(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162081
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】共有に係る産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法、管理装置、および管理装置で実行されるプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20221014BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133406
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2020168390の分割
【原出願日】2016-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】300010899
【氏名又は名称】NGB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 均
(57)【要約】
【課題】共有者同士が互いの意向を確認できる産業財産権の管理方法を提供する。
【解決手段】顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法であって、書誌データベースにアクセス可能な処理装置を使って、費用の支払期限日を取得する期限日取得工程と、支払期限日を顧客に通知し費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、共有に係る産業財産権について、各々の回答を、共有に係る産業財産権に関する全ての顧客に通知する回答通知工程とを実行させる管理方法が提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法であって、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有する管理装置に、
前記書誌データベースに基づいて、前記支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する全ての前記顧客に通知する回答通知工程と、
各々の前記回答が不一致であった場合に、支払い処理をする支払処理工程とを実行させる管理方法。
【請求項2】
前記回答通知工程において、前記顧客から回答を受領する度に、受領した前記回答を前記全ての顧客に通知する請求項1に記載の管理方法。
【請求項3】
前記回答通知工程において、二人目以降の回答を受領する度に、二人目以降の回答が一人目の回答と一致するかを判定し、不一致の場合に各々の前記回答を前記全ての顧客に通知する請求項1に記載の管理方法。
【請求項4】
前記回答通知工程において、全ての回答を受領した後に各々の回答が一致か不一致かを判定し、不一致の場合に各々の前記回答を前記全ての顧客に通知する請求項1に記載の管理方法。
【請求項5】
前記回答通知工程において、各々の前記回答を回答日時と共に通知する請求項1から4のいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項6】
前記回答通知工程において、前記顧客から回答を受領する度に、受領済みの全ての回答を前記全ての顧客に通知する請求項2に記載の管理方法。
【請求項7】
前記回答通知工程において、前記顧客から回答を受領する度に、回答を受領していない前記顧客からは回答を受領していない旨を前記全ての顧客に通知する請求項6に記載の管理方法。
【請求項8】
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払いを管理するための管理装置であって、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有し、
前記処理装置は、
前記書誌データベースに基づいて、前記費用の支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する前記全ての顧客に通知する回答通知工程と、
各々の前記回答が不一致であった場合に、支払い処理をする支払処理工程とを実行する管理装置。
【請求項9】
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払いを管理する管理装置で実行可能なプログラムであって、
前記管理装置は、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有し、
前記プログラムが実行されると、前記処理装置は
