(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162086
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック
(51)【国際特許分類】
E02B 3/14 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
E02B3/14 303
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133644
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2021548493の分割
【原出願日】2019-10-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0130801
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0100512
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0100513
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521180072
【氏名又は名称】イ,ジョン ウ
【氏名又は名称原語表記】LEE, Jung Woo
【住所又は居所原語表記】1-708, 46-6, Jaeban-ro 60beon-gil, Haeundae-gu, Busan 48057, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン ウ
(57)【要約】
【課題】潜堤としての機能、及び、防波堤としての機能を備え、その寿命を増加させ、越波による事故も未然に防止することができる機能を備えた、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックを提供する。
【解決手段】円柱状・楕円柱状のボディと、その高さ方向の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられる雄型の結合突起と、ボディの高さ方向の他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられ、雄型の結合突起が挿入される雌型の結合穴と、ボディの中央部の空間としての生息部と、前記生息部を上部生息部と下部生息部に分離する板として備えられる中間隔板と、中間隔板に備えられる貫通孔と、互いに隣接するように連結された多数のボディの間の空間部と、を含み、ボディの外面又は前記生息部を区画する前記ボディの内面には多数の着生突起が備えられ、前記多数の着生突起同士の間には着生凹部が備えられる。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底面に置かれる多角柱状、円柱状又は楕円柱状のボディと、
前記ボディにおける高さ方向に沿った一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられる雄型の結合突起と、
前記ボディにおける高さ方向に沿った他の側面及びその対向する面にそれぞれ備えられ、前記雄型の結合突起と対応する形状に備えられる雌型の結合穴と、
前記ボディの中央部に備えられ、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間として構成される生息部と、
前記生息部を分離する板として備えられてボディに構造的な安定性を提供し、魚介類の生息環境を提供する十字形垂直隔板と、
前記生息部を相互に連通可能に連結して魚介類の移動及び海水の流動ができるように前記十字形垂直隔板に備えられる貫通孔と、
互いに隣接するように連結された多数のボディの間に空間が形成され、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間部と、を含み、
前記ボディの外面又は前記生息部を区画する前記ボディの内面には多数の着生突起が備えられ、前記多数の着生突起の間には着生凹部が備えられる消波ブロックであって、
前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴に前記雄型の結合突起が挿入されることにより、海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張することができる、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項2】
前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴に対して、雄型の結合突起が高さ方向にのみ挿入及び分離が可能であり、横方向及び縦方向には挿入及び分離が不可能であることを特徴とする、請求項1に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項3】
前記海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張された多数の消波ブロックのうち、互いに隣接するように配置された消波ブロックの高さは、互いに異なるものであって、その高さの比率は、1:0.5、1.5、2、2.5、3よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項4】
前記雄型の結合突起に凹部もしくは穴部を備え、雌型の結合穴にも凹部もしくは穴部を備え、雄型の結合突起及び雌型の結合穴が形成されていないボディにも凹部もしくは穴部を備えることにより、互いに隣接するボディの前記生息部を連通させ、互いに隣り合って連結された多数のボディの間に形成される空間部をも連通させて、魚介類の移動及び海水の流動ができるようにする孔をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項5】
前記着生凹部はボディの表面からボディの内部へと向かってテーパー状に構成され、貝類が入り込んで生息することができる隙間空間が備えられることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項6】
海底面に置かれる円柱状又は楕円柱状のボディと、
前記ボディの高さ方向の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられる雄型の結合突起と、
前記ボディの高さ方向の他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられ、前記雄型の結合突起と対応する形状に備えられる雌型の結合穴と、
