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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162040
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】寝台用感染防止装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 10/00 20060101AFI20221014BHJP
   A61G 1/04 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61G10/00 Z
A61G1/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132824
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2021026701の分割
【原出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】502122613
【氏名又は名称】株式会社エーディエフ
(71)【出願人】
【識別番号】519116551
【氏名又は名称】社会医療法人愛仁会
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】島本 敏
(57)【要約】
【課題】寝台上の患者に対する処置を容易に行うことができる寝台用感染防止装置を提供する。
【解決手段】
寝台用感染防止装置1は、ストレッチャーSのフレームに下端が支持された2つの柱部材52,52と、柱部材52,52の上端に揺動自在に軸支された天面隔壁体53と、天面隔壁体53の端部に設置された換気ユニット4と、天面隔壁体53の各辺に着脱可能に取り付けられて患者の頭部を取り囲む可撓性の遮蔽シート5を備える。遮蔽シート5は、切れ目の無い単一シート8と、複数のシート片が連なる短冊シート9で形成される。患者側の空気を換気ユニット4で清浄にして外部へ排出する。短冊シート9のシート片の間を通して医療従事者の手や器具が挿入され、患者の頭部周辺の気密性を一定程度確保した状態で、患者に処置が行われる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台に載置された患者の少なくとも一部を被覆して感染を防止する寝台用感染防止装置であって、
下端が上記寝台に連結される柱部材と、
上記患者の頭部の上方に位置すると共に可視光透過性の遮蔽体を有し、上記柱部材に揺動自在に軸支された天面隔壁体と、
上記天面隔壁体に設置され、上記患者側の空気を外部に向かって導く送風機と、この送風機で導かれる空気を濾過する濾体と、
上記天面隔壁体の縁に着脱可能に取り付けられ、患者の頭部の周囲を外部に対して仕切ると共に下端が固定されていない可撓性の遮蔽シートと
を備えることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の寝台用感染防止装置において、
上記柱部材が、上記寝台に着脱可能に固定された固定部を介して連結されていることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項3】
請求項2に記載の寝台用感染防止装置において、
上記固定部が、上記寝台に締め金具で固定されていることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項4】
請求項1に記載の寝台用感染防止装置において、
上記天面隔壁体の患者に対する距離が、変更可能に形成されていることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項5】
請求項1に記載の寝台用感染防止装置において、
上記天面隔壁体を柱部材に対して所定の角度で支持する支持部材を備えることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項6】
請求項1に記載の寝台用感染防止装置において、
上記天面隔壁体が、上記柱部材に連結された天面枠と、この天面枠に着脱可能に取り付けられた可視光透過性の樹脂製の板状体を含んで形成されていることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項7】
請求項1に記載の寝台用感染防止装置において、
上記遮蔽シートの少なくとも一部が、複数の短冊状のシート片で形成されていることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項8】
寝台に載置された患者の少なくとも一部を被覆して感染を防止する寝台用感染防止装置であって、
下端が上記寝台に連結される柱部材と、
上記患者の頭部の上方に位置すると共に可視光透過性の遮蔽体を有し、上記柱部材に支持される天面隔壁体と、
上記天面隔壁体に設置され、上記患者側の空気を外部に向かって導く送風機と、この送風機で導かれる空気を濾過する濾体と、
上記天面隔壁体の縁に着脱可能に取り付けられ、患者の頭部の周囲を外部に対して仕切ると共に下端が固定されていない可撓性の遮蔽シートとを備え、