前記書誌データベースに基づいて、前記支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に
関する全ての前記顧客に通知する回答通知工程と、
各々の前記回答が不一致であった場合に、支払い処理をする支払処理工程とを実行する管理をするためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共有に係る産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法、管理装置、および管理装置で実行されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許、実用新案、意匠、商標などの産業財産権は、所定の期間毎に特許料や登録料を支払うことにより、権利が維持される。例えば、日本国の特許権については、特許権の設定の登録の日から一年毎に所定の費用を支払うことにより、特許権が維持される。米国の特許権については、特許権の設定の登録の日から3~3.5年後の間に1回目、7~7.5年後の間に2回目、11~11.5年後の間に3回目の費用の支払いをすることにより、特許権が維持される。
【0003】
このように、産業財産権の種別や、国などによって費用の支払期限日などがまちまちである。さらに法改正などにより費用の金額や支払期限日が変更されることもある。このため、権利者が費用の支払いを直接管理することは煩雑であるため、産業財産権の権利者は、費用の支払いの管理を専門の業者(以降、年金管理会社と呼ぶ)に依頼することがある。年金管理会社は、産業財産権の権利者(以降、顧客と呼ぶ)から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理している。年金管理会社は、費用の支払期限日を顧客に通知し、顧客からの費用支払いの要否の回答に応じて、費用を支払ったり支払わなかったりする(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二人(二社)以上の者が共同して所有している特許について、特許料などの支払いの要否を判断する際に、各々の共有者は、年金管理会社に各々の意向を直接連絡することが一般的である。この場合、共有者同士が直接互いの意向を把握しにくく、各々の意向を決定する際に他の共有者の意向を参考にしにくいため、不便であった。
【0006】
そこで、本発明は、共有に係る産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する方法において、共有者同士が互いの意向を確認できる管理方法、管理装置、および管理装置で実行されるプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法であって、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有する管理装置に、
前記書誌データベースに基づいて、前記費用の支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ前記費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する前記全ての顧客に通知する回答通知工程を実行させる管理方法が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払いを管理するための管理装置であって、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有し、
前記処理装置は、
前記書誌データベースに基づいて、前記費用の支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ前記費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する前記全ての顧客に通知する回答通知工程を実行する管理装置が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払いを管理する管理装置で実行可能なプログラムであって、
前記管理装置は、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置を有し、
前記プログラムが実行されると、前記処理装置は
