一のバルブが開かれ、前記第二のバルブが閉じられ、かつ前記第三のバルブが閉じられているときに測定され、かつ、前記少なくとも一つの流体流路の特定は、前記コントローラが、前記第二の圧力データに少なくとも部分的に基づいて、前記第一の流体流路が前記閉塞状態に関連していると決定するように構成されていることを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラが、さらに、
前記第一のバルブが開いたままの状態で、
前記第二のバルブを閉じ、
前記第三のバルブを閉じ、
前記第一のバルブが開きかつ前記第二のバルブおよび前記第三のバルブが閉じているときに測定された前記第二の圧力データが第二の閉塞閾値を満たすとの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記第一の流体流路が前記閉塞状態に関連していると判定するよう構成されており、前記第二の閉塞閾値は、単一の流体流路の予想される陰圧に対応する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラが、さらに、
前記第一のバルブを閉じ、
前記第二のバルブおよび前記第三のバルブを閉じ、
前記第一のバルブが閉じかつ前記第二のバルブおよび前記第三のバルブが開いているときに測定された第三の圧力データに少なくとも部分的に基づいて、前記第二の流体流路および前記第三の流体流路の少なくとも一方が前記閉塞状態に関連していると判定するよう構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラが、さらに、
前記第一のバルブが閉じたままの状態、かつ前記第二のバルブが開いたままの状態で、
前記第三のバルブを閉じ、
前記第一のバルブおよび前記第二のバルブが閉じかつ前記第三のバルブが開いているときに測定された第四の圧力データに少なくとも部分的に基づいて、前記第三の流体流路が前記閉塞状態に関連していると判定する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記圧力センサは、該装置の単一の圧力センサである、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第一の圧力データは、前記第一のバルブおよび前記第二のバルブが開いているときに測定される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年2月28日に提出された「MULTIPLE DRESSING NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY SYSTEM」と題された米国仮出願第62/464,988号、2017年2月28日に提出された「MULTIPLE DRESSING NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY SYSTEM」と題された米国仮出願第62/464,992号、2017年2月28日に提出された「MULTIPLE DRESSING NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY SYSTEM」と題された米国仮出願第62/465,011号、の優先権を主張し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、例えば、陰圧創傷療法と組み合わせた複数の創傷被覆材を使用して創傷を治療する装置、システム、および方法に関する。
【0003】
陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷部位における肉芽組織の形成を促進し、かつ人体の通常の炎症プロセスを補助しながら、同時に有害なサイトカインおよび/またはバクテリアを含む可能性がある過剰な流体を除去することにより、創傷の治癒を促進する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014-533583号公報
【特許文献2】特開2014-237992号公報
【特許文献3】特開2016-118204号公報
【特許文献4】特表2014-533579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存のNPWTシステムは、一度に一つの創傷のみを治療できるため、典型的に少なくとも限定される。既存のNPWTシステムが二つ以上の創傷を治療するために使用される場合、これは効果的でない不正確な治療をもたらす。しかしながら、治療の便益を完全に実現するには、NPWTのさらなる改良が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、陰圧創傷療法装置は、陰圧源、複数の圧力センサ、およびコントローラが含まれる。陰圧源は、複数の流体流路を介して複数の創傷被覆材に結合し、陰圧を複数の創傷被覆材に提供するように構成された複数の入口を含む。複数の流体流路は、第一の創傷被覆材を複数の入口の第一の入口に流体接続するように構成された第一の流体流路と、第二の創傷被覆材を複数の入口の第二の入口に流体接続するように構成された第二の流体流路とを含む。複数の圧力センサは、流体流路内の圧力を測定するように構成される。複数の圧力センサは、第一の流体流路内の圧力を測定するように構成された第一の圧力センサと、第二の流体流路内の圧力を測定するように構成された第二の圧力センサとを含む。コントローラは、陰圧源を操作し、第一または第二の圧力センサの少なくとも一つによって測定される圧力に基づいて、第一または第二の流体流路の少なくとも一つに関連する少なくとも一つの動作状態の表示を提供するように構成される。
【0007】
前述の段落の装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。少なくとも一つの動作状態は、閉塞、漏れ、過圧または被覆材フル状態を含み得る。装置は、陰圧源および第一および第二の入口を支持するように構成されたハウジングをさらに含み得る。第一の流体流路は、ユーザに第一の創傷被覆材と陰圧源との間の流体接続を示すように構成された第一の識別子を含み得る。第二の流体流路は、ユーザに第二の創傷被覆材と陰圧源との間の流体接続を示すように構成された第二の識別子を含み得る。第一および第二の識別子が、印刷された絵文字、印刷されたアイコン、エンボス加工が施された絵文字、エンボス加工が施されたアイコン、点字文字、または色コードの少なくとも一つを含み得る。第一および第二の識別子は、入口マニホールド分岐取付部に近接して位置付けられ得る。コントローラは、第一の流体流路内の動作状態と関連する第一の表示、および第二の流体流路内の動作状態に関連する第二の表示を提供するようにさらに構成され得る。第一および第二の表示は、視覚的または音声表示の一つまたは複数とすることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、陰圧創傷療法装置は、陰圧源、圧力センサ、およびコントローラを含み得る。陰圧源は、複数の流体流路を介して複数の創傷被覆材に結合し、陰圧を複数の創傷被覆材に提供するように構成された複数の入口を含み得る。複数の流体流路は、第一の創傷被覆材を複数の入口の第一の入口に流体接続するように構成された第一の流体流路と、第二の創傷被覆材を複数の入口の第二の入口に流体接続するように構成された第二の流体流路とを含み得る。第一の流体流路は、流れ制限器または流れ拡大器と、複数の流体流路の少なくとも一つの圧力を測定するように構成された圧力センサとを含み得る。コントローラは、陰圧源を操作し、圧力センサによって測定される圧力に基づいて、第一または第二の流体流路の少なくとも一つに関連する少なくとも一つの動作状態の表示を提供するように構成することができる。
【0009】
前述の段落の装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。少なくとも一つの動作状態は、閉塞、漏れ、過圧または被覆材フル状態の一つまたは複数を含み得る。コントローラが、経時的な圧力変化に基づいて、少なくとも一つの動作状態の表示を提供するように構成され得る。第一の流体流路内の経時的な圧力変化は、第二の流体流路内の経時的な圧力変化とは異なることができる。コントローラは、第一および第二の流体流路の経時的な圧力変化の差異に基づいて、第一または第二の流体流路内の閉塞を検知するようにさらに構成することができる。装置は、陰圧源および第一および第二の入口を支持するように構成されたハウジングをさらに含み得る。第一の流体流路は、ユーザに第一の創傷被覆材と陰圧源との間の流体接続を示すように構成された第一の識別子を含み得る。第二の流体流路は、ユーザに第二の創傷被覆材と陰圧源との間の流体接続を示すように構成された第二の識別子を含み得る。第一および第二の識別子が、印刷された絵文字、印刷されたアイコン、エンボス加工が施された絵文字、エンボス加工が施されたアイコン、点字文字、または色コードの少なくとも一つを含み得る。コントローラは、第一の流体流路内の動作状態と関連する第一の表示、および第二の流体流路内の動作状態に関連する第二の表示を提供するようにさらに構成され得る。第一および第二の表示は、視覚的または音声表示の一つまたは複数とすることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、陰圧療法装置は、陰圧源、圧力センサ、およびコントローラを含み得る。陰圧源は、複数の流体流路を介して、複数の創傷被覆材に結合し、陰圧を複数の創傷被覆材に提供するように構成することができる。複数の流体流路は、第一の流体流路および第二の流体流路を含み得る。第一の流体流路は、第一の創傷被覆材を陰圧源に流体接続するように構成され得る。第一の流体流路が第一の流体流路内に流体の通過を阻止するように構成された第一のバルブを有することができる。第二の流体流路は、陰圧源に第二の創傷被覆材を流体接続するように構成され得る。第二の流体流路は、第二の流体流路内の流体の通過を阻止するように構成された第二のバルブを有することができる。複数の圧力センサは、複数の流体流路内の圧力を測定するように構成され得る。コントローラは、陰圧源を操作し、測定された圧力に基づいて第一または第二の流体経路の少なくとも一つに関連付けられた動作状態を検知するように構成され得る。
【0011】
前述の段落の装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。コントローラが、第一のバルブが開いて、第一の流体流路内の流体の通過を可能にし、第二のバルブが閉じて、第二の流体流路内の流体の通過を阻止するとき、第一の流体流路内の動作状態を検知するように構成され得る。第一の流体流路内の動作状態は、第一の流体流路内の閉塞を含み得る。複数の流体流路は、陰圧源に第三の創傷被覆材を流体接続するように構成された第三の流体流路をさらに含み得る。第三の流体流路は、第三の流体流路内の流体の通過を阻止するよう構成された第三のバルブを含み得る。コントローラが、第一のバルブが開いて、第一の流体流路内の流体の通過を可能にし、第二のバルブが閉じて、第二の流体流路内の流体の通過を阻止し、第三のバルブが閉じて第三の流体流路内の流体の通過を阻止するとき、第一の流体流路内の動作状態を検知するように構成され得る。
【0012】
前述の二段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。コントローラが、第一のバルブを閉じて、第一の流体流路内の流体の通過を阻止し、第二のバルブを閉じて、第二の流体流路内の流体の通過を阻止し、第三のバルブを開いて、第三の流体流路内の流体の通過を可能にし、測定された圧力を第一の閾値と比較することに基づき、第三の流体流路内の閉塞の存在を判定し、閉塞が第三の流体流路内に存在すると判定することに応答して、閉塞の表示をユーザに提供するように構成され得る。コントローラが、第三の流体流路の閉塞を判定することに応答して、第一のバルブを開いて、第一の流体流路内の流体の通過を可能にし、第二のバルブを開いて、第二の流体流路内の流体の通過を可能にし、第三のバルブを閉じて、第三の流体流路内の流体の通過を阻止し、測定された圧力を第二の閾値と比較することに基づき、第一および第二の流体流路の一つまたは複数における閉塞の存在を判定し、閉塞が第一および第二の流体流路に存在しないと判定することに応答して、第三の創傷被覆材を交換するための表示を提供するように、さらに構成され得る。コントローラは閉塞が第一または第二の流体流路の少なくとも一つに存在すると判定することに応答して、閉塞の表示をユーザに提供するように、さらに構成され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、陰圧創傷療法装置を操作する方法は、第一の流体流路に関連付けられた第一のバルブを閉じることを含む。第一の流体流路は、陰圧源と第一の創傷被覆材との間の流体接続を提供するように構成され得る。第一のバルブを閉じることは、第一の流体流路内の流体の流れを阻止することができる。方法は、第二の流体流路に関連付けられた第二のバルブを開くことをさらに含み得る。第二の流体流路は、陰圧源と第二の創傷被覆材の間の流体接続を提供するように構成され得る。第二のバルブを開くことによって、第二の流体流路内の流体の流れが可能となりうる。方法は、第二の流体流路内の測定された圧力に少なくとも部分的に基づいて、第二の流体流路と関連付けられる動作状態を判定することをさらに含み得る。方法は、動作状態の表示を提供することをさらに含み得る。
【0014】
前述の段落の方法はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴またはステップの、任意の組み合わせを含み得る。第二の流体流路に関連する動作状態は、第二の流体流路内の閉塞を含み得る。方法は、第二の流体流路の閉塞を判定することに応答して、第二のバルブを閉じて第一のバルブを開くことと、第二の被覆材を交換するための表示を提供することと、をさらに含み得る。方法は、第一の流体流路に関連付けられた動作状態を判定することをさらに含み得る。方法は、陰圧源と第三の創傷被覆材との間の流体接続を提供するように構成された第三の流体流路をさらに含み得る。第三の流体流路は、陰圧源と第三の創傷被覆材の間の流体接続を提供するように構成された第三のバルブを含み得る。第三のバルブを閉じることは、第三の流体流路内で流体の流れを阻止する。
【0015】
いくつかの実施形態では、陰圧創傷療法装置を操作する方法は、第一の流体流路に関連付けられた第一のバルブを開くことを含む。第一の流体流路は、陰圧源と第一の創傷被覆材との間の流体接続を提供するように構成され得る。第一のバルブブを閉じることは、第一の流体流路内に流体の流れを阻止する。方法は、第二の流体流路に関連付けられた第二のバルブを閉じることをさらに含み得る。第二の流体流路は、陰圧源と第二の創傷被覆材の間の流体接続を提供するように構成され得る。第二のバルブを開くことは、第二の流体流路内の流体の流れを可能にする。方法は、第三の流体流路に関連付けられた第三のバルブを閉じることをさらに含み得る。第三の流体流路は、陰圧源から第三の創傷被覆材へ流体接続を提供するように構成され得る。第三のバルブブロックを閉じることは、第三の流体流路内に流体の流れを阻止する。方法は、第一の流体流路内の測定された圧力に少なくとも部分的に基づいて、第一の流体流路内の閉塞の存在を判定することをさらに含み得る。方法は、第一の流体流路における閉塞を判定したとき、第一のバルブを閉じることと、(例えば、第一のバルブを閉じることが第一の流体流路内の流体の流れを阻止する)第二および第三のバルブを開くことと、(例えば、第二および第三のバルブを開くことが第二および第三の流体流路内の流体の流れを可能にする)第二または第三の流体流路の少なくとも一つにおける閉塞の存在を判定することと、第二および第三の流体流路に閉塞がないことを判定することに応答して、ユーザが第一の創傷被覆材を置き換えるよう表示を提供することと、第二または第三の流体流路の少なくとも一つに閉塞があると判定することに応答して、ユーザに表示を提供することと、をさらに含み得る。
【0016】
