(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162136
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】移動式飛行体装置
(51)【国際特許分類】
B64F 1/12 20060101AFI20221014BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20221014BHJP
B64F 1/02 20060101ALI20221014BHJP
B64C 39/02 20060101ALN20221014BHJP
B64D 27/24 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
B64F1/12
B64F1/36
B64F1/02
B64C39/02
B64D27/24
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134865
(22)【出願日】2022-08-26
(62)【分割の表示】P 2018134719の分割
【原出願日】2018-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】三鬼 尚臣
(72)【発明者】
【氏名】三村 洋一
(72)【発明者】
【氏名】本目 毅
(72)【発明者】
【氏名】野末 晃
(72)【発明者】
【氏名】千葉 拓史
(72)【発明者】
【氏名】上原 広行
(72)【発明者】
【氏名】関原 弦
(57)【要約】
【課題】運搬時に飛行体の落下を防止し、飛行体の耐久性の向上を図れ、長期間にわたって稼働率を確保し、監視作業を確実に行なう上で有利な移動式飛行体装置を提供すること。
【解決手段】飛行体用発着部44に、飛行体38が飛行体用発着部44に載置された状態で飛行体用発着部44が運搬用の無人作業機械12Aにより運搬される際、飛行体38の飛行体用発着部44からの抜落を防止する抜落防止部62を設けた。運搬用の無人作業機械12Aが走行する箇所が不整地であり、走行時のゆれや振動が飛行体用発着部44上に載置された飛行体38に作用した場合であっても、抜落防止部62によって飛行体用発着部44からの飛行体38の抜落が防止される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電部が収納されその上部が飛行体用発着部とされた筐体と、
前記給電部と給電ケーブルを介して接続された飛行体と、
を備える移動式飛行体装置であって、
前記飛行体用発着部に、前記移動式飛行体装置の移動時に前記飛行体の前記飛行体用発着部からの抜落を防止する抜落防止部が設けられている、
ことを特徴とする移動式飛行体装置。
【請求項2】
前記抜落防止部は、前記飛行体用発着部の周囲から起立する起立部を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の移動式飛行体装置。
【請求項3】
前記抜落防止部は、
前記筐体に設けられ第1の揺動位置と第2の揺動位置との間で揺動可能なアームと、
前記筐体に設けられ前記アームを前記第1の揺動位置と前記第2の揺動位置との間で揺動させるアクチュエータと、
可撓性の材料から形成され、その一端が前記第1の揺動位置に位置する前記アームの近傍の前記筐体の箇所に取着され、その他端が前記アームに取着され、前記第1の揺動位置で前記飛行体用発着部の上方を開放し、前記第2の揺動位置で前記飛行体用発着部上に位置する前記飛行体を上方から覆うシートとを含んで構成され、
前記筐体は、
無線回線を介して抜落防止部操作指令情報を受信する筐体側通信部と、
前記筐体側通信部で受信された前記抜落防止部操作指令情報に基づいて前記アクチュエータを制御する筐体側制御部とを備える、
ことを特徴とする請求項1記載の移動式飛行体装置。
【請求項4】
前記飛行体は、着地用の複数の脚部を有し、
前記複数の脚部の少なくとも下端は磁石に吸着される材料で形成され、
前記抜落防止部は、
前記飛行体用発着部に設けられ通電されることで磁力を発生する電磁石部と、
前記電磁石部への通電、非通電を切り替える通電部とを含んで構成され、
前記筐体は、
無線回線を介して抜落防止部操作指令情報を受信する筐体側通信部と、
前記筐体側通信部で受信された前記抜落防止部操作指令情報に基づいて前記通電部を制御する筐体側制御部とを備える、
ことを特徴とする請求項1記載の移動式飛行体装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記飛行体用発着部の下方で互いに対向する一対の側部と、前記対向する方向と直交する方向で互いに対向する一対の端部とを有し、
前記抜落防止部は、固定アームと、複数の中間可動アームと、駆動アームと、それらアームに架け渡されたシートと、前記駆動アームが一対の端部のうちの一方の端部に倒れた第1の揺動位置と一対の端部のうちの他方の端部に倒れた第2の揺動位置との間で揺動させるアクチュエータとを含んで構成され、
前記固定アームと複数の中間可動アームと駆動アームとは、前記一対の側部の中央にそれぞれそれらの基部が位置する一対のアーム本体と、それらアーム本体の先部を接続するロッドとを含んで構成され、
前記固定アームは、前記第1の揺動位置に固定され、
前記シートは、前記固定アームと複数の中間可動アームと駆動アームとのロッドに取着されると共にそれらアームの一対のアーム本体の先端側上半部に取着され、前記駆動アームの前記第1の揺動位置で前記飛行体用発着部の上方および側方を開放し、前記駆動アームの前記第2の揺動位置で前記飛行体用発着部上に位置する前記飛行体の上方および側方を覆い、
前記筐体は、
無線回線を介して抜落防止部操作指令情報を受信する筐体側通信部と、
前記筐体側通信部で受信された前記抜落防止部操作指令情報に基づいて前記アクチュエータを制御する筐体側制御部とを備える、
ことを特徴とする請求項1記載の移動式飛行体装置。
【請求項6】
前記飛行体用発着部は、衝撃を吸収するクッション材を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の移動式飛行体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式飛行体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人が立ち入ることができない危険な作業現場、例えば、火山の噴火に伴い堆積された土砂を運搬するような作業現場では、遠隔操作により無人運転されるクローラダンプ、ブルドーザ、バックホウ等の作業機械が用いられ、各種の作業が無人で行われる。
また、作業現場から離れた制御所には、作業機械に無線回線を介して接続された遠隔操作装置が設置され、作業者が遠隔操作装置を操作することで無線回線を介して指令情報が作業機械に送信され、その指令情報に基づいて作業機械が遠隔操作される。
また、作業機械にはカメラが設けられ、カメラで撮影した画像情報が無線回線を介して作業所に送信され、制御所に設置されたモニタ装置に画像情報が表示され、作業者は、モニタ装置を監視しつつ作業機械の遠隔操作を行なう。
しかしながら、作業現場において複数の作業機械が同時に作業を行なう場合、個々の作業機械のカメラからの画像情報だけでは、互いに近接した作業機械の位置関係を正確に把握することが難しく、作業機械同士が接触するといった事態を回避する上で改善の余地がある。
一方、近年、カメラおよびバッテリーを搭載した飛行体(ドローン)が監視用途で用いられており、このような飛行体を作業現場の上空に飛行させて複数の作業機械を撮像し、撮像した画像情報を得ることで作業機械同士の位置関係を正確に把握することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、飛行体はそれに搭載されたバッテリーの容量が限られていることから、飛行体の飛行時間は、通常15分程度しか確保できない。
飛行体は、制御所から離れた作業現場まで飛行し、所定時間の監視を行ったのち、バッテリーを充電するために再び制御所まで飛行する必要がある。
このような制御所と作業現場の往復に要する飛行によってバッテリーの電力を消費してしまうため、作業機械の監視を行なうための飛行時間は短いものとならざるを得ず、作業機械の監視を長時間にわたって連続して行なうことができない不利がある。
【0005】
そこで、大きな容量のバッテリーや発電装置などの給電部を収納した筐体を設け、この筐体の上部に、給電ケーブルを介して給電部に接続された飛行体を載置し、運搬用の無人作業機械によりこの筐体を作業現場に運び、作業現場において給電ケーブルを介して飛行体に給電部から給電することにより飛行体を飛行させることが考えられる。
このような方法によれば飛行体による作業機械の監視を長時間にわたって連続して行なうことが可能となる。
しかしながら、作業機械の監視時、運搬用の無人作業機械により制御所から作業現場に運搬される際に、あるいは、監視後、運搬用の無人作業機械により作業現場から制御所に運搬される際に、運搬用の無人作業機械が走行する箇所は多くの場合不整地であり、走行時の揺れや振動が筐体上の飛行体に作用する。