前記書誌データベースに基づいて、前記費用の支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ前記費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する前記全ての顧客に通知する回答通知工程を実行するプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、共有に係る産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する方法において、共有者同士が互いの意向を確認できる管理方法、管理装置、および管理装置で実行されるプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る管理装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る管理方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る管理方法のフローチャートである。
【
図4】処理装置が顧客の端末に表示させる表示画面の例である。
【
図5】処理装置が顧客の端末に表示させる表示画面の例である。
【
図6】処理装置が顧客の端末に表示させる表示画面の例である。
【
図7】処理装置が顧客の端末に表示させる表示画面の例である。
【
図8】処理装置が顧客の端末に表示させる表示画面の例である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る管理方法のフローチャートである。
【
図10】本発明の第三実施形態に係る管理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照しつつ、本発明に係る実施形態の例について、以下詳細に説明する。
【0013】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る管理装置1を示すブロック図である。管理装置1は、顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払いを管理するための装置である。管理装置1は、年金管理会社が所有している。
図1に示すように、管理装置1は、複数の顧客の端末6とインターネットを介して接続されている。
【0014】
管理装置1は、書誌データベース2と、法令データベース3と、顧客データベース4と、処理装置5を備えている。処理装置5は、書誌データベース2、法令データベース3、顧客データベース4にアクセス可能に接続されている。
【0015】
書誌データベース2は、顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払い期限を算出するために必要な書誌事項を記憶している。例えば、書誌データベース2は、依頼された産業財産権毎に、国、権利の種別、出願番号、登録番号、出願日、登録日、更新日、権利者名、依頼者名、請求項の数などを記憶している。産業財産権が複数人の共有になっている場合には、書誌データベース2はそれぞれの権利者の持分割合も記憶している。顧客から新たな依頼がある度に、依頼された産業財産権の書誌事項が書誌データベース2に追加される。
【0016】
法令データベース3は、産業財産権を維持するために必要な費用の支払い期限を算出するための法令を記憶している。例えば、法令データベース3は、国ごとかつ権利の種別ごとに、起算日、年度の算出情報、費用の額の算出情報などを記憶している。
例えば、法令データベース3は、日本国の特許権について、起算日は特許権の設定の登録の日であり、起算日から1年毎に費用支払いの期限を迎え、
平成16年4月1日以降に審査請求をした出願について、
第1年から第3年までは、毎年2,100円に1請求項につき200円を加えた額、
第4年から第6年までは、毎年6,400円に1請求項につき500円を加えた額、
第7年から第9年までは、毎年19,300円に1請求項につき1,500円を加えた額、
第10年から第25年までは、毎年55,400円に1請求項につき4,300円を加えた額、といったことを記憶している。
【0017】
顧客データベース4は、顧客名、納品先、連絡先、担当者名などを記憶している。本実施形態においては、顧客データベース4は、顧客の端末のIPアドレスを記憶している。
【0018】
処理装置5は、書誌データベース2、法令データベース3、顧客データベース4にアクセス可能に接続されている。処理装置5は、ハードディスクやRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し、次に説明する管理方法を実行する。
【0019】
管理装置1は、書誌データベース2、法令データベース3、顧客データベース4を使って、依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払いを管理する。
図2および
図3は、本実施形態において管理装置1が処理装置5に実行させる管理方法のフローチャートである。
図4から
図8は、処理装置5が顧客の端末6に表示させる表示画面の例である。本実施形態において、管理装置1は、顧客の端末6に表示されるウェブブラウザ上に、
