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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162132
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20221014BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F17/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134838
(22)【出願日】2022-08-26
(62)【分割の表示】P 2017084061の分割
【原出願日】2017-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2016-0095675
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0154827
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ハン ウル
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジュン ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】オ、ヒョ チャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ウン チュル
(72)【発明者】
【氏名】ク、ジン ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、イル ジン
(57)【要約】
【課題】高電流でも高いインダクタンス値を維持しながら、高バイアス(High Bias)の特性を実現することができるインダクタを提供する。
【解決手段】本発明は、コイル上下の第1磁性体部、及び前記第1磁性体部の上下の第2磁性体部を含む本体を含み、上記第1磁性体部に含まれる第1磁性体の磁束密度(magnetic flux density)が上記第2磁性体部に含まれる第2磁性体の磁束密度に比べてさらに高いため、高電流で高いインダクタンス値を維持しながら、高バイアス(High Bias)の特性を実現することができるインダクタを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルの上下の第1磁性体部、及び前記第1磁性体部の上下の第2磁性体部を含む本体を含み、
前記第1磁性体部に含まれる第1磁性体の磁束密度(magnetic flux density)が前記第2磁性体部に含まれる第2磁性体の磁束密度に比べてさらに高い、インダクタ。
【請求項2】
前記本体の中央にコアが形成され、前記コアが前記第1磁性体を含む、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記第1磁性体のFeの含有量が78~83at%であり、前記第2磁性体のFeの含有量が76at%以下である、請求項1または2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記第1磁性体の磁束密度が1.4~1.7Tであり、前記第2磁性体の磁束密度が1.1~1.3Tである、請求項1から3のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記第1磁性体部の総体積が前記第2磁性体部の総体積に対して33~75%である、請求項1から4のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記第1磁性体部は、前記コイルの上側及び下側をそれぞれ覆う第1及び第2内部層を含み、前記第1及び第2内部層の厚さがそれぞれ70~120μmである、請求項1から5のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記コイルは、絶縁材料または磁性材料の基板を含む支持体上に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記コイルを覆う絶縁膜をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記コイルは、前記支持体において対向する面にそれぞれ配置される第1及び第2コイルを含み、
前記第1及び第2コイルは、前記本体の外部に露出する第1及び第2リード部をそれぞれ有し、
前記本体上に第1及び第2外部電極が配置され、前記第1及び第2外部電極は前記第1及び第2リード部とそれぞれ電気的に接続される、請求項7に記載のインダクタ。
【請求項10】
中央部にコアホールを有する支持体と、
前記支持体の上面及び前記コアホールの周りに配置される第1コイルと、
前記支持体の下面及び前記コアホールの周りに配置され、前記支持体のビアホールを通過するビアを介して前記第1コイルと接続される第2コイルと、
1.4~1.7Tの第1磁束密度を有し、前記第1コイルの上側の第1内部層、及び前記第1コイルの下側の第2内部層、並びに前記支持体の前記コアホールに形成されるコアを含む第1磁性体部と、