そのため、揺れや振動の大きさによっては、飛行体が筐体から地上に落下し、給電ケーブルにより飛行体を引きずって移動させることになり、飛行体が衝撃を受け、飛行体を構成する部品や部材が損傷したりあるいは劣化することが懸念される。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、運搬時に飛行体の落下を防止し、飛行体の耐久性の向上を図れ、長期間にわたって稼働率を確保し、監視作業を確実に行なう上で有利な移動式飛行体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、給電部が収納されその上部が飛行体用発着部とされた筐体と、前記給電部と給電ケーブルを介して接続された飛行体と、を備える移動式飛行体装置であって、前記飛行体用発着部に、前記移動式飛行体装置の移動時に前記飛行体の前記飛行体用発着部からの抜落を防止する抜落防止部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、飛行体用発着部に、飛行体が飛行体用発着部に載置された状態で飛行体用発着部が運搬用の無人作業機械により運搬される際、飛行体の飛行体用発着部からの抜落を防止する抜落防止部を設けた。
したがって、運搬用の無人作業機械が走行する箇所が不整地であり、走行時のゆれや振動が飛行体用発着部上に載置された飛行体に作用した場合であっても、抜落防止部によって飛行体用発着部からの飛行体の抜落が防止される。
そのため、揺れや振動によって飛行体が筐体上から地上に落下し、給電ケーブルにより飛行体を引きずることにより飛行体が衝撃を受け、飛行体を構成する部品や部材が損傷したりあるいは劣化することが防止され、飛行体の耐久性の向上を図れ、長期間にわたって稼働率を確保し、監視作業を確実に行なう上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態の作業機械の移動式飛行体装置が適用された作業機械の遠隔操作システムの全体構成を示す構成図である。
【
図2】移動式飛行体装置の動作を説明する説明図である。
【
図5】飛行体が筐体のデッキに搭載された状態を示す側面断面図である。
【
図6】第2の実施の形態における制御所、筐体、飛行体の構成を示すブロック図である。
【
図7】第2の実施の形態における筐体の側面図であり、アームが第1の揺動位置に位置した状態を示す。
【
図8】第2の実施の形態における筐体の平面図であり、アームが第1の揺動位置に位置した状態を示す。
【
図9】第2の実施の形態における筐体に飛行体が載置された状態を示す側面図であり、アームが第1の揺動位置に位置した状態を示す。
【
図10】第2の実施の形態における筐体に飛行体が載置された状態を示す平面図であり、アームが第2の揺動位置に位置した状態を示す。
【
図11】第2の実施の形態における筐体に飛行体が載置された状態を示す側面図であり、アームが第2の揺動位置に位置した状態を示す。
【
図13】第3の実施の形態における制御所、筐体、飛行体の構成を示すブロック図である。
【
図14】第3の実施の形態における筐体に飛行体が載置された状態を示す側面図である。
【
図15】第4の実施の形態における制御所、筐体、飛行体の構成を示すブロック図である。
【
図16】第4の実施の形態における筐体の側面図であり、駆動アームが第1の揺動位置に位置した状態を示す。
【
図17】第4の実施の形態における筐体の平面図であり、駆動アームが第1の揺動位置に位置した状態を示す。
【
図18】第4の実施の形態における筐体に飛行体が載置された状態を示す側面図であり、駆動アームが第2の揺動位置に位置した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
まず、本発明に係る移動式飛行体装置が適用される作業機械の遠隔操作システムについて説明する。
図1に示すように、遠隔操作システムは、制御所10と、複数の作業機械12とを含んで構成されている。
制御所10は、作業機械12が作業を行なう人が立ち入れない危険な作業現場から離れた場所に設けられ、作業者が作業機械12の遠隔操作を行なう箇所である。
なお、本明細書において、作業現場とは、複数の作業機械12により作業される作業領域13と、筐体36が載置される作業領域13の周辺の箇所とを含むものとする。
制御所10には、作業機械用遠隔操作司令部14、第1通信部16、第1表示部18、飛行体用遠隔操作司令部22、第2通信部24、第2表示部26が設けられている。
また、制御所10には、後述する筐体36の燃料タンク48よりも大型の燃料タンク(不図示)が設けられている。
【0010】
作業機械用遠隔操作司令部14は、ジョイスティックなどの操作部材を作業者が操作することで作業機械12を遠隔操作するための作業機械操作指令情報を生成するものである。
第1通信部16は、第1無線回線C1を介して作業機械12の作業機械側通信部30と通信を行なうものであり、第1無線回線C1用の第1アンテナ1602を有している。
すなわち、第1通信部16は、作業機械操作指令情報を第1無線回線C1を介して作業機械12の作業機械側通信部30に送信する。
本実施の形態では、第1無線回線C1の周波数帯は、2.4GHz帯であり、第1通信部16と作業機械側通信部30との間に障害物が存在しても比較的遠いところまで電波が届き、通信が支障なく行われるように図られている。
また、第1通信部16は、作業機械側カメラ28で撮像された画像情報を作業機械12の作業機械側通信部30から第1無線回線C1を介して受信する。
第1表示部18は、第1通信部16で受信された画像情報を表示する。
したがって、作業者は、第1表示部18によって表示された画像情報に基づいて作業機械12の遠隔操作を行なうことができるように図られている。
【0011】
飛行体用遠隔操作司令部22は、ジョイスティックなどの操作部材を作業者が操作することで飛行体38を遠隔操作するための飛行体操作指令情報を生成するものである。
第2通信部24は、第2無線回線C2および筐体36の筐体側通信部50を介して飛行体38と通信を行なうものであり、飛行体38に飛行体操作指令情報を送信し、飛行体38から送信される画像情報を受信するものであり、第2無線回線C2用の第2アンテナ2402を有している。
本実施の形態では、第2無線回線C2の周波数帯は、25GHz帯であり、第1無線回線C1の周波数帯よりも高い周波数帯となっている。
第2表示部26は、第2通信部24で受信された画像情報を表示するものである。
したがって、作業者は、第2表示部26によって表示された画像情報に基づいて飛行体38の遠隔操作を行なうと共に、上記画像情報に基づいて複数の作業機械12の作業状況や作業機械12同士の位置関係を把握することができるように図られている。
【0012】
作業機械12は、作業機械側カメラ28、作業機械側通信部30、作業機械側制御部32、アクチュエータ34、操作レバー35を含んで構成されている。
作業機械側カメラ28は、作業機械12の車体に取着され、作業機械12の周囲を撮像して画像情報を生成するものである。
作業機械側通信部30は、第1無線回線C1を介して第1通信部16と通信を行なうものであり、作業機械側アンテナ3002を有し、第1無線回線C1を介して作業機械操作指令情報を受信し、また、作業機械側カメラ28で生成された画像情報を第1無線回線C1を介して第1通信部16に送信する。
作業機械側制御部32は、第1無線回線C1を介して第1通信部16で受信された作業機械操作指令情報に基づいてアクチュエータ34を動作させるものである。
操作レバー35は、作業機械12の走行、停止、各種の動作を行わせる際に操作されるものであり、操作レバー35は複数設けられている。
アクチュエータ34は、各操作レバー35毎に設けられており、各操作レバー35を操作するものである。
【0013】
次に、本実施の形態の移動式飛行体装置20について説明する。
移動式飛行体装置20は、第1無線回線C1を介して遠隔操作される複数の作業機械12を監視するものである。
移動式飛行体装置20は、筐体36と、飛行体38と、筐体36と飛行体38とを接続する接続ケーブル40とを含んで構成されている。
接続ケーブル40は、後述する発電機4604(
図4参照)の電力を飛行体38に給電する給電ケーブル4002と、筐体側通信部50と飛行体側通信部54との間で情報を伝達する通信ケーブル4004とを備えている。
【0014】
筐体36は、作業機械12の作業領域13の近傍の地上に載置されるものである。
図2に示すように、具体的には、筐体36は、飛行体38および接続ケーブル40と共に、制御所10と、作業機械12の作業領域13の近傍の箇所との間でフォークリフトなどの運搬用の無人作業機械12Aにより運搬され、作業機械12の監視時に作業機械12の作業領域13の近傍の地上に載置される。
この運搬用の無人作業機械12Aも、作業現場で作業を行なう作業機械12と同様に、制御所10の作業機械用遠隔操作司令部14により遠隔操作される。
【0015】
図3,
図4に示すように、筐体36の上部は飛行体用発着部44とされ、筐体36の内部には燃料を用いて発電を行なう発電装置46と、燃料を貯留する燃料タンク48と、筐体側通信部50と、巻取部52とが収納され、筐体36は降雨の際に内部に雨水が侵入しないように防水性を有している。
筐体36は、平面視矩形状を呈し、矩形状の底壁3602と、底壁3602の4辺から起立する4つの側壁3604と、4つの側壁3604の上部を接続する上壁3606と、底壁3602の4つの角部寄りの箇所から垂設された4つの脚部3608とを備えている。
4つの脚部3608が地上に載置されることで地上と底壁3602との間に空間が形成されるため、この空間に無人作業機械12Aのフォークを挿入することで筐体36の運搬を容易に行えるように図られている。
【0016】
発電装置46は、エンジン4602と、発電機4604とを含んで構成されている。
エンジン4602は、燃料タンク48から供給される燃料を燃焼して動力を発生する。
発電機4604は、エンジン4602の動力で駆動されて発電を行なう。
燃料タンク48は、タンク本体4802と、給油口4804とを含んで構成されている。
エンジン4602と発電機4604とタンク本体4802は、筐体36内の一側に配置され、タンク本体4802から突設された給油管4806が側壁3604を貫通し、この給油管4806の端部の給油口4804が筐体36の外部に位置し、給油口4804は給油キャップ4808により開閉可能とされている。