図4から
図8に示した画面などを表示させる。
【0020】
図2に示すように、まず、処理装置5は、step01として、書誌データベース2と法令データベース3に基づいて、費用の支払期限日を算出する(期限日取得工程)。例えば、処理装置5は、一月毎に期限日取得工程を実行する。処理装置5は、年金管理会社に依頼されている全ての産業財産権について、期限日取得工程を実行し、支払期限日が現在から所定期間前(例えば6か月先前)までに迎える全ての産業財産権を抽出する。なお、このような処理に代えて、月に一度、支払期限日が現在から所定期間内である産業財産権(例えば現在から5か月先から6か月先までの一月の間に支払期限日が属する産業財産権)を抽出する処理をしてもよい。
【0021】
次に、処理装置5は、step02として、支払期限日の所定期間前(例えば支払期限日が現在から6か月先)となった産業財産権について、支払期限日を顧客に通知し費用の支払いの要否を問い合わせる(期限日通知工程)。例えば、処理装置5は、顧客データベース4から顧客の連絡先(本例では顧客毎のIPアドレス)を参照し、顧客毎に支払期限日を通知し費用の支払いの要否を問い合わせる。
【0022】
図4から
図8は、管理装置1が顧客の端末6に表示させる表示画面の一例を示している。
図4の(a)、
図5の(a)、
図6の(a)、
図7の(a)、
図8の(a)は、顧客A向けの表示画面である。
図4の(b)、
図5の(b)、
図6の(b)、
図7の(b)、
図8の(b)は、顧客B向けの表示画面である。
図4の(c)、
図5の(c)、
図6の(c)、
図7の(c)、
図8の(c)は、顧客C向けの表示画面である。
図4の(d)は、顧客A向けのサブ画面の表示画面である。
図5の(d)は、顧客B向けのサブ画面の表示画面である。
図6の(d)は、顧客C向けのサブ画面の表示画面である。
図8の(d)は、顧客B向けのサブ画面の表示画面である。
【0023】
図4の(a)~(c)に示すように、処理装置5は、顧客毎に、顧客が所有する産業財産権のうち、支払期限日が現在から6か月先までの間にある産業財産権を顧客の端末6に表示させる。本実施形態においては、顧客A~Cの端末6に表示されるウェブブラウザ上に、
図4の(a)~(c)に示した画面を表示する。
【0024】
表示する項目は、図示したように、顧客の整理番号(貴社番号)、年金管理会社の整理番号(弊社番号)、国、権利の種別、登録番号、回答期限、最終期限、法定期限、年金額、負担額、共有であるか否か、共願人の相手(共願人1、共願人2)、支払要/不要の回答、回答日時、回答の一致/不一致、共有先回答などが挙げられる。
【0025】
法定期限とは、法令によって定められた特許庁への費用の支払い期限である。回答期限とは、顧客からの回答を促すために法定期限よりも前に設定する年金管理会社が顧客へ回答を希望する期限である。最終期限とは、年金管理会社が年金の支払いを確実に処理するために、法定期限よりも前でかつ回答期限よりも後に設定する期限である。
図4の(a)~(c)の例では、回答期限を法定期限の1月前、最終期限を法定期限の10日前に設定している。
【0026】
処理装置5は、顧客Aが単独で所有する産業財産権および顧客Aが共有者の一人である産業財産権についてのみ顧客Aの端末6に表示させ、顧客Aが所有していない産業財産権については顧客Aの端末6に表示させない。例えば、年金管理会社は、顧客毎にアカウントとパスワードを設定し、権限のない第三者には顧客の産業財産権の情報にアクセスできないようにされている。
【0027】
図4の(a)~(c)に示したように、本実施形態においては、弊社番号004が、顧客A,B,Cの共有に係る産業財産権である。また、弊社番号004について、顧客Aの持分が3/6、顧客Bの持分が2/6、顧客Cの持分が1/6であることが書誌データベース2に記憶されている。このため、処理装置5は、費用の負担分について、顧客Aが3万円のうちの1.5万円を負担し、顧客Bが3万円のうちの1万円を負担し、顧客Cが3万円のうちの0.5万円を負担することを表示している。
【0028】
次に、処理装置5は、step03として、顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する(回答受領工程)。処理装置5は、インターネットを通じて各々の顧客から、各々の産業財産権について、費用の支払いの要否の回答を受領する。
図4の(d)に示すように、例えば、顧客Aは「納付要」のボタンまたは「納付不要」のボタンを選択して押すことで、年金管理会社に回答を送信することができる。なお、
図4の(d)では、顧客A向けの画面のみを表示しているが、顧客B,Cの端末にも同様の画面を表示させる。
図4の(d)の画面は、例えば
