(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162155
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】腫瘍浸潤リンパ球および治療の方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20221014BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20221014BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221014BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/545 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/635 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/155 20060101ALI20221014BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20221014BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20221014BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221014BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221014BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20221014BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20221014BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20221014BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221014BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20221014BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221014BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20221014BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20221014BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61K35/17 Z
A61K45/06
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/675
A61K31/7076
A61K31/4196
A61K31/505
A61K31/545
A61K31/635
A61K31/155
A61K39/00 H
A61K38/20
A61K31/7088
A61K48/00
A61K47/26
A61K47/02
A61K38/21
A61K35/76
A61P35/00
C12N5/0783 ZNA
C12N5/10
C12N15/12
C12N15/09 110
C12Q1/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022135735
(22)【出願日】2022-08-29
(62)【分割の表示】P 2019520738の分割
【原出願日】2017-10-18
(31)【優先権主張番号】62/409,651
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/452,244
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】305023366
【氏名又は名称】リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ
(71)【出願人】
【識別番号】518032993
【氏名又は名称】インティマ バイオサイエンス, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】508285606
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ブランデン モリアリティ
(72)【発明者】
【氏名】ビュー ウェバー
(72)【発明者】
【氏名】モダシール チョードリー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エー. ローゼンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス シー. パーマー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ピー. レスティフォ
(57)【要約】
【課題】腫瘍浸潤リンパ球および治療の方法を提供する。
【解決手段】本明細書では、対象における免疫応答を減少させるのに十分な量での、対象への少なくとも1つの免疫抑制薬の投与を含む準備レジメン;対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での、抗真菌剤を含む医薬組成物;およびサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む処置方法が開示される。
【選択図】
図42
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2016年10月18日出願の米国仮特許出願第62/409,651号および2017年1月30日出願の米国仮特許出願第62/452,244号の優先権を主張し、当該出願の各々は、全ての目的について全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入は、転移性黒色腫の耐久性がある退縮を媒介することにおいて相当な成功を収めた。このような成功にもかかわらず、他の固形腫瘍の状況下でのTIL療法の使用は、難度が高かった。これは、腫瘍微小環境によって発揮される抑制効果ならびに受容体シグナル伝達およびエフェクター機能獲得におけるT細胞固有の機能障害によるものである可能性がある。プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)および細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質(CTLA-4)機能をターゲティングする、モノクローナル抗体に基づく免疫チェックポイントインヒビターは、T細胞外因性抑制効果を軽減し得る場合もあるが、それらに非腫瘍反応性T細胞に対して全身性活性があることに起因する潜在的に致死的な自己免疫性副作用のリスクを有する。近年、腫瘍上の分子標的をin vivoで認識するためのリンパ球の遺伝子操作が著しく進歩した結果として、腫瘍標的寛解の目覚ましい症例がもたらされている。しかし、これらの成功は、主に、血液学的腫瘍に限定されており、特定の腫瘍内の細胞によって発現される同定可能分子の欠如、および腫瘍破壊を媒介するために腫瘍標的への特異的結合に使用することができる分子の欠如により、固形腫瘍へのより広範な適用は、限定的である。近年におけるいくつかの進歩は、場合によって抗腫瘍T細胞応答を誘発する腫瘍特異的変異の同定に焦点を当てている。例えば、これらの内因性変異は、全エクソームシーケンシング法を使用して同定することができる。Tran Eら、「Cancer immunotherapy based on mutation-specific CD4+ T cells in a patient with epithelial cancer」、Science 344巻:641~644頁(2014年)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Tran Eら、「Cancer immunotherapy based on mutation-specific CD4+ T cells in a patient with epithelial cancer」、Science 344巻:641~644頁(2014年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要旨
本明細書では、対象における免疫応答を減少させるのに十分な量での、対象への少なくとも1つの免疫抑制薬の投与を含む準備レジメン;対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での、抗真菌剤を含む医薬組成物;およびサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む処置方法が開示される。場合によって、方法は、抗生物質を投与するステップをさらに含み得る。
本明細書では、対象における免疫応答を抑制するのに十分な量での、対象への少なくとも1つの免疫抑制薬の投与を含む準備レジメン;対象における細菌感染症を阻害するのに十分な量での、抗生物質を含む医薬組成物;およびサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む処置方法が開示される。場合によって、方法は、抗真菌剤を投与するステップをさらに含み得る。
【0005】
本明細書では、対象における免疫応答を減少させるのに十分な量での、シクロホスファミドおよびフルダラビンを含む医薬組成物;対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での、フルコナゾールを含む医薬組成物;ならびにサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、処置方法が開示される。場合によって、方法は、対象における細菌感染症を阻害するのに十分な量での、トリメトプリムおよびスルファメトキサゾールを含む医薬組成物を投与するステップをさらに含み得る。
【0006】
本明細書では、対象における免疫応答を減少させるのに十分な量での、シクロホスファミドおよびフルダラビンを含む医薬組成物;前記対象における細菌感染症を阻害するのに十分な量での、トリメトプリムおよびスルファメトキサゾールを含む医薬組成物;ならびにサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、処置方法が開示される。場合によって、方法は、対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での、フルコナゾールを含む医薬組成物を投与するステップをさらに含み得る。
【0007】
本明細書では、治療有効量のex vivo操作腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、がんを処置するための方法であって、ex vivo操作TILが、ex vivo操作TILにおけるCISHタンパク質機能の抑制をもたらすサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子における破壊を含み、破壊が、配列番号68のガイドポリ核酸が結合した配列において起こる、方法が開示される。場合によって、準備レジメンは、TILの投与の約14日~約24時間前の免疫抑制薬の投与を含む。場合によって、準備レジメンは、TILの投与の約10日~約24時間前の免疫抑制薬の投与を含む。準備レジメンは、TILの投与の約7日~約24時間前の免疫抑制薬の投与を含み得る。場合によって、免疫抑制薬は、放射線療法剤、生物学的薬剤または化学薬剤を含む。免疫抑制薬は、化学薬剤を含み得る。化学薬剤は、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロランブシル、メルファラン、イホスファミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、フルダラビン、ニトロソウレア、白金、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミスラマイシンからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。化学薬剤は、シクロホスファミドを含み得る。化学薬剤は、フルダラビンであり得る。シクロホスファミドは、対象の約40mg/kg~約50mg/kgで投与され得る。シクロホスファミドは、少なくとも約2日間~約5日間にわたって対象に投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、対象の約10mg/kg~約15mg/kgで投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、少なくとも約7日間~約10日間にわたって対象に投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、対象1kg当たり約3mg~対象1kg当たり約5mgで投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、対象1kg当たり約50mg~約80mg/kgで投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、1kg当たり50mgを超えて投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、1kg当たり約60mgで投与され得る。場合によって、フルダラビンは、対象の体表面積の約20mg/m2~約30mg/m2で投与され得る。場合によって、フルダラビンは、対象の体表面積の約25mg/m2で投与され得る。場合によって、準備レジメンは、部分的または完全免疫抑制を含む。抗真菌薬は、ポリエン、アゾール、アリルアミンおよびエキノキャンディンからなる群から選択され得る。抗真菌薬は、アゾールであり得る。アゾールは、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、およびボリコナゾールからなる群から選択され得る。アゾールである抗真菌薬は、フルコナゾールであり得る。場合によって、フルコナゾールは、約100mg~約800mgで投与され得る。フルコナゾールは、400mgで投与され得る。抗真菌薬は、TILと同時にまたは逐次投与され得る。抗真菌薬は、TILの約0日後~約4日後に投与され得る。場合によって、抗生物質は、細菌壁ターゲティング剤、細胞膜ターゲティング剤、細菌酵素干渉剤、殺菌剤、タンパク質合成インヒビターまたは静菌剤のうちの少なくとも(least)1つを含む。場合によって、抗生物質は、殺菌剤を含む。殺菌剤は、セファロスポリンまたはキノロンであり得る。場合によって、抗生物質は、静菌剤を含む。静菌剤は、予防的に投与され得る。場合によって、静菌剤は、トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンであり得る。トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンは、約100mg~約1000mgで投与され得る。場合によって、トリメトプリムは、160mgで投与され得る。場合によって、スルファメトキサゾールは、800mgで投与され得る。場合によって、ペンタミジンは、300mgで投与され得る。静菌剤は、TILの前に、TILと同時に、またはTILの後に投与され得る。静菌剤は、TILの投与の約14日前~TILの投与の約6カ月後に投与され得る。場合によって、静菌剤は、前記TILの約8日前~TILの少なくとも4日後に投与され得る。
【0008】
場合によって、投与は、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内または胸膜内投与を含む。場合によって、免疫抑制薬は、注入によって投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、約60mg/kgの用量であり得、250mlの5%デキストロース水溶液に希釈され、1時間にわたって注入される。場合によって、フルダラビンは、100mlの0.9%塩化ナトリウム、USPにおける25mg/m2の用量であり得、約15~約30分間にわたって注入され得る。方法は、対象におけるTILを活性化するのに十分な量の免疫刺激薬を含む医薬組成物を投与するステップをさらに含み得る。免疫刺激薬は、ワクチン、コロニー刺激剤、インターフェロン、インターロイキン、ウイルス、抗原、共刺激剤、免疫原性薬剤、免疫モジュレーターまたは免疫療法剤からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。免疫刺激薬は、インターロイキンを含み得る。インターロイキンは、アルデスロイキンであり得、約550,000~約800,000IU/kgの用量で投与され得る。場合によって、アルデスロイキンは、約720,000IU/kgの用量で投与され得る。場合によって、方法は、対象における感染を防止するのに十分な量の感染予防剤を含む医薬組成物を投与するステップをさらに含み得る。場合によって、感染予防剤は、ヘルペスウイルス予防薬剤であり得る。場合によって、対象は、HSV陽性であり得る。場合によって、ヘルペスウイルス予防薬剤は、バラシクロビルまたはアシクロビルであり得る。場合によって、破壊は、CRISPR、亜鉛フィンガー、TALENおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される系によって誘導され得る。系は、CRISPR系であり得る。CRISPR系は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、およびCas9HiFiからなる群から選択されるエンドヌクレアーゼを含み得る。エンドヌクレアーゼは、Cas9であり得る。場合によって、エンドヌクレアーゼは、破壊を行う。破壊は、遺伝子のエクソンまたはイントロンを含み得る。破壊は、遺伝子のエクソン中であり得る。破壊は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約20塩基対以内であり得る。破壊は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約10塩基対以内であり得る。破壊は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約5塩基対以内であり得る。破壊は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)から3塩基対であり得る。場合によって、破壊は、配列番号13のエクソンまたはイントロン中である。破壊は、配列番号13のエクソン中であり得る。場合によって、CRISPR系は、ガイドポリ核酸を含む。ガイドポリ核酸(polynucleic)は、配列番号68に対する少なくとも約60%相同性を含み得る。場合によって、破壊は、二本鎖切断を含む。二本鎖切断は、配列番号71または配列番号77で生じ得る。場合によって、TILは、細胞約1×109個、細胞3×109個、細胞1×1010個、細胞3×1010個~細胞約1×1011個の用量で投与され得る。場合によって、TILは、約30分間にわたって投与され得る。場合によって、TILは、静脈内投与され得る。静脈内投与は、注入を含み得る。
【0009】
場合によって、方法は、TILに関する注入前試験を行うステップをさらに含み得る。注入前試験は、表現型試験、効力試験、微生物学的試験、エンドトキシン試験、生存率試験および腫瘍細胞試験のうちの少なくとも1つを含み得る。場合によって、表現型試験は、TILにおけるCD3の存在を検出するステップを含む。場合によって、効力試験は、TILの抗CD3刺激後のIFNγのレベルを検出するステップを含む。場合によって、微生物学的試験は、好気培養、嫌気培養、グラム状態、真菌状態またはマイコプラズマ状態の増殖を検出するステップを含む。エンドトキシン試験は、リムルスアッセイを行うステップを含み得る。場合によって、生存率試験は、トリパンブルー排除アッセイを行うステップを含む。場合によって、腫瘍細胞試験は、細胞病理学アッセイを含む。場合によって、注入前試験が微生物学的試験について陰性であり得る場合、TILは、投与され得る。場合によって、注入前試験が、前記生存率試験について少なくとも約70%生細胞を超える場合、TILは、投与され得る。場合によって、注入前試験が、表現型試験について少なくとも約80%CD3陽性である場合、TILは、投与され得る。場合によって、注入前試験が、効力試験においてTILの抗CD3刺激後に細胞105個当たり少なくとも約200pg/mLのIFNγである場合、TILは、投与され得る。場合によって、注入前試験が、細胞病理学試験において検討された少なくとも約200個のTIL当たりで腫瘍細胞について陰性であり得る場合、TILは、投与され得る。
【0010】
本明細書では、サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形;および抗真菌剤の剤形を含む治療用製品が開示される。
【0011】
本明細書では、対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での葉酸合成インヒビターまたは核酸架橋剤の剤形;およびサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形を含む治療用製品が開示される。
【0012】
本明細書では、ポリエン、アゾール、アリルアミンまたはエキノキャンディンから選択される抗真菌剤の剤形;およびサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形を含む治療用製品が開示される。
【0013】
本明細書では、サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形を含む治療用製品が開示され、TILは、約7.0×107細胞/mL~約2.0×108細胞/mLの凍結密度で凍結保存されている。
【0014】
本明細書では、抗真菌剤の剤形;免疫抑制薬の剤形;抗生物質の剤形;およびサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形を含む治療用製品が開示される。場合によって、治療用製品は、免疫抑制薬の剤形をさらに含み得る。免疫抑制薬は、TILの投与の約14日~約24時間前の対象への投与のために製剤化され得る。場合によって、免疫抑制薬は、TILの投与の約10日~約24時間前の対象への投与のために製剤化され得る。場合によって、免疫抑制薬は、TILの投与の約7日~約24時間前の対象への投与のために製剤化され得る。場合によって、免疫抑制薬は、放射線療法剤、生物学的薬剤または化学薬剤を含む。場合によって、免疫抑制薬は、化学薬剤を含む。場合によって、化学薬剤は、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、フルダラビン、ニトロソウレア、白金、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミスラマイシンからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。場合によって、化学薬剤は、シクロホスファミドを含む。場合によって、化学薬剤は、フルダラビンを含む。場合によって、シクロホスファミドは、対象の約40mg/kg~約50mg/kgで投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、少なくとも約2日間~約5日間にわたって対象に投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、対象の約10mg/kg~約15mg/kgで投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、少なくとも約7日間~約10日間にわたって対象に投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、対象1kg当たり約3mg~対象1kg当たり約5mgで投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、対象1kg当たり約50mg~約80mg/kgで投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、1kg当たり50mgを超えて投与され得る。場合によって、シクロホスファミドは、1kg当たり約60mgで投与され得る。場合によって、フルダラビンは、対象の体表面積の約20mg/m2~約30mg/m2で投与され得る。場合によって、フルダラビンは、対象の体表面積の約25mg/m2で投与され得る。場合によって、免疫抑制薬は、部分的または完全免疫抑制を生じる。場合によって、抗真菌剤の剤形は、ポリエン、アゾール、アリルアミンおよびエキノキャンディンからなる群から選択され得る。場合によって、抗真菌剤は、アゾールであり得る。アゾールは、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、および、ボリコナゾールからなる群から選択され得る。場合によって、アゾールは、フルコナゾールであり得る。場合によって、フルコナゾールは、約100mg~約800mgの量で存在し得る。場合によって、フルコナゾールは、400mgの量で存在し得る。場合によって、抗真菌薬の剤形は、TILと同時にまたは逐次投与され得る。抗真菌薬の剤形は、TILの約0日後~約4日後に投与され得る。場合によって、治療用製品は、抗生物質の剤形をさらに含み得る。抗生物質は、細菌壁ターゲティング剤、細胞膜ターゲティング剤、細菌酵素干渉剤、殺菌剤、タンパク質合成インヒビターおよび静菌剤のうちの少なくとも1つを含み得る。場合によって、抗生物質は、殺菌剤を含む。殺菌剤は、セファロスポリンまたはキノロンであり得る。場合によって、抗生物質の剤形は、静菌剤であり得る。静菌剤は、予防的投与のために製剤化され得る。場合によって、静菌剤は、トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンであり得る。場合によって、トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンは、約100mg~約1000mgの量で存在し得る。場合によって、トリメトプリムは、160mgの量で存在し得る。場合によって、スルファメトキサゾールは、800mgの量で存在し得る。場合によって、ペンタミジンは、300mgの量で存在し得る。場合によって、静菌剤は、TILの前に、TILと同時に、またはTILの後に投与され得る。場合によって、静菌剤は、前記TILの前記投与の約14日前~前記TILの前記投与の約6カ月後に投与され得る。場合によって、静菌剤は、前記TILの約8日前~前記TILの少なくとも4日後に投与され得る。治療用製品は、剤形の投与をさらに含み得る。
【0015】
治療用製品は、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内または胸膜内投与による投与のために製剤化され得る。場合によって、免疫抑制薬の剤形は、注入による投与のために製剤化され得る。場合によって、シクロホスファミドは、約60mg/kgの用量で投与され得、250mlの5%デキストロース水溶液に希釈され、1時間にわたって注入される。場合によって、フルダラビンは、100mlの0.9%塩化ナトリウム、USPにおける25mg/m2の用量で投与され得、約15~約30分間にわたって注入され得る。場合によって、免疫刺激薬は、対象におけるTILを活性化するのに十分な量で存在し得る。免疫刺激薬は、ワクチン、コロニー刺激剤、インターフェロン、インターロイキン、ウイルス、抗原、共刺激剤、免疫原性薬剤、免疫モジュレーターおよび免疫療法剤からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。場合によって、免疫刺激薬の剤形は、インターロイキンを含む。インターロイキンは、アルデスロイキンであり得、約550,000~約800,000IU/kgの用量で投与され得る。場合によって、アルデスロイキンは、約720,000IU/kgの用量で投与され得る。場合によって、治療用製品は、対象における感染を防止するのに十分な量での感染予防剤の剤形をさらに含み得る。感染予防剤は、ヘルペスウイルス予防薬剤であり得る。ヘルペスウイルス予防薬剤は、HSV陽性対象の処置に有効な(effect)量で存在し得る。場合によって、ヘルペスウイルス予防薬剤は、バラシクロビルまたはアシクロビルであり得る。場合によって、破壊は、CRISPR、亜鉛フィンガー、TALENおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される系によって誘導され得る。系は、CRISPR系であり得る。CRISPR系は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、およびCas9HiFiからなる群から選択されるエンドヌクレアーゼを含み得る。場合によって、エンドヌクレアーゼは、Cas9であり得る。エンドヌクレアーゼは、破壊を行うことができる。破壊は、遺伝子のエクソンまたはイントロンを含み得る。場合によって、破壊は、遺伝子のエクソン中であり得る。場合によって、破壊は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約20塩基対以内であり得る。場合によって、破壊は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約10塩基対以内であり得る。場合によって、破壊は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約5塩基対以内であり得る。場合によって、破壊は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)から3塩基対であり得る。場合によって、破壊は、配列番号13のエクソンまたはイントロン中であり得る。場合によって、破壊は、配列番号13のエクソン中であり得る。場合によって、CRISPR系は、ガイドポリ核酸を含む。ガイドポリ核酸(polynucleic)は、配列番号68に対する少なくとも約60%相同性を含み得る。破壊は、二本鎖切断を含み得る。場合によって、二本鎖切断は、配列番号71または配列番号77に発生する。場合によって、TILは、細胞約1×109個、細胞3×109個、細胞1×1010個、細胞3×1010個~細胞約1×1011個の量で存在し得る。場合によって、TILは、約30分間にわたって投与され得る。場合によって、TILは、静脈内投与され得る。静脈内投与は、注入を含み得る。場合によって、治療用製品は、TILに関する注入前試験を行うことをさらに含み得る。場合によって、注入前試験は、表現型試験、効力試験、微生物学的試験、エンドトキシン試験、生存率試験および腫瘍細胞試験のうちの少なくとも1つを含む。場合によって、表現型試験は、前記TILにおけるCD3の存在を検出するステップを含む。場合によって、効力試験は、TILの抗CD3刺激後にIFNγのレベルを検出するステップを含む。場合によって、微生物学的試験は、好気培養、嫌気培養、グラム状態、真菌状態またはマイコプラズマ状態の増殖を検出するステップを含む。場合によって、エンドトキシン試験は、リムルスアッセイを行うステップを含む。場合によって、生存率試験は、トリパンブルー排除アッセイを行うステップを含む。場合によって、腫瘍細胞試験は、細胞病理学アッセイを含む。場合によって、注入前試験が、前記微生物学的試験について陰性である場合、TILは、投与され得る。場合によって、注入前試験が、生存率試験について少なくとも約70%超の生細胞を有する場合、TILは、投与され得る。場合によって、注入前試験が、表現型試験について少なくとも約80%CD3陽性である場合、TILは、投与され得る。注入前試験が、効力試験においてTILの抗CD3刺激後に細胞105個当たり少なくとも約200pg/mLのIFNγである場合、TILは、投与され得る。場合によって、注入前試験が、細胞病理学試験において検討された少なくとも約200個のTIL当たりで腫瘍細胞について陰性であり得る場合、TILは、投与され得る。
【0016】
本明細書では、配列番号64~配列番号69のいずれか1つに対する少なくとも60%配列相同性を含む核酸組成物が開示される。場合によって、配列相同性は、少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または最大約100%であり得る。
【0017】
本明細書では、がんなどの状態を処置する方法であって、腫瘍試料から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を得るステップと、変異反応性TILを同定するステップと、CRISPRヌクレアーゼにより内因性遺伝子またはその部分を破壊するステップとを含む方法が開示される。場合によって、腫瘍試料は、シーケンシング解析にかけることができる。場合によって、シーケンシング解析は、腫瘍試料に存在し、非腫瘍試料には存在しない変異を同定する。場合によって、シーケンシング解析は、全エクソームシーケンシング、トランスクリプトームシーケンシング、またはこれらの組合せを含み得る。シーケンシング解析は、全エクソームシーケンシングであり得る。
【0018】
場合によって、同定は、変異を含むペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)へのTILの導入を含み得る。場合によって、同定は、変異を含むペプチドを発現するAPCに導入されたTILによって分泌されたインターフェロンγ(IFNγ)の存在の検出をさらに含み得る。ペプチドは、約15mer~最大約30merの長さを含み得る。ペプチドは、25merの長さを含み得る。場合によって、同定は、変異を含むポリ核酸を電気穿孔された抗原提示細胞(APC)へのTILの導入を含み得る。
【0019】
場合によって、同定は、APCに導入されたTILによって分泌されたインターフェロンγ(IFNγ)の存在の検出をさらに含み得る。破壊は、TILのゲノムにおける二本鎖切断を含み得る。二本鎖切断は、CRISPRヌクレアーゼによって行われ得る。場合によって、CRISPRヌクレアーゼは、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、およびCas9HiFiからなる群から選択され得る。CRISPRヌクレアーゼは、Cas9であり得る。
【0020】
場合によって、方法は、TILを拡大するステップをさらに含み得る。TILは、ヒトであり得る。方法は、抗真菌薬を対象に投与するステップをさらに含み得る。方法は、抗生物質を対象に投与するステップをさらに含み得る。
【0021】
本明細書では、それを必要とする対象における消化器がんを処置する方法であって、それを必要とする対象の消化器腫瘍試料から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を得るステップと、変異反応性TILを同定するステップと、前記変異反応性TILにおいてCRISPRヌクレアーゼによりCISH遺伝子を破壊するステップと、1×109~約2×1011の用量まで前記TILを拡大するステップとを含み、前記消化器腫瘍試料を、エクソームシーケンシングして、前記腫瘍試料に存在し、健康組織試料には存在しない変異を同定し、前記同定するステップが、抗原提示細胞(APC)の表面における前記変異の提示、およびIFN-γのレベルを検出するための前記APCと前記TILとの培養を含む、方法が開示される。場合によって、提示は、変異を含むポリ核酸を電気穿孔された抗原提示細胞(APC)とTILとの培養を含み得る。場合によって、提示は、変異を含むペプチドをパルスした抗原提示細胞(APC)とTILとの培養を含み得る。サイトカインは、変異反応性TILにおいて検出され得、非変異反応性TILにおいては検出され得ない。サイトカインは、非変異反応性TILにおけるものよりも高レベルで変異反応性TILにおいて検出され得る。CRISPRヌクレアーゼは、Cas9であり得る。TILは、T細胞であり得る。
【0022】
本発明の新規の特色は、付属の特許請求の範囲において詳細に明示される。本発明の原理が用いられる例示的な実施形態と、付属の図面とを明示する、以下の詳細な記載を参照することにより、本発明の特色および利点のよりよい理解が得られるであろう。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
a)対象における免疫応答を減少させるのに十分な量での、前記対象への少なくとも1つの免疫抑制薬の投与を含む準備レジメンと;
b)前記対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での、抗真菌剤を含む医薬組成物と;
c)サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、医薬組成物と
を、それを必要とする前記対象に投与するステップ
を含む処置方法。
(項目2)
抗生物質を投与するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
a)対象における免疫応答を抑制するのに十分な量での、前記対象への少なくとも1つの免疫抑制薬の投与を含む準備レジメンと;
b)前記対象における細菌感染症を阻害するのに十分な量での、抗生物質を含む医薬組成物と;
c)サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、医薬組成物と
を、それを必要とする前記対象に投与するステップ
を含む処置方法。
(項目4)
抗真菌剤を投与するステップをさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
a)対象における免疫応答を減少させるのに十分な量での、シクロホスファミドおよびフルダラビンを含む医薬組成物と;
b)前記対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での、フルコナゾールを含む医薬組成物と;
c)サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む医薬組成物と
を、それを必要とする前記対象に投与するステップ
を含む処置方法。
(項目6)
前記対象における細菌感染症を阻害するのに十分な量での、トリメトプリムおよびスルファメトキサゾールを含む医薬組成物を投与するステップをさらに含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
a)対象における免疫応答を減少させるのに十分な量での、シクロホスファミドおよびフルダラビンを含む医薬組成物と;
b)前記対象における細菌感染症を阻害するのに十分な量での、トリメトプリムおよびスルファメトキサゾールを含む医薬組成物と;
c)サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む、複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む医薬組成物と
を、それを必要とする前記対象に投与するステップ
を含む処置方法。
(項目8)
前記対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での、フルコナゾールを含む医薬組成物を投与するステップをさらに含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
がんを処置するための方法であって、治療有効量のex vivo操作腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、前記ex vivo操作TILが、前記ex vivo操作TILにおけるサイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)タンパク質機能の抑制をもたらすCISH遺伝子における破壊を含み、前記破壊が、配列番号68のガイドポリ核酸が結合した配列において起こる、方法。
(項目10)
前記準備レジメンが、前記TIL投与の約14日~約24時間前に、前記免疫抑制薬の投与を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記準備レジメンが、前記TIL投与の約10日~約24時間前に、前記免疫抑制薬の投与を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記準備レジメンが、前記TIL投与の約7日~約24時間前に、前記免疫抑制薬の投与を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記免疫抑制薬が、放射線療法剤、生物学的薬剤または化学薬剤を含む、項目1~4および10~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記免疫抑制薬が、前記化学薬剤を含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記化学薬剤が、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、フルダラビン、ニトロソウレア、白金、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミスラマイシンからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記化学薬剤が、前記シクロホスファミドを含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記化学薬剤が、フルダラビンである、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記シクロホスファミドが、前記対象の約40mg/kg~約50mg/kgで投与される、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記シクロホスファミドが、少なくとも約2日間~約5日間にわたって前記対象に投与される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記シクロホスファミドが、前記対象の約10mg/kg~約15mg/kgで投与される、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記シクロホスファミドが、少なくとも約7日間~約10日間にわたって前記対象に投与される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記シクロホスファミドが、前記対象1kg当たり約3mg~前記対象1kg当たり約5mgで投与される、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記シクロホスファミドが、前記対象1kg当たり約50mg~約80mg/kgで投与される、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記シクロホスファミドが、1kg当たり50mgを超えて投与される、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記シクロホスファミドが、1kg当たり約60mgで投与される、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記フルダラビンが、前記対象の体表面積の約20mg/m2~約30mg/m2で投与される、項目15~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記フルダラビンが、前記対象の体表面積の約25mg/m2で投与される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記準備レジメンが、部分的または完全免疫抑制を含む、項目1~4および10~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記抗真菌薬が、ポリエン、アゾール、アリルアミンおよびエキノキャンディンからなる群から選択される、項目1、2、4および10~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記抗真菌薬が、前記アゾールである、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記アゾールが、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、およびボリコナゾールからなる群から選択される、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記アゾールが、フルコナゾールである、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記フルコナゾールが、約100mg~約800mgで投与される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記フルコナゾールが、400mgで投与される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記抗真菌薬が、前記TILと同時にまたは逐次に投与される、項目1、2、4および10~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記抗真菌薬が、前記TILの約0日後~約4日後に投与される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記抗生物質が、細菌壁標的剤、細胞膜標的剤、細菌酵素干渉剤、殺菌剤、タンパク質合成インヒビターまたは静菌剤のうちの少なくとも1つを含む、項目2~4および10~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記抗生物質が、殺菌剤を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記殺菌剤が、セファロスポリンまたはキノロンである、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記抗生物質が、静菌剤を含む、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記静菌剤が、予防的に投与される、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記静菌剤が、トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンである、項目37~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンが、約100mg~約1000mgで投与される、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記トリメトプリムが、160mgで投与される、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記スルファメトキサゾールが、800mgで投与される、項目43に記載の方法。