前記ボディの中央部に備えられて海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波機能を備えるようにする空間として構成される生息部と、
前記生息部を上部生息部と下部生息部に分離する板として備えられ、ボディに構造的な
安定性を提供し、魚介類の生息環境を提供する中間隔板と、
前記の上部生息部と下部生息部を相互連通可能に連結して、魚介類の移動と海水の流動ができるように前記中間隔板に備えられる貫通孔と、
互いに隣接するように連結された多数のボディの間に空間が形成されて海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間部と、を含み、
前記ボディの外面又は前記生息部を区画する前記ボディの内面には多数の着生突起が備えられ、前記多数の着生突起同士の間には着生凹部が備えられる消波ブロックであって、
前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴に前記雄型の結合突起が挿入されることにより、海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張することができる、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項7】
前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴に対して、雄型の結合突起が高さ方向にのみ挿入及び分離が可能であり、横方向及び縦方向には挿入及び分離が不可能であることを特徴とする、請求項6に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項8】
前記海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張された多数の消波ブロックのうち、互いに隣接するように配置された消波ブロックの高さは、互いに異なるものであって、その高さの比率は、1:0.5、1.5、2、2.5、3よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項9】
前記雄型の結合突起に凹部もしくは穴部を備え、雌型の結合穴にも凹部もしくは穴部を備え、雄型の結合突起及び雌型の結合穴が形成されていないボディにも穴部を備え、互いに隣接するボディの前記生息部を連通させ、互いに隣接するように連結された多数のボディの間に形成される空間部も連通させることで、魚介類の移動及び海水の流動ができるようにする孔をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項10】
前記着生凹部は、ボディの表面からボディの内部にテーパー状に構成され、貝類が入り込んで生息することができる隙間空間が備えられることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項11】
海底面に置かれる十字柱状のボディと、
前記ボディの高さ方向の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられる雄型の結合突起と、
前記ボディの高さ方向の他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられ、前記雄型の結合突起に対応する形状を有する雌型の結合穴と、
前記ボディの高さ方向の一部に備えられ、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波機能を備えるようにする空間として構成される生息部と、
互いに隣接するように連結された多数の十字柱状のボディの間に空間が形成され、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間部と、を含み、
前記ボディの外面には多数の着生突起が備えられ、前記多数の着生突起の間には着生凹部が備えられる消波ブロックであって、
前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴に対して、前記雄型の結合突起が挿入されることにより、海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張することができる、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項12】
前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴に対して、雄型の結合突起が高さ方向にのみ挿
入及び分離が可能であり、横方向及び縦方向には挿入及び分離が不可能であることを特徴とする、請求項11に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項13】
前記海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張された多数の消波ブロックのうち、互いに隣接するように配置された消波ブロックの高さは、互いに異なるものであって、その高さの比率は、1:0.5、1.5、2、2.5、3よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項14】
前記十字柱状のボディの上面及び底面に備えられ、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間として備えられる補助生息部をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項15】
前記生息部及び補助生息部を合わせてボディの20乃至60%で形成されることを特徴とする、請求項14に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項16】
前記雄型の結合突起に凹部もしくは穴部を備え、雌型の結合穴にも凹部もしくは穴部を備え、雄型の結合突起及び雌型の結合穴が形成されていないボディにも凹部もしくは穴部を備えることで、互いに隣接するボディの前記生息部を連通させて、互いに隣接するように連結された多数のボディの間に形成される空間部をも連通させ、魚介類の移動及び海水の流動ができるようにする孔をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項17】
前記着生凹部は、ボディの表面からボディの内部へと向かってテーパー状をなすように構成されることで、貝類が入り込んで生息することができる隙間空間が備えられることを特徴とする、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックに係り、より詳細には、魚介類が生息することができる空間と構造を備えて人工漁礁としての機能を提供するだけでなく、波のエネルギーを吸収して波力の減衰や反射波の発生を防止する消波作用をする空間と構造を備えることで、潜堤としての機能及び防波堤としての機能も提供することができるように構成された、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