図4の(a)の画面でユーザ(顧客Aの担当者)が貴社番号P45678の産業財産権を選択すると表示されるサブ画面とすることができる。
【0029】
図4の(a)に示したように、2016年5月9日時点で、管理装置1は、顧客Aの単独所有である弊社番号001~006について、顧客Aから回答を受領している。管理装置1は、顧客A,B,Cの共有に係る弊社番号004について、顧客Aからは支払不要の回答を受領し、顧客B,Cからは回答を受領していない。
【0030】
次に、処理装置5は、step04として、回答があった産業財産権が共有であるか否かを判定する。本実施形態では、顧客Aから回答があった弊社番号001~003,005,006が共有ではない(step04:No)。また、顧客Aから回答があった弊社番号004が共有である(step04:Yes)。
【0031】
step04がNoの場合(弊社番号001~003)、処理装置5は、顧客Aからの回答が支払要か支払不要かを判定する(step06)。
顧客Aからの回答が支払要の場合(弊社番号001,0003)、処理装置5は支払処理を実行する(step07)。例えば、年金管理会社は、特許庁へ必要な費用を支払い、支払いが完了したら処理装置5が支払完了通知を顧客Aへ通知する。
顧客Aからの回答が支払不要の場合(弊社番号002)、処理装置5は不払処理を実行する(step08)。例えば、処理装置5は、書誌データベース2から支払不要とされた産業財産権に支払不要フラグを立てて、その産業財産権を管理対象から除外する。
【0032】
step04がYesの場合(弊社番号004)、処理装置5は、その産業財産権について、各々の顧客からの回答を、共有に係る産業財産権に関する全ての顧客に通知する(step05(回答通知工程))。処理装置5は、弊社番号004について、顧客Aからの「支払不要」の回答を、弊社番号004を共有している顧客A,B,Cに通知する。処理装置5は、
図4の(a)~(c)に示したように、各々の顧客A,B,Cの端末6の画面上の「共有先回答」の欄に、顧客Aからの「不要」の回答を表示させる。
【0033】
このように、本実施形態に係る管理装置1は、回答通知工程を実行する。このため、顧客B,Cにとっては、自身が回答するより先に他の共有者Aの意向を知ることができるので、自身の回答を検討する際に他の共有者Aの意向を参考にすることができる。また、顧客Aにとっても、自身の意向を他の共有者B,Cに示すことができるので、共有者B,Cの意向に影響を及ぼすことができる。さらに、年金管理会社にとっても、顧客Aの意向を顧客B,Cに示すことができるので、顧客B,Cからの回答を促すことができ、回答期限内に回答を回収しやすくなる。
【0034】
<回答通知処理の詳細>
本実施形態に係る管理装置1はさらに、
図3に示す処理を続行することができる。
図3は、
図2におけるstep04がYesの場合以降の処理を示すフローチャートである。
図2における回答通知処理(step05)は、
図3においてstep10~step15の一連の処理に該当する。
【0035】
図3に示したように、共有に係る産業財産権であった場合に(弊社番号004)、処理装置5は、2016年5月9日時点で、まず顧客Aから「支払不要」の回答を受領したとする(step10)。すると、
図4に示したように、処理装置5は、顧客Aの回答を顧客A,B,Cに通知し(step11)、顧客B,Cは未回答であることを通知する。
図4の(a)に示したように、弊社番号004について、顧客Aには「回答」の欄に「不要」と表示する。
図4の(b)に示したように、弊社番号004について、顧客Bには「共有先回答」の欄のAに「不要」と表示する。
図4の(c)に示したように、弊社番号004について、顧客Cには「共有先回答」の欄のAに「不要」と表示する。
【0036】
その後、2016年5月10日に、処理装置5が弊社番号004について顧客Bから「支払要」の回答を受領したとする(step12)。すると、
図5に示すように、処理装置5は、顧客Aの回答および顧客Bの回答を顧客A,B,Cに通知し(step13)、顧客Cは未回答であることを通知する。
図5の(a)に示したように、弊社番号004について、顧客Aには「回答」の欄に「不要」と表示し、「共有先回答」の欄のBに「要」と表示する。
図5の(b)に示したように、弊社番号004について、顧客Bには「回答」の欄に「要」と表示し、「共有先回答」の欄のAに「不要」と表示する。
図5の(c)に示したように、弊社番号004について、顧客Cには「共有先回答」の欄のAに「不要」と表示し、「共有先回答」の欄のBに「要」と表示する。
【0037】
さらに、2016年5月11日に、処理装置5が弊社番号004について顧客Cから「支払不要」の回答を受領したとする(step14)。すると、