1.1~1.3Tの第2磁束密度を有し、前記第1磁性体部の前記第1内部層の上側の第1外部層、及び前記第1磁性体部の前記第2内部層の下側の第2外部層を含む第2磁性体部と、を含む、インダクタ。
【請求項11】
前記第1磁性体部のFeの含有量が78~83at%であり、前記第2磁性体部のFeの含有量が76at%以下である、請求項10に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記第1磁性体部の総体積が前記第2磁性体部の総体積に対して33~75%である、請求項10または11に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記第1磁性体部の第1及び第2内部層の厚さがそれぞれ70~120μmである、請求項10から12のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項14】
幅方向及び長さ方向と定義される平面にそれぞれ巻線され、厚さ方向に対して垂直である一つ以上のコイルを含む本体を含み、
前記本体の厚さ方向に中央部の第1磁束密度が前記本体の厚さ方向に前記中央部の上側または下側の外側部の第2磁束密度に比べてさらに高い、インダクタ。
【請求項15】
前記中央部のFeの含有量が78~83at%であり、前記外側部のFeの含有量が76at%以下である、請求項14に記載のインダクタ。
【請求項16】
前記第1磁束密度を有する前記本体の第1部[0]の総体積が前記第2磁束密度を有する前記本体の第2部の総体積に対して33~75%である、請求項14または15に記載のインダクタ。
【請求項17】
前記第1磁束密度が1.4~1.7Tであり、前記第2磁束密度が1.1~1.3Tである、請求項14から16のいずれか一項に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインダクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インダクタは、抵抗及びキャパシタとともに電子回路を構成する重要な受動素子の一つとして、ノイズ(noise)を除去したり、LC共振回路を構成する部品などに用いられることができる。
【0003】
このようなインダクタは、スマートフォンまたはウェアラブル(wearable)機器などのAP、CP、充電器(charger)、及びディスプレイ(display)のPMICなどに実装されて、電源供給の役割を果たすことができる。
【0004】
従来のインダクタは、単一組成の磁性体で本体を構成し、コイルの周りに磁束が流れるようにした。
【0005】
最近、話題になっているスマートフォン及び多重入出力(MIMO:Multi Input Multi Output)通信のためには、インダクタの特性のうちDC biasが少なくとも2A以上となり、高電流でも高いインダクタンスが実現される必要があるが、従来のインダクタは、おおむねDC biasが高くないため上記条件を満たすことが困難であった。
【0006】
これにより、製品の高電流化に伴い、インダクタンス値を一定のレベルに維持しながら、バイアス特性に優れたインダクタへの要求が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-201374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高電流でも高いインダクタンス値を維持しながら、高バイアス(High Bias)の特性を実現することができるインダクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、コイル上下の第1磁性体部、及び前記第1磁性体部の上下の第2磁性体部を含む本体を含み、上記第1磁性体部に含まれる第1磁性体の磁束密度(magnetic flux density)が上記第2磁性体部に含まれる第2磁性体の磁束密度に比べてさらに高いインダクタを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によると、高電流で高いインダクタンス値を維持しながら、インダクタのバイアス特性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態によるインダクタを概略的に示す透明斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるインダクタの内部構造を示すSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0013】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対である記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態によるインダクタを概略的に示す透明斜視図であり、図2図1のI-I'線に沿った断面図であり、図3は本発明の一実施形態によるインダクタの内部構造を示すSEM写真である。
【0015】