海岸と港湾などには防波堤が築造されるが、防波堤は、外海から押し寄せる波がぶつかる際に波の波力を減衰させる役割を果たすことで、内海側に停泊している船舶やその他の施設物などについては、波による被害を最小限に抑えることができる。
【0003】
一般的に、消波ブロックは、波のエネルギーを吸収するように設計された異形コンクリートブロックであって、防波堤や、護岸の大きな波を受ける場所に設置され、波力の減衰や、反射波の発生を防止する役割を果たす。このような消波ブロックとしては、テトラポッド(tertapod)、六脚ブロック(hexaleg block)、中空三角ブロック(tertahedron block)、ハロースクエア(hollow square)、アーチトライバー(arch tribar)などが使用されている。消波ブロックは、波に対する消波機能及び経済性の面をまんべんなく満たさなければならないのであるが、従来の消波ブロックは、ブロックの大きさに比べて消波性能が劣るうえ、持ち運びや施工が容易ではないという欠点があった。
【0004】
従来の防波堤は、ある程度高い波を防ぐことができる高さに設置され、防波堤が設置される区間は、内海と外海が遮断されるようになった。しかし、このように海水を閉じ込めておく形で防波堤を建設することにより、海水の流出入が円滑に行われず、内海側に各種の汚物が積もって海水が汚染してしまい、悪臭が発生するという問題点があった。これにより、内海側の生態系が破壊されるという問題点があった。
【0005】
さらに、防波堤にぶつかった海水に大きな反発力が発生し、続々と押し寄せられる海水が合わせられてさらに大きなエネルギーで防波堤に叩きつけられることになり、その結果、波高がますます高まって防波堤を越える、いわゆる越流が発生するという問題点がある。
【0006】
一方、一般に、人工漁礁とは、沿岸回遊性魚類及び沿近海に生息する魚介類などの隠れ場所、生息地、又は産卵場所を提供するために、海の中に設置される人工構造物をいう。
【0007】
このような人工漁礁は、コンクリートや鋼材などを用いて、従来には球状や多面体などの形状に製作されていたが、最近では、海藻類胞子の着生及び生息、貝類の着生及び生息、魚類の蝟(い)集及び生息、渦流の形成によって栄養塩類及び酸素を供給することによる魚介類などへの良好な生息環境の提供などといった様々な目的を達成することができるように、複雑な形状に設計されて製作されている。
【0008】
つまり、従来の人工漁礁は、多数のフレームにのみ頼って魚介類が生息することができる空間を提供するので、その構造が複雑であるだけでなく、製作方式も難しいという問題点があり、その全体的な外形も、四面体、六面体などの多面体の形状を有することにより、海底環境に対応して拡張又は縮小されるには難しい結合構造を持っている。
【0009】
これにより、人工漁礁の初期製作段階で海底環境に対応する大きさに設計されて海底に適用されるか、或いは多数の人工漁礁を海底に投下する方式が使われている。
【0010】
特に、従来は、人工漁礁としての機能と、消波ブロックとしての機能とを兼ね備えた構造物が提供されていないのが実情であった。従来の人工漁礁や消波ブロックは、海底面の砂が波によって失われる過程で不等沈下が発生したり、砂によって覆われたり、波によって流動したりするなどの原因で適切な機能を行っていない場合が多かったのであり、また、波のエネルギーを吸収して波力の減衰や反射波の発生を防止する消波作用をする潜堤としての機能、及び、防波堤としての機能を効果的に提供する構造で設計されておらず、波が防波堤を越える越波現象を防止する構造に設計されてもいないため、人工漁礁機能を有する消波ブロックを潜堤及び防波堤などとして使用するには構造的な問題点があった。
【0011】
最近、地球温暖化に起因する海水面の上昇又は頻発する台風によって越波による事故が毎年発生するので、越波を防止するための努力を傾けている。現在は、単に防波堤の高さを上昇させる方式で越波を防止するので、防波堤の施工費用が高くなるという欠点があった。
【0012】
したがって、本出願人は、上述した様々な問題点を解決するために数多くの研究を行うことにより、新たな概念の本発明を完成することとなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる問題点を解決するためのもので、その目的は、海底面に垂直方向及び水平方向に容易に拡張され、魚介類が生息することができる最適の空間を提供する人工漁礁としての機能を備えたものであるだけでなく、波のエネルギーを吸収して波力の減衰や反射波の発生を防止する消波作用をする潜堤としての機能、及び、防波堤としての機能を備えたものであり、潜堤及び防波堤の寿命を増加させ、越波による事故も未然に防止することができる機能を備えた、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張することができる、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックに関する。ここで、消波ブロックのボディは、海底面に対して垂直方向に置かれるので、「海底面に対して垂直方向」とはボディの高さ方向(長さ方向)を意味し、「海底面に対して水平方向」とはボディの横方向及び縦方向を意味する。
【0015】
海底面に対して垂直方向に置かれる多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)、又は十字柱状(実施形態c)などで構成されたボディと;前記ボディの高さ方向(海底面に対して垂直方向)の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられる雄型の結合突起(ほぞ、もしくは、ありほぞ)と;前記ボディの高さ方向の他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられ、前記雄型の結合突起と対応する形状に備えられる雌型の結合穴(ほぞ穴、もしくは、あり穴)と;前記ボディの中央部(実施形態a、実施形態b)に備えられるか或いは前記ボディの高さ方向の一部(実施形態c)に備えられ、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間として構成される生息部と;前記ボディの上面及び底面に備えられ、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間に備えられる補助生息部(実施形態c)と;前記生息部を分離する板として備えられ、ボディに構造的な安定性を提供し、魚介類の生息環境を提供する十字形垂直隔板(実施形態a)又は中間隔板(実施形態b)と;前記生息