前述の段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。装置は、複数の創傷被覆材の少なくとも一つをチェックするようにユーザに警告するように構成されたインジケータと、インジケータを定期的に起動するように構成されたプロセッサと、ユーザが複数の創傷被覆材の少なくとも一つをチェックするために、ユーザが警告をリセットすることを許可にするように構成されたボタンと、をさらに含み得る。
【0017】
以下に開示されるポンプの実施形態のいずれも、および、陰圧創傷療法の実施形態のいずれも含むがこれらに限定しないものとし、本出願に開示された配置または実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれも、新しい配置および実施形態を形成するよう本明細書に開示された配置または実施形態のいずれかのその他の特徴、構成要素、または詳細のいずれとも相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】いくつかの実施形態によるTNP装置および遠隔データ処理システムを含む陰圧療法システムを示す。
【
図2】
図1のTNP装置を含む陰圧療法システム、ならびに入口マニホールド分岐取付部、圧力センサおよび複数の流体流路、いくつかの実施形態による創傷上に配置された創傷被覆材を図示する。
【
図3】
図2の陰圧療法システム200のいくつかの実施形態を図示したものである。
【
図4A】いくつかの実施形態による、
図3の入口マニホールド分岐取付部を例示する。
【
図4B】いくつかの実施形態による、
図3の入口マニホールド分岐取付部を例示する。
【
図4C】いくつかの実施形態による、
図3の入口マニホールド分岐取付部を例示する。
【
図5】いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システムの図を示す。
【
図6】いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システムの図を示す。
【
図7】いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システムの図を示す。
【
図8A】いくつかの実施形態によるTNP装置の図を示す。
【
図8B】いくつかの実施形態によるTNP装置の図を示す。
【
図9】いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システムによって実施される診断プロセスを示す。
【
図10】いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システムによって実施される診断プロセスを示す。
【
図11】いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システムによって実施される診断プロセスを示す。
【
図12A】いくつかの実施形態による携帯型陰圧装置を図示したものである。
【
図12B】いくつかの実施形態による携帯型陰圧装置を図示したものである。
【
図12C】いくつかの実施形態による携帯型陰圧装置を図示したものである。
【
図12D-G】いくつかの実施形態による携帯型陰圧装置のユーザインターフェースを図示する。
【
図13】いくつかの実施形態による創傷被覆材を図示する。
【
図14】創傷被覆材に接続された流体コネクタの一実施形態の断面を図示する。
【
図15A】いくつかの実施形態による陰圧インジケータを組み込む創傷被覆材の実施形態を図示する。
【
図15B-C】いくつかの実施形態による陰圧インジケータを組み込む創傷被覆材の実施形態を図示する。
【
図15D】いくつかの実施形態による陰圧インジケータを組み込む創傷被覆材の実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に開示された実施形態は、陰圧源および創傷被覆材構成要素および装置を含む、減圧によって複数の創傷を治療する装置および方法に関する。創傷に重ね、パッキングする材料を含む装置および構成要素は、本明細書では総称して被覆材として称される場合がある。
【0020】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。本明細書で使用される用語「創傷」は、幅広い通常の意味を有するのに加えて、陰圧を使用して治療されてもよい、患者のいかなる体の一部を含む。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0021】
そのような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に印加され得る。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0022】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(TNP)療法システムで使用するように適用可能であることが理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減してもよい。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP療法システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援してもよい。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0023】
本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、陰圧値-XmmHgは、例えば、760mmHgをXmmHg下回る、すなわち言い換えると、圧力(760-X)mmHgという圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHgから-200mmHgの間であり得る。これらの圧力は、760mmHgであり得る、平常の周囲気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。あるいは、-75mmHg以下、-80mmHg以下、または80mmHg超過の圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給され得る。
【0025】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、正弦波、方形波を使用して、および/または一つまたは複数の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。
【0026】
図1は、いくつかの実施形態によるTNP装置102および遠隔データ処理システム122を含む陰圧療法システム100を示す。TNP装置102は、流体流路を介してTNP装置102と流体連通する創傷被覆材を使用して創傷を治療するように使用され得る。TNP装置102には、相互に電気的通信するように構成される、コントローラ104、メモリデバイス106、陰圧源108と、ユーザインターフェース110と、電源112と、圧力センサ114と、トランシーバ116とを含み得る。電源112は、TNP装置102の一つまたは複数の構成要素に電力を供給することができる。
【0027】
コントローラ104は、少なくともメモリデバイス106に格納された指示に従って、TNP装置102の一つまたは複数の他の構成要素の動作を制御することができる。例えば、コントローラ104は、陰圧源108の動作およびそれによる陰圧の供給を制御することができる。陰圧源108には、限定されないが、ロータリーダイヤフラムポンプまたは他のダイヤフラムポンプ、圧電ポンプ、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、ロータリーベーンポンプ、液封式ポンプ、スクロールポンプ、圧電変換器によって動作するダイヤフラムポンプ、または他の任意の好適なポンプもしくはマイクロポンプ、あるいは上記のものの任意の組み合わせなどのポンプを含み得る。ユーザインターフェース110は、ユーザ入力を受信するか、またはユーザ出力を患者または介護者に提供する一つまたは複数の要素を含み得る。ユーザ入力を受信する一つまたは複数の要素は、ボタン、スイッチ、ダイヤル、またはタッチスクリーンなどを含み得る。
【0028】
圧力センサ114は、(i)TNP装置102および創傷被覆材接続する流体流路の圧力、(ii)創傷被覆材での圧力、(iii)TNP装置102における圧力、またはその中の圧力をなど、創傷被覆材下の圧力を監視するために使用できる。いくつかの実施では、圧力センサ114は、TNP装置102を複数の創傷被覆材に接続する複数の流路など、複数の流体流路の圧力を測定するように位置付けられた少なくとも二つ以上の圧力センサを含み得る。その他の実装では、圧力センサ114は、圧力の差異測定を行うことを可能にするよう、流体流路に位置付けられるか、または流体流路に流体接続される少なくとも二つ以上の圧力センサを含み得る。例えば、第一の圧力センサは、創傷の上流に(例えば、TNP装置102の入口に、またはその近くに)位置付けられてもよく、第二の圧力センサは、創傷におけるもしくは創傷の近くの、またはキャニスタまたは被覆材におけるもしくはそれらの近くの圧力を検知するように位置付けられてもよい。
【0029】
トランシーバ116は、ネットワーク120を介してデータ処理システム122と通信するように使用され得る。トランシーバ116は、例えば、TNP装置102によって管理された療法プログラムに対するアラーム、測定された圧力、または変化のようなデバイス使用データをデータ処理システム122に送信することができる。いくつかの実施例では、トランシーバ116は、陰圧療法システム内の一つまたは複数の遮断バルブと通信する。ネットワーク120は、例えば、セルラー方式通信ネットワークのような有線または無線通信ネットワークなどの通信ネットワークであることができる。メモリデバイス106は、トランシーバ116によって送信され得るデバイス使用データを記憶するように使用され得る。いくつかの実施形態では、データ処理システム122は、動作パラメータなどのデータをTNP装置102に送信できる。
【0030】
図2は、いくつかの実施形態による陰圧療法システム200を示す。システム200は、
図1のTNP装置102と、第一の流体流路208と、第一の創傷220上に置かれるように構成された第一の創傷被覆材202と、第二の流体流路210と、第二の創傷222上に置かれるように構成された第二の創傷被覆材204と、入口マニホールド分岐取付部206、および第三の流体流路212とを含む。TNP装置102は、第一の流体流路208、入口マニホールド分岐取付部206、および第三の流体流路212を介して、TNP装置102と流体連通する第一の創傷被覆材202を使用して、第一の創傷220を治療するために使用され得る。TNP装置102はまた、第二の流体流路210、入口マニホールド分岐取付部206、および第三の流体流路212を介して、TNP装置102と流体連通する第二の創傷被覆材204を使用して第二の創傷222を治療するために使用することができる。
【0031】
入口マニホールド分岐取付部206は、TNP装置102と第一および第二の創傷被覆材との間に取り付けられ、それによって有利なことに、TNP装置102が同時に創傷被覆材の両方の中またはその下で陰圧を生成し維持することを可能にする。この例では、入口マニホールドはTNP装置に組み込まれていない。代わりに、Y型コネクタなどの入口マニホールド分岐取付部206が、第一および第二の流体流路208-Bを第三の流体流路212に接続するために使用される。他の実施例では、入口マニホールドは、第一および第二の流体流路が統合された入口マニホールドを介してTNP装置に直接接続するように(
図12A~
図12Cに示すように)TNP装置102に組み込むことができる。
【0032】
第三の流体流路212内の圧力を測定するために、圧力センサ114が、例えば、TNP装置102の入口においてまたはその近くにおいて、第三の流体流路212に位置付けられる。TNP装置102のコントローラは、圧力センサ114によって測定された圧力を監視し、陰圧療法システム200内で動作状態(例えば、閉塞、漏れ、過圧または被覆材フル状態)が発生したかどうかを判定することができる。
【0033】
いくつかの実例では、コントローラは、測定された圧力を予想される測定された圧力(または流れ)と比較することによって動作状態が存在すると判定できる。「予想される」圧力(または流れ)は、正常な状態で動作する陰圧システムにおける圧力センサによって測定される圧力とすることができる。予想圧力は、陰圧源(またはユーザによって選択される圧力)によって供給される圧力に等しいか、またはほぼ同等であってもよい(例えば、1、2、3、4、5、10、15、または20Mmhg以内)。対照的に、「予想外の」圧力(または流動)は、予想圧力(または流動)以外の任意の測定された圧力とすることができる。例えば、いくつかの実施例では、閉塞、過圧、または被覆材フル状態を経験する創傷被覆材は、圧力センサを予想圧力よりも低く(例えば、より正の圧力)測定させうる。その他の例では、漏れ状態を経験する創傷被覆材は、圧力センサが、予想圧力よりも低い圧力を測定させうる。いくつかの実施例では、動作状態は、測定された圧力(例えば、測定された圧力のスパイク、ディップ、増加、または減少)を変更することができる。いくつかの実施形態では測定された圧力は、それが期待されるか予想外のかを判定するために、一つまたは複数の閾値と比較される。
【0034】
いくつかの実施例では、TNP装置102は、二つ以上の創傷被覆材が接続された時にのみ機能する(例えば、陰圧を提供する)。さらに、ユーザを混乱させないように、単一の創傷被覆材のみが接続されている場合に利用可能なTNP装置のいくつかのインジケータまたは機能は無効とし得る。例えば、いくつかの実例では、被覆材フルインジケータは、二つ以上の接続された創傷被覆材を持つTNPシステムでは使用できない。このため、使用できない機能を使用してユーザを混乱させないように、被覆材フルインジケータを前面パネルから無効または削除できる。
【0035】
図3は、陰圧療法システム200いくつかの実施形態を示す。システム200は、TNP装置102、第一の流体流路208、第一の創傷被覆材202、第二の流体流路210、第二の創傷被覆材204、複数の統合された入口マニホールドまたはコネクタ302、304を含む。複数の統合された入口マニホールド302、304は、TNP装置102と統合され、第一の流体流路208を介して第一の創傷被覆材202および第二の流体流路210を介して第二の創傷被覆材204に流体接続される。
【0036】
いくつかの実例では、流体流路208は、長くおよびTNP装置102から離れた位置にあることができる。したがって、流体流路が一つまたは複数のインジケータ306、308を含むことが望ましいことがあり、これは、ユーザが複数の統合された入口マニホールド302、304の特定の入口にどの流体流路208が接続されていることを識別するのに役立つ。
【0037】
示されるように、第一の流体流路208は複数の第一の識別子(星印)306を含み、第二の流体流路208は複数の第二の識別子(三角)308を含む。両方の実例では、少なくとも一つの識別子302、304は、入口マニホールド302、304に近接して位置し、少なくとも一つの識別子は、創傷被覆材に近接して位置する。いくつかの実施例では、流体流路は三つ以上の識別子306、308を含み得る。例えば、識別子306、308は、流体流路の長さにわたって位置することができる。さらに、別の方法として、識別子306、308は、印刷された絵文字、印刷されたアイコン、エンボス加工が施された絵文字、エンボス加工が施されたアイコン、点字文字、または色コードなどを含み得る。いくつかの実施例では、電子制御された表示(表示装置上のLED、インジケータなど)は、各流体流路と関連付けられる。これにより、TNP装置102は、関連する被覆材で発生した可能性のある動作状態を示すことが容易になる。
【0038】
いくつかの実施形態では第一および第二の流体流路の組み合わせ圧力を測定するために、少なくとも一つの圧力センサを入口マニホールド(統合マニホールドまたは取付けマニホールドのいずれか)と共に配置することができる。TNP装置102のコントローラは、圧力センサによって測定された圧力を監視し、流体流路のいずれかで動作状態が発生したかどうかを判定する。いくつかの態様では、コントローラは、第一の流体流路208内の動作状態と関連する第一の表示、および第二の流体流路210内の動作状態に関連する第二の表示を提供するように構成され得る。