図6に示すように、処理装置5は、顧客Aの回答、顧客Bの回答、顧客Cの回答を顧客A,B,Cに通知する(step15)。
図6の(a)に示したように、弊社番号004について、顧客Aには「回答」の欄に「不要」と表示し、「共有先回答」の欄のBに「要」と表示し、「共有先回答」の欄のCに「不要」と表示する。
図6の(b)に示したように、弊社番号004について、顧客Bには「回答」の欄に「要」と表示し、「共有先回答」の欄のAに「不要」と表示し、「共有先回答」の欄のCに「不要」と表示する。
図6の(c)に示したように、弊社番号004について、顧客Cには「回答」の欄に「不要」と表示し、「共有先回答」の欄のAに「不要」と表示し、「共有先回答」の欄のBに「要」と表示する。
【0038】
このように、本実施形態において処理装置5は、回答通知工程(step05)において、顧客から回答を受領する度に、受領した回答を全ての顧客に通知する。このような処理により、顧客から回答がある度にその回答を共有者全員に通知できるため、顧客は他の共有者の回答がある度にその回答を知ることができ、費用の支払いの判断をしやすくなる。また、年金管理会社にとっては全ての顧客からより迅速な回答を期待できる。
【0039】
また、本実施形態において処理装置5は、回答通知工程(step05)において、顧客から回答を受領する度に、回答を受領していない顧客からは回答を受領していない旨を全ての共有権者に通知する。未回答の顧客にとっては、自身がまだ回答していないことを知ることができ、年金管理会社にとっては全ての顧客からより迅速な回答を期待できる。
【0040】
また、
図4から
図6に示したように、回答通知工程において、各々顧客からの回答を回答日時(例えば、管理装置1における受領日時または顧客端末6における送信日時)と共に通知する。このような表示によって、既に回答した顧客にとっては、過去の何時にどのような回答をしたかを把握することができ、回答を再検討する際に参考にすることができる。
【0041】
<再問合わせ処理>
図3に戻り、共有に係る産業財産権の全ての顧客から回答を受領すると、処理装置5は、全ての顧客の回答が一致しているか否かを判定する(step16)。
弊社番号004について、2016年5月11日の時点で、顧客A,B,Cの回答が一致していない(step16:No)。そこで、処理装置5は、現時点が最終回答期限以前か否かを判定する(step17)。
【0042】
step17において現時点が最終回答期限より後であれば(step17:No)、処理装置5は、step22として最終処理を実行する。最終処理とは、例えば、顧客A~Cと年金管理会社とがあらかじめ契約により処理内容を決めておいた処理とすることができる。例えば、少なくとも一人の回答が「要」であった場合には支払処理をする、あるいは、少なくとも一人の回答が「不要」であった場合には不払い処理をする、あるいは、多数意見に従うなどの処理をあらかじめ定めておき、最終回答期限までに回答が一致しない場合には、管理装置は最終処理を実行する。
【0043】
このように、本実施形態において、処理装置5は、年金支払期限日の所定期間前の最終回答期限まで回答通知工程を実行し、最終回答期限の後に、回答が不一致であった場合に、予め定められた最終処理を実行する。これにより、年金管理会社は、最終回答期限までに顧客の回答が一致しなかった場合でも、処理を進めることができる。
【0044】
現時点が最終回答期限以前であれば(step17:Yes)、処理装置5は、step18として、回答が不一致である旨および支払期限日を顧客A,B,Cに通知し、費用の支払いの要否を再び問い合わせる(再問合わせ工程)。処理装置5は、産業財産権を共有している全ての顧客の回答が一致するまで、回答通知工程を繰り返し実行する。
【0045】
図7は、再問合わせ時に、処理装置5が顧客A~Cのそれぞれの端末6に表示させる画面を示している。
図7に示した例において、処理装置5は、回答が一致しなかった案件のみを取り出して顧客の端末6に表示させている。この画面は、
図4~
図6に示した画面と同時に表示させてもよいし、別々に表示してもよい。あるいは、再問合わせ工程として、処理装置5は、
図6に示した画面において回答が一致しなかった弊社番号004をハイライト表示してもよい。
【0046】
図7に示すように、再問合わせ時には、顧客A~Cのそれぞれの回答履歴も回答日時(管理装置1における受領日時または顧客端末6における送信日時)と合わせて表示している。回答履歴を表示させることにより、顧客それぞれの過去の回答を容易に振り返ることができる。また、顧客A~Cの回答を一度に見ることができるため、多数意見が支払要か支払不要かを簡単に把握することができる。
【0047】
本実施形態においては、2016年5月12日時点で、弊社番号004について、管理装置1は顧客Bから支払不要の回答を受領したとする。これにより、