(項目46)
前記ペンタミジンが、300mgで投与される、項目43に記載の方法。
(項目47)
前記静菌剤が、前記TILの前に、前記TILと同時に、または前記TILの後に投与される、項目37~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記静菌剤が、前記TILの前記投与の約14日前~前記TILの前記投与の約6カ月後に投与される、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記静菌剤が、前記TILの約8日前~前記TILの少なくとも4日後に投与される、項目37~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記投与が、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内または胸膜内投与を含む、項目1~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記免疫抑制薬が、注入によって投与される、項目1~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記シクロホスファミドが、約60mg/kgの用量であり、250mlの5%デキストロース水溶液に希釈され、1時間にわたって注入される、項目15~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記フルダラビンが、100mlの0.9%塩化ナトリウム、USPにおける25mg/m2の用量であり、約15~約30分間にわたって注入される、項目15~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記対象における前記TILを活性化するのに十分な量での免疫刺激薬を含む医薬組成物を投与するステップをさらに含む、項目1~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記免疫刺激薬が、ワクチン、コロニー刺激剤、インターフェロン、インターロイキン、ウイルス、抗原、共刺激剤、免疫原性薬剤、免疫モジュレーターまたは免疫療法剤からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記免疫刺激薬が、前記インターロイキンを含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記インターロイキンが、アルデスロイキンであり、約550,000~約800,000IU/kgの用量で投与される、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記アルデスロイキンが、約720,000IU/kgの用量で投与される、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記対象における感染症を防止するのに十分な量での感染予防剤を含む医薬組成物を投与するステップをさらに含む、項目1~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記感染予防剤が、ヘルペスウイルス予防薬剤である、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記対象が、HSV陽性である、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記ヘルペスウイルス予防薬剤が、バラシクロビルまたはアシクロビルである、項目60または61に記載の方法。
(項目63)
前記破壊が、CRISPR、亜鉛フィンガー、TALENおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される系によって誘導される、項目1~62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記系が、CRISPR系である、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記CRISPR系が、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、およびCas9HiFiからなる群から選択されるエンドヌクレアーゼを含む、項目63または64に記載の方法。
(項目66)
前記エンドヌクレアーゼが、Cas9である、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記エンドヌクレアーゼが、前記破壊を行う、項目65または66に記載の方法。
(項目68)
前記破壊が、遺伝子のエクソンまたはイントロンを含む、項目1~67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記破壊が、遺伝子のエクソン中である、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記破壊が、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約20塩基対以内である、項目1~69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
前記破壊が、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約10塩基対以内である、項目1~70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
前記破壊が、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約5塩基対以内である、項目1~71のいずれか一項に記載の方法。
(項目73)
前記破壊が、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)から3塩基対である、項目1~72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記破壊が、配列番号13のエクソンまたはイントロン中である、項目1~73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記破壊が、配列番号13のエクソン中である、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記CRISPR系が、ガイドポリ核酸を含む、項目63~75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
前記ガイドポリ核酸が、配列番号68に対して少なくとも約60%の相同性を含む、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記破壊が、二本鎖切断を含む、項目1~77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記二本鎖切断が、配列番号71または配列番号77で生じる、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記TILが、細胞約1×109個、細胞3×109個、細胞1×1010個、細胞3×1010個~細胞約1×1011個の用量で投与される、項目1~79のいずれか一項に記載の方法。
(項目81)
前記TILが、約30分間にわたって投与される、項目1~80のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
前記TILが、静脈内投与される、項目1~81のいずれか一項に記載の方法。
(項目83)
前記静脈内投与が、注入を含む、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記TILにおいて注入前試験を行うステップをさらに含む、項目1~83のいずれか一項に記載の方法。
(項目85)
前記注入前試験が、表現型試験、効力試験、微生物学的試験、エンドトキシン試験、生存率試験および腫瘍細胞試験のうちの少なくとも1つを含む、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記表現型試験が、前記TILにおけるCD3の存在を検出するステップを含む、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記効力試験が、前記TILの抗CD3刺激後に、IFNγのレベルを検出するステップを含む、項目85または86に記載の方法。
(項目88)
前記微生物学的試験が、好気培養、嫌気培養、グラム状態、真菌状態またはマイコプラズマ状態の増殖を検出するステップを含む、項目85~87のいずれか一項に記載の方法。
(項目89)
前記エンドトキシン試験が、リムルスアッセイを行うステップを含む、項目85~88のいずれか一項に記載の方法。
(項目90)
前記生存率試験が、トリパンブルー排除アッセイを行うステップを含む、項目85~89のいずれか一項に記載の方法。
(項目91)
前記腫瘍細胞試験が、細胞病理学アッセイを含む、項目85~90のいずれか一項に記載の方法。
(項目92)
前記注入前試験が、前記微生物学的試験について陰性である場合、前記TILが投与される、項目84~91のいずれか一項に記載の方法。
(項目93)
前記注入前試験が、前記生存率試験について少なくとも約70%超の生細胞である場合、前記TILが投与される、項目84~92のいずれか一項に記載の方法。
(項目94)
前記注入前試験が、前記表現型試験について少なくとも約80%CD3陽性である場合、前記TILが投与される、項目84~93のいずれか一項に記載の方法。
(項目95)
前記注入前試験が、前記効力試験において前記TILの抗CD3刺激後に細胞105個当たり少なくとも約200pg/mLのIFNγである場合、前記TILが投与される、項目84~94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
前記注入前試験が、前記細胞病理学試験において検討された少なくとも約200個のTIL当たりで腫瘍細胞について陰性である場合、前記TILが投与される、項目84~95のいずれか一項に記載の方法。
(項目97)
サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形と;抗真菌剤の剤形とを含む治療用製品。
(項目98)
前記対象における真菌感染症を阻害するのに十分な量での、葉酸合成インヒビターまたは核酸架橋剤の剤形と;サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形とを含む治療用製品。
(項目99)
ポリエン、アゾール、アリルアミンまたはエキノキャンディンから選択される抗真菌剤の剤形と;サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形とを含む治療用製品。
(項目100)
サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形を含む治療用製品であって、前記TILが、約7.0×107細胞/mL~約2.0×108細胞/mLの凍結密度で凍結保存される、治療用製品。
(項目101)
a)抗真菌剤の剤形と;
b)免疫抑制薬の剤形と;
c)抗生物質の剤形と;
e)サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)遺伝子の少なくとも一部の破壊を含む複数の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の剤形と
を含む治療用製品。
(項目102)
免疫抑制薬の剤形をさらに含む、項目97~100のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目103)
前記免疫抑制薬が、前記TILの投与の約14日~約24時間前に、対象への投与のために製剤化される、項目102に記載の治療用製品。
(項目104)
前記免疫抑制薬が、前記TILの前記投与の約10日~約24時間前に、対象への投与のために製剤化される、項目102または103に記載の治療用製品。
(項目105)
前記免疫抑制薬が、前記TILの前記投与の約7日~約24時間前に、対象への投与のために製剤化される、項目102~104のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目106)
前記免疫抑制薬が、放射線療法剤、生物学的薬剤または化学薬剤を含む、項目102~105のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目107)
前記免疫抑制薬が、前記化学薬剤を含む、項目106に記載の治療用製品。
(項目108)
前記化学薬剤が、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、フルダラビン、ニトロソウレア、白金、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミスラマイシンからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、項目107に記載の治療用製品。
(項目109)
前記化学薬剤が、シクロホスファミドを含む、項目108に記載の治療用製品。
(項目110)
前記化学薬剤が、フルダラビンを含む、項目108に記載の治療用製品。
(項目111)
前記シクロホスファミドが、前記対象の約40mg/kg~約50mg/kgで投与される、項目108~110のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目112)
前記シクロホスファミドが、少なくとも約2日間~約5日間にわたって前記対象に投与される、項目111に記載の治療用製品。
(項目113)
前記シクロホスファミドが、前記対象の約10mg/kg~約15mg/kgで投与される、項目108~110のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目114)
前記シクロホスファミドが、少なくとも約7日間~約10日間にわたって前記対象に投与される、項目113に記載の治療用製品。
(項目115)
前記シクロホスファミドが、前記対象1kg当たり約3mg~前記対象1kg当たり約5mgで投与される、項目108~110のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目116)
前記シクロホスファミドが、前記対象1kg当たり約50mg~約80mg/kgで投与される、項目108~110のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目117)
前記シクロホスファミドが、1kg当たり50mgを超えて投与される、項目108~110のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目118)
前記シクロホスファミドが、1kg当たり約60mgで投与される、項目117に記載の治療用製品。
(項目119)
前記フルダラビンが、前記対象の体表面積の約20mg/m2~約30mg/m2で投与される、項目108~118のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目120)
前記フルダラビンが、前記対象の体表面積の約25mg/m2で投与される、項目119に記載の治療用製品。
(項目121)
前記免疫抑制薬が、部分的または完全免疫抑制を生じる、項目102~120のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目122)
抗真菌剤の前記剤形が、ポリエン、アゾール、アリルアミンおよびエキノキャンディンからなる群から選択される、項目97~121のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目123)
前記抗真菌剤が、アゾールである、項目122に記載の治療用製品。
(項目124)
前記アゾールが、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、および、ボリコナゾールからなる群から選択される、項目123に記載の治療用製品。
(項目125)
前記アゾールが、フルコナゾールである、項目124に記載の治療用製品。
(項目126)
前記フルコナゾールが、約100mg~約800mgの量で存在する、項目124または125に記載の治療用製品。
(項目127)
前記フルコナゾールが、400mgの量で存在する、項目126に記載の治療用製品。
(項目128)
抗真菌薬の前記剤形が、前記TILと同時にまたは逐次に投与される、項目97~127のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目129)
抗真菌薬の前記剤形が、前記TILの約0日後~約4日後に投与される、項目128に記載の治療用製品。
(項目130)
抗生物質の剤形をさらに含む、項目97~129のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目131)
前記抗生物質が、細菌壁標的剤、細胞膜標的剤、細菌酵素干渉剤、殺菌剤、タンパク質合成インヒビターおよび静菌剤のうちの少なくとも1つを含む、項目130に記載の治療用製品。
(項目132)
前記抗生物質が、殺菌剤を含む、項目131に記載の治療用製品。
(項目133)
前記殺菌剤が、セファロスポリンまたはキノロンである、項目132に記載の治療用製品。
(項目134)
抗生物質の前記剤形が、静菌剤である、項目130~133のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目135)
前記静菌剤が、予防的投与のために製剤化される、項目134に記載の治療用製品。
(項目136)
前記静菌剤が、トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンである、項目134または135に記載の治療用製品。
(項目137)
前記トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンが、約100mg~約1000mgの量で存在する、項目136に記載の治療用製品。
(項目138)
前記トリメトプリムが、160mgの量で存在する、項目137に記載の治療用製品。
(項目139)
前記スルファメトキサゾールが、800mgの量で存在する、項目137に記載の治療用製品。
(項目140)
前記ペンタミジンが、300mgの量で存在する、項目137に記載の治療用製品。
(項目141)
前記静菌剤が、前記TILの前に、前記TILと同時に、または前記TILの後に投与される、項目131~140のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目142)
前記静菌剤が、前記TILの前記投与の約14日前~前記TILの前記投与の約6カ月後に投与される、項目141に記載の治療用製品。
(項目143)
前記静菌剤が、前記TILの約8日前~前記TILの少なくとも4日後に投与される、項目131~142のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目144)
前記剤形を投与するステップをさらに含む、項目1~49のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目145)
静脈内、経口、筋肉内、腹腔内または胸膜内投与のために製剤化される、項目144に記載の治療用製品。
(項目146)
免疫抑制薬の前記剤形が、注入による投与のために製剤化される、項目102~145のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目147)
前記シクロホスファミドが、約60mg/kgの用量で投与され、250mlの5%デキストロース水溶液に希釈され、1時間にわたって注入される、項目108~146のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目148)
前記フルダラビンが、100mlの0.9%塩化ナトリウム、USPにおける25mg/m2の用量で投与され、約15~約30分間にわたって注入される、項目108~147のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目149)
前記免疫刺激薬が、前記対象における前記TILを活性化するのに十分な量で存在する、項目97~148のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目150)
前記免疫刺激薬が、ワクチン、コロニー刺激剤、インターフェロン、インターロイキン、ウイルス、抗原、共刺激剤、免疫原性薬剤、免疫モジュレーターおよび免疫療法剤からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、項目149に記載の治療用製品。
(項目151)
免疫刺激薬の前記剤形が、インターロイキンを含む、項目150に記載の治療用製品。
(項目152)
前記インターロイキンが、アルデスロイキンであり、約550,000~約800,000IU/kgの用量で投与される、項目151に記載の治療用製品。
(項目153)
前記アルデスロイキンが、約720,000IU/kgの用量で投与される、項目152に記載の治療用製品。
(項目154)
前記対象における感染症を防止するのに十分な量での感染予防剤の剤形をさらに含む、項目97~153のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目155)
前記感染予防剤が、ヘルペスウイルス予防薬剤である、項目154に記載の治療用製品。
(項目156)
前記ヘルペスウイルス予防薬剤が、HSV陽性対象の処置に有効な量で存在する、項目155に記載の治療用製品。
(項目157)
前記ヘルペスウイルス予防薬剤が、バラシクロビルまたはアシクロビルである、項目155または156に記載の治療用製品。
(項目158)
前記破壊が、CRISPR、亜鉛フィンガー、TALENおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される系によって誘導される、項目97~157のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目159)
前記系が、CRISPR系である、項目158に記載の治療用製品。
(項目160)
前記CRISPR系が、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、およびCas9HiFiからなる群から選択されるエンドヌクレアーゼを含む、項目158または159に記載の治療用製品。
(項目161)
前記エンドヌクレアーゼが、Cas9である、項目160に記載の治療用製品。
(項目162)
前記エンドヌクレアーゼが、前記破壊を行う、項目160または161に記載の治療用製品。
(項目163)
前記破壊が、遺伝子のエクソンまたはイントロンを含む、項目97~162のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目164)
前記破壊が、遺伝子のエクソン中である、項目163に記載の治療用製品。
(項目165)
前記破壊が、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約20塩基対以内である、項目97~164のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目166)
前記破壊が、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約10塩基対以内である、項目97~164のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目167)
前記破壊が、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の約5塩基対以内である、項目97~164のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目168)
前記破壊が、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)から3塩基対である、項目97~167のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目169)
前記破壊が、配列番号13のエクソンまたはイントロン中である、項目97~168のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目170)
前記破壊が、配列番号13のエクソン中である、項目169に記載の治療用製品。
(項目171)
前記CRISPR系が、ガイドポリ核酸を含む、項目158~170のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目172)
前記ガイドポリ核酸が、配列番号68に対して少なくとも約60%の相同性を含む、項目171に記載の治療用製品。
(項目173)
前記破壊が、二本鎖切断を含む、項目97~172のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目174)
前記二本鎖切断が、配列番号71または配列番号77で生じる、項目173に記載の治療用製品。
(項目175)
前記TILが、細胞約1×109個、細胞3×109個、細胞1×1010個、細胞3×1010個~細胞約1×1011個の量で存在する、項目97~174のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目176)
前記TILが、約30分間にわたって投与される、項目97~175のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目177)
前記TILが、静脈内投与される、項目97~176のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目178)
前記静脈内投与が、注入を含む、項目177に記載の治療用製品。
(項目179)
前記TILにおける注入前試験を行うステップをさらに含む、項目97~178のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目180)
前記注入前試験が、表現型試験、効力試験、微生物学的試験、エンドトキシン試験、生存率試験および腫瘍細胞試験のうちの少なくとも1つを含む、項目179に記載の治療用製品。
(項目181)
前記表現型試験が、前記TILにおけるCD3の存在を検出するステップを含む、項目180に記載の治療用製品。
(項目182)
前記効力試験が、前記TILの抗CD3刺激後に、IFNγのレベルを検出するステップを含む、項目180または181に記載の治療用製品。
(項目183)
前記微生物学的試験が、好気培養、嫌気培養、グラム状態、真菌状態またはマイコプラズマ状態の増殖を検出するステップを含む、項目180~182のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目184)
前記エンドトキシン試験が、リムルスアッセイを行うステップを含む、項目180~183のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目185)
前記生存率試験が、トリパンブルー排除アッセイを行うステップを含む、項目180~184のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目186)
前記腫瘍細胞試験が、細胞病理学アッセイを含む、項目180~185のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目187)
前記注入前試験が、前記微生物学的試験について陰性である場合、前記TILが投与される、項目97~186のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目188)
前記注入前試験が、前記生存率試験について少なくとも約70%超の生細胞である場合、前記TILが投与される、項目97~187のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目189)
前記注入前試験が、前記表現型試験について少なくとも約80%CD3陽性である場合、前記TILが投与される、項目97~188のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目190)
前記注入前試験が、前記効力試験において前記TILの抗CD3刺激後に細胞105個当たり少なくとも約200pg/mLのIFNγである場合、前記TILが投与される、項目97~189のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目191)
前記注入前試験が、前記細胞病理学試験において検討された少なくとも約200個のTIL当たりで腫瘍細胞について陰性である場合、前記TILが投与される、項目97~190のいずれか一項に記載の治療用製品。
(項目192)
配列番号64~配列番号69のいずれか1つに対して少なくとも60%の配列相同性を含む核酸組成物。
(項目193)
前記配列相同性が、少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または最大約100%である、項目192に記載の核酸組成物。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、Cas9ヌクレアーゼプラスミド、HPRT gRNAプラスミド、Amaxa EGFPmaxプラスミド、およびHPRT標的ベクターを含む、4つのプラスミドの構造を示す。
【0024】
【
図2】
図2は、潜在的な標的部位において、CRISPR gRNAにより生じる遺伝子改変の%を示す。
【0025】
【
図3】
図3は、刺激T細胞内のCRISPR誘導性DSBを示す。
【0026】
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、ガイドRNAのトランスフェクション後6日目における、PD-1、CTLA-4、PD-1、およびCTLA-2、またはCCR5、PD-1、およびCTLA-4の発現を示す。代表的ガイド:PD-1(P2、P6、P2/6)、CTLA-4(C2、C3、C2/3)、またはCCR5(CC2)である。Aは、阻害性受容体の発現パーセントを示す。Bは、対照ガイドRNAに対して正規化した、阻害性受容体の発現を示す。
【0027】
【
図5】
図5Aは、非染色の、ガイドを伴わない対照と比較した、CRISPR、ならびにCTLA-4特異的ガイドRNAである、ガイド#2および#3の電気穿孔の後における、初代ヒトT細胞内のCTLA-4の発現を示す。
図5Bは、非染色の、ガイドを伴わない対照と比較した、CRISPR、ならびにPD-1特異的ガイドRNAである、ガイド#2および#6の電気穿孔の後における、初代ヒトT細胞内のPD-1の発現を示す。
【0028】
【
図6】
図6は、CRISPR、ならびにマルチプレックス化させたCTLA-4ガイドRNAおよびPD-1ガイドRNAの電気穿孔の後における、初代ヒトT細胞内のCTLA-4およびPD-1の発現についてのFACS結果を示す。
【0029】
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、CRISPRによる処置後における、初代ヒトT細胞内の二重ノックアウトパーセントを示す。
図7Aは、CTLA-4ガイド#2、#3、#2および#3、PD-1ガイド#2およびCTLA-4ガイド#2、PD-1ガイド#6およびCTLA-4ガイド#3で処置したT細胞内の、CTLA-4ノックアウトパーセントであって、Zapのみ、Cas9のみ、および全てのガイドRNA対照と比較したノックアウトパーセントを示す。
図7Bは、PD-1ガイド#2、PD-1ガイド#6、PD-1ガイド#2および#6、PD-1ガイド#2およびCTLA-4ガイド#2、PD-1ガイド#6およびCTLA-4ガイド#3で処置したT細胞内の、PD-1ノックアウトパーセントであって、Zapのみ、Cas9のみ、および全てのガイドRNA対照と比較したノックアウトパーセントを示す。
【0030】
【
図8】
図8は、CRISPR、およびCTLA-4、PD-1、またはこれらの組合せに特異的なガイドRNAの電気穿孔後における、T細胞の生存率を示す。
【0031】
【
図9】
図9は、PD-1ガイドRNAのみを導入する条件下、PD-1ガイドRNAおよびCTLA-4ガイドRNAを導入する条件下、またはCCR5ガイドRNA、PD-1ガイドRNA、およびCLTA-4ガイドRNAを導入する条件下、Zapのみによる対照条件下、またはgRNAのみによる対照条件下における、PD-1ガイドRNA#2、#6、#2および#6による切断を示す、CEL-Iアッセイの結果を示す。
【0032】
【
図10】
図10は、CLTA-4ガイドRNAのみを導入する条件下、PD-1ガイドRNAおよびCTLA-4ガイドRNAを導入する条件下、またはCCR5ガイドRNA、PD-1ガイドRNA、およびCLTA-4ガイドRNAを導入する条件下、Zapのみによる対照条件下、またはgRNAのみによる対照条件下における、CTLA-4ガイドRNA#2、#3、#2および#3による切断を示す、CEL-Iアッセイの結果を示す。
【0033】
【
図11】
図11は、Zapのみによる対照条件下、Cas9のみによる対照条件下、またはガイドRNAのみによる対照条件下と比較した、CCR5ガイドRNAを導入する条件下、CCR5ガイドRNA、PD-1ガイドRNA、またはCTLA-4ガイドRNAを導入する条件下における、CCR5ガイドRNA#2による切断を示す、CEL-Iアッセイの結果を示す。
【0034】
【
図12】
図12は、2’O-メチルRNA修飾を伴う、最適化されたCRISPRガイドRNAを、5マイクログラムおよび10マイクログラムで用いる、初代ヒトT細胞内の、TCRアルファのノックアウトであって、FACSにおけるCD3の発現により測定されるノックアウトを示す。
【0035】
【
図13】
図13は、CRISPR、およびCTLA-4へのガイドRNAによる処置後における、T細胞の生存率および表現型を測定する方法を示す。表現型は、正常FSC/SSCプロファイルを呈する処置細胞の頻度であって、電気穿孔単独による対照の頻度に対して正規化された頻度を定量化することにより測定した。生存率はまた、FSC/SSCゲートをかけた集団内の細胞による、Viability Dyeの除外によっても測定した。T細胞表現型は、CD3およびCD62Lにより測定する。
【0036】
【
図14】
図14は、CRISPR、ならびにPD-1へのガイドRNA、ならびにPD-1およびCTLA-4へのガイドRNAによる処置後における、T細胞の生存率および表現型を測定する方法を示す。表現型は、正常FSC/SSCプロファイルを呈する処置細胞の頻度であって、電気穿孔単独による対照の頻度に対して正規化された頻度を定量化することにより測定した。生存率はまた、FSC/SSCゲートをかけた集団内の細胞による、Viability Dyeの除外によっても測定した。T細胞表現型は、CD3およびCD62Lにより測定する。
【0037】
【
図15】
図15は、初代ヒトT細胞およびJurkat対照への、PD-1ガイドRNAまたはCTLA-4ガイドRNAのトランスフェクション後4日目における、CRISPR遺伝子編集を検出する、T7E1アッセイの結果を示す。NNとは、T7E1ヌクレアーゼを伴わない対照である。
【0038】
【
図16】
図16は、TIDE(tracking of indels by decomposition)解析の結果を示す。遺伝子編集効率パーセントを、PD-1ガイドRNAおよびCTLA-4ガイドRNAについて示す。
【0039】
【
図17】
図17は、単一のガイドのトランスフェクションについての、TIDE(tracking of indels by decomposition)解析の結果を示す。欠失または挿入を伴う配列のパーセントを、PD-1ガイドRNAまたはCTLA-1ガイドRNAおよびCRISPRをトランスフェクトした初代ヒトT細胞について示す。
【0040】
【
図18】
図18は、二重ターゲティングによるPD-1配列の欠失を示す。
【0041】
【
図19】
図19は、二重ターゲティングによるPD-1配列の欠失についての、PCR産物のシーケンシング結果を示す。試料6および14は、介在する135bpを切り出した、2つのgRNA配列の融合体により示される。
【0042】
【
図20】
図20は、二重ターゲティングによるCTLA-4配列の欠失を示す。二重ガイドによりターゲティングされたCTLA-4のシーケンシングにおいてもまた、2つのガイドRNA配列間の欠失が存在する(試料9および14)。T7E1アッセイは、PCRによる欠失を確認する。
【0043】
【
図21】
図21Aおよび21Bは、抗CTLA-4ガイドRNAおよびCRISPRのトランスフェクション後における、CTLA-4陽性ヒトT細胞についてのCTLA-4 FACS解析を示す。Bは、抗CTLA-4ガイドRNAおよびCRISPRのトランスフェクション後における、ヒトT細胞内の、パルス対照と比べた、CTLA-4ノックアウト効率を示す。
【0044】
【
図22】
図22は、CISH、PD-1、CTLA4、およびAAVS1のための修飾sgRNAを示す。
【0045】
【
図23】
図23Aは、抗PD-1 CRISPR系のトランスフェクション後における、PD-1の発現パーセントを示す。
図23Bは、Cas9のみによる対照と比較した、PD-1ノックアウト効率パーセントを示す。
【0046】
【
図24】
図24は、CRISPRおよび抗CTLA-4ガイドRNAをトランスフェクトした、CTLA-4染色ヒトT細胞についてのFACS解析による定量化データを示す。トランスフェクション後6日目における、CTLA-4の発現パーセントおよびノックアウトパーセントについてのデータを示す。
【0047】
【
図25】
図25は、CRISPRおよび抗PD-1ガイドRNAをトランスフェクトした、PD-1染色ヒトT細胞についてのFACS解析を示す。トランスフェクション後14日目における、PD-1の発現(抗ヒトCD279 PerCP-Cy5.5)についてのデータを示す。
【0048】
【
図26】
図26は、CRISPRおよび抗PD-1ガイドRNAをトランスフェクトしたヒトT細胞についての、Cas9のみによる対照と比較した、PD-1の発現パーセントおよびPD-1のノックアウトパーセントを示す。
【0049】
【
図27】
図27は、CRISPR、抗CTLA-4ガイドRNA、および抗PD-1ガイドRNAをトランスフェクトしたヒトT細胞の、14日目における細胞数および生存率を示す。
【0050】
【
図28】
図28は、CRISPR、ならびに抗PD-1ガイド#2単独、抗PD-1ガイド#2および#6、または抗CTLA-4ガイド#3単独の電気穿孔後14日目における、ヒトT細胞についてのFACSデータを示す。操作T細胞を、48時間にわたり再刺激して、CTLA-4およびPD-1の発現について評価し、ガイドRNAを伴わずに電気穿孔した対照細胞と比較した。
【0051】
【
図29】
図29は、CRISPR、ならびに抗CTLA-4ガイド#2および#3、抗PD-1ガイド#2および抗CTLA-4ガイド#3、または抗PD-1ガイド#2および#6、抗CTLA-4ガイド#3および#2の電気穿孔後14日目における、ヒトT細胞についてのFACSデータを示す。操作T細胞を、48時間にわたり再刺激して、CTLA-4およびPD-1の発現について評価し、ガイドRNAを伴わずに電気穿孔した対照細胞と比較した。
【0052】
【
図30】
図30は、初代ヒトT細胞内のCISH遺伝子座の、CRISPRを媒介する遺伝子改変についてのSurveyorアッセイの結果を示す。
【0053】
【
図31】
図31は、体細胞の変異負荷が、腫瘍型間で変動することを示す。腫瘍特異的ネオ抗原の作製および提示は理論的に、変異負荷と正比例する。
【0054】
【
図32】
図32は、核酸に対して施し得る、シュードウリジン-5’-三リン酸修飾および5-メチルシチジン-5-三リン酸修飾を示す。
【0055】
【
図33】
図33は、CRISPRおよびCISH gRNA1、3、4、5、または6をトランスフェクトした293T細胞についての、密度測定解析の二連の実験を示す。
【0056】
【
図34】
図34Aおよび34Bは、CISH gRNA 1についての二連のTIDE解析を示す。
【0057】
【
図35】
図35Aおよび35Bは、CISH gRNA 3についての二連のTIDE解析を示す。
【0058】
【
図36】
図36Aおよび36Bは、CISH gRNA 4についての二連のTIDE解析を示す。
【0059】
【
図37】
図37Aおよび37Bは、CISH gRNA 5についての二連のTIDE解析を示す。
【0060】
【
図38】
図38Aおよび38Bは、CISH gRNA 6についての二連のTIDE解析を示す。
【0061】
【
図39】
図39は、初代T細胞内のCRISPRノックアウト後における、CISHタンパク質の喪失を示すウェスタンブロットを示す。
【0062】
【
図40】
図40Aおよび40Bは、ヒトTILの刺激前および刺激後における絶対細胞数を示す。
図40Aは、刺激前および刺激後における、RPMI培地中またはex vivo培地中で培養された、第1のドナーの細胞数を示す。
図40Bは、刺激前および刺激後における、RPMI培地中で培養された、第2のドナーの細胞数を示す。
【0063】
【
図41】
図41Aおよび41Bは、PD-1遺伝子座をターゲティングするCRISPR系を電気穿孔したヒト腫瘍浸潤リンパ球(TIL)または対照細胞の細胞拡大を示す。
図41Aは自家フィーダーの添加を伴う拡大を示し、
図41Bは、自家フィーダーの添加を伴わない拡大を示す。
【0064】
【
図42】
図42は、CISH KO TILの産生を示す。インターロイキン2で拡大したTILを、固定化された抗CD3および可溶性抗CD28と共に4日間インキュベーションすることによって刺激する。0日目にTILを回収し、CISHをターゲティングするCRISPR/Cas9試薬を電気穿孔によって送達する。電気穿孔後、修飾されたTILを、後続の急速拡大のために放射線照射した末梢血単核細胞フィーダーおよびIL-2の存在下でG-Rexフラスコに移す。最初の細胞計数中および(+)7日目における継代培養の際、細胞の少量のアリコートを回収して、シーケンシングにより挿入/欠失(インデル)頻度を決定する。その後、TILを(+)14日目に採取し、この時点で品質管理評価のために試料を得、その後、注入準備済みバッグ内で凍結保存する。
【
図43】
図43A、43B、および43Cは、CRISPR/Cas9編集後のCISH遺伝子座のTiDE解析を示す。14日間の急速拡大の後、ゲノムDNAを単離し、PDCD1およびCISH内のCRISPR標的領域に関してPCRを行った。PCRアンプリコンをTiDE解析にかけた。プロットは、対象PV1、PV2、およびPV3に関する、喪失または獲得された塩基対におけるそれらのサイズに基づくインデルの総頻度ならびに挿入および欠失の分布を指し示す。
【0065】
【
図44】
図44は、対象PV1、PV2、およびPV3に関する、CRISPR/Cas9編集後のCISH遺伝子座のTiDE解析の概要を示す。
【0066】
【
図45】
図45Aおよび45Bは、CRISPR/Cas9編集後のCISHタンパク質発現の喪失を示す。電気穿孔の14日後、CISH発現を誘導するため、48時間にわたってPB T細胞およびTILを再刺激したか、または再刺激しなかった。対照は、細胞にCRISPR/Cas9構成要素を与えなかったことを指し示す。Cas9+gRNAは、Cas9 mRNAと、CISH遺伝子座のエクソン3をターゲティングするようにデザインされたgRNAとを与えた細胞を指し示す。
【0067】
【
図46】
図46A、46B、および46Cは、CRISPR編集後のT細胞の増殖および生存率を示す。
図46Aは、電気穿孔後6日目の生存率を示す。
図46Bは、3×10
6個の細胞から始めた電気穿孔後12日目の総細胞数を示す。細胞=操作なし、ZAP=電気穿孔のみである。
図46Cは、各条件で3×10
6個の細胞から始めた標準的な組織培養フラスコにおける11日間にわたるTILの総細胞数を示す。
【0068】
【
図47】
図47Aおよび47Bは、CRISPR/Cas9編集されたT細胞およびTILにおけるサイトカイン産生のSPICEプロットを示す。電気穿孔の14日後、プレートに結合した抗CD3および可溶性抗CD28抗体を使用してT細胞およびTILを再刺激し、細胞内染色およびフローサイトメトリーによってサイトカイン産生についてアッセイした。
【0069】
【
図48】
図48Aは、CRISPR/Cas9編集後のPD-1タンパク質発現の喪失を示す。電気穿孔の14日後、PD-1発現を誘導するため、72時間にわたって末梢血T細胞またはTILを再刺激した。再刺激されたT細胞におけるPD-1発現である。
図48Bは、再刺激されたTILにおけるPD-1発現を示す。喪失パーセントは赤色で示されている。
【0070】
【
図49】
図49は、対照およびCISHが修飾された腫瘍浸潤リンパ球の絶対細胞数を示す。
【0071】
【
図50】
図50Aは、IL-2の存在下で培養した7日目の対照およびCISHノックアウトTILを示す。
図50Bは、IL-2の非存在下で培養した7日目の対照およびCISHノックアウトTILを示す。
【0072】
【
図51】
図51Aは、PDCD1のオフターゲット部位を示す。
図51Bは、GUIDE-Seqによって同定されたCISH gRNAを示す。
【0073】
【
図52】
図52は、GUIDE-SeqおよびGMP PQの製造試行でのCISH遺伝子座におけるターゲティングされたインデルの頻度を示す(ns、P=0.93)。
【発明を実施するための形態】
【0074】
開示の詳細な説明
以下の記載および実施例は、本発明の実施形態を詳細に例示する。本発明は、本明細書で記載される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって変化し得ることを理解されたい。当業者は、その範囲内に包含される本発明の多数の変形および改変が存在することを認識するであろう。
【0075】
定義
本明細書で使用される基準数値およびその文法的同等物に関する、「約」という用語およびその文法的同等物は、その値からプラスまたはマイナス10%の範囲の値を含み得る。例えば、「約10」という量は、9~11の量を含む。基準数値に関する「約」という用語はまた、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%の範囲の値も含み得る。
【0076】