上記天面隔壁体が、上記柱部材に連結された天面枠と、この天面枠に着脱可能に取り付けられた可視光透過性の樹脂製の板状体を含んで形成され、
上記天面隔壁体の天面枠に設けられ、揺動部分が上記天面枠の表面に対して接離可能に形成された揺動部材と、上記天面枠及び揺動部材の揺動部分のいずれか一方に設けられた磁石と、上記天面枠及び揺動部材の揺動部分の他方に設けられた強磁性体とを有して、上記天面枠の表面と揺動部材の揺動部分との間に上記遮蔽シートの端部を挟持するように形成されたシート取付具を備えることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項9】
請求項1に記載の寝台用感染防止装置において、
上記天面隔壁体に、上記遮蔽シートが接着剤で取り付けられていることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【請求項10】
請求項1に記載の寝台用感染防止装置において、
上記送風機に電力を供給する蓄電池を備えることを特徴とする寝台用感染防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチャー等の寝台に設置され、寝台上の患者からの感染症の拡大を防止するための寝台用感染防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症に罹患した患者を寝台に載置して処置や移動を行う場合、患者からのウイルスや病原菌の飛散を防止するため、患者の頭部等を覆う感染防止装置が用いられている。
【0003】
この種の感染防止装置として、従来、図10に示すような隔離用フード装置が提案されている。この隔離用フード装置101は、ストレッチャーSのマット上に載置された患者Kの胸部から上方の部分を覆うフード部102と、このフード部2に取り付けられた第1,2シート103,104と、フード部2に着脱可能に取り付けられる吸気装置105とから構成されている。上記フード部102は、円筒状に湾曲したアクリル板で形成された覆い板109と、この覆い板109の端部に連結された半円形の支持板106を有する。覆い板109と支持板106は、覆い板109の湾曲した辺と支持板106の弧状の辺とを突き合わせて複数の連結具108,108,108,・・・で互いを連結することにより、一体化されている。覆い板109の側面には、医療従事者が処置を行う際に手を通すための円形の開口部112と、この開口部112を塞ぐフィン114が設けられている。また、覆い板109の側面には、矩形の開口部113と、この開口部113を塞ぐHEPAフィルタ115が設けられている。第1シート103は不織布で形成され、支持板106の下端に接着剤や溶着により固定されており、患者Kから離れる側に向かって延在するように配置されている。第2シート104は不織布で形成され、覆い板109の支持板106に連結される辺以外の辺に、接着剤や溶着により固定されている。この第2シート104は、第1シート103の両端部分に重ねられると共に、フード部102の両側と患者Kの胸部から下方の部分を覆うように配置されている。吸気装置105は、ホースを通してフード部102内の空気を吸引し、内蔵されたHEPAフィルタで空気を清浄化して大気に排出する。フード部102内の空気を排出して陰圧にすることで、フード部102内からウイルス等が外部に拡散する不都合を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-344320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の上記隔離用フード装置101は、フード部102内の患者Kに対して処置を行う場合、医療従事者がフード部の開口部112から手を入れて作業を行う必要があるため、処置を容易に行うことができないという問題がある。特に、例えば気管挿管等のように器具を用いて行う処置は実質的に不可能であるため、患者に対する処置が制限される問題がある。
【0006】
また、上記隔離用フード装置101は、フード部102がストレッチャーSのマット上に載置されるのみであって、ストレッチャーSには固定されていない。したがって、隔離用フード装置101はストレッチャーS上で不安定になりやすく、患者Kに処置を行う際やストレッチャーSを移動する際に、フード部102が移動して内部の空気が漏出する不都合や、フード部102がストレッチャーSから離脱する不都合がある。
【0007】
また、フード部102をストレッチャーS上に設置するには、ストレッチャーS上に患者Kを載置した後に、第1シート103が固定された支持板106を患者Kの頭部の頭頂側に配置し、この後、第2シート104が固定された覆い板109を患者Kの頭部に配置し、次いで、覆い板109を支持板106の縁に沿うように湾曲させて連結具108,108,・・・で互いを連結する必要がある。これらの工程を患者Kが存在する状況で行うのは手間であり、また時間がかかる不都合がある。フード部102の設置に時間がかかると、患者Kの迅速な隔離が困難になるという問題がある。
【0008】
