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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162072
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/50 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B66B1/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133183
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2020187046の分割
【原出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 晋治
(57)【要約】
【課題】 かご操作部に対する誤操作を抑制することができるエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータは、かごと、かごを動作させるために非接触の操作がされ、当該操作を検出する複数のかご操作部と、かご操作部が検出した操作に基づいて、かごを動作させる処理装置と、かご操作部への操作を有効とするために非接触の操作がされ、当該操作を検出する有効操作部と、を備え、処理装置は、有効操作部が操作を検出した場合に、複数のかご操作部に対する操作を有効にする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごと、
前記かごを動作させるために非接触の操作がされ、当該操作を検出する複数のかご操作部と、
前記かご操作部が検出した操作に基づいて、前記かごを動作させる処理装置と、
前記かご操作部への操作を有効とするために非接触の操作がされ、当該操作を検出する有効操作部と、を備え、
前記処理装置は、前記有効操作部が操作を検出した場合に、前記複数のかご操作部に対する操作を有効にする、エレベータ。
【請求項2】
前記かごは、開閉動作するかご戸を備え、
前記複数のかご操作部は、前記かご戸の開動作をするために非接触の操作がされ、当該操作を検出する戸開操作部を含み、
前記処理装置は、前記有効操作部に対する操作の検出の有無に関わらず、前記戸開操作部に対する操作を有効にする、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記処理装置は、前記複数のかご操作部及び前記有効操作部のうち、前記有効操作部のみが操作を検出した場合に、前記複数のかご操作部に対する操作を有効にする、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記複数のかご操作部は、前記かごの行先階を登録するために非接触の操作がされ、当該操作を検出する複数の行先階操作部を含み、
前記処理装置は、前記かご操作部に対する操作が有効である有効時間を演算する演算部を備え、
前記演算部は、前記有効時間が存在し且つ前記行先階操作部が操作を検出した場合に、前記有効時間を延ばす、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記かご操作部を有する操作盤を備え、
前記操作盤は、前記かごを動作させるために、接触の操作がされる操作釦と、前記操作釦を操作することによるかごの動作内容を点字で表示する点字部と、を備える、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータは、かごと、かごを動作させるために非接触の操作がされ、当該操作を検出する複数のかご操作部と、かご操作部が検出した操作に基づいて、かごを動作させる処理装置とを備えている(例えば、特許文献1~3)。ところで、かご操作部が非接触の操作を検出するため、かご操作部に対する誤操作(例えば、意図していない人の動作)であっても、かご操作部で検出されることがある。これにより、例えば、意図しないかごの動作を行ってしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-263378号公報
【特許文献2】特開2013-124166号公報
【特許文献3】特開2015-151253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、かご操作部に対する誤操作を抑制することができるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータは、かごと、前記かごを動作させるために非接触の操作がされ、当該操作を検出する複数のかご操作部と、前記かご操作部が検出した操作に基づいて、前記かごを動作させる処理装置と、前記かご操作部への操作を有効とするために非接触の操作がされ、当該操作を検出する有効操作部と、を備え、前記処理装置は、前記有効操作部が操作を検出した場合に、前記複数のかご操作部に対する操作を有効にする。
【0006】
また、エレベータにおいては、前記かごは、開閉動作するかご戸を備え、前記複数のかご操作部は、前記かご戸の開動作をするために非接触の操作がされ、当該操作を検出する戸開操作部を含み、前記処理装置は、前記有効操作部に対する操作の検出の有無に関わらず、前記戸開操作部に対する操作を有効にする、という構成でもよい。