本明細書で使用される「活性化」という用語およびその文法的同等物は、細胞が、休眠状態から、活性状態へと移行する過程を指す場合がある。この過程は、抗原への応答、遊走、および/または機能的活性状態への、表現型もしくは遺伝子的変化を含み得る。例えば、「活性化」という用語は、T細胞活性化の段階的過程を指す場合がある。例えば、T細胞は、完全に活性化するのに、少なくとも2つのシグナルを要求し得る。第1のシグナルは、抗原-MHC複合体の、TCRへの会合の後で生じることが可能であり、第2のシグナルは、共刺激性分子の会合により生じ得る。in vitroにおいて、抗CD3は、第1のシグナルを模倣することが可能であり、抗CD28は、第2のシグナルを模倣し得る。
【0077】
本明細書で使用される「隣接する」という用語およびその文法的同等物は、基準の対象物のすぐ隣を指す場合がある。例えば、ヌクレオチド配列の文脈における隣接するという用語は、間にヌクレオチドを伴わないことを意味する。例えば、ポリヌクレオチドBと隣接するポリヌクレオチドAとは、AとBとの間にヌクレオチドを伴わないABを意味し得る。
【0078】
本明細書で使用される「抗原」という用語およびその文法的同等物は、1または複数の受容体が結合することが可能な、1または複数のエピトープを含有する分子を指す場合がある。例えば、抗原は、宿主の免疫系を刺激して、抗原が提示されている場合の、細胞性の抗原特異的免疫応答をもたらす場合もあり、体液性抗体応答をもたらす場合もある。抗原はまた、それ自体により、または別の分子と組み合わせて存在する場合に、細胞性応答および/または体液性応答を誘発する能力も有し得る。例えば、腫瘍細胞抗原は、TCRにより認識され得る。ネオ抗原など、抗原は、変異負荷が大きな腫瘍と関連し得る(
図31)。
【0079】
本明細書で使用される「エピトープ」という用語およびその文法的同等物は、抗体、B細胞、T細胞、または操作細胞により認識され得る、抗原の一部を指す場合がある。例えば、エピトープは、TCRにより認識されるがんエピトープであり得る。また、抗原内の複数のエピトープも認識することができる。エピトープはまた、変異している場合もある。
【0080】
本明細書で使用される「自家」という用語およびその文法的同等物は、同じ存在に由来することを指す場合がある。例えば、試料(例えば、細胞)を採取し、加工し、後に同じ対象(例えば、患者)へと戻すことができる。自家工程は、ドナーとレシピエントとが異なる対象である、同種工程と区別される。
【0081】
本明細書で使用される「がん」という用語およびその文法的同等物は、細胞の過剰増殖であって、その固有の形質(正常な制御の喪失)が、調節されていない増殖、分化の欠如、限局的な組織浸潤、および転移を結果としてもたらす過剰増殖を指す場合がある。本発明の方法との関連で、がんは、急性リンパ球がん、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、乳がん、肛門がん、肛門管がん、直腸がん、眼がん、肝臓内胆管がん、関節がん、頸部がん、胆嚢がん、または胸膜がん、鼻がん、鼻腔がん、または中耳がん、口腔がん、外陰がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、線維肉腫、消化器がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、白血病、液性腫瘍、肝臓がん、肺がん、リンパ腫、悪性中皮腫、マスト細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、腹膜がん、網がん、および腸間膜がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎臓がん、皮膚がん、小腸がん、軟組織がん、固体腫瘍、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん、および/または膀胱がんのうちのいずれかを含む、任意のがんであり得る。本明細書で使用される「腫瘍」という用語は、細胞または組織の異常な増殖であって、例えば、悪性型または良性型の増殖を指す。
【0082】
本明細書で使用される「がんネオ抗原」または「ネオ抗原」または「ネオエピトープ」という用語およびその文法的同等物は、正常な、変異していない宿主のゲノム内ではコードされない抗原を指す場合がある。「ネオ抗原」は、場合によって、腫瘍形成性のウイルスタンパク質、または体細胞変異の帰結として発生する異常なタンパク質を表し得る。例えば、ネオ抗原は、ウイルスタンパク質の活性を介する、細胞機構の破壊により発生し得る。別の例は、場合によって、体細胞変異をもたらし得る、発がん性化合物への曝露であり得る。この体細胞変異は最終的に、腫瘍/がんの形成をもたらし得る。
【0083】
本明細書で使用される「細胞傷害作用」という用語は、細胞の正常状態の、意図されないかまたは所望されない変更を指す。細胞の正常状態とは、細胞傷害性組成物、細胞傷害剤、および/または細胞傷害性状態への細胞の曝露の前に顕在化されるかまたは存在する状態を指す場合がある。一般に、正常状態にある細胞とは、ホメオスタシスにある細胞である。細胞の正常状態の、意図されないかまたは所望されない変更は、例えば、細胞死(例えば、プログラム細胞死)、複製の潜在能の減殺、膜の完全性などの細胞の完全性の減殺、代謝活性の減殺、発生能の減殺、または本出願で開示される細胞傷害作用のうちのいずれかの形態で顕在化され得る。
【0084】
「細胞傷害作用を低減すること」または「細胞傷害作用を低減する」という語句は、細胞傷害性組成物、細胞傷害剤、および/または細胞傷害性状態への曝露時における、細胞の正常状態の、意図されないかまたは所望されない変更の程度または頻度の低減を指す。語句は、細胞傷害性組成物、細胞傷害剤、および/または細胞傷害性状態へと曝露された個々の細胞内の細胞傷害作用の程度を低減することを指す場合もあり、細胞集団を、細胞傷害性組成物、細胞傷害剤、および/または細胞傷害性状態へと曝露した場合に、細胞傷害作用を呈する集団の細胞数を低減することを指す場合もある。
【0085】
本明細書で使用される「操作された」という用語およびその文法的同等物は、核酸、例えば、生物のゲノム内の核酸の、1または複数の変更を指す場合がある。「操作された」という用語は、遺伝子の変更、付加、および/または欠失を指す場合がある。操作細胞とはまた、遺伝子を付加し、欠失させ、かつ/または変更した細胞も指す場合がある。
【0086】
本明細書で使用される「細胞」または「操作細胞」という用語およびこれらの文法的同等物は、ヒト由来の細胞を指す場合もあり、非ヒト動物由来の細胞を指す場合もある。
【0087】
本明細書で使用される「チェックポイント遺伝子」という用語およびその文法的同等物は、免疫応答の振幅を調節するように作用する阻害性過程(例えば、フィードバックループ)、例えば、有害な応答の、制御されない伝播を緩和させる、免疫阻害性フィードバックループに関与する、任意の遺伝子を指す場合がある。これらの応答は、感染症に対する免疫応答時に生じ得る付帯的な組織損傷に対して防御する分子シールド、および/または末梢における自己寛容の維持への寄与を含み得る。チェックポイント遺伝子の非限定的な例は、拡張CD28ファミリーの受容体のメンバーおよびそれらのリガンド、ならびに共阻害性経路(例えば、CTLA-4およびPD-1)に関与する遺伝子を含み得る。「チェックポイント遺伝子」という用語はまた、免疫チェックポイント遺伝子を指す場合がある。
【0088】
「CRISPR」、「CRISPR系」、または「CRISPRヌクレアーゼ系」、およびこれらの文法的同等物は、DNAに結合する非コードRNA分子(例えば、ガイドRNA)と、ヌクレアーゼの機能性(例えば、2つのヌクレアーゼドメイン)を伴うCasタンパク質(例えば、Cas9)とを含み得る。例えば、Sander, J.D.ら、「CRISPR-Cas systems for editing, regulating and targeting genomes」、Nature Biotechnology、32巻:347~355頁(2014年)を参照されたい。例えば、Hsu, P.D.ら、「Development and applications of CRISPR-Cas9 for genome engineering」、Cell、157巻(6号):1262~1278頁(2014年)もまた、参照されたい。
【0089】
本明細書で使用される「~を破壊すること」という用語およびその文法的同等物は、例えば、切断、欠失、挿入、変異、再配列またはこれらの任意の組合せにより遺伝子を改変または変更する工程を指す場合がある。破壊は、タンパク質発現のノックアウトまたはノックダウンをもたらす場合がある。ノックアウトは、完全または部分的ノックアウトであり得る。例えば、遺伝子は、ノックアウトまたはノックダウンにより破壊することができる。遺伝子の破壊は、遺伝子によりコードされるタンパク質の発現を部分的に低減することの場合もあり、これを完全に抑制することの場合もある。遺伝子の破壊はまた、異なる遺伝子、例えば、下流における遺伝子の活性化も引き起こし得る。一部の実施形態では、「~を破壊すること」という用語は、抑制すること、妨害すること、または操作することなどの用語と互換的に使用することができる。
【0090】
本明細書で使用される「機能」という用語およびその文法的同等物は、意図される目的を果たすか、有するか、またはこれに適う能力を指す場合がある。「機能的」とは、正常機能の、ベースラインから100%までの任意のパーセントを含み得る。例えば、機能的とは、正常機能の5、10、15、20、25、30、35、40、45、50,55、60、65、70、75、80、85、90、95、および/もしくは100%を含み得るか、またはほぼこれらの比率を含み得る。場合によって、機能的という用語は、正常機能の100%またはほぼ100%を超える、例えば、正常機能の125、150、175、200、250、300%、および/もしくはこれを上回ることを意味し得る。
【0091】
本明細書で使用される「遺伝子編集」という用語およびその文法的同等物は、ゲノムにおいて、1または複数のヌクレオチドを挿入するか、置き換えるか、または除去する遺伝子操作を指す場合がある。遺伝子編集は、ヌクレアーゼ(例えば、天然で存在するヌクレアーゼまたは人工的に操作されたヌクレアーゼ)を使用して実施することができる。
【0092】
本明細書で使用される「変異」という用語およびその文法的同等物は、ポリヌクレオチド内の、1または複数のヌクレオチドの置換、欠失、および挿入を含み得る。例えば、ポリヌクレオチド(cDNA、遺伝子)配列内またはポリペプチド配列内で、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、20、25、30、40、50、またはそれよりも多い、ヌクレオチド/アミノ酸を、置換し、欠失させ、かつ/または挿入することができる。変異は、遺伝子のコード配列またはその調節配列に影響を及ぼし得る。変異はまた、ゲノム配列構造、またはコードされるmRNAの構造/安定性にも影響を及ぼし得る。
【0093】
本明細書で使用される「非ヒト動物」という用語およびその文法的同等物は、ヒト以外の全ての動物種であって、天然動物の場合もあり、遺伝子改変された非ヒト動物の場合もある、非ヒト哺乳動物を含む動物種を含み得る。「核酸」、「ポリヌクレオチド」、「ポリ核酸」、および「オリゴヌクレオチド」という用語、ならびにこれらの文法的同等物は、互換的に使用することができ、直鎖状コンフォメーションまたは環状コンフォメーションにあり、一本鎖形態または二本鎖形態にある、デオキシリボヌクレオチドポリマーまたはリボヌクレオチドポリマーを指し得る。本開示の目的では、これらの用語は、長さに関して限定的とはみなされるべきではない。用語は、天然ヌクレオチドの類似体のほか、塩基部分、糖部分、および/またはリン酸部分(例えば、ホスホロチオエート骨格)において修飾されたヌクレオチドも包含し得る。用語の変化形はまた、脱メチル化、CpGメチル化の付加、細菌性メチル化の除去、および/または哺乳動物性メチル化の付加も包含し得る。一般に、特定のヌクレオチドの類似体は、同じ塩基対合特異性を有し得る、すなわち、Aの類似体は、Tと塩基対であり得る。
【0094】
本明細書で使用される「末梢血リンパ球」(PBL)という用語およびその文法的同等物は、血液(例えば、末梢血)中を循環するリンパ球を指す場合がある。末梢血リンパ球とは、臓器へと局在化しないリンパ球を指す場合がある。末梢血リンパ球は、T細胞、NK細胞、B細胞、またはこれらの任意の組合せを含み得る。
【0095】
本明細書で使用される「表現型」という用語およびその文法的同等物は、生物の観察可能な特徴または形質の複合物であって、その形状、発生、生化学的特性または生理学的特性、生物季節学、挙動、および挙動の結果などの複合物を指す場合がある。文脈に応じて、「表現型」という用語は、ある場合には、集団の観察可能な特徴または形質の複合物を指す。
【0096】
本明細書で使用される「プロトスペーサー」という用語およびその文法的同等物は、PAMに隣接する核酸配列であって、ガイドRNAのスペーサー配列または操作されたターゲティング部分など、ガイドRNAの部分にハイブリダイズすることが可能な核酸配列を指す場合がある。プロトスペーサーは、遺伝子内、ゲノム内、または染色体内のヌクレオチド配列であって、ガイドRNAにターゲティングされるヌクレオチド配列であり得る。天然状態では、プロトスペーサーは、PAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)と隣接する。RNAにガイドされるヌクレアーゼの切断部位は、プロトスペーサー配列内にある。例えば、ガイドRNAが、特異的プロトスペーサーをターゲティングする場合、Casタンパク質は、プロトスペーサー配列内で二本鎖切断を生じ、これにより、プロトスペーサーを切断するであろう。切断後、プロトスペーサーの破壊は、非相同末端結合(NHEJ)または相同性により導かれる修復(HDR)を結果としてもたらし得る。プロトスペーサーの破壊は、プロトスペーサーの欠失を結果としてもたらし得る。加えて、または代替的に、プロトスペーサーの破壊は、プロトスペーサーへと挿入されるか、またはこれを置き換える外因性核酸配列を結果としてもたらし得る。
【0097】
本明細書で使用される「レシピエント」という用語およびその文法的同等物は、ヒトまたは非ヒト動物を指す場合がある。レシピエントはまた、それを必要とするレシピエントでもあり得る。
【0098】
本明細書で使用される「組換え」という用語およびその文法的同等物は、2つのポリ核酸の間の遺伝情報の交換過程を指す場合がある。本開示の目的では、「相同組換え」または「HR」とは、例えば、二本鎖切断の修復時において生じ得る、このような遺伝子交換の特化形態を指す場合がある。この過程は、例えば、標的分子(例えば、二本鎖切断を経た分子)を修復するための鋳型として、ドナー分子を使用して、ヌクレオチド配列相同性を要求する場合があり、ある場合には、非交叉型遺伝子変換またはショートトラクト型遺伝子変換として公知である。このような移入はまた、破壊される標的とドナーとの間で形成されるヘテロ二重鎖DNAのミスマッチの是正、および/または標的の一部となりうる遺伝情報を再合成するのにドナーを使用し得る合成依存性鎖アニーリング、および/または関連する過程も伴いうる。このような特化したHRは、ドナーポリヌクレオチドの配列の一部または全部を、標的ポリヌクレオチドへと組み込みうるように、標的分子の配列の変更を結果としてもたらし得ることが多い。場合によって、「組換えアーム」という用語と、「相同性アーム」という用語は、本明細書で互換的に使用することができる。
【0099】
本明細書では、「標的ベクター」という用語と、「ターゲティングベクター」という用語とを、互換的に使用する。
【0100】
本明細書で使用される「T細胞」という用語およびその文法的同等物は、任意の由来のT細胞を指す場合がある。例えば、T細胞は、初代T細胞、例えば、自家T細胞、細胞株などであり得る。T細胞はまた、ヒトT細胞の場合もあり、非ヒトT細胞の場合もある。
【0101】
本明細書で使用される「TIL」または腫瘍浸潤リンパ球という用語およびこれらの文法的同等物は、腫瘍から単離された細胞を指す場合がある。例えば、TILは、腫瘍へと遊走した細胞であり得る。TILはまた、腫瘍に浸潤した細胞でもあり得る。TILは、腫瘍内で見出される任意の細胞であり得る。例えば、TILは、T細胞、B細胞、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、またはこれらの任意の組合せであり得る。TILは、混合細胞集団であり得る。TIL集団は、表現型の異なる細胞、分化程度の異なる細胞、系統の異なる細胞、またはこれらの任意の組合せを含み得る。
【0102】
「治療効果」は、処置される状態に変化が見られる場合に生じ得る。変化は、肯定的変化の場合もあり、否定的変化の場合もある。例えば、「肯定的効果」は、対象における活性化T細胞数の増大に対応し得る。別の例では、「否定的効果」は、対象における腫瘍の量またはサイズの減少に対応し得る。少なくとも10%の改善、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、なおより好ましくは、少なくとも75%、および最も好ましくは、100%の改善が見られる場合に、処置される状態には「変化」が見られる。変化は、個体において処置される状態の重症度の改善に基づく場合もあり、本発明の組成物をそれと組み合わせて投与する治療用組成物による処置を伴う個体およびこれを伴わない個体の集団における、状態の改善の頻度の差違に基づく場合もある。同様に、本開示の方法は、対象へと、「治療有効」量の細胞を投与するステップを含み得る。「治療的に有効な」という用語は、「治療効果を及ぼすこと」に対応する定義を有するように理解されるべきである。
【0103】
本明細書で使用される「セーフハーバー」および「免疫セーフハーバー」という用語ならびにこれらの文法的同等物は、外因性核酸を組み込むために使用され得るゲノム内の場所であって、組込みが、核酸単独の添加により、宿主細胞の増殖に対して、著名な効果を引き起こさない場所を指す場合がある。セーフハーバーの非限定的な例は、HPRT、AAVS部位(例えば、AAVS1、AAVS2など)、CCR5、またはRosa26を含み得る。
【0104】
本明細書で使用される「配列」という用語およびその文法的同等物は、DNAの場合もあり、RNAの場合もあり;直鎖状の場合もあり、環状の場合もあり、分枝状の場合もあり;一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もある、ヌクレオチド配列を指す場合がある。配列は、変異させることができる。配列は、任意の長さ、例えば、2~1,000,000の間、またはそれよりも多いヌクレオチドの長さ(またはこれらの間であるか、もしくはこれらを上回る、任意の整数値)、例えば、約100~約10,000ヌクレオチドの間または約200~約500ヌクレオチドの間であり得る。
【0105】
概観
本明細書では、がんなどの疾患または状態の処置に有用な、組成物および方法が開示される。がんなどの様々な疾患または状態の治療法のための処置レジメンも、本明細書に開示される。処置レジメンは、治療適用のための腫瘍浸潤リンパ球などの遺伝子改変細胞の投与を含み得る。効果的な養子細胞移入ベースの免疫療法(ACT)は、がん(例えば、転移性がん)患者を処置するのに有用であり得る。例えば、腫瘍浸潤リンパ球は、免疫チェックポイント遺伝子を破壊するように改変され得る。
【0106】
細胞
本明細書で開示される組成物は、細胞を用い得る。細胞は、初代細胞であり得る。細胞は、組換え細胞であり得る。細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位に由来する組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む、多数の非限定的な供給源から得ることができる。例えば、任意のT細胞株を使用することができる。代替的に、細胞は、健常ドナーに由来する場合もあり、がんを伴うと診断された患者に由来する場合もあり、または感染を伴うと診断された患者に由来する場合もある。別の実施形態では、細胞は、異なる表現型特徴を提示する混合細胞集団の一部であり得る。細胞はまた、細胞療法バンクから得ることもできる。免疫抑制処置に対して抵抗性の破壊細胞も得ることができる。所望の細胞集団はまた、改変前に選択することもできる。選択は、磁気分離、フローサイトメトリー選択、抗生物質選択のうちの少なくとも1つを含み得る。1または複数の細胞は、任意の血球細胞、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)、リンパ球、単球、またはマクロファージであり得る。1または複数の細胞は、任意の免疫細胞、例えばリンパ球、B細胞またはT細胞であり得る。細胞はまた、自然食品、アフェレーシス、または対象の腫瘍試料から得ることもできる。細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)であり得る。場合によって、アフェレーシスは、白血球アフェレーシスであり得る。白血球アフェレーシスは、血球が血液から単離される手順であり得る。白血球アフェレーシス中、血液は、対象の腕の針から除去され、全血を赤血球、血漿、およびリンパ球に分ける機械を通って循環し、その後、血漿および赤血球は、他方の腕の針を通して対象に戻され得る。場合によって、細胞は、処置レジメンおよび細胞療法の投与後に単離される。例えば、アフェレーシスは、細胞投与と順に、またはそれと同時に実施することができる。場合によって、アフェレーシスは、細胞生成物の投与前、および投与の最長で約6週間後に実施される。場合によって、アフェレーシスは、細胞生成物の投与の-3週間、-2週間、-1週間、0、1週間、2週間、3週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、または最長で約10年後に実施される。場合によって、アフェレーシスにより収集した細胞は、特異的溶解、サイトカイン放出、メタボロミクス研究、生体エネルギー療法研究、サイトカイン産生の細胞内FACs、ELISA-スポットアッセイ、およびリンパ球サブセット解析についての試験を受け得る。場合によって、細胞生成物またはアフェレーシス生成物の試料は、注入細胞の表現型および機能の遡及的解析のために凍結保存され得る。
【0107】
TILは、がんを患う臓器から単離することができる。1または複数の細胞は、脳、心臓、肺、眼、胃、膵臓、腎臓、肝臓、腸、子宮、膀胱、皮膚、毛髪、爪、耳、腺、鼻、口腔、口唇、脾臓、歯茎、歯、舌、唾液腺、扁桃腺、咽頭、食道、大腸、小腸、直腸、肛門、甲状腺、胸腺、骨、軟骨、腱、靱帯、腎上体、骨格筋、平滑筋、血管、血液、脊髄、気管、尿管、尿道、視床下部、下垂体、幽門、副腎、卵巣、卵管、子宮、腟、乳腺、精巣、精嚢、陰茎、リンパ、リンパ節、またはリンパ管であり得る、がんを有する臓器から単離することができる。1または複数のTILは、脳、心臓、肝臓、皮膚、腸、肺、腎臓、眼、小腸または膵臓に由来し得る。TILは、膵臓、腎臓、眼、肝臓、小腸、肺または心臓に由来し得る。TILは、膵臓に由来し得る。1または複数の細胞は、膵島細胞、例えば、膵β細胞であり得る。場合によって、TILは、消化器がんに由来し得る。TIL培養物は、多数の方式で調製することができる。例えば、腫瘍は、非がん性組織または壊死領域からトリミングされ得る。次に、腫瘍は、約2~3mmの長さに断片化され得る。場合によって、腫瘍は、約0.5mm~約5mmのサイズ、約1mm~約2mm、約2mm~約3mm、約3mm~約4mmまたは約4mm~約5mmに断片化され得る。次に、腫瘍断片は、培地およびサイトカインなどの細胞刺激剤を用いて、in vitroで培養され得る。場合によって、IL-2を用いて、腫瘍断片からTILを拡大することができる。IL-2の濃度は、約6000IU/mLであり得る。IL-2の濃度は、約2000IU/mL、3000IU/mL、4000IU/mL、5000IU/mL、6000IU/mL、7000IU/mL、8000IU/mL、9000IU/mLまたは最大約10000IU/mLであり得る。TILを拡大したら、これを、腫瘍反応性を決定するためのin vitroアッセイにかけることができる。例えば、TILは、CD3、CD4、CD8およびCD58発現に関するFACsによって評価することができる。TILは、共培養、細胞毒性、ELISAまたはELISPOTアッセイにかけることもできる。場合によって、TIL培養物は、凍結保存され得る、または急速拡大を受けることができる。TILなどの細胞は、胎児、新生児、若齢者、および成年者を含むがこれらに限定されない発生段階のドナーから単離することができる。TILは、成体ヒトから単離することができる。細胞を単離することができるヒトは、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1歳未満であり得る。例えば、細胞は、6歳未満のヒトから単離することができる。TILなどの細胞は、3歳未満のヒトから単離することもできる。場合によって、ヒトドナーは、少なくとも約18歳からの成体であり得る。場合によって、血液産物は保存され得る。例えば、cryostore凍結バッグを用いて、血液産物を保存および凍結することができる。
【0108】
場合によって、細胞療法において用いることができる細胞、またはゲノム的に破壊することができる細胞は、所与の因子について陽性の場合もあり、所与の因子について陰性の場合もある。一部の実施形態では、細胞は、CD3+細胞、CD3-細胞、CD5+細胞、CD5-細胞、CD7+細胞、CD7-細胞、CD14+細胞、CD14-細胞、CD8+細胞、CD8-細胞、CD103+細胞、CD103-細胞、CD11b+細胞、CD11b-細胞、BDCA1+細胞、BDCA1-細胞、L-セレクチン+細胞、L-セレクチン-細胞、CD25+、CD25-細胞、CD27+、CD27-細胞、CD28+細胞、CD28-細胞、CD44+細胞、CD44-細胞、CD56+細胞、CD56-細胞、CD57+細胞、CD57-細胞、CD62L+細胞、CD62L-細胞、CD69+細胞、CD69-細胞、CD45RO+細胞、CD45RO-細胞、CD127+細胞、CD127-細胞、CD132+細胞、CD132-細胞、IL-7+細胞、IL-7-細胞、IL-15+細胞、IL-15-細胞、レクチン様受容体G1陽性細胞、レクチン様受容体G1陰性細胞、またはこれらの分化細胞もしくは脱分化細胞であり得る。細胞が発現する因子の例は、限定的であることを意図するものではなく、当業者は、細胞が、当技術分野で公知の任意の因子について陽性の場合もあり、陰性の場合もあることを察知するであろう。一部の実施形態では、細胞は、2つまたはそれよりも多い因子について陽性であり得る。例えば、細胞は、CD4+およびCD8であり得る。一部の実施形態では、細胞は、2つまたはそれよりも多い因子について陰性であり得る。例えば、細胞は、CD25-、CD44-、およびCD69-であり得る。一部の実施形態では、細胞は、1または複数の因子について陽性であり、かつ、1または複数の因子について陰性であり得る。例えば、細胞は、CD4+およびCD8-であり得る。次いで、選択した細胞を、対象へと注入することができる。一部の実施形態では、細胞を、1または複数の所与の因子を有するかまたは有さないことについて選択することができる(例えば、細胞を、1または複数の因子の有無に基づき分離することができる)。一部の実施形態では、選択した細胞はまた、in vitroで拡大することもできる。選択した細胞は、注入の前に、in vitroで拡大することができる。本明細書で開示される方法のうちのいずれかにおいて使用される細胞は、本明細書で開示される細胞のうちのいずれかの混合物(例えば、2つまたはそれよりも多い異なる細胞)であり得ることを理解されたい。例えば、本開示の方法は、細胞を含むことが可能であり、細胞は、CD4+細胞と、CD8+細胞との混合物である。別の例では、本開示の方法は、細胞を含むことが可能であり、細胞は、CD4+細胞と、ナイーブ細胞との混合物である。場合によって、細胞は、CD45RO(-)、CCR7(+)、CD45RA(+)、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+、およびIL-7Rα+から構成される、ステムメモリー(stem memory)TSCM細胞であることが可能であり、ステムメモリー細胞はまた、CD95、IL-2Rβ、CXCR3、およびLFA-1を発現することが可能であり、ステムメモリー細胞特有の、多数の機能的な属性を示す。操作細胞はまた、L-セレクチンおよびCCR7を含む、セントラルメモリー細胞であるTCM細胞でもあることが可能であり、この場合、セントラルメモリー細胞は、例えば、IL-2を分泌し得るが、IFNγまたはIL-4は分泌しえない。操作細胞はまた、L-セレクチンまたはCCR7を含む、エフェクターメモリー細胞であるTEM細胞でもあることが可能であり、例えば、IFNγおよびIL-4など、エフェクターサイトカインを産生し得る。場合によって、細胞集団を、対象へと導入することができる。例えば、細胞集団は、T細胞とNK細胞との組合せであり得る。他の場合には、集団は、ナイーブ細胞とエフェクター細胞との組合せであり得る。細胞集団は、TILであり得る。
【0109】
特に、T細胞集団は、表面上に固定化された、抗CD3抗体もしくはその抗原結合性断片、または抗CD2抗体と接触させることにより、あるいは、ある場合には、カルシウムイオノフォアと共に、プロテインキナーゼCアクチベーター(例えば、ブリオスタチン)と接触させることなどにより、in vitroで刺激することができる。T細胞の表面上のアクセサリー分子を共刺激するために、アクセサリー分子に結合するリガンドを使用することができる。例えば、T細胞の集団を、T細胞の増殖を刺激し得る条件下で、抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることができる。場合によって、4-1BBを使用して、細胞を刺激することができる。例えば、細胞は、4-1BBおよびIL-21または別のサイトカインで刺激することができる。CD4 T細胞またはCD8 T細胞の増殖を刺激するために、抗CD3抗体および抗CD28抗体を使用することができる。例えば、シグナルをもたらす薬剤は、溶液中の場合もあり、表面へとカップリングさせる場合もある。粒子の細胞に対する比は、標的細胞と比べた粒子サイズに依存し得る。さらなる実施形態では、T細胞などの細胞は、薬剤でコーティングしたビーズと組み合わせることができ、この場合、ビーズと細胞とは、後で分離し、任意選択で、培養することができる。各ビーズは、抗CD3抗体もしくは抗CD28抗体、または、場合によって、2つの組合せでコーティングすることができる。代替的な実施形態では、培養の前に、薬剤でコーティングしたビーズと細胞とを分離せず、併せて培養する。細胞表面タンパク質は、抗CD3および抗CD28を接合させうる常磁性ビーズ(3×28ビーズ)を、T細胞へと接触させることにより、ライゲーションすることができる。場合によって、細胞およびビーズ(例えば、比を1:1とする、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T常磁性ビーズ)を、緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)中で組み合わせる(例えば、カルシウムおよびマグネシウムなどの二価カチオンを伴わずに)。任意の細胞濃度を使用することができる。混合物は、数時間(例えば、約3時間)もしくはほぼこの時間~14日間もしくは約14日間、またはこれらの間の任意の時間整数値にわたり培養することができる。別の実施形態では、混合物は21日間もしくはほぼこの期間にわたり、または最長で21日間もしくはほぼこの期間にわたり混合物を培養することもできる。T細胞を培養するのに適切な条件は、増殖および生存率に必要な因子であって、血清(例えば、ウシ胎仔血清またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-g、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-21、IL-15、TGFベータ、およびTNFアルファ、または細胞を増殖させるための他の任意の添加剤を含む因子を含有し得る、適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI Media 1640またはX-vivo 5(Lonza))を含み得る。細胞を増殖させるための他の添加剤は、界面活性物質、Plasmanate、ならびにN-アセチルシステインおよび2-メルカプトエタノールなどの還元剤を含むがこれらに限定されない。培地は、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、およびビタミンを添加し、無血清であるか、あるいは適切な量の血清(または血漿)もしくは規定されたセットのホルモン、および/またはT細胞を増殖させ、拡大するために十分な量のサイトカインを補充した、RPMI 1640、A1 M-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 1およびX-Vivo 20、Optimizerを含み得る。場合によって、865mLボトルのRPMIは、100mLのヒト血清、25mLのHepes(1M)、10mLのペニシリン/ストレプトマイシン(10,000U/mLおよび10,000μg/mL)および0.2mLのゲンタマイシン(50mg/mL)を有し得る。添加剤の添加後に、RPMI培地は、0.2μm×1Lフィルターを使用して濾過し、4℃で保存することができる。一部の実施形態では、抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験用培養物中に限り組入れうるが、対象へと注入される細胞の培養物中には組み入れることができない。場合によって、ヒト血清は、37℃ウォーターバス内で解凍し、次いで熱不活化(例えば、100mLボトルに対して56℃で30分間)させることができる。血清は、培地の添加の前に0.8μmおよび0.45μmフィルターを通して濾過することができる。
【0110】
標的細胞は、増殖を支援するのに必要な条件、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、5%CO2を加えた空気)下で維持することができる。場合によって、変動させる刺激時間へと曝露されたT細胞は、異なる特徴を呈し得る。場合によって、ヒトCD3、CD28、CD2、またはこれらの任意の組合せに対する、可溶性で一特異性の、四量体抗体を使用することができる。
【0111】
場合によって、破壊を受けるべき細胞は、組織または細胞と共培養することにより、活性化させることもでき、拡大することもできる。細胞は、抗原提示細胞であり得る。人工抗原提示細胞(aAPC)は、T細胞受容体および共刺激分子に対するリガンドを発現することが可能であり、場合によって、それらの効力および機能を改善しながら、移入のためのT細胞を活性化させ、拡大し得る。aAPCは、T細胞活性化のための任意の遺伝子を発現するように操作することができる。aAPCは、T細胞拡大のための任意の遺伝子を発現するように操作することができる。aAPCは、ビーズ、細胞、タンパク質、抗体、サイトカインまたはこれらの任意の組合せであり得る。aAPCは、ゲノム移植を経る可能性がある細胞集団へと、シグナルを送達し得る。例えば、aAPCは、シグナル1、シグナル2、シグナル3、またはこれらの任意の組合せを送達し得る。シグナル1は、抗原認識シグナルであり得る。例えば、シグナル1は、TCRへの、ペプチド-MHC複合体のライゲーション、またはCD3に対するアゴニスト抗体であって、CD3シグナル-形質導入複合体の活性化をもたらし得るアゴニスト抗体の結合であり得る。シグナル2は、共刺激性シグナルであり得る。例えば、共刺激性シグナルは、それぞれ、ICOS-L、CD70、および4-1BBLに結合する、抗CD28、誘導性共刺激因子(ICOS)、CD27、および4-1BB(CD137)であり得る。シグナル3は、サイトカインシグナルであり得る。サイトカインは、任意のサイトカインであり得る。サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、またはこれらの任意の組合せであり得る。
【0112】
場合によって、人工抗原提示細胞(aAPC)を使用して、細胞集団を活性化させ、かつ/または拡大することができる。場合によって、人工抗原提示細胞は、アロ特異性を誘導しえない。aAPCは場合によって、HLAを発現しえない。aAPCは、活性化および/または刺激のために使用し得る遺伝子を安定的に発現するように、遺伝子改変することができる。場合によって、K562細胞を、活性化のために使用することができる。K562細胞はまた、拡大のために使用することもできる。K562細胞は、ヒト赤白血病細胞株であり得る。K562細胞は、目的の遺伝子を発現するように操作することができる。K562細胞は、HLAクラスI分子、HLAクラスII分子、またはCD1d分子を内因的に発現しえないが、ICAM-1(CD54)およびLFA-3(CD58)を発現し得る。K562は、シグナル1を、T細胞へと送達するように操作することができる。例えば、K562細胞は、HLAクラスIを発現するように操作することができる。場合によって、K562細胞は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3 mAb、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、切断型CD19、または任意の組合せなど、さらなる分子を発現するように操作することができる。場合によって、操作K562細胞は、CD80およびCD83に加えて、抗CD3 mAbの膜形態である、クローンOKT3を発現し得る。場合によって、操作K562細胞は、CD80およびCD83に加えて、抗CD3 mAbの膜形態である、クローンOKT3、抗CD28 mAbの膜形態を発現し得る。
【0113】
場合によって、細胞の再刺激は、抗原、およびフィーダーPBMCなどの放射線照射された組織適合性抗原提示細胞(APC)により行うことができる。場合によって、細胞は、PHAなどの非特異的マイトジェンおよび同種間フィーダー細胞を使用して増殖させることができる。フィーダーPBMCは、40Gyで放射線照射することができる。フィーダーPBMCは、約10Gy~約15Gy、約15Gy~約20Gy、約20Gy~約25Gy、約25Gy~約30Gy、約30Gy~約35Gy、約35Gy~約40Gy、約40Gy~約45Gy、約45Gy~約50Gyで放射線照射することができる。場合によって、放射線照射されたフィーダー細胞の対照フラスコのみが、抗CD3およびIL-2で刺激され得る。
【0114】
aAPCは、ビーズであり得る。球形ポリスチレンビーズを、CD3およびCD28に対する抗体でコーティングし、T細胞を活性化させるために使用することができる。ビーズは、任意のサイズであり得る。場合によって、ビーズは、3および6マイクロメートルであり得るか、またはほぼこの長さであり得る。ビーズは、4.5マイクロメートルのサイズであり得るか、またはほぼこのサイズであり得る。ビーズは、任意の細胞対ビーズ比で用いることができる。例えば、1ミリメートル当たり100万個の細胞で、3対1のビーズ対細胞比を使用することができる。aAPCはまた、剛性球形粒子、ポリスチレンラテックスマイクロビーズ、磁性ナノ粒子または磁性マイクロ粒子、ナノサイズ量子ドット、4、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)マイクロスフェア、非球形粒子、5、カーボンナノチューブバンドル、6、楕円体のPLGAマイクロ粒子、7、ナノワーム、流体脂質二重層含有系、8、2D支援型脂質二重層(2D-SLB)、9、リポソーム、10、RAFTソーム/マイクロドメインリポソーム、11、SLB粒子、またはこれらの任意の組合せでもあり得る。
【0115】
場合によって、aAPCは、CD4 T細胞を拡大し得る。例えば、aAPCは、HLAクラスII拘束性CD4 T細胞の抗原プロセシングおよび提示経路を模倣するように操作することができる。K562は、HLA-D、DPα.DPβ鎖、Ii、DMα、DMβ、CD80、CD83、またはこれらの任意の組合せを発現するように操作することができる。例えば、操作K562細胞は、HLA拘束性抗原特異的CD4 T細胞を拡大するために、HLA拘束性ペプチドでパルスすることができる。
【0116】
場合によって、aAPCの使用は、T細胞の活性化、拡大、または任意の組合せのために外因的に導入されるサイトカインと組み合わせることができる。細胞はまた、in vivoにおいて、例えば、ゲノム移植された細胞の、対象への投与の後における、対象の血液中で拡大することもできる。
【0117】
場合によって、細胞は、標準急速拡大プロトコール(REP)によって達成される収量へとスケールアップすることができる。遺伝子改変TILの平均倍率拡大は、1071であり得る。場合によって、平均倍率拡大は、500~2000であり得る。遺伝子改変されたTILの平均倍率拡大は、500~600、600~700、700~800、800~900、900~1000、1000~最大2000倍であり得る。場合によって、操作細胞投与量は、患者注入のために約1×1010個のノックアウトTILからであり得る。
【0118】
投与前、投与後、および/または投与時における細胞(例えば、操作細胞または操作された初代T細胞もしくはTIL)は、機能的であり得る。例えば、細胞は、投与後、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、6、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100日間、または少なくともほぼこれらの期間にわたり機能的であり得る。養子移入された細胞は、投与後、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12カ月間、または少なくともほぼこれらの期間にわたり機能的であり得る。投与された細胞は、注入後、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、もしくは30年間、またはほぼこれらの期間にわたり機能的であり得る。場合によって、投与された細胞は、最長でレシピエントの生涯にわたり機能的であり得る。
【0119】
さらに、養子移入された細胞は、その意図される正常な働きの100%で機能し得る。細胞はまた、その意図される正常な働きの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%でも機能し得る。
【0120】
長期培養において、ゲノム的に破壊された細胞は、刺激非依存的増殖または形質転換の特性を示すことができない。例えば、場合によって、ゲノム的に破壊された細胞は、IL-2などのサイトカインなしで培養された場合、拡大することができない。場合によって、ゲノム的に破壊された細胞は、IL-2などのサイトカインと接触した後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99日後に生存不能となり得る。
【0121】
本明細書に記載されている細胞組成物は、凍結保存することができる。凍結保存は、例えば、5%DMSO最終濃度のCryostor CS10において行うことができる。凍結保存は、約7.5×107細胞/mL~約1.5×108細胞/mLの凍結密度において行うことができる。凍結密度は、約1×107細胞/mLから、1.5×107細胞/mL、2×107細胞/mL、2.5×107細胞/mL、3×107細胞/mL、3.5×107細胞/mL、4×107細胞/mL、4.5×107細胞/mL、5×107細胞/mL、5.5×107細胞/mL、6×107細胞/mL、6.5×107細胞/mL、7×107細胞/mL、7.5×107細胞/mL、8×107細胞/mL、8.5×107細胞/mL、9×107細胞/mL、9.5×107細胞/mL、1×108細胞/mL、1.5×108細胞/mL、2×108細胞/mL、2.5×108細胞/mL、3×108細胞/mL、3.5×108細胞/mL、4×108細胞/mL、4.5×108細胞/mL、5×108細胞/mL、5.5×108細胞/mL、6×108細胞/mL、6.5×108細胞/mL、7×108細胞/mL、7.5×108細胞/mLまたは最大約8×108細胞/mLであり得る。
【0122】
例えば、場合によって、TILは、収集し、洗浄し、Cryostor緩衝剤などの緩衝剤に再懸濁することができる。この調製物は、等しい体積のCryostore CS10と混合することができる。場合によって、細胞組成物は、それを必要とする対象への導入の前に解凍される。
【0123】
細胞生存率は、フローサイトメトリーおよびトリパンブルー排除によって決定することができる。場合によって、フローサイトメーターにおける前方散乱および側方散乱は、生細胞パーセントを同定することができる。他の場合では、細胞は、アネキシンVで染色して、死/生細胞のパーセントを決定することができる。トリパンブルー排除を用いて、血球計数器により細胞生存率を決定することもできる。場合によって、投与のために少なくとも約50%細胞が生存可能であり得る。他の場合では、約50%から、60%、70%、80%、90%、95%または最大約100%の細胞が生存可能であり得る。
【0124】
細胞標的
TILなどの細胞は、抗原をターゲティングし得る。細胞はまた、エピトープもターゲティングし得る。抗原は、腫瘍細胞抗原であり得る。エピトープは、腫瘍細胞エピトープであり得る。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、対象特異的がんネオ抗原に対する特異的反応性を有するクローナルおよび/またはオリゴクローナル亜集団として選択され得る。特異的反応性は、腫瘍全エクソームシーケンシングおよびタンデムミニ遺伝子/合成長鎖ペプチドスクリーニング法のうちの少なくとも1つを使用して決定することができる、E. Tranら、Cancer immunotherapy based on mutation-specific CD4+ T cells in a patient with epithelial cancer.、Science 344巻、641~645頁(2014年)。腫瘍細胞エピトープは、変異から生じる腫瘍に由来する抗原(ネオ抗原またはネオエピトープ)、共有の腫瘍特異的抗原、分化抗原、および腫瘍内で過剰発現する抗原など、多種多様な腫瘍抗原に由来し得る。場合によって、ネオ抗原またはネオエピトープは、5’RACEおよびTCR-PCRによって同定することができる。これらの抗原は、例えば、少数を挙げれば、アルファ-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、ベータ-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼ融合タンパク質、HLA-A2d、HLA-Al ld、hsp70-2、KIAAO205、MART2、ME1、MUM-1f、MUM-2、MUM-3、ネオ-PAP、ミオシンクラスI、NFYC、OGT、OS-9、p53、pml-RARアルファ融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、K-ras、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT-SSX1-もしくは-SSX2融合タンパク質、TGF-ベータRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE-1、GAGE-1、2、8、Gage 3、4、5、6、7、GnTVf、HERV-K-MEL、KK-LC-1、KM-HN-1、LAGE-1、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-Al2、MAGE-C2、mucink、NA-88、NY-ESO-1/LAGE-2、SAGE、Sp17、SSX-2、SSX-4、TAG-1、TAG-2、TRAG-3、TRP2-INT2g、XAGE-1b、CEA、gp100/Pmel17、カリクレイン4、マンマグロビン-A、Melan-A/MART-1、NY-BR-1、OA1、PSA、RAB38/NY-MEL-1、TRP-1/gp75、TRP-2、チロシナーゼ、adipophilin、AIM-2、ALDH1A1、BCLX(L)、BCMA、BING-4、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH(hMena)、EP-CAM、EphA3、EZH2、FGF5、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IL13Rアルファ2、腸カルボキシルエステラーゼ、アルファフェトタンパク質、M-CSFT、MCSP、mdm-2、MMP-2、MUC1、p53、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX10、STEAP1、スルビビン、テロメラーゼ、VEGFおよび/またはWT1に由来し得る。腫瘍関連抗原は、宿主が正常では発現しない抗原の場合もあり;変異しているか、切断されているか、ミスフォールディングしているか、または他の形で、宿主が正常では発現しない分子の異常な兆候の場合もあり;正常でも発現するが、異常な高レベルで発現する分子と同一な場合もあり;異常な関連または環境で発現する場合もある。腫瘍関連抗原は、例えば、タンパク質もしくはタンパク質断片、複合体炭水化物、ガングリオシド、ハプテン、核酸、他の生物学的分子、またはこれらの任意の組合せであり得る。場合によって、標的は、ネオ抗原またはネオエピトープである。例えば、ネオ抗原は、ERBB2IP内のE805G変異であり得る。場合によって、ネオ抗原およびネオエピトープは、全エクソームシーケンシングにより同定することができる。場合によって、ネオ抗原標的およびネオエピトープ標的は、消化器がん細胞が発現し得る。ネオ抗原およびネオエピトープは、上皮癌において発現し得る。