部を相互連通可能に連結して魚介類の移動及び海水の流動ができるように前記十字形垂直隔板(実施形態a)又は中間隔板(実施形態b)に備えられる貫通孔と;互いに隣接するように連結された多数のボディの間に空間が形成され、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波機能を備えるように形成される空間部と;を含んでなり、前記ボディの外面には多数個の着生突起が備えられ、前記多数の着生突起の間には着生穴(着生用の凹部もしくは溝)が備えられる消波ブロックであって、前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴(ほぞ穴、もしくは、あり穴)に前記雄型の結合突起(ほぞ、もしくは、ありほぞ)が挿入されることにより、海底面に対して垂直方向(ボディの高さ方向)及び海底面に対して水平方向(ボディの横方向及び縦方向)に拡張することができる、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックに関する。
【0016】
また、前記ボディの上面の周囲部及び底面の周囲部には穴部(凹部もしくは溝)が備えられ、前記雄型の結合突起(ほぞ、もしくは、ありほぞ)にも穴部(凹部もしくは溝)が備えられ、雌型の結合穴(ほぞ穴、もしくは、あり穴)にも穴部(凹部もしくは溝)が備えられることで、互いに隣接する消波ブロックの前記生息部、及び互いに隣接するように連結された多数の消波ブロックの間に形成される前記空間部も連通することにより、魚介類の移動及び海水の流動を可能にする穴部(孔)が備えられうる。
【0017】
前記雄型の結合突起及び雌型の結合穴が備えられていないボディの上面の周囲部及び底面の周囲部に凹部が備えられ、高さ方向に拡張された2つの消波ブロックの凹部同士が協力して(組み合わさって)1つの穴部(孔)が形成されうる。
【0018】
また、前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴(ほぞ穴、もしくは、あり穴)に前記雄型の結合突起(ほぞ、もしくは、ありほぞ)が挿入されることにより、海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張可能であるとともに、雌型の結合穴に対して、雄型の結合突起がボディの高さ方向にのみ挿入及び分離が可能であり、横方向及び縦方向には挿入及び分離が不可能であるように構成されうる。
【0019】
また、前記雄型の結合突起及び雌型の結合穴は、基本形の場合、ボディの各面あたりそれぞれ1つずつで構成されるが、ボディ間の結合力と構造安定性を考慮し、海底面に水平方向に拡張された消波ブロックの結合力と構造安定性を考慮して、2つ以上を備えることができる。
【0020】
つまり、基本形の場合、前記雄型の結合突起は、前記ボディの高さ方向の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられるので、ボディあたり2つずつで構成されるが、結合力と構造安定性を考慮してボディあたり2~10個までで構成できる。
【0021】
これと同様に、前記雌型の結合穴は、雄型の結合突起に対応する個数が備えられなければならないので、基本形の場合、前記ボディの高さ方向の他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられるので、これもボディあたり2つずつで構成されるが、結合力と構造安定性を考慮してボディあたり2~10個までで構成できる。
【0022】
また、前記海底面に対して垂直方向又は水平方向に拡張された多数の消波ブロックのうち、互いに隣接するように配置された消波ブロックの高さは、互いに異なるように構成されうる。ここで、消波ブロックの高さは、隣接する消波ブロック同士の間の結合力及び支持力を考慮して基本形の消波ブロックの高さを1と定める場合、1を除く0.5の倍数である0.5、1.5、2、2.5、3、3.5、4などで構成できるが、好ましくは0.5、1.5、2、2.5、3のいずれか一つで構成でき、さらに好ましくは0.5、1.5、2のいずれか一つで構成でき、最も好ましくは0.5、1.5のいずれか一つで構成できる。
【0023】
また、前記ボディの外面又は前記生息部を区画する前記ボディの内面には多数の着生突起が備えられ、前記多数の着生突起の間には着生穴(凹部もしくは溝)が備えられ、前記着生穴(凹部もしくは溝)は、ボディの表面からボディの内部へと向かってテーパー状をなすように構成されることで、貝類が挟まり込まれるようにして生息することができる隙間空間が備えられ得る。
【0024】
また、消波ブロックを防波堤用として使用するためには、上面が隙間なく満たされた状態で仕上げられれば、ヒト、動物及び車両などが墜落せずに円滑に通行することができ、海底面に対して水平方向に拡張された消波ブロックが結合する場合、海底面に対して水平方向に拡張された消波ブロック同士の間の結合力が増大して構造安定性が増大しうるので、上面又は下面を隙間なく仕上げながら結合することができる様々な高さのカバー消波ブロックが備えられ得る。
【0025】
ここで、カバー消波ブロックは、ボディが前記消波ブロックと対応する形状に構成されて前記消波ブロックと結合することができるように構成され、上面又は下面を隙間なく満たすことができるように上面又は下面が板状に構成されうる。
【0026】
一方、消波ブロックを防波堤用として使用するためには、内海側の側面が平坦に仕上げられれば船舶の接岸が容易なので、消波ブロックの一側面に雄型の結合突起及び雌型の結合穴が形成されていない接岸用消波ブロックが備えられ得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態に係る拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックは、海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張された多数の消波ブロックが多数の穴部、生息部、貫通孔及び空間部によって互いに連通可能に連結される構造を持つので、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類がスムーズに移動しながら生息することができる最適の環境を作り出すことができ、湧昇現象及び渦流が発生して栄養塩類及び酸素が豊富になることにより、魚介類の餌であるプランクトンに富む漁場を形成することができる。
【0028】