【0007】
また、エレベータにおいては、前記処理装置は、前記複数のかご操作部及び前記有効操作部のうち、前記有効操作部のみが操作を検出した場合に、前記複数のかご操作部に対する操作を有効にする、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータにおいては、前記複数のかご操作部は、前記かごの行先階を登録するために非接触の操作がされ、当該操作を検出する複数の行先階操作部を含み、前記処理装置は、前記かご操作部に対する操作が有効である有効時間を演算する演算部を備え、前記演算部は、前記有効時間が存在し且つ前記行先階操作部が操作を検出した場合に、前記有効時間を延ばす、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータは、前記かご操作部を有する操作盤を備え、前記操作盤は、前記かごを動作させるために、接触の操作がされる操作釦と、前記操作釦を操作することによるかごの動作内容を点字で表示する点字部と、を備える、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係るエレベータの概要図である。
図2図2は、同実施形態に係るエレベータかごの概要図である。
図3図3は、同実施形態に係るかご操作盤の概要図である。
図4図4は、図3のIV-IV線の拡大断面図である。
図5図5は、図3のV-V線の拡大断面図である。
図6図6は、同実施形態に係るエレベータの制御ブロック図である。
図7図7は、同実施形態に係るエレベータの制御フロー図である。
図8図8は、他の実施形態に係る乗場操作盤の概要図である。
図9図9は、さらに他の実施形態に係るかご操作盤の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、エレベータにおける一実施形態について、図1図7を参照しながら説明する。なお、各図(図8及び図9も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0012】
図1に示すように、エレベータ1は、例えば、ユーザが乗るためのかご2と、かご2に接続されるロープ1aと、ロープ1aに接続される釣合錘1bと、ロープ1aを駆動してかご2を昇降させる巻上機1cと、エレベータ1を制御する処理装置3とを備えている。また、エレベータ1は、例えば、かご2を案内するかごレール1dと、釣合錘1bを案内する錘レール1eとを備えている。
【0013】
本実施形態に係るエレベータ1は、巻上機1cを、昇降路X1の上部に設けられる機械室X2の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、巻上機1cを昇降路X1の内部に配置する、という構成でもよい。なお、巻上機1cは、例えば、ロープ1aが巻き掛けられる綱車1fと、綱車1fを回転させる駆動源(図示及び採番していない)とを備えていてもよい。
【0014】
また、本実施形態においては、ロープ1aの一端部がかご2に固定され、ロープ1aの他端部が釣合錘1bに固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、ロープ1aの両端部がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、ロープ1aがかご2のシーブ及び釣合錘1bのシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、ロープ1aがかご2及び釣合錘1bにそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0015】
また、本実施形態に係るエレベータ1は、ロープ式の駆動方式である、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、油圧式の駆動方式である、という構成でもよく、また、リニアモータ式の駆動方式である、という構成でもよい。
【0016】
エレベータ1は、例えば、昇降路X1と乗場X3とを連通する出入口を開閉する乗場戸1gを備えており、かご2は、例えば、開閉動作するかご戸2aと、かご戸2aを開閉させる戸駆動部2bとを備えている。そして、かご戸2aが戸駆動部2bによって開閉されることにより、かご2が停止している乗場X3の乗場戸1gも、かご戸2aと連動して開閉される。
【0017】
また、エレベータ1は、例えば、乗場X3に、かご2を動作(例えば、かご2の昇降動作、かご戸2aの開閉動作)させるために操作される乗場操作盤4を備えている。そして、図2に示すように、かご2は、例えば、かご戸2aに開閉される開口を有する箱状のかご本体2cと、かご2の状態を表示するかご内表示部2dと、かご2を動作させるために操作されるかご操作盤5とを備えている。なお、かご内表示部2d及びかご操作盤5は、例えば、かご本体2cの内部に配置されている。
【0018】
図3に示すように、かご操作盤5は、かご2を動作させるために、接触の操作がされる操作釦5a~5cと、操作釦5a~5cを操作することによるかご2の動作内容を点字で表示する点字部5dとを備えている。また、かご操作盤5は、かご2を動作させるために非接触の操作がされるかご操作部6,7,8と、かご操作部6,7,8への操作を有効とするために非接触の操作がされる有効操作部9とを備えている。