【0039】
いくつかの実施例では、陰圧療法システムは三つ以上の創傷被覆材を含む。従って、流体流路および入口の数は、創傷被覆材の数に対応することができる。例えば、四つの創傷被覆材を有する陰圧療法システムは、少なくとも四つの流体流路および少なくとも四つの入口マニホールドを有することができる。いくつかの実施例では、単一の創傷被覆材は、二つ以上の流体流路を介してTNP装置と通信するように構成され得る。いくつかの実施例では、陰圧療法システムは、流体流路および/または創傷被覆材よりも多くの入口マニホールドを含み得る。これらの例において、追加的な入口は無視またはプラグすることができる。
【0040】
図4A~
図4Cは、いくつかの実施形態による入口マニホールド分岐取付部206を例示する。いくつかの実施例では、入口マニホールド分岐取付部206は、
図3の統合された入口マニホールドの代わりに使用され得る。図示するように、Y字形状入口マニホールド分岐取付部206は、三つの導管取付部分302、304、410を含み得る。ポンプ導管取付部分410は、ポンプまたはTNP装置から延在する導管またはチューブに接続するか、またはポンプ自体に接続するために使用できる。ポンプ導管取付部分410は、Y字形状入口マニホールド分岐取付部の近位端にオス非ルアーコネクタを含み得る。オスコネクタは、導管またはポンプのメスコネクタに取り付けることができる。ポンプ導管取付部分410は、取付部分から延在し、入口マニホールド分岐取付部206のY形状の底部分を形成するシャフト408を有する。
【0041】
Y字形状入口マニホールド分岐取付部は、二つの被覆材導管取付部分302、304も含む。被覆材導管取付部分302、304は、創傷被覆材から延びる流体流路のカップリングに接続するために使用され得る。いくつかの実施形態では、導管またはチューブは、創傷被覆材をY字形状入口マニホールド分岐取付部206に接続するために使用され得る。導管またはチューブは、軟質ブリッジ、硬質チューブまたは流体を輸送する働きをしてもよい、いかなる他の装置であってもよい。導管またはチューブは、近位端および遠位端におけるカップリングを含み得る。導管またはチューブは、遠位端における入口マニホールド分岐取付部のカップリングに接続され、導管の近位端でY字形状入口マニホールド分岐取付部の導管取付部分に接続され得る。
【0042】
被覆材導管取付部分302、304は、Y字形状入口マニホールド分岐取付部の遠位端にメス非ルアーコネクタを含み得る。メスコネクタは、入口マニホールド分岐取付部のカップリングのオスコネクタまたは導管のカップリングに取り付けることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、入口マニホールド分岐取付部206または導管は、組み込まれたバルブ、クランプ、キャップ、および/またはその他の閉鎖機構を含み得る。したがって、一つの創傷被覆材へのおよびそれからの流体の流れまたは流体の通過は、別の創傷被覆材が陰圧を適用し続ける間にブロックすることができる。いくつかの実施形態では、閉鎖機構はバルブ(例えば、戻り止めバルブ)とすることができる。
【0044】
いくつかの実施例では、Y字形状入口マニホールド分岐取付部206に組み込まれたバルブは、手動遮断バルブである。例えば、ユーザは、導管取付部分302に関連付けられたバルブを手動で閉じることができ、それによって、第一の創傷被覆材202へのおよびそれからの流体の流れを遮断することができる。同様に、ユーザは、導管取付部分304に関連付けられたバルブを手動で閉じることができ、それによって、第二の創傷被覆材204へのおよびそれからの流体の流れをと遮断することができる。いくつかの実施例では、バルブは導管取付部分410内に存在し、ここで前述のバルブの閉鎖は第一および第二の創傷被覆材202、204へのおよびそれからの流体の流れを遮断する。
【0045】
いくつかの実施例では、Y字形状入口マニホールド分岐取付部206に組み込まれたバルブは、電気機械式バルブである。例えば、コントローラ(例えば、
図1で説明したTNP装置のコントローラ)は、バルブと通信して、各バルブを個別に、またはユニットとして開閉することができる。バルブとTNP装置102との間の通信は、有線または無線でありうる。例えば、TNP装置102の無線トランシーバ(例えば、
図1を参照)は、バルブの無線トランシーバと通信することができる。バルブの無線トランシーバは、入口マニホールド分岐取付部206内、または入口マニホールド分岐取付部206に近接して配置され得る。
【0046】
被覆材導管取付部分302、304は、それぞれシャフト404、402を含み、コネクタのY形状の上部部分を形成する。シャフト404、402の近位端およびシャフト408の遠位端は、接合部406で会合する。いくつかの実施形態において、接合部406は、接合部406の周りにシャフト404、402、408の回転を許容するヒンジを含み得る。いくつかの実施形態では、被覆材導管取付部分のシャフト404、402のみを接合部406に対して移動でき、ポンプ導管取付部分のシャフト408は固定される。いくつかの実施形態では、Y字形状入口マニホールド分岐取付部全体は、360°回転を可能にする二つの部分にある。
図4Cは、他方に対する各部品の回転を可能にする二つの自由回転部品で形成される、Y字形状入口マニホールド分岐取付部の実施形態を図示する。Y字形状入口マニホールド分岐取付部の回転は、創傷被覆材から延びる創傷被覆材、および導管が静止したままである間にユーザがポンプをねじることを可能にすることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、オスおよびメス非ルアーコネクタは、剛直なプラスチックとすることができる。いくつかの実施形態では、シャフト408、404、402は、可撓性のプラスチックチューブとすることができる。いくつかの実施形態では、Y字形状入口マニホールド分岐取付部は、患者の快適性を高め、Y字形状入口マニホールド分岐取付部が圧力ポイントになるのを防ぐために、柔らかいシリコーンスリーブで包まれ得る。
【0048】
図4A~
図4Cに図示したY字形状入口マニホールド分岐取付部206を利用して、単一のポンプを二つの創傷被覆材に取り付けるために、TNP装置102は、二つの創傷被覆材内で同時に圧力を引き出すことができる。複数サイト被覆材およびYコネクタのパフォーマンスおよび流体管理は、単一ポンプのセットアップを伴う標準単一の創傷被覆材の制御テストと同等である。取付部206はY字形状として図示されているが、取付部206は、いくつかの実施で任意の適切な形状または形状の組み合わせでありうる。いくつかの実施形態では、ルアー、クイックリリース、またはその他のタイプのコネクタは、取付部206の一つまたは複数のコネクタ、TNP装置102、および流体流路208、210の一つまたは複数として使用することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、陰圧療法システムは、三つ以上の創傷被覆材、および入口マニホールド分岐取付部と流体連通する関連流体流路を含み得る。そのため、いくつかの実施形態では、入口マニホールド分岐取付部は、二つ以上のTNP装置および/または三つ以上の流体流路(例えば、一つの圧力源および三つの創傷被覆材(「1:3」)、1:4、1:5、2:1、2:2、2:3、2:4、2:5)に取り付けられる。入口マニホールド分岐取付部は、第三の流体流路に接続できるY型コネクタなどの別個の取り付けとすることができ、または入口マニホールドはTNP装置102に組み込むことができる。入口マニホールド分岐取付部が含む入口マニホールドの総数(例えば、入口マニホールド分岐取付部によって実施される「分割」の数)は、接続される被覆材の数と同じであり得る。いくつかの実例では、一つまたは複数の入口マニホールドは、単一の創傷被覆材に接続される。
【0050】
図5は、創傷被覆材に関連する各流体流路を測定するように位置付けられた圧力センサ502、504、506を持つ陰圧療法システム500を図示する。特に、第一の圧力センサ502は、第一の流体流路208内の圧力を測定する。第二の圧力センサ504、第二の流体流路210内の圧力を測定する。第三の圧力センサ506は、第三の流体流路212内の圧力を測定する。
【0051】
流体流路のそれぞれ内にセンサを配置することによって、コントローラは各流体流路の圧力を監視して、陰圧療法システム500で動作状態が発生したかどうかを判定できる。さらに、センサは流体流路のそれぞれに対する圧力を測定するため、動作状態を判定すると、コントローラは特に、どの流路/創傷被覆材組み合わせが動作状態を経験しているかを判定することができる。陰圧療法システム500は、個々の創傷被覆材の機能を監視する能力を提供し、それによって単一の創傷被覆材を利用した陰圧療法システムによって提供される同一の特徴および機能を可能にする。
【0052】
圧力センサ502、504、506は、創傷被覆材と入口マニホールド分岐取付部206の間または創傷被覆材またはその近くなどの流体流路のどこにでも位置付けられうる。いくつかの実施例では、コストを低減するために、圧力センサの数は、創傷被覆材の数よりも少ない。例えば、創傷被覆材の数がNである場合、陰圧療法システムでのみN-l圧力センサのみが使用される。例えば、これらの例において、コントローラは、関連付けられた圧力センサがない被覆材が動作状態を経験しているかどうかを判定するためのプロセスを実行することができる。いくつかの実施例では、
図4A~
図4Cに関して上述したように、入口マニホールド分岐取付部206への一つまたは複数の圧力センサ。
【0053】
複数の遮断バルブ512、514、516(例えば、
図12Cに図示するように)は、バルブの閉鎖が関連する創傷被覆材へのおよびそれからの流体の通過を阻止するように、陰圧療法システム500内に位置付けられうる。遮断バルブ512、514、516は、入口マニホールド分岐取付部206出口と対応する被覆材入口との間など、流体流路のどこにでも配置され得る。いくつかの実施例では、
図4A~
図4Cに関して上述したように、一つまたは複数の遮断バルブは、入口マニホールド分岐取付部206に組み込まれる。
【0054】
いくつかの実施例では、バルブ512、514、516は手動遮断バルブである。例えば、ユーザは、第一のバルブ512を手動で閉じることができ、それによって第一の創傷被覆材202へのおよびそれからの流体の流れをと遮断する。その他の例では、バルブは電気機械式バルブである。例えば、TNP装置102は、バルブと通信して、各バルブを個別に、またはユニットとして開閉することができる。バルブとTNP装置102との間の通信は、有線または無線でありうる。例えば、TNP装置102の無線トランシーバ(例えば、
図1を参照)は、バルブの無線トランシーバと通信できる。いくつかの事例では、バルブの無線トランシーバは、入口マニホールド分岐取付部206内または入口マニホールド分岐取付部に近接して配置され得る。
【0055】
TNPシステム500では、コントローラは、どの流体流路/創傷被覆材の組み合わせが動作状態を経験しているかを効率的に判定でき、いくつかの実施形態では、関連するバルブを閉じてTNP装置の全体的効率を改善できる。例えば、創傷被覆材が動作状態を経験しない通常の動作中、圧力センサ502、504、506はほぼ同じ圧力を測定し得る。流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験する時、コントローラが以下を判定できるように、流体流路/創傷被覆材に関連付けられた測定された圧力は変化する。(1)どの特定の流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているかおよび/または(2)どの特定のタイプの動作状態が経験されているか。例えば、第一の流体流路/創傷被覆材で起こる閉塞の下流で圧力が測定される場合、閉塞が流体の流れを制限し、その結果流体が流れる体積が減少するため、第一の流体流路における測定された圧力が増加し得る(例えば、より負になる)。別の例として、圧力が第一の流体流路/創傷被覆材の閉塞の上流で測定される場合、閉塞が、圧力が測定される流体流路の一部における流体の流れを深刻に制限または阻止するため、第一の流体流路内の測定された圧力は減少し得る(例えば、より正になる)。この圧力変化によって、コントローラは、第一の流体流路/創傷被覆材上で動作状態(閉塞)が発生したと判定できる。いくつかの実施例では、動作状態は、測定された圧力における一つのスパイクまたは複数のスパイクを引き起こす。他の例では、動作状態は、測定された圧力の増加または減少を生じさせる。コントローラは、閉塞、過圧、圧力漏れ、被覆材フル状態などについてこれらの判定を行うことができる。
【0056】
いくつかの実施例では、電子制御可能なバルブは、特定の被覆材に対して治療を停止させて、圧力の損失を防ぎ、TNP装置の全体的な効率を改善するために利用される。これは、多数の創傷被覆材を有する陰圧療法システムにおいて効果的でありうる。
【0057】
図6は、いくつかの実施形態による陰圧療法システム600を示す。図示されたシステムは、第一の流体流路208内の流れ低下器または制限器209を含み、複数の統合された入口マニホールド602、604は入口マニホールド分岐取付部206を置き換えたという点で陰圧療法システム200とは異なる。幾つかの実施形態では、入口マニホールド602、604は、単一の入口および分岐取付部206と置き換えることができ、流れ制限器209は、取付部206の通路または分岐の一つに組み込まれ得る。流れ制限器209の追加により、コントローラは、単一の圧力センサ114を利用することにも関わらず、どの創傷被覆材が動作状態を経験しているかを判定できる。
【0058】
流れ制限器209(小さな容積容器または小さなオリフィスなど)は、第一の流体流路208と第二の流体流路210との間の流れの差異がコントローラによって知覚され得るように、第一の流体流208経路を通る流れを制限する。例えば、TNP装置102は、二つの創傷被覆材内で同時に圧力を引き出すことができる。流れ制限器209は、第一の流体流路208の圧力を制限する。いくつかの実施形態では、通常の動作中、システム600(例えば、コントローラ)によって検知された流れは、流体流路208および210を通る流れの組み合わせであり、それぞれが事前に知られることが可能である。(それぞれの流体流路の特性に基づいて計算され、較正を介して計算され、など)。閉塞などの動作状態が発生すると、第一の流体流路208において、検知された流れは、流路210を通る流れと等しいまたはほぼ等しい流れに減少する。こうして、システム600は、流れの変化を検知するだけでなく、計測された流れに基づいて、流体が流体流路210を流れ、流体流路208が閉塞を経験していることを検知する。同様に、システム600は、流体流路210内の閉塞などの動作状態を検知および示すことができる。動作状態の表示は、LED、表示装置、およびこれに類するものを使用した音声視覚的表示など、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して実施され得る。例えば、流体流路208および210のそれぞれは、特定の色または記号と関連付けられてもよく、そのような色もしくは記号は表示および/または発表されてもよい。いくつかの実施形態では、測定された流れは、一つまたは複数の閾値と比較される。
【0059】
いくつかの実施形態では、流れ(または流量)は、流量計を使用して直接監視または測定することができる。いくつかの実施では、流れを間接的に監視または測定することができる。例えば、流れは、圧力センサ114によって測定される圧力の変化を監視することによって判定することができる。コントローラは、例えば、圧力勾配、圧力の変化率、または圧力減衰率を判定することによって、流量を判定することができる。別の例として、可変流量を生成する陰圧源を有するシステムでは、流量は、陰圧源(ポンプモータなど)の圧力および速度に基づいて判定され得る。例えば、流量は、以下の式1に従って判定することができる:
流量=C1*F*P+C2(式1)
式中、Fは、ポンプ速度(ポンプモータ回転を測定するタコメータ信号の周波数)Pは、測定された圧力、C1およびC2は、適切な定数である。追加の詳細は、米国特許第8,905,985号および米国特許出願公開第2012/0001762号に記載されており、それぞれが参照によりその全体が本明細書に盛り込まれる。
【0060】
いくつかの実施形態では、流れ制限器209は、流れを増やすように構成された流れ拡大器と交換され得る。こうした場合において、動作状態の検知は、創傷220と関連する流路208の流れが流れ制限器によって増大することを除いて、前述のものと同様である。
【0061】
いくつかの実施形態では、流れ制限器209は、流体流路208内の導管の一つまたは複数よりも小さい直径を持つオリフィスなどの永久制限器である。いくつかの実施では、流れ制限器209は、動作状態が存在するかどうかを判定する時に流体の流れを一時的に制限する調節可能なバルブなどの一時的制限器である。いくつかの実施例では、コントローラは一時的流れ制限器を制御できる。特定の実施形態では、複数の流れ低下器および/または増強装置が、三つ以上の創傷被覆材および関連する流体流路を含むシステムで利用され得る。例えば、三つの創傷被覆材を持つシステムは、第一の流体流路内の流れ制限器および第二の流体流路内の流れ増強装置を含み得る。同様に、三つの創傷被覆材を持つシステムは、第一の流体流路内の流れ制限器と、第二の流体流路内の強い(またはより狭い)流れ制限器とを含み得る。これらの実施例のいずれかにおいて、複数の流体流路の間の流量の差異は、TNP装置がどの流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているかを判定することを可能にすることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、キャニスタは、TNP装置102および/または複数の統合された入口マニホールド602、604との間に連結され得る。キャニスタは、創傷220、222から除去された滲出液を収集することができる。別の方法として、キャニスタは、各々の創傷被覆材と入口マニホールド分岐取付部との間に連結され得る。
【0063】
図7は、いくつかの実施形態による陰圧療法システム700を示す。システム700は、システム700が、第三の創傷被覆材510、第三の創傷512、第四の流体流路508および複数の遮断バルブ512、514、516を含むという点で、陰圧療法システム200とは異なる。システム200に記載される創傷220-Bの治療に加えて、システム700は、第四の流体流路508、入口マニホールド分岐取付部206、および第三の流体流路212を介してTNP装置102と流体連通する第三の創傷被覆材510を使用して、第三の創傷518を治療するために利用され得る。
【0064】
複数の遮断バルブ512、514、516は、対応するバルブの閉鎖が、接続流体流路/被覆材へのおよびそれからの流体の流れを遮断するように、流体流路内に位置付けられる。遮断バルブ21は、入口マニホールド分岐取付部206出口から対応する被覆材入口へと任意の位置に配置され得る。図示するように、第一のバルブ512は第一の流体流路208上に位置付けられ、第二のバルブ514は第二の流体流路210上に位置付けられ、第三のバルブ516は第四の流体流路508上に位置付けられる。
【0065】
いくつかの実施例では、複数のバルブ512、514、516は、手動遮断バルブである。例えば、ユーザは、第一のバルブ512を手動で閉じることができ、それによって第一の創傷被覆材202へのおよびそれからの流体の流れをと遮断する。その他の例では、複数のバルブのそれぞれは電気機械式バルブである。例えば、TNP装置は、バルブと通信して、各バルブを個別に、またはユニットとして開閉することができる。バルブとTNP装置102との間の通信は、有線または無線でありうる。例えば、TNP装置102の無線トランシーバ(例えば、
図1を参照)は、バルブの無線トランシーバと通信できる。バルブの無線トランシーバは、入口マニホールド分岐取付部206内、または入口マニホールド分岐取付部に近接して配置され得る。
【0066】
図8Aは、いくつかの実施形態による陰圧療法システム800Aを示す。この例では、TNP装置102は、少なくともコントローラ104、陰圧源108、複数の圧力センサ502、504、および複数の統合された入口マニホールド602、604を含む。
【0067】
統合された入口マニホールド602、604を、単一の単位(例えば、
図3および12に図示するように)に組み合わせることができ、単一の陰圧通路が陰圧源108に接続される。別の方法として、複数の統合された入口マニホールド602、604の各々は、別の入口マニホールドと最初に組み合わせることなく、陰圧源に直接接続することができる。
【0068】
複数の圧力センサ502、504は、第一の圧力センサ502が第一の入口マニホールド302に接続された第一の流体流路208の圧力を測定し、第二の圧力センサ504が第二の入口マニホールド304に接続された第二の流体流路210の圧力を測定するように位置付けられる。いくつかの実施例では、圧力センサ502、504は、入口マニホールド内に位置付けられ得る。他の例では、圧力センサはTNP装置102のハウジングに位置する。
【0069】
図8Bは、いくつかの実施形態による陰圧療法システム800Bを示す。この例では、システム800Bは、入口マニホールド分岐取付部206を含む。本明細書に記載されるように、入口マニホールドは、入口マニホールド分岐取付部206(
図4A~4Bに図示するような)を含むことができ、および/または一つまたは複数の統合された入口マニホールド(
図12A~
図12Cに図示するような)を含み得る。
【0070】
入口マニホールド分岐取付部206は、流体流路208を介して第一の被覆材202に流体接続された第一の分岐304上の圧力センサ504と、TNP装置102のコントローラ104と通信する無線受信機804と通信する無線トランシーバまたは受信機802とを含む。圧力センサ504は、流体流路208の圧力を測定する一方、圧力センサ502は流体流路208および210での組み合わせ圧力を測定する。流体流路208または210の一つまたは複数における閉塞などの動作状態は、本明細書に記載の方法のいずれかを使用してセンサ502および504によって測定される圧力に基づいて判定され得る。いくつかの実施例では、入口マニホールド分岐取付部206は、例えば、圧力データを提供するために、TNP装置102と通信することができる。通信は、有線または無線(例えば、Bluetooth(登録商標)上に)とすることができる。いくつかの実施例では、被覆材フル検知および/または他の動作状態の検知は、ユーザに対する表示を提供するために使用できる。
【0071】
図9は、いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システム500(例えば、
図5を参照)によって実施される診断プロセス900を示す。プロセス900は、陰圧創傷治療システムのコントローラによって実施され得る。上述のように、動作状態は、閉塞、漏れ、過圧、被覆材フル状態等を含み得る。プロセスは、圧力センサ502、504、506によって測定される圧力を分析することによって、前述の動作状態の一つを検知することができる。
【0072】
ブロック902では、プロセスは、様々な流体流路208、210、および508における圧力を測定する圧力センサ502、504、506を監視する。いくつかの実施例では、コントローラは、所定の間隔で(1分、2分、5分、10分、15分、20分、30分、または60分など)、および/またはユーザによる入力に応答して、圧力センサ502、504、506を連続的に監視する。
【0073】
ブロック904で、プロセスは、複数の圧力センサの一つによって測定される圧力の変化に少なくとも部分的に基づいて動作状態が発生したことを判定する。例えば、創傷被覆材の一つにおける閉塞の発生は、測定された圧力における瞬時または長時間のスパイクまたはディップを生じさせうる。別の例として、プロセスは、測定された圧力に基づいて(または一つまたは複数の流量計が利用される場合は直接)流れを判定することができる。
図5に関連して説明した通り、創傷被覆材に関連付けられた流体流路のそれぞれにおける状態を監視するために圧力センサを配置することにより、プロセス900は、圧力センサ502、504、506を監視し、特にどの流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているかを判定できる。したがって、陰圧療法システム500は、個々の創傷被覆材の機能を監視する能力を提供し、それによって、単一の創傷被覆材を利用した陰圧療法システムによって提供される同一の組の特徴を有効にする。
【0074】
ブロック906で、プロセス900は、動作状態を経験していると判定された流路/被覆材(または流路/被覆材)の表示を提供する。いくつかの実施例では、一つまたは複数のLEDまたはその他のインジケータは、動作状態が検知されたことをユーザまたは介護者に示すために使用できる。例えば、それぞれの創傷被覆材は、動作状態が関連する創傷被覆材で検知されないとオンになり、動作状態が関連する創傷被覆材で検知されたときにオフになる、対応するLEDを持つことができる。いくつかの実施例では、他のインジケータは、音響、無線メッセージ、表示通知および/またはユーザまたは介護者の注意を得うる他の信号など、動作状態を経験している創傷被覆材に関連付けられうる。いくつかの実施例では、TNP装置は、加えて、または代替的に、動作状態を経験する創傷被覆材に関連付けられたバルブを閉じることによって表示を提供することができる。
【0075】
図10は、いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システム700(例えば、
図7を参照)によって実施される診断プロセス1000を示す。プロセス1000は、陰圧創傷治療システムのコントローラによって実施され得る。上述のように、動作状態は、閉塞、漏れ、過圧、被覆材フル状態等を含み得る。プロセスは、圧力センサ502によって測定される圧力を分析することによって、前述の動作状態の一つを検知することができる。プロセスは動作状態が発生したと判定すると、診断を開始して、どの流路/被覆材が動作状態を経験しているかを判定できる。いくつかの実施例では、プロセスは、どの流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているかを判定する診断モードを内蔵したファームウェアまたはソフトウェアで実装される。いくつかの実施例では、オペレータは、TNP装置のインターフェース(タッチスクリーンインターフェースまたは専用ボタンまたはスイッチ)を通して動作モード間を切り替えることができる。
【0076】
ブロック1002で、プロセス1000は、TNP装置102の圧力を測定する圧力センサ502を監視する。いくつかの実施例では、プロセス1000は、圧力センサ502を連続的に監視する。他の例では、プロセス1000は、所定の間隔で圧力センサ502を監視する(1分、2分、5分、10分、15分、20分、30分、または60分)。他の例では、プロセスは、ユーザによる入力に応答して圧力センサを監視することができる。
【0077】
ブロック1004で、プロセスは、動作状態が発生した(またはしたかもしれない)と判定し、どの流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているかを判定するための診断モードを開始する。診断モードの間、プロセスは、圧力センサ502によって測定される圧力の変化、流れの変化等に少なくとも部分的に基づいて、動作状態が発生したことを判定することができる。例えば、流体流路/創傷被覆材の一つにおける動作状態の発生は、圧力センサ502によって測定された圧力の瞬時または長時間のスパイクまたはディップを生じさせうる。
【0078】
ブロック1006では、流体流路/創傷被覆材がテストのために選択される。いくつかの実施例では、ユーザおよび/またはプロセスはこの選択を行うことができる。例えば、ユーザは、プロセスに入力を提供することによって選択を行うことができる。セクションは、ユーザの疑いに基づいて任意の一つ、またはプロセスの提案に基づいて任意の一つであることができる。いくつかの実施例では、プロセスは選択を行うことができる。プロセスの選択は、例えば、ユーザ入力に基づいて、またはコントローラ内のデータに基づいて、ランダムとすることができる。
【0079】
選択された流体流路/被覆材に関連付けられたバルブが開かれ、選択されていない被覆材に関連付けられたバルブが閉じられ、それによって陰圧源に流体接続された単一の創傷被覆材を持つ陰圧システムに陰圧療法システムを連結する。バルブは、ユーザまたはコントローラによって手動で開閉することができる。いくつかの実施例では、コントローラは電子的に(有線または無線接続を介して)遮断バルブを制御することができる。例えば、TNP装置の無線送信機またはトランシーバは、バルブの無線トランシーバまたは受信機と通信できる。こうした実施例では、無線トランシーバは各バルブと通信でき、バルブのそれぞれを個別にまたはユニットとして制御することができる。
【0080】
ブロック1008で、プロセスは圧力センサ502を監視して、選択された被覆材が動作状態を経験しているかどうかを判定する。この分析は、陰圧源に流体接続された単一の創傷被覆材を有する陰圧システムのプロセスによって作成される判定と類似していてもよい。例えば、予想される陰圧より低いもの(または予想される流れよりも高い)は、創傷被覆材が漏れを経験していることを示し、予想される陰圧より高いもの(または予想される流れよりも低い)は、創傷被覆材が閉塞、過圧または被覆材フル状態を経験していることを示すことができる。
【0081】
プロセスが、選択された創傷被覆材が動作状態を経験していないと判定した場合(例えば、圧力センサ502によって測定された圧力が概して予想圧力と同等である)、異なる流体流路/創傷被覆材がテストのために選択される。つまり、プロセス1000はブロック1006に戻る。新しく選択した流体流路/創傷被覆材は、現在の診断モードでテストされていない創傷被覆材となる。
【0082】
ブロック1010で、プロセスは、以前選択された創傷被覆材が動作状態を経験していると判定する。選択された創傷被覆材に関連付けられたバルブは、動作状態を経験していると以前に判定された流体流路および創傷被覆材に関連付けられたバルブを閉じると閉じられる。その他すべてのバルブが開いている。上述の通り、バルブは、ユーザによって手動で開閉されるか、またはコントローラによって自動的に閉じられうる。
【0083】
ブロック1012で、プロセスは、開放バルブに関連する流体流路/創傷被覆材のいずれかが動作状態を経験しているかどうかを判定するために圧力センサを監視する。例えば、圧力センサは、動作状態が存在しない場合、予想圧力(または流れ)を感知してもよく、動作状態が存在する場合は予想外の圧力(または流れ)を感知してもよい。プロセスが、開放バルブに関連付けられた創傷被覆材の間に動作状態が存在すると判定した場合、新しい創傷被覆材が選択される(ブロック1006)。上記のように、新しく選択された創傷被覆材は、現在の診断モードの間にテストされていない創傷被覆材である。
【0084】
ブロック1014で、プロセスは、複数の創傷被覆材のどの流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているかを判定した。プロセスは、本明細書に記載される適切な表示を提供することができ、これは動作状態に対処し改善することを容易にする。例えば、被覆材フル動作状態が検知された場合、創傷被覆材を交換できる。いくつかの実施例では、ユーザは手動で創傷被覆材を交換する必要がある。いくつかの実施例では、創傷被覆材はユーザの助けなしに置き換えられる。ブロック1014で、すべてのバルブを開き、診断モードが完了している。上述の通り、バルブは手動でまたは電気機械的に開けることができる。
【0085】
図11は、いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システム700(