また、本発明の実施形態に係る、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックは、穴部、生息部及び空間部によって相互連通可能に連結される構造を持つので、水平方向及び垂直方向に拡張された多数の消波ブロックの内部に海水が流入して通過したり留まったりして、多数の消波ブロックの内部及び隣接する消波ブロック同士の間に備えられる穴部、生息部及び空間部にて波のエネルギーを吸収することができることにより、消波機能を備える。
【0029】
また、本発明の実施形態に係る、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックは、高さの異なる同じ形状の多数の消波ブロックが多段に積層されて有機的に相互結合される構成を有するので、波力による遊動が防止でき、海底面に垂直方向及び水平方向に拡張された構造物の一部が破損した場合、破損した部分の消波ブロックのみを取り替えることができるので、経済的に修理することができるという利点がある。
【0030】
また、本発明の実施形態に係る、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックは、海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張設置されることにより、陸地に向かって移動する波のエネルギーを吸収して波力の減衰や反射波の発生を防止する消波作用をする潜堤としての機能及び防波堤としての機能を備えることができ、越波による事故も減らすことができる。
【0031】
また、本発明の実施形態に係る、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックは、高さの異なる同じ形状の多数の消波ブロックが多段に積層されて有機的に相互結合される構成を有するので、波力による流動が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1a】本発明の実施形態aによる拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックの斜視図である。
【
図1b】本発明の実施形態bによる拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックの斜視図である。
【
図1c】本発明の実施形態cによる拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックの斜視図である。
【
図2a】
図1aに示された消波ブロックを矢印A-A方向から見た断面図である。
【
図2b】
図1bに示された消波ブロックを矢印A-A方向から見た断面図である。
【
図2c】
図1cに示された消波ブロックを矢印A-A方向から見た断面図である。
【
図3a】本発明の実施形態aによる消波ブロックが海底面に対して水平方向に拡張された様子を示す斜視図である。
【
図3b】本発明の実施形態bによる消波ブロックが海底面に対して水平方向に拡張された様子を示す斜視図である。
【
図3c】本発明の実施形態cによる消波ブロックが海底面に対して水平方向に拡張された様子を示す斜視図である。
【
図4a】本発明の実施形態aによる消波ブロックが
図3aでのように海底面に対して水平方向に拡張され、垂直方向にさらに拡張された様子を示す斜視図である。
【
図4b】本発明の実施形態bによる消波ブロックが
図3bでのように海底面に対して水平方向に拡張され、垂直方向にさらに拡張された様子を示す斜視図である。
【
図4c】本発明の実施形態cによる消波ブロックが
図3cでのように海底面に対して水平方向に拡張され、垂直方向にさらに拡張された様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の利点、特徴、及びそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になるだろう。
【0034】
しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現される。但し、本実施形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。本発明は、請求項の範疇によってのみ定められる。
【0035】
以下、
図1a、
図1b、
図1c乃至
図4a、
図4b、
図4cを参照して、さらに詳しくは、実施形態aの場合には
図1a、
図2a、
図3a、
図4a、実施形態bの場合には
図1b、
図2b、
図3b、
図4b、実施形態cの場合には
図1c、
図2c、
図3c、
図4cを参照して、本発明の実施形態に係る拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックについて詳細に説明する。本発明を説明するにあたり、関連する公知の機能或いは構成についての具体的な説明は、発明の要旨をぼやけさせないようにするために省略される。
【0036】
図1a、
図1b、
図1cは本発明の実施形態に係る、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロックの斜視図であり、
図2a、
図2b、
図2cは
図1a、
図1b、
図1cに示されている消波ブロックを矢印A-A方向から見た断面図であり、
図3a、
図3b、
図3cは本発明の実施形態による消波ブロックが海底面に対して水平方向に拡張された様子を示す斜視図であり、
図4a、
図4b、
図4cは、本発明の実施形態による消波ブロックが、
図3a、
図3b、
図3cでのように海底面に対して水平方向に拡張された後、海底面に対して垂直方向にさらに拡張された様子を示す斜視図である。
【0037】
図1a、
図1b、
図1c乃至
図4a、
図4b、
図4cに示されているように、本発明の実施形態による拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック100は、海底面に対して垂直方向に置かれる多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a;
図1a、
図2a、
図3a、
図4a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b;
図1b、
図2b、
図3b、
図4b)又は十字柱状(実施形態c;
図1c、
図2c、
図3c、