また、フード部102や第1又は第2シート103,104が汚染したとき、フード部102とシート103,104が固定されているので、洗浄に手間がかかる不都合がある。また、汚染部分を廃棄する場合、フード部102と第1又は第2シート103,104の全てを廃棄することとなり、大量の廃棄物が発生する問題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、寝台上の患者に対する処置を容易に行うことができ、実行可能な処置の制限が少ない寝台用感染防止装置を提供することにある。また、寝台に安定して設置することができる寝台用感染防止装置を提供することにある。また、寝台に迅速に設置することができる寝台用感染防止装置を提供することにある。また、汚染が発生したときに、容易に汚染を解消できる寝台用感染防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の寝台用感染防止装置は、寝台に載置された患者の少なくとも一部を被覆して感染を防止する寝台用感染防止装置であって、
下端が上記寝台に連結される柱部材と、
上記患者の頭部の上方に位置すると共に可視光透過性の遮蔽体を有し、上記柱部材に支持される天面隔壁体と、
上記天面隔壁体に設置され、上記患者側の空気を外部に向かって導く送風機と、この送風機で導かれる空気を濾過する濾体と、
上記天面隔壁体の縁に着脱可能に取り付けられ、患者の頭部の周囲を外部に対して仕切る可撓性の遮蔽シートと
を備えることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、患者の頭部が、支柱に支持された天面隔壁体と、この天面隔壁体の縁に取り付けられた可撓性の遮蔽シートで囲まれ、この天面隔壁体と遮蔽シートの内側の空気が濾体で濾過されて送風機で外部に排出される。このように、患者の頭部が天面隔壁体と遮蔽シートで取り囲まれているので、患者の頭部に対して処置を行う際に必要な空間を確保できるので、高い自由度で患者に処置を行うことができる。また、天面隔壁体の縁に取り付けられた可撓性の遮蔽シートを変形させることにより、処置者の手を遮蔽シートの内側に通して、患者の頭部に対して容易に処置を行うことができる。したがって、患者に対する処置の制限が少なくできる。ここで、上記遮蔽シートは、下端が固定されていないのが好ましく、また、処置を行う者が手を挿入するためのスリットや切れ目を有するのが好ましい。また、遮蔽シートの処置を行うのに都合の良い位置に、切断具で切れ目を入れることで、この切れ目を通して患者に高い自由度で処置を行うことができる。また、柱部材の下端が寝台に連結され、この柱部材によって寝台用感染防止装置の構成部材が支持される。したがって、既存の寝台に、寝台用感染防止装置を固定して設置することができる。その結果、寝台上で寝台用感染防止装置が安定するので、処置や移動を行う際に、寝台用感染防止装置のずれや落下を効果的に防止できる。また、遮蔽シートが天面隔壁体の縁に着脱可能に取り付けられているので、遮蔽シート及び天面隔壁体のいずれか一方が汚染した場合、遮蔽シートと天面隔壁体を分離し、汚染した方の部材を洗浄又は廃棄すればよい。したがって、洗浄の手間が少なく、また、廃棄物の発生を少なくすることができる。
【0012】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記柱部材が、上記寝台に着脱可能に固定された固定部を介して連結されている。
【0013】
上記実施形態によれば、柱部材が、寝台に着脱可能に固定された固定部を介して連結されているので、予め寝台に固定部を固定しておくことにより、柱部材を容易かつ迅速に寝台に連結することができる。したがって、寝台用感染防止装置を容易かつ迅速に寝台に設置することができる。また、固定部が寝台に着脱可能に固定されるので、寝台用感染防止装置を寝台に容易に後付けできると共に、不要なときは容易に寝台から除去することができる。
【0014】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記固定部が、上記寝台に締め金具で固定されている。
【0015】
上記実施形態によれば、締め金具により、固定部を容易かつ強固に、寝台に着脱可能に固定することができる。
【0016】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記天面隔壁体の患者に対する距離が、変更可能に形成されている。
【0017】
上記実施形態によれば、天面隔壁体の患者に対する距離を変更することにより、患者の頭部の上方における空間の大きさを変更することができる。上記患者の上方の空間の大きさを、患者に対して行う処置の内容に応じて調節することにより、患者に対して種々の処置を高い自由度で実行することができる。ここで、天面隔壁体の患者に対する距離は、例えば天面隔壁体を柱部材に対して揺動可能とすることで変更してもよく、また、例えば天面隔壁体を柱部材の延在方向に移動可能とすることで変更してもよい。
【0018】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記天面隔壁体が、上記柱部材に揺動自在に軸支されている。
【0019】