【0125】
エピトープは、間質エピトープであり得る。エピトープは、腫瘍微小環境の間質上にあり得る。抗原は、間質抗原であり得る。このような抗原は、腫瘍微小環境の間質上にあり得る。これらの抗原およびこれらのエピトープは、少数を挙げれば、例えば、腫瘍内皮細胞、腫瘍血管系、腫瘍線維芽細胞、腫瘍周皮細胞、腫瘍間質、および/または腫瘍間葉細胞において存在し得る。これらの抗原は、例えば、CD34、MCSP、FAP、CD31、PCNA、CD117、CD40、MMP4および/またはテネイシンを含み得る。
【0126】
ゲノム破壊
ゲノム破壊は、エクソンまたはイントロンを含み得る。場合によって、ゲノム破壊は、遺伝子配列の破壊であり得る。遺伝子の破壊は、任意の特定の遺伝子の破壊であり得る。本出願内の遺伝子の遺伝子相同体(例えば、遺伝子の任意の哺乳動物形)を対象とすることが想定される。当技術分野では、一部の遺伝子相同体は公知であるが、場合によって、相同体は公知ではない。しかし、哺乳動物の間で相同な遺伝子は、NCBIのBLASTなど、公表されているデータベースを使用して、核酸(DNAまたはRNA)配列またはタンパク質配列を比較することにより見出すことができる。
【0127】
ゲノム破壊は、細胞の機能を改善することができる。例えば、ゲノム破壊は、標的の細胞傷害作用を増強することができる。ゲノム破壊は、細胞の増殖または存続を増強することもできる。例えば、破壊され得る遺伝子は、がん免疫療法の治療可能性を改善し得る。細胞は、1または複数の内因性遺伝子をノックアウトするように操作することができる。ノックアウトされ得る内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含み得る。免疫チェックポイント遺伝子は、刺激性チェックポイント遺伝子の場合もあり、阻害性チェックポイント遺伝子の場合もある。免疫チェックポイント遺伝子の位置は、Genome Reference Consortium Human Build 38 patch release 2(GRCh38.p2)アセンブリーを使用して提示することができる。ノックアウトされる遺伝子は、データベースを使用して選択することができる。場合によって、ある特定の内因性遺伝子は、ゲノム操作により適する。データベースは、エピジェネティクスにより許容性の標的部位を含み得る。データベースは、場合によって、ENCODE(Encyclopedia of DNA Elements)(http://www.genome.gov/10005107)であり得る。データベースは、ゲノム操作の許容性がより大きい可能性がある、オープンクロマチンを伴う領域を同定し得る。破壊され得る遺伝子は、TCRシグナル伝達、機能的アビディティー、またはがんに対する免疫の減弱に関与し得る。場合によって、破壊される遺伝子は、TCRが刺激されると、上方調節される。遺伝子は、細胞の拡大、機能的アビディティー、またはサイトカインの多機能性の阻害に関与し得る。遺伝子は、細胞によるサイトカインの産生を負に調節することに関与し得る。例えば、遺伝子は、例えば、エフェクターサイトカイン、IFN-ガンマ、および/またはTNFの産生の阻害に関与し得る。遺伝子はまた、TCRの刺激の後で、IL-2など、補助的サイトカインの発現の阻害にも関与し得る。
【0128】
細胞は、1または複数の遺伝子の破壊を有し得る。例えば、それらの発現が破壊される、1または複数の遺伝子は、PD-1またはCISHなどのチェックポイント遺伝子であり得る。場合によって、その発現が破壊され得る1または複数の遺伝子を表1に示す。例えば、破壊され得る遺伝子は、表1など、本明細書で開示される遺伝子に対する、一定の同一性および/または相同性を呈し得る。またはほぼこれらの比率の相同性(核酸レベルまたはタンパク質レベルで)を呈する遺伝子は、破壊し得ることが想定される。したがって、表1の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%相同性を呈するか、またはほぼこれらの比率の相同性(核酸またはタンパク質レベルで)を呈する遺伝子は、破壊し得ることが想定される。表1の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を呈するか、またはほぼこれらの比率の同一性(核酸またはタンパク質レベルで)を呈する遺伝子は、破壊し得ることも想定される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0129】
細胞は、1または複数の抑制された遺伝子を有することができる。例えば、その発現が抑制されている1または複数の遺伝子は、表1中の遺伝子と共にその相同または修飾形のうちのいずれか1つを含み得る。遺伝子の抑制はまた、多数の方式で行うこともできる。例えば、遺伝子の発現は、ノックアウトにより抑制することもでき、遺伝子のプロモーターを変更することにより抑制することもでき、かつ/または干渉性RNAを投与することにより抑制することもできる。これは、生物レベルで行うこともでき、組織レベル、臓器レベルおよび/または細胞レベルで行うこともできる。細胞内、組織内、および/または臓器内で、1または複数の遺伝子をノックダウンする場合、1または複数の遺伝子は、RNA干渉性試薬、例えば、siRNA、shRNA、またはマイクロRNAを投与することにより抑制することができる。例えば、shRNAを発現させうる核酸を、細胞へと、安定的にトランスフェクトして、発現をノックダウンすることができる。さらに、shRNAを発現させうる核酸を、T細胞のゲノへと挿入し、これにより、T細胞内の遺伝子をノックダウンすることもできる。
【0130】
場合によって、破壊または抑制され得る遺伝子は、CISHであり得る。CISH遺伝子は、SOCS(suppressor of cytokine signaling)タンパク質ファミリーまたはSTAT誘導性STATインヒビター(SSI)タンパク質ファミリーとしてもまた公知である、サイトカイン誘導性STATインヒビター(CIS)タンパク質ファミリーのメンバーであり得る(例えば、Palmerら、Cish actively silences TCR signaling in CD8+ T cells to maintain tumor tolerance、The Journal of Experimental Medicine、202巻(12号)、2095~2113頁(2015年)を参照されたい)。遺伝子は、サイトカインによるシグナル伝達を調節し得る、古典的な負のフィードバック系の一部を形成し得る、SOCSファミリーのタンパク質の一部であり得る。CISHは、エリスロポエチン、プロラクチン、またはインターロイキン3(IL-3)受容体など、JAK-STAT5経路を介してシグナル伝達するサイトカインの負の調節に関与し得る。遺伝子は、そのチロシンリン酸化を抑制することにより、STAT5のトランス活性化を阻害し得る。CISHファミリーメンバーは、サイトカインによるシグナル伝達の、サイトカイン誘導性の負の制御因子であることが公知である。遺伝子の発現は、造血系細胞内のIL2、IL3、GM-CSF、またはEPOにより誘導することができる。プロテアソームを媒介する、遺伝子のタンパク質の分解は、エリスロポエチン受容体の不活化に関与し得る。場合によって、ターゲティングされる遺伝子は、腫瘍特異的T細胞内で発現し得る。ターゲティングされる遺伝子は、破壊されると、操作細胞の、抗原に関連する腫瘍への浸潤を増大させることができる。
【0131】
エフェクターT細胞の機能的アビディティーの改善は、腫瘍微小環境内の阻害因子の克服および腫瘍退縮の誘発において不可欠であり得る。場合によって、サイトカインシグナル伝達サプレッサー(SOCS)ファミリーのメンバーであるCish(サイトカイン誘導性SH2タンパク質)は、CD8+T細胞におけるT細胞受容体(TCR)刺激によって誘導され得、腫瘍常在性T細胞において発現され得、腫瘍(複数可)に対するその機能的アビディティーを阻害し得る。腫瘍特異的CD8+T細胞におけるCishの遺伝子欠失は、その拡大、機能的アビディティーおよびサイトカイン多機能性を増強し、確立された腫瘍の顕著なかつ耐久性がある退縮をもたらすことができる。Cishは、不可欠なTCRシグナル伝達中間体のホスホリパーゼC-γ1(PLC-γ1)と物理的に相互作用し、TCR刺激後のプロテアソーム分解のためにこれをターゲティングする。これらの知見は、腫瘍特異的CD8+T細胞の機能的アビディティーを調節し、ACTがん免疫療法を改善するように操られ得る、新規のターゲティング可能な相互作用を確立した。場合によって、Cishノックアウトまたはノックダウンは、サイトカインレベルの増大をもたらすことができる。増大されたサイトカインレベルは、野生型対応物細胞の上清と比較した、上清におけるIFN-γ、TNF-α、IL-2またはこれらの組合せの増大を含み得る。他の場合では、Cishなどの遺伝子のノックアウトまたはノックダウンは、抗原感度の増大を含み得る。抗原感度の増大は、総サイトカイン発現レベルによって測定することができ、場合によって、抗原感度の増大は、40~100倍であり得る。抗原感度の増大は、対照対応物細胞と比較して、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100倍であり得る。
【0132】
場合によって、Cishノックアウトまたはノックダウンは、IFN-γ、TNF-αおよび/またはIL-2レベルによって測定される、サイトカイン放出の最大量の増大をもたらすことができる。場合によって、ELISAは、上清における総サイトカインレベルを測定することができ、亜集団または細胞レベルでのサイトカイン産生を直接的に測定しなくてよい。異なる亜集団または個々のT細胞が、サイトカイン産生の増大の原因となり得るか評価するために、CD8+Tを選択し、刺激し、細胞内IFN-γ、TNF-αおよびIL-2について共染色し、フローサイトメトリーにより評価することができる。場合によって、Cishは、腫瘍特異的T細胞における総エフェクターサイトカイン産生および多機能性の両方を負に調節することができる。Cishの遺伝的全身欠失は、機能的アビディティーを増強することができ、持続性腫瘍キラーへとCD8+T細胞をライセンス化し、これは、再発腫瘍に対するメモリー応答における意義を有することができる。
【0133】
T細胞内の1または複数の遺伝子は、任意の方法を使用して、ノックアウトまたは破壊することができる。例えば、1または複数の遺伝子のノックアウトは、1または複数の遺伝子を、T細胞のゲノムから欠失させることを含み得る。ノックアウトはまた、遺伝子配列の全部または一部を、T細胞から除去することも含み得る。また、ノックアウトは、T細胞のゲノム内の遺伝子の全部または一部を、1または複数のヌクレオチドで置き換えることを含み得ることも想定される。1または複数の遺伝子のノックアウトはまた、配列を、1または複数の遺伝子内に挿入し、これにより、1または複数の遺伝子の発現を破壊することも含み得る。例えば、配列の挿入は、終止コドンを、1または複数の遺伝子の中央部に作製し得る。配列の挿入はまた、1または複数の遺伝子のオープンリーディングフレームもシフトさせうる。また、ノックアウト技術の任意の組合せを実行し得ることも想定される。例えば、組織特異的ノックアウトまたは細胞特異的ノックアウトを、誘導技術と組み合わせ、組織特異的または細胞特異的な誘導性ノックアウトを創出することができる。さらに、発生特異的プロモーターなどの他の系を、組織特異的プロモーターおよび/または誘導性ノックアウトと組み合わせて使用することもできる。
【0134】
ノックアウト技術はまた、遺伝子編集も含み得る。例えば、遺伝子編集は、CRISPR関連タンパク質(Casタンパク質、例えば、Cas9)、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、およびメガヌクレアーゼを含むヌクレアーゼを使用して実施することができる。ヌクレアーゼは、天然で存在するヌクレアーゼの場合もあり、遺伝子改変ヌクレアーゼの場合もあり、かつ/または組換えヌクレアーゼの場合もある。遺伝子編集はまた、トランスポゾンベースの系(例えば、PiggyBac、Sleeping beauty)を使用して実施することもできる。例えば、遺伝子編集は、トランスポザーゼを使用して実施することができる。
【0135】
場合によって、操作された細胞、または破壊された遺伝子もしくはその部分を含有する細胞は、注入前試験を受けることができる。注入前試験は、操作細胞の培養物の表現型試験、効力試験、微生物学的試験、エンドトキシン試験、生存率試験および腫瘍細胞試験のうちの少なくとも1つを含み得る。表現型試験は、数例を挙げると、CD3、CD4、CD8、CD56、CD45RA、CD45RO、IL-7受容体アルファ、CD28の存在を検出するステップを含み得る。場合によって、操作細胞におけるマーカーのレベルは、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%を超える、または最大約100%である。注入前試験が、表現型試験について少なくとも約80%CD3陽性であり得る場合、TILは、投与され得る。
【0136】
場合によって、TILの効力試験は、TIL培養物の抗CD3刺激後にIFNγのレベルを検出するステップを含み得る。場合によって、TIL培養物の抗CD3刺激後のFNγのレベルは、同等の対照細胞集団よりも有意に大きい。場合によって、注入前試験が、効力試験においてTILの抗CD3刺激後に細胞105個当たり少なくとも約200pg/mLのIFNγを生じる場合、TILが投与される。場合によって、注入前試験が、効力試験においてTILの抗CD3刺激後に細胞105個当たり少なくとも約50pg/mL、細胞105個当たり75pg/mL、細胞105個当たり100pg/mL、細胞105個当たり150pg/mL、細胞105個当たり200pg/mL、細胞105個当たり250pg/mL、細胞105個当たり300pg/mLまたは細胞105個当たり最大約350pg/mLのIFNγを生じる場合、TILが投与される。
【0137】
場合によって、TILの集団は、組成物中の腫瘍細胞の存在について試験される。投与され得るTILは、細胞病理学試験において検討した少なくとも約200個のTIL当たりで腫瘍細胞について陰性であり得る。他の場合では、細胞病理学試験において検討した少なくとも約200個のTIL当たり1%未満の腫瘍細胞が存在する。他の場合では、細胞病理学試験において検討した少なくとも約200個のTIL当たり2%未満の腫瘍細胞が存在する。他の場合では、細胞病理学試験において検討した少なくとも約200個のTIL当たり3%未満の腫瘍細胞が存在する。他の場合では、細胞病理学試験において検討した少なくとも約200個のTIL当たり4%未満の腫瘍細胞が存在する。他の場合では、細胞病理学試験において検討した少なくとも約200個のTIL当たり5%未満の腫瘍細胞が存在する。
【0138】
CRISPR系
本明細書で記載される方法は、CRISPR系を利用し得る。少なくとも5つの種類のCRISPR系が存在し、これらは全て、RNAタンパク質およびCasタンパク質を包含する。I型、III型、およびIV型は、crRNAと相補的な核酸を切断することが可能な、多Casタンパク質複合体をアセンブルする。I型およびIII型はいずれも、プロセシングされたcrRNAを、多Casタンパク質複合体へとアセンブリングする前に、プレcrRNAのプロセシングを要求する。II型およびV型のCRISPR系は、少なくとも1つのガイドRNAと複合体化させた、単一のCasタンパク質を含む。
【0139】
CRISPR系の一般的な機構および近年における進歩については、Cong, L.ら、「Multiplex genome engineering using CRISPR systems」、Science、339巻(6121号):819~823頁(2013年);Fu, Y.ら、「High-frequency off-target mutagenesis induced by CRISPR-Cas nucleases in human cells」、Nature Biotechnology、31巻、822~826頁(2013年);Chu, VTら、「Increasing the efficiency of homology-directed repair for CRISPR-Cas9-induced precise gene editing in mammalian cells」、Nature Biotechnology、33巻、543~548頁(2015年);Shmakov, S.ら、「Discovery and functional characterization of diverse Class 2 CRISPR-Cas systems」、Molecular Cell、60巻、1~13頁(2015年);Makarova, KSら、「An updated evolutionary classification of CRISPR-Cas systems,」、Nature Reviews Microbiology、13巻、1~15頁(2015年)において論じられている。標的DNAの部位特異的切断は、1)ガイドRNAと標的DNA(また、プロトスペーサーとも呼ばれる)との塩基対合相補性、および2)プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と称する、標的DNA内の短いモチーフの両方により決定される位置において生じる。例えば、操作細胞は、CRISPR系、例えば、II型CRISPR系を使用して作製することができる。本明細書で開示される方法において使用されるCas酵素は、DNAの切断を触媒するCas9であり得る。Streptococcus pyogenesに由来するCas9、または任意の近縁のCas9による酵素作用により、20ヌクレオチドのガイド配列にハイブリダイズし、20ヌクレオチドの標的配列に後続してプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を有する標的部位配列において、二本鎖切断を生じることができる。
【0140】
場合によって、CRISPR系は、変異を導入することができる。変異は、挿入または欠失であり得る。例えば、CRISPR系は、CISHの少なくとも一部を含む1bp挿入を導入することができる。場合によって、CRISPR系によりTILを操ることは、CRISPR系の電気穿孔後にTIL拡大に負の効果がない場合がある。場合によって、遺伝的レベルで観察されるノックアウト頻度が、タンパク質の損失と相関するか決定するために、CRISPRノックアウト後のCISHタンパク質などのタンパク質の発現を評価することができる。例えば、末梢血(PB)T細胞およびTILは、プレート結合した抗CD3および可溶性抗CD28抗体を使用して、電気穿孔後14日目に再刺激することができ、フローサイトメトリーおよびウェスタンブロットによりタンパク質、例えば、CISHタンパク質の損失を評価することができる。場合によって、CRISPR修飾されたPB T細胞およびTILは、14日間拡大させ、次いで48時間再刺激することができる。CISHは細胞内タンパク質であるため、細胞を回収し、ウェスタンブロットによって抽出物を解析することができる。ゲノム修飾のTiDE解析による高い率のノックアウトと整合して、CISHなどのタンパク質は、ノックアウト循環T細胞およびTILにおいて基本的に非存在であり得るまたは減少され得る。
【0141】
I.Casタンパク質
ベクターは、Casタンパク質(CRISPR関連タンパク質)など、CRISPR酵素をコードする、酵素コード配列に作動可能に連結することができる。Casタンパク質の非限定的な例は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1またはCsx12としても公知である)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、Cas9HiFi、これらの相同体、またはこれらの修飾形を含み得る。場合によって、触媒不活性なCasタンパク質、例えば、dCas9を使用することができる。Cas9など、非修飾CRISPR酵素は、DNA切断活性を有し得る。CRISPR酵素は、標的配列内および/または標的配列の相補体内など、標的配列において、一本または両方の鎖の切断を導きうる。例えば、CRISPR酵素は、標的配列の最初または最後のヌクレオチドから約1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15、20、25、50、100、200、500、もしくはそれよりも多い塩基対以内、またはほぼこれらの数の塩基対以内において、一本または両方の鎖の切断を導きうる。変異させたCRISPR酵素が、標的配列を含有する標的ポリヌクレオチドの一本または両方鎖を切断する能力を欠くように、対応する野生型酵素に照らして変異させたCRISPR酵素をコードするベクターを使用することができる。Casタンパク質は、Cas9HiFiなど、高忠実度のCasタンパク質であり得る。場合によって、Casタンパク質は修飾され得る。例えば、Casタンパク質は、N7-メチル-Gppp(2’-O-メチル-A)であり得る。場合によって、Cas9タンパク質などのCasタンパク質は、臨床使用の前にシーケンシングされ得る。例えば、精製されたin vitro転写産物は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって評価して、Cas9以外の他のいかなるmRNA種も臨床産物内に存在しないことを検証することができる。その上、Cas9などのCasタンパク質をコードする精製されたmRNAは、逆転写に続くシーケンシングによる検証を受けて、ヌクレオチドレベルでの同一性を検証することができる。Cas配列は、核局在化配列(NLS)を含有し得る。核局在化配列は、SV40に由来し得る。NLSは、SV40、ヌクレオプラスミン、インポーチンアルファ、C-myc、EGL-13、TUS、BORG、hnRNPA1、Mata2またはPY-NLSのうちの少なくとも1つに由来し得る。NLSは、Casタンパク質のC末端またはN末端に存在し得る。場合によって、Casタンパク質は、1~5個のNLS配列を含有し得る。Casタンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10個のNLS配列を含有し得る。Cas9などのCasタンパク質は、2個のNLS配列を含有し得る。Casタンパク質は、SV40およびヌクレオプラスミン(nuceloplasmin)NLS配列を含有し得る。Casタンパク質は、少なくとも1個の非翻訳領域を含有し得る。
【表2】
【表3-1】
【表3-2】
【0142】
Cas9とは、例示的な野生型のCas9ポリペプチド(例えば、S.pyogenesに由来するCas9)に対して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、100%の配列同一性および/もしくは配列類似性、または少なくともほぼこれらの比率の配列同一性および/もしくは配列類似性を伴うポリペプチドを指す場合がある。Cas9とは、例示的な野生型のCas9ポリペプチド(例えば、S.pyogenesに由来する)に対して、最大で50%、60%、70%、80%、90%、100%の配列同一性および/もしくは配列類似性、または最大でほぼこれらの比率の配列同一性および/もしくは配列類似性を伴うポリペプチドを指す場合がある。Cas9とは、欠失、挿入、置換、変異体、変異、融合、キメラまたはこれらの任意の組合せなどのアミノ酸変化を含み得る、Cas9タンパク質の野生型または修飾形態を指す場合もある。
【0143】
エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9などのCasタンパク質)をコードするポリヌクレオチドは、真核細胞など、特定の細胞内の発現のために、コドン最適化することができる。この種の最適化は、同じタンパク質をコードしながら、意図される宿主生物または宿主細胞のコドン優先性を模倣するように、外来由来の(例えば、組換え)DNA変異を伴いうる。
【0144】
1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10を超えるNLS、またはほぼこれらの数を超えるNLSなど、1または複数の核局在化配列(NLS)を含むCRISPR酵素をコードするベクターを使用することができる。例えば、CRISPR酵素は、アミノ末端において、またはこの近傍に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10を超えるNLS、またはほぼこれらの数を超えるNLSを含む場合もあり、カルボキシル末端において、またはこの近傍に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10を超えるNLS、またはほぼこれらの数を超えるNLSを含む場合もあり、これらの任意の組合せ(例えば、アミノ末端における1または複数のNLSと、カルボキシル末端における1または複数のNLSとの組合せ)を含む場合もある。1つを超えるNLSが存在する場合、単一のNLSが、1つを超えるコピーで、かつ/または1もしくは複数のコピーで存在する、他の1もしくは複数のNLSと組み合わせて存在し得るように、各NLSは、他のNLSから独立に選択することができる。
【0145】
NLSは、1部分からなる(monopartite)場合もあり、2部分からなる(bipartite)場合もある。場合によって、2部分からなるNLSは、1部分からなるNLSとは対照的に、スペーサー配列を有し得る。NLSは、SV40、ヌクレオプラスミン、インポーチンアルファ、C-myc、EGL-13、TUS、BORG、hnRNPA1、Mata2またはPY-NLSのうちの少なくとも1つに由来し得る。NLSは、ポリペプチド鎖内の任意の位置、例えば、N末端またはC末端の近傍に位置し得る。例えば、NLSは、N末端またはC末端から、ポリペプチド鎖に沿って、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50アミノ酸以内であるか、またはほぼこれらの数のアミノ酸以内であり得る。ある場合には、NLSは、N末端またはC末端から、50アミノ酸もしくはそれよりも多い数のアミノ酸、例えば、100、200、300、400、500、600、700、800、900もしくは1000アミノ酸以内であるか、またはほぼこれらの数のアミノ酸以内であり得る。
【0146】
エンドヌクレアーゼは、例示的な野生型の部位指向型ポリペプチド(例えば、S.pyogenesに由来する由来Cas9)のヌクレアーゼドメインに対して、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、もしくは100%のアミノ酸配列同一性、または少なくともほぼこれらの比率のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0147】
S.pyogenes Cas9(SpCas9)(表2)を一般に、ゲノム操作のためのCRISPRエンドヌクレアーゼとして使用するが、どの標的切出し部位にも最良のエンドヌクレアーゼではない場合もある。例えば、SpCas9のためのPAM配列(5’NGG3’)は、ヒトゲノム全体を通して夥多であるが、NGG配列は、修飾に所望される遺伝子を適正にターゲティングするように位置しない場合がある。場合によって、異なるエンドヌクレアーゼを使用して、ある特定のゲノム標的をターゲティングすることができる。場合によって、NGG以外のPAM配列を伴う、合成SpCas9由来の変異体を使用することができる。加えて、多様な種に由来する、他のCas9オーソログも同定されており、これらの「非SpCas9」は、様々なPAM配列に結合し、これらもまた、本発明に有用であり得るだろう。例えば、SpCas9の比較的大きなサイズ(約4kbのコード配列)は、SpCas9 cDNAを有するプラスミドは、細胞内で効率的に発現しえないことを意味する。逆に、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)のコード配列はおよそ、SpCas9より1キロベース短く、おそらく、細胞内の効率的な発現を可能とする。SpCas9と同様に、SaCas9エンドヌクレアーゼも、in vitroの哺乳動物細胞内、およびマウスのin vivoにおいて、標的遺伝子を修飾することが可能である。
【0148】
S.pyogenes Cas9への代替法は、Cpf1ファミリーに由来する、RNAにガイドされるエンドヌクレアーゼであって、哺乳動物細胞内の切断活性を提示するエンドヌクレアーゼを含み得る。Cas9ヌクレアーゼと異なり、Cpf1を媒介するDNAの切断の結果は、短い3’突出を伴う二本鎖切断である。Cpf1の付着末端型切断パターンは、従来の制限酵素クローニングと類似する指向性遺伝子移入であって、遺伝子編集の効率を増大させる指向性遺伝子移入の可能性を開きうる。上記で記載したCas9の変異体およびオーソログと同様に、Cpf1もまた、CRISPRにより、SpCas9が優先するNGG PAM部位を欠く、ATリッチ領域またはATリッチゲノムへとターゲティングし得る部位の数を拡大し得る。
【0149】
任意の機能的濃度のCasタンパク質を、細胞へと導入することができる。例えば、15マイクログラムのCas mRNAを、細胞へと導入することができる。他の場合には、0.5マイクログラム~100マイクログラムのCas mRNAを導入することができる。0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100マイクログラムのCas mRNAを導入することができる。
【0150】
場合によって、二重ニカーゼ法を使用して、二本鎖切断またはゲノム切断を導入することができる。Casタンパク質は、いずれかのヌクレアーゼドメイン内の公知のアミノ酸において変異させ、これにより、1つのヌクレアーゼドメインの活性を欠失させ、一本鎖切断を生じることが可能な、ニカーゼCasタンパク質を作製することができる。2つの顕著に異なるガイドRNAターゲティング逆鎖を伴うニカーゼは、標的部位内でDSBを作製するのに用いることができる(「二重ニック」CRISPR系または「二重ニカーゼ」CRISPR系と称することが多い)。この手法は、2つのオフターゲットニックが、DSBを引き起こすのに十分に近接して作製される可能性は小さいので、標的特異性を劇的に増大させうる。
【0151】
Cas9などのヌクレアーゼは、使用の前に同一性および効力について試験することができる。例えば、同一性および効力は、分光光度解析、RNAアガロースゲル解析、LC-MS、エンドトキシン解析および無菌性試験のうちの少なくとも1つを使用して決定することができる。場合によって、同一性試験は、臨床/治療的使用に許容されるレベルを決定することができる。例えば、許容される分光光度解析結果は、1.0±0.1mg/mLにおける105±10μL/バイアルであり得る。許容される分光光度解析結果はまた、1.0±0.1mg/mLにおける約90~120±10μL/バイアルまたは約0.1~5.0±0.1mg/mLにおける約90~120±10μL/バイアルであり得る。
【0152】
場合によって、Cas9などのヌクレアーゼは、約1.0±0.1のUV260/280比を有し得る。UV260-280比は、約1.0~5.0±0.1であり得る。
【0153】
場合によって、Cas9などのヌクレアーゼは、RNAアガロースゲル解析によって測定される完全性/サイズを有することができる。Cas9のサイズは、約4500塩基であり得る。Cas9のサイズは、約4000~約8000塩基であり得る。Cas9のサイズは、約4000~約5000塩基、約5000~約6000塩基、約6000~約7000塩基、約7000~約8000塩基であり得る。場合によって、バイオアナライザを用いて、Cas9などのヌクレアーゼ配列のサイズを決定することができる。バイオアナライザは、約4000~約5000塩基、約5000~約6000塩基、約6000~約7000塩基、約7000~約8000塩基であり得るCas9配列のサイズを決定することができる。
【0154】
場合によって、Cas9などのヌクレアーゼのエンドトキシンレベルを決定することができる。エンドトキシン試験は、リムルスアッセイであり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、3EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、10EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、8EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、5EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、4EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、3EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、2EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、1EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、0.5EU/mL未満であり得る。
【0155】
場合によって、Cas9などのヌクレアーゼは、無菌性試験を受けることができる。無菌性試験の臨床上/治療上許容されるレベルは、0であり得る、または培養物における増殖なしによって表示することができる。無菌性試験の臨床上/治療上許容されるレベルは、0.5%未満の増殖であり得る。無菌性試験の臨床上/治療上許容されるレベルは、1%未満の増殖であり得る。
【0156】
場合によって、Cas9配列などのヌクレアーゼ配列をシーケンシングして、その同一性を確認することができる。例えば、インプットCas9 mRNA転写鋳型は、Cas9 mRNAロットの産生の前に、約4倍被覆度でシーケンシングすることができる。精製されたin vitro転写産物(produce)は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって評価して、mRNAが、Cas9に予想されるサイズであり、他のいかなるmRNA種も、臨床または治療用製品内に存在しないことを検証することができる。場合によって、精製されたmRNAは、逆転写酵素(RT)媒介の逆転写に続くDNAシーケンシングによる検証を受けて、ヌクレオチドレベルでの同一性を検証するであろう。
【0157】
場合によって、ヌクレアーゼ機能性の効力は、試行的ランにより試験することができる。例えば、Cas9は、3名の独立したドナーに由来する初代ヒトT細胞において機能的効力について試験することができる。試薬送達は、患者試料と同じ様式で行うことができる。効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて50%を満たすまたはこれを超えうる。場合によって、効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて60%を満たすまたはこれを超えうる。場合によって、効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて65%を満たすまたはこれを超えうる。場合によって、効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて70%を満たすまたはこれを超えうる。場合によって、効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて75%を満たすまたはこれを超えうる。
【0158】
II.ガイドポリ核酸
ガイドポリ核酸は、DNAまたはRNAであることが可能である。ガイドポリ核酸は、一本鎖または二本鎖であることが可能である。場合によって、ガイドポリ核酸は、一本鎖領域および二本鎖領域の領域を含有し得る。ガイドポリ核酸はまた、二次構造を形成し得る。本明細書で使用される「ガイドRNA(gRNA)」という用語、およびその文法的同等物は、標的DNAに特異的であることが可能であり、Casタンパク質と複合体を形成し得るRNAを指す場合がある。ガイドRNAは、標的部位を指定し、RNA/Cas複合体を、切断のために指定される標的DNAへとガイドする、ガイド配列またはスペーサー配列を含み得る。例えば、ガイドRNAは、CRISPR複合体を、異なる遺伝子へとターゲティングし、ターゲティングされた二本鎖切断を実施し得る。標的DNAの部位特異的切断は、1)ガイドRNAと標的DNA(また、プロトスペーサーとも呼ばれる)との塩基対合相補性、および2)プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と称する、標的DNA内の短いモチーフの両方により決定される位置において生じる。場合によって、gRNAは、一般的に発現される転写物内の初期エクソンに位置するgRNAを同定することができるアルゴリズムを使用してデザインすることができる。候補gRNAは、次の項目を考慮に入れ得るスコアリングシステムを使用して、オフターゲット可能性によってランク付けすることができる:(a)gRNA配列およびいずれかの密接にマッチするゲノム配列の間のミスマッチの総数;(b)PAM部位の近くに収まるミスマッチのための活性における負の効果と相関するPAM部位と比べたミスマッチ位置(複数可);(c)ガイド-DNA相互作用破壊における近接ミスマッチの累積効果を説明するミスマッチ間の距離;ならびにこれらの任意の組合せ。場合によって、gRNAおよびゲノム標的部位の間のより多い数のミスマッチは、当該部位のCRISPR媒介性切断のより低い可能性を生じ得る。場合によって、ミスマッチ位置は、PAM部位に直接隣接する。他の場合では、ミスマッチ位置は、PAM部位から1ヌクレオチド~最大100キロベース離れていてもよい。ミスマッチを含む候補gRNAは、場合によってPAMに隣接していなくてよい。他の場合では、ミスマッチを含む少なくとも2つの候補gRNAは、互いから1ヌクレオチド~最大100キロベース離れたゲノムに結合し得る。ミスマッチは、ヌクレオチドの置換であり得る。例えば、場合によって、Gが、Tに代えて置換される。gRNAおよびゲノムの間のミスマッチは、CRISPR遺伝子編集の忠実度減少を可能にすることができる。場合によって、正のスコアリングのgRNAは、約110ヌクレオチドの長さであり得、相補的ゲノム配列に対するミスマッチを含有しなくてよい。他の場合では、正のスコアリングのgRNAは、約110ヌクレオチドの長さであり得、相補的ゲノム配列に対する最大3個のミスマッチを含有し得る。他の場合では、正のスコアリングのgRNAは、約110ヌクレオチドの長さであり得、相補的ゲノム配列に対する最大20個のミスマッチを含有し得る。ポリ核酸は、表4の配列のいずれかに対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは最大約100%の配列同一性および/もしくは配列類似性、または少なくともほぼこれらの比率の配列同一性および/または配列類似性を有し得る。場合によって、ガイドポリ核酸は、ホスホロチオエートであり得るヌクレオチド間連結を含有し得る。任意の数のホスホロチオエートが存在してもよい。例えば、1~約100個のホスホロチオエートが、ガイドポリ核酸配列に存在し得る。場合によって、1~10個のホスホロチオエートが存在する。場合によって、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のホスホロチオエートが、ガイドポリ核酸配列に存在する。
【表4-1】
【表4-2】
【0159】
場合によって、上位スコアリングgRNAをデザインおよび選択し、それぞれのオンターゲット編集効率を、患者由来TILおよび末梢血由来T細胞において実験的に評価することができる。場合によって、TiDE解析によって決定される編集効率は、少なくとも約20%を超え得る。他の場合では、編集効率は、約20%~約50%、約50%~約80%、約80%~約100%であり得る。場合によって、TiDEによって測定される編集効率は、PD-1については85%、CISHについては90%であり得る。場合によって、インデルパーセントは、試行的GMPランにおいて決定することができる。例えば、最終細胞生成物は、サンガーシーケンシングおよびTIDE解析によってオンターゲットインデル形成に関して解析することができる。ゲノムDNAは、対照および実験試料の両方に由来する約1×106個の細胞から抽出し、CISHなど、破壊された遺伝子を挟むプライマーを使用したPCRにかけることができる。サンガーシーケンシングクロマトグラム(chromatogramp)は、対照およびノックアウト試料の比較によってインデル頻度およびインデルのサイズ分布を定量化し得るTIDEソフトウェアプログラムを使用して解析することができる。
【0160】
本明細書で開示される方法はまた、細胞または胚へと、少なくとも1つのガイドRNA、または少なくとも1つのガイドRNAをコードする核酸、例えば、DNAを導入するステップも含み得る。ガイドRNAは、RNAにガイドされるエンドヌクレアーゼと相互作用して、エンドヌクレアーゼを、その部位において、ガイドRNAの5’末端が、染色体配列内の特異的プロトスペーサー配列と塩基対合する、特異的標的部位へと導きうる。
【0161】
ガイドRNAは、2つのRNA、例えば、CRISPR RNA(crRNA)およびトランス活性化crRNA(tracrRNA)を含み得る。ガイドRNAは、ある場合には、crRNAおよびtracrRNAの部分(例えば、機能的な部分)の融合により形成される、単一のガイドRNA(sgRNA)を含み得る。ガイドRNAはまた、crRNAおよびtracrRNAを含む二重RNAでもあり得る。ガイドRNAは、crRNAを含むことが可能であり、tracrRNAを欠きうる。さらに、crRNAは、標的DNAまたはプロトスペーサー配列とハイブリダイズし得る。
【0162】
上記で論じた通り、ガイドRNAは、発現産物であり得る。例えば、ガイドRNAをコードするDNAは、ガイドRNAをコードする配列を含むベクターであり得る。ガイドRNAは、細胞または生物に、ガイドRNAをコードする配列およびプロモーターを含む単離ガイドRNAまたは単離プラスミドDNAをトランスフェクトすることにより、細胞または生物へと移入させることができる。ガイドRNAはまた、ウイルスを媒介する遺伝子送達を使用するなど、他の形で、細胞または生物へと移入させることもできる。
【0163】
ガイドRNAは、単離ガイドRNAであり得る。例えば、ガイドRNAは、単離RNAの形態で、細胞または生物へとトランスフェクトすることができる。ガイドRNAは、任意のin vitro転写系を使用する、in vitro転写により調製することができる。ガイドRNAは、細胞へと、ガイドRNAのコード配列を含むプラスミドの形態ではなく、単離RNAの形態で移入させることができる。
【0164】
ガイドRNAは、DNAターゲティングセグメントおよびタンパク質結合性セグメントを含み得る。DNAターゲティングセグメント(またはDNAターゲティング配列、またはスペーサー配列)は、標的DNA内の特異的配列(例えば、プロトスペーサー)と相補的であり得るヌクレオチド配列を含む。タンパク質結合性セグメント(またはタンパク質結合性配列)は、部位指向型修飾性ポリペプチド、例えば、Casタンパク質など、RNAにガイドされるエンドヌクレアーゼと相互作用し得る。「セグメント」とは、分子のセグメント/区画/領域、例えば、RNA内のヌクレオチドの連続的連なりを意味する。セグメントはまた、セグメントが、1つを超える分子の領域を含み得るように、複合体の領域/区画も意味する。例えば、場合によって、DNAターゲティングRNAのタンパク質結合性セグメントは、1つのRNA分子およびタンパク質結合性セグメントであり、したがって、このRNA分子の領域を含む。他の場合には、DNAターゲティングRNAのタンパク質結合性セグメントは、相補性領域に沿ってハイブリダイズさせた、2つの個別の分子を含む。
【0165】
ガイドRNAは、2つの個別のRNA分子を含む場合もあり、単一のRNA分子を含む場合もある。例示的な単一分子のガイドRNAは、DNAターゲティングセグメントおよびタンパク質結合性セグメントの両方を含む。
【0166】
例示的な2分子型DNAターゲティングRNAは、crRNA様(「CRISPR RNA」または「ターゲターRNA」または「crRNA」または「crRNAリピート」)分子および対応するtracrRNA様(「トランス活性化CRISPR RNA」または「アクチベーターRNA」または「tracrRNA」)分子を含み得る。第1のRNA分子は、DNAターゲティングセグメント(例えば、スペーサー)を含み得るcrRNA様分子(ターゲターRNA)と、ガイドRNAのタンパク質結合性セグメントを含む二本鎖RNA(dsRNA)による二重鎖の半分を形成し得る、ヌクレオチドの連なりとであり得る。第2のRNA分子は、ガイドRNAのタンパク質結合性セグメントのdsRNA二重鎖の他の半分を形成し得る、ヌクレオチドの連なりを含み得る、対応するtracrRNA様分子(アクチベーターRNA)であり得る。言い換えれば、crRNA様分子のヌクレオチドの連なりは、tracrRNA様分子のヌクレオチドの連なりと相補的であることが可能であり、これとハイブリダイズして、ガイドRNAのタンパク質結合性ドメインのdsRNA二重鎖を形成し得る。したがって、各crRNA様分子は、対応するtracrRNA様分子を有するということができる。加えて、crRNA様分子は、一本鎖DNAターゲティングセグメントまたはスペーサー配列ももたらし得る。したがって、crRNA様分子と、tracrRNA様分子(対応する対としての)とは、ハイブリダイズして、ガイドRNAを形成し得る。対象の2分子型ガイドRNAは、任意の対応する、crRNAとtracrRNAとの対を含み得る。