図4c)のいずれか一つのボディ110と;前記ボディ110の高さ方向の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられる雄型の結合突起120と;前記ボディ110の他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられ、前記雄型の結合突起120に対応する形状に備えられる雌型の結合穴130と;前記ボディ110の中央部(実施形態a、実施形態b)に備えられるか或いは前記ボディ110の高さ方向の一部(実施形態c)に備えられて海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間として構成される生息部140と;前記ボディ110の上面及び底面に備えられ、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間に備えられる補助生息部141(実施形態c)と;前記生息部140を分離する板として備えられ、ボディに構造的な安定性を提供し、魚介類の生息環境を提供する十字形垂直板(実施形態a)180又は中間隔板(実施形態b)181と;前記生息部140を相互連通可能に連結して魚介類の移動と海水の流動ができるように前記十字形垂直隔板(実施形態a)180又は中間隔板(実施形態b)181に備えられる貫通孔190と;互いに隣接するように連結された多数のボディ110によって空間が形成され、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるように形成される空間部150と;を含むことができる。
【0038】
上述のように構成された消波ブロック100は、前記多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)、又は十字柱状(実施形態c)のボディ110が多数個に連結されて海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張される構成を持っており、その拡張方向に応じて、人工漁礁機能を有する様々な形態の潜堤、防波堤などの形態を有することができる。
【0039】
まず、前記海底面に置かれる多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)、又は十字柱状(実施形態c)のボディ110は、海底面から見たときに多角柱状、円形又は楕円形の形状を持つことができ、コンクリート材又は合成樹脂材で製作できる。すなわち、前記ボディ110は、曲率を有する多角柱状、円柱状又は楕円柱状に形成でき、波によって伝達される衝撃を分散させることが好ましい。つまり、波によって多角柱状、円柱状又は楕円柱状のボディ110に伝達される衝撃が、ボディ110の曲率を有する外面によって分散されうる。言い換えれば、波が多角柱状、円柱状又は楕円柱状のボディ110の曲率を有する外面とぶつかる際に水平波に変形されるので、波による衝撃が緩和されうる。
【0040】
前記ボディ110の高さ方向の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられる雄型の結合突起120は、前記多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)、又は十字柱状(実施形態c)のボディ110から延びて一体に連結されるのであり、後述する前記雌型の結合穴130に、ボディの高さ方向にスライドされて挿入される部材ということができる。
【0041】
つまり、多数の多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b又は十字柱状(実施形態c)のボディ110が互いに連結されて海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張されるときに、前記雌型の結合穴130と協力して前記多数の多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)、又は十字柱状(実施形態c)のボディ110が互いに分離されることを防止する役割を
果たす。
【0042】
言い換えれば、前記多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)、又は十字柱状(実施形態c)のボディ110に備えられた雄型の結合突起120は、別途の多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)、又は十字柱状(実施形態c)のボディ110に備えられた雌型の結合穴130に挿入されて締結されうるのであり、このような方式で多数の多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)、又は十字柱状(実施形態c)のボディ110が海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張されうる。
【0043】
前記多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a;
図1a、
図2a、
図3a、
図4a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b;
図1b、
図2b、
図3b、
図4b)又は十字柱状(実施形態c;
図1c、
図2c、
図3c、
図4c)のボディ110の他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられ、前記雄型120の結合突起に対応する形状に備えられる雌型の結合穴130は、前述したように、前記雄型の結合突起120の形状に対応する形状を有することができる。
【0044】
ちなみに、前記雌型の結合穴130に前記雄型の結合突起120が挿入された際に、前記雄型の結合突起120が前記雌型の結合穴130から離脱しないように、前記雄型の結合突起120の先端両側には、係止突部が突出して形成されることが好ましく、これに対応して前記雌型の結合穴130の形状も、前記係止突部が形成された前記雄型の結合突起120の形状に対応するように形成されうる。
【0045】
また、前記雄型の結合突起120及び雌型の結合穴130は、基本形の場合、ボディ110の各面あたり1つずつで構成されるが、ボディ間の結合力と構造安定性を考慮し、海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張された消波ブロックの結合力と構造安定性を考慮して、各面あたり2つ以上を備えることができる。
【0046】
つまり、基本形の場合、前記雄型の結合突起120は、前記ボディの高さ方向の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられるので、ボディあたり2つずつで構成されるが、結合力と構造安定性を考慮して、ボディあたり2~10個までで構成されうる。
【0047】
これと同様に、前記雌型の結合穴130は、雄型の結合突起120と対応する個数が備えられなければならないが、基本形の場合、前記ボディの他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられるので、これもボディあたり2個ずつで構成されるが、結合力と構造安定性を考慮して、ボディあたり2~10個までで構成されうる。
【0048】