以下、図面上において、L方向は本体50の長さ方向、W方向は幅方向、T方向は厚さ方向に設定して説明する。
【0016】
また、本体50のT方向において対向する両面は第1及び第2面S1、S2、L方向において対向する両面は第3及び第4面S3、S4、及びW方向において対向する両面は第5及び第6面S5、S6と定義して説明する。
【0017】
図1図3を参照すると、本実施形態によるインダクタ100は、コイルが配置された支持体20及び本体50を含む。
【0018】
本体50は、インダクタ100の外観を成し、おおむね直方体形状からなることができる。
【0019】
このような本体50は、第1磁性体部52及び第2磁性体部51を含む。
【0020】
第1磁性体部52は、T方向において中央に位置し、コア52c、及び支持体20の上下面にそれぞれ配置される第1及び第2内部層52a、52bを含む。
【0021】
ここで、コア52cとは、本体50の中央に支持体20を貫通して形成されるコアホールに第1磁性体が満たされた部分のことである。
【0022】
このように、本体50内に第1磁性体で充填されたコア52cを形成すると、コアが存在しない場合に比べてインダクタ100のインダクタンスをさらに向上させることができる。
【0023】
また、第2磁性体部51は、第1磁性体部52の上下面にそれぞれ配置される第1及び第2外部層51a、51bを含む。
【0024】
この際、本体50は、第1磁性体部52に含まれる第1磁性体の磁束密度(magnetic flux density)が、第2磁性体部51に含まれる第2磁性体の磁束密度に比べてさらに高く構成される。
【0025】
支持体20は第1磁性体部52内に配置される。
【0026】
このような支持体20は、絶縁材料または磁性材料の基板からなることができる。例えば、上記絶縁材料は感光性ポリマーであってもよく、上記磁性材料はフェライトであってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
また、上記コイルは、T方向において支持体20の両面にそれぞれ配置された第1及び第2コイル42、44を含むことができる。
【0028】
第1及び第2コイル42、44は、それぞれらせん状の構造を有するように形成することができるが、必要に応じて、他の形態に変更することができる。
【0029】
例えば、第1及び第2コイル42、44の形状は、それぞれ四角形、五角形、六角形などの多角形、円形、及び楕円形などに形成することができ、必要に応じて、不規則な形状に形成することもできる。
【0030】
このような第1及び第2コイル42、44は、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上の金属を含むことができる。
【0031】
しかし、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、第1及び第2コイル42、44は、導電性を与えることができる材料からなれば十分である。
【0032】
第1コイル42は、一端に本体50の第3面S3に露出している第1リード部42aを有する。
【0033】
第2コイル44は、一端に本体50の第4面S4に露出している第2リード部44aを有する。
【0034】
また、第1及び第2コイル42、44の他端は、T方向において対向するように配置され、ビア46を介して互いに電気的に接続されることができる。
【0035】
ビア46は、支持体20と第1及び第2コイル42、44の他端にT方向に貫通されるようにビアホールを形成した後、上記ビアホールに導電性ペーストを充填するなどの方法で形成することができる。
【0036】
この際、上記導電性ペーストは、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上の金属を含むことができるが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、導電性を与えることができる材料からなれば十分である。
【0037】
一方、第1及び第2コイル42、44と本体50との絶縁のために、第1及び第2コイル42、44の周りには、第1及び第2コイル42、44の表面を覆うように絶縁膜60が形成されることができる。
【0038】
このような絶縁膜60は、絶縁特性を有する材料からなるものであり、例えば、ポリマーなどを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0039】
本体50の第1及び第2磁性体部52、51は、フェライトなどの金属粉末とポリマーの複合体を含むペーストからなる第1及び第2磁性体でそれぞれ形成されることができる。
【0040】
上記第1及び第2磁性体は、金属粉末がポリマー上に分散された形態で含まれることができる。これにより、表面の絶縁性を確保することができる。
【0041】
上記金属粉末は、鉄(Fe)、ニッケル-鉄合金(Ni-Fe)、センダスト(Fe-Si-Al)、及び鉄-ケイ素-クロム合金(Fe-Si-Cr)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0042】