図3に戻り、弊社番号004について、顧客A~Cの回答が支払不要で一致した(step16:Yes)。
【0048】
図8の(a)~(c)に示すように、処理装置5は、顧客A,B,Cに、回答が支払不要で一致したことを通知する(一致通知工程)。各々の顧客の表示画面の「一致/不一致」の欄に「一致」を表示させる。なお、
図8の(d)に示したように、再問合わせ工程の後に顧客Bから受領した再回答を、以前に受領した回答の履歴とともに、共有に係る産業財産権に関する全ての顧客A,B,Cに通知してもよい。
【0049】
処理装置5は、一致した回答が支払要であるか否かを判定する(step21)。一致した回答が「支払要」であれば(step21:Yes)、先に説明した支払処理(step07)を実行し、一致した回答が「支払不要」であれば(step20:No)、先に説明した不払処理(step08)を実行する。本実施形態においては、処理装置5は、弊社番号004について不払処理を実行する(step08)。
【0050】
このように、本実施形態によれば、最終回答期限内であれば、回答が一致するまで回答が不一致である旨を表示しつつ顧客の回答を再び求め、回答が一致した後にその処理を行う。このため、共有者同士が合意した内容で処理を進めることができる。
【0051】
なお、顧客からの回答フォームに、「他社の意向に係らず回答を変更することがない」旨を示す「最終回答」のチェックボックスを設けてもよい。最終回答のチェックボックスにチェックが付けられた回答を処理装置5が受信した場合には、当該顧客からの回答に変更はないものとして扱い、回答が一致していても一致していなくても処理を続行するように構成してもよい。回答が一致していない場合には、「不要」の回答をした顧客の持ち分を「要」の回答をした顧客に譲渡することになる。
【0052】
<第二実施形態>
なお、上述した第一実施形態では、回答通知工程において、顧客から回答を受領する度に、受領した回答を全ての共有権者に通知する例を説明したが、本発明はこれに限られない。
図9は、本発明の第二実施形態に係る管理方法のフローチャートである。
図9は、
図2において回答のあった産業財産権が共有であった場合(step04:Yes)以降に実行する処理を示している。以降の説明においても、上記第一実施形態と同様に、弊社番号004について顧客A,B,Cがこの順に回答したとする。
【0053】
まず、処理装置5は、顧客Aから回答を受領すると(step30)、その回答を顧客A,B,Cの全員に通知する(step31)。
【0054】
次に、処理装置5は、顧客Bから回答を受領すると(step32)、顧客Aの回答と顧客Bの回答が一致しているか否かを判定する(step33)。
【0055】
顧客Aの回答と顧客Bの回答が不一致の場合(step33:No)、処理装置5は、顧客A,Bのそれぞれの回答を、顧客A,B,Cの全員に通知する(step38)。さらに、処理装置5は、回答が不一致である旨および支払期限日を顧客A,Bに通知し、年金の支払いの要否を再び問い合わせる(step39)。
【0056】
顧客Aの回答と顧客Bの回答が一致の場合(step33:Yes)、処理装置5は、顧客A,Bの回答を他の顧客Cに通知することなく、顧客Cの回答を待つ。処理装置5が、顧客Cの回答を受領すると(step34)、顧客A~Cの回答が一致しているか否かを判定する(step35)。
【0057】
顧客Cの回答が顧客A,Bの回答と不一致の場合(step35:No)、処理装置5は、顧客A,B,Cのそれぞれの回答を、顧客A,B,Cの全員に通知する(step40)。さらに、処理装置5は、回答が不一致である旨および支払期限日を顧客A,B,Cに通知し、年金の支払いの要否を再び問い合わせる(step41)。
【0058】
顧客Cの回答が顧客A,Bの回答と一致の場合(step35:Yes)、処理装置5は、顧客A,B,Cに、回答が一致したことを通知する(一致通知工程)。
さらに、処理装置5は、一致した回答が支払要であるか否かを判定する(step37)。一致した回答が「支払要」であれば(step37:Yes)、先に説明した支払処理(step08)を実行し、一致した回答が「支払不要」であれば(step37:No)、先に説明した不払処理(step07)を実行する。
【0059】
このように、本実施形態によれば、回答通知工程において、二人目以降の回答を受領する度に、二人目以降の回答が一人目の回答と一致するかを判定し、不一致の場合にのみ各々の回答を全ての共有権者に通知する。回答が不一致であった場合にのみ顧客の端末6が更新されるため、顧客は、回答が不一致であったことに気が付きやすい。
【0060】