図7参照)によって実施される診断プロセス1100を示す。プロセス1100は、陰圧創傷治療システムのコントローラによって実施され得る。プロセスは測定された圧力を監視することができ、陰圧システム内の流体流路/創傷被覆材のいずれかが動作状態を経験しているかどうかを判定できる。
【0086】
ブロック1102で、プロセスは、陰圧システム内での動作状態が存在しないと判定した。いくつかの実施例では、一つまたは複数のLEDまたはその他のインジケータは、動作状態が存在しないことを、ユーザまたは介護者に示すために使用できる。例えば、それぞれの創傷被覆材は、動作状態が関連する創傷被覆材で検知されないとオンになり、動作状態が関連する創傷被覆材で検知されたときにオフになる(またはその逆)、対応するLEDを持つことができる。いくつかの実施例では、陰圧システムで動作状態が検知されない場合、すべての関連するLEDはオンである。いくつかの実施例では、他のインジケータは、音、無線メッセージ、表示通知および/またはユーザまたは介護者の注意を得うる他の信号など、障害の無い状態(動作状態が検知されない状態)と関連付けられてもよい。いくつかの実施例では、TNP装置は、検知された動作状態のない表示を提供しなくてもよい。
【0087】
いくつかの実施例では、プロセスは、陰圧システム内の流体流路/創傷被覆材のいずれかが動作状態を経験しているかどうかを判定するために測定された圧力を継続的に監視する。その他の例では、プロセスは、所定の間隔(1分、2分、5分、10分、15分、20分、30分、または60分)で測定された圧力を監視する。いくつかの実例では、プロセスは、ユーザによる入力に応答した圧力センサを監視する。
【0088】
ブロック1104で、プロセスは動作状態が発生したと判定する。上述のように、動作状態は、閉塞、漏れ、過圧、被覆材フル状態等を含み得る。プロセスは、圧力センサ502によって測定される圧力を分析することによって、前述の動作状態条件の一つを検知することができる。例えば、動作状態は、測定された圧力(測定された圧力のスパイク、ディップ、増加、または減少)または流量の変化に基づいて判定され得る。
【0089】
例えば、正常な状態(例えば、流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験していない場合)で動作する陰圧システムでは、圧力センサは、「予想圧力」すなわち、陰圧源によって供給される選択された圧力に対し等しい(または、ほぼ等しい)圧力を測定する。対照的に、陰圧システムが通常(流体流路/創傷被覆材の一つまたは複数が、動作状態を経験しているなど)以外の状態で動作している時、圧力センサは予想圧力とは異なる圧力を測定する。いくつかの実施例において、閉塞、過圧または被覆材フル状態を経験する流体流路/創傷被覆材は、圧力センサに予想圧力よりも高く測定させることができる。その他の例では、漏れ状態を経験する流体流路/創傷被覆材は、圧力センサに予想圧力よりも低く測定させることができる。本明細書に記載されるように、いくつかの実施で、流量を使用して動作状態の存在を判定することができる。
【0090】
ブロック1106で、陰圧システム内の創傷被覆材が動作状態を経験していると判定すると、プロセスは検知された動作状態の表示を提供することができる。例えば、それぞれの創傷被覆材は、対応するLEDを持つことができる。動作状態の検知に伴い、プロセスは各LEDを点滅させることができる。他の実施例では、その他のインジケータは、LEDの代わりに、またはそれに補足的に使用される。例えば、陰圧システムが動作状態を経験していることを示すために、音声、無線メッセージ、表示通知および/または他の信号を使用することができる。いくつかの実施例では、プロセスは陰圧療法システムを少なくとも瞬時にオフにし、システムが動作状態を経験していることを示すことができる。
【0091】
ブロック1108で、プロセスは、ユーザからの入力を受信するまで、トラブルシューティングを開始するように、停止または待機することができる。例えば、プロセスは、システムが動作状態を経験していることを検知し、ユーザまたは介護者に指示を提供して、プロセスが確認応答を受けるまで待つことができる。いくつかの実施例では、プロセスはユーザからの入力を待つことなく、すぐにトラブルシューティングを開始する、または、遅れの後にトラブルシューティングを開始する。
【0092】
ブロック1110で、ユーザは、陰圧システム内の流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているという判定を知覚し、プロセスに入力を提供してトラブルシューティングを開始する。いくつかの実例では、ユーザはボタンを押してトラブルシューティングプロセスを開始することができる。他の例では、プロセスは、ユーザから入力を受信しない所定の間隔の直後または後にトラブルシューティングプロセスを自動的に開始する。
【0093】
ユーザは、トラブルシューティング(例えば、動作状態のテスト)に対する流体流路/創傷被覆材を選択することにより続行する。いくつかの実施例では、ユーザおよび/またはプロセスはこの選択を行うことができる。流体流路/創傷被覆材の選択は、ユーザの疑い、プロセスによる提案および類似のことを含むさまざまな因子に基づくことができ、または流体流路/創傷被覆材は、任意に選択またはアルゴリズムに基づいて選択できる。
【0094】
ブロック1112で、流体流路/創傷被覆材がテスト用に選択された後、選択された流路/被覆材に関連付けられたバルブを開き、選択されなかった流路/被覆材に関連付けられたバルブを閉じ、それによって陰圧療法システムを、単一の陰圧源を有する単一の創傷被覆材を有する陰圧システムに連結する。いくつかの実施例では、バルブを手動で開閉することができる。他の例では、バルブはコントローラによって操作できる。例えば、コントローラは、バルブの無線トランシーバまたは受信機と通信するように構成された無線送信機またはトランシーバを使用して、遮断バルブを無線で制御できる。いくつかの実施例では、無線トランシーバは各バルブと通信でき、バルブのそれぞれを個別に制御することができ、またはユニットとして制御することができる。
【0095】
ブロック1114で、ユーザは、選択されていない流路/被覆材に関連付けられたすべてのバルブが閉じていることをプロセスに示すことができる。いくつかの実施例では、プロセスはバルブと通信してそれらのステータスを判定することができ、ユーザからの入力は必要ない。いくつかの実施例では、バルブがコントローラによって無線で制御される場合など、プロセスはバルブを開閉するためにユーザからの入力を待機しない。
【0096】
ブロック1116~1118では、プロセスは、選択された流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているかどうかを判定するための動作状態検知スキームを起動する。この分析は、単一の陰圧源を持つ単一の創傷被覆材を有する陰圧システムのプロセスによって作成された判定と類似している。例えば、予想される陰圧より低いもの(または予想される流れよりも高い)は、流体流路/創傷被覆材が漏れを経験していることを示し、予想される陰圧より高いもの(または予想される流れよりも低い)は、流体流路/創傷被覆材が閉塞、過圧または被覆材フル状態を経験していることを示すことができる。動作状態が存在しないとプロセスが判定すると、プロセスはブロック1130に移動する。プロセスは動作状態が存在すると判定すると、プロセスはブロック1120に移動する。
【0097】
ブロック1120で、選択された流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験しているという判定に応答して、プロセスはユーザに表示を提供することができる。例えば、プロセスでは、選択した創傷被覆材と関連付けられたLEDをオンまたはオフにすることができる。
【0098】
ブロック1122で、選択された流路/被覆材に関連付けられたバルブ(および動作状態を経験いると以前に判定された他の流路/創傷被覆材に関連付けられたバルブ)は、閉じており、その他すべてのバルブが開かれている。上述の通り、バルブはユーザまたはコントローラによって手動で開閉することができる。このステップ中、動作状態を経験するすべての既知の流体流路/創傷被覆材を陰圧源から閉じることができ、未テストの流体流路/創傷被覆材のみが、陰圧源と流体連通したままであることできる。
【0099】
ブロック1124で、プロセスは再び動作状態検知スキームを起動して、このとき、陰圧源と流体連通する流体流路/創傷被覆材のいずれかが動作状態を経験しているかどうかを判定する。例えば、プロセスは、測定された圧力が予想圧力に対して実質的に一致する(または実質的に想定される流れと実質的に一致する)かどうかを判定する。
【0100】
ステップ1126で、動作状態が検知されない場合、プロセスはステップ1134に進む。動作状態が検知された場合、プロセスはステップ1128に進む。
【0101】
ステップ1128で、ステップ1110で選択されていないまたは未テストの流体流路/創傷被覆材の少なくとも一つが動作状態を経験していると判定すると、プロセスはユーザに指示を提供できる。例えば、それぞれの創傷被覆材は、対応するLEDを有することができる。動作状態の検知に伴い、プロセスは、テストされていない創傷被覆材に関連付けられた各LEDを点滅させることができる。さらに、プロセスは、動作状態を経験していると判定された創傷被覆材に関連するLEDの各々をオフにし、動作状態を経験していないと判定された創傷被覆材に関連するLEDの各々をオフにすることができる。その後、プロセスはステップ1108に戻る。
【0102】
ステップ1130で、プロセスは、選択された流体流路/創傷被覆材が動作状態を経験していないと判定した。プロセスは、選択した流路/創傷被覆材が動作状態を経験していないことを示すことができる。例えば、プロセスに関連付けられたLEDをオン(または緑色)にする。しかしながら、いくつかの実施例では、残りの流体流路/創傷被覆材の一つは、動作状態を経験している。
【0103】
ステップ1132で、新しい流体流路/創傷被覆材がテスト用に選択され、プロセスがステップ1112に戻る。新しく選択された流体流路/創傷被覆材は、現在のトラブルシューティングプロセス中にテストされていない(例えば、ブロック1110では選択されていない)。上述のように、創傷被覆材選択は、ユーザおよび/またはプロセスによって行うことができる。
【0104】
ステップ1134で、開放バルブに関連付けられた流体流路/創傷被覆材上で動作状態が検知されない。そのため、閉鎖バルブに関連付けられた流体流路/創傷被覆材は、動作状態を経験していると判定された。いくつかの実施形態では、動作状態が被覆材フル状態である場合、動作状態を経験する創傷被覆材は交換され、関連するバルブが開かれている。いくつかの実施例では、ユーザは、創傷被覆材を手動で交換し得る。いくつかの実施例では、ユーザは、プロセスによる表示(例えば、任意のオフLED)に基づいて、どの創傷被覆材を交換する必要があるかを知ることになる。いくつかの実例では、ユーザは、どの創傷被覆材が閉じたバルブに関連付けられているかを見るために、目視により、どの創傷被覆材を交換すべきかを判定する。いくつかの実施例では、創傷被覆材はユーザの助けなしに置き換えられる。
【0105】
ステップ1136で、診断モードが終了する。プロセスはステップ1102に進み、測定された圧力を監視することを続けることができる。
【0106】
いくつかの事例では、トラブルシューティングプロセスを支援するために、例えば、バルブを閉じることまたは流体流路を締め付けることによって、流体流路をブロックすることができる。流路は、ユーザによって手動でブロックすることも、陰圧創傷治療システムによって自動的にブロックすることもできる。流体流路を閉じることによって、陰圧創傷治療システムによって実行される診断プロセスは、例えば、トラブルシューティングの被覆材の数を減少させることによって、簡略化することができる。加えて、または別の方法として、流体流路を閉じることで、陰圧創傷治療システムをオフにすることなく、または別の方法として、他の創傷被覆材への陰圧の送達を停止することなく、ユーザは被覆材を交換することができる。
【0107】
図12A~
図12Cは、いくつかの実施形態による携帯型陰圧装置を図示したものである。示されるように、TNP装置102は、TNP装置102の構成要素を収容および/または支持するための外側ハウジング1210を含み得る。
【0108】
外側ハウジング1210は、ユーザに情報(例えば、TNP装置102の動作状態に関する情報など)を提供するように設計され得る表示器1212を含み得る。いくつかの実施形態では、表示器1212は、アイコン1222(通常の動作を示す)、1224(装置が、陰圧創傷療法を提供するのを防ぐ一つまたは複数の漏れの存在を示す)、1226(被覆材をチェックする)、および1228(低電力保持)のような、一つまたは複数のインジケータを含むことができ、これはユーザにTNP装置102の一つまたは複数の動作状態および/または故障状態を警告できる。例えば、インジケータは、ユーザに、通常または適切な動作状態、ポンプ故障、電源障害、電池の状態または電圧レベル、創傷被覆材の状態または収容力、被覆材または被覆材とポンプ組立品との間の流体流路の漏れ検知、吸引閉塞、あるいは他の類似もしくは適切な状態またはその組み合わせを警告するアイコンを含み得る。
【0109】
例えば、表示器1212は、ユーザが創傷被覆材をチェックするように促す警報をユーザに提供できるチェック被覆材インジケータ1226を含み得る。いくつかの事例では、警告は、フルのまたは実質的にフルの被覆材がタイムリーに交換されることを確認する。例えば、TNP装置のプロセッサによって制御できるタイマまたはリマインダーは、所定の時間後にチェック被覆材インジケータ1226を起動することができる。例えば、チェック被覆材インジケータは、24時間ごとのように一日一回、またはその他の適切な時間で起動するように構成され得る。いくつかの事例では、毎日のリマインダーは、創傷の浸軟のリスクを最小限に抑えるために頻繁に通知することができるが、それはユーザにとって厄介なほど頻繁ではない。いくつかの事例では、チェック被覆材インジケータ1226は、ユーザにとって便利な時間に起動され得る。例えば、インジケータは、ユーザが服を着ているとき、シャワーしている時など、ユーザの日常生活に適合する時点で起動され得る。いくつかの事例では、被覆材チェックインジケータ1226(またはその他のインジケータ1222、1224、または1228)は、ボタン1216の単一または二度押し、またはボタン1216のその他の操作によってリセットできる。例えば、チェック被覆材インジケータは、TNP装置102を一時停止するボタン1216を最初に押すことで停止することができる。このボタン1216の押しは、チェック被覆材警告のユーザの確認知らせることができる。次にTNP装置102は、ボタン1216の第二の押しで陰圧の提供を再開することができる。
【0110】
図示の実施形態では、一つまたは複数のアイコン1222、1224、1226、1228は、外側ハウジング1210の表示器1212上に直接印刷され得る。いくつかの実施形態によっては、一つまたは複数のアイコン1222、1224、1226、1228は、外側ハウジング1210の一部分に取り付けられたラベル上に設けられうる。一つまたは複数のアイコン1222、1224、1226、1228は、そのアイコンに対応する状態がシステム内に存在するときに点灯することができる。
【0111】
TNP装置102は、TNP装置102の動作を制御するために、ユーザからの入力を受信するよう設計された、ボタン1216などの一つまたは複数のユーザ入力機能を含み得る。図示の実施形態では、TNP装置102を作動および停止するため、またはTNP装置102のその他の動作パラメータを制御するために使用することができる単一のボタンが存在する。例えば、いくつかの実施形態によっては、ボタン1216は、TNP装置102を作動させ、TNP装置102を停止し、アイコン1222、1224、1226、1228のいずれかなどのインジケータを消去するために使用することができる、および/またはTNP装置102の動作を制御するための任意の他の適切な目的に使用することができる(例えば、ボタン1216を順次押すことによって)。ボタンは、ハウジング1210の外側の、前面上に位置付けられうる押しボタンとすることができる。実施形態によっては、複数の入力機能(例えば、複数のボタン)をTNP装置102上に備えることができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、TNP装置102は、チューブまたは導管(入口マニホールド分岐取付部206または統合された入口マニホールド)をTNP装置102に接続するためのコネクタ1202を含み得る。