【0019】
操作釦5a~5cは、例えば、本実施形態のように、かご2の行先階を登録するために接触の操作がされる行先階釦5aと、かご戸2aの開動作をするために接触の操作がされる戸開釦5bと、かご戸2aの閉動作をするために接触の操作がされる戸閉釦5cとを含んでいてもよい。なお、一般的に、操作釦5a~5cは、接触式ボタンと呼ばれる。
【0020】
かご操作部6,7,8は、例えば、本実施形態のように、かご2の行先階を登録するために非接触の操作がされる行先階操作部6と、かご戸2aの開動作をするために非接触の操作がされる戸開操作部7と、かご戸2aの閉動作をするために非接触の操作がされる戸閉操作部8とを含んでいてもよい。なお、一般的に、かご操作部6,7,8及び有効操作部9は、非接触式ボタンと呼ばれる。
【0021】
そして、本実施形態においては、操作釦5a~5c及びかご操作部6,7,8は、一体化された構成、即ち、接触式ボタンと非接触ボタンとが一体化された構成となっている。具体的には、行先階釦5aと行先階操作部6とが一体化された構成であり、戸開釦5bと戸開操作部7とが一体化された構成であり、戸閉釦5cと戸閉操作部8とが一体化された構成である。
【0022】
なお、有効操作部9の位置は、特に限定されないが、有効操作部9は、例えば、本実施形態のように、操作釦5a~5c、点字部5d及びかご操作部6,7,8よりも、上方に配置されていてもよい。また、有効操作部9は、例えば、かご操作盤5から離れて配置されていてもよい。具体的には、有効操作部9は、例えば、かご操作盤5とかご内表示部2d(図2参照)との間に配置されていてもよい。また、有効操作部9は、例えば、かご2の内部の角部に配置されていてもよい。
【0023】
図3及び図4に示すように、かご操作盤5は、例えば、パネル5eと、操作釦5a~5cをパネル5eに対して可動に保持させる保持部5fとを備えていてもよい。なお、図4は、行先階釦5a及び行先階操作部6の構成を図示しているが、戸開釦5b及び戸開操作部7の構成と、戸閉釦5c及び戸閉操作部8の構成とは、例えば、本実施形態のように、行先階釦5a及び行先階操作部6の構成と同じであってもよい。
【0024】
かご操作盤5は、例えば、操作釦5a~5cに力を加える加力部5gと、操作釦5a~5cに接触の操作がされたことを検出する釦検出部5hと、操作に基づいてかご2が動作することを出力する操作出力部5iとを備えていてもよい。特に限定されないが、加力部5gは、例えば、バネ、ゴム等の弾性材としてもよく、釦検出部5hは、例えば、接触センサ、近接センサ等のセンサとしてもよく、操作出力部5iは、例えば、LED、ランプ等の光源としてもよい。
【0025】
そして、例えば、操作釦5a~5cが操作され(押され)、釦検出部5hが操作釦5a~5cに対する操作を検出することによって、かご2は、動作する。具体的には、釦検出部5hが行先階釦5aに対する操作を検出し、行先階が登録されることによって、かご2は、昇降し、また、釦検出部5hが戸開釦5b又は戸閉釦5cに対する操作を検出することによって、かご戸2aは、開閉動作する。
【0026】
また、かご操作部6,7,8は、例えば、かご操作部6,7,8に対する非接触の操作を検出する操作検出部6a,7a,8a(操作検出部7a,8aについては、図6参照)と、非接触の操作をすべき位置及び当該操作によるかご2の動作内容を表示する操作表示部6b,7b,8b(操作表示部7b,8bについては、図示していない)とを備えていてもよい。
【0027】
特に限定されないが、操作検出部6a,7a,8aは、例えば、光電センサ、感熱センサ等のセンサとしてもよい。また、特に限定されないが、操作表示部6b,7b,8bは、例えば、本実施形態のように、操作釦5a~5cの表面としてもよい。
【0028】
そして、例えば、かご操作部6,7,8に非接触の操作がされ(手が近づけられ)、操作検出部6a,7a,8aがかご操作部6,7,8に対する操作を検出することによって、かご2は、動作する。具体的には、操作検出部6aが行先階操作部6に対する操作を検出し、行先階が登録されることによって、かご2は、昇降し、また、操作検出部7a,8aが戸開操作部7又は戸閉操作部8に対する操作を検出することによって、かご戸2aは、開閉動作する。
【0029】
なお、例えば、行先階釦5a又は行先階操作部6に対する操作によって、行先階が登録されているときに、操作出力部5iは、出力してもよい。また、例えば、戸開釦5b、戸閉釦5c、戸開操作部7、又は戸閉操作部8に対する操作によって、かご戸2aが開閉動作しているときに、操作出力部5iは、出力してもよい。
【0030】
また、図3及び図5に示すように、有効操作部9は、例えば、有効操作部9に対する非接触の操作を検出する操作検出部9aと、非接触の操作をすべき位置及び当該操作によりかご操作部6,8が有効になることを表示する操作表示部9bとを備えていてもよい。特に限定されないが、操作検出部9aは、例えば、光電センサ、感熱センサ等のセンサとしてもよく、操作表示部9bは、例えば、パネル5eに不動に固定されるボタン9cの表面としてもよい。
【0031】
そして、有効操作部9は、例えば、本実施形態のように、かご操作部6,8に対する操作が有効であることを出力する操作出力部9dを備えていてもよい。特に限定されないが、操作出力部9dは、例えば、LED、ランプ等の光源としてもよい。なお、操作出力部9dは、かご内表示部2dとしてもよく、かご操作部6,8に対する操作が有効であるときに、かご内表示部2dは、かご操作部6,8に対する操作が有効であることを出力(表示)してもよい。