【0167】
ガイドRNAのDNAターゲティングセグメントまたはスペーサー配列は、ガイドRNAのDNAターゲティングセグメントが、標的部位またはプロトスペーサーと塩基対合し得るように、染色体配列内の標的部位における配列、例えば、プロトスペーサー配列と相補的であり得る。場合によって、ガイドRNAのDNAターゲティングセグメントは、10ヌクレオチドまたはほぼこの数のヌクレオチド~25もしくはほぼこの数のヌクレオチドまたはそれよりも多いヌクレオチドを含み得る。例えば、ガイドRNAの第1の領域と、染色体配列内の標的部位との塩基対合の領域は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、もしくは25を超えるヌクレオチドの長さであり得るか、またはほぼこの長さであり得る。ある場合には、ガイドRNAの第1の領域は、19、20、もしくは21ヌクレオチドの長さであり得るか、またはほぼこの長さであり得る。
【0168】
ガイドRNAは、20ヌクレオチドの核酸配列またはほぼこの長さの核酸配列をターゲティングし得る。標的核酸は、20ヌクレオチド未満またはほぼこの長さ未満であり得る。標的核酸は、少なくとも5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれよりも多いヌクレオチド、または少なくともほぼこの長さであり得る。標的核酸は、最大で5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、もしくはそれよりも多いヌクレオチド、または最大でほぼこの長さであり得る。標的核酸配列は、PAMの最初のヌクレオチドのすぐの5’側の20塩基であり得るか、またはほぼこの長さであり得る。ガイドRNAは、核酸配列をターゲティングし得る。ガイドRNAなど、ガイドポリ核酸は、表5または表6の配列のいずれかに対し少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは最大約100%の配列同一性および/もしくは配列類似性、または少なくともほぼこれらの比率の配列同一性および/もしくは配列類似性を有するゲノム配列に結合し得る。場合によって、ガイドRNAなどのガイドポリ核酸は、PAMから約1塩基対~約20塩基対離れたゲノム領域に結合し得る。ガイドは、PAMから約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または最大約20塩基対離れたゲノム領域に結合し得る。
【表5】
【0169】
操作gRNAによりターゲティングされるゲノム配列を、表5および表6に示す。
図22は、修飾gRNAによる、CISH遺伝子のターゲティングを示す。
【表6】
【0170】
ガイド核酸、例えば、ガイドRNAは、別の核酸、例えば、細胞ゲノム内の標的核酸またはプロトスペーサーにハイブリダイズし得る核酸を指す場合がある。ガイド核酸は、RNAであり得る。ガイド核酸は、DNAであり得る。ガイド核酸は、核酸部位の配列に特異的に結合するように、プログラムまたはデザインすることができる。ガイド核酸は、ポリヌクレオチド鎖を含むことが可能であり、単一のガイド核酸と呼ばれうる。ガイド核酸は、2つのポリヌクレオチド鎖を含むことが可能であり、二重ガイド核酸と呼ばれうる。
【0171】
ガイド核酸は、核酸に新たな特色または増強された特色をもたらす、1または複数の修飾を含み得る。ガイド核酸は、核酸アフィニティータグを含み得る。ガイド核酸は、合成ヌクレオチド、合成ヌクレオチド類似体、ヌクレオチド誘導体、および/または修飾ヌクレオチドを含み得る。
【0172】
ガイド核酸は、例えば、5’末端もしくは3’末端において、またはこの近傍に、標的核酸内の配列(例えば、プロトスペーサー)にハイブリダイズし得るヌクレオチド配列(例えば、スペーサー)を含み得る。ガイド核酸のスペーサーは、ハイブリダイゼーション(すなわち、塩基対合)を介して、配列特異的に、標的核酸と相互作用し得る。スペーサー配列は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の5’側または3’側に位置する標的核酸にハイブリダイズし得る。スペーサー配列の長さは、少なくとも5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、もしくはそれよりも多いヌクレオチド、または少なくともほぼこの長さであり得る。スペーサー配列の長さは、最大で5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、もしくはそれよりも多いヌクレオチド、または最大でほぼこの長さであり得る。
【0173】
ガイドRNAはまた、二次構造を形成するdsRNA二重鎖領域も含み得る。例えば、ガイドRNAにより形成される二次構造は、ステム(またはヘアピン)およびループを含み得る。ループおよびステムの長さは、変動し得る。例えば、ループは、約3~約10ヌクレオチドの長さの範囲であることが可能であり、ステムは、約6~約20塩基対の長さの範囲であり得る。ステムは、1~約10ヌクレオチドの、1または複数のバルジを含み得る。第2の領域の全長は、約16~約60ヌクレオチドの長さの範囲であり得る。例えば、ループは、4ヌクレオチドの長さであり得るか、またはほぼこの長さであることが可能であり、ステムは、12塩基対であり得るか、またはほぼこの長さであり得る。dsRNA二重鎖領域は、RNAにガイドされるエンドヌクレアーゼ、例えば、Casタンパク質など、RNA結合性タンパク質と複合体を形成し得る、タンパク質結合性セグメントを含み得る。
【0174】
ガイドRNAはまた、5’末端または3’末端において、本質的に一本鎖であり得るテール領域も含み得る。例えば、テール領域は、ある場合には、目的の細胞内の任意の染色体配列と相補性ではなく、ある場合には、ガイドRNAの残余部分と相補性ではない。さらに、テール領域の長さは、変動し得る。テール領域は、4ヌクレオチドの長さを超えうるか、またはほぼこの長さを超えうる。例えば、テール領域の長さは、5または約5~60または約60ヌクレオチドの長さの範囲であり得る。
【0175】
ガイドRNAは、細胞または胚へと、RNA分子として導入することができる。例えば、RNA分子は、in vitroで転写することもでき、かつ/または化学的に合成することもできる。次いで、ガイドRNAは、細胞または胚へと、RNA分子として導入することができる。ガイドRNAはまた、細胞または胚へと、RNA以外の核酸分子、例えば、DNA分子の形態で導入することもできる。例えば、ガイドRNAをコードするDNAは、目的の細胞内または胚内のガイドRNAの発現のためのプロモーター制御配列に作動可能に連結することができる。RNAコード配列は、RNAポリメラーゼIII(PolIII)により認識されるプロモーター配列に作動可能に連結することができる。
【0176】
ガイドRNAをコードするDNA分子はまた、直鎖状でもあり得る。ガイドRNAをコードするDNA分子はまた、環状でもあり得る。ガイドRNAをコードするDNA配列はまた、ベクターの一部でもあり得る。ベクターの一部の例は、プラスミドベクター、ファージミド、コスミド、人工/ミニ染色体、トランスポゾン、およびウイルスベクターを含み得る。例えば、RNAにガイドされるエンドヌクレアーゼをコードするDNAは、プラスミドベクター内に存在する。適切なプラスミドベクターの、他の非限定的な例は、pUC、pBR322、pET、pBluescript、およびこれらの変異体を含む。さらに、ベクターは、さらなる発現制御配列(例えば、エンハンサー配列、Kozak配列、ポリアデニル化配列、転写終結配列など)、選択用マーカー配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、複製起点などを含み得る。
【0177】
RNAにガイドされるエンドヌクレアーゼおよびガイドRNAの両方を、細胞へと、DNA分子として導入する場合、各々は、個別の分子(例えば、融合タンパク質のコード配列を含有する1つのベクターと、ガイドRNAのコード配列を含有する第2のベクターと)の一部の場合もあり、同じ分子(例えば、融合タンパク質およびガイドRNAの両方のコード(および調節)配列を含有する1つのベクター)の一部の場合もある。
【0178】
Cas9タンパク質またはその任意の誘導体などのCasタンパク質は、リボ核タンパク質(RNP)複合体を形成するように、ガイドRNAと、あらかじめ複合体化させることができる。RNP複合体は、初代免疫細胞へと導入することができる。RNP複合体の導入は、時限的であり得る。細胞は、細胞周期のG1期、S期、および/またはM期において、他の細胞と同期し得る。RNP複合体は、HDRを増強するような細胞期において送達することができる。RNP複合体は、相同性により導かれる修復を容易とし得る。
【0179】
ガイドRNAはまた、修飾することもできる。修飾は、化学的変更、合成修飾、ヌクレオチド付加、および/またはヌクレオチド控除を含み得る。修飾はまた、CRISPRゲノムの操作も増強し得る。修飾は、gRNAのキラリティーを変更し得る。場合によって、キラリティーは、修飾後において、一様または立体的に純粋であり得る。ガイドRNAは、合成したものであり得る。合成ガイドRNAは、CRISPRゲノムの操作を増強し得る。ガイドRNAはまた、切断型でもあり得る。切断を使用して、所望されないオフターゲットの変異誘発を低減することができる。切断は、任意の数のヌクレオチド欠失を含み得る。例えば、切断は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50、またはそれよりも多いヌクレオチドを含み得る。ガイドRNAは、任意の長さの標的相補性領域を含み得る。例えば、標的相補性領域は、20ヌクレオチド未満の長さであり得る。標的相補性領域は、20ヌクレオチドを超える長さであり得る。標的相補性領域は、PAM配列に直接近接した約5bp~約20bpをターゲティングし得る。標的相補性領域は、PAM配列に直接近接した約13bpをターゲティングし得る。
【0180】
場合によって、ガイドポリ核酸の効力は、試行的ランにより試験することができる。例えば、ガイドポリ核酸は、3名の独立したドナーに由来する初代ヒトT細胞において機能的効力について試験することができる。試薬送達は、患者試料と同じ様式で行うことができる。効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて50%を満たすまたはこれを超えうる。場合によって、効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて60%を満たすまたはこれを超えうる。場合によって、効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて65%を満たすまたはこれを超えうる。場合によって、効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて70%を満たすまたはこれを超えうる。場合によって、効力は、標的ゲノム遺伝子座のシーケンシングによって決定することができ、インデル頻度は、各ドナーにおいて75%を満たすまたはこれを超えうる。
【0181】
CRISPR系は、任意の手段を使用して、1つの細胞または複数(pluarality)の細胞に導入することができる。場合によって、CRISPR系は、電気穿孔またはヌクレオフェクション(nucleofection)によって導入することができる。例えば、Neon(登録商標)Transfection System(ThermoFisher Scientific)またはAMAXA(登録商標)Nucleofector(AMAXA(登録商標)Biosystems)を使用する電気穿孔もまた、細胞への核酸の送達に使用することもできる。電気穿孔パラメーターは、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化するように調整することができる。電気穿孔デバイスは、指数関数的減衰、時定数、および方形波など、複数の電気波形パルスの設定項目を有し得る。あらゆる細胞型は、適用されるパルスパラメータ(例えば、電圧、キャパシタンス、および抵抗)に依存する、固有の最適電界強度(E)を有する。最適電界強度の適用は、膜貫通電圧の誘導による電気透過化であって、核酸が細胞膜を通過することを可能とする電気透過化を引き起こす。場合によって、電気穿孔パルスの電圧、電気穿孔パルス幅、パルス数、細胞密度、およびチップ型は、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化するように調整することができる。
【0182】
場合によって、Neonトランスフェクション系を用いることができる。Neon系は、中央制御モジュールと、3フィート長の電気コードによって中央制御モジュールに接続され得る電気穿孔チャンバーと、特殊ピペットとを含む3成分電気穿孔装置であり得る。場合によって、特殊ピペットは、交換可能および/または使い捨て滅菌チップを装着することができる。場合によって、電気穿孔チャンバーは、交換可能/使い捨て滅菌電気穿孔キュベットを装着することができる。場合によって、Neon系などの系の製造業者によって供給された標準電気穿孔緩衝剤は、GMP認定溶液および緩衝剤と置き換えることができる。場合によって、標準電気穿孔緩衝剤は、GMPグレードリン酸緩衝食塩水(PBS)と置き換えることができる。試料電気穿孔の開始前に、制御モジュールにおいて自己診断系チェックを行って、Neon系が適切に機能していることを確実にすることができる。場合によって、トランスフェクションは、cGMP施設におけるクラス10,000クリーンルーム内のクラス1,000バイオセイフティーキャビネットで行うことができる。訓練を受けた医療技術者は、製造プロセス全体を通して無菌的技法を使用することができ、産物は、無菌性について最終的に試験することができる。
【0183】
場合によって、電気穿孔パルスの電圧を変動させて、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化することができる。場合によって、電気穿孔電圧は、約500ボルト未満であり得る。場合によって、電気穿孔電圧は、少なくとも約500ボルト、少なくとも約600ボルト、少なくとも約700ボルト、少なくとも約800ボルト、少なくとも約900ボルト、少なくとも約1000ボルト、少なくとも約1100ボルト、少なくとも約1200ボルト、少なくとも約1300ボルト、少なくとも約1400ボルト、少なくとも約1500ボルト、少なくとも約1600ボルト、少なくとも約1700ボルト、少なくとも約1800ボルト、少なくとも約1900ボルト、少なくとも約2000ボルト、少なくとも約2100ボルト、少なくとも約2200ボルト、少なくとも約2300ボルト、少なくとも約2400ボルト、少なくとも約2500ボルト、少なくとも約2600ボルト、少なくとも約2700ボルト、少なくとも約2800ボルト、少なくとも約2900ボルトまたは少なくとも約3000ボルトであり得る。場合によって、最適のトランスフェクション効率および/または細胞生存率に要求される電気穿孔パルスの電圧は、細胞型に特異的であり得る。例えば、1900ボルトの電気穿孔電圧は、マクロファージ細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。別の例では、約1350ボルトの電気穿孔電圧は、Jurkat細胞、またはT細胞などの初代ヒト細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。場合によって、電気穿孔電圧の範囲は、所与の細胞型に最適であり得る。例えば、約1000ボルト~約1300ボルトの間の電気穿孔電圧は、ヒト578T細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。
【0184】
場合によって、電気穿孔パルス幅を変動させて、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化することができる。場合によって、電気穿孔パルス幅は、約5ミリ秒未満であり得る。場合によって、電気穿孔幅は、少なくとも約5ミリ秒、少なくとも約6ミリ秒、少なくとも約7ミリ秒、少なくとも約8ミリ秒、少なくとも約9ミリ秒、少なくとも約10ミリ秒、少なくとも約11ミリ秒、少なくとも約12ミリ秒、少なくとも約13ミリ秒、少なくとも約14ミリ秒、少なくとも約15ミリ秒、少なくとも約16ミリ秒、少なくとも約17ミリ秒、少なくとも約18ミリ秒、少なくとも約19ミリ秒、少なくとも約20ミリ秒、少なくとも約21ミリ秒、少なくとも約22ミリ秒、少なくとも約23ミリ秒、少なくとも約24ミリ秒、少なくとも約25ミリ秒、少なくとも約26ミリ秒、少なくとも約27ミリ秒、少なくとも約28ミリ秒、少なくとも約29ミリ秒、少なくとも約30ミリ秒、少なくとも約31ミリ秒、少なくとも約32ミリ秒、少なくとも約33ミリ秒、少なくとも約34ミリ秒、少なくとも約35ミリ秒、少なくとも約36ミリ秒、少なくとも約37ミリ秒、少なくとも約38ミリ秒、少なくとも約39ミリ秒、少なくとも約40ミリ秒、少なくとも約41ミリ秒、少なくとも約42ミリ秒、少なくとも約43ミリ秒、少なくとも約44ミリ秒、少なくとも約45ミリ秒、少なくとも約46ミリ秒、少なくとも約47ミリ秒、少なくとも約48ミリ秒、少なくとも約49ミリ秒、または少なくとも約50ミリ秒であり得る。場合によって、最適のトランスフェクション効率および/または細胞生存率に要求される電気穿孔パルス幅は、細胞型に特異的であり得る。例えば、30ミリ秒の電気穿孔パルス幅は、マクロファージ細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。別の例では、約10ミリ秒の電気穿孔幅は、Jurkat細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。場合によって、電気穿孔幅の範囲は、所与の細胞型に最適であり得る。例えば、約20ミリ秒~約30ミリ秒の間の電気穿孔幅は、ヒト578T細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。
【0185】
場合によって、電気穿孔パルスの数を変動させて、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化することができる。場合によって、電気穿孔は、単一のパルスを含み得る。場合によって、電気穿孔は、1つを超えるパルスを含み得る。場合によって、電気穿孔は、2つのパルス、3つのパルス、4つのパルス、5つのパルス、6つのパルス、7つのパルス、8つのパルス、9つのパルス、または10またはそれよりも多いパルスを含み得る。場合によって、最適のトランスフェクション効率および/または細胞生存率に要求される電気穿孔パルスの数は、細胞型に特異的であり得る。例えば、単一のパルスによる電気穿孔は、マクロファージ細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。別の例では、3つのパルスによる電気穿孔は、初代細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。場合によって、電気穿孔幅の範囲は、所与の細胞型に最適であり得る。例えば、約1つ~約3つの間のパルスによる電気穿孔は、ヒト細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。本明細書で記載される核酸送達プラットフォーム、例えば、ヌクレオフェクションまたは電気穿孔のうちのいずれかによる、細胞のゲノム破壊の効率は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、もしくは99.9%を超えうるか、またはほぼこれらの比率であり得る。
【0186】
場合によって、電気穿孔のための出発細胞密度を変動させて、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化することができる。場合によって、電気穿孔のための出発細胞密度は、細胞約1×105個未満であり得る。場合によって、電気穿孔のための出発細胞密度は、細胞少なくとも約1×105個、細胞少なくとも約2×105個、細胞少なくとも約3×105個、細胞少なくとも約4×105個、細胞少なくとも約5×105個、細胞少なくとも約6×105個、細胞少なくとも約7×105個、細胞少なくとも約8×105個、細胞少なくとも約9×105個、細胞少なくとも約1×106個、細胞少なくとも約1.5×106個、細胞少なくとも約2×106個、細胞少なくとも約2.5×106個、細胞少なくとも約3×106個、細胞少なくとも約3.5×106個、細胞少なくとも約4×106個、細胞少なくとも約4.5×106個、細胞少なくとも約5×106個、細胞少なくとも約5.5×106個、細胞少なくとも約6×106個、細胞少なくとも約6.5×106個、細胞少なくとも約7×106個、細胞少なくとも約7.5×106個、細胞少なくとも約8×106個、細胞少なくとも約8.5×106個、細胞少なくとも約9×106個、細胞少なくとも約9.5×106個、細胞少なくとも約1×107個、細胞少なくとも約1.2×107個、細胞少なくとも約1.4×107個、細胞少なくとも約1.6×107個、細胞少なくとも約1.8×107個、細胞少なくとも約2×107個、細胞少なくとも約2.2×107個、細胞少なくとも約2.4×107個、細胞少なくとも約2.6×107個、細胞少なくとも約2.8×107個、細胞少なくとも約3×107個、細胞少なくとも約3.2×107個、細胞少なくとも約3.4×107個、細胞少なくとも約3.6×107個、細胞少なくとも約3.8×107個、細胞少なくとも約4×107個、細胞少なくとも約4.2×107個、細胞少なくとも約4.4×107個、細胞少なくとも約4.6×107個、細胞少なくとも約4.8×107個、または細胞少なくとも約5×107個であり得る。場合によって、最適のトランスフェクション効率および/または細胞生存率に要求される電気穿孔のための出発細胞密度は、細胞型に特異的であり得る。例えば、電気穿孔のための出発細胞密度であって、細胞1.5×106個の出発細胞密度は、マクロファージ細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。別の例では、電気穿孔のための出発細胞密度であって、細胞5×106個の出発細胞密度は、ヒト細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。場合によって、電気穿孔のための出発細胞密度の範囲は、所与の細胞型に最適であり得る。例えば、電気穿孔のための出発細胞密度であって、細胞5.6×106~5×107個の間の出発細胞密度は、T細胞などのヒト細胞に最適であり得る(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率をもたらし得る)。
【0187】
場合によって、GUIDE-Seq解析を実施して、操作ガイドRNAの特異性を決定することができる。CRISPR系ヌクレアーゼによる、オフターゲット切断についての、GUIDE-Seqプロファイリングの一般的な機構およびプロトコールについては、Tsai, S.ら、「GUIDE-Seq enables genome-wide profiling of off-target cleavage by CRISPR system nucleases」Nature、33巻:187~197頁(2015年)において論じられている。次世代シーケンシングによってオフターゲット頻度を評価するために、ヒト初代T細胞に、Cas9 mRNAおよび抗CISH gRNAなどのガイドRNAをトランスフェクトすることができる。ゲノムDNAは、トランスフェクション約72時間後からトランスフェクト細胞から単離し、潜在的オフターゲット部位でPCR増幅することができる。潜在的オフターゲット部位は、Wellcome Trust Sanger Insisute Genome Editingデータベース(WGE)アルゴリズムを使用して予測することができる。候補オフターゲット部位は、オンターゲット部位に対する配列相同性に基づき選択することができる。場合によって、gRNAおよびゲノム標的部位の間に約4個またはそれに満たないミスマッチを有する部位を用いることができる。候補オフターゲット部位ごとに、2つのプライマー対をデザインすることができる。PCRアンプリコンは、無処置(対照)およびCas9/gRNA処置細胞の両方から得ることができる。PCRアンプリコンは、プールすることができる。NGSライブラリーは、TruSeq Nano DNAライブラリー調製キット(Illumina)を使用して調製することができる。試料は、250bpペアードエンドワークフローを使用して、Illumina HiSeq機械において解析することができる。場合によって、gRNAライブラリー当たり約4千万種からのマッピング可能な(mappable)NGSリードを獲得することができる。この値は、gRNAの候補オフターゲット部位ごとに約450,000種のリードの平均数に等しい場合がある。場合によって、CRISPR媒介性破壊の検出は、ゲノム遺伝子座における1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%または0.1%もの低さの頻度であり得る。
【0188】
計算的予測を使用して、PD-1および/またはCISH機能的破壊など、ターゲティングされる遺伝子の最も安全な選択である可能性が高い候補gRNAを選択することができる。次に、候補gRNAは、潜在的オフターゲット部位の計算的予測によって導かれる集中的手法を使用して、経験的に試験することができる。場合によって、gRNAオフターゲット安全性の評価は、次世代ディープシーケンシング法を利用して、gRNAごとにCRISPRデザインツールによって予測される潜在的オフターゲット部位を解析することができる。場合によって、ゲノムにおけるいずれかの配列(完全マッチが意図される標的以外の)に対して3個よりも少ないミスマッチを有するgRNAを選択することができる。場合によって、ゲノムにおけるいずれかの配列に対して50、40、30、20、10、5、4、3、2または1個よりも少ないミスマッチを有するgRNAを選択することができる。場合によって、コンピュータシステムまたはソフトウェアを用いて、低いオフターゲット可能性の予測を有する候補gRNAの推奨を提供することができる。
場合によって、潜在的オフターゲット部位は、次のうち少なくとも1つにより同定することができる:GUIDE-SeqおよびターゲティングされるPCR増幅および次世代シーケンシング。加えて、Cas9/gRNA処置細胞など、修飾された細胞は、核型分析にかけて、任意の染色体再配列または転移を同定することができる。
【0189】
gRNAは、任意の機能的濃度で導入することができる。例えば、gRNAは、10マイクログラムで細胞に導入することができる。他の場合では、gRNAは、0.5マイクログラム~100マイクログラムで導入することができる。gRNAは、0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100マイクログラムで導入することができる。
【0190】
本明細書では、操作TIL細胞を作製する方法であって、少なくとも1つの修飾を含む、少なくとも1つのガイドRNA(gRNA)を導入するステップと;少なくとも1つのエンドヌクレアーゼを導入するステップとを含み、gRNAが、少なくとも1つの内因性ゲノムと相補的な、少なくとも1つの配列を含む方法が開示される。場合によって、修飾は、5’末端上の修飾、3’末端上の修飾、5’末端~3’末端における修飾、単一塩基の修飾、2’-リボース修飾、またはこれらの任意の組合せである。修飾は、塩基の置換、挿入、欠失、化学修飾、物理修飾、安定化、精製、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択することができる。
【0191】
場合によって、修飾は、化学修飾である。修飾は、5’アデニル酸、5’グアノシン三リン酸キャップ、5’N7-メチルグアノシン三リン酸キャップ、5’三リン酸キャップ、3’リン酸、3’チオリン酸、5’リン酸、5’チオリン酸、Cis-Synチミジン二量体、三量体、C12スペーサー、C3スペーサー、C6スペーサー、dSpacer、PCスペーサー、rSpacer、Spacer 18、Spacer 9、3’-3’修飾、5’-5’修飾、脱塩基、アクリジン、アゾベンゼン、ビオチン、ビオチンBB、ビオチンTEG、コレステリルTEG、デスチオビオチンTEG、DNP TEG、DNP-X、DOTA、dT-ビオチン、二重ビオチン、PCビオチン、ソラーレンC2、ソラーレンC6、TINA、3’DABCYL、Black Hole Quencher 1、Black Hole Quencher 2、DABCYL SE、dT-DABCYL、IRDye QC-1、QSY-21、QSY-35、QSY-7、QSY-9、カルボキシルリンカー、チオールリンカー、2’デオキシリボヌクレオシド類似体プリン、2’デオキシリボヌクレオシド類似体ピリミジン、リボヌクレオシド類似体、2’-0-メチルリボヌクレオシド類似体、糖修飾類似体、ゆらぎ/ユニバーサル塩基、蛍光色素標識、2’フルオロRNA、2’O-メチルRNA、メチルホスホネート、ホスホジエステルDNA、ホスホジエステルRNA、ホスホチオエート(phosphothioate)DNA、ホスホロチオエートRNA、UNA、シュードウリジン-5’-三リン酸、5-メチルシチジン-5’-三リン酸、2-O-メチル3ホスホロチオエート、またはこれらの任意の組合せから選択することができる。
【0192】
本明細書で記載されるポリ核酸は、修飾することができる。修飾は、ポリ核酸の任意の位置において施すことができる。単一のポリ核酸に、1つを超える修飾を施すことができる。ポリ核酸は、修飾後に、品質管理を経る場合がある。場合によって、品質管理は、PAGE、HPLC、MS、またはこれらの任意の組合せを含み得る。修飾は、置換、挿入、欠失、化学修飾、物理修飾、安定化、精製、またはこれらの任意の組合せであり得る。ポリ核酸はまた、5’アデニル酸、5’グアノシン三リン酸キャップ、5’N
7-メチルグアノシン三リン酸キャップ、5’三リン酸キャップ、3’リン酸、3’チオリン酸、5’リン酸、5’チオリン酸、Cis-Synチミジン二量体、三量体、C12スペーサー、C3スペーサー、C6スペーサー、dSpacer、PCスペーサー、rSpacer、Spacer 18、Spacer 9、3’-3’修飾、5’-5’修飾、脱塩基、アクリジン、アゾベンゼン、ビオチン、ビオチンBB、ビオチンTEG、コレステリルTEG、デスチオビオチンTEG、DNP TEG、DNP-X、DOTA、dT-ビオチン、二重ビオチン、PCビオチン、ソラーレンC2、ソラーレンC6、TINA、3’DABCYL、Black Hole Quencher 1、Black Hole Quencher 2、DABCYL SE、dT-DABCYL、IRDye QC-1、QSY-21、QSY-35、QSY-7、QSY-9、カルボキシルリンカー、チオールリンカー、2’デオキシリボヌクレオシド類似体プリン、2’デオキシリボヌクレオシド類似体ピリミジン、リボヌクレオシド類似体、2’-0-メチルリボヌクレオシド類似体、糖修飾類似体、ゆらぎ/ユニバーサル塩基、蛍光色素標識、2’フルオロRNA、2’O-メチルRNA、メチルホスホネート、ホスホジエステルDNA、ホスホジエステルRNA、ホスホチオエートDNA、ホスホロチオエートRNA、UNA、シュードウリジン-5’-三リン酸、5-メチルシチジン-5’-三リン酸、またはこれらの任意の組合せにより修飾することもできる。代表的な2’O-メチルRNA修飾gRNAを、
図22に示す。場合によって、修飾は、永続性であり得る。他の場合には、修飾は、一過性であり得る。場合によって、複数の修飾を、ポリ核酸に施す。ポリ核酸の修飾は、それらのコンフォメーション、極性、疎水性、化学反応性、塩基対合相互作用、またはこれらの任意の組合せなど、ヌクレオチドの物理化学的特性を変更し得る。
【0193】
修飾はまた、ホスホロチオエート置換でもあり得る。場合によって、天然のホスホジエステル結合は、細胞内ヌクレアーゼによる急速な分解を受けやすく、ホスホロチオエート(PS)結合置換を使用する、ヌクレオチド間連結の修飾は、細胞内分解による加水分解に対して、より安定であり得る。修飾は、ポリ核酸の安定性を増大させることができる。修飾はまた、生体活性も増強し得る。場合によって、ホスホロチオエート増強型RNAポリ核酸は、RNアーゼA、RNアーゼT1、仔ウシ血清ヌクレアーゼ、またはこれらの任意の組合せを阻害し得る。これらの特性は、in vivoまたはin vitroの、ヌクレアーゼへの曝露の可能性が高い適用における、PS-RNAポリ核酸の使用を可能とし得る。例えば、ホスホロチオエート(PS)結合は、ポリ核酸の5’末端または3’末端の、最後の3~5ヌクレオチドの間に導入し、これにより、エキソヌクレアーゼ分解を阻害することができる。場合によって、ホスホロチオエート結合は、エンドヌクレアーゼによる攻撃を低減するように、ポリ核酸の全体を通して付加することもできる。
【0194】
場合によって、修飾をスクリーニングすることができる。スクリーニングは、免疫原性についての試験、毒性についての試験、転写効率についての試験、翻訳効率についての試験、またはこれらの任意の組合せを含み得るがこれらに限定されない。場合によって、修飾は、免疫原性ではありえない。修飾は、毒性ではありえない。場合によって、候補修飾は、ポリ核酸へと組み込む前にスクリーニングする。他の場合には、異なる修飾を伴うポリ核酸をスクリーニングして、付加される修飾の、免疫原性、毒性、効能、または任意の組合せのレベルを決定する。場合によって、修飾を、ポリ核酸の逆転写を支持するその能力についてスクリーニングする。場合によって、修飾は、シュードウリジン-5’-三リン酸修飾である(例えば、
図32を参照されたい)。他の場合には、修飾は、5-メチルシチジン-5’-三リン酸修飾である(例えば、
図32を参照されたい)。修飾はまた、キラリティーの変化も含み得る。
【0195】
ガイドポリ核酸は、様々な方法、例えば、自動式固相合成によりアセンブルすることができる。ポリ核酸は、標準的な固相DNA/RNA合成を使用して構築することができる。ポリ核酸はまた、合成手順を使用して構築することもできる。ポリ核酸はまた、手作業により合成することもでき、完全に自動式で合成することもできる。場合によって、合成手順は、以下を含み得る;まず、5’-ヒドロキシルオリゴヌクレオチドを、対応する5’-H-ホスホネートモノエステルへと転換し、続いて、イミダゾールの存在下で、酸化させて、活性化5’-ホスホロイミダゾリデートへと酸化し、最後に、固体支持体上で、ピロリン酸と反応させうる。この手順は、PAGE、HPLC、MS、またはこれらの任意の組合せなど、合成後の精製ステップを含み得る。
【0196】
場合によって、修飾は、「m」として表示される2-O-メチル3ホスホロチオエート付加である。ホスホチオエート骨格は、「(ps)」として表示することができる。2-O-メチル3ホスホロチオエート付加は、1塩基~150塩基において実施することができる。2-O-メチル3ホスホロチオエート付加は、1塩基~4塩基において実施することができる。2-O-メチル3ホスホロチオエート付加は、2つの塩基上で実施することができる。2-O-メチル3ホスホロチオエート付加は、4つの塩基上で実施することができる。修飾はまた、切断でもあり得る。切断は、5つの塩基の切断であり得る。場合によって、修飾は、C末端およびN末端ヌクレオチドで施され、例えば:
【化1】
であり得る。
【0197】
ガイドポリ核酸は、任意の塩基頻度を有し得る。例えば、ガイドポリ核酸は、29個のA、17個のC、23個のG、23個のU、3個のmG、1個のmCおよび4個のmUを有し得る。ガイドポリ核酸は、任意のヌクレオチド塩基比を有し得る。例えば、ガイドポリ核酸は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、1~5%、3~8%、5~12%、10~15%、8~20%、15~25%、20~30%、25~35%または最大約30~40%のアデニンのパーセントを有し得る。ガイドポリ核酸は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、1~5%、3~8%、5~12%、10~15%、8~20%、15~25%、20~30%、25~35%または最大約30~40%のシトシンのパーセントを有し得る。ガイドポリ核酸は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、1~5%、3~8%、5~12%、10~15%、8~20%、15~25%、20~30%、25~35%または最大約30~40%のチミンのパーセントを有し得る。ガイドポリ核酸は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、1~5%、3~8%、5~12%、10~15%、8~20%、15~25%、20~30%、25~35%または最大約30~40%のグアニンのパーセントを有し得る。ガイドポリ核酸は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、1~5%、3~8%、5~12%、10~15%、8~20%、15~25%、20~30%、25~35%または最大約30~40%のウラシルのパーセントを有し得る。ガイドポリ核酸は、約1~約100ヌクレオチドを有し得る。ガイドポリ核酸は、約1~30個の単一ポリヌクレオチドを有し得る。ガイドポリ核酸は、約1~10、10~20または20~30個の単一ヌクレオチドを有し得る。
【0198】
ガイドポリ核酸(guiding polynucleic acid)(ガイドポリ核酸(guide polynucleic acid)とも称される)は、使用の前に同一性および効力について試験することができる。例えば、同一性および効力は、分光光度解析、RNAアガロースゲル解析、LC-MS、エンドトキシン解析および無菌性試験のうちの少なくとも1つを使用して決定することができる。場合によって、同一性試験は、臨床/治療的使用に許容されるレベルを決定することができる。例えば、許容される分光光度解析結果は、5.0±0.5mg/mLにおける14±2μL/バイアルであり得る。許容される分光光度解析結果はまた、5.0±0.5mg/mLにおける約10~20±2μL/バイアルまたは約3.0~7.0±0.5mg/mLにおける約10~20±2μL/バイアルであり得る。ガイドポリ核酸の許容される臨床/治療用サイズは、約100塩基であり得る。ガイドポリ核酸の臨床/治療用サイズは、約5塩基~約150塩基であり得る。ガイドポリ核酸の臨床/治療用サイズは、約20塩基~約150塩基であり得る。ガイドポリ核酸の臨床/治療用サイズは、約40塩基~約150塩基であり得る。ガイドポリ核酸の臨床/治療用サイズは、約60塩基~約150塩基であり得る。ガイドポリ核酸の臨床/治療用サイズは、約80塩基~約150塩基であり得る。ガイドポリ核酸の臨床/治療用サイズは、約100塩基~約150塩基であり得る。ガイドポリ核酸の臨床/治療用サイズは、約110塩基~約150塩基であり得る。ガイドポリ核酸の臨床/治療用サイズは、約120塩基~約150塩基であり得る。
【0199】
場合によって、ガイドポリ核酸の質量を決定することができる。質量は、LC-MSアッセイによって決定することができる。質量は、約32,461.0amuであり得る。ガイドポリ核酸は、約30,000amu~約50,000amuの質量を有し得る。ガイドポリ核酸は、約30,000amu~40,000amu、約40,000amu~約50,000amuの質量を有し得る。質量は、ガイドポリ核酸のナトリウム塩のものであり得る。
【0200】
場合によって、ガイドポリ核酸のエンドトキシンレベルを決定することができる。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、3EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、10EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、8EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、5EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、4EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、3EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、2EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、1EU/mL未満であり得る。エンドトキシンの臨床上/治療上許容されるレベルは、0.5EU/mL未満であり得る。
【0201】
場合によって、ガイドポリ核酸は、無菌性試験に供することができる。無菌性試験の臨床上/治療上許容されるレベルは、0であり得る、または培養物における増殖なしによって表示することができる。無菌性試験の臨床上/治療上許容されるレベルは、0.5%未満の増殖であり得る。無菌性試験の臨床上/治療上許容されるレベルは、1%未満の増殖であり得る。
【0202】
処置レジメン
処置レジメンにおいて使用される細胞が本明細書に開示される。例えば、対象は、がんまたは疾患の処置のための処置レジメンの一部として操作細胞を受けることができる。処置レジメンは、少数を挙げれば、外科手術、化学療法、放射線照射、免疫抑制剤、免疫刺激性剤、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗生物質または制吐薬を含み得る。場合によって、細胞組成物は、対象へと、骨髄移植、フルダラビンなどの化学療法剤、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミド、またはOKT3もしくはCAMPATHなどの抗体を使用するT細胞除去療法と共に(例えば、これらの前に、これらと同時に、またはこれらの後で)投与することができる。場合によって、拡大された細胞は、手術の前に投与することもでき、手術の後で投与することもできる。手術は、場合によって腫瘍切除であり得る。手術を行って、TILを単離することができる。
【0203】
本出願を手に取れば、当業者は、投与のための細胞の治療有効量を決定することができる。場合によって、細胞約5×1010個を、対象へと投与する。場合によって、細胞約5×1010個は、対象へと投与される細胞の量の中央値を表す。一部の実施形態では、細胞約5×1010個は、対象において、治療応答をもたらすのに必要である。一部の実施形態では、細胞少なくとも約1×106個、細胞少なくとも約2×106個、細胞少なくとも約3×106個、細胞少なくとも約4×106個、細胞少なくとも約5×106個、細胞少なくとも約6×106個、細胞少なくとも約6×106個、細胞少なくとも約8×106個、細胞少なくとも約9×106個、細胞1×107個、細胞少なくとも約2×107個、細胞少なくとも約3×107個、細胞少なくとも約4×107個、細胞少なくとも約5×107個、細胞少なくとも約6×107個、細胞少なくとも約6×107個、細胞少なくとも約8×107個、細胞少なくとも約9×107個、細胞少なくとも約1×108個、細胞少なくとも約2×108個、細胞少なくとも約3×108個、細胞少なくとも約4×108個、細胞少なくとも約5×108個、細胞少なくとも約6×108個、細胞少なくとも約6×108個、細胞少なくとも約8×108個、細胞少なくとも約9×108個、細胞少なくとも約1×109個、細胞少なくとも約2×109個、細胞少なくとも約3×109個、細胞少なくとも約4×109個、細胞少なくとも約5×109個、細胞少なくとも約6×109個、細胞少なくとも約6×109個、細胞少なくとも約8×109個、細胞少なくとも約9×109個、細胞少なくとも約1×1010個、細胞少なくとも約2×1010個、細胞少なくとも約3×1010個、細胞少なくとも約4×1010個、細胞少なくとも約5×1010個、細胞少なくとも約6×1010個、細胞少なくとも約6×1010個、細胞少なくとも約8×1010個、細胞少なくとも約9×1010個、細胞少なくとも約1×1011個、細胞少なくとも約2×1011個、細胞少なくとも約3×1011個、細胞少なくとも約4×1011個、細胞少なくとも約5×1011個、細胞少なくとも約6×1011個、細胞少なくとも約6×1011個、細胞少なくとも約8×1011個、細胞少なくとも約9×1011個、または細胞少なくとも約1×1012個を、対象へと投与する。例えば、細胞約5×1010個を、対象へと投与することができる。別の例では、細胞3×106個で始めて、細胞を、細胞約5×1010個へと拡大し、対象へと投与することができる。場合によって、細胞は、治療に十分な数へと拡大する。例えば、細胞5×107個は急速な拡大を経て、治療的使用に十分な数を作製することができる。場合によって、治療的使用に十分な数は、5×1010個であり得る。任意の数の細胞を、治療的使用のために注入することができる。例えば、患者に、端点を含む、1×106~5×1012個の間の数の細胞を注入することができる。患者に、患者のために作製し得るのみの数の細胞を注入することができる。場合によって、患者へと注入される細胞は、全てが操作細胞であるわけではない。例えば、患者へと注入される細胞のうちの、少なくとも90%は、操作細胞であり得る。他の場合には、患者へと注入される細胞のうちの、少なくとも40%は、操作細胞であり得る。患者において治療的に有効であるのに必要な細胞の量は、細胞の生存率と、細胞を遺伝子改変した効率とに応じて変動し得る。場合によって、遺伝子改変後における細胞の生存率の積(例えば、乗算の結果)は、対象への投与に利用可能な細胞の治療用アリコートに対応し得る。場合によって、遺伝子改変後における細胞生存率の増大は、患者において治療的に有効な投与に必要な細胞の量の減少に対応し得る。
【0204】
場合によって、方法は、対象へと、対象において治療的応答をもたらすのに必要な量の操作細胞を計算および/または投与するステップを含み得る。一部の実施形態では、治療的応答をもたらすのに必要な操作細胞の量の計算は、操作細胞の生存率の決定を含む。一部の実施形態では、対象において治療的応答をもたらすために、対象へと投与される細胞は、生細胞である。一部の実施形態では、対象において治療的応答をもたらすために、細胞のうちの、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約65%、少なくとも約60%、少なくとも約55%、少なくとも約50%、少なくとも約45%、少なくとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約20%、少なくとも約15%、少なくとも約10%は、生細胞である。一部の実施形態では、対象において治療的応答をもたらすために、細胞のうちの、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約65%、少なくとも約60%、少なくとも約55%、少なくとも約50%、少なくとも約45%、少なくとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約20%、少なくとも約15%、少なくとも約10%は、細胞のゲノムにおける1つまたは複数の内因性遺伝子またはその部分が破壊されている。