図12Bに示すように、コネクタ1202は、システムを二つの別個の創傷に流体接続するための二つの導管602および604を含み得る。いくつかの実施形態では、導管、導管602および604または一つまたは複数の追加導管を介して、TNP装置102に三つ以上の創傷を接続することができる。
【0113】
本明細書に記載のポンプシステムの実施形態では、コンパクトで小さなサイズを持ちうる。本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、システムのポンプアセンブリは、直径(例えば、直径相当)または横寸法を、15mm~35mmの間、15mm未満、25mm未満、35mm未満、または50mm未満とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、システムの直径または横寸法を、10mm、23mm、または40mmとすることができ、あるいは直径または横寸法をおよそ26mm~およそ27mmの範囲、およそ22mmまたはそれ未満~およそ28mmの間とすることができる。本明細書に開示されるいくつかの実施形態において、システムの厚さまたは高さを、およそ8mm、およそ6mm~およそ10mmの間、または20mm未満とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、システムの厚さまたは高さは5mm、12mm、または20mmでありうる。
【0114】
いくつかの実施例では、TNP装置102は、最大7日間、10日間、30日間など間、圧力を適用するように構成された陰圧源を含み得る。陰圧源は、モータ、音声コイルアクチュエータ、圧電アクチュエータ、およびこれに類するものを含み得る。いくつかの実施形態では、TNP装置102は、電池式であってもよい(例えば、二本の単2電池から電力供給される)。
【0115】
いくつかの実施形態では表示器1212の一つまたは複数のインジケータに加えて、またはその代わりに、装置は、一つまたは複数の聴覚的、触覚的、触感的または同様の警告を提供できる。
【0116】
図12Cは、いくつかの実施形態による、各流体流路において、遮断バルブ1242、1244(時にタップと呼ばれる)を組み込む携帯型陰圧装置1210を図示する。
図4A~
図4C、
図5または
図7に関連して本明細書に記載されるように、複数の遮断バルブ1242、1244は、バルブの閉鎖が、関連する創傷被覆材に対して陰圧の提供を遮断するように、陰圧療法システム内に位置付けられうる。遮断バルブ1242、1244は、入口マニホールド分岐取付部の出口(例えば、導管602および604)と対応する被覆材入口の間などの流体流路内の任意の場所、またはいくつかの事例では、被覆材の上または中などに位置付けられうる。いくつかの実施例では、
図4A~
図4Cに関連して本明細書で説明したように、一つまたは複数の遮断バルブ1242、1244は、入口マニホールド分岐取付部に組み込まれうる。
【0117】
いくつかの事例では、バルブ1242、1244のうち一つまたは複数は手動遮断バルブである。例えば、ユーザは、バルブ1242を手動で閉じることができ、それによって、関連する創傷被覆材に対する陰圧の提供を遮断することができる。他の例では、バルブの一つまたは複数は、システムによって操作され得る。例えば、バルブは電気機械式バルブとすることができる。例えば、TNP装置は、バルブと通信して、各バルブを個別に、またはユニットとして開閉することができる。バルブとTNP装置との間の通信は、有線または無線でありうる。例えば、TNP装置の無線トランシーバは、バルブの無線トランシーバと通信できる。
【0118】
図12A~
図12Gは、いくつかの実施形態による携帯型陰圧装置のユーザインターフェース表示器1212を図示する。表示器1212は、
図12A~
図12Gに示すインジケータ1222、1224、1226、1228の一つまたは複数の組み合わせを有してもよい。ただし、より少ない、より多い、または異なるインジケータが意図されている。例えば、いくつかの事例では、携帯型陰圧装置は表示器を含まなくてもよく、および/または表示器には任意のボタンまたはインジケータを含まなくてもよい。
【0119】
図13は、流体コネクタ1310と併せて、創傷被覆材1300の実施形態の斜視図を示す。図示され創傷被覆材は、本明細書に記載される陰圧システムの任意の実施形態と共に使用することができる。図示されるように、創傷被覆材1300は、複数のローブ1322を持つ楕円形の吸収層1320を持つ。いくつかの実施形態では、吸収層1320は六つのローブを持つことができる。いくつかの実施例では、二つ以上のローブ1322(六つのローブなど)が、創傷被覆材1300に設けられる。ローブ1322、特にローブ1322の間のギャップは、非平面状の創傷に適合した創傷被覆材1300を支援する。例えば、肘や膝などの関節の周りに一致するように、被覆材1300を使用することが有利でありうる。被覆材1300は、長方形または正方形の形状の裏当て層1324を有することができ、およびいくつかの実施形態では、被覆材1300全体で190mm×230mm、または145.5mm×4100mmとなりうる。
【0120】
いくつかの実施例では、被覆材1300はまた、中央胴部分に円形切欠部1328を有してもよく、これは被覆材1300の縦軸に対して横断する被覆材1300の中央線に沿って位置し得る。こうした切欠部1328は、いくつかの実施形態では、直径が10mm、または約10mm、直径であってもよく、または5mm~25mm、またはおよそ5mm~およそ25mmの範囲であってもよい。図示したように、円形切欠部1328は、被覆材1300の長軸方向の中央線の両側に対称的に配置されてもよく、180度よりも大きい弧を形成してもよく、場合によっては、180~270度(または約180~270度)の円弧を形成してもよい。
【0121】
図中、流体コネクタ1310は細長い導管を含んでよく、近位端1330および遠位端1340を有するブリッジ1320、およびブリッジ1320の遠位端1340にアプリケータ1380を含んでもよい。いくつかの実施例では、ブリッジ1320は、チューブ1390と創傷被覆材1300との間の柔らかい流体接続を提供し、有利なことに、チューブ1390を創傷被覆材1300から離して、チューブ1390によって引き起こされる圧力ポイントの可能性を低減することができる。いくつかの実施例では、ブリッジ1320の長さは、20、30、45、60、または70センチメートル(±数センチメートル)でありうる。オプションのカップリング1360は、ブリッジ1320の近位端1330に配置され得る。いくつかの実施例では、キャップ(図示せず)は、カップリング1360に取り付けることができ、液体が近位端1330から漏れ出るのを防止するのに有用でありうる。
【0122】
陰圧システム(
図12A~
図12Cに図示するもの)は、チューブ1390を介してカップリング1360に接続されてもよい(チューブ1390をコネクタ602または604の一つに接続することによって)、またはシステムは、カップリング1360に直接接続されてもよく、または直接ブリッジ1320に接続されてもよい。使用中、被覆材1300は、いくつかの事例では、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされてもよい、好適に準備された創傷の上に置かれる。流体コネクタ1310のアプリケータ1380は、被覆材1300の隙間の上に置かれ、被覆材1300の最上表面に封止される、封止面を有する。流体コネクタ1310の被覆材1300への接続の前、間、または後のいずれかに、システムは、チューブ1390を介してカップリング1360へ接続されるか、またはカップリング1360もしくはブリッジ1320へ直接接続される。その後ポンプが起動され、それによって陰圧を創傷に供給する。陰圧の適用は、所望するレベルの創傷治癒を達成するまで行われてもよい。いくつかの実施形態では、システムは小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のポンプを被覆材1300と共に使用してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、被覆材1300上に、または、被覆材1300に隣接して取り付けられ得るか、または装着され得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、陰圧源(ポンプ等)および、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、TNPシステムのいくつかまたはすべてのその他の構成要素は、創傷被覆材1300と一体になり得る。創傷被覆材1300は、創傷被覆材の層の上に配置するためのカバー層を含み得る。カバー層は、被覆材の最も上の層とすることができる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材1300は、創傷被覆材の層、および統合された構成要素のいずれの上に、位置決め用第二カバー層を含み得る。第二カバー層は、被覆材の一番上の層であることができ、または局所陰圧システムの統合された構成要素を取り囲む別個の外皮であり得る。
【0124】
図13の実施形態に示す通り、流体コネクタ1310は、以下にさらに詳細に記載する通り、被覆材1300と流体連通する拡大遠位端または頭部1340を含む。一実施形態では、拡大遠位端は丸い形または円形を有する。頭部1340は、図中、被覆材1300の端近くに位置するように示しているが、被覆材上のいずれの場所に配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態は、被覆材1300の端または角上または近くではない、中心または中心から外れた場所に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、被覆材1300は、流体連通する一つまたは複数の頭部1340をそれぞれ含む、二つ以上の流体コネクタ1310を含んでもよい。一実施形態では、頭部1340は、最も幅の広い縁に沿って30mmあってもよい。頭部1340は、上に記載した、創傷被覆材の最上表面に対して封止されるように構成される、アプリケータ1380を少なくとも一部形成する。
【0125】
図14は、流体コネクタ1410にそって、
図13に示されるように創傷被覆材1300に類似の創傷被覆材1400の断面を示す。代替として、本明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特徴のいかなる組み合わせでもあり得る、創傷被覆材1400は、治療される創傷部位の上に置かれ得る。被覆材1400は、本明細書に記載の陰圧システム実施形態のいずれかと共に使用することができる。被覆材1400は、創傷部位の上に密封された空洞を形成するために設置されてもよい。一実施形態では、被覆材1400は、最上層もしくはカバー層、または任意の創傷接触層1422に取り付けられる裏当て層1420を含むが、それらについて以下により詳細に記載する。これら二つの層1420、1422は、内部空間またはチャンバを画定するために、共に接合または封止され得る。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分配または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応してもよい追加構造と、以下により詳細に説明するであろう他の機能とを含んでもよい。以下に記載するそのような構造の例は、透過層1426および吸収層1421を含む。
【0126】
本明細書で使用される通り、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。したがって、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0127】
図14に図示するように、創傷接触層1422は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、または、例えば、ホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、または超音波プロセスを介すか、またはその他のいくつかの方法で穴加工された、あるいは別の方法で液体および気体が透過するようにしたその他の可撓性のある層であってもよい。創傷接触層1422は、下面1424と上面1423とを有する。穿孔1425は、創傷接触層1422の中に貫通孔を備えることができ、流体が層1422を通って流れることが可能になる。創傷接触層1422は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。穿孔は、その中を通って流体が流れるのを可能にしつつ、この要件を満たすのに十分小さいことが好ましい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。いくつかの構成では、創傷接触層1422は、創傷における陰圧を維持するために、吸収パッド周りで空気を封止しながら、被覆材1400全体の完全性を維持する一助となり得る。
【0128】
創傷接触層1422のいくつかの実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材1400の下面1424上に提供されてもよい一方、上部感圧接着層は、創傷接触層の上面1423上に提供されてもよい。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であってもよい感圧接着剤は、創傷接触層の両側面上、もしくは任意で選択された片側面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの側面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層を利用することが、創傷被覆材1400を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けになってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穴加工されたポリウレタンフィルムを含んでもよい。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するのを助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全三層は共に穴加工されていてもよい。
【0129】
多孔質材料の層1426は、創傷接触層1422の上方に置かれ得る。この多孔質層または透過層1426により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層1426によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷エリア全体に陰圧を伝えるように維持され得ることを保証できる。層1426は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層1426は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。例えば、編みもしくは織りスペーサ布(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用され得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、透過層1426は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、編まれたポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら二つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサ布層を含む。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用され得る。