前記ボディの中央部に備えられ、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波機能を備えるようにする空間として備えられる生息部140は、
図2a、
図2b、
図2cに示されているように、前記多角柱状、円柱状又は楕円柱状(実施形態a)、円柱状又は楕円柱状(実施形態b)のボディ110の中央部に備えられるか、或いは前記ボディ110の高さ方向の一部(実施形態c)に備えられ得る。
【0049】
上述したような生息部140は、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間を提供し、後述する空間部150と連通可能に連結され、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間が互いに連通する構成を提供することができる。
【0050】
一方、前記生息部140は、板として備えられてボディに構造的な安定性を提供し、魚
介類の生息環境を提供する十字形垂直隔板180によって4つの部分(実施形態a)に分離されるか、中間隔板によって2つの部分(実施形態b)に分離されており、前記4つの部分(実施形態a)又は2つの部分(実施形態b)に分離された生息部は、魚介類の移動と海水の流動ができるように前記十字形垂直隔板(実施形態a)又は中央隔板(実施形態b))に備えられる貫通孔によって互いに連通可能に連結されうる。これにより、前記貫通孔を介して魚介類が前記ボディ110の中央部に前記4つの部分(実施形態a)又は2つの部分(実施形態b)に分離された生息部を出入りすることができ、海水が流れうる。
【0051】
また、互いに隣接するように連結された多数のボディ110によって空間が形成され、海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間部150が構成されるが、このような空間部150は、魚介類の生息及び消波の機能を行う最も大きな空間となる。
【0052】
また、前記ボディの上面の周囲部又は底面の周囲部には穴部(凹部)160を備え、前記雄型の結合突起(ありほぞ)120にも穴部160を備え、雌型の結合穴(ありあな)130にも穴部(凹部)160を備えることにより、互いに隣接する消波ブロックの前記生息部140を連通させ、互いに隣り合って連結された多数の消波ブロック同士の間に形成される空間部150も連通させて、魚介類の移動及び海水の流動を可能にする穴部(通孔)160が備えられ得る。
【0053】
前記雄型の結合突起(ありほぞ)120及び雌型の結合穴(ありあな)130が形成されていないボディの上面の周囲部及び底面の周囲部に穴部(凹部)が備えられることにより、ボディの高さ方向に拡張された2つの消波ブロックの穴部(凹部)160同士が協力して(組み合わさって)1つの穴部(通孔)が形成されうる。
【0054】
前記多数の穴部(凹部)160のうち、雄型の結合突起120に形成される穴部(凹部)160は、前記ボディ110の高さ方向の両側にそれぞれ備えられた雄型の結合突起120の端部まで延びて形成されうる。
【0055】
また、前記多数の穴部(凹部)160のうち、雌型の結合穴130に備えられる穴部(凹部)160は、前記ボディ110にそれぞれ備えられた雌型の結合穴130と連通可能に連結されうる。
【0056】
一方、前記ボディ110の外面及び生息部には、多数の着生突起170が備えられ得る。
【0057】
前記着生突起170は、前記ボディ110の外面の垂直方向に沿って形成されうるのであり、海藻類が着生されうる空間を提供し、また、魚類の産卵場の役割も行うことができる。
【0058】
一方、多数の着生突起170同士の間には着生穴(凹部もしくは溝)171が形成されるが、着生穴(凹部もしくは溝)は、ボディ110の表面からボディの内部へと向かってテーパー状をなすように構成されることで、貝類が割り込んで生息することができる隙間空間が備えられることにより、隙間空間に魚介類や海藻類が生息することができ、且つ、魚類の卵が着生することもできる。
【0059】
以下、
図3a、
図3b、
図3c及び
図4a、
図4b、
図4cを参照して、本発明の実施形態による消波ブロック100が海底面に対して垂直方向と水平方向に拡張される過程が例を挙げて説明される。
【0060】
図3a、
図3b、
図3cに示されているように、4つの消波ブロック100が互いに連結されて海底面に対して水平方向に拡張されうる。ちなみに、
図3a、
図3b及び
図3cには、前記4つの消波ブロック100が、海底面に対して垂直方向と水平方向に互いに連結されて拡張された様子が示されているが、これに限定されず、多数の消波ブロック100が海底面に対して垂直方向及び水平方向に互いに連結されて無限に拡張され得る。
【0061】
図3a、
図3b及び
図3cに示されているように、多数のボディ110にそれぞれ備えられた雄型の結合突起120が、互いに隣接するように配置されたボディ110の雌型の結合穴130に垂直方向にスライド挿入されることにより、多数のボディ110が互いに分離されずに結合した状態を維持することができる。
【0062】
ここで、海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張された多数のボディ110のうち、互いに隣接するように配置されたボディ110の高さは、互いに異なることが好ましい。
【0063】
なぜなら、
図4a、
図4b及び
図4cに示されているように、ボディの横方向及び縦方向に(海底面に対して水平方向)に拡張された後、下側に配置される多数のボディ110に別のボディ110が積層されて多段を形成するときに、積層されようとするボディ110の雄型の結合突起120又は結合穴130に、下側に配置されたボディ110の結合穴130又は雄型の結合突起120がそれぞれ挿入できるようにする余分の空間を提供するためである。
【0064】
もし、ボディの横方向及び縦方向(海底面に対して水平方向)に拡張され、下側に配置される多数のボディ110の高さが互いに同一であれば、その上側に配置される別の多数のボディ110は、前記下部に配置される多数のボディ110の上面に置かれた状態になるだけであり、何らの連結関係もなされないので、上側に配置される多数のボディ110は、外力によって、下側に配置された多数のボディ110の上から離脱及び遊動するという問題点が発生する。
【0065】
したがって、多数のボディ110をボディの高さ方向に拡張させる過程で、多段に積層されるボディ110が外力によってボディの横方向及び縦方向(海底面に対して水平方向)に遊動することを防止するために、互いに異なる高さを持つボディ110が前記雄型の結合突起120と前記結合穴130によって連結されることが好ましい。
【0066】