【0205】
場合によって、養子移植された細胞は、定量的PCR(qPCR)によってモニタリングすることができる。養子移植された細胞のqPCRアッセイは、導入後に対象中に存在する修飾された細胞のレベルを示すことができる。場合によって、養子移入された細胞は、フローサイトメトリーを使用してモニタリングすることができる。例えば、フローサイトメトリーアッセイは、4-1BB vs TCRのレベルを決定することができる。場合によって、単一細胞TCR PCRを行うことができる。養子移入された細胞のレベルは、注入後40日目に同定することができる。修飾された細胞など、養子移入された細胞のレベルは、注入後5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195日目または最大200日目に同定することができる。
【0206】
I.免疫刺激薬
場合によって、免疫刺激薬を細胞または対象に導入することができる。免疫刺激薬は、特異的または非特異的であり得る。特異的免疫刺激薬は、ワクチンまたは抗原など、抗原特異性を提供することができる。非特異的免疫刺激薬は、免疫応答を強化する、または免疫応答を刺激することができる。非特異的免疫刺激薬は、アジュバントであり得る。免疫刺激薬は、ワクチン、コロニー刺激剤、インターフェロン、インターロイキン、ウイルス、抗原、共刺激剤、免疫原性薬剤、免疫モジュレーターまたは免疫療法剤であり得る。免疫刺激薬は、インターロイキンなどのサイトカインであり得る。1または複数のサイトカインは、本発明の細胞と共に導入することができる。サイトカインは、細胞傷害性Tリンパ球(養子移入させる腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球を含む)をブーストして、腫瘍微小環境内で拡大するのに用いることができる。場合によって、IL-2を使用して、本明細書で記載される細胞の拡大を容易とすることができる。IL-15などのサイトカインもまた、利用することができる。IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、またはこれらの任意の組合せなど、免疫療法の分野において妥当である、他のサイトカインもまた、用いることができる。場合によって、IL-2、IL-7および、IL-15を使用して、本発明の細胞を培養する。インターロイキンは、IL-2またはアルデスロイキン(aldeskeukin)であり得る。アルデスロイキンは、低用量または高用量で投与することができる。高用量アルデスロイキンレジメンは、寛容性を示す限り、最大約14用量、約0.037mg/kg(600,000IU/kg)で、8時間ごとにアルデスロイキンを静脈内投与することを伴い得る。免疫刺激薬(例えば、アルデスロイキン)は、細胞投与後24時間以内に投与することができる。免疫刺激薬(例えば、アルデスロイキン)は、細胞注入後最大約4日間、約8時間ごとの約15分間にわたる注入として投与することができる。免疫刺激薬(例えば、アルデスロイキン)は、約100,000IU/kg、200,000IU/kg、300,000IU/kg、400,000IU/kg、500,000IU/kg、600,000IU/kg、700,000IU/kg、800,000IU/kg、900,000IU/kgまたは最大約1,000,000IU/kgの用量で投与することができる。場合によって、アルデスロイキンは、約100,000IU/kg~300,000IU/kg、300,000IU/kg~500,000IU/kg、500,000IU/kg~700,000IU/kg、700,000IU/kg~約1,000,000IU/kgの用量で投与することができる。免疫刺激薬(例えば、アルデスロイキン)は、1用量~約14用量で投与することができる。免疫刺激薬(例えば、アルデスロイキン)は、少なくとも約1用量、2用量、3用量、4用量、5用量、6用量、7用量、8用量、9用量、10用量、11用量、12用量、13用量、14用量、15用量、16用量、17用量、18用量、19用量または最大約20用量で投与することができる。場合によって、アルデスロイキンなどの免疫刺激薬は、約1用量~3用量、3用量~5用量、5用量~8用量、8用量~10用量、10用量~14用量、14用量~20用量で投与することができる。場合によって、アルデスロイキン(aldeskeukin)は、20用量を超えて投与される。場合によって、アルデスロイキンなどの免疫刺激薬は、細胞投与と逐次または同時に投与することができる。例えば、免疫刺激薬は、約-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13日目または最大約14日目に投与することができる。場合によって、アルデスロイキンなどの免疫刺激薬は、細胞集団の投与後0日目~4日目に投与される。場合によって、免疫刺激薬(例えば、アルデスロイキン)は、約10分間、15分間、20分間、30分間、40分間、50分間、1時間、2時間または最大約3時間の期間にわたって投与される。場合によって、免疫刺激薬(例えば、アルデスロイキン)は、操作細胞投与の約24時間前~操作細胞投与の約4日後に投与することができる。免疫刺激薬(例えば、アルデスロイキン)は、操作細胞の投与後-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19日目または最大約20日目に投与することができる。
【0207】
アルデスロイキンなどの免疫刺激薬は、約0.17mg一塩基性および0.89mg二塩基性リン酸ナトリウムでpHが7.5(範囲7.2~7.8)となるように緩衝された、滅菌の白色からオフホワイトの凍結乾燥ケーキとしての2千2百万IU(-1.3mg)IL-2、プラス、50mgマンニトールおよび0.18mgドデシル硫酸ナトリウムを含有する使い捨て用バイアルとして提供することができる。このバイアルは、1.2mLの注射用滅菌水、USPで復元することができ、その結果としての濃度は、千8百万IU/mlまたは1.1mg/mLである。希釈剤は、バイアルの側面に向けて注いで、過剰な起泡を回避するべきである。バイアルは、保存剤を含有しないため、復元された溶液は、24時間以内に使用するべきである。復元されたアルデスロイキンは、50mLの5%ヒト血清アルブミン(HSA)でさらに希釈することができる。RIL-2の添加の前に、HSAを希釈剤に添加するべきである。1000倍範囲を上回る復元された溶液の希釈(すなわち、1mg/mLから1mcg/mL)は、ガラスボトルまたはポリ塩化ビニルバッグのいずれかにおいて許容される。アルデスロイキンは、冷蔵および室温、2℃~30℃において48時間、化学的に安定である。アルデスロイキンの投与は、総体重に基づき計算することができる。アルデスロイキンの最終希釈物を15分間にわたって注入することができる。
【0208】
場合によって、免疫刺激薬は、コロニー刺激因子である。コロニー刺激因子は、G-CSF(フィルグラスチム)であり得る。フィルグラスチムは、300mcg/mlおよび480ug/1.6mlバイアルで保存することができる。フィルグラスチムは、皮下注射として毎日投与することができる。フィルグラスチム投与は、約5mcg/kg/日からであり得る。フィルグラスチム投与は、約1mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約2mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約3mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約4mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約5mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約6mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約7mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約8mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約9mcg/kg/日からであり得、フィルグラスチム投与は、約10mcg/kg/日からであり得る。場合によって、フィルグラスチムは、約0.5mcg/kg/日~約1.0mcg/kg/日、約1.0mcg/kg/日~1.5mcg/kg/日、約1.5mcg/kg/日~約2.0mcg/kg/日、約2.0mcg/kg/日~約3.0mcg/kg/日、約2.5mcg/kg/日~約3.5mcg/kg/日、約3.5mcg/kg/日~約4.0mcg/kg/日、約4.0mcg/kg/日~約4.5mcg/kg/日に及ぶ用量で投与することができる。フィルグラスチム投与は、好中球数が少なくとも約1.0×109/L×3日間または少なくとも約5.0×109/Lになるまで毎日続けることができる。フィルグラスチムなどの免疫刺激薬は、操作細胞の投与後-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19日目または最大約20日目に投与することができる。
【0209】
II.化学療法剤
化学療法剤または化合物は、がんの処置において有用な化合物であり得る。開示されるT細胞と組み合わせて使用され得るがん化学療法剤は、有糸分裂インヒビター(ビンカアルカロイド)を含むがこれらに限定されない。これらは、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびNavelbine(商標)(ビノレルビン、5’-ノルアンヒドロブラスチン(noranhydroblastine))を含む。さらに他の場合には、がん化学療法剤は、カンプトテシン化合物などのトポイソメラーゼIインヒビターを含む。本明細書で使用される「カンプトテシン化合物」は、Camptosar(商標)(イリノテカンHCL)、Hycamtin(商標)(トポテカンHCL)、ならびにカンプトテシンおよびその類似体に由来する他の化合物を含む。本明細書で開示される方法および組成物において使用され得るがん化学療法剤の別の類別は、エトポシド、テニポシド、およびミトポドジド(mitopodozide)などのポドフィロトキシン誘導体である。本開示はさらに、アルキル化剤として公知の、他のがん化学療法剤であって、腫瘍細胞内の遺伝子素材をアルキル化するがん化学療法剤も包含する。これらは、限定なしに、シスプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、トリメチレンチオホスホルアミド、カルムスチン、ブスルファン、クロラムブシル、ベルスチン(belustine)、ウラシルマスタード、クロマファジン(chlomaphazin)、およびダカルバジンを含む。本開示は、化学療法剤としての代謝拮抗剤を包含する。これらの種類の薬剤の例は、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、アザチオプリン(azathioprime)、およびプロカルバジンを含む。本明細書で開示される方法および組成物において使用され得るがん化学療法剤のさらなる類別は、抗生物質を含む。例は、限定なしに、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、マイトマイシン(mytomycin)C、およびダウノマイシンを含む。これらの化合物のために、多数のリポソーム製剤が市販されている。本開示はさらに、限定なしに、抗腫瘍抗体、ダカルバジン、アザシチジン、アムサクリン、メルファラン、イホスファミド、およびミトキサントロンを含む、他のがん化学療法剤も包含する。
【0210】
本明細書で開示されるT細胞は、細胞傷害剤/抗新生物剤および抗血管新生剤を含む、他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与することができる。細胞傷害剤/抗新生物剤は、がん細胞を攻撃し、死滅させる薬剤と規定することができる。一部の細胞傷害剤/抗新生物剤は、腫瘍細胞内の遺伝子素材をアルキル化するアルキル化剤、例えば、シスプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、トリメチレンチオホスホルアミド、カルムスチン、ブスルファン、クロラムブシル、ベルスチン、ウラシルマスタード、クロマファジン、およびダカルバジン(dacabazine)であり得る。他の細胞傷害剤/抗新生物剤は、腫瘍細胞のための代謝拮抗剤、例えば、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、アザチオプリン、およびプロカルバジンであり得る。他の細胞傷害剤/抗新生物剤は、抗生物質、例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、マイトマイシンC、およびダウノマイシンであり得る。これらの化合物のために、多数のリポソーム製剤が市販されている。さらに他の細胞傷害剤/抗新生物剤は、有糸分裂インヒビター(ビンカアルカロイド)であり得る。これらは、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびエトポシドを含む。種々の細胞傷害剤/抗新生物剤は、タキソールおよびその誘導体、L-アスパラギナーゼ、抗腫瘍抗体、ダカルバジン、アザシチジン、アムサクリン、メルファラン、VM-26、イホスファミド、ミトキサントロン、およびビンデシンを含む。
【0211】
抗血管新生剤もまた、使用することができる。開示される方法および組成物における使用に適する抗血管新生剤は、ヒト化抗体およびキメラ抗体を含む抗VEGF抗体、抗VEGFアプタマー、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。他の血管新生インヒビターは、アンジオスタチン、エンドスタチン、インターフェロン、インターロイキン1(αおよびβを含む)、インターロイキン12、レチノイン酸、ならびにTIMP-1およびTIMP-2(tissue inhibitors of metalloproteinase-1およびtissue inhibitors of metalloproteinase-2)を含む。抗血管新生活性を伴うトポイソメラーゼIIインヒビターである、ラゾキサンなどのトポイソメラーゼインヒビターを含む低分子もまた使用することができる。
【0212】
開示される操作細胞と組み合わせて使用され得る他の抗がん剤は、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール(acodazole)塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン(ambomycin);アメタントロン(ametantrone)酢酸塩;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アバスチン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット;ベンゾデパ(benzodepa);ビカルタミド;ビサントレン(bisantrene)塩酸塩;ビスナフィドジメシレート(bisnafide dimesylate);ビセレシン;ブレオマイシン硫酸塩;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン(cactinomycin);カルステロン(calusterone);カラセミド(caracemide);カルベチマー(carbetimer);カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼレシン(carzelesin);セデフィンゴール(cedefingol);クロラムブシル;シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール(crisnatol);シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン(dexormaplatin);デザ(deza)グアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジコン(diaziquone);ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン(droloxifene);ドロロキシフェンクエン酸塩;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン(duazomycin);エダトレキサート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミトルシン(elsamitrucin);エンロプラチン(enloplatin);エンプロメート(enpromate);エピプロピジン(epipropidine);エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール(erbulozole);エソルビシン(esorubicin)塩酸塩;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸エステルナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;エトポシドリン酸塩;エトプリン(etoprine);ファドロゾール塩酸塩;ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド;フロクスウリジン;フルダラビンリン酸エステル;フルオロウラシル;フルロシタビン(flurocitabine);フォスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシ尿素;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモフォシン(ilmofosine);インターロイキンII(組換えインターロイキンIIまたはrIL2を含む)、インターフェロンアルファ-2a;インターフェロンアルファ-2b;インターフェロンアルファ-n1;インターフェロンアルファ-n3;インターフェロンベータ-Ia;インターフェロンガンマ-Ib;イプロプラチン(iproplatin);イリノテカン塩酸塩;ランレオチド酢酸塩;レトロゾール;ロイプロリド酢酸塩;リアロゾール(liarozole)塩酸塩;ロメトレキソール(lometrexol)ナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン(losoxantrone)塩酸塩;マソプロコール;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;メゲストロール酢酸塩;メレンゲストロール酢酸エステル;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン(metoprine);メツレデパ(meturedepa);ミチンドミド(mitindomide);マイトカルシン(mitocarcin);マイトクロミン(mitocromin);マイトギリン(mitogillin);マイトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;マイトスペル(mitosper);ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン(ormaplatin);オキシスラン(oxisuran);パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン(pentamustine);ペプロマイシン硫酸塩;ペルホスファミド(perfosfamide);ピポブロマン;ピポスルファン(piposulfan);ピロキサントロン(piroxantrone)塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン(plomestane);ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;リボプリン(riboprine);ログレチミド(rogletimide);サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチン;シムトラゼン(simtrazene);スパルホセート(sparfosate)ナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム塩酸塩;スピロムスチン(spiromustine);スピロプラチン(spiroplatin);ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル(sulofenur);タリソマイシン(talisomycin);テコガラン(tecogalan)ナトリウム;テガフール;テロキサントロン(teloxantrone)塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン(teroxirone);テストラクトン;チアミプリン(thiamiprine);チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トレミフェンクエン酸塩;酢酸トレストロン(trestolone);リン酸トリシリビン(triciribine);トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;ツブロゾール(tubulozole)塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ(uredepa);バプレオチド(vapreotide);ベルテポルフィン;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビンデシン;ビンデシン硫酸塩;ビネピジン(vinepidine)硫酸塩;硫酸ビングリシネート(vinglycinate);硫酸ビンレウロシン(vinleurosine);ビノレルビン酒石酸塩;硫酸ビンロシジン(vinrosidine);ビンゾリジン(vinzolidine)硫酸塩;ボロゾール;ゼニプラチン(zeniplatin);ジノスタチン;ゾルビシン塩酸塩を含むがこれらに限定されない。他の抗がん薬は、20-epi-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン(ambamustine);アミドックス(amidox);アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド(andrographolide);血管新生インヒビター;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス(antarelix);ADMP(anti-dorsalizing morphogenetic protein)-1;前立腺癌用の抗アンドロゲン;抗エストロゲン;抗ネオプラストン(antineoplaston);アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節剤;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン(atamestane);アトリムスチン(atrimustine);アキシナスタチン(axinastatin)1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ-アレチン(alethine);ベータクラマイシン(betaclamycin)B;ベツリン酸;bFGFインヒビター;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド;ビストラテン(bistratene)A;ビゼレシン;ブレフレート(breflate);ブロピリミン;ブドチタン(budotitane);ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポックスIL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキサミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来インヒビター;カルゼレシン;カゼインキナーゼインヒビター(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン;クロロキノキサリン(chloroquinoxaline)スルホンアミド;シカプロスト;cis-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシン(collismycin)A;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン(conagenin);クランベシジン(crambescidin)816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシン(curacin)A;シクロペントアントラキノン(cyclopentanthraquinone);シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスフェート(ocfosfate);細胞溶解因子;サイトスタチン(cytostatin);ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン(deslorelin);デキサメタゾン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デキスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジドックス(didox);ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジヒドロタキソール;ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン(ecomustine);エデルフォシン(edelfosine);エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン(elemene);エミテフル(emitefur);エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;エトポシドリン酸塩;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン(flezelastine);フルアステロン(fluasterone);フルダラビン;フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin)塩酸塩;フォルフェニメックス(forfenimex);ホルメスタン;フォストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン(texaphyrin);硝酸ガリウム;ガロシタビン(galocitabine);ガニレリックス;ゼラチナーゼインヒビター;ゲムシタビン;グルタチオンインヒビター;ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン(idramantone);イルモフォシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子1受容体インヒビター;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン(iobenguane);ヨードドキソルビシン;4-イポメアノール(ipomeanol);イロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリド(kahalalide)F;ラメラリン(lamellarin)-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン(leinamycin);レノグラスチム;レンチナン硫酸塩;レプトルスタチン(leptolstatin);レトロゾール;白血病阻害性因子;白血球アルファインターフェロン;ロイポロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミソール;リアロゾール;直鎖状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン;ロンブリシン(lombricine);ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン(lysofylline);溶解性ペプチド;メイタンシン(maitansine);マンノスタチン(mannostatin)A;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシンインヒビター;マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター;メノガリル;メルバロン;メテレリン(meterelin);メチオニナーゼ(methioninase);メトクロプラミド;MIFインヒビター;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミト
ナフィド(mitonafide);マイトトキシン(mitotoxin)である線維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン(mofarotene);モルグラモスチム;ヒト絨毛性ゴナドトロピンに対するモノクローナル抗体;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子インヒビター;multiple tumor suppressor 1ベースの治療;マスタード系抗がん剤;ミカペロキシド(mycaperoxide)B;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N-アセチルジナリン(dinaline);N-置換ベンザミド;ナファレリン;ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン(naphterpin);ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸(neridronic acid);中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン(nisamycin);一酸化窒素モジュレーター;窒素酸化物による抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン(okicenone);オリゴヌクレオチド;オナプリストン(onapristone);オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン(oracin);経口サイトカイン誘導因子;オルマプラチン;オサテロン(osaterone);オキサリプラチン;オキサウノマイシン(oxaunomycin);パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin);パミドロン酸;パナキシトリオール(panaxytriol);パノミフェン(panomifene);パラバクチン(parabactin);パゼリプチン(pazelliptine);ペガスパルガーゼ;ペルデシン(peldesine);ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン(phenazinomycin);酢酸フェニル;ホスファターゼインヒビター;ピシバニール;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチン(placetin)A;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター;白金複合体;白金化合物;白金-トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソームインヒビター;プロテインAベースの免疫モジュレーター;プロテインキナーゼCインヒビター;小型藻類のプロテインキナーゼCインヒビター;プロテインチロシンホスファターゼインヒビター;プリンヌクレオシドホスホリラーゼインヒビター;プルプリン(purpurin);ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化(pyridoxylated)ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター;rasインヒビター;ras-GAPインヒビター;脱メチル化レテリプチン(retelliptine);レニウム(Re 186)エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド;ロキニメックス;ルビジノン(rubiginone)B1;ルボキシル(ruboxyl);サフィンゴール;サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトール(sarcophytol)A;サルグラモスチム;Sdi1模倣体;セムスチン;老齢由来インヒビター1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達インヒビター;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗原結合性タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテート(borocaptate)ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合性タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルホス酸(sparfosic acid);スピカマイシン(spicamycin)D;スピロムスチン;スプレノペンチン(splenopentin);スポンギスタチン(spongistatin)1;スクアラミン;幹細胞インヒビター;幹細胞分裂インヒビター;スチピアミド(stipiamide);ストロメリシンインヒビター;スルフィノシン(sulfinosine);過活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(suradista);スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン(tallimustine);タモキシフェンメチオジド(methiodide);タウロムスチン(tauromustine);タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム(tellurapyrylium);
テロメラーゼインヒビター;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン(tetrazomine);タリブラスチン(thaliblastine);チロコラリン(thiocoraline);トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣体;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン(thymotrinan);甲状腺刺激性ホルモン;エチルエチオプルプリンすず;チラパザミン;チタノセンジクロリド;トプセンチン(topsentin);トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳インヒビター;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド(turosteride);チロシンキナーゼインヒビター;チルホスチン;UBCインヒビター;ウベニメクス;尿生殖器洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリン(variolin)B;赤血球遺伝子治療;ベラレソール(velaresol);ベラミン(veramine);ベルジン(verdin);ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン(vinxaltine);ビタキシン(vitaxin);ボロゾール;ザノテロン(zanoterone);ゼニプラチン;ジラスコルブ(zilascorb);およびジノスタチンスチマラマー(stimalamer)を含むがこれらに限定されない。上述の化学療法薬のいずれかを、臨床有効用量で投与してもよい。化学療法薬は、細胞集団の投与後約-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13日目または最大約14日目に投与することもできる。場合によって、対象は、化学療法薬に対して非応答性の不応性がんを有することがある。
【0213】
III.抗真菌剤
場合によって、抗真菌薬療法が、操作細胞を受ける対象に投与される。抗真菌薬は、真菌を死滅させるまたはその増殖を防止することができる薬物であり得る。抗真菌剤の標的は、ステロール生合成、DNA生合成およびβ-グルカン生合成を含み得る。抗真菌薬は、葉酸合成インヒビターまたは核酸架橋剤であり得る。葉酸合成インヒビターは、サルファに基づく薬物であり得る。例えば、葉酸合成インヒビターは、真菌の葉酸合成を阻害する薬剤または競合的インヒビターであり得る。サルファに基づく薬物または葉酸合成インヒビターは、メトトレキサートまたはスルファメトキサゾール(sulfamethaxazole)であり得る。場合によって、抗真菌薬は、核酸架橋剤であり得る。架橋剤は、真菌におけるDNAまたはRNAの過程を阻害することができる。例えば、架橋剤は、シトシンのフッ化アナログとなり得る5-フルオロシトシンであり得る。5-フルオロシトシンは、5-フルオロウラシルへの細胞質内変換によりDNAおよびRNA合成の両方を阻害することができる。他の抗真菌剤は、グリセオフルビンであり得る。グリセオフルビンは、Penicillium griseofulvumによって産生される抗真菌抗生物質である。グリセオフルビンは、真菌における有糸分裂を阻害し、架橋剤と考えられ得る。追加的な架橋剤は、アリルアミン(ナフチフィンおよびテルビナフィン)であり得、これは、スクアレンエポキシダーゼのレベルでエルゴステロール合成を阻害する;ある種のモルフォレン(morpholene)誘導体(アモロルフィン)は、エルゴステロール経路におけるその後のステップを阻害する。
【0214】
場合によって、抗真菌剤は、ポリエン、アゾール、アリルアミンまたはエキノキャンディンのクラスに由来し得る。一部の実施形態では、ポリエン抗真菌薬は、アンホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン(hamycin)、ナタマイシン、ニスタチンまたはリモシジン(rimocidin)である。場合によって、抗真菌薬は、アゾールファミリーに由来し得る。アゾール抗真菌薬は、ラノステロール14α-デメチラーゼを阻害することができる。アゾール抗真菌薬は、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール(sulcoazole)またはチオコナゾールなどのイミダゾールであり得る。アゾール抗真菌薬は、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、フルコナゾール、イサブボナゾール(isavuvonazole)、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾールまたはボリコナゾールなどのトリアゾールであり得る。場合によって、アゾールは、アバファンギン(abafungin)などのチアゾールであり得る。抗真菌薬は、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィンまたはテルビナフィンなどのアリルアミンであり得る。抗真菌薬はまた、アニデュラファンギン、カスポファンギンまたはミカファンギンなどのエキノキャンディンであり得る。抗真菌薬となり得る追加的な薬剤は、オーロン、安息香酸、シクロピロクス、フルシトシン、グリセオフルビン、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレン酸、クリスタル(cystal)バイオレットまたはペルーのバルサムであり得る。
【0215】
当業者であれば、個体に感染している真菌に基づき、いずれの公知の抗真菌薬物療法を適用すべきか適切に決定することができる。場合によって、対象は、CISHなどの遺伝子の少なくとも一部のゲノムノックアウトを含む操作TILと組み合わせたフルコナゾールを受けるであろう。抗真菌薬療法は、予防的に(prophalaytically)投与することができる。
【0216】
フルコナゾールは、200mg錠剤において利用することができる。場合によって、フルコナゾールは、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mgまたは最大約400mg錠剤として投与することができる。経口調製物に寛容を示すことができない対象におけるIV投与のため、フルコナゾールは、2MG/ML注射用溶液に入れられる。これは、200mg/時間の最大IV速度で投与されるべきである。場合によって、注入速度は、約50mg/時間~約500mg/時間であり得る。注入速度はまた、約20mg/時間~約30mg/時間、約30mg/時間~約40mg/時間、約40mg/時間~約50mg/時間、約50mg/時間~約60mg/時間、約60mg/時間~約70mg/時間、約70mg/時間~約80mg/時間、約80mg/時間~約90mg/時間、約90mg/時間~約100mg/時間、約100mg/時間~約120mg/時間、約120mg/時間~約140mg/時間、約140mg/時間~約160mg/時間、約160mg/時間~約180mg/時間、約180mg/時間~約200mg/時間、約180mg/時間~約220mg/時間、約220mg/時間~約240mg/時間、約240mg/時間~約275mg/時間であり得る。
【0217】
抗真菌薬は、治療有効用量で投与することができる。治療有効用量は、真菌感染症を処置または防止するが、がんの処置に有効ではない用量である。例えば、フルコナゾールなどの抗真菌薬は、約10mg~約1000mgで投与することができる。フルコナゾールは、約10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mgまたは最大約1000mgで投与することができる。フルコナゾールは、400mgで投与することができる。場合によって、抗真菌薬投与は、細胞療法の前、細胞療法の最中、または細胞療法が投与された後であり得る。例えば、フルコナゾール投与は、細胞療法の投与後約0日目(細胞療法が対象に導入される日)~約4日目であり得る。抗真菌薬は、細胞療法投与までの約14日間前から細胞療法が完了してから約14日後に投与することができる。抗真菌薬は、約-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13日目または最大約14日目に投与することができる。
【0218】
IV.免疫抑制剤
場合によって、対象は、治療レジメンの一部として免疫抑制剤を受けることができる。免疫抑制剤は、放射線療法剤、生物剤または化学薬剤を指し得る。場合によって、免疫抑制剤は、化学薬剤を含み得る。例えば、化学薬剤は、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、フルダラビン、ニトロソウレア、白金、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミスラマイシンからなる群由来の少なくとも1つのメンバーを含み得る。化学薬剤は、シクロホスファミドまたはフルダラビンであり得る。
【0219】
その上、免疫抑制剤は、グルココルチコイド、細胞分裂阻害薬、抗体、抗イムノフィリンまたはこれらの任意の誘導体を含み得る。グルココルチコイドは、アレルギー応答、炎症および自己免疫性状態を抑制することができる。グルココルチコイドは、プレドニゾン、デキサメタゾンおよびヒドロコルチゾンであり得る。免疫抑制療法は、免疫系を抑制する任意の処置を含み得る。免疫抑制療法は、レシピエントにおける移植片拒絶を軽減するか、最小化するか、または消失させる一助となりうる。例えば、免疫抑制療法は、免疫抑制薬を含み得る。移植前、移植時、および/または移植後に使用され得る免疫抑制薬は、MMF(ミコフェノール酸モフェチル(Cellcept))、ATG(抗胸腺細胞グロブリン)、抗CD154(CD4OL)、抗CD40(2C10、ASKP1240、CCFZ533X2201)、アレムツズマブ(Campath)、抗CD20(リツキシマブ)、抗IL-6R抗体(トシリズマブ、Actemra)、抗IL-6抗体(サリルマブ、オロキズマブ(olokizumab))、CTLA4-Ig(Abatacept/Orencia)、ベラタセプト(LEA29Y)、シロリムス(Rapimune)、エベロリムス、タクロリムス(Prograf)、ダクリズマブ(Ze-napax)、バシリキシマブ(Simulect)、インフリキシマブ(Remicade)、シクロスポリン、デオキシスパガリン、可溶性補体受容体1、コブラ毒因子、コンプスタチン、抗C5抗体(エクリズマブ/Soliris)、メチルプレドニゾロン、FTY720、エベロリムス、レフルノミド、抗IL-2R-Ab、ラパマイシン、抗CXCR3抗体、抗ICOS抗体、抗OX40抗体、および抗CD122抗体を含むがこれらに限定されない。さらに、1つまたは1つを超える免疫抑制剤/薬物を、併せて使用することもでき、逐次的に使用することもできる。1つまたは1つを超える免疫抑制剤/薬物は、誘導療法のために使用することもでき、維持療法のために使用することもできる。同じ薬物または異なる薬物を、誘導期に使用することもでき、維持期に使用することもできる。場合によって、ダクリズマブ(Zenapax)は、誘導療法のために使用することができ、タクロリムス(Prograf)およびシロリムス(Rapimune)は、維持療法のために使用することができる。ダクリズマブ(Zenapax)はまた、誘導療法のために使用することができ、低用量タクロリムス(Prograf)および低用量シロリムス(Rapimune)は、維持療法のために使用することができる。免疫抑制はまた、全身放射線照射、胸腺放射線照射、ならびに脾臓全摘出および/または脾臓部分摘出を含むがこれらに限定されない非薬物レジメンを使用して達成することもできる。
【0220】