【0032】
図6に示すように、処理装置3は、例えば、本実施形態のように、各データを取得する取得部31と、各データを記憶する記憶部32と、各データを演算する演算部33と、エレベータ1を制御する制御部34とを備えていてもよい。処理装置3は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。
【0033】
例えば、1つのコンピュータにおけるプロセッサ、即ち、1つのプロセッサが処理を実行することによって、処理装置3の各部33,34が実現されている、という構成でもよい。具体的には、例えば、処理装置3の各部31,32,33,34は、一つの装置に備えられている、という構成でもよい。
【0034】
また、例えば、複数のコンピュータにおけるプロセッサ、即ち、複数のプロセッサが分散して処理を実行することによって、処理装置3の各部33,34が実現されている、という構成でもよい。具体的には、例えば、処理装置3の各部31,32,33,34は、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられている、という構成でもよい。
【0035】
なお、処理装置3は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部33、制御部34)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部31、記憶部32)、各種インターフェイス(例えば、取得部31)等を備えるコンピュータである。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、処理装置3の各部33,34が実現されている。
【0036】
演算部33は、例えば、本実施形態のように、かご操作部6,7,8及び有効操作部9に対する操作を判定する操作判定部33aと、かご操作部6,8に対する操作が有効である時間(有効時間)を演算する有効時間演算部33bとを備えていてもよい。
【0037】
制御部34は、例えば、本実施形態のように、巻上機1cを制御することによって、かご2の走行を制御するかご制御部34aと、戸駆動部2bを制御することによって、かご戸2aの開閉動作を制御する戸制御部34bと、操作出力部5i,9dの出力を制御する操作出力制御部34cとを備えていてもよい。
【0038】
なお、記憶部32は、例えば、演算部33の演算するタイミングに関わらず、データを連続して記憶しいる、という構成でもよい。また、例えば、記憶部32は、演算部33がデータを演算するときに、一時的にデータを記憶し、演算が終了することによって、当該データを消去する、という構成でもよい。
【0039】
本実施形態に係るエレベータ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るエレベータ1の制御について、図6及び図7を参照しながら説明する。
【0040】
まず、有効操作部9に対する操作が検出された場合に(S1,S2)、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作は、有効になる(S3)。即ち、有効操作部9に対して操作されるまで、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作が検出された場合でも、操作判定部33aは、当該操作を無効と判定する。
【0041】
これにより、有効操作部9に対して操作されない限り、操作判定部33aは、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作を無効と判定する。例えば、かご操作盤5の近くに立った人の意図していない動作、操作釦5a~5cを押す動作、点字部5dを触る動作等によって、行先階操作部6及び戸閉操作部8の操作検出部6a,8aが操作を検出した場合でも、操作判定部33aは、当該操作を無効と判定する。したがって、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する誤操作を抑制することができる。
【0042】
なお、かご操作部6,7,8に対する操作が検出されず且つ有効操作部9に対する操作のみが検出され(S1の「Y」)、当該状態が設定時間(例えば、0.3秒~0.5秒)を継続することによって(S2の「Y」)、操作判定部33aは、有効操作部9に対する有効操作(適正操作)として判定する。それに伴って、操作判定部33aは、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作を有効と判定する(S3)。
【0043】
これにより、有効操作部9だけでなくかご操作部6,7,8に対する操作も検出した場合(S1の「N」)や、有効操作部9に対する操作が設定時間だけ継続しなかった場合(S2の「N」)には、操作判定部33aは、有効操作部9に対する無効操作(誤操作)と判定する。したがって、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作が無効で維持されるため、有効操作部9に対する誤操作によって行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作が有効になることを抑制することができる。