上記実施形態によれば、天面隔壁体の柱部材に対する揺動角度を調節することにより、患者の頭部の上方における空間の大きさを容易に調節できる。また、天面隔壁体を柱部材に沿うように揺動させて畳むことにより、寝台用感染防止装置を容易かつ迅速にコンパクト化することができる。
【0020】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記天面隔壁体を柱部材に対して所定の角度で支持する支持部材を備える。
【0021】
上記実施形態によれば、柱部材に対して揺動可能な天面隔壁体を、支持部材によって安定して所定の角度で支持することができる。ここで、支持部材は、天面隔壁体を柱部材に対して複数の角度で支持するように形成されてもよい。すなわち、支持部材は、天面隔壁体の柱部材に対する傾斜角度を調節可能に、上記天面隔壁体を支持するように形成されてもよい。
【0022】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記天面隔壁体が、上記柱部材に連結された天面枠と、この天面枠に着脱可能に取り付けられた可視光透過性の樹脂製の板状体を含んで形成されている。
【0023】
上記実施形態によれば、天面隔壁体は、柱部材に連結された天面枠に、可視光透過性の板状体が取り付けられているので、処置を行う者が、天面隔壁体の下方の患者の様子を視認しながら、患者に処置を行うことができる。また、板状体が樹脂で形成されているので、天面隔壁体を軽量にでき、また、比較的高い強度を確保できる。また、板状体は着脱可能に取り付けられているので、劣化や汚染が生じても、板状体を交換することにより、天面隔壁体の機能を容易に回復することができる。
【0024】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記遮蔽シートの少なくとも一部が、複数の短冊状のシート片で形成されている。
【0025】
上記実施形態によれば、短冊状のシート片の互いの隙間を通して、患者に対する処置を処置者が容易に行うことができる。
【0026】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記天面隔壁体の天面枠に設けられ、揺動部分が上記天面枠の表面に対して接離可能に形成された揺動部材と、上記天面枠及び揺動部材の揺動部分のいずれか一方に設けられた磁石と、上記天面枠及び揺動部材の揺動部分の他方に設けられた強磁性体とを有して、上記天面枠の表面と揺動部材の揺動部分との間に上記遮蔽シートの端部を挟持するように形成されたシート取付具を備える。
【0027】
上記実施形態によれば、シート取付具の揺動部材の揺動部分と、天面隔壁体の天面枠との間で遮蔽シートの端部を挟持することにより、比較的簡易な構造により、遮蔽シートを着脱可能に天面隔壁体に取り付けることができる。したがって、遮蔽シートに汚染又は破損が生じたときに、容易かつ迅速に遮蔽シートを交換することができる。
【0028】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記天面隔壁体に、上記遮蔽シートが接着剤で取り付けられている。
【0029】
上記実施形態によれば、接着剤を用いることにより、天面隔壁体に遮蔽シートを容易に着脱可能に取り付けることができる。ここで、接着剤は、天面隔壁体と遮蔽シートに直接塗布されてもよく、あるいは、テープに接着剤が塗布された接着テープが用いられてもよい。接着テープとしては、テープの片面に接着剤が塗布された片面テープと、両面に接着剤が塗布された両面テープのいずれを用いてもよい。
【0030】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記天面隔壁体に、上記送風機と濾体が配置されている。
【0031】
上記実施形態によれば、天面隔壁体に配置された送風機と濾体により、患者側の空気を迅速に濾過して外部に排出することができる。
【0032】
一実施形態の寝台用感染防止装置は、上記送風機に電力を供給する蓄電池を備える。
【0033】
上記実施形態によれば、蓄電池で送風機に電力を供給することにより、天面隔壁体と遮蔽シートで囲まれた空間の換気を行いながら、寝台用感染防止装置を寝台と共に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態の寝台用感染防止装置を寝台に設置した様子を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の寝台用感染防止装置の天面隔壁体を示す平面図である。
図3】換気ユニットを示す模式断面図である。
図4A】天面隔壁体に遮蔽シートを取り付けるシート取付具を示す模式断面図である。
図4B】天面隔壁体に遮蔽シートを取り付ける様子を示す模式断面図である。
図5】第2実施形態の寝台用感染防止装置を寝台に設置した様子を示す斜視図である。
図6】第2実施形態の寝台用感染防止装置の主要部を示す側面図である。
図7】固定部を示す側面図である。
図8】第2実施形態の寝台用感染防止装置の天面隔壁体を示す平面図である。
図9】第2実施形態の寝台用感染防止装置内の患者に処置を行う様子を示す模式図である。
図10】従来の寝台用感染防止装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