場合によって、細胞分裂インヒビターを免疫抑制のために投与することができる。細胞分裂インヒビターは、細胞分裂を阻害することができる。細胞分裂インヒビターは、プリンアナログであり得る。細胞分裂インヒビターは、アルキル化剤や、メトトレキサート、アザチオプリンまたはメルカプトプリンなどの代謝拮抗薬であり得る。細胞分裂インヒビターは、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、フルダラビン、ニトロソウレア、白金、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミスラマイシンのうちの少なくとも1つであり得る。
【0221】
場合によって、フルダラビンなどの免疫抑制剤は、処置レジメンの一部として投与することができる。フルダラビンリン酸塩は、糖部分が、リボースまたはデオキシリボースの代わりにアラビノースであり得るという点において、生理的ヌクレオシドとは異なる合成プリンヌクレオシドであり得る。フルダラビンは、プリンアンタゴニスト代謝拮抗薬であり得る。フルダラビンは、50mgバイアル内に、白色の凍結乾燥した固体ケーキの形態のフルダラビンリン酸塩粉末として供給することができる。25mg/mlの濃度へと2mLの注射用滅菌水により復元した後に、溶液は、7.7のpHを有し得る。フルダラビン粉末は、2~8℃で少なくとも18カ月間安定であり得る;復元された場合、フルダラビンは、室温で少なくとも16日間安定である。保存剤は存在しないため、復元されたフルダラビンは、典型的に、8時間以内に投与されるであろう。特異的適合性情報については専門的な参考文献を閲覧するべきである。フルダラビンは、血清中で脱リン酸化され、細胞内輸送され、ヌクレオチドフルダラビン三リン酸に変換され得る;この2-フルオロ-ara-ATP分子は、薬物の細胞傷害性効果に要求されると考えられる。フルダラビンは、DNAポリメラーゼ、リボヌクレオチドリダクターゼ、DNAプライマーゼを阻害し、鎖伸長ならびにRNAおよびタンパク質合成に干渉し得る。フルダラビンは、15~30分間にわたる100mlの0.9%塩化ナトリウム、USPにおけるIV注入として投与することができる。用量は、体表面積(BSA)に基づくであろう。患者が肥満である場合(BMI>35)、薬物投与量は、実際の体重を使用して計算されるであろう。場合によって、フルダラビンなどの免疫抑制剤は、対象の体表面積の約20mg/m2~約30mg/m2で投与することができる。場合によって、フルダラビンなどの免疫抑制剤は、対象の体表面積の約5mg/m2~約10mg/m2、対象の体表面積の約10mg/m2~約15mg/m2、対象の体表面積の約15mg/m2~約20mg/m2、対象の体表面積の約20mg/m2~約25mg/m2、対象の体表面積の約25mg/m2~約30mg/m2、対象の体表面積の約30mg/m2~約40mg/m2で投与することができる。場合によって、フルダラビンなどの免疫抑制剤は、対象の体表面積の約1mg/m2、2mg/m2、3mg/m2、4mg/m2、5mg/m2、6mg/m2、7mg/m2、8mg/m2、9mg/m2、10mg/m2、11mg/m2、12mg/m2、13mg/m2、14mg/m2、15mg/m2、16mg/m2、17mg/m2、18mg/m2、19mg/m2、20mg/m2、21mg/m2、22mg/m2、23mg/m2、24mg/m2、25mg/m2、26mg/m2、27mg/m2、28mg/m2、29mg/m2、30mg/m2、31mg/m2、32mg/m2、33mg/m2、34mg/m2、35mg/m2、36mg/m2、37mg/m2、38mg/m2、39mg/m2、40mg/m2、41mg/m2、42mg/m2、43mg/m2、44mg/m2、45mg/m2、46mg/m2、47mg/m2、48mg/m2、49mg/m2、50mg/m2、51mg/m2、52mg/m2、53mg/m2、54mg/m2、55mg/m2、56mg/m2、57mg/m2、58mg/m2、59mg/m2、60mg/m2、61mg/m2、62mg/m2、63mg/m2、64mg/m2、65mg/m2、66mg/m2、67mg/m2、68mg/m2、69mg/m2、70mg/m2、71mg/m2、72mg/m2、73mg/m2、74mg/m2、75mg/m2、76mg/m2、77mg/m2、78mg/m2、79mg/m2、80mg/m2、81mg/m2、82mg/m2、83mg/m2、84mg/m2、85mg/m2、86mg/m2、87mg/m2、88mg/m2、89mg/m2、90mg/m2、91mg/m2、92mg/m2、93mg/m2、94mg/m2、95mg/m2、96mg/m2、97mg/m2、98mg/m2、99mg/m2、最大約100mg/m2で投与することができる。場合によって、フルダラビンなどの免疫抑制剤は、100mlの0.9%塩化ナトリウム、USPにおける25mg/m2の用量であり、約15~約30分間にわたって注入される。
【0222】
場合によって、シクロホスファミドなどの免疫抑制剤は、処置レジメンの一部として投与することができる。シクロホスファミドは、窒素マスタード誘導体アルキル化剤であり得る。肝臓における活性代謝物への変換後に、シクロホスファミドは、アルキル化(alkyating)剤として機能する;この薬物も、強力な免疫抑制活性を有する。IV投与後の血清半減期は、3~12時間に及ぶ;薬物および/またはその代謝物は、投与後最大72時間、血清中で検出することができる。指示通りの注射用滅菌水による復元後に、シクロホスファミドは、室温で24時間、または2~8℃で維持された場合は6日間、安定であり得る。シクロホスファミドは、250ml D5Wに希釈し、1時間にわたって注入することができる。用量は、対象の体重に基づくであろう。対象が肥満である場合(BMI>35)、薬物投与量は、記載通り、実際の体重を使用して計算されるであろう。場合によって、シクロホスファミドなどの免疫抑制剤は、約1mg/kg~約3mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、20mg/kg~約30mg/kg、約30mg/kg~約40mg/kg、約40mg/kg~約50mg/kg、約50mg/kg~約60mg/kg、約60mg/kg~約70mg/kg、約70mg/kg~約80mg/kg、約80mg/kg~約90mg/kg、約90mg/kg~約100mg/kgで投与することができる。場合によって、シクロホスファミドなどの免疫抑制剤は、対象の50mg/kgを超えて投与される。場合によって、シクロホスファミドなどの免疫抑制剤は、対象の約1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、32mg/kg、33mg/kg、34mg/kg、35mg/kg、36mg/kg、37mg/kg、38mg/kg、39mg/kg、40mg/kg、41mg/kg、42mg/kg、43mg/kg、44mg/kg、45mg/kg、46mg/kg、47mg/kg、48mg/kg、49mg/kg、50mg/kg、51mg/kg、52mg/kg、53mg/kg、54mg/kg、55mg/kg、56mg/kg、57mg/kg、58mg/kg、59mg/kg、60mg/kg、61mg/kg、62mg/kg、63mg/kg、64mg/kg、65mg/kg、66mg/kg、67mg/kg、68mg/kg、69mg/kg、70mg/kg、71mg/kg、72mg/kg、73mg/kg、74mg/kg、75mg/kg、76mg/kg、77mg/kg、78mg/kg、79mg/kg、80mg/kg、81mg/kg、82mg/kg、83mg/kg、84mg/kg、85mg/kg、86mg/kg、87mg/kg、88mg/kg、89mg/kg、90mg/kg、91mg/kg、92mg/kg、93mg/kg、94mg/kg、95mg/kg、96mg/kg、97mg/kg、98mg/kg、99mg/kg、最大約100mg/kgで投与することができる。場合によって、シクロホスファミドなどの免疫抑制剤は、少なくとも約1日間~約3日間、3日間~5日間、5日間~7日間、7日間~約10日間、10日間~14日間、14日間~約20日間にわたって投与することができる。場合によって、シクロホスファミドは、約60mg/kgの用量であり得、250mlの5%デキストロース水溶液に希釈され、1時間にわたって注入される。
【0223】
免疫抑制剤は、例えば、シクロホスファミドおよびフルダラビンのレジメンであり得る。例えば、シクロホスファミド・フルダラビンレジメンは、操作細胞療法を受ける対象に投与することができる。シクロホスファミド・フルダラビンレジメンは、60mg/kg qdを2日間、および25mg/m2 qdを5日間のレジメンで投与することができる。化学療法薬レジメン、例えば、シクロホスファミド・フルダラビンは、本発明の操作細胞の投与に1時間~14日間先行して投与することができる。化学療法レジメンは、異なる用量で投与することができる。例えば、対象は、より高い初回用量に続いてより低い用量を受けることができる。対象は、より低い初回用量に続いてより高い用量を受けることができる。
【0224】
場合によって、免疫抑制剤は、抗体であり得る。抗体は、治療有効用量で投与することができる。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。投与され得るポリクローナル抗体は、抗リンパ球または抗胸腺細胞抗原であり得る。モノクローナル抗体は、抗IL-2受容体抗体、抗CD25抗体または抗CD3抗体であり得る。抗CD20抗体を使用することもできる。CD20と反応する薬剤、例えば、リツキサンなどのB細胞除去療法を免疫抑制剤として使用することもできる。
【0225】
免疫抑制薬は、抗イムノフィリンであり得る。抗イムノフィリンは、シクロスポリン、タクロリムス、エベロリムスまたはシロリムスであり得る。追加的な免疫抑制剤は、IFN-ベータなどのインターフェロン、オピオイド(opiod)、抗TNF結合剤、ミコフェノール酸塩またはフィンゴリモドであり得る。
【0226】
免疫抑制剤はまた、放射線療法を指し得る。放射線療法は、放射線照射を含み得る。全身放射線照射は、12Gyで投与することができる。放射線量は、健康な組織を含む全身への12Gyの累積線量を含み得る。放射線量は、5Gy~20Gyを含み得る。放射線量は、5Gy、6Gy、7Gy、8Gy、9Gy、10Gy、11Gy、12Gy、13Gy、14Gy、15Gy、16Gy、17Gy、18Gy、19Gyまたは最大20Gyであり得る。放射線照射は、全身放射線照射または部分放射線照射であり得る。放射線照射が全身放射線照射である場合、照射は均一であっても均一でなくてもよい。例えば、放射線照射が均一ではなくてよい場合、頸部などのより狭い身体領域は、殿部などのより広い領域よりも高い線量を受けることができる。例えば、一実施形態では、対象は、高用量化学療法による標準的な処置に続き、末梢血幹細胞移植を経る場合がある。ある特定の実施形態では、移植後、対象は、本発明の拡大された免疫細胞の注入を受ける。患者に投与されるべき上述の処置の投与量は、処置されている状態および処置レシピエントの正確な性質により変動するであろう。ヒト投与のための投与量の縮尺調整は、当技術分野で認容されている実務に従って行うことができる。CAMPATHの用量は、例えば一般に、成人患者では、1~30日間の間の期間、通常毎日投与される、1~約100mgの範囲内となるであろう。好まれる1日用量は、1日当たり1~10mgであるが、一部の場合には、より大用量の1日当たり最大40mgを使用することができる(米国特許第6,120,766号に記載)。
【0227】
V.抗生物質
抗生物質は、治療レジメンの一部として対象に投与することができる。抗生物質は、治療有効用量で投与することができる。抗生物質は、細菌を死滅させるまたはその増殖を阻害することができる。抗生物質は、広範囲の細菌をターゲティングすることができる広域性抗生物質であり得る。広域性抗生物質は、第3または第4世代のいずれであれ、セファロスポリンまたはキノロンであり得る。
【0228】
抗生物質は、特異的な種類の細菌をターゲティングすることができる狭域性抗生物質であり得る。抗生物質は、ペニシリンおよびセファロスポリンなどの細菌細胞壁をターゲティングすることができる。抗生物質は、ポリミキシンなどの細胞膜をターゲティングすることができる。抗生物質は、抗生物質:リファマイシン、リピアルマイシン(lipiarmycin)、キノロンおよびスルホンアミドなどの必須細菌酵素に干渉し得る。抗生物質はまた、マクロライド、リンコサミドおよびテトラサイクリンなどのタンパク質合成インヒビターであり得る。抗生物質はまた、ダプトマイシンなどの環状リポペプチド、チゲサイクリンなどのグリシルサイクリン(glycylcycline)、リネゾリドなどのオキサゾリジノン(oxazolidione)、およびフィダキソマイシンなどのリピアルマイシンであり得る。
【0229】
場合によって、抗生物質は、第1世代、第2世代、第3世代、第4世代または第5世代であり得る。第1世代抗生物質は、狭域性を有し得る。第1世代抗生物質の例は、ペニシリン(ペニシリンGまたはペニシリンV)、セファロスポリン(セファゾリン(Cephazolin)、セファロチン、セファピリン、セファレチン(Cephalethin)、セフラジンまたはセファドロキシン(Cephadroxin))であり得る。場合によって、抗生物質は、第2世代であり得る。第2世代抗生物質は、ペニシリン(アモキシシリンまたはアンピシリン)、セファロスポリン(セフロキシム、セファマンドール(Cephamandole)、セフォキシチン(Cephoxitin)、セファクロル(Cephaclor)、セフロジル(Cephrozil)、ロラカルベフ)であり得る。場合によって、抗生物質は、第3世代であり得る。第3世代抗生物質は、ペニシリン(カルベニシリンおよびチカルシリン)またはセファロスポリン(セフィキシム(Cephixime)、セフトリアキソン(Cephtriaxone)、セフォタキシム(Cephotaxime)、セフチゾキシム(Cephtizoxime)およびセフタジジム(Cephtazidime))であり得る。抗生物質はまた、第4世代抗生物質であり得る。第4世代抗生物質は、セフィピム(Cephipime)であり得る。抗生物質はまた、第5世代であり得る。第5世代抗生物質は、セフタロリン(Cephtaroline)またはセフトビプロール(Cephtobiprole)であり得る。
【0230】
場合によって、抗生物質は、細菌壁標的剤、細胞膜標的剤、細菌酵素干渉剤、殺菌剤、タンパク質合成インヒビターまたは静菌剤であり得る。細菌壁標的剤は、ペニシリン誘導体(ペナム系(penams))、セファロスポリン(セフェム系)、モノバクタムおよびカルバペネムであり得る。β-ラクタム抗生物質は、殺菌性または静菌性であり、細菌細胞壁のペプチドグリカン層の合成を阻害することにより作用する。場合によって、抗生物質は、タンパク質合成インヒビターであり得る。タンパク質合成インヒビターは、細菌が細胞壁を作製するのに必要とされる酵素トランスペプチダーゼの不可逆的インヒビターとして作用するアンピシリンであり得る。これは、二分裂における細菌細胞壁合成の第3および最終ステージを阻害し、これにより、最終的に細胞溶解がもたらされる;したがって、アンピシリンは通常、溶菌性である。場合によって、殺菌剤は、セファロスポリンまたはキノロンであり得る。他の場合には、静菌剤は、トリメトプリム、スルファメトキサゾールまたはペンタミジンである。
【0231】
場合によって、PCP肺炎の防止のための薬剤を投与することができる。例えば、トリメトプリムおよびスルファメトキサゾールを投与して、肺炎を防止することができる。トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール(TMP/SMX;例示的なサルファ薬物)の用量は、第1の用量の化学療法の際にまたはその後に、非連続日で1日1錠剤PO、1週間に3回であり得、これを少なくとも約6カ月間、少なくとも2回の連続した実験室研究においてCD4計数が200を超えるまで続ける。場合によって、トリメトプリムは、160mgで投与することができる。トリメトプリムは、約100~約300mgで投与することができる。トリメトプリムは、約100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mgまたは最大約300mgで投与することができる。場合によって、スルファメトキサゾールは、800mgで投与される。スルファメトキサゾールは、約500mg~約1000mgで投与することができる。スルファメトキサゾールは、約500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mgまたは最大約1000mgで投与することができる。場合によって、TMP/SMXレジメンは、治療有効量で投与することができる。TMP/SMXは、1日に約1×~約10×投与することができる。TMP/SMXは、1日に1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、16×、17×、18×、19×または最大約20×投与することができる。場合によって、TMP/SMXは、週ごとの基盤で投与することができる。例えば、TMP/SMXは、1週間に1×、2×、3×、4×、5×、6×または最大約7×投与することができる。TMP/SMXレジメンは、TILなどの細胞療法の投与後約-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13日目または最大約14日目に投与することができる。
【0232】
前記静菌剤が、TILの約8日前~前記TILの少なくとも4日後に投与される、請求項37~48のいずれか一項に記載の方法。
【0233】
場合によって、サルファアレルギーを有する対象は、ペンタミジンを受けることができる。ペンタミジンは、エアロゾルによって投与することができる。入院前の1週間以内のネブライザー当たりペンタミジン300mg、これを2回の連続した追跡実験室研究においてCD4計数が200を上回るまで、また、化学療法後少なくとも6カ月間、毎月続けた。ペンタミジンを使用して、PCP感染症の出現を防止することができる。これは、凍結乾燥粉末の300mgバイアル内に供給することができ、ネブライザーにより投与されるであろう。ペンタミジンは、約300mg~約500mgで投与することができる。場合によって、ペンタミジン(petamidine)は、約100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mgまたは最大約800mgで投与することができる。
【0234】
場合によって、抗生物質などの静菌剤は、TILの前に、前記TILと同時に、または前記TILの後に投与することができる。場合によって、静菌剤は、前記TILの投与の約14日前~前記TILの前記投与の約6カ月後に投与することができる。
【0235】
VI.抗ウイルス剤
【0236】
場合によって、抗ウイルス剤は、処置レジメンの一部として投与することができる。場合によって、ヘルペスウイルス予防法は、処置レジメンの一部として対象に投与することができる。ヘルペスウイルス予防法は、バラシクロビル(バルトレックス)であり得る。バルトレックスを経口使用して、陽性HSV血清学を有する対象におけるヘルペスウイルス感染症の出現を防止することができる。これは、500mg錠剤中に供給することができる。バラシクロビルは、治療有効量で投与することができる。例えば、バラシクロビルは、約50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mgまたは最大約700mg錠剤で投与することができる。対象が、経口摂取に寛容を示すことができる場合、バラシクロビルは、毎日経口500mgの用量で、フルダラビンの最後の用量の翌日に開始することができる。抗ウイルス療法は、TIL療法などの細胞療法の投与後約-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13日目または最大約14日目に投与することができる。
【0237】
場合によって、対象は、ヘルペスの予防法のための経口薬物療法を服用できない場合がある。そのような場合、アシクロビルを投与することができる。アシクロビルは、500mg/バイアルの注射用粉末として供給することができる。場合によって、アシクロビルは、治療有効量で投与することができる。アシクロビルは、約50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mgまたは最大約700mgで経口投与することができる。アシクロビルは、1日当たり1×、2×、3×、4×、5×、6×または最大約7×投与することができる。アシクロビルは、TIL療法などの細胞療法の投与後約-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13日目または最大約14日目に投与することができる。場合によって、アシクロビルは、静脈内投与することができる。例えば、アシクロビルは、1mg/kg~約3mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、20mg/kg~約30mg/kg、約30mg/kg~約40mg/kg、約40mg/kg~約50mg/kg、約50mg/kg~約60mg/kg、約60mg/kg~約70mg/kg、約70mg/kg~約80mg/kg、約80mg/kg~約90mg/kg、約90mg/kg~約100mg/kgで投与することができる。場合によって、アシクロビルは、50mg/kgを超えて投与される。アシクロビルは、50mg/mLの濃度となるよう10mLの注射用滅菌水に復元することができる。復元された溶液は、12時間以内に使用するべきである。IV溶液は、7mg/mLまたはそれに満たない濃度となるよう希釈し、1時間にわたって注入して、腎損傷を回避することができる。
【0238】
疾患パラメーター
場合によって、疾患のレベルは、処置レジメンまたは細胞投与と逐次または同時に決定することができる。標的病変における疾患のレベルは、次に挙げるものとして測定することができる:完全奏効(CR):全標的病変の消失、部分奏効(PR):ベースライン和LDを参照として活用した、標的病変の最長直径(LD)の和の少なくとも30%低下、進行(PD):処置開始から記録された最小和LDを参照として活用した、標的病変のLDの和の少なくとも20%増大、または1つもしくは複数の新たな病変の出現、安定疾患(SD):最小和LDを参照として活用した、PRと認定するのに十分な縮小も、PDと認定するのに十分な増大もなし。他の場合には、非標的病変を測定することができる。非標的病変の疾患のレベルは、次に挙げるものであり得る:完全奏効(CR):全非標的病変の消失および腫瘍マーカーレベルの正常化、非完全奏効:1つまたは複数の非標的病変の持続、進行(PD):1つまたは複数の新たな病変の出現。現存する非標的病変の明解な進行。
【0239】
場合によって、処置レジメンおよび細胞投与を受ける対象は、最良の全応答について評価することができる。最良の全応答は、処置開始から疾患進行/再発まで記録された最良の応答であり得る(処置開始から記録された最小測定値を、進行性疾患のための参照として活用)。対象の最良の応答割り当ては、測定および確認判断基準の両方の達成に依存することができる。進行までの時間は、ランダム化の日付から測定することができる。
【表7】
【0240】
PRまたはCRの状態を割り当てるため、腫瘍測定値の変化は、応答のための判断基準が最初に満たされてから少なくとも約4週間後に行われるべき反復研究によって確認される必要がある。SDの場合、追跡測定値は、6~8週間の最小間隔で研究参加後に少なくとも1回SD判断基準を満たしている必要がある。場合によって、全応答の持続時間は、CR/PR(どちらが最初に記録されたとしても)のための測定判断基準が満たされた時間から、再発性または進行性疾患が客観的に記述された最初の日付まで測定することができる(処置開始から記録された最小測定値を、進行性疾患のための参照として活用)。全完全奏効の持続時間は、CRのための測定判断基準が最初に満たされた時間から、再発性疾患が客観的に記述された最初の日付まで測定することができる。安定疾患は、処置開始から記録された最小測定値を参照として活用して、処置開始から、進行のための判断基準が満たされるまで測定することができる。
【0241】
場合によって、測定可能疾患を撮影し、定規またはノギスを使用して計量記号で記録することができる。全ベースライン評価は、処置の初めに対して可能な限り密接に行うことができる。病変は、表在性であり(例えば、皮膚小結節および触知できるリンパ節)、ノギスを使用して直径が少なくとも約10mmを超える場合、測定可能と考えることができる。場合によって、カラー写真を撮影することができる。
【0242】
他の場合には、コンピュータ断層撮影法スキャン(CT)または磁気共鳴画像法(MRI)を撮影することができる。CTは、5mmまたはそれに満たないスライス厚さで撮影することができる。CTスキャンが、5mmを超えるスライス厚さを有する場合、測定可能病変のための最小サイズは、スライス厚さの2倍となるべきである。場合によって、FDG-PETスキャンを使用することができる。FDG-PETを使用して、新たな病変を評価することができる。ベースライン時の陰性FDG-PETと、追跡時の陽性FDG-PETは、新たな病変に基づく進行性疾患(PD)の徴候である。ベースライン時のFDG-PETなし、および追跡時の陽性FDG-PET:追跡時の陽性FDG-PETが、CTによって確認される疾患の新たな部位に対応する場合、これはPDである。追跡時の陽性PDG-PETが、解剖的想像に基づいて進行していない可能性があるCTにおける既存の疾患部位に対応する場合、これはPDではない可能性がある。場合によって、FDG-PETを使用して、残存するX線試験異常が、線維症または瘢痕を表すと考えられる場合の生検と同様の様式で、CRに応答をアップグレードすることができる。陽性FDG-PETスキャン病変は、減衰補正された画像において周囲の組織の2倍を超えて取り込まれたFDG avidである病変を意味する。
【0243】
場合によって、病変の評価を行うことができる。完全奏効(CR)は、全標的病変の消失であり得る。任意の病理学的リンパ節(標的または非標的)は、短軸が10mm未満に減少していてよい。部分奏効(PR)は、直径のベースライン和を参照として活用した、標的病変の直径の和の少なくとも30%低下であり得る。進行性疾患(PD)は、最小和を参照として活用した、標的病変の直径の和の少なくとも20%増大であり得る。20%の相対的増大に加えて、和は、少なくとも5mmの絶対的増大を実証する必要もある。安定疾患(SD)は、直径の最小和を参照として活用した、PRと認定する(quality)のに十分な縮小も、PDと認定するのに十分な増大もなしであり得る。
【0244】
場合によって、非標的病変を評価することができる。非標的病変の完全奏効は、腫瘍マーカーレベルの消失および正常化であり得る。全リンパ節は、サイズが非病理学的である必要がある(10mm未満の短軸)。腫瘍マーカーは、最初に正常値の上限を上回る場合、完全臨床応答と考えられるべき患者に対して正規化する必要がある。非CR/非PDは、1つもしくは複数の非標的病変の持続、および/または正常値の限界を上回る腫瘍マーカーレベルの維持である。進行性疾患は、1つもしくは複数の新たな病変の出現、および/または現存する非標的病変の明解な進行であり得る。明解な進行は正常に標的病変状態より勝るべきではない。
【0245】
場合によって、最良の全応答は、処置開始から疾患進行/再発までに記録された最良の応答であり得る。
【0246】
毒性判断基準
場合によって、処置レジメンまたは細胞投与に対する毒性を決定することができる。毒性決定は、処置レジメンの毒性、免疫性効果および抗腫瘍有効性を包含することができる。毒性研究は、毒性および有害事象報告のためのCTCAEバージョン3.0を用いることができる。操作細胞の注入に特に関係する初期毒性(細胞注入の直後およびアルデスロイキン投与前に見られる毒性)は一般に軽度であり、発熱、悪寒、頭痛および倦怠感を含み得る。アルデスロイキンの投与後に発生するが、操作細胞投与に関係すると考えられる毒性は、白斑、一過性ぶどう膜炎、難聴および前庭機能不全などの免疫媒介性事象を含み得る。細胞投与の前の骨髄非破壊的レジメンの使用は、対象において深刻な骨髄抑制が発生するため、処置の毒性を増大させることができる。場合によって、高用量アルデスロイキンの投与の標準手法は、グレード3または4事象が発生するまで投薬を続けることとなり得る。最も一般的に見られるグレード4事象は、肺および腎機能障害ならびに精神状態変化である。これらの毒性は、時に、対象の気道確保のために挿管を要求する場合がある。場合によって、致死的合併症が可能な場合があり、生命を脅かす転移性がんの文脈で処置を行うことが適切となり得る。
【0247】
場合によって、本明細書に記載されている処置レジメンまたは細胞生成物で処置される対象は、レジメンまたは細胞生成物に関連する有害事象を経験する可能性がある。事象が、処置に関係するまたは臨床的に有意であると考えられるか考えられないかにかかわらず、有害事象は、ヒトにおける薬物の使用に関連する処置経過において発生する任意の反応、副作用または都合が悪い事象であり得る。場合によって、有害事象は、対象によって報告される事象と共に、身体試験または実験室評価における臨床的に有意な異常所見を含み得る。新たな疾病、症状、徴候もしくは臨床的に有意な実験室異常、または既存の状態もしくは異常の悪化は、有害事象と考えることができる。実験室評価に関する臨床的に有意な異常所見を含むあらゆる有害事象は、重症度に関係なく、リンパ球減少症および脱毛症を除いて、グレード2またはそれ未満に消散するまで追跡されるであろう。有害事象が、グレード2またはそれ未満に消散することが予想されない場合、対象は、治療を終止することができる。
【0248】
場合によって、処置レジメンは、毒性低減剤と共に投与することができる。毒性低減剤は、発熱または嘔吐減少剤であり得る。例えば、メスナを投与して、悪心、嘔吐および下痢などの毒性を減少させることができる。
【0249】
メスナは、希釈された溶液(1~20mg/mL)であり得、冷蔵下で少なくとも24時間、物理的および化学的に安定であり得る。メスナは、室温で、D5Wにおいて48~72時間、D5W/0.45%NaClにおいて48~72時間、または0.9%NaClにおいて24時間、化学的に安定であり得る。メスナは、D5Wまたは0.9%NaClにおいて20mg(メスナ)/ml(液)未満のまたはこれに等しい濃度に希釈することができ、持続注入として静脈内投与することができる。患者が肥満である場合(BMI>35)、薬物投与量は、実際の体重を使用して計算されるであろう。
【0250】
他の場合には、追加的な支持薬物療法は、オンダンセトロン塩酸塩を含み得る。化学療法準備的レジメンにおいて、オンダンセトロン塩酸塩を使用して、悪心および嘔吐を制御することができる。これは、頭痛、眩暈、筋肉痛、眠気、倦怠感および脱力を引き起こすことができる。より一般的でない副作用は、胸痛、低血圧、そう痒症、便秘および尿閉を含む。他の場合には、フロセミドを投与することもできる。シクロホスファミドによる化学療法準備レジメンにおいて、フロセミドを使用して、尿量を増強することができる。有害効果は、眩暈、回転性めまい、錯感覚、脱力、起立性低血圧、光線過敏症、発疹およびそう痒を含む。
【0251】
投与方法
がんなどの状態を有する対象に治療レジメンを投与するための方法が本明細書に提供され得る。一部の場合には、細胞組成物(例えば、CISH破壊を有するTIL(自家TILを含む)などのTILを含む)は、単位剤形で提供することができる。細胞組成物(例えば、CISH破壊を有するTILなどのTIL(自家TILを含む)を含む)は、溶液に再懸濁し、注入として投与することができる。免疫刺激薬、免疫抑制薬、抗生物質、抗真菌薬、制吐薬、化学療法薬、放射線療法およびこれらの任意の組合せを含む処置レジメンも本明細書に提供され得る。上述のいずれかを含む処置レジメンを凍結乾燥し、水溶液(例えば、生理食塩水溶液)に復元することができる。一部の場合には、処置(例えば、TIL、例えば、CISH破壊を有するTIL(自家TILを含む)などの細胞処置)は、皮下注射、筋肉内注射、皮内注射、経皮的投与、静脈内(「i.v.」)投与、鼻腔内投与、リンパ内注射および経口投与から選択される経路によって投与される。一部の場合には、対象は、リンパ内マイクロカテーテルによってTILを含む細胞組成物を注入される。
【0252】
多くの薬物は、液体、カプセル、錠剤または咀嚼錠として経口投与することができる。経口経路は、最も簡便であり、通常最も安全で最も安価なため、最も高頻度で使用される経路である。しかし、薬物が典型的に消化管を通って移動する道のりのため、経口経路には限界がある。経口投与される薬物のため、吸収は、口および胃の中で始まることができる。しかし、大部分の薬物は通常、小腸から吸収される。薬物は、血流を経てその標的部位に輸送される前に、腸管壁を通過し、肝臓に移行する。腸管壁および肝臓は、多くの薬物を化学的に変更(代謝)し、血流に達する薬物の量を低下させる。したがって、これらの薬物は、静脈内注射される場合、同じ効果を生じるようにより少ない用量で与えられることが多い。
【0253】
皮下経路のため、皮膚直下の脂肪性組織中に針が挿入される。薬物は、注射された後に、小血管(毛細血管)内に移動し、血流によって運び出される。あるいは、薬物は、リンパ管を通って血流に達する。より大きい体積の薬物製品が必要とされる場合、筋肉内経路が、皮下経路よりも好まれる。筋肉は、皮膚および脂肪性組織の下に位置するため、より長い針が使用される。薬物は通常、上腕、大腿または臀部の筋肉内に注射される。薬物が血流中に吸収される速さは、一部には、筋肉への血液供給に依存する:血液供給が僅かであるほど、薬物が吸収されるのにかかる時間は長くなる。静脈内経路のため、針が静脈内に直接的に挿入される。薬物を含有する溶液は、単一用量でまたは持続注入によって与えることができる。注入のため、溶液は、重力によって(折り畳み式のプラスチック袋から)移動される、またはより一般的には、通常、前腕における静脈内に挿入された管(カテーテル)へと細い軟性チューブを通って注入ポンプによって移動される。場合によって、細胞または治療レジメンは、注入として投与される。注入は、ある期間にわたって行われ得る。例えば、注入は、約5分間~約5時間の期間にわたる細胞または治療レジメンの投与であり得る。注入は、約5分間、10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間または最大約5時間の期間にわたって行われ得る。
【0254】
一部の実施形態では、静脈内投与は、速くかつ十分に制御された様式で体全体に正確な用量を送達するのに使用される。これは、皮下または筋肉内注射によって与えた場合に疼痛および組織損傷を引き起こしかねない刺激性溶液にも使用される。特に、その者が肥満の場合、静脈への針またはカテーテル挿入は困難になり得るため、静脈内注射は、皮下または筋肉内注射よりも投与が困難になり得る。静脈内に与えた場合、薬物は、血流へと直ちに送達され、他の任意の経路によって与えた場合よりも速く効果を生じる傾向がある。結果的に、医療施術者は、静脈内注射を受ける人を、薬物が働いているまたは望まれない副作用を引き起こしている徴候について密接にモニタリングする。また、この経路によって与えられた薬物の効果は、より短い時間持続する傾向がある。したがって、一部の薬物は、持続注入によって与えて、その効果を一定に維持する必要がある。くも膜下腔内経路のため、下部脊椎における2つの椎骨の間、脊髄周りの間隙中に針が挿入される。次に、薬物は、脊柱管中に注射される。少量の局所麻酔薬が、多くの場合、注射部位を麻痺させるために使用される。薬物が、例えば、それらの構造の感染症を処置するために脳、脊髄、またはこれらを覆う組織の層(髄膜)における急速または局所効果の産生に必要とされる場合、この経路が使用される。
【0255】
口を通った吸入によって投与される薬物は、薬物が、気道(気管)を通過して、肺に入ることができるように、経鼻経路によって投与される液滴よりも小さい液滴へと微粒化することができる。薬物がどの程度深く肺内に進むかは、液滴のサイズに依存する。より小さい液滴はより深く進み、これにより、吸収される薬物の量が増大される。肺の内側で、薬物は、血流中に吸収される。皮膚に塗布される薬物は通常、その局所効果に使用されるため、乾癬、湿疹、皮膚感染症(ウイルス、細菌および真菌)、かゆみおよびドライスキンなどの表在性皮膚障害の処置に最も一般的に使用される。薬物は、不活性物質と混合される。不活性物質の整合性に依存して、製剤は、軟膏、クリーム、ローション、溶液、粉末またはゲルであり得る。
【0256】
場合によって、対象の体重に従って処置レジメンを投薬することができる。肥満(BMI>35)と決定された対象において、実際の体重が用いられることを必要とする場合がある。BMIは、次式によって計算される:BMI=体重(kg)/[身長(m)]2。
【0257】
理想体重は、男性については50kg+2.3*(60インチを超えるインチ数)として、または女性については45.5kg+2.3(60インチを超えるインチ数)として計算することができる。その理想体重の20%を超える対象に対して、調整された体重を計算することができる。調整された体重は、理想体重+(0.4×(実際の体重 - 理想体重))の和であり得る。場合によって、体表面積を用いて、投与量を計算することができる。体表面積(BSA)は、次式によって計算することができる:BSA(m2)=√身長(cm)*体重(kg)/3600。
【0258】
場合によって、細胞療法を含む医薬組成物は、単独で、または薬学的に許容される担体または賦形剤と併せて、任意の経路により投与され得、このような投与は、単回投与および複数回投与の両方で実行することができる。より特定すると、医薬組成物は、多様な薬学的に許容される不活性の担体であって、錠剤、カプセル、薬用ドロップ、トローチ、ハンド(hand)キャンディー、粉剤、スプレー、水性懸濁液、注射用溶液、エリキシル剤、シロップなどの形態の担体と組み合わせることができる。このような担体は、固体の希釈剤または充填剤、滅菌水性媒体、および多様な非毒性有機溶媒などを含む。さらに、このような経口医薬製剤は、このような目的で一般に利用される多様な種類の薬剤により、適切に甘味および/または芳香添加することができる。
【0259】
場合によって、治療レジメンは、担体または賦形剤と共に投与することができる。例示的な担体および賦形剤は、デキストロース、塩化ナトリウム、スクロース、ラクトース、セルロース、キシリトール、ソルビトール、マリトール(malitol)、ゼラチン、PEG、PVPおよびこれらの任意の組合せを含み得る。
【0260】
場合によって、デキストロースまたは塩化ナトリウムなどの賦形剤は、約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%または最大約15%のパーセントで存在することができる。
【0261】
レシピエントにおける疾患(例えば、消化器がんなどのがん)を処置する方法であって、操作細胞を含む1つまたは複数の細胞(臓器および/または組織を含む)をレシピエントに移植するステップを含む方法が、本明細書に記載されている。細胞内ゲノム移植によって調製された細胞を使用して、がんを処置することができる。一部の実施形態では、消化器がんを処置する方法は、a)腫瘍試料(例えば、消化器がんを有する対象由来の腫瘍試料)から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を得るステップと;b)変異反応性TILを同定するステップと;前記変異反応性TILにおいてCasヌクレアーゼにより内因性遺伝子またはその部分を破壊するステップとを含む。一部の実施形態では、腫瘍試料は、全エクソームシーケンシング、トランスクリプトームシーケンシングまたはそれらの組合せなどのシーケンシング解析にかけられる。一部の実施形態では、同定するステップは、変異を含むペプチド(例えば、25mer突然変異体ペプチドなどの約15mer変異体ペプチド~最大約30mer変異体ペプチド)をパルスした抗原提示細胞(APC)にTILを導入することを含む。一部の実施形態では、TILは、TILの反応性を決定するために、ペプチドを発現するAPCと接触される。ペプチドは、TILによってターゲティングされ得る腫瘍変異を含み得る。例えば、APCは、多数のペプチドを発現することができ、多数のペプチドの一部は、腫瘍反応性TILの同定に用いることができる腫瘍変異をコードする。腫瘍反応性を有するとして同定されるTILは、単離または精製され、ゲノム操作に用いられ得る。場合によって、腫瘍反応性TILは、CRISPR系によりゲノム的に操作することができる。CRISPR系を使用して、腫瘍反応性TILにおいてCISHなどの内因性遺伝子をノックアウトすることができる。CRISPR系を使用して、腫瘍反応性TILにおいてPD-1などの内因性遺伝子をノックアウトすることができる。一部の実施形態では、同定するステップは、変異を含むポリ核酸を電気穿孔した抗原提示細胞(APC)に前記TILを導入することを含む。一部の実施形態では、同定するステップは、IL-2、IFN-ガンマ、IL-6などのサイトカイン、脱顆粒、細胞増殖その他を検出することをさらに含む。
【実施例0262】
(実施例1)
各遺伝子部位において、二本鎖切断(DSB)誘導が最高度であるgRNAを同定する。ガイドRNAのデザインおよび構築:
遺伝子の所望の領域へのガイドRNA(gRNA)をデザインした。オフターゲット位置により決定される、最高のランク付け値に基づき、gRNAを作製するための複数のプライマー(表1に示す)を選び出した。gRNAは、オリゴヌクレオチド対:5’-CACCG-gRNA配列-3’および5’-AAAC-逆相補体gRNA配列-C-3’により注文した(オリゴヌクレオチド対の配列を、表1に列挙する)。
【表8-1】
【表8-2】
【0263】
標的配列クローニングプロトコールを使用して、gRNAを、併せてクローニングした。略述すると、以下のプロトコール:37℃で30分間、95℃で5分間、次いで、5℃/分で、25℃へと降下することにより、サーモサイクラー内で、T4 PNK(NEB)および10倍濃度のT4 Ligation Buffer(NEB)を使用して、オリゴヌクレオチド対を、併せてリン酸化およびアニールさせた。pENTR1-U6-Stuffer-gRNAベクターを、FastDigest BbsI(Fermentas)で消化し、FastAP(Fermentas)および10倍濃度のFast Digest Bufferを、ライゲーション反応のために使用した。T4 DNA Ligase and Buffer(NEB)を使用して、消化されたpENTR1ベクターを、前のステップによる、リン酸化およびアニールさせたオリゴ二重鎖(希釈率を1:200とする)と併せてライゲーションした。ライゲーション物を、室温で1時間にわたりインキュベートし、次いで、形質転換し、その後、GeneJET Plasmid Miniprep Kit(Thermo Scientific)を使用して、Miniprepした。プラスミドをシーケンシングして、適正な挿入を確認した。
【0264】
gRNAの検証
HEK293T細胞を、24ウェルプレート内、ウェル1つ当たりの細胞1×10
5個の密度で播種した。150uLのOpti-MEM培地を、1.5ugのgRNAプラスミド、1.5ugのCas9プラスミドと組み合わせた。別の150uLのOpti-MEM培地を、5uLのLipofectamine 2000 Transfection試薬(Invitrogen)と組み合わせた。溶液を、併せて組み合わせ、室温で15分間にわたりインキュベートした。DNA-脂質複合体を、滴下により、24ウェルプレートのウェルへと添加した。細胞を、37℃で3日間にわたりインキュベートし、GeneJET Genomic DNA Purification Kit(Thermo Scientific)を使用して、ゲノムDNAを回収した。gRNAの活性を、Surveyor消化、ゲル電気泳動、および密度測定により定量化した(
図61)(Guschin, D.Y.ら、「A Rapid and General Assay for Monitoring Endogenous Gene Modification」、Methods in Molecular Biology、649巻:247~256頁(2010年))。
【0265】
結果
異なるgRNA配列を一助とする、二本鎖切断(DSB)の創出におけるCas9の効率を、表9に列挙する。表9中の百分率数は、試料中の遺伝子改変のパーセントを指し示した。
【表9】
【0266】
5つ全ての被験標的遺伝子部位において、DSBを創出した。これらのうちで、CCR5、PD1、およびCTLA4が、最高のDSB効率をもたらした。本明細書で記載される方法と同じ方法を使用して、hRosa26を含む、他の標的遺伝子部位についても調べる。
【0267】
ドナー対照およびCas9のみによる対照と比較した、二本鎖切断のパーセントを列挙する。3つの代表的な標的遺伝子部位(すなわち、CCR5、PD1、およびCTLA4)について調べた。
【0268】
(実施例2)
GUIDE-Seqライブラリーの調製
ゲノムワイドとして公知のPD-1 gRNAのオフターゲット切断について検討するため、二本鎖切断(DSB)の不偏の同定が、シーケンシングまたはGUIDE-seqによって達成される。これは、CRISPR/Cas9によって作製されたDSBへの二本鎖オリゴヌクレオチドの捕捉に続いて次世代シーケンシングを使用して、遺伝子改変の場所を決定する方法である。
【0269】
固相可逆性固定化磁気ビーズ(Agencourt DNAdvance)を使用してヒトT細胞を単離し、Covaris S200装置により、末端修復され、Aテールである、平均長500bpへとせん断処理し、8ヌクレオチドのランダム分子指標が組み込まれた半機能的アダプターへとライゲーションした。標的濃縮のために、オリゴタグと相補的なプライマーによる、2ラウンドのネステッドアンカードPCRを使用した。末端修復サーモサイクラープログラム:12℃で15分間、37℃で15分間;72℃で15分間;4℃で保持する。
【0270】
ゲノムへとマッピングし戻されたGUIDE-Seqリードの開始部位は、DSBの位置特定を、数塩基対以内で可能とする。製造元の指示書に従い、Kapa Biosystems kit for Illumina Library Quantification kitを使用してライブラリーを定量化した。各試料について、qPCR試行により与えられる、1uL当たりの分子数についての平均値推定量を使用して、ライブラリーの総セットを、分子1.2×1010個をシーケンシングのために併せてプールされるライブラリーの数で除した分子数へと正規化した。これは、各試料についての分子ごとのインプットを与え、また、各試料について、容量ごとのインプットも与えた。リードは、GUIDE-Seqにより評価された切断型gRNAにより導かれる3つのRGNのオンターゲット部位およびオフターゲット部位にマッピングした。全ての場合に、標的部位配列は、x軸の左側のプロトスペーサー配列および右側のPAM配列を有する。Illumina Miseq Reagent Kit V2によるシーケンシングのための、Illumina製の標準的なプロトコールに従い、ライブラリーを変性させ、Miseqへとロードした(300サイクル(2×150bpのペアドエンド))。
【0271】
第2の実験では、PD-1 gRNAのGUIDE-Seq解析により、再現性のあるオフターゲット修飾が1つだけ明らかに示された。この部位は、予想される部位のディープシーケンシングによって検出された単一のオフターゲット位置と一致し、2つの手法間の相関性を裏付けている。したがって、オフターゲットのNGS解析は高感度かつ包括的である。PD-1のgRNAデザインは高度に特異的であり、ゲノムの不活性区画内に存在し、その修飾がいかなる有害効果ももたらさないと見込まれる検出可能なオフターゲット部位は1つのみであった。CISHのgRNAデザインは高度に特異的であり、測定可能なオフターゲット活性はなかった。