【0044】
そして、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作が有効になった場合には、有効時間演算部33bは、当該操作の有効時間を初期値(例えば、3~5秒)に設定する(S4)。その後、有効時間演算部33bが有効時間を減算し(S5)、有効時間がセロになった場合に(S6の「Y」)、操作判定部33aは、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作を無効と判定する(S7)。
【0045】
なお、1つの行先階操作部6に対する操作のみが検出され(S8の「Y」)、当該状態が設定時間(例えば、0.3~0.5秒)を継続することによって(S9の「Y」)、当該行先階操作部6の行先階が登録される(S10)。それに伴って、有効時間演算部33bは、有効時間を加算値(例えば、2秒~4秒)だけ加算する(S11)。
【0046】
これにより、有効時間が存在し(S6の「N」)、且つ、行先階操作部6が操作を検出して行先階が登録された場合に(S10)、有効時間は、延ばされる。したがって、有効操作部9に対して再度操作することなく、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対する操作を続けて行うことができる。
【0047】
例えば、異なる行先階を登録するために、異なる行先階操作部6に対して操作したり、行先階の登録をキャンセルするために、登録された行先階の行先階操作部6に対して操作したり、かご戸2aを閉じるために、戸閉操作部8に対して操作したりすることができる。
【0048】
このように、必要に応じて有効時間が延びるため、行先階操作部6及び戸閉操作部8に対して連続した操作を円滑に行うことができる。なお、有効時間演算部33bは、有効時間を加算値だけ加算する(S11)のではなく、例えば、有効時間を初期値に戻す(S4)ことによって、有効時間を延ばしてもよい。
【0049】
ところで、例えば、人がかご2に対して安全に乗り降りするために、かご戸2aの開動作を行う場合があり、しかも、急を要する場合がある。そこで、操作判定部33aは、有効操作部9に対する操作の検出の有無に関わらず、即ち、有効時間の有無に関わらず、戸開操作部7に対する操作を有効と判定する。これにより、戸開操作部7に対する操作によって、かご戸2aの開動作を円滑に行うことができる。
【0050】
なお、行先階操作部6及び有効操作部9だけでなく、戸開操作部7及び戸閉操作部8についても、複数のかご操作部6,7,8及び有効操作部9のうち、一つのみの操作部6,7,8,9に対する操作が検出され(例えば、S1の「Y」、S8の「Y」)、当該状態が設定時間(例えば、0.3~0.5秒)を継続することによって(例えば、S2「Y」、S9の「Y」)、操作判定部33aは、当該操作を有効操作と判定してもよい。
【0051】
即ち、複数の操作部6,7,8,9に対する操作が検出された場合や(例えば、S1の「N」、S8の「N」)、一つのみの操作部6,7,8,9に対する操作の検出が設定時間だけ継続しなかった場合には(例えば、S2の「N」、S9の「N」)、操作判定部33aは、当該操作を無効操作と判定してもよい。これにより、操作部6,7,8,9に対する適正操作と誤操作とを正確に判定することができる。
【0052】
なお、例えば、戸開操作部7の設定時間(例えば、0.2秒~0.3秒)は、他の操作部6,8,9の設定時間(例えば、0.3秒~0.5秒)よりも、短くてもよい。また、例えば、戸開操作部7のみについては、他の操作部6,8,9に対する操作が検出されていても、戸開操作部7に対する操作の検出が設定時間だけ継続した場合に、操作判定部33aは、当該操作を戸開操作部7に対する有効操作と判定してもよい。
【0053】
以上より、本実施形態のように、エレベータ1は、かご2と、前記かご2を動作させるために非接触の操作がされ、当該操作を検出する複数のかご操作部6,7,8と、前記かご操作部6,7,8が検出した操作に基づいて、前記かご2を動作させる処理装置3と、前記かご操作部6,8への操作を有効とするために非接触の操作がされ、当該操作を検出する有効操作部9と、を備え、前記処理装置3は、前記有効操作部9が操作を検出した場合に、前記複数のかご操作部6,8に対する操作を有効にする、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、かご操作部6,8への操作を有効とするために、有効操作部9に、非接触の操作がされる。そして、有効操作部9に対する操作が検出された場合に、複数のかご操作部6,8に対する操作が有効になる。これにより、かご操作部6,8に対する誤操作を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記かご2は、開閉動作するかご戸2aを備え、前記複数のかご操作部6,7,8は、前記かご戸2aの開動作をするために非接触の操作がされ、当該操作を検出する戸開操作部7を含み、前記処理装置3は、前記有効操作部9に対する操作の検出の有無に関わらず、前記戸開操作部7に対する操作を有効にする、という構成が好ましい。
【0056】