第1実施形態の寝台用感染防止装置は、寝台としてのストレッチャーに設置され、ストレッチャー上の患者が保持するウイルスや病原菌等の拡散を防止するものである。本発明の寝台用感染防止装置が設置される寝台は、ストレッチャーに限定されず、ベッドや処置台等、人体が載置されるものが広く該当する。
【0037】
図1は本発明の第1実施形態の寝台用感染防止装置1を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の寝台用感染防止装置1は、ストレッチャーSの患者の頭側の端部に設置される。寝台用感染防止装置1は、下端がストレッチャーSに連結される2本の柱部材2,2と、これらの柱部材2,2の上端に支持された概ね板状の天面隔壁体3と、この天面隔壁体3に取り付けられた換気ユニット4と、天面隔壁体3の縁に取り付けられた遮蔽シート5を備える。
【0038】
柱部材2はアルミニウム製の角パイプで形成され、ストレッチャーSのフレームに形成された連結穴に下端が挿入されることで、ストレッチャーSに連結されている。2つの柱部材2の上端に、これらの柱部材2,2の延在方向に対して直角を成すように、天面隔壁体3が固定されている。2つの柱部材2は、天面隔壁体3の平面視において、患者の両側の辺の中央よりも頭頂側に、それぞれ固定されている。柱部材2は、側面視においてT字状の接続金具17によって、天面隔壁体3のフレーム14に固定されている。
【0039】
天面隔壁体3は、図2の平面図に示すように、アルミニウム製の角パイプで組み立てられた矩形の天面枠としてのフレーム14と、このフレーム14の内側に張られた可視光透過性の透明パネル15を有する。透明パネル15は、例えばアクリル樹脂製の板状体で形成され、縁部に設けられた貫通孔に挿通されたビスによってフレーム14に固定されている。
【0040】
天面隔壁体3の柱部材2から遠い側の先端部には、フレーム14の角部の内側に沿うように、概ね直方体の換気ユニット4が固定されている。この換気ユニット4は、図3の模式断面図に示すように、ストレッチャーSの側に位置する濾体としてのHEPAフィルタ18と、このHEPAフィルタ18の下流側に配置された送風機19とが一体に形成されている。換気ユニット4が作動すると、矢印Aで示すように、送風機19で生成される空気の流れにより、天面隔壁体3と遮蔽シート5で囲まれた患者の頭部の周辺の空気がHEPAフィルタ18に導かれて浄化され、外部に排出される。換気ユニット4の送風機19には充電式電池が内蔵されており、充電式電池を外部電源に接続して予め充電を行うことにより、送風機19の駆動時には電源線に接続することなく作動することができる。これにより、ストレッチャーSの移動の自由を確保した状態で、換気ユニット4により患者の頭部の周囲の空気を清浄化して排出することができる。なお、充電式電池は、寝台用感染防止装置1の他の位置や、ストレッチャーSに設置してもよい。
【0041】
図4A及び4Bは、天面隔壁体3の縁に遮蔽シート5を着脱可能に取り付けるシート取付具16を示す模式断面図である。このシート取付具16は、天面隔壁体3のフレーム14の4つの辺に設けられており、フレーム14の各辺の側面に、遮蔽シート5の上端を着脱可能に取り付けるものである。シート取付具16は、例えばビニール製等の可撓性の樹脂で形成された揺動部材としての接続シート20と、この接続シート20の一端側をフレーム14の表面に固定する固定プレート21と、接続シート20の他端側に固定された鉄製の被吸着プレート22と、フレーム14の側面の内側に固定されて被吸着プレート22を吸着する永久磁石23で構成されている。
【0042】
このシート取付具16は、図4Bに示すように、被吸着プレート22を永久磁石23から離して接続シート20を開いた状態で、フレーム14の側面と接続シート20の内側面との間に遮蔽シート5の上端部を差し込む。次いで、接続シート20に固定された被吸着プレート22を永久磁石23で吸着させ、図4Aに示すように、遮蔽シート5の上端部分をフレーム14の側面と接続シート20の内側面とで挟んで固定するようになっている。ここで、被吸着プレート22は、強磁性体であれば鉄以外の材料で形成されてもよい。このように、シート取付具16は、永久磁石23と被吸着プレート22との間で作用する磁力により、フレーム14と接続シート20の間に遮蔽シート5を挟んで固定するので、天面隔壁体3の縁に遮蔽シート5を容易かつ迅速に着脱することができる。ここで、被吸着プレート22をフレーム14の側面に対して接離可能に取り付ける揺動部材として、可撓性の樹脂製の接続シート20を用いたが、例えばヒンジを有する金具を用いてもよい。
【0043】