また、本実施形態において、処理装置5は、二人目以降の回答を受領する度に、二人目以降の回答がそれまでに受領した回答と一致するかを判定し、二人目以降の回答がそれまでに受領した回答と異なる場合に、再問合わせ工程を実行する。つまり、二人目以降の回答がそれまでの回答と一致した場合には、その回答を顧客に通知しない。顧客の端末6の更新頻度が低くなり、逆に回答が不一致であった場合に顧客に気が付かせやすい。なお、一人目とは、顧客が法人であった場合には一社目と読み替える。
【0061】
<第三実施形態>
なお、上述した第一実施形態および第二実施形態においては、顧客から回答を受領する度に処理装置5が処理する例を説明したが、本発明はこれに限られない。
図10は本発明の第三実施形態に係る管理方法のフローチャートである。
図10は、
図2において回答のあった産業財産権が共有であった場合(step04:Yes)以降に実行する処理を示している。
【0062】
図10に示したように、本実施形態においては、顧客A,B,Cの回答を全て受領した後に(step50)、顧客A,B,Cの回答が一致しているか否かを判定する(step51)。つまり、顧客A,B,Cの順に回答を受領しても、顧客Aの回答を受領した直後、顧客Bの回答を受領した直後のそれぞれで、処理装置5はそれらの回答を顧客A,B,Cに通知しない。
【0063】
顧客A,B,Cの回答が不一致の場合(step51:No)、処理装置5は、顧客A,B,Cのそれぞれの回答を、顧客A,B,Cの全員に通知する(step54)。さらに、処理装置5は、回答が不一致である旨および支払期限日を顧客A,B,Cに通知し、年金の支払いの要否を再び問い合わせる(step55)。
【0064】
顧客Cの回答が顧客A,Bの回答と一致の場合(step51:Yes)、処理装置5は、顧客A,B,Cに、回答が一致したことを通知する。
さらに、処理装置5は、一致した回答が支払要であるか否かを判定する(step53)。一致した回答が「支払要」であれば(step53:Yes)、先に説明した支払処理(step07)を実行し、一致した回答が「支払不要」であれば(step53:No)、先に説明した不払処理(step07)を実行する。
【0065】
本実施形態において、回答通知工程において、全ての回答を受領した後に各々の回答が一致か不一致かを判定し、不一致の場合に各々の回答を全ての共有権者に通知する。第一実施形態および第二実施形態よりも、顧客端末6に表示される画面の更新頻度が低くなり、回答が不一致であった場合を顧客へ気が付かせやすい。また、再問合わせの頻度も、第一実施形態および第二実施形態より低くなるので、回答が不一致であった場合を顧客へ気が付かせやすい。
【0066】
なお、上述した第一実施形態から第三実施形態においては、管理装置が顧客の端末のウェブブラウザに
図4から
図8に示したような情報を表示する例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、管理装置は、専用のアプリを通じて顧客の携帯端末へ、情報を表示することにより、顧客へ必要な情報を通知してもよい。あるいは、管理装置は、電子メールを送信することにより顧客へ必要な情報を通知してもよい。さらには、管理装置は、顧客へ印刷物を印刷することにより顧客へ必要な情報を通知してもよい。
【0067】
なお、以上の説明においては、産業財産権を所有する会社が顧客である場合を説明した。しかし、企業の形態によっては、産業財産権を所有する会社と、産業財産権を所有する会社の知的財産を取扱う会社とが別々になっている場合がある。このような場合には、産業財産権を所有する会社の知的財産を取扱う会社が、産業財産権を所有する会社に代わって、年金管理会社に費用の支払いの管理を依頼することがある。この場合、年金管理会社にとっての顧客は、産業財産権を所有する会社の知的財産を取扱う会社になる。
【0068】
上述した実施形態では、処理装置5が書誌データベース2と法令データベース3とに基づいて費用の支払期限日を算出する例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、書誌データベース2が次回の支払期限日を含んでおり、処理装置5が必要に応じて書誌データベース2から次回の支払期限日を取得する構成としてもよい。あるいは、書誌データベース2が次回以降の複数回目の支払期限日を含んでいてもよい。これらの場合には、年金管理会社が顧客から産業財産権の費用の支払い業務を受託したときに、費用の支払期限日を算出するために必要な書誌事項を書誌データベース2に入力した後に、処理装置5によって法令データベースなどを用いて次回の支払い期限日を算出させ、算出された費用の支払期限日を書誌データベース2に格納しておく。
【符号の説明】
【0069】
1 管理装置
2 書誌データベース
3 法令データベース
4 顧客データベース
5 処理装置
6 顧客の端末