タンク本体4802は、例えば、10~15リットル程度の燃料を貯留でき、発電機4604により発生した電力により9時間~10時間程度の飛行体38の連続飛行時間が確保される。
発電装置46の始動は、例えば、運搬用の無人作業機械12Aにより制御所10から作業機械12の作業領域13の近傍の箇所に運搬される前に、制御所10において、エンジン4602に設けられたリコイルスタータのロープを手動で引っ張りエンジン4602のクランクを強制的に回転させることでなされる。
発電装置46の停止は、例えば、エンジン4602に設けられた停止ボタンを操作することでなされる。
本実施の形態では、発電装置46により給電部が構成されている。
【0017】
図1に示すように、筐体側通信部50は、制御所10に設けられた飛行体用遠隔操作司令部22との間で通信を行なうと共に、飛行体38の飛行体側通信部54との間で通信を行なうものであり、
図4に示すように、筐体側通信部50には配線部51を介して発電機4604の電力が給電され、筐体側通信部50は筐体36内の他側に配置されている。
筐体側通信部50は、第2無線回線C2用の筐体側アンテナ5002を有し、飛行体用遠隔操作司令部22から第2無線回線C2を介して送信された飛行体操作指令情報を通信ケーブル4004を介して飛行体38に送信すると共に、飛行体側カメラ56で撮像され通信ケーブル4004を介して受信した画像情報を第2無線回線C2を介して制御所10に設けられた第2表示部26に送信する。
【0018】
巻取部52は、給電ケーブル4002と通信ケーブル4004とを含む接続ケーブル40の巻き取り、繰り出しを行なうものである。
巻取部52は巻取胴5202を含んで構成され、巻取胴5202は接続ケーブル40を巻き取る回転方向に常時付勢されており、飛行体38が付勢力に抗した推力で飛行することにより巻取胴5202から接続ケーブル40が繰り出される。
したがって、繰り出された接続ケーブル40には一定の張力が作用しており、接続ケーブル40のたるみが抑制されるように図られている。
【0019】
図5に示すように、飛行体38は、飛行体本体3802と、飛行体本体3802の下部に設けられた脚部3804と、飛行体本体3802に設けられた複数のロータ3806とを備え、それらロータ3806を回転させることにより空中を飛行、あるいは、空中で静止(ホバリング)するものである。なお、図中、符号3810はロータ3806を保護するガードリングを示す。
図1に示すように、さらに、飛行体38は、飛行体側通信部54と、飛行体側カメラ56と、飛行体側制御部58と、各ロータ3806ごとに設けられロータ3806を回転させる複数のモータ60とを含んで構成されている。
飛行体側通信部54は、筐体側通信部50から通信ケーブル4004を介して飛行体操作指令情報を受信すると共に、飛行体側カメラ56で撮像された画像情報を通信ケーブル4004を介して筐体側通信部50へ送信するものである。
飛行体側カメラ56は、飛行体本体3802に取着され、撮像した画像情報を飛行体側通信部54に供給するものである。
飛行体側制御部58は、飛行体側通信部54で受信された飛行体操作指令情報に基づいて各モータ60の回転制御を行なうことにより飛行体38の飛行、静止を行なうものである。
飛行体側通信部54、飛行体側カメラ56、飛行体側制御部58、モータ60は、給電ケーブル4002を介して筐体36の発電装置46から給電される電力によって動作する。
【0020】
図4、
図5に示すように、飛行体用発着部44は、筐体36の上部に設けられ飛行体38が離着陸する箇所であり、本実施の形態では、飛行体用発着部44は上壁3606で構成されている。
飛行体用発着部44の中央に、巻取部52により巻き取られ繰り出される接続ケーブル40の挿通孔3610が設けられている。
挿通孔3610にはシール材41が装着され、接続ケーブル40はシール材41を介して巻取部52により巻き取られ繰り出されるように構成されている。
したがって、挿通孔3610から雨水が筐体36の内部に侵入することが防止されている。
また、飛行体用発着部44は、クッション材45を含んで構成され、本実施の形態では飛行体用発着部44の表面がクッション材45で形成されている。
このように飛行体用発着部44をクッション材45を含んで構成することで、飛行体38が飛行体用発着部44に載置された状態で移動式飛行体装置20が運搬用の無人作業機械12Aにより運搬される際、筐体36が受ける振動が飛行体38に直接伝わらないように図られ、飛行体38の耐久性が高められている。
このようなクッション材45としては、発泡ウレタンや軟質なゴム、スポンジなど従来公知の様々な材料が使用可能である。
【0021】
また、
図3~
図5に示すように、飛行体用発着部44に、抜落防止部62が設けられている。
抜落防止部62は、飛行体38が飛行体用発着部44に載置された状態で移動式飛行体装置20が運搬用の無人作業機械12Aにより運搬される際、飛行体38の飛行体用発着部44からの抜落を防止するものである。
本実施の形態では、抜落防止部62は、飛行体用発着部44の周囲から起立する起立部64で構成されており、起立部64は、上壁3606の周囲全周から起立する起立壁6402で構成されている。
なお、起立部64は、飛行体38の抜落を防止できればよいのであり、起立部64は、柵のように部分的に隙間が形成されているものであってもよく、すなわち、飛行体用発着部44の周囲全周において周方向に間隔をおいて立設された起立壁でもよい。
また、起立壁6402や柵の高さは、飛行体38が飛行体用発着部44に載置された状態で、飛行体38の高さの1/2以上の寸法を有していることが飛行体38の抜落を防止する上でより有利となる。
【0022】
次に移動式飛行体装置20の使用方法について説明する。
飛行体用発着部44上に飛行体38が載置された移動式飛行体装置20は、作業現場から離れた制御所10に保管されている。
この際、巻取部52によって接続ケーブル40のほぼ全長が巻き取られ、接続ケーブル40の張力によって飛行体38の脚部3804が飛行体用発着部44上に安定して載置された状態となり、運搬時の振動や衝撃によって飛行体38が飛行体用発着部44から落下することを防止する上で有利となる。
また、作業機械12の作業領域13の近傍の箇所へ運搬する前に、制御所10においてエンジン4602を始動させ発電機4604の電力が各部に供給される状態としておく。
【0023】
次に、フォークリフトなどの運搬用の無人作業機械12Aのフォークを移動式飛行体装置20の筐体36の底壁3602と地上との間の空間に挿入して移動式飛行体装置20を持ち上げ、遠隔操作により運搬用の無人作業機械12Aを制御所10から作業機械12の作業領域13の近傍の箇所まで運搬し、フォークを下げて移動式飛行体装置20を作業領域13の近傍の地上に載置する。
運搬用の作業機械の走行中、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38は、抜落防止部62を構成する起立部64(起立壁6402)で囲まれているので、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、飛行体38の落下が防止される。
なお、運搬用の無人作業機械12Aはいったん制御所10まで戻してもよく、また、筐体36の近傍に待機させた状態としてもよい。
あるいは、移動式飛行体装置20をフォークで保持したままで運搬用の作業機械12Aを作業領域13の近傍の箇所に停止させておき、作業終了後、運搬用の作業機械12Aで移動式飛行体装置20を制御所10まで運搬してもよい。
作業者は、制御所10において、第2表示部26に表示される画像情報を視認しつつ、飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体38を飛行させ、複数の作業機械12の作業状態を撮像した画像情報が第2表示部26に表示されるように飛行体38の遠隔操作を行なう。
所望の画像情報が第2表示部26に表示されたならば、飛行体38が空中で静止するように遠隔操作を行なう。
これにより、発電装置46の電力により飛行する飛行体38が空中で静止した状態が維持され、発電装置46の電力が給電された飛行体側カメラ56により複数の作業機械12の作業状態を撮像した画像情報を連続して監視することができる。
また、時間経過と共に、作業機械12が移動し、飛行体側カメラ56の撮影範囲から作業機械12が外れる場合は、作業者が飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体側カメラ56の撮影範囲内に複数の作業機械12が入るように飛行体38の遠隔操作を行なう。
本実施の形態では、複数の作業領域13においてそれぞれ複数の作業機械12による作業が行われており、各作業領域13毎に飛行体38を備える移動式飛行体装置20がそれら領域の近傍に載置され、各作業領域13毎に飛行体38による監視がなされる。
【0024】
作業終了時間になったならば、第2表示部26に表示される画像情報を視認しつつ、飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体38を移動式飛行体装置20の飛行体用発着部44の上に着陸させる。
次いで、遠隔操作により運搬用の無人作業機械12Aによって移動式飛行体装置20を回収し、制御所10まで運搬させる。
運搬用の無人作業機械12Aによる移動式飛行体装置20の運搬中に、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、抜落防止部62により、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の落下が防止されることは上述した場合と同様である。