【0131】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用され得ることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ布は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ布層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0132】
間隔を置いて配置された層におけるフィラメント数のこの差は、透過層を横切る水分の流れを制御する一助となる。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層1421が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得るカバー層に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0133】
透過層1426を横切る(すなわち、最上部および最下部スペーサ層の間に形成されるチャネル領域と垂直に)液体の流れを改善するために、3D織物は、ドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されて、透過層の親水能力を邪魔する可能性がある、前に使用された鉱油、油脂および/またはワックスなどの、いかなる工業製品をも除去するのに役立ってもよい。いくつかの実施形態では、続いて、3Dスペーサ布が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0134】
吸収材の層1421は、透過層1426の上に提供される。発泡体もしくは不織の天然または合成材料を含み、任意で超吸収材料を含んでもよい吸収材料は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。いくつかの実施形態では、層1421もまた、流体を裏当て層1420の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0135】
吸収層1421の材料はまた、創傷被覆材1400に収集された液体が、被覆材内を自由に流れるのを妨げてもよく、被覆材内に収集されるいかなる液体をも包含するように働き得る。吸収層1421はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層のエリアにおける凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層1421は通常、ALLEVYN発泡体のFreudenberg114-224-4および/またはChem-Posite11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層1421は、超吸収性粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。一実施形態では、複合材はエアレイドの熱的に結合された複合材である。
【0136】
いくつかの実施形態では、吸収層1421は、層中に渡って分散する乾燥粒子の形態である超吸収材を有する、不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0137】
陰圧を被覆材1400に印加することが可能になるように、隙間、孔またはオリフィス1427が裏当て層1420に提供される。流体コネクタ1410は、被覆材1400の中に作られるオリフィス1427の上で、裏当て層1420の最上部に取り付けられるか、または封止され、オリフィス1427を通って陰圧を伝える。長いチューブが、被覆材から流体を除去することが可能になるように、第一端部で流体コネクタ1410に、第二端部で陰圧システム(図示せず)に連結されてもよい。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長いチューブは、チューブまたは導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上表面へ延在するような、流体コネクタの第一端部で連結されてもよい。流体コネクタ1410は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、裏当て層1420に接着および封止してもよい。流体コネクタ1410は、ショアAスケールで30から90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンまたはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタ1410は、柔らかい材料または適合する材料から作られてもよい。
【0138】
吸収層1421は、流体コネクタ1410の下にあるように配置される、少なくとも一つの貫通孔1428を含み得る。貫通孔1428は、いくつかの実施形態では、裏当て層の開口部1427と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。
図14に図示する通り、単一の貫通孔は、流体コネクタ1410の下にある開口部をもたらすように使用され得る。複数の開口部が、代替として利用され得ることは理解されるであろう。加えて、二つ以上のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、一つまたは二つ以上の開口部が、各流体コネクタと位置を合わせて、吸収層および不明瞭化層に作られてもよい。本開示の特定の実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通孔を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供してもよい。
【0139】
隙間または貫通孔1428は、
図14に示す通り、オリフィスが透過層1426に直接接続するように、オリフィス1427の下方の吸収層1421に提供され得る。これによって、流体コネクタ1410に適用される陰圧を、吸収層1421を通過することなく、透過層1426へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収するとき、創傷部位に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、隙間は吸収層1421に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス1427の下にある複数の隙間が提供されてもよい。さらなる代替的な実施形態では、追加的な層は、吸収層1421の上および裏当て層1420の下に提供されてもよい。
【0140】
裏当て層1420は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させることができ、創傷被覆材1400の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の側面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であってもよい、裏当て層1420は、気体に対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、裏当て層1420と創傷部位との間に作られる。裏当て層1420は、被覆材の外周の周りの境界領域で、創傷接触層1422に封止することができ、例えば、接着技術または溶接技術によって、空気が境界エリアを通って引き込まれることを保証する。裏当て層1420によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。裏当て層1420は、ポリウレタンフィルムと、フィルム上に広がる接着パターンとの二つの層を備え得る。ポリウレタンフィルムは透湿性を持つことができ、濡れたときに水透過速度が高まる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、裏当て層の透湿性は、裏当て層が濡れると高くなる。濡れた裏当て層の透湿性は、乾いた裏当て層の透湿性の最大約10倍であってもよい。
【0141】
吸収層1421は、吸収層が透過層1426の縁と重複するように、透過層1426よりも大きい面積から成ってもよく、それによって、透過層が裏当て層1420に接触しないことを保証する。これにより、創傷接触層1422と直接接触する、吸収層1421の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が、被覆材の周囲の封止部から染み出して、漏出の形成につながる場合がある、創傷空洞の外周に貯留できないことが保証される。
図14に図示する通り、吸収層1421によって、境界線または境界領域が、吸収層1421の端と裏当て層1420の端との間に画定されるように、裏当て層1420の周囲よりも小さい周囲を画定してもよい。
【0142】
図14に示す通り、創傷被覆材1400の一実施形態は、流体コネクタ1410の下に置かれる吸収層1421に隙間1428を含む。使用中、例えば、陰圧が被覆材1400に適用されるとき、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層1426と接触してもよく、それゆえ、吸収層1421が創傷流体で満たされているときでさえ、創傷部位に陰圧を伝達するのに役立ち得る。いくつかの実施形態によって、裏当て層1420を透過層1426に少なくとも一部接着させてもよい。いくつかの実施形態では、隙間1428は、流体コネクタ1410の創傷に面する部分またはオリフィス1427の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0143】
特に、単一流体コネクタ1410および貫通孔を伴ういくつかの実施形態では、
図13に図示する通り、流体コネクタ1410および貫通孔が、中心から外れた位置に置かれるのが好ましい場合がある。そのような場所では、流体コネクタ1410が被覆材1400の残余部と比較して持ち上げられるように、被覆材1400を患者の上に配置することが可能になってもよい。そのように配置すると、流体コネクタ1410およびフィルタ1414は、創傷部位への陰圧の伝達を減じるために、時期を早めてフィルタ1414を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0144】
ここで流体コネクタ1410に目を転じると、いくつかの実施形態は、封止面1416と、近位端1330および遠位端1340を伴うブリッジ1411(
図13のブリッジ1320に相当)と、フィルタ1414とを含む。封止面1416は、創傷被覆材の最上表面に封止される、前に記載したアプリケータを形成し得る。いくつかの実施形態では、流体コネクタ1410の最下層は、封止面1416を備えてもよい。流体コネクタ1410はさらに、いくつかの実施形態では、流体コネクタの別個の上部層により画定される、封止面1416から垂直に間隔を空ける上面を備えてもよい。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、封止面1416は、創傷被覆材と連通するように、その中に少なくとも一つの隙間1429を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ1414は、封止面の開口部1429を横切って配置されてもよく、開口部1429全体にわたってもよい。封止面1416は、創傷被覆材のカバー層に流体コネクタを封止するように構成されてもよく、接着剤または接合部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、封止面1416は、カバー層のオリフィスの上に置かれてもよい。他の実施形態では、封止面1416は、カバー層のオリフィスおよび吸収層1420の隙間の上に位置してもよく、流体コネクタ1410によって透過層1426を通る気流を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ1411は、陰圧源と連通する第一流体通路1412を含んでもよく、第一流体通路1412は、3D編み材料など、前に記載した多孔質層1426と同じでもよく、または異なってもよい、多孔質材料を含む。ブリッジ1411は、近位端および遠位端を有し、第一流体通路1412を囲むように構成される、少なくとも一つの可撓性フィルム層1408、1410によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、封止面1416に接続する。フィルタ1414は、創傷滲出液がブリッジに侵入するのを実質的に妨げるように構成される。
【0145】
いくつかの実施形態はさらに、第一流体通路1412の上に配置される、任意の第二流体通路を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態によって、第一流体通路1412および被覆材1400中への空気経路を提供するように構成される最上層1408の近位端に配置される空気漏れ部に対して提供してもよい。
【0146】
流体通路1412は、スペーサがねじれるかまたは折り重なる場合でも、流体が通過することを可能にする、可撓性のある、規格に準拠した材料から構築される。流体通路1412の好適な材料には、ポリエチレンまたはポリウレタン発泡体など、連続気泡発泡体を含む発泡体、メッシュ、3D編物、不織材料および流体チャネルを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、流体通路1412は、透過層1426に関して上に記載したものと、類似の材料から構築されてもよい。有利なことに、流体通路1412に使用されるそのような材料によって、患者の快適性をより増すことが可能になるだけでなく、ねじれるか、または曲がっている間でも、依然として流体通路1412が流体を創傷から陰圧源の方へと移動できるような、より大きなねじれ抵抗を提供してもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、流体通路1412は、例えば、編みもしくは織りスペーサ布(ポリエステルで編まれた3D織物Baltex 7970(登録商標)またはGehring 879(登録商標))といったウィッキング生地、または不織布から成ってもよい。選択されたこれらの材料は、好ましくは、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧および/または吐出された空気を創傷部位へ伝達するために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、流体通路1412に与えてもよい。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、いくつかの事例では、流体の吸い上げまたは陰圧の伝達に役立つ場合がある、三次元構造を有してもよい。特定の実施形態では、ウィッキング生地を含むある実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、例えば、40から150mmHgの間の陰圧療法で使用される通常圧力下において、変わらず陰圧を創傷エリアに伝えることができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を含んでもよく、いくつかの事例、陰圧適用状況下において、流体通路1412が崩れるのを妨げるのに有用であってもよい。他の実施形態では、流体通路1412に使用されるウィッキング生地は、1.5mmと6mmとの間であってもよく、例えば、ウィッキング生地は、3mmと6mmとの間の厚さであってもよく、一つまたはいくつかの個々のウィッキング生地層のどちらかから成ってもよい。他の実施形態では、流体通路1412は、1.5mmよりも厚いなど、1.2~3mmの間の厚さであってもよい。いくつかの実施形態、例えば、創傷滲出液などの液体を保持する被覆材と共に使用される吸引アダプタは、流体通路1412に疎水性の層を用いてもよく、気体のみが流体通路1412を通って動いてもよい。加えて、前に記載した通り、システムに使用される材料は、適合する柔らかいものであることができ、患者の皮膚に対して圧力を加える創傷治療システムに起因する場合がある、褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0148】