【0272】
(実施例3)
PD-1、CTLA-4、およびCISHをノックアウトするための、TILのゲノム操作
適切な腫瘍を、適格性の病期であるIIIc-IV期のがん患者から切除し、3~5mm2の小さな断片へと切り刻み、増殖培地および高用量(HD)IL-2を伴う培養プレートまたは小型培養フラスコに入れる。まず、TILを、この「前急速拡大プロトコール」(前REP)期中の3~5週間にわたり、少なくとも細胞50×106個へと拡大する。Neon Transfection System(100uL Kitまたは10ul Kit、Invitrogen、Life Technologies)を使用して、TILを電気穿孔する。TILをペレット化させ、T緩衝液で1回洗浄する。TILを、10ulのチップには、10uLのT緩衝液中の細胞2×105個の密度で再懸濁させ、100ulチップには、100ul T緩衝液中の細胞3×106個の密度で再懸濁させる。次いで、15ugのCas9 mRNA、ならびに10~50ugのPD-1、CTLA-4、およびCISH gRNA-RNA(100mclのチップ)を用いて、TILを、1400V、10ミリ秒間ずつ、3つのパルスで電気穿孔する。トランスフェクション後、TILを、抗生物質非含有培養培地中、細胞1000個/effectuLで播種し、5%のCO2中、30℃で24時間にわたりインキュベートする。回収の24時間後、TILを、抗生物質含有培地へと移し、5%のCO2中、37℃で培養することができる。
【0273】
次いで、PBMCフィーダー細胞およびIL-2の存在下で、抗CD3を使用して、TILを刺激することにより、細胞を、2週間にわたり、急速拡大プロトコール(REP)にかける。拡大されたTIL(ここでは、細胞数十億個)を洗浄し、プールし、患者へと注入し、1または2サイクルのHD IL-2療法を続ける。TILを移入させる前に、TILの存続を容易とするために、シクロホスファミド(Cy)およびフルダラビン(fludaribine)(Flu)を使用する準備レジメンであって、宿主リンパ球を一過性に枯渇させ、注入されるTILに「場所を空け」、サイトカインシンクおよび調節性T細胞を除去する準備レジメンで、患者を処置することができる。対象は、対象自身の修飾TIL細胞の注入を、30分間にわたり受け、処置から回復するまで、院内にとどまって、有害事象についてモニタリングされる。
図40Aおよび
図40Bは、2例の異なる対象のTILの細胞拡大を示す。
図41Aおよび
図41Bは、CRISPR系および抗PD-1ガイドを電気穿孔され、フィーダー細胞の添加を伴うか、またはフィーダー細胞の添加を伴わずに培養されたTILの細胞拡大を示す。
【0274】
(実施例4)
gRNAの修飾
修飾ガイドRNAのデザインおよび構築:
遺伝子の所望の領域へのガイドRNA(gRNA)をデザインした。オフターゲット位置により決定される、最高のランク付け値に基づき、複数のgRNA(表4に示す)を選び出した。PD-1、CTLA-4、およびCISHの遺伝子配列をターゲティングするgRNAを、2-O-メチル3ホスホロチオエート付加を含有するように修飾した(
図22および
図32)。
【0275】
(実施例5)
消化器がんのためのTIL療法の第I相臨床試験
評価可能な消化器がんを有する対象は、腫瘍性試料の切除を受けることになる。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を増殖および拡大させるであろう。複数の個々の断片または腫瘍浸潤リンパ球の複数の個々の培養物をex vivoで増殖させる。個々の培養物は別個に拡大し、十分な収率のTIL(細胞約108個)が各培養物から拡大されたら、TILを凍結保存し、免疫学的試験のためにアリコートを取る。元の腫瘍のアリコートをエクソームシーケンシングにかけ、可能な場合はトランスクリプトームシーケンシングにもかけて、対象の正常細胞と比較してがんに特有に存在する変異を同定する。in vitro機能性試験を使用して、同定された変異に対する反応性について、培養された各TIL調製物のアリコートを試験する。簡潔に述べると、12個の正常なアミノ酸に挟まれた変異ペプチドを中央に含む25量体ペプチドで対象の抗原提示細胞をパルスする。代替的に、全ての変異をコードするin vitro転写RNAを患者の抗原提示細胞に電気穿孔する。次いで、これらの技術の一方または両方を使用し、事前に凍結保存したTIL培養物を反応性について試験して、認識される正確な変異を同定する。次いで、個々のがん変異に対して高度の反応性を有する培養物に対して、CISH遺伝子のCRISPRノックアウトを行う。この手順では、最大で5つの異なる培養物を各患者から選択することができる。変異反応性が裏付けられた培養物は、「医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準」(GMP)を満たす細胞産生施設に送られ、ここで、CISH遺伝子をノックアウトするためにCRISPR技術が使用される。CISH遺伝子のノックアウトは、DNAシーケンシングに基づくTIDE(tracking of indels by decomposition)解析によって決定される。CISH遺伝子のノックアウトに成功した細胞集団は次いで、OKT3およびフィーダー細胞を用いて急速に拡大される。次いで、凍結保存されたリンパ球が患者の処置に用いられる。この臨床試験プロトコールの第1部では、1群当たり1名の対象を用い、対象1名当たりCISHノックアウト細胞109個から始まる用量漸増を開始する。個々の対象を半対数増分で処置し、細胞注入に起因してグレード2より高い毒性が見られた場合、その群をさらなる患者に拡大する。次の用量を用いる:1)細胞109個、2)細胞3×109個、3)細胞1010個、4)細胞3×1010個、5)細胞3×1010~2×1011個。患者には、リンパ球を枯渇させる(lymphodepleting)準備レジメンに続いて、操作細胞および高用量IL-2の注入を施す。細胞産物の投与から約4~6週間後、細胞の存続についてのほか、臨床応答についても患者を評価する。各患者には単一の処置コースのみを施し、患者を毎月追跡して、免疫学的研究のためにリンパ球および血清を回収する。
【0276】
不応性の転移性がん患者における、CISH遺伝子がノックアウトされた突然変異反応性のある自家リンパ球の投与の安全性を評価する。転移性がん患者における、標準的な非骨髄破壊性前処理レジメンと、CISH遺伝子がノックアウトされた変異反応性TILと、リンパ球を使用した高用量IL-2との奏効率のほか、転移性消化器がんを有する対象におけるCISHノックアウト変異反応性リンパ球の生存および存続も決定する。
【0277】
(実施例6)
マウスモデルにおけるCISHノックダウン
CD8+T細胞におけるCishの役割を調査するため、CD8+T細胞を野生型(WT)マウスまたはCish-/-pmel-1マウスから単離し、ペプチドでパルスしたC57BL/6マウス脾細胞で刺激し、in vitroの増殖およびサイトカイン産生について検討する。CD8+T細胞単離後のフローサイトメトリー解析は、CD8+T細胞の分化状態がCishの有無を問わず定常状態で変更なしのままであることを明らかに示す。in vitroにおけるプライミングの1週間後のCD8+T細胞の計数は、Cishの非存在下におけるT細胞が著しくより多いことを明らかに示す。アポトーシスの評価により、このin vitroにおけるT細胞拡大の増大が説明され得る。プライミングされたT細胞をTCRで刺激し、核染料の7-AADおよびアネキシンVで染色する。アネキシンVは、アポトーシス前の細胞の細胞表面でホスファチジルセリンに結合する。
【0278】
(実施例7)
Cish欠損症の黒色腫マウスモデル
Cish欠損CD8+T細胞のin vivoにおける機能的意義は、pmel-1黒色腫モデルを使用することにより決定することができる。Cishありまたはなしの黒色腫特異的pmel-1 T細胞を、確立されたB16黒色腫保有C57BL/6宿主に養子移入(ACT)し、蛍光標識した腫瘍細胞のIVISイメージングおよび移入された操作細胞のフローサイトメトリー解析により、腫瘍成長およびin vivoにおける存続について評価する。Cish欠損pmel-1 T細胞のACTは、WT T細胞と比較して、大きな定着腫瘍の著しく恒久的な退縮をもたらす。この顕著な退縮は生存率の改善ももたらし、Cish-/-T細胞のACTは、腫瘍保有マウスの生存期間を60日超にわたって延長させる。コンジェニックマーカーで標識された(congenically-marked)pmel-1 T細胞のACT後の処置マウスの逐次サンプリングは、WTの同腹仔から得られたT細胞と比較してCish欠損T細胞の明白な拡大および収縮遅延を明らかに示す。
【0279】
(実施例8)
Rag1-/-におけるCish欠損症の黒色腫マウスモデル
適応免疫系を欠いている腫瘍保有宿主を使用して、Cishが調節されたCD8+T細胞内因性のin vivo腫瘍殺滅を評価する。Cishありまたはなしの治療量以下の数のpmel-1 T細胞(2.5×105)を、ワクチン(1×107PFU)および外因性IL-2(2×104IU)の低減した投与と共に、「空の」Rag1-/-B16腫瘍保有宿主に養子移入し、次いで腫瘍成長を評価する。腫瘍特異的Cish欠損CD8+T細胞の治療量以下の投与により、触知できる腫瘍塊が50日超にわたって増悪しない長期の腫瘍の「維持」または退縮が期待されるが、WT CD8+T細胞でこれは期待されない。Cish-/-腫瘍特異的T細胞がそれらのin vivoでの機能的アビディティーの増大を維持するかどうかを決定する。この目的のために、コンジェニックマーカーで標識されたpmel-1 T細胞を移入の7日後に磁気ビーズによって脾細胞からex vivoで濃縮し、ペプチドでパルスした標的に対するIFN-γの放出について評価する。WT T細胞と比較して、ex vivoで刺激されたCish-/-T細胞の機能的アビディティーの著しい増大がもたらされ得る。この増強された機能的アビディティーの明らかな「維持」は、低レベルの抗原を典型的に発現する腫瘍をターゲティングする際に重要であり得る。Cish-/-腫瘍特異的T細胞は、CD8枯渇によりACTの35日後でも消失し、その後、長期の腫瘍特異性を評価するために腫瘍成長解析が行われる。
【0280】
(実施例9)
gRNA安全性解析
次世代ディープシーケンシングによってオフターゲット部位を評価するため、PD-1またはCISHをターゲティングするCRISPR/Cas9試薬をヒト末梢血由来T細胞に電気穿孔し、トランスフェクションの72時間後にゲノムDNAを採取した。ターゲティングされるT細胞のプールからPCRによって各部位を増幅させ(予想されるCas9切断部位の周囲の250ヌクレオチド)、Illumina Hi-Seq機を使用したディープシーケンシングにかけた。これにより、PCR産物プールの配列読み取りデータの驚くほど高深度な解析が可能になり、各オフターゲット部位の検出のために平均450,000の配列読み取りデータが利用可能であった。したがって、この方法を使用すれば、存在量の低いオフターゲット修飾でさえ容易に検出可能である。
【0281】
CRISPR/Cas9試薬をトランスフェクトしたT細胞の各オフターゲット部位のディープシーケンシングによる出力を、無処置のままにしたT細胞と比較して、CRISPRを媒介する修飾を経た部位を同定した。PD-1については、71の候補部位のうち1つのみが、無処置の対照細胞において観察されたものよりも高いオフターゲット修飾頻度の証拠を提示し(表10を参照されたい)、CISHについて解析した部位のうち、CRISPRを媒介する修飾の証拠を示したものはなかった(表11を参照されたい)。PD-1 gRNAについて明らかになったオフターゲット活性は、1%未満の破壊頻度を示しており、この部位は、公知のコーディング遺伝子のいずれにも含まれず、したがって、修飾された場合にT細胞機能に何の影響も及ぼさない可能性が高い、ゲノム内の配列にマッピングされる。
【0282】
(実施例10)
反応性TILの同定および単離
TILをがん病変から単離する。24個の個々のTIL培養物を、無関係のタンデムミニ遺伝子(TMG)RNAか、または全エクソームシーケンシングおよびトランスクリプトームシーケンシングによって同定された61種の変異をコードする、指し示されているTMG-MCSP構築物をトランスフェクトした自家樹状細胞と共培養した後、ELISPOTアッセイを実施する。ELISPOTアッセイにより決定されるIFN-γ産生、ならびに、無関係のTMG RNAもしくはTMG-MCSPをトランスフェクトした樹状細胞(DC)との共培養、またはTMG-MCSPによりコードされる突然変異した長いペプチドとの一晩のインキュベーションの後の、TIL培養物のCD8+および/またはCD4+T細胞における4-1BBまたはCD28発現のフローサイトメトリー解析。
【0283】
MCSPに対する反応性を示すTIL培養物のフローサイトメトリーに基づくTCR-Vβスペクトラタイピングを実施する。5’RACEおよびTCR-PCRによって決定される、濃縮されたTCR-Vβ集団のTCR-アルファ鎖配列およびベータ鎖配列を使用して、磁気ビーズに基づく抗MCSP TCR-Vβ集団の濃縮を実施する。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表11-1】
【表11-2】
【0284】
(実施例10)
転移性がん患者における、CRISPR/Cas9系を使用してCISHをコードする遺伝子を不活化させた腫瘍浸潤リンパ球の養子移入の第I/II相試験
目的:
主な目的は、1)不応性の転移性がん患者における、CISH遺伝子がノックアウトされた変異反応性のある自家リンパ球の投与の安全性を決定すること、および2)転移性がん患者における、標準的な非骨髄破壊性前処理レジメンと、CISH遺伝子がノックアウトされた変異反応性TILの投与と、高用量IL-2との奏効率を決定することである。二次的な目的は、転移性がん患者におけるCISHノックアウト変異反応性リンパ球の生存および存続を評価することである。
【0285】
適格性
18歳またはそれよりも上から70歳またはそれ未満の年齢の対象が適格である。対象は、標準的な化学療法に対して不応性である評価可能な転移性がんを有し、TILの調製のための外科的切除に適切な転移性がん病変を有し、高用量のアルデスロイキン投与に対する禁忌症を有せず、併存する主要な医学的疾病または何らかの形態の免疫不全を有しない。
【0286】
組み入れ基準
組み入れ基準は、TILの作製のために切除可能である病変が少なくとも1つある測定可能ながん黒色腫に加え、測定され得る他の1つの病変、および転移性がんの診断の確定を含む。直径1cm未満かつ無症候性である脳転移を3つまたはそれよりも少なく有する患者は適格である。患者が適格となるためには、定位的放射線手術で処置された病変は、処置後1カ月間にわたって臨床的に安定していなければならない。脳転移が外科的に切除された患者は適格である。少なくとも1つの標準的一次療法の後の進行性疾患:抗体レベルを低下させるための準備レジメンを患者が受ける時点で、抗がん免疫応答をもたらし得るこうした過去の抗体療法のうちのいずれからも6週間が経過している必要がある。過去にイピリムマブを受けたことがあり、GI毒性の記録がある患者は、正常な大腸内視鏡検査と正常な大腸生検を有していなければならない。患者は、18歳またはそれよりも上から70歳またはそれ未満であり、ECOG 0または1の臨床成績ステータスを有する。患者は3カ月超の平均余命を有する。いずれの性別の患者も、この研究への登録時から処置後最長4カ月にわたって、バースコントロールを実施する意思がなければならない。
【0287】
血清学
患者は、HIV抗体に対して血清陰性である。HIV血清陽性である患者は減少した免疫能を有し得るため、実験的処置に対する応答性が低く、その毒性に対する感受性がより高い。患者はB型肝炎抗原に対して血清陰性であり、C型肝炎抗体に対して血清陰性である。C型肝炎抗体試験が陽性である場合、患者はRT-PCRによる抗原の存在に関する試験を受け、HCV RNA陰性でなければならない。妊娠可能な女性は、妊娠検査結果が陰性でなければならない。
【0288】
血液学
フィルグラスチムの支援なしに絶対好中球数1000/mm3超、WBC≧3000/mm3、血小板数≧100,000/mm3、ヘモグロビン>8.0g/dl。
【0289】
化学
患者は、血清ALT/ASTが正常上限の2.5倍以下、血清クレアチニンが1.6mg/dl以下、そして総ビリルビンが1.5mg/dl以下でなければならない(総ビリルビンが3.0mg/dl未満でなければならないGilbert症候群患者を除く)。患者が準備レジメンを受ける時点で、過去の全身療法のいずれからも4週間超が経過しており、患者の毒性がグレード1またはそれ未満まで回復している(脱毛症または白斑などの毒性を除く)。患者は、過去の処置の後に進行性疾患を有する。全ての毒性がグレード1またはそれ未満まで回復している限り、患者は過去3週間以内に軽微な外科手技を受けていてもよい。抗体レベルを低下させるための準備レジメンを患者が受ける時点で、抗CTLA4抗体療法を含め、抗がん免疫応答をもたらし得る抗体療法のいずれの時からも、6週間が経過している。
【0290】
除外基準
妊娠中もしくは母乳育児中であるか、または何らかの形態の原発性免疫不全(例えば重症複合型免疫不全症)を有する妊娠可能な女性は除外される。併存する日和見感染症を有する患者は除外される。活動性の全身感染症(例えば、抗感染処置を要求するもの)、凝固障害、あるいは、ストレスタリウム試験もしくは同等の試験の陽性結果、心筋梗塞、心不整脈、閉塞性もしくは拘束性の肺疾患を根拠とする他の心血管系、呼吸器系、または免疫系の活動性の主要な医学的疾病を有する患者は除外される。全身性ステロイド療法を同時に受けている患者、シクロホスファミドもしくはフルダラビンに対する重度の即時過敏症反応の履歴がある患者、または冠血行再建もしくは虚血症状の履歴がある患者は除外される。患者は、45%またはそれ未満のLVEFの記録を有する。年齢>65歳であり、これらに限定されないが、心房細動、心室頻拍、第2度または第3度の心ブロックを含む、臨床的に有意な心房性不整脈および/または心室性不整脈を有する患者においては、試験が要求される。
【0291】
スクリーニング評価
化学療法レジメン開始前4週間以内:
体重、ECOG、およびバイタルサイン、および目の検査を含む、存在するあらゆる病変の正確なサイズおよび場所を詳細に記す全病歴聴取および身体検査を行う(注:患者の履歴は8週間以内に得ることができる)。疾患の状態を評価するための胸部X線、EKG、胸部、腹部、および骨盤のベースラインCT、ならびに脳MRI。患者の徴候および症状に基づいて臨床適応があれば、さらなるスキャンおよびX線を実施する。長期の喫煙歴(過去2年間に20パック/年の喫煙)または呼吸機能障害の症状がある患者の肺機能試験(注:処置の8週間以内に実施する)。60歳もしくはそれより上の患者、あるいは虚血性心疾患、胸部痛、またはこれらに限定されないが心房細動、心室頻拍、心ブロックを含む臨床的に有意な心房性不整脈および/または心室性不整脈の履歴を有する患者の心臓評価(ストレスタリウム、心エコー図、MUGAなど)。45%またはそれ未満のLVEFを有する患者は不適格となる。心リスク因子を呈する60歳未満の患者は、上述の心臓評価を受ける場合がある(例えば、糖尿病、高血圧、および肥満)(注:処置の8週間以内に実施され得る)。HIV抗体力価およびHbsAGの決定、ならびに抗HCV(化学療法開始日の3カ月以内に実施され得る)。抗CMV抗体力価、HSV血清学、およびEBVパネル(注、化学療法開始日の3カ月以内に実施され得る;上記のいずれかについて陽性であることが分かっている患者を再試験する必要はない)。
【0292】
化学療法レジメン開始前14日以内:
ベースライン血液検査、Chem 20:(ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩化物(Cl)、総CO2(炭酸水素)、クレアチニン、グルコース、尿素窒素(BUN)、アルブミン、総カルシウム、総マグネシウム(Mg)、無機リン、アルカリホスファターゼ、ALT/GPT、AST/GOT、総ビリルビン、直接ビリルビン、LD、総タンパク質、総CK、尿酸)、甲状腺パネル、白血球数(differential count)および血小板数を含むCBC、PT/PTT、尿検査および培養(適応がある場合)
【0293】
化学療法レジメン開始前7日以内:
妊娠可能でECOG成績ステータスが0または1の全ての女性のβ-HCG妊娠検査(血清または尿)
【0294】
研究デザイン
評価可能な転移性がんを有する患者は腫瘍の切除を受ける。
図42に示す手順に従って、腫瘍由来のリンパ球(TIL)を増殖および拡大させる。複数の個々の断片または腫瘍浸潤リンパ球の複数の個々の培養物を増殖させる。個々の培養物は別個に拡大し、十分な収率のTIL(細胞約10
8個)が各培養物から拡大されたら、TILを凍結保存し、免疫学的試験のためにアリコートを取る。元の腫瘍のアリコートをエクソームシーケンシングにかけ、可能な場合はトランスクリプトームシーケンシングにもかけて、正常細胞と比較してがんに特有に存在する変異を同定する。既に記載されている手法を使用して、これらの変異に対する反応性について、培養された各TIL調製物のアリコートを試験する。簡潔に述べると、12個の正常なアミノ酸に挟まれた変異ペプチドを中央に含む25量体ペプチドで患者の抗原提示細胞をパルスする。代替的に、全ての変異をコードするin vitro転写RNAを患者の抗原提示細胞に電気穿孔する。これらの技術の一方または両方を使用し、事前に凍結保存したTIL培養物を、個々のがん変異に対する反応性について試験し、これらに対してCISH遺伝子のCRISPRノックアウトを行う。この手順では、最大で5つの異なる培養物を各患者から選択する。
【0295】
変異反応性が裏付けられた培養物は、GMPを満たす細胞産生施設に送られ、ここで、cGMP条件下でCISH遺伝子をノックアウトするためにCRISPR技術が使用される。CISH遺伝子のノックアウトは、DNAシーケンシングに基づくTIDE(tracking of indels by decomposition)解析によって決定される。CISH遺伝子のノックアウトに成功した細胞集団は次いで、OKT3およびフィーダー細胞を用いて急速に拡大される。凍結保存されたリンパ球が患者の処置に使用される。
【0296】
このプロトコールの第1部では、1群当たり1名の患者を用い、患者1名当たりCISHノックアウト細胞109個から始まる用量漸増を開始する。個々の患者を半対数増分で処置し、グレード2より高い毒性が見られた場合、その群をさらなる患者に拡大する。したがって、次の用量を用いる:細胞109個、細胞3×109個、細胞1010個、細胞3×1010個、および細胞3~10×1010個。
【0297】
患者には、リンパ球を枯渇させる準備レジメンに続いて、細胞および高用量のアルデスロイキンの注入を施す。細胞産物の投与から約4~6週間後、細胞の存続についてのほか、臨床応答についても患者を評価する。各患者には単一の処置コースのみを施し、患者を毎月追跡して、免疫学的研究のためにリンパ球および血清を回収する。
【0298】
薬物投与
シクロホスファミドおよびフルダラビンを用いる準備レジメン:
時間は例として提示するものであり、薬物投与間で同様の時間的関係が維持される限り変更してよい。1日に1回与えられる薬物の試験薬開始時間は、予定時刻の2時間以内に与えられるべきである。他の薬は全て、予定時刻の+/-1時間に与えられるべきであり、投与の長さは全て、+/-15分である。利尿薬の投与、電解質の補給、および水分補給、ならびに電解質のモニタリングは全て、臨床適応がある場合に実施されるべきである。下記の用量および時間は例として提示するものに過ぎない。注入は、医学的に適応があれば減速または遅延させてもよい。
【0299】
-7日目および-6日目
6AM 水分補給:10meq/Lの塩化カリウムを含有する0.9%塩化ナトリウムの2.6ml/kg/時での注射による水分補給を始める(シクロホスファミドの11時間前に開始し、最後のシクロホスファミド注入の24時間後まで水分補給を継続する)。準備レジメン中のいずれかの時点において、尿量が1.5ml/kg/時未満である場合、または体重がシクロホスファミド投与前の値と比べて2kg超多い場合、フロセミド10~20mgをIV投与してよい。フロセミドの投与後は血清カリウムをモニタリングし、適応があれば処置すべきである。
【0300】
4PM:オンダンセトロン(0.15mg/kg/投与[患者の体重に基づいて8mgから16mgの間で最近接偶数へ丸めた用量(mg)]8時間ごとにIV×3日)を悪心のために与える。
【0301】
5PM:1時間にわたる、メスナ15mg/kg/日×2日を併用した、250mlのD5W中のシクロホスファミド60mg/kg/日×2日のIV投与。患者が肥満(BMI>35)である場合、薬物投与量は、実際の体重を使用して計算する。
【0302】
10pm:各シクロホスファミド投与後23時間にわたる、適切な希釈剤(医薬品のセクションを参照されたい)に希釈したメスナの3mg/kg/時での静脈内注入を始める。患者が肥満(BMI>35)である場合、薬物投与量は、実際の体重を使用して計算する。
【0303】
-7日目から-3日目
5日間にわたる1日当たり30分間のフルダラビン25mg/m2/日のIVPB。患者が肥満(BMI>35)である場合、薬物投与量は、付録2に記載されるように、実際の体重を使用して計算する(フルダラビンは、-7日目および-6日目のシクロホスファミドおよびメスナの約1~2時間後に開始する)。
【0304】
0日目(最後のフルダラビン投与の2~4日後):
非濾過チューブを介し、自家TIL注入を20~30分間にわたって静脈内に施し、注入中、細胞の凝集を防止するためにバッグを穏やかに揺り動かす。
【0305】
下記に記載されるアルデスロイキン。1~4日目(0日目は細胞注入の日である):
【0306】
下記に記載されるアルデスロイキン。1日目または2日目から始めて、フィルグラスチムを5mcg/kg/日(300mcg/日を超過しない)の用量で皮下投与してよい。フィルグラスチム投与は、好中球数が>1.0×10
9/L×3日または>5.0×10
9/Lになるまで毎日継続する。
【表12】
【0307】
アルデスロイキンは、細胞注入の24時間以内に始まり最長で5日間(最大で15回の投与)にわたって継続する15分間の静脈内ボーラスとして、720,000IU/kgの用量(総体重に基づく)で投与する。投与は、優先的には8時間ごとに施されるが、患者の耐容性に応じて、最長24時間が投与間で経過してよい。最後のアルデスロイキン投与の24時間以内に対症手段によって毒性が十分に回復しない場合、アルデスロイキン投与を停止する。患者がアルデスロイキンに起因してグレード3または4の毒性に達した場合は投与を遅延または停止させるが、アルデスロイキンに一般的である可逆的なグレード3の毒性、例えば下痢、悪心、嘔吐、低血圧、皮膚の変化、食欲不振、粘膜炎、嚥下障害、または付録3に詳述される全身症状および検査上の変化を除く。毒性は管理される。これらの毒性が24時間以内に対症手段によって容易に逆転し得る場合、さらなる用量が与えられる。
【0308】
準備レジメン開始前
適応があればアフェレーシス。準備レジメン開始前の14日以内に、患者の全血球数、電解質、BUN、クレアチニン、肝機能試験、TBNK、および血清化学的試験を実施する。いずれかの結果が適格性について確立された基準を超える場合、異常が解決され得るまでその患者は続行しない。
【0309】
準備レジメン中:毎日
全血球数、Chem 20の同等物:ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩化物(Cl)、総CO2(炭酸水素)、クレアチニン、グルコース、尿素窒素(BUN)、アルブミン、総カルシウム、総マグネシウム(Mg)、無機リン、アルカリホスファターゼ、ALT/GPT、AST/GOT、総ビリルビン、直接ビリルビン、LD、総タンパク質、総CK、尿酸、尿検査。
【0310】
細胞注入後
別段の臨床適応がない限り、4時間にわたって1時間ごと(+/-15分)に、次いでルーチン的(4~6時間ごと)に、バイタルサインをモニタリングする。総リンパ球数が200/mm3を超えたら、末梢血CD4数のTBNKを毎週(患者が入院している間)得る。
【0311】
入院中1~2日ごと
臨床適応があれば全身点検および身体検査、CBC、Chem 20の同等物:ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩化物(Cl)、総CO2(炭酸水素)、クレアチニン、グルコース、尿素窒素(BUN)、アルブミン、総カルシウム、総マグネシウム(Mg)、無機リン、アルカリホスファターゼ、ALT/GPT、AST/GOT、総ビリルビン、直接ビリルビン、LD、総タンパク質、総CK、尿酸、臨床適応があれば他の試験を実施する。
【0312】
研究後の評価(フォローアップ)
全ての患者は、細胞産物の投与の6週間後(+/-2週間)、評価のために病院に戻る。予定される各評価時に患者は次の検査を受ける:身体検査、Chem 20の同等物:ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩化物(Cl)、総CO2(炭酸水素)、クレアチニン、グルコース、尿素窒素(BUN)、アルブミン、総カルシウム、総マグネシウム(Mg)、無機リン、アルカリホスファターゼ、ALT/GPT、AST/GOT、総ビリルビン、直接ビリルビン、LD、総タンパク質、総CK、尿酸、全血球数、臨床適応があれば甲状腺パネル、TBNK(CD4>200×2になるまで)、毒性評価(全身点検を含む)。臨床適応があれば胸部、腹部、および骨盤のCT。臨床適応があれば、他のスキャンまたはX線、例えば脳MRI、骨スキャンを実施してよい。第1のフォローアップ来診時に5リットルのアフェレーシスを実施してもよく、患者がアフェレーシスを受けることができなければ、約96mlの血液を得てもよい。その後、少なくとも3カ月間にわたり、フォローアップ来診時に約60mlの血液を得る。免疫学的試験を実施することができるように、末梢血単核細胞を凍結保存する。
【0313】
感染予防
Pneumocystis Jirovecii肺炎
全ての患者は、-5日から-8日の間に始めて連続しない日に週に3回、1日1回、トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール[SMX]の固定された組合せを複効(DS)錠(DS錠=TMP 160mg/錠、およびSMX 800mg/錠)として経口(P.O.)摂取する。サルファ剤アレルギーのある患者では、TMP/SMX-DSの代わりにペンタミジンを用いる。これは、化学療法開始日の1週間以内に、ネブライザー1つ当たり300mgでエアロゾル化して投与する。
【0314】
ヘルペスウイルス予防
HSV血清陽性の患者には、化学療法の終了後毎日500mgの用量でバラシクロビルを経口投与するか、または患者が薬を摂ることができなければ、アシクロビル250mg/m2を12時間ごとにIV投与する。アシクロビルのIV投与では可逆的な腎不全が報告されているが、経口投与ではこの報告はない。より高用量のアシクロビルでは、せん妄、振戦、昏睡、急性精神障害、およびEEG異常を含む神経毒性が報告されている。これが起こった場合、投与量の調整を行うか、または薬物を中断する。アシクロビルは、DNA合成に干渉する他のヌクレオシド類似体、例えばガンシクロビルと併用されない。腎疾患では、製品のラベルに従って用量を調整する。ニューモシスティスおよびヘルペスの予防は、化学療法後6カ月にわたって継続することになる。化学療法後6カ月の時点でCD4数が200未満である場合、2回連続の測定でCD4数が200超になるまで予防を継続することとする。
【0315】
真菌予防(フルコナゾール)
患者は、化学療法が終了した翌日にフルコナゾール400mgのp.o.投与を開始し、絶対好中球数が1000/mm3超になるまで継続する。経口摂取することができない患者には、薬物を0.9%塩化ナトリウムUSP中400mgの用量で毎日IV投与してもよい。
【0316】
経験的抗生物質
患者は、38.3℃の発熱が1回、または少なくとも1時間おいた38.0℃もしくはこれを超える温度の発熱が2回あり、かつANC<500/mm3の場合、広域スペクトル抗生物質である第3世代もしくは第4世代のセファロスポリンまたはキノロンのいずれかを開始する。未解明の発熱または何らかの感染合併症がある患者は全て、感染性疾患の診察を受ける。
【0317】
血液産物支援
毎日のCBCをガイドとして使用し、患者は必要に応じて血小板および濃厚赤血球(PRBC)を受ける。全ての血液産物に放射線照射する。輸血されたWBCに対する感作を減少させ、CMV感染のリスクを減少させるために、全ての血液および血小板輸血で白血球フィルターを用いる。
【0318】
副作用を制御するための他の併用薬
療法の副作用を制御するための併用薬を与えてもよい。重度の悪寒が生じた場合、メペリジン(25~50mg)を静脈内投与する。要求される場合は他の支持療法が与えられ、これはアセトアミノフェン(650mg q4h)、インドメタシン(50~75mg q6h)、およびラニチジン(150mg g12h)を含み得る。患者がステロイド療法を要求する場合は処置から除外する。輸血を要求する患者は、放射線照射した血液産物を受けることになる。悪心および嘔吐のために、オンダンセトロン0.15mg/kg/投与を8時間ごとにIV投与する。オンダンセトロンによって制御されない悪心および嘔吐については、必要に応じてさらなる制吐薬を投与する。中心静脈カテーテルへの抗生物質の適用は、調査者の裁量において行ってよい。
【0319】
腫瘍生検
腫瘍組織またはリンパ節の生検を実施してもよいが、治療過程において必須ではない。研究では腫瘍による抗原発現を評価し、またこれらの生検から増殖させたリンパ球の反応性を評価することができる。生検は、ベースラインにおいて、治療過程の後に、そして応答があった場合に実施してよい。これらの生検は、実施される手順ならびに顆粒球および血小板数に基づいて見込まれる疾病率が最小限である場合にのみ実施される。生検は、生検が1日を超える入院を要求しない場合にのみ許可される。
【0320】
免疫学的試験:
アフェレーシスは、細胞産物の投与前および投与の6週間(+/-2週間)後に実施することができる。他の時点では、Ficollクッション上での遠心分離を使用した精製により、患者の末梢血リンパ球(PBL)を全血から得る。これらのPBMCのアリコートを、細胞機能の免疫学的モニタリングのために凍結保存する。処置の免疫学的相関性を評価するためには、特異的溶解およびサイトカイン放出の評価、メタボロームおよび生体エネルギー論の研究(タツノオトシゴを使用する)、サイトカイン産生の細胞内FACS、ELISA-スポットアッセイ、ならびにリンパ球サブセット解析をはじめとする様々な試験を使用することができる。一般に、これらのアッセイにおける2~3倍の差違は、真の生物学的差違を示す。注入された全ての細胞産物の試料を凍結保存し、注入された細胞のin vivoの抗腫瘍活性と相関するin vitroにおける特徴を見出そうという試みのため、注入された細胞の表現型および機能の詳細なレトロスペクティブ解析を実施する。TIL試料の解析は、注入されるTILの活性、特異性、およびテロメア長の評価を含むことになる。この研究プロジェクトの過程において回収される血液および組織検体は、バンクに預けられ、将来、新たな科学的疑問について調査するために使用され得る。
【0321】
アルデスロイキン(インターロイキン-2、プロロイキン、組換えヒトインターロイキン2)
製剤化/復元:アルデスロイキンは、約0.17mgの一塩基性リン酸ナトリウムおよび0.89mgの二塩基性リン酸ナトリウムで7.5のpH(7.2~7.8の範囲)に緩衝した、無菌の白色~オフホワイトの凍結乾燥ケークとしての2200万IU(1.3mg)のIL-2と、50mgのマンニトールおよび0.18mgのドデシル硫酸ナトリウムを含有する、単回使用バイアルとして提供される。このバイアルは、1.2mLの滅菌注射用水USPで復元され、結果として得られる濃度は、1800万IU/mlまたは1.1mg/mLである。希釈剤は、過剰な発泡を避けるためにバイアルの側部に対して方向付けるべきである。内容物が完全に溶解するまで穏やかに回旋させる。振盪しないこと。バイアルは保存剤を含有しないため、復元された溶液は24時間以内に使用すべきである。
【0322】
希釈/安定性:復元されたアルデスロイキンは、50mLの5%ヒト血清アルブミン(HSA)でさらに希釈する必要がある。RIL-2の添加前にHSAを希釈剤に添加する。復元された溶液の1000倍範囲(すなわち、1mg/mL~1mcg/mL)にわたる希釈は、ガラスボトルまたはポリ塩化ビニルバッグのいずれにおいても許容される。アルデスロイキンは、冷蔵温度および室温、2℃~30℃において48時間にわたって化学的に安定である。
【0323】
投与:投与量は総体重に基づいて計算する。アルデスロイキンの最終希釈物を15分間にわたって注入する。アルデスロイキンは入院患者として投与される。
【0324】
フルダラビン
投与:フルダラビンは、15~30分間にわたり、100mlの0.9%塩化ナトリウムUSP中のIV注入として投与される。用量は体表面積(BSA)に基づく。患者が肥満(BMI>35)である場合、薬物投与量は、実際の体重を使用して計算する。
【0325】
シクロホスファミド
投与:シクロホスファミドを250mlのD5Wに希釈し、1時間にわたって注入する。用量は患者の体重に基づく。患者が肥満(BMI>35)である場合、薬物投与量は、実際の体重を使用して計算する。
【0326】
メスナ(2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、Mesnum、Mesnex、NSC-113891)
投与:D5W中で流体1ml当たりメスナ20mgもしくは0.9% NaClまたはそれ未満の濃度まで希釈し、持続性注入として静脈内投与する。患者が肥満(BMI>35)である場合、薬物投与量は、付録2に記載されるように、実際の体重を使用して計算する。毒性としては、悪心、嘔吐、および下痢が挙げられる。
【0327】
フィルグラスチム(顆粒球コロニー刺激因子、G-CSF、フィルグラスチム、Neupogen)
フィルグラスチムは商業的に得られ、300ug/mlバイアルおよび480ug/1.6mlバイアルで供給されている。フィルグラスチムは冷蔵され、許可されてはならない。フィルグラスチムは毎日の皮下注射として与えられる。
【0328】
(実施例14)
GMPプロセス検証
CRISPR/Cas9系の臨床解釈における1つの検討事項は、標準的な急速拡大プロトコール(REP)によって達成される収率までノックアウトTILの産生をスケールアップする能力である。改変されたREP戦略を用い、CRISPR/Cas9試薬の電気穿孔の後、3つの独立したcGMPプロセス検証試行から1071の平均拡大倍率が達成された(表13ならびに
図43A、
図43B、
図43C、および
図44)。複数のREPを同時に開始する能力が可能になったため、この系により、1×10
10個を超える細胞収率のノックアウトTILが患者への注入のために一貫して産生される。凍結保存も達成可能である(表14)。
【表13】
【表14】
【0329】
(実施例11)
タンパク質レベルにおけるゲノム破壊の検出
遺伝子レベルにおいて観察されるノックアウトの頻度がタンパク質の喪失と相関するかどうかを決定するため、CRISPR/Cas9ノックアウト後のPD-1およびCISHタンパク質の発現を評価した。電気穿孔後14日目に、プレートに結合した抗CD3および可溶性抗CD28抗体を使用して末梢血(PB)T細胞およびTILを再刺激し、PD-1およびCISHタンパク質の喪失を、それぞれフローサイトメトリーおよびウェスタンブロットによって評価した。
図48に示される通り、PD-1タンパク質は、14日目のPB T細胞およびTILの>90%において喪失している。これらのデータは、ノックアウト細胞が修飾後に標的タンパク質発現を喪失したことを確定し、重要なことに、ノックアウト細胞が保持され、修飾後に拡大し、かつ生存していることを裏付ける(
図46)。
【0330】
タンパク質レベルにおけるCISHノックアウトの程度を決定するために、同じ戦略を利用した。CRISPR/Cas9で修飾したPB T細胞およびTILを14日間にわたって拡大させ、次いで48時間にわたって再刺激した。その後、細胞を回収し、CISHは細胞内タンパク質であるため、ウェスタンブロットによって抽出物を解析した。ゲノム修飾のTiDE解析による高いノックアウト率と一致して、ノックアウトPB T細胞およびTILにおいてCISHタンパク質は本質的に存在しなかった(
図45)。これらのデータは、初代ヒトT細胞およびTILにおけるCRISPR/Cas9に基づく遺伝子破壊のためのこの戦略が、高い効率でターゲティングされた遺伝子ノックアウトをもたらすことを裏付ける。
【0331】
(実施例12)
SPICE(Simplified Presentation of Incredibly Complex Evaluations)解析
CRISPR/Cas9編集後の高い細胞生存率および増殖の維持に加えて、ノックアウトT細胞が活性化の際にエフェクター機能を保持するかどうかも決定しようとした。細胞内染色およびフローサイトメトリーをSPICE(Simplified Presentation of Incredibly Complex Evaluations)解析と併せて使用したところ、ノックアウトT細胞は、再刺激時にサイトカインの多機能性を維持することが裏付けられた。これにより、CRISPR/Cas9を媒介する遺伝子編集後のPB T細胞およびTILのエフェクター機能が保存されることが指し示された(
図47Aおよび
図47B)。
【0332】
(実施例13)
IL-2ありおよびなしの「医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準」を満たすTILの増殖動態
「医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準」を満たす試行において使用された腫瘍浸潤リンパ球は、腫瘍全エクソームシーケンシングおよびタンデムミニ遺伝子/合成長鎖ペプチドスクリーニングを使用して、患者特異的がんネオ抗原に対する特異的な反応性を有するオリゴクローナルな亜集団として選択された。長期培養では、IL-2の存在下で細胞拡大が観察された(
図50A)。IL-2投与中断後7日目のIL-2の非存在下における増殖実験(
図50B)。IL-2なしでは、細胞の数および生存率が減少し、7日目までに残っている生細胞はごくわずかであった(
図50B)。
【0333】
(実施例14)
GUIDE-Seqによるオフターゲット頻度の検出
GUIDE-Seqによってオフターゲット頻度を評価するために、Neon Transfectionシステム、100μLのチップを使用し、3×10
6個のヒトPBL由来T細胞に、15μgのCas9 mRNAおよび10μgのCISH gRNAの存在下または非存在下で、8pmolまたは16pmolの二本鎖オリゴヌクレオチド(dsODN)(5’GTTTAATTGAGTTGTCATATGTTAATAACGGTAT-3’)を電気穿孔した(
図52)。トランスフェクションの72時間後にゲノムDNAを採取し、PCRおよびSangerシーケンシングの後にTiDE解析を行うことにより、CISH標的部位におけるdsODNの組込み頻度を評価した。Covartis S2超音波処理器(Covartis)を使用し、ゲノムDNAを平均長500bpへとせん断処理した。Agencourt AMPure XPビーズ精製キット(Beckman Coulter)を使用し、せん断処理後のDNAを精製した後、粘着性のDNA末端があれば、Anza DNA End Repair Kit(Thermo Fisher)を使用して、平滑な5’リン酸化末端に変換した。次いで、PCRを使用して、バーコードづけされたシーケンシングアダプターをゲノム断片へとライゲーションし、NGS解析への準備が整った最終的なライブラリーを作製した。
【0334】
(実施例15)
CISHが破壊されたTILの細胞遺伝学的解析
GMP製造プロセス認定試行中に産生されたCISHノックアウト変異反応性TILに対して、細胞遺伝学的解析を実施した。抗CD3抗体および抗CD28抗体を使用してTILを刺激し、その後、Neon電気穿孔システムを使用して、Cas9 mRNA(15μg)およびCISH gRNA(10μg)を電気穿孔によって送達した。電気穿孔後、CISHが破壊された変異反応性TILを、放射線照射したフィーダーの存在下で14日間にわたるREPにかけ、14日の時点で試料の細胞遺伝学解析を行った。細胞遺伝学的解析は、5つの試料:PQ1 CISH KO変異反応性TIL、PQ2 CISH KO変異反応性TIL、PQ3処置前、PQ3 CISH KO変異反応性TIL、およびPQ3対照に対して実施した。
【0335】
13.0mLのTIL懸濁培養物を2.0時間のコルセミド処置にかけ、細胞を採取し、400のバンドレベル解像度におけるG分染法により、20個の中期細胞を完全に解析した。さらに30個の中期細胞を、第4染色体と第9染色体との間の転座についてスクリーニングした。Cytogenomics結果が指し示したのは以下の通りであった。
【0336】
PQ3対照:46、XXおよび46、XX。所見は正常女性の核型を指し示している。転座は観察されなかった。
【表15】
【0337】
PQ3処置前:46、XXおよび46、XX、t(4;9)(q31.3;q13)[9]/46、XX。解析した21個の中期細胞のうち9個が、バンド4q31.3における第4染色体の長腕と、バンド9q13における第9染色体の長腕との間の相互転座を有した。残りの12個の中期細胞は各々、2つの正常な第4染色体および第9染色体を有する46、XXの核型を有した。
【表16】
【0338】
PQ1変異反応性TIL:46、XX。45、X、-X、add(1)(p13)、der(14)t(1;14)(p13;p11.1)、+21、i(21)(q10)。45、X、-X、add(1)(p13)、-7、+11、der(14)t(1;14)(p13;p11.1)。43、X、dic(x;12)(q21;p13)、-17、-19、der(21;22)(q10;q10)、+22。46、X、Del(x)(q21)。45、XX、-7、-18、+r/46、XX、del(8)(p12)、+14、i(14)(q10)。解析した23個の中期細胞のうち6個が、染色体数異常および/または染色体構造異常を有した。これらの細胞のうち1つを除いて全てが、X染色体(4つの細胞)および末端動原体染色体(13、14、15、21、22)の短腕の再配列を優先的に伴う、3つまたはそれよりも多くの異常を有した。これら6つの細胞のうち2つのみが同じ異常を共有し、クローンの基準を満たした。
【表17】
【0339】
PQ2変異反応性TIL:46、XX。45、XX der(15;22)(q10;q10)。解析した50個の中期細胞のうち1個が、第15染色体と第22染色体との間の転座を有した。
【表18】
【0340】
PQ 3変異反応性TIL:46、XX。46、XX、t(4;9)(q31.3;q13)。46、XX、Del(7)(p11.2)。解析した20個の中期細胞のうち8個が、バンド4q31.3における第4染色体の長腕と、バンド9q13における第9染色体の長腕との間の相互転座を有した。さらに1つの細胞は第7染色体の短腕の欠失を有し、これはおそらくランダムな染色体切断を表す非クローン性事象と解釈された。
【表19】