運搬用の無人作業機械12Aが制御所10に到達したならば、運搬用の無人作業機械12Aから移動式飛行体装置20を下ろし、発電装置46の発電を停止させる。
そして、次回の監視作業の準備として、燃料タンク48の給油キャップ4808を外し、制御所10に設けられた大型の燃料タンクから燃料を給油口4804に補給し、一連の作業を終了して移動式飛行体装置20を制御所10に保管する。
【0025】
本実施の形態によれば、飛行体用発着部44に、飛行体38が飛行体用発着部44に載置された状態で飛行体用発着部44が運搬用の無人作業機械12Aにより運搬される際、飛行体38の飛行体用発着部44からの抜落を防止する抜落防止部62を設けた。
したがって、運搬用の無人作業機械12Aが走行する箇所が不整地であり、走行時のゆれや振動が飛行体用発着部44上に載置された飛行体38に作用した場合であっても、抜落防止部62によって飛行体用発着部44からの飛行体38の抜落が防止される。
そのため、揺れや振動によって飛行体38が筐体36上から地上に落下し、給電ケーブル4002により飛行体38を引きずることにより飛行体38が衝撃を受け、飛行体38を構成する部品や部材が損傷したりあるいは劣化することが防止されるので、飛行体38の耐久性の向上を図れ、長期間にわたって稼働率を確保し、監視作業を確実に行なう上で有利となる。
【0026】
また、本実施の形態では、飛行体用発着部44の周囲から起立する起立部64といった簡単な構造で抜落防止部62を構成したので、飛行体38のロータ3806の大きさや数やその配置構造、あるいは、脚部3804の大きさや数やその配置構造の如何を問わず飛行体38の飛行体用発着部44からの抜落を確実に防止でき、さらに、抜落防止部62の簡素化、低コスト化を図る上で有利となる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、第1無線回線C1を介して遠隔操作される作業機械12の作業領域13の近傍の地上に載置される移動式飛行体装置20に設けられた発電装置46から給電ケーブル4002を介して飛行体38に電力を供給するようにしたので、例えば、午前8時から午後5時までの9時間、遠隔操作される作業機械12の監視を連続して途切れることなく行なう上で有利となる。
飛行体38による連続して9時間程度の監視は、燃料タンク48の容量が10~15リットル程度あれば十分に行なうことが可能であり、したがって、従来行なえなかった飛行体38による連続した長時間の監視を実現することが可能となり、複数の作業機械12による作業を効率よく円滑に行なう上で有利となる。
【0028】
また、監視作業の終了後、運搬用の無人作業機械12Aにより移動式飛行体装置20が制御所10に運搬されたならば、給油キャップ4808を外して燃料タンク48に不図示の大型の燃料タンクから給油することにより、翌日の監視作業のための準備作業が短時間で簡単に終了する。
したがって、本実施の形態では、制御所10には大型の燃料タンクを設置することで足り、大きな容量のバッテリーを運搬用の無人作業機械12Aにより作業機械12の作業領域13の近傍の箇所に運び、このバッテリーの電力を給電ケーブルを介して飛行体38に供給することにより飛行体38を飛行させる場合に比べて、翌日の監視作業を行なうための準備作業を極めて短時間で簡単に行なう上で有利となる。
特に、複数の作業領域13に対応して複数の飛行体38が設けられる場合、準備作業を短時間で簡単に行なう上できわめて有利となる。
また、制御所10には、高価な充電設備は不要となり、充電設備に比べて安価な燃料タンクを設置することで足りることから、監視にまつわるコストを低減する上で有利となる。
すなわち、大きな容量のバッテリーを運搬用の無人作業機械12Aにより作業現場に運び、このバッテリーの電力で飛行体38を飛行させる場合には、制御所10には高価な充電設備を設置する必要があり、また、大きな容量のバッテリーの充填時間にも時間を要する。
特に、複数の作業領域13に対応して複数の飛行体38が設けられる場合、複数の大きな容量のバッテリーの充電を行なわなければならないため、翌日の監視作業の準備作業を短時間で簡単に行なうことができず、監視にまつわるコストを低減する上で不利となる。
【0029】
また、筐体36と離れた位置に配置された制御所10と筐体36との間を第2無線回線C2で接続し、筐体36と飛行体38とを通信ケーブル4004で接続するので、第2無線回線C2と第1無線回線C1との混信を回避でき、複数の作業機械12の遠隔操作、飛行体38の遠隔操作を安定して行なう上で有利となり、作業機械12の作業効率の向上を図ると共に、飛行体38による監視作業の安定化を図る上で有利となる。
この場合、筐体側通信部50に発電装置46から電力が給電されるので、制御所10との間の通信および飛行体38との間の通信も安定して行なわれ、作業機械12の監視を行なう上で有利となる。
また、筐体36の発電装置46と燃料タンク48と筐体側通信部50と巻取部52が防水性を有する筐体36に収納されているので、降雨時であっても作業機械12の監視作業を円滑に行なう上で有利となる。
【0030】
また、本実施の形態によれば、飛行体用発着部44の中央に、巻取部52により巻き取られ繰り出される接続ケーブル40の挿通孔3610が設けられているので、飛行体38を飛行体用発着部44の中央に安定して載置することができる。
そのため、移動式飛行体装置20を運搬用の無人作業機械12Aで運搬する際に飛行体38の飛行体用発着部44からのずれや落下を防止する上で有利となり、運搬用の無人作業機械12Aによる運搬時における飛行体38の損傷を防止し、飛行体38の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0031】
また、本実施の形態によれば、飛行体用発着部44の表面は、クッション材45で構成されているので、飛行体38が飛行体用発着部44に載置された状態で移動式飛行体装置20を運搬用の無人作業機械12Aで運搬する際に、筐体36が受ける振動が飛行体38に直接伝わらず、飛行体38の耐久性を高める上で有利となる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、第2無線回線C2の周波数帯は第1無線回線C1の周波数帯よりも高いので、第2無線回線C2と第1無線回線C1との干渉を確実に回避でき、複数の作業機械12の遠隔操作、飛行体38の遠隔操作を安定して行なう上で有利となり、作業機械12の作業効率の向上を図ると共に、飛行体38による監視作業の安定化を図る上で有利となる。
また、筐体36と制御所10とを接続する第2無線回線C2の周波数帯を高くすることで、第2無線回線C2の無線伝送速度を高くできるため、飛行体側カメラ56から供給される大容量の画像情報を高速に制御所10の第2表示部26に送信する上で有利となる。
また、高い周波数帯の電波は、直進性が高く広い範囲に電波が到達しにくい性質を有しているが、筐体36は、いったん地上に載置したら移動する必要がほとんどないため、制御所10と筐体36との相対的な位置関係がほぼ固定されることから、第2無線回線C2を用いた通信を安定して行なう上で問題はない。
具体的には、制御所10の第2通信部24の第2アンテナ2402の向きを、筐体36の筐体側通信部50の筐体側アンテナ5002の向きに対応して調整すれば、第2無線回線C2を用いた通信を安定して行なうことができる。
【0033】
また、本実施の形態では、第1無線回線C1の周波数帯を2.4GHz帯とし、第2無線回線C2の周波数帯を25GHz帯としたので、入手が容易で安価な市販の通信機器を用いることができ有利となる。
なお、第1無線回線C1、第2無線回線C2の周波数帯は、2.4GHz帯、25GHz帯に限定されるものではない。
しかしながら、少なくとも、第2無線回線C2の周波数帯が第1無線回線C1の周波数帯よりも高いと、第1無線回線C1と第2無線回線C2との干渉を回避できるため、複数の作業機械12の遠隔操作、飛行体38の遠隔操作を安定して行なう上で有利となり、作業機械12の作業効率の向上を図ると共に、飛行体38による監視作業の安定化を図る上で有利となり、また、第2の無線回線による無線伝送速度を高くできるため、飛行体側カメラ56から供給される大容量の画像情報を高速に送信する上で有利となる。
【0034】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について
図6~
図12を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施の形態は、抜落防止部62が飛行体38を覆うシート74を用いて構成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0035】
図6に示すように、制御所10は、第1の実施の形態の構成に加えて、抜落防止用遠隔操作司令部66が設けられている。
作業者が抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、抜落防止用遠隔操作司令部66は、抜落防止部操作指令情報を生成し、抜落防止部操作指令情報を第2通信部24、第2無線回線C2、筐体側通信部50を介して後述する筐体側制御部68に供給する。
【0036】
筐体36は、第1の実施の形態の構成に加えて、筐体側制御部68を備えている。
筐体側制御部68は、抜落防止用遠隔操作司令部66から第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して受信した抜落防止部操作指令情報に基づいて後述するアクチュエータ72を制御するものである。
なお、筐体側制御部68およびアクチュエータ72は、発電装置46から給電されることで動作する。