フィルタ要素1414は、液体に対して不透過性であるが、気体に対しては透過性があり、液体バリアとして働き、液体が創傷被覆材1400から漏れ出ることができないことを保証するように提供される。フィルタ要素1414はまた、細菌バリアとして機能してもよい。通常、管孔サイズは0.2μmである。フィルタ要素1414のフィルタ材料に好適な材料には、MMT範囲からの0.2ミクロンのGore(商標)拡張PTFE、PALL Versapore(商標)200RおよびDonaldson(商標)TX6628を含む。より大きな管孔サイズも使用され得るが、これらは、二次フィルタ層が、完全な生物汚染の封じ込めを保証することを必要とする場合がある。創傷流体は脂質を含有するため、例えば、0.2ミクロンのMMT-323の前に1.0ミクロンのMMT-332といった、撥油性フィルタ膜を使用することが好ましい。これにより、脂質が疎水性フィルタを遮断するのを防げる。フィルタ要素は、オリフィスの上のポートおよび/または被覆フィルムに取り付けられるか、または封止され得る。例えば、フィルタ要素1414は、流体コネクタ1410に成型されてもよく、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、カバー層の最上部および吸引アダプタ1410の最下部の一方または両方に接着してもよい。
【0149】
他のタイプの材料がフィルタ要素1414に使用され得ることは、理解されるであろう。より広くは、薄く平坦な一枚のポリマー材料である、微多孔膜を使用することができ、これは数十億もの微細な管孔を包含する。選んだ膜に応じて、これらの管孔は、0.01マイクロメートルから10マイクロメートルより大きいサイズの範囲にあり得る。微多孔膜は、親水性(水のフィルタリング)および疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ要素1414は、支持層と、支持層上に形成されるアクリルコポリマー膜とを含む。本開示の特定の実施形態に従う創傷被覆材1400は、疎水性微多孔膜(MHM:microporous hydrophobic membrane)を使用する。多数のポリマーを用いて、MHMを形成してもよい。例えば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDFおよびアクリルコポリマーの一つまたは複数から形成されてもよい。これら任意のポリマーのすべてが、疎水性および撥油性の両方であり得る、特定の表面特性を得るために処理され得る。これらによって、マルチビタミン注入物、脂質、界面活性剤、油および有機溶媒など、表面張力の低い液体を追い払うであろう。
【0150】
MHMは、空気が膜を通って流れることを可能にしながら、液体を遮断する。MHMはまた、潜在的感染エアロゾルおよび粒子を排除する、非常に効率的なエアフィルタである。MHMの単一片は、機械式バルブまたはベントを交換する選択肢として、よく知られる。それゆえ、MHMの組込みによって製品組立費を削減し、利益、および患者に対する費用/利得の割合を改善し得る。
【0151】
フィルタ要素1414はまた、例えば、活性炭、炭素繊維布もしくはVitec Carbotec-RT Q2003073発泡体、または類似のものといった臭気吸収材を含んでもよい。例えば、臭気吸収材は、フィルタ要素1414の層を形成してもよく、またはフィルタ要素内の疎水性微多孔膜間に挟まれてもよい。それゆえ、フィルタ要素1414によって、オリフィスを通して気体を排出することが可能になる。しかしながら、液体、微粒子および病原体は被覆材に包含される。
【0152】
上に記載した創傷被覆材の実施形態に類似して、いくつかの創傷被覆材は、皮膚接触面上にシリコーン接着剤、および裏面上にアクリル接着剤を伴う穿孔創傷接触層を備える。この縁取られた層の上方には、透過層または3Dスペーサ布パッドが存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(NW:non-woven)パッドを含み得る。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接し得る。吸収層は、一つの端部の方に向かう隙間または貫通孔を有し得る。隙間は直径約10mmであり得る。透過層および吸収層の上に、裏当て層がある。裏当て層は、アクリル接着剤でコーティングされた模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムであり得る。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。裏当て層は、吸収層の隙間の上に重なる、10mmの隙間を有し得る。孔の上方には、前述した隙間の上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(SPM:semi-permeable membrane)またはフィルタを備える、流体コネクタを結合し得る。
【0153】
図15A~
図15Dは、いくつかの実施形態による陰圧インジケータを組み込む創傷被覆材の実施形態を図示する。
図15Aは、被覆材の下で陰圧が確立された時点を示すため、創傷被覆材1500の上またはその内部に陰圧インジケータ1591を示す。陰圧インジケータ1591は、機械的インジケータであってもよい。いくつかの実施形態では、陰圧インジケータ1591は、患者から直接視線を必要としないインジケータでありうる。例えば、陰圧インジケータ1591は、患者またはユーザによってタッチまたは感じることができるインジケータとすることができる。陰圧インジケータ1591は、被覆材の吸収材料内の一つまたは複数の隙間または切り抜きとすることができる。いくつかの事例では、カバー層の下に陰圧が印加されると、被覆材は締り、吸収材料内の一つまたは複数の隙間または切り抜きに吸い込まれるときに、カバー層は圧縮することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、陰圧インジケータ1591は、
図15Aに図示した小さな孔配列であり得る。いくつかの実施形態では、被覆材に三つの小さな孔がある。いくつかの実施形態では
図15Aに示すように、被覆材の側方端に沿って長軸方向に延びる被覆材の両側に、三つの小さな孔配列の2セットを使用することができる。いくつかの実施形態では、個々の陰圧インジケータの直径は約4mm~約5mmでありうる。
【0155】
陰圧インジケータは、吸収層の切り抜きまたは孔の結果として被覆材に作成された異なるタイプの段変化またはくぼみから形成され得る。いくつかの実施形態では、陰圧インジケータは、カバー層が孔または切り抜きを覆う状態で、吸収材料に孔または切り抜きから形成され得る。いくつかの実施形態では、吸収材料の孔または切り抜きは、円形、長方形、三角形、楕円形、またはその他任意の形状でありうる。真空が適用されない場合、領域が緩んでいると感じることがあるが、陰圧下では領域は締まることができ、カバー層内の段付きトポグラフィーまたはくぼみは明らかとなりうる。段付きトポグラフィーは、ユーザによって視覚化および/または感じられうる。
図15Aに図示した吸収材料の小孔を使用することができる。他の実施形態において、別のフィルム材料に結合された吸収材料における大きな孔または別のフィルム材料と結合された吸収材料における長方形の細片を使用することができる。
【0156】
吸収材料に切断された小さな孔は、接着剤被覆上部フィルムと組み合わせて使用され得る。二つの間の相互作用は、前述のようにふるまう。圧力下では、吸収材料が圧縮され、フィルムは締りフィルムカバー孔を見えるようにする。この孔は、システムが陰圧下にあるときに感じることができる。システムが周囲圧力に戻ると、フィルムは、その元の状態に「緩む」または「のびる」、そして、孔は上部フィルム材料を通して簡単に感じることができない。
図15B~
図15Cは、陰圧適用の前(
図15B)およびその間(
図15C)の孔の断面図を示す。小さな孔(直径4mm~約5mm)の陰圧インジケータは、陰圧がかけられた時に、締まった段付き変化トポグラフィーを可能にすし、一方で被覆材が周囲圧力に戻されたとき、段付き孔領域を隠す。
【0157】
その他の実施形態では、非接着フィルムを有する大きな孔は、陰圧インジケータとして使用され得る。大きな孔は、小さな孔で説明された隙間または切り抜きであることができる。しかしながら、カバー層は接着材料で被覆されることができるため、カバー層1513が大きな孔に圧縮されてから周囲圧力に戻された後に、カバー層1513が被覆材の下部層に固定されるのを防ぐために、非接着性フィルム1592を吸収材料1522の大きな孔内に使用できる。
【0158】
図15Dは、吸収材料1522に大きな孔隙間を有する陰圧インジケータ1591を有する創傷被覆材の実施形態の断面図を示す。システムが陰圧下にある時、カバー層1513は非接着フィルム材料1592に貼り付けることができ、吸収材料1522の周りを締めることで、陰圧インジケータ1591を画定する被覆材に段差付き変化トポグラフィーを作り出す。被覆材が周囲圧力に戻ると、カバー層1513は元の状態に戻ることができる。いくつかの実施形態では、大きな孔は直径が12mm(約12mm)の円形の孔とすることができる。いくつかの実施形態では、二つ以上の大きな孔を使用することができる。いくつかの実施形態では、大きな孔の配列を使用することができる。いくつかの実施形態では、直径が3mm未満、3mm(約3mm)、4mm(約4mm)、5mm(約5mm)、6mm(約6mm)、7mm(約7mm)、または7mmより大きい孔とすることができる。
【0159】
用語
実施形態によっては、本明細書に記載されるプロセスのいずれかの特定の操作、作用、事象、または機能は、異なる順序で実施され得、また全体として、(プロセスの実践に必要なもの等)、追加、融合、または除外され得る(例えば、本プロセスの実践にすべてが必要となるわけではない)。さらに、特定の実施形態では、動作、作用、機能、または事象は、例えば、マルチスレッド処理、割込処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを通じて、または他のパラレルアーキテクチャー上で、シーケンシャルにではなく、同時に実行することができる。
【0160】
図示されたシステムのさまざまな構成要素の処理は、複数の機械、ネットワーク、およびその他の演算リソースにわたって分配され得る。さらに、システムの二つ以上の構成要素を、より少ない構成要素に組み合わせることができる。図示されたシステムの様々な構成要素を、専用コンピュータハードウェアシステムおよび/またはコンピューティングデバイスではなく、一つまたは複数の仮想マシンに実装することができる。同様に、示されるデータレポジトリは、例えば、記憶エリアネットワークまたはその他の分散型記憶システムを含む、物理的および/または論理的データ保存を表すことができる。さらに、いくつかの実施形態では、図示した構成要素間の接続は、ハードウェア間の実際の接続ではなく、データフローの可能な経路を表す。可能な接続のいくつかの実施例が示されているが、図示された構成要素のサブセットのいずれかは、様々な実施の構成要素のその他任意のサブセットと通信できる。
【0161】
添付の出願書類に記載されている可能性のあるものを含む、上記の特許および用途およびその他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。開示の態様は本明細書に記載の様々な参照のシステム、機能、概念を使用して、もし必要な場合、変更し、さらなる実施を提供することができる。
【0162】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特徴のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0163】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、交換、および変形がなされ得る。いくつかの実施形態において、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なりうることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々な構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。プロセッサ、ASIC、FPGA等のハードウェア構成要素には論理回路が含まれうる。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0164】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。従って、本開示の範囲は、記述された実施形態によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【0165】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」等の条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特徴、行為、および動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。同様に、「および(and)/または(or)」という用語は、二つ以上の項目の列挙に関して、言葉の以下の解釈のすべて:列挙内の項目も任意の一つ、列挙内のすべての項目、および列挙内の項目の任意の組み合わせ、を網羅する。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。さらに、本明細書で使用される場合、「本明細書での(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」および類似する言葉は、本出願で使用される場合、本明細書の全体を指し、本明細書の特定の部分を指すものではないことを意味する。
【0166】
語句「X、Y、およびZの少なくとも一つ」等の連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語等が、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に用いられる文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくとも一つのXと、少なくとも一つYと、少なくとも一つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0167】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語等の、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、特定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特性を意味する。
【0168】
本明細書に記載の実施形態のいずれも、キャニスタまたはキャニスタなしで使用することができる。本明細書に記載される被覆材実施形態のいずれかは、創傷滲出液を吸収および保存することができる。
【0169】
本開示の範囲は、特定の実施形態の説明によって制限されることは意図されておらず、請求項によって定義されてもよい。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0170】
102 TNP装置
114 圧力センサ
200 陰圧治療システム
202 第一の創傷被覆材
208 第一の流体流路
210 第二の流体流路
204 第二の創傷被覆材
206 入口マニホールド分岐取付部
212 第三の流体流路
【外国語明細書】