遮蔽シート5は、可視光透過性を有する可撓性の材料で形成されており、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂によるものが用いられる。遮蔽シート5は、天面隔壁体3の4つの辺のうち、平面視において患者の頭部の両側の2辺と、頭頂側の1辺に、複数の短冊状のシート片で形成された短冊シート9が用いられている。一方、天面隔壁体3の4つの辺のうち、患者の胴体側の一辺には、切れ目の無いシートで形成された単一シート8が用いられている。患者の頭部の両側と頭頂側に短冊シート9を配置することにより、短冊シート9のシート片の間から、処置を行う医療従事者が、手や器具を内側に挿入して処置を容易かつ高い自由度で行うことが可能になっている。ここで、短冊シート9の配置位置は、患者の頭部の両側と頭頂側のうち、いずれか一方でもよく、また、患者の胴体側に配置してもよい。遮蔽シート5を形成する単一シート8と短冊シート9は、実施する処置や必要とされる気密性に応じて適宜配置することができる。また、遮蔽シート5は、切れ目のない単一シート8で全て形成されてもよい。この場合、単一シート8の所望の位置に切断具で切れ目を入れ、この切れ目を通して、医療従事者が患者に処置を行ってもよい。これにより、高い自由度で処置を行うことができる。
【0044】
上記構成の寝台用感染防止装置1は、次のようにして使用する。寝台用感染防止装置1の設置を予定するストレッチャーSのフレームには、柱部材2を連結するための連結穴を形成しておく。この連結穴は、ストレッチャーSに当初から形成されたものを活用してもよく、あるいは、寝台用感染防止装置1のために新たに形成してもよい。このストレッチャーSに、感染症に罹患した患者を載置し、この患者からの感染症の拡大を防止する必要が生じたとき、ストレッチャーSへの寝台用感染防止装置1の設置を行う。まず、ストレッチャーSのフレームの連結穴に、2つの柱部材2の下端を挿入し、ストレッチャーSのフレームに2つの柱部材2を連結する。次いで、天面隔壁体3のシート取付具16を操作し、天面隔壁体3のフレーム14に遮蔽シート5を取り付ける。遮蔽シート5は、必要に応じて単一シート8及び/又は短冊シート9を用いて構成する。この後、換気ユニット4を起動し、天面隔壁体3と遮蔽シート5で囲まれた患者の頭部の周辺の空気を、送風機19で吸引してHEPAフィルタ18で清浄化して外部へ排出する。
【0045】
第1実施形態の寝台用感染防止装置1は、患者の頭部の上方に配置された天面隔壁体3と、この天面隔壁体3の縁に、頭部の周囲を外部に対して仕切るように取り付けられた可撓性の遮蔽シート5を備えるので、患者の頭部に対して処置を行う際に必要な空間を確保できる。したがって、高い自由度で患者に処置を行うことができる。また、遮蔽シート5は可撓性を有するので、医療従事者は所望の位置から手や器具を患者の頭部の側に入れることができる。また、遮蔽シート5の短冊シート9のシート片の間から、医療従事者が手や器具を内側に挿入して処置を行うことにより、患者の頭部側の空間の気密性を一定程度確保しながら、処置を行うことができる。
【0046】
また、第1実施形態の寝台用感染防止装置1は、患者Kの頭部を取り囲む遮蔽シート5が、シート取付具16によって着脱可能に天面隔壁体3に取り付けられているので、患者Kの処置等の過程で遮蔽シート5が汚染した場合、汚染した範囲の単一シート8や短冊シート9を容易に交換でき、迅速に掃除を行うことができる。また、天面隔壁体3に可視光透過性の透明パネル15を用いているので、透明パネル15を通して患者Kの様子を明確に確認することができる。また、透明パネル15が汚染しても、容易に汚染物を拭き取って清浄にすることができる。
【0047】
上記第1実施形態において、柱部材2の上端に、天面隔壁体3のフレーム14が接続金具17によって固定されたが、接続金具17は、柱部材2の上端を、天面隔壁体3のフレーム14の延在方向に変更可能に連結してもよい。すなわち、天面隔壁体3を柱部材2の直角方向に移動可能に形成してもよい。これにより、天面隔壁体3の下方の患者の頭部の位置に応じて、天面隔壁体3の位置を患者の身長方向に調節することができる。また、接続金具17は、天面隔壁体3を柱部材2に、この柱部材2の延在方向における天面隔壁体3の固定位置を変更可能に連結してもよい。すなわち、天面隔壁体3を柱部材2の延在方向に移動可能に形成してもよい。これにより、患者の頭部に対する天面隔壁体3の距離を、患者に施す処置に応じて調節することができる。
【0048】
図5は本発明の第2実施形態の寝台用感染防止装置51を示す斜視図であり、図6は第2実施形態の寝台用感染防止装置51の主要部を示す側面図である。第2実施形態の寝台用感染防止装置51は、下端がストレッチャーSに連結される2本の柱部材52,52と、柱部材52をストレッチャーSに連結する固定部10と、柱部材52,52の上端に揺動可能に支持された概ね板状の天面隔壁体53と、この天面隔壁体53に取り付けられた換気ユニット4と、天面隔壁体53の縁に取り付けられた遮蔽シート5を備える。
【0049】
柱部材52はアルミニウム製の角パイプで形成され、ストレッチャーSのフレームに固定された固定部10に下端が連結されている。柱部材52の上端にはボルト用の貫通孔が形成され、この貫通孔にノブ付きボルト55のネジ軸部が挿通されている。また、柱部材52の正面には、天面隔壁体53を所定角度に保持するための支持孔が設けられている。
【0050】