【0037】
図7~
図10に示すように、抜落防止部62は、アーム70、アクチュエータ72、シート74を含んで構成されている。
アーム70は、筐体36に設けられ第1の揺動位置P1(
図7)と第2の揺動位置P2(
図11)との間で揺動可能である。
本実施の形態では、アーム70は、一対のアーム本体7002と、ロッド7004とを備えている。
一対のアーム本体7002は、筐体36の対向する一対の側壁3604を挟むように設けられている。
一対のアーム本体7002の基部は、一対の側壁3604の幅方向の中央に配置され、
図7、
図9、
図11に示すように、アーム本体7002が水平に倒れた第1の揺動位置P1と第2の揺動位置P2では、一対のアーム本体7002の先部は、筐体36の側方に離れた箇所に位置する。
なお、
図11において点Aと点Bとを結ぶ二点鎖線は、アーム本体7002が第1の揺動位置P1から第2の揺動位置P2に揺動した際のアーム本体7002の先端の移動軌跡を示す。
【0038】
一対の側壁3604の一方の側壁3604の内側にアクチュエータ72が支持され、一方のアーム本体7002の基部は、一方の側壁3604を貫通したアクチュエータ72の駆動軸7202に連結されている。
アクチュエータ72は、モータ72Aで構成され、モータ72Aは、筐体側制御部68により回転が制御される。
モータ72Aの駆動軸7202が正逆方向に回転することでアーム70は
図7、
図8、
図9に示す第1の揺動位置P1と、
図10、
図11に示す第2の揺動位置P2との間で揺動される。
一対の側壁3604の他方の側壁3604の内側に軸受76が支持され、他方のアーム本体7002の基部には支軸7010が設けられ、支軸7010は他方の側壁3604を貫通し軸受76で回動可能に支持されている。
なお、駆動軸7202と支軸7010は同軸上に位置し、それらは一対のアーム本体7002の支点となる。
ロッド7004は、一対のアーム本体7002の延在方向と直交する方向に延在し、一対のアーム本体7002の先端間を接続している。
【0039】
シート74は、可撓性の材料から形成され、本実施の形態では、平面視矩形状を呈し、本実施の形態では長方形である。
図7,
図8に示すように、シート74は、その一方の短辺が第1の揺動位置P1に位置するアーム本体7002の基部の近傍の筐体36の箇所に取着され、その他方の短辺がロッド7004に取着されている。
シート74は、アーム70の第1の揺動位置P1で飛行体用発着部44の上方を開放し、飛行体用発着部44からの飛行体38の離陸、飛行体用発着部44への飛行体38の着陸が可能な状態となる。
また、
図9~
図12に示すように、シート74は、アーム70の第2の揺動位置P2で飛行体用発着部44上に位置する飛行体38を覆い、飛行体38がシート74により飛行体用発着部44上で移動しにくく飛行体用発着部44からの抜落が阻止された状態となる。
本実施の形態では、平面視した場合、シート74は、飛行体38よりも大きい輪郭で形成されており、アーム70が第2の揺動位置P2となってシート74が展開された状態で、シート74は、ロータ3806の直上に位置する部分74Aと、
図12に示すように、シート74の自重により垂れ下がり一対のアーム本体7002の支点(支軸7010および駆動軸7202)を結ぶ方向における飛行体38の両側のロータ3806の側方にそれぞれ位置する部分74Bと、
図11に示すように、シート74の自重により垂れ下がり一対のアーム本体7002の支点を結ぶ方向と直交する方向における飛行体38の両側のロータ3806の側方にそれぞれ位置する部分74Cとを有し、部分74Aにより飛行体38の上方への動きが阻止され、部分74B、74Cにより飛行体用発着部44上で直交する2方向における飛行体38の動きが阻止され、飛行体用発着部44からの飛行体38の抜落を阻止する上で有利となる。
また、
図11、
図12に示すように、シート74が飛行体用発着部44上に位置する飛行体38を覆った際に、各ロータ3806はガードリング3810を介してシート74によって覆われるため、各ロータ3806にシート74の自重が作用せず、各ロータ3806の保護を図る上で有利となる。
【0040】
次に移動式飛行体装置20の使用方法について説明する。
第1の実施の形態と同様に、飛行体用発着部44上に飛行体38が位置する移動式飛行体装置20は、作業現場から離れた制御所10に保管されている。
この場合、抜落防止部62のアーム70が第2の揺動位置P2に位置し、シート74により飛行体用発着部44上に位置する飛行体38が覆われた状態としておく。
そして、作業機械12の作業領域13の近傍の箇所へ運搬する前に、制御所10においてエンジン4602を始動させ発電機4604の電力が各部に供給される状態としておく。
そして、第1の実施の形態の場合と同様に、フォークリフトなどの運搬用の無人作業機械12Aを用いて移動式飛行体装置20を持ち上げ、遠隔操作により運搬用の無人作業機械12Aを制御所10から作業機械12の作業領域13の近傍の箇所まで運搬し、フォークを下げて移動式飛行体装置20を地上に載置する。
運搬用の作業機械の走行中、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38はシート74により覆われ、飛行体38がシート74により飛行体用発着部44上で移動しにくい状態となるので、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、飛行体38の落下が防止される。
そして、制御所10において作業員が抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、抜落防止用遠隔操作司令部66から抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68がモータ72Aを回転させ、アーム70を第2の揺動位置P2から第1の揺動位置P1に揺動させる。
これにより、飛行体用発着部44の上方が開放され、飛行体38の飛行体用発着部44からの離陸、着陸が可能な状態となる。
したがって、作業者は、制御所10において、第2表示部26に表示される画像情報を視認しつつ、飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体38を飛行させ、飛行体側カメラ56により複数の作業機械12の作業状態を撮像した画像情報を連続して監視する。
【0041】
作業終了時間になったならば、第2表示部26に表示される画像情報を視認しつつ、飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体38を移動式飛行体装置20の飛行体用発着部44の上に着陸させる。
次いで、作業員が抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、抜落防止用遠隔操作司令部66から抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68がモータ72Aを回転させ、アーム70を第1の揺動位置P1から第2の揺動位置P2に揺動させる。
これにより、シート74が飛行体用発着部44上に位置する飛行体38を覆った状態となる。
次いで、遠隔操作により運搬用の無人作業機械12Aによって移動式飛行体装置20を回収し、制御所10まで運搬させる。
運搬用の無人作業機械12Aによる移動式飛行体装置20の運搬中に、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、抜落防止部62により、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の落下が防止されることは上述した場合と同様である。
運搬用の無人作業機械12Aが制御所10に到達したならば、運搬用の無人作業機械12Aから移動式飛行体装置20を下ろし、発電装置46の発電を停止させる。
そして、次回の監視作業の準備として、燃料タンク48に燃料を補給し、一連の作業を終了して移動式飛行体装置20を制御所10に保管する。
なお、移動式飛行体装置20を制御所10に保管する際に、抜落防止部62のアーム70を第2の揺動位置P2から第1の揺動位置P1として飛行体用発着部44の上方を開放し、飛行体38を飛行体用発着部44とは別の場所に保管するなど任意である。
この場合は、次に移動式飛行体装置20を作業現場に運搬するに先立って、飛行体38を飛行体用発着部44の上に載置し、抜落防止部62のアーム70を第1の揺動位置P1から第2の揺動位置P2としてシート74により飛行体用発着部44に載置された飛行体38を覆うようにすればよい。
【0042】
第2の実施の形態によれば、シート74によって飛行体用発着部44に載置された飛行体38を覆うことにより、飛行体38がシート74により飛行体用発着部44上で移動しにくい状態としたので、運搬時に飛行体38に作用するゆれや振動に対して飛行体38の落下を阻止できるため、飛行体38の耐久性の向上を図れ、長期間にわたって稼働率を確保し、監視作業を確実に行なう上でより有利となる。
また、抜落防止部62は、シート74によって飛行体用発着部44に載置された飛行体38を上方から覆うことにより、飛行体38を飛行体用発着部44上で移動しにくい状態にするので、飛行体38のロータ3806の大きさや数やその配置構造、あるいは、脚部の大きさや数やその配置構造の如何を問わず飛行体38の飛行体用発着部44からの抜落を確実に防止する上で有利となる。
また、降雨時に、シート74が飛行体用発着部44上に位置する飛行体38を覆った状態とすることで、飛行体38を雨水から保護することができ、飛行体38の故障や劣化を抑制する上で有利となり、飛行体38の耐久性の向上を図る上で有利となる。