第1磁性体部52は、第1コイル42の上側を覆う第1内部層52a、第2コイル44の下側を覆う第2内部層52b、及び本体50の中央に形成されるコア52cを含むことができる。
【0043】
このような第1磁性体部52は、第2磁性体部51に比べて高磁束密度(high magnetic flux density)を有する第1磁性体からなる。
【0044】
この際、上記第1磁性体の磁束密度は1.4~1.7T(Tesla)であることができる。
【0045】
上記第1磁性体の磁束密度が1.4T未満であれば、バイアス(Bias)特性が低下するという問題が発生する可能性がある。また、上記第1磁性体の磁束密度が1.7Tを超えると、磁性体が結晶化して保磁力(Coersive force)が5.0Oe(1Oe=1/4π×10A/m)以上に増加するという問題が発生するおそれがある。
【0046】
また、上記第1磁性体においてFeの含有量は上記第1磁性体に含まれる樹脂の量に反比例し、樹脂の含有量が多くなると磁束の流れをさらに多く妨害してインダクタ100のインダクタンスが相対的に低下することがある。
【0047】
なお、上記第1磁性体においてFeの含有量が多いため樹脂の含有量が過度に少ないと、本体を形成するための加工特性が十分に実現されない可能性がある。
【0048】
本実施形態では、上記第1磁性体のFeの含有量は78~83at%であることができる。
【0049】
上記第1磁性体のFeの含有量が78at%未満の場合は、高電流特性が十分に実現されないという問題が発生する可能性がある。また、上記第1磁性体のFeの含有量が83at%を超えると、非晶質化(Amorphous atomization)特性が十分に実現されず、非晶質状態において結晶化が生じるという問題が発生するおそれがある。
【0050】
一方、第1磁性体部52において第1コイル42の上側を覆う第1内部層52a及び第2コイル44の下側を覆う第2内部層52bの厚さは、それぞれ70~120μmであることができる。
【0051】
この際、第1磁性体部52の第1及び第2内部層52a、52bの厚さがそれぞれ70μm未満であれば、第1磁性体部52のパス(Path)が狭くなって磁束(Magnetic Flux)が飽和(Saturation)しやすくなり、その結果、バイアス(Bias)特性が低下するという問題が発生する可能性がある。
【0052】
また、第1磁性体部52の第1及び第2内部層52a、52bの厚さがそれぞれ120μmを超えると、透磁率が低下して、インダクタ100のインダクタンス値が低下するという問題が発生するおそれがある。
【0053】
第2磁性体部51は、T方向において第1磁性体部52の第1及び第2内部層52a、52bの外側(上下)にそれぞれ配置される第1及び第2外部層51a、51bを含むことができる。
【0054】
このような第2磁性体部51は、第1磁性体部52の第1磁性体に比べて低い磁束密度(low magnetic flux density)を有する第2磁性体からなる。
【0055】
この際、上記第2磁性体のFeの含有量は76at%以下であることができる。上記第2磁性体のFeの含有量が76at%を超えると、透磁率が低下して、インダクタ100のインダクタンス値が低下するという問題が発生する可能性がある。
【0056】
また、上記第2磁性体は、上記第1磁性体に比べてFeの含有量が76at%以下と低いため、バイアス(Bias)特性が低下するが透磁率は高くなる。この場合、上記第2磁性体の磁束密度が1.1T未満の場合はバイアス(Bias)特性が低下するという問題が発生する可能性があり、上記第2磁性体の磁束密度が1.3Tを超えると、透磁率が低下して、インダクタ100のインダクタンス値が低下するという問題が発生するおそれがある。よって、上記第2磁性体の磁束密度は1.1~1.3Tであることができる。
【0057】
一方、本実施形態において、第1磁性体部52の総体積は、コイルの厚さによる直流抵抗(Rdc)及びインダクタンス(Ls)のバランスを考慮して、第2磁性体部51の総体積に対して33~75%であることができる。
【0058】
第2磁性体部51の総体積に対する第1磁性体部52の総体積が33%未満であれば、バイアス(Bias)特性が低下するという問題が発生する可能性があり、第2磁性体部51の総体積に対する第1磁性体部52の総体積が75%を超えると、インダクタ100のインダクタンス容量が低下するという問題が発生するおそれがある。
【0059】
本実施形態によるインダクタ100は、本体50の表面に配置される第1及び第2外部電極81、82をさらに含むことができる。
【0060】
第1外部電極81は、本体50の第3面S3に配置される。
【0061】
このような第1外部電極81は、第1接続部81a及び第1バンド部81bを含むことができる。
【0062】
第1接続部81aは、本体50の第3面S3に形成される部分であり、第1コイル42の第1リード部42aの露出している部分と接続される。
【0063】
第1バンド部81bは、第1接続部81aから本体50の第1及び第2面S1、S2と第5及び第6面S5、S6の一部まで延在する部分で、第1外部電極81の固着強度を高める役割を果たす。
【0064】
第2外部電極82は、本体50の第4面S4に配置される。
【0065】