図7は、柱部材52の下端をストレッチャーSに連結する固定部10を示す側面図である。固定部10は、ストレッチャーSのフレームに固定され、柱部材52の下端を支持してフレームに連結するものである。この固定部10は、有底の角パイプで形成された柱受け具11と、この柱受け具11の側面に固定された第1締め金具12aと、この第1締め金具12aに組み合わされる第2締め金具12bを有する。第1締め金具12aと第2締め金具12bは、対向する面に概ね半円断面の凹部が形成されており、この凹部にストレッチャーSのフレームを篏合した状態で、ボルト13で互いに緊結されることにより、固定部10がストレッチャーSのフレームに固定される。固定部10の構成部品は、アルミニウムで形成されている。この固定部10は、ストレッチャーSのフレームに予め固定されており、寝台用感染防止装置51を使用する必要が生じたときに、固定部10の柱受け具11に柱部材52を挿入して寝台用感染防止装置51を組み立てるようになっている。ここで、固定部10の第1締め金具12aと第2締め金具12bは、他の形状であってもよい。例えば、一端にネジ穴が形成されていると共に他端に挟持部が形成されたコ字状の第1締め金具に、雄ネジの先端に挟持部が形成された第2締め金具を螺合し、互いの挟持部でストレッチャーSのフレームを挟持して固定部10を固定するように形成してもよい。また、固定部10の第1締め金具12aと第2締め金具12bは、ボルト13以外に、板バネやコイルバネ等の付勢力によって互いに緊結してもよい。また、ストレッチャーSのフレームを挟持する第1締め金具と第2締め金具の形状は、半円断面の凹部を有するものに限定されない。
【0051】
第2実施形態の天面隔壁体53は、図8の平面図に示すように、アルミニウム製の角パイプで組み立てられた矩形の天面枠としてのフレーム14と、このフレーム14の内側に張られた可視光透過性の透明パネル15を有する。この天面隔壁体53は、フレーム14の一辺の両端部に形成された雌ネジに、柱部材52に挿通されたノブ付きボルト55のネジ軸部が螺合している。これにより、天面隔壁体53が、柱部材52の上端に揺動可能に連結されている。天面隔壁体53の柱部材52に対する傾斜角度は、ノブ付きボルト55による締結と共に、フレーム14と柱部材52との間に掛け渡した支持棒6によって保持される。支持棒6は、天面隔壁体53のフレーム14の柱部材52から遠い側の端部に、揺動自在に取り付けられている。この支持棒6の下端を、柱部材52に設けられた支持孔に挿入することにより、天面隔壁体53を柱部材52に対して所定の傾斜角度で保持するようになっている。ここで、柱部材52の高さ方向に複数の支持孔を設け、支持棒6の下端を挿入する支持孔を選択することにより、柱部材52に対する天面隔壁体53の傾斜角度を変更可能に保持してもよい。この天面隔壁体53の柱部材52に対する傾斜角度は、寝台用感染防止装置51がストレッチャーSに設置されて使用される場合において、70°~100°の間で変更可能であるのが好ましい。
【0052】
天面隔壁体53の柱部材52から遠い側の先端部には、フレーム14の角部の内側に沿うように、第1実施形態と同様の換気ユニット4が固定されている。また、天面隔壁体53のフレーム14の各辺には、この天面隔壁体53の縁に遮蔽シート5を着脱可能に取り付けるために、第1実施形態と同様のシート取付具16が設けられている。
【0053】
天面隔壁体53には、第1実施形態と同様に、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂で形成された遮蔽シート5が取り付けられている。遮蔽シート5は、天面隔壁体53の4つの辺のうち、平面視において患者の頭部の両側の2辺と、頭頂側の1辺に短冊シート9が用いられている。一方、天面隔壁体53の4つの辺のうち、患者の胴体側の一辺に、単一シート8が用いられている。ここで、短冊シート9の配置位置は、患者の頭部の両側と頭頂側のうち、いずれか一方でもよく、また、患者の胴体側に配置してもよい。遮蔽シート5を形成する単一シート8と短冊シート9は、実施する処置や必要とされる気密性に応じて適宜配置することができる。
【0054】
第2実施形態の寝台用感染防止装置51は、次のようにして使用する。まず、寝台用感染防止装置51の設置を予定するストレッチャーSのフレームに、事前に2つの固定部10を固定する。このストレッチャーSに、感染症に罹患した患者を載置し、この患者からの感染症の拡大を防止する必要が生じたとき、ストレッチャーSへの寝台用感染防止装置51の設置を行う。まず、予め固定された2つの固定部10の柱受け具11に、2つの柱部材52の下端を挿入し、ストレッチャーSのフレームに2つの柱部材52を連結する。次いで、柱部材52のノブ付きボルト55を緩め、天面隔壁体53を揺動させてストレッチャーS上の患者の頭の上方に配置する。この後、天面隔壁体53に接続された支持棒6の下端を柱部材52の支持孔に挿入し、天面隔壁体53を柱部材52に対して所定の角度に保持すると共に、ノブ付きボルト55を締結する。続いて、天面隔壁体53のシート取付具16を操作し、天面隔壁体53のフレーム14に遮蔽シート5を取り付ける。遮蔽シート5は、必要に応じて単一シート8と短冊シート9を用いて構成する。この後、換気ユニット4を起動し、天面隔壁体53と遮蔽シート5で囲まれた患者の頭部の周辺の空気を、送風機19で吸引してHEPAフィルタ18で清浄化して外部へ排出する。
【0055】