なお、本実施の形態では、アーム70を一対のアーム本体7002とロッド7004とを含んで構成した場合について説明したが、アーム70を、単一のアーム本体7002とロッド7004とで構成してもよい。ただし、実施の形態のようにアーム70を一対のアーム本体7002を含んで構成すると、シート74の開閉を円滑に行なう上で有利となる。
【0043】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について
図13、
図14を参照して説明する。
第3の実施の形態は、抜落防止部62が電磁石を用いて構成されている点が第1、第2の実施の形態と異なっている。
【0044】
図13に示すように、制御所10は、第2の実施の形態と同様に、抜落防止用遠隔操作司令部66が設けられている。
作業者が抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、抜落防止用遠隔操作司令部66は、抜落防止部操作指令情報を生成し、抜落防止部操作指令情報を第2通信部24、第2無線回線C2、筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に供給する。
【0045】
筐体36は、第2の実施の形態と同様に、筐体側制御部68を備えている。
筐体側制御部68は、抜落防止用遠隔操作司令部66から第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して受信した抜落防止部操作指令情報に基づいて後述する通電部80を制御するものである。
なお、筐体側制御部68および通電部80は、発電装置46から給電されることで動作する。
図13、
図14に示すように、抜落防止部62は、電磁石部78、通電部80を含んで構成されている。
電磁石部78は、飛行体用発着部44に設けられ通電されることで磁力を発生するものである。
本実施の形態では、電磁石部78は、挿通孔3610の周囲を除く上壁3606の上面のほぼ全域にわたって設けられている。
また、電磁石部78と上壁3606の上面との間のほぼ全域にわたってクッション材45が設けられており、飛行体38が飛行体用発着部44に載置された状態で移動式飛行体装置20を運搬用の無人作業機械12Aで運搬する際に、筐体36が受ける振動が飛行体38に直接伝わらず、飛行体38の耐久性を高めるように図られている。
通電部80は、電磁石部78への通電、非通電を切り替えるものであり、筐体側制御部68の制御により動作される。
【0046】
また、飛行体38の複数の脚部3804の少なくとも下端は磁石に吸着される材料82で形成されている。このような材料として、鉄や合金など従来公知の様々な材料が使用可能である。
【0047】
次に移動式飛行体装置20の使用方法について説明する。
第1、第2の実施の形態と同様に、飛行体用発着部44上に飛行体38が位置する移動式飛行体装置20は、作業現場から離れた制御所10に保管されている。
そして、作業機械12の作業領域13の近傍の箇所へ運搬する前に、制御所10においてエンジン4602を始動させ発電機4604の電力が各部に供給される状態としておく。
次いで、制御所で作業員が抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、抜落防止用遠隔操作司令部66から抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68が通電部80を制御して電磁石部78を通電させ、電磁石部78の磁力を発生させ、飛行体38の各脚部3804の、磁石に吸着される材料82で形成された下端を電磁石部78で吸着した状態とする。
そして、第1、第2の実施の形態と同様に、フォークリフトなどの運搬用の無人作業機械12Aを用いて移動式飛行体装置20を持ち上げ、遠隔操作により運搬用の無人作業機械12Aを制御所10から作業機械12の作業領域13の近傍の箇所まで運搬し、フォークを下げて移動式飛行体装置20を地上に載置する。
運搬用の作業機械の走行中、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38は各脚部3804の下端が電磁石部78の磁力によって電磁石部78に吸着され、飛行体38が飛行体用発着部44上で移動しにくい状態となるので、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、飛行体38の落下が防止される。
そして、作業員が抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、抜落防止用遠隔操作司令部66から抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68が通電部80を制御して電磁石部78を非通電とし、電磁石部78の磁力の発生を停止させ、飛行体38の各脚部3804の下端を電磁石部78で吸着した状態を解除する。
これにより、飛行体38の飛行体用発着部44からの離陸が可能な状態となる。
したがって、作業者は、制御所10において、第2表示部26に表示される画像情報を視認しつつ、飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体38を飛行させ、飛行体側カメラ56により複数の作業機械12の作業状態を撮像した画像情報を連続して監視する。
【0048】
作業終了時間になったならば、第2表示部26に表示される画像情報を視認しつつ、飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体38を移動式飛行体装置20の飛行体用発着部44の上に着陸させる。
次いで、作業員が抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、抜落防止用遠隔操作司令部66から抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68が通電部80を制御して電磁石部78を通電させ、電磁石部78の磁力を発生させ、飛行体38の各脚部3804の下端を電磁石部78で吸着した状態とする。
次いで、遠隔操作により運搬用の無人作業機械12Aによって移動式飛行体装置20を回収し、制御所10まで運搬させる。
運搬用の無人作業機械12Aによる移動式飛行体装置20の運搬中に、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、抜落防止部62により、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の落下が防止されることは上述した場合と同様である。
運搬用の無人作業機械12Aが制御所10に到達したならば、運搬用の無人作業機械12Aから移動式飛行体装置20を下ろし、発電装置46の発電を停止させる。
これにより、通電部80への給電が停止するため、電磁石部78が非通電となり、電磁石部78の磁力の発生が停止され、飛行体38の各脚部3804の下端を電磁石部78で吸着した状態が解除される。
そして、次回の監視作業の準備として、燃料タンク48に燃料を補給し、一連の作業を終了して移動式飛行体装置20を制御所10に保管する。
【0049】
第3の実施の形態においても第1、第2の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第3の実施の形態では、電磁石部78の磁力により飛行体38の脚部3804の磁石に吸着される材料82で形成された下端を吸着することにより、飛行体38が飛行体用発着部44上で保持された状態となるので、運搬時に飛行体38に作用するゆれや振動に対して飛行体38の落下を阻止できるため、飛行体38の耐久性の向上を図れ、長期間にわたって稼働率を確保し、監視作業を確実に行なう上で有利となる。
また、飛行体38の脚部3804の下端を電磁石部78で吸着するといった簡単な構造で抜落防止部62を構成したので、飛行体38のロータ3806の大きさや数やその配置構造、あるいは、脚部3804の大きさや数やその配置構造の如何を問わず飛行体38の飛行体用発着部44からの抜落を確実に防止でき、さらに、抜落防止部62の簡素化、低コスト化を図る上で有利となる。
【0050】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について
図15~
図19を参照して説明する。
第4の実施の形態は、第3の実施の形態の抜落防止部62(以下第1抜落防止部62という)に加えて、飛行体38を覆う雨除け機能を有する第2抜落防止部84を筐体36に設け、飛行体38を雨水から保護するようにしたものである。
【0051】
図15に示すように、制御所10は、第3の実施の形態の抜落防止部用遠隔操作司令部66(以下第1抜落防止部用遠隔操作司令部66という)に加えて第2抜落防止部用遠隔操作司令部86が設けられている。
作業者が第2抜落防止部用遠隔操作司令部86を操作することにより、第2抜落防止部用遠隔操作司令部86は、第2抜落防止部操作指令情報を生成し、第2抜落防止部操作指令情報を第2通信部24、第2無線回線C2、筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に供給する。
なお、第4の実施の形態では、第1抜落防止部用遠隔操作司令部66で生成される抜落防止部操作指令情報を第1抜落防止部操作指令情報という。
【0052】
筐体36は、第3の実施の形態と同様の筐体側制御部68を備え、筐体側制御部68は、第2抜落防止部用遠隔操作司令部86から第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して受信した第2抜落防止部操作指令情報に基づいて後述するアクチュエータ90を制御する機能をさらに備えている。