このような第2外部電極82は、第2接続部82a及び第2バンド部82bを含むことができる。
【0066】
第2接続部82aは、本体50の第4面S4に形成される部分で、第2コイル44の第2リード部44aの露出している部分と接続される。
【0067】
第2バンド部82bは、第2接続部82aから本体50の第1及び第2面S1、S2と第5及び第6面S5、S6の一部まで延在する部分で、第2外部電極82の固着強度を高める役割を果たす。
【0068】
このような第1及び第2外部電極81、82は、導電性を与えることができる金属で、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上の金属を含むことができる。
【0069】
また、第1及び第2外部電極81、82の表面には、必要に応じて、ニッケルめっき層(図示せず)またはスズめっき層(図示せず)が形成されることができる。
【0070】
インダクタは、電流が印加されるとコイルの周りに磁束が発生する。この際、磁束の密度は、コイルの周りが最も強く、コイルから離れるほど次第に小さくなる。
【0071】
このようなインダクタのバイアス(Bias)特性を改善するために、コイルの周りに強い磁束が円滑に流れることができるよう、コイルの周りを取り巻く磁性体の磁束密度(単位体積当たりに磁束を通過させることができるキャパシティ(capacity))を高めることで磁束が飽和しやすくなるようにする必要がある。
【0072】
本実施形態によるインダクタ100において、第1磁性体部52は、Feの含有量が78at%以上と透磁率は低いが高磁束密度を有する第1磁性体からなり、第2磁性体部51の第2磁性体は、Feの含有量が76wt%以下と透磁率は高いが比較的低い磁束密度及びバイアス特性を有する。
【0073】
すなわち、インダクタ100が、磁束の密度が集中しているコイルの周りは高磁束密度を有する組成の第1磁性体で構成され、本体50の外側カバー領域に対応する第2磁性体部51は上記第1磁性体より磁束密度は低いが比較的高い透磁率を有する第2磁性体で構成される。
【0074】
したがって、コイルの周りに集中して流れる磁束の飽和を緩和させ、磁束の飽和電流(Bias Current)を高めることにより、高電流特性を改善することができ、インダクタンス値が低下することなく、従来の低い磁束密度を有する磁性体のみからなるインダクタに比べて15~20%のバイアス特性の改善効果を奏することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0076】
20 支持体
42、44 第1及び第2コイル
42a、44a 第1及び第2リード部
46 ビア
50 本体
51 第2磁性体部
51a、51b 第1及び第2外部層
52 第1磁性体部
51a、52b 第1及び第2内部層
52c コア
60 絶縁膜
81、82 第1及び第2外部電極
81a、82a 第1及び第2接続部
81b、82b 第1及び第2バンド部
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルの上下の第1磁性体部、及び前記第1磁性体部の上下の第2磁性体部を含む本体を含み、
前記第1磁性体部に含まれる第1磁性体は、Feを含有する第1金属粉末を含み、前記第1金属粉末においてFeの含有量が78~83at%であり、前記第2磁性体部に含まれる第2磁性体は、Feを含有する第2金属粉末を含み、前記第2金属粉末においてFeの含有量が76at%以下である、インダクタ。
【請求項2】
前記本体の中央にコアが形成され、前記コアが前記第1磁性体で満たされる、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記第1磁性体の磁束密度が1.4~1.7Teslaであり、前記第2磁性体の磁束密度が1.1~1.3Teslaである、請求項1または2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記第1磁性体部の総体積が前記第2磁性体部の総体積に対して33~75%である、請求項1からのいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記第1磁性体部は、前記コイルの上側を覆う第1内部層と、前記コイルの下部を覆う第2内部層を含み、前記第1内部層及び前記第2内部層の厚さがそれぞれ70~120μmである、請求項1からのいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記コイルは、絶縁材料または磁性材料の基板を含む支持体上に配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記コイルの周りを覆う絶縁膜をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記コイルは、前記支持体の両面にそれぞれ配置される第1及び第2コイルを含み、
前記第1及び第2コイルは、前記本体の外部に露出する第1及び第2リード部をそれぞれ有し、
前記本体には、前記第1及び第2リード部とそれぞれ接続されるように第1及び第2外部電極が配置される、請求項に記載のインダクタ。