第2実施形態の寝台用感染防止装置51は、天面隔壁体53が柱部材52に対して揺動することにより、ストレッチャーS上の患者の頭部に対する距離が調節可能になっている。したがって、例えば、図9に示すように患者Kに気管挿管の処置を実施するとき、医療従事者が喉頭鏡や気管チューブを用いた作業を十分に実行可能な空間を、患者Kの頭部の周辺に確保することができる。すなわち、患者Kに対して行う処置に必要な空間を、天面隔壁体53の柱部材52に対する角度を調節することにより、適宜確保することができる。
【0056】
また、第2実施形態の寝台用感染防止装置51は、ストレッチャーS上の患者Kの頭部を取り囲む遮蔽シート5の少なくとも一部が短冊シート9であるので、図9に示すように、短冊シート9のシート片の間から医療従事者が手と器具を通して患者Kに処置を行うことができる。したがって、患者Kに対して比較的高い自由度で処置を行うことができる。また、単一シート8と短冊シート9により、患者Kの頭部周辺の空気の漏出を、一定程度防止することができる。
【0057】
また、第2実施形態の寝台用感染防止装置51は、患者Kの頭部を取り囲む遮蔽シート5が、シート取付具16によって着脱可能に天面隔壁体53に取り付けられているので、患者Kの処置等の過程で遮蔽シート5が汚染した場合、汚染した範囲の単一シート8や短冊シート9を容易に交換でき、迅速に掃除を行うことができる。また、天面隔壁体53に可視光透過性の透明パネル15を用いているので、透明パネル15を通して患者Kの様子を明確に確認することができる。また、透明パネル15が汚染しても、容易に汚染物を拭き取って清浄にすることができる。
【0058】
また、第2実施形態の寝台用感染防止装置51は、天面隔壁体53が柱部材52に対して揺動可能に形成されているので、天面隔壁体53を柱部材52に対して概ね平行に畳むことにより、寝台用感染防止装置51をコンパクトにできる。したがって、寝台用感染防止装置51を使用しないときに、嵩張ることなく、比較的小さい収納場所に収納することができる。
【0059】
上記第2実施形態において、遮蔽シート5の短冊シート9の隙間を通して医療従事者が患者Kの処置を行ったが、遮蔽シート5の少なくとも一部の形状は短冊状に限定されない。遮蔽シートは、可撓性を有して変形可能であれば、遮蔽シートを変形させることで患者Kの頭部側に手や器具を入れて処置を行うことができる。
【0060】
また、上記第2実施形態において、柱部材52を固定部10によってストレッチャーSに連結したが、固定部10を用いずに、柱部材52の下端をストレッチャーSのフレームに設けた支持穴に挿入してストレッチャーSに連結してもよい。
【0061】
また、上記第2実施形態において、固定部10は、柱部材52を受ける柱受け具11を貫通した角パイプで形成し、この柱受け具11に柱部材52を延在方向にスライド可能に内嵌すると共に、柱部材52を所望の長さ方向位置で固定可能に形成してもよい。これにより、柱部材52の上端に連結された天面隔壁体53の患者の頭部に対する距離を、処置に応じて変更可能にしてもよい。
【0062】
また、上記第1及び第2実施形態において、シート取付具16は、永久磁石23と被吸着プレート22との間で作用する磁力により、フレーム14と接続シート20の間に遮蔽シート5を挟んで固定したが、シート取付具は、遮蔽シート5をフレーム14に離脱可能に固定する面ファスナーで構成してもよい。また、シート取付具は、バネの付勢力で遮蔽シート5を離脱可能にフレーム14に固定するクリップで構成してもよい。
【0063】
また、上記第1及び第2実施形態において、天面隔壁体3の縁に遮蔽シート5をシート取付具16で着脱可能に取り付けたが、接着剤で遮蔽シート5を天面隔壁体3の縁に取り付けてもよい。この場合、天面隔壁体3のフレーム14と遮蔽シート5のいずれか一方又は両方に、接着剤を塗布したものを用いればよい。また、テープに接着剤が予め塗布された接着テープを用いて、遮蔽シート5を天面隔壁体3に着脱可能に取り付けてもよい。接着テープとしては、テープの片面に接着剤が塗布された片面テープと、両面に接着剤が塗布された両面テープのいずれを用いてもよい。
【0064】
また、上記第1及び第2実施形態において、換気ユニット4の送風機19は、充電式電池により電力を供給したが、電源タップ等の有線の電力線に接続して電力を供給してもよい。
【0065】
また、上記第1及び第2実施形態において、柱部材2,52と、固定部10と、天面隔壁体3,53のフレーム14は、アルミニウムで形成したが、他の金属や、プラスチックで形成してもよい。
【0066】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0067】
1,51 寝台用感染防止装置
2,52 柱部材
3,53 天面隔壁体
4 換気ユニット
5 遮蔽シート
6 支持棒
8 単一シート
9 短冊シート
10 固定部
11 柱受け具
12a 第1締め金具
12b 第2締め金具
13 ボルト
14 フレーム
15 透明パネル
16 シート取付具
17 接続金具
18 HEPAフィルタ
19 送風機
20 接続シート
21 固定プレート
22 被吸着プレート
23 永久磁石
55 ノブ付きボルト
K 患者
S ストレッチャー
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10