なお、筐体側制御部68およびアクチュエータ90は、発電装置46から給電されることで動作する。
【0053】
筐体36は、第3の実施の形態の構成に加えて、第2抜落防止部84を備えている。
図16~
図19に示すように、第2抜落防止部84は、複数のアーム88、一対のアクチュエータ90、シート92を含んで構成されている。なお、
図17は図面の簡略化を図るためシート92の図示を省略している。
上述のように筐体36は、矩形状の底壁3602の4辺から起立する4つの側壁3604を有しており、言い換えると、筐体36は、4つの側壁3604のうちの互いに対向する2つの側壁3604からなり飛行体用発着部の下方で互いに対向する一対の側部3604Aと、4つの側壁3604の残りの2つの側壁3604からなり前記対向する方向と直交する方向で互いに対向する一対の端部3604Bとを有している。
複数のアーム88は、筐体36に設けられ、固定アーム88Aと、第1、第2、第3の中間可動アーム88B、88C、88Dと、駆動アーム88Eとの合計5つのアーム88を備えている。
各アーム88は、一対のアーム本体8802と、一対のアーム本体8802の先部間を連結するロッド8804とを備えている。
一対のアーム本体8802は、一対の側部3604Aに設けられ、それらの基部は、一対の側部3604Aの中央に配置されている。
【0054】
一対の側部3604Aの内側にそれぞれアクチュエータ90が支持され、一対のアーム本体8802の基部は、それぞれ側部3604Aを貫通したアクチュエータ90の駆動軸9002に連結されている。
アクチュエータ90は、駆動アーム88Eを一対の端部3604Bのうちの一方の端部3604Bに倒れた第1の揺動位置P1(
図16参照)と一対の端部3604Bのうちの他方の端部3604Bに倒れた第2の揺動位置P2(
図18参照)との間で揺動させるものである。
固定アーム88Aと第1、第2、第3の中間可動アーム88B、88C、88Dと駆動アーム88Eとは、一対の側部3604Aの中央にそれぞれそれらの基部が位置する一対のアーム本体8802と、それらアーム本体8802の先部を接続するロッド8804とを含んで構成されている。
図17に示すように、固定アーム88A、第1、第2、第3の中間可動アーム88B、88C、88Dの各アーム本体8802の基部は、単一の駆動軸9002の軸心方向に間隔をおいた箇所で回転可能に支持され、駆動アーム88Eの各アーム本体8802の基部は、単一の駆動軸9002に駆動軸9002と一体に回転するように結合されている。
【0055】
固定アーム88Aは、第1の揺動位置P1に固定されている。
図17に示すように、第1の揺動位置P1で固定アーム88A、第1、第2、第3の中間可動アーム88B、88C、88D、駆動アーム88Eは、それらアーム88A~88Eのロッド8804が筐体36の端部3604Bの側方に離れた箇所に位置し、固定アーム88Aは、第1の揺動位置P1で水平方向に延在する。
固定アーム88Aの第1の揺動位置P1への固定は、例えば、一対の側部3604Aから突設された不図示のフックが固定アーム88Aの一対のアーム本体8802に係合することでなされている。
図18に示すように、駆動アーム88Eの第2の揺動位置P2で、駆動アーム88Eのロッド8804は固定アーム88Aと反対側で筐体36の端部3604Bの側方に離れた箇所に位置し、駆動アーム88Aは、第2の揺動位置P2で水平方向に延在する
各アクチュエータ90は、モータ90Aで構成され、モータ90Aは、筐体側制御部68により回転が制御される。
各モータ90Aの駆動軸9002が正逆方向に回転することで駆動アーム88Eは
図16に示す第1の揺動位置P1と、
図18に示す第2の揺動位置P2との間で揺動される。
【0056】
シート92は、可撓性の材料から形成されている。
シート92は、固定アーム88Aと第1、第2、第3の中間可動アーム88B、88C、88Dと駆動アーム88Eのロッド8804に取着されると共にそれらアーム88A~88Eの一対のアーム本体8802の先端側上半部に取着されている。
そして、駆動アーム88Eの第1の揺動位置P1で飛行体用発着部44の上方および側方を開放し、駆動アーム88Eの第2P2の揺動位置で飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の上方および側方を覆う。
【0057】
したがって、
図16に示すように、駆動アーム88Eの第1の揺動位置P1で固定アーム88A、第1、第2、第3の中間可動アーム88B、88C、88D、駆動アーム88Eはそれらの揺動方向において互いに近接してシート92は隣り合うアーム88の間に折り畳まれた状態となる。
すなわち、シート92は、駆動アーム88Eの第1の揺動位置P1で飛行体用発着部44の上方および側方を開放し、飛行体用発着部44からの飛行体38の離陸、飛行体用発着部44への飛行体38の着陸が可能な状態となる。
また、駆動アーム88Eの第1の揺動位置P1から第2の揺動位置P2へ向かう揺動により、第1、第2、第3の中間可動アーム88B、88C、88Dがシート92を介して駆動アーム88Eに追従して揺動し、
図18、
図19に示すように、駆動アーム88Eの第2の揺動位置P2で固定アーム88A、第1、第2、第3の可動アーム88B、88C、88D、駆動アーム88Eはそれらの揺動方向において互いに離間し、シート92は駆動アーム88Eの揺動方向において展開された状態となる。
すなわち、シート92は、駆動アーム88Eの第2の揺動位置P2で飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の上方および側方を覆い、飛行体38がシート92により飛行体用発着部44上で移動しにくく飛行体用発着部44からの抜落が阻止された状態となる。
また、この場合、シート92が飛行体用発着部44上に位置する飛行体38を上方および側方から覆った状態となることで、飛行体38を雨水から保護することができ、飛行体38の故障や劣化を抑制する上で有利となり、飛行体38の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0058】
次に移動式飛行体装置20の使用方法について説明する。
第3の実施の形態と同様に、飛行体用発着部44上に飛行体38が位置する移動式飛行体装置20は、作業現場から離れた制御所10に保管されている。
この場合、抜落防止部62の駆動アーム88が第2の揺動位置P2に位置し、シート92により飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の上方および側方が覆われた状態としておく。
そして、作業機械12の作業領域13の近傍の箇所へ運搬する前に、制御所10においてエンジン4602を始動させ発電機4604の電力が各部に供給される状態としておく。
【0059】
次いで、制御所で作業員が第1抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、抜落防止用遠隔操作司令部66から第1抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68が通電部80を制御して電磁石部78を通電させ、電磁石部78の磁力を発生させ、飛行体38の各脚部3804の、磁石に吸着される材料82で形成された下端を電磁石部78で吸着した状態とする。
そして、第3の実施の形態と同様に、フォークリフトなどの運搬用の無人作業機械12Aを用いて移動式飛行体装置20を持ち上げ、遠隔操作により運搬用の無人作業機械12Aを制御所10から作業機械12の作業領域13の近傍の箇所まで運搬し、フォークを下げて移動式飛行体装置20を地上に載置する。
運搬用の作業機械の走行中、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38は各脚部3804の下端が電磁石部78の磁力によって電磁石部78に吸着され、飛行体38が飛行体用発着部44上で移動しにくい状態となるので、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、飛行体38の落下が防止される。
また、運搬用の作業機械の走行中、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38はシート92により覆われ、飛行体38がシート92により飛行体用発着部44上で移動しにくい状態となるので、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、飛行体38の落下が防止される。
【0060】
そして、制御所10において作業員が第2抜落防止用遠隔操作司令部86を操作することにより、第2抜落防止用遠隔操作司令部86から第2抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68がモータ90Aを回転させ、駆動アーム88Eを第2の揺動位置P2から第1の揺動位置P1に揺動させる。
これにより、飛行体用発着部44の上方および側方が開放され、飛行体38の飛行体用発着部44からの離陸、着陸が可能な状態となる。
また、作業員が第1抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、第1抜落防止用遠隔操作司令部66から第1抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68が通電部80を制御して電磁石部78を非通電とし、電磁石部78の磁力の発生を停止させ、飛行体38の各脚部3804の下端を電磁石部78で吸着した状態を解除する。
これにより、飛行体38の飛行体用発着部44からの離陸が可能な状態となる。