斯かる構成によれば、有効操作部9に対する操作の検出の有無に関わらず、戸開操作部7に対する操作が有効である。これにより、有効操作部9に対して操作をすることなく、戸開操作部7に、非接触の操作がされることによって、かご戸2aの開動作がされる。したがって、かご戸2aの開動作を円滑に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記処理装置3は、前記複数のかご操作部6,7,8及び前記有効操作部9のうち、前記有効操作部9のみが操作を検出した場合に、前記複数のかご操作部6,8に対する操作を有効にする、という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、複数のかご操作部6,7,8及び有効操作部9のうち、有効操作部9のみが操作を検出した場合に、かご操作部6,8に対する操作が有効になるため、有効操作部9に対する誤操作によってかご操作部6,8に対する操作が有効になることを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記複数のかご操作部6,7,8は、前記かご2の行先階を登録するために非接触の操作がされ、当該操作を検出する複数の行先階操作部6を含み、前記処理装置3は、前記かご操作部6,8に対する操作が有効である有効時間を演算する演算部33を備え、前記演算部33は、前記有効時間が存在し且つ前記行先階操作部6が操作を検出した場合に、前記有効時間を延ばす、という構成が好ましい。
【0060】
斯かる構成によれば、かご操作部6,8に対する操作が有効である有効時間が、存在し、且つ、行先階操作部6が操作を検出した場合に、有効時間は、延ばされる。これにより、必要に応じて有効時間が延びるため、かご操作部6,8に対して連続した操作を円滑に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態のように、エレベータ1は、前記かご操作部6,7,8を有する操作盤5を備え、前記操作盤5は、前記かご2を動作させるために、接触の操作がされる操作釦5a~5cと、前記操作釦5a~5cを操作することによるかご2の動作内容を点字で表示する点字部5dと、を備える、という構成が好ましい。
【0062】
斯かる構成によれば、操作盤5は、接触の操作がされる操作釦5a~5c及び点字部5dと、非接触の操作がされるかご操作部6,7,8とを備えている。そして、操作釦5a~5c及び点字部5dが接触される場合でも、かご操作部6,8に対する誤操作を抑制することができる。
【0063】
なお、エレベータ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0064】
(1)上記実施形態に係るエレベータ1においては、かご操作部6,7,8は、かご操作盤5に配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図8に示すように、かご操作部10,11は、乗場操作盤4に配置されている、という構成でもよい。図8に係る乗場操作盤4の構成について、以下に説明する。
【0065】
乗場操作盤4は、例えば、かご2を動作させるために、接触の操作がされる操作釦4a,4bと、操作釦4a,4bを操作することによるかご2の動作内容を点字で表示する点字部4cとを備えていてもよい。そして、乗場操作盤4は、かご2を動作させるために非接触の操作がされるかご操作部10,11と、かご操作部10,11への操作を有効とするために非接触の操作がされる有効操作部9とを備えている。なお、有効操作部9は、乗場操作盤4から離れて配置されていてもよい。
【0066】
操作釦4a,4bは、例えば、上方へ移動するかご2を呼び出すために接触の操作がされる上呼出釦4aと、下方へ移動するかご2を呼び出すために接触の操作がされる下呼出釦4bとを含んでいてもよい。かご操作部10,11は、例えば、上方へ移動するかご2を呼び出すために非接触の操作がされる上呼出操作部10と、下方へ移動するかご2を呼び出すために非接触の操作がされる下呼出操作部11とを含んでいてもよい。
【0067】
なお、図8に示すように、上呼出釦4aと上呼出操作部10とが一体化された構成であり、下呼出釦4bと下呼出開操作部11とが一体化された構成である、という構成でもよい。そして、乗場操作盤4は、操作釦4a,4bに接触の操作がされたことを検出する釦検出部4dを備え、かご操作部10,11は、かご操作部10,11に対する非接触の操作を検出する操作検出部10a,11aを備えている、という構成でもよい。
【0068】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、操作釦5a~5c及びかご操作部6,7,8は、一体化された構成、即ち、接触式ボタンと非接触ボタンとが一体化された構成である、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図9に示すように、、操作釦5aとかご操作部6とは、離れて配置される、即ち、別体化された構成である、という構成でもよい。
【0069】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、操作盤5は、操作釦5a~5c及び点字部5dを備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、操作盤5は、点字部5dを備えていない、という構成でもよい。また、例えば、操作盤5は、操作釦5a~5c及び点字部5dを備えていない、という構成でもよい。