ここで、ボディ110の高さは、隣接するボディ110同士の間の結合力及び支持力を考慮して、基本形の消波ブロックの高さを1とする場合、1を除く0.5の倍数である0.5、1.5、2、2.5、3、3.5、4などで構成されるが、好ましくは0.5、1.5、2、2.5、3のいずれか一つで構成でき、さらに好ましくは0.5、1.5、2のいずれか一つで構成でき、最も好ましくは0.5、1.5のいずれか一つで構成できる。
【0067】
一方、
図4a、
図4b及び
図4cに示されているように、海底面に対して垂直方向及び水平方向に拡張された消波ブロック100は、前述したように、前記多数の穴部(凹部)160を介して、互いに隣接するボディの前記生息部140が連通し、且つ互いに隣接するように連結された多数のボディの間に形成される空間部150も連通することにより、魚介類の移動及び海水の流動が可能であるので、魚介類の生息に適した環境が作り出され、海底に豊富な漁場を形成することができる。
【0068】
一方、下側に配置されたボディ110の穴部160と、上側に配置されたボディ110の穴部160を通じて、前記生息部140及び空間部150に海水が流入することができ
るので、前記生息部140及び空間部150に湧昇現象が発生しうる。
【0069】
つまり、海底面に対して垂直方向に拡張された多数のボディ110にそれぞれ備えられた生息部140及び空間部150は、互いに連通可能に連結されるので、海水は、ボディ110に多数備えられた穴部160を通じて、前記生息部140及び空間部150中を流動することができ、これにより、前記多数の穴部160を通じして四方へと流入する海水によって、前記生息部140及び空間部150に湧昇現象が発生しうる。
【0070】
このように、前記生息部140及び空間部150に湧昇現象が発生することにより、多段に積層されたボディ110内で渦流も発生しうるのであり、この渦流によって魚介類に円滑な酸素供給が行われうるし、また、渦流による自浄作用によって魚介類が生息することができる最適の環境が作り出され得る。
【0071】
そして、海底面に対して垂直方向に多段に積層された多数のボディ110上で発生する湧昇現象によって、潜堤及び防波堤へと向かう波の波力が減少されうるので、越波を防止することもできる。
【0072】
これまで本発明による具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変形が可能であるのはもちろんである。
【0073】
例えば、本発明の実施形態では、多数のボディ110が2段に積層されたものと説明されており、図面上に示されているが、これに限定されず、3段以上に積層されうるのは勿論である。
【0074】
また、前記ボディ110の上面又は底面に備えられた多数の穴部160は、多様な形状又は様々な深さを有する状態にて、前記ボディ110に備えられ得る。例えば、半球状又は「コ」の字状をなすことができ、その形成の深さも、消波ブロック100が設置される海底面の環境に対応して適切に調節できる。
【0075】
したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、その特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【符号の説明】
【0076】
100 消波ブロック
110 ボディ
120 雄型の結合突起(ほぞ、もしくは、あり(蟻)ほぞ)
130 雌型の結合穴(ほぞ穴、もしくは、ありあな(蟻穴))
140 生息部
141 補助生息部
150 空間部
160 穴部(凹部)
170 着生突起(リブ)
171 着生穴(凹部、もしくは、溝)
180 十字形垂直隔板
181 中間隔版
190 貫通孔
【手続補正書】
【提出日】2022-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底面に置かれる円柱状又は楕円柱状のボディと、
前記ボディの高さ方向の一側面及びその対向する面にそれぞれ備えられる雄型の結合突起と、
前記ボディの高さ方向の他側面及びその対向する面にそれぞれ備えられ、前記雄型の結合突起と対応する形状に備えられる雌型の結合穴と、
前記ボディの中央部に備えられて海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波機能を備えるようにする空間として構成される生息部と、
前記生息部を上部生息部と下部生息部に分離する板として備えられ、ボディに構造的な安定性を提供し、魚介類の生息環境を提供する中間隔板と、
前記の上部生息部と下部生息部を相互連通可能に連結して、魚介類の移動と海水の流動ができるように前記中間隔板に備えられる貫通孔と、
互いに隣接するように連結された多数のボディの間に空間が形成されて海水が通過したり留まったりすることができるようにして、魚介類の生息及び消波の機能を備えるようにする空間部と、を含み、
前記ボディの外面又は前記生息部を区画する前記ボディの内面には多数の着生突起が備えられ、前記多数の着生突起同士の間には着生凹部が備えられる消波ブロックであって、
前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴に前記雄型の結合突起が挿入されることにより、海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張することができる、拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項2】
前記消波ブロックは、前記雌型の結合穴に対して、雄型の結合突起が高さ方向にのみ挿入及び分離が可能であり、横方向及び縦方向には挿入及び分離が不可能であることを特徴とする、請求項1に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項3】
前記海底面に対して水平方向及び垂直方向に拡張された多数の消波ブロックのうち、互いに隣接するように配置された消波ブロックの高さは、互いに異なるものであって、その高さの比率は、1:0.5、1.5、2、2.5、3よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項4】
前記雄型の結合突起に凹部もしくは穴部を備え、雌型の結合穴にも凹部もしくは穴部を備え、雄型の結合突起及び雌型の結合穴が形成されていないボディにも穴部を備え、互いに隣接するボディの前記生息部を連通させ、互いに隣接するように連結された多数のボディの間に形成される空間部も連通させることで、魚介類の移動及び海水の流動ができるようにする孔をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。
【請求項5】
前記着生凹部は、ボディの表面からボディの内部にテーパー状に構成され、貝類が入り込んで生息することができる隙間空間が備えられることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の拡張が容易な人工漁礁機能付き消波ブロック。