したがって、作業者は、制御所10において、第2表示部26に表示される画像情報を視認しつつ、飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体38を飛行させ、飛行体側カメラ56により複数の作業機械12の作業状態を撮像した画像情報を連続して監視する。
【0061】
作業終了時間になったならば、第2表示部26に表示される画像情報を視認しつつ、飛行体用遠隔操作司令部22を操作することにより飛行体38を移動式飛行体装置20の飛行体用発着部44の上に着陸させる。
次いで、作業員が第1抜落防止用遠隔操作司令部66を操作することにより、第1抜落防止用遠隔操作司令部66から第1抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68が通電部80を制御して電磁石部78を通電させ、電磁石部78の磁力を発生させ、飛行体38の各脚部3804の下端を電磁石部78で吸着した状態とする。
また、作業員が第2抜落防止用遠隔操作司令部86を操作することにより、第2抜落防止用遠隔操作司令部86から第2抜落防止部操作指令情報を第2無線回線C2および筐体側通信部50を介して筐体側制御部68に送信する。
これにより、筐体側制御部68がモータ90Aを回転させ、駆動アーム88Eを第1の揺動位置P1から第2の揺動位置P2に揺動させる。
これにより、シート92が飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の上方及び側方を覆った状態となる。
【0062】
次いで、遠隔操作により運搬用の無人作業機械12Aによって移動式飛行体装置20を回収し、制御所10まで運搬させる。
運搬用の無人作業機械12Aによる移動式飛行体装置20の運搬中に、ゆれや振動が飛行体38に作用しても、第1抜落防止部62および第2抜落防止部84により、飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の落下が防止されることは上述した場合と同様である。
運搬用の無人作業機械12Aが制御所10に到達したならば、運搬用の無人作業機械12Aから移動式飛行体装置20を下ろし、発電装置46の発電を停止させる。
これにより、通電部80への給電が停止するため、電磁石部78が非通電となり、電磁石部78の磁力の発生が停止され、飛行体38の各脚部3804の下端を電磁石部78で吸着した状態が解除される。
そして、次回の監視作業の準備として、燃料タンク48に燃料を補給し、一連の作業を終了して移動式飛行体装置20を制御所10に保管する。
なお、移動式飛行体装置20を制御所10に保管する際に、第2抜落防止部84の駆動アーム88Eを第2の揺動位置P2から第1の揺動位置P1として飛行体用発着部44の上方を開放し、飛行体38を飛行体用発着部44とは別の場所に保管するなど任意である。
この場合は、次に移動式飛行体装置20を作業現場に運搬するに先立って、飛行体38を飛行体用発着部44の上に載置し、第2抜落防止部84の駆動アーム88Eを第1の揺動位置P1から第2の揺動位置P2としてシート92により飛行体用発着部44に載置された飛行体38を覆うようにすればよい。
【0063】
第4の実施の形態においても第3の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、第1抜落防止部62に加えて第2抜落防止部84を設けたので、運搬時に飛行体38に作用するゆれや振動に対して飛行体38の落下をより確実に阻止できるため、飛行体38の耐久性の向上を図れ、長期間にわたって稼働率を確保し、監視作業を確実に行なう上でより一層有利となる。
また、第4の実施の形態では、降雨時に、第2抜落防止部84のシート90を展開させ、シート90が飛行体用発着部44上に位置する飛行体38の上方および側方を覆った状態とすることで、飛行体38を雨水から保護することができ、飛行体38の故障や劣化を抑制する上で有利となり、飛行体38の耐久性の向上を図る上で有利となる。
なお、第4の実施の形態では、第1抜落防止部62に加えて第2抜落防止部84を設けた場合について説明したが、第1抜落防止部62を省略し、第2抜落防止部84単体で構成するようにしてもよい。
【0064】
なお、実施の形態では、給電部を構成する発電装置46で発電した電力を給電ケーブル4002を介して飛行体38に給電する場合について説明したが、給電部を構成するバッテリを筐体36に収納しバッテリの電力を給電ケーブル4002を介して飛行体38に給電するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、筐体36と飛行体38とを通信ケーブル4004で接続し、第2無線回線Cと筐体36を介して制御所10と飛行体38との通信を行なう場合について説明したが、飛行体38に無線通信可能な通信部を設け、無線回線を介して制御所10と飛行体38との間で飛行体操作指令情報および画像情報の送受信を行なうようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
20 移動式飛行体装置
36 筐体
3604A 側部
3604B 端部
38 飛行体
3804 脚部
4002 給電ケーブル
44 飛行体用発着部
45 クッション材
46 発電装置(給電部)
50 筐体側通信部
62 抜落防止部(第1抜落防止部)
64 起立部
68 筐体側制御部
70 アーム
72 アクチュエータ
74 シート
78 電磁石部
80 通電部
82 磁石に吸着される材料
84 第2抜落防止部
88 アーム
88A 固定アーム
88B 第1の中間可動アーム
88C 第2の中間可動アーム
88D 第3の中間可動アーム
88E 駆動アーム
8802 アーム本体
8804 ロッド
90 アクチュエータ
92 シート
P1 第1の揺動位置
P2 第2の揺動位置
【手続補正書】
【提出日】2022-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、給電部が収納されその上部が飛行体用発着部とされた筐体と、前記給電部と給電ケーブルを介して接続された飛行体と、を備える移動式飛行体装置であって、前記飛行体用発着部に、前記移動式飛行体装置の移動時に前記飛行体の前記飛行体用発着部からの抜落を防止する抜落防止部が設けられ、前記筐体に収容され前記給電ケーブルの巻き取り、繰り出しを行なう巻取部と、前記筐体の上部に設けられ前記飛行体が離着陸する飛行体用発着部と、前記飛行体用発着部に設けられ前記巻取部により巻き取られ繰り出される前記給電ケーブルの挿通孔とを備え、前記巻取部は、前記給電ケーブルを巻き取る回転方向に常時付勢された巻き取り胴を含んで構成され、前記飛行体は、複数のロータを支持する飛行体本体と、前記飛行体本体の下面周囲に設けられ前記飛行体用発着部上において前記飛行体本体を支持する脚部とを備え、平面視した場合、前記給電ケーブルの端部は前記飛行体本体の中央に取り付けられ、平面視した場合、前記給電ケーブルの挿通孔は前記飛行体用発着部の中央に設けられ、前記移動式飛行体装置の移動時に、前記飛行体が前記飛行体用発着部に着陸した状態で前記巻取部によって前記給電ケーブルのほぼ全長が巻き取られ、前記給電ケーブルの張力によって前記飛行体が前記飛行体用発着部の中央に載置されることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電部が収納されその上部が飛行体用発着部とされた筐体と、
前記給電部と給電ケーブルを介して接続された飛行体と、
を備える移動式飛行体装置であって、
前記飛行体用発着部に、前記移動式飛行体装置の移動時に前記飛行体の前記飛行体用発着部からの抜落を防止する抜落防止部が設けられ、
前記筐体に収容され前記給電ケーブルの巻き取り、繰り出しを行なう巻取部と、
前記筐体の上部に設けられ前記飛行体が離着陸する飛行体用発着部と、
前記飛行体用発着部に設けられ前記巻取部により巻き取られ繰り出される前記給電ケーブルの挿通孔とを備え、
前記巻取部は、前記給電ケーブルを巻き取る回転方向に常時付勢された巻き取り胴を含んで構成され、
前記飛行体は、複数のロータを支持する飛行体本体と、前記飛行体本体の下面周囲に設けられ前記飛行体用発着部上において前記飛行体本体を支持する脚部とを備え、
平面視した場合、前記給電ケーブルの端部は前記飛行体本体の中央に取り付けられ、
平面視した場合、前記給電ケーブルの挿通孔は前記飛行体用発着部の中央に設けられ、
前記移動式飛行体装置の移動時に、前記飛行体が前記飛行体用発着部に着陸した状態で前記巻取部によって前記給電ケーブルのほぼ全長が巻き取られ、前記給電ケーブルの張力によって前記飛行体が前記飛行体用発着部の中央に載置される、
ことを特徴とする移動式飛行体装置。
【請求項2】
前記抜落防止部は、前記飛行体用発着部の周囲から起立する起立部を含んで構成され、
前記起立部の高さは、前記飛行体が前記飛行体用発着部に載置された状態で、前記飛行体の高さの1/2以上の寸法を有している、
ことを特徴とする請求項1記載の移動式飛行体装置。
【請求項3】
前記脚部は複数設けられ、
前記複数の脚部の少なくとも下端は磁石に吸着される材料で形成され、
前記抜落防止部は、
前記飛行体用発着部に設けられ通電されることで磁力を発生する電磁石部と、
前記電磁石部への通電、非通電を切り替える通電部とを含んで構成され、
前記筐体は、
無線回線を介して抜落防止部操作指令情報を受信する筐体側通信部と、
前記筐体側通信部で受信された前記抜落防止部操作指令情報に基づいて前記通電部を制御する筐体側制御部とを備える、
ことを特徴とする請求項1記載の移動式飛行体装置。
【請求項4】
前記飛行体用発着部は、衝撃を吸収するクッション材を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の移動式飛行体装置。