【0070】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、演算部33(操作判定部33a)は、有効操作部9が操作を検出した場合に、複数のかご操作部6,8に対する操作を有効と判定する、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0071】
例えば、有効操作部9が操作を検出した場合に、かご操作部6,8に対する操作が検出可能となる(操作検出部6a,8aに電力が供給される)、という構成でもよい。また、例えば、有効操作部9が操作を検出した場合に、かご操作部6,8に対する操作の検出が処理装置3に入力可能となる(操作検出部6a,8aと処理装置3とが電気的に接続される)、という構成でもよい。
【0072】
(5)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、処理装置3は、有効操作部9に対する操作の検出の有無に関わらず、戸開操作部7に対する操作を有効にする、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置3は、行先階操作部6及び戸閉操作部8と同様に、有効操作部9が操作を検出した場合に、戸開操作部7に対する操作を有効にする、という構成でもよい。
【0073】
(6)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、処理装置3は、複数のかご操作部6,7,8及び有効操作部9のうち、有効操作部9のみが操作を検出した場合に、複数のかご操作部6,8に対する操作を有効にする、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置3は、複数のかご操作部6,7,8に対する操作の検出の有無に関わらず、有効操作部9が操作を検出した場合に、複数のかご操作部6,8に対する操作を有効にする、という構成でもよい。
【0074】
(7)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、演算部33は、有効時間が存在し且つ行先階操作部6が操作を検出した場合に、有効時間を延ばす、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、演算部33は、有効時間を延ばすことはない、という構成でもよい。
【0075】
(8)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、複数のかご操作部6,7,8及び有効操作部9のうち、一つのみの操作部6,7,8,9に対する操作が検出され、当該状態が設定時間を継続することによって、当該操作が有効操作として判定される、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、他の操作部6,7,8,9に対する操作の検出の有無に関わらず、所定の操作部6,7,8,9が操作を設定時間だけ継続して検出した場合に、当該操作が所定の操作部6,7,8,9に対する有効操作として判定される、という構成でもよい。
【0076】
(9)また、エレベータ1においては、かご操作部6,8に対する操作が有効になった場合に、有効時間演算部33bが設定する有効時間の初期値は、例えば、かご2の内部の荷重に応じて変化させてもよい。具体的には、エレベータ1は、かご2の内部の荷重を検出する荷重検出部を備え、有効時間の初期値は、かご2の内部の荷重が大きいほど、長く設定される、という構成でもよい。これにより、かご2の内部に多くの人が乗っている場合に、有効時間を長く設定することができる。したがって、例えば、かご操作部6,8に対する操作を円滑に行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
1…エレベータ、1a…ロープ、1b…釣合錘、1c…巻上機、1d…かごレール、1e…錘レール、1f…綱車、1g…乗場戸、2…かご、2a…かご戸、2b…戸駆動部、2c…かご本体、2d…かご内表示部、3…処理装置、4…乗場操作盤、4a…上呼出釦(操作釦)、4b…下呼出釦(操作釦)、4c…点字部、4d…釦検出部、5…かご操作盤、5a…行先階釦(操作釦)、5b…戸開釦(操作釦)、5c…戸閉釦(操作釦)、5d…点字部、5e…パネル、5f…保持部、5g…加力部、5h…釦検出部、5i…操作出力部、6…行先階操作部(かご操作部)、6a…操作検出部、6b…操作表示部、7…戸開操作部(かご操作部)、7a…操作検出部、7b…操作表示部、8…戸閉操作部(かご操作部)、8a…操作検出部、8b…操作表示部、9…有効操作部、9a…操作検出部、9b…操作表示部、9c…ボタン、9d…操作出力部、10…上呼出操作部(かご操作部)、10a…操作検出部、11…下呼出操作部(かご操作部)、11a…操作検出部、31…取得部、32…記憶部、33…演算部、33a…操作判定部、33b…有効時間演算部、34…制御部、34a…かご制御部、34b…戸制御部、34c…操作出力制御部、X1…昇降路、X2…機械室、X3…乗場
図1
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