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特開2022-162208清掃システム、無人飛行装置および自律走行清掃装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162208
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】清掃システム、無人飛行装置および自律走行清掃装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221017BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066903
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】仁杉 元昭
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA06
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD05
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】広範囲に散乱した収集対象物を、容易且つ確実に、自動的に収集、清掃する。
【解決手段】
清掃システム1は、自律走行清掃装置4と無人飛行装置2とを備える。自律走行清掃装置4は、装置本体30と、走行部31と、走行経路上で清掃を行う清掃部32と、清掃エリアの環境地図を取得する環境地図取得部60として機能する制御部38と、無人飛行装置2と無線通信を行う通信部40とを備える。無人飛行装置2は、撮像部12と、自律走行清掃装置4と無線通信を行う通信部18とを備える。撮像部12は、無人飛行装置2が清掃エリアの上空を飛行したときに、清掃エリアを上空から撮像して撮像データを生成する。通信部18は、撮像データを自律走行清掃装置4へ送信する。制御部38は、撮像部12によって撮像された撮像データを環境地図に関連付けることで、撮像データを環境地図に反映させるデータ反映部61として機能する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律的に走行し自動で清掃する自動走行清掃を実行可能な自律走行清掃装置を備えた清掃システムであって、
無人飛行装置を更に備え、
前記自律走行清掃装置は、
装置本体と、
前記装置本体を走行させる走行部と、
前記装置本体の走行経路上で清掃を行う清掃部と、
前記自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得する環境地図取得部と、
前記無人飛行装置と無線通信を行う第1通信部と、を備え、
前記無人飛行装置は、
撮像部と、
前記自律走行清掃装置と無線通信を行う第2通信部と、を備え、
前記撮像部は、前記無人飛行装置が前記清掃エリアの上空を飛行したときに、前記清掃エリアを上空から撮像して撮像データを生成し、
前記第2通信部は、前記第1通信部と無線通信を行って前記撮像データを前記自律走行清掃装置へ送信し、
前記自律走行清掃装置は、前記撮像部によって撮像された前記撮像データを前記環境地図に関連付けることで、該撮像データを前記環境地図に反映させるデータ反映部を備えることを特徴とする清掃システム。
【請求項2】
前記自律走行清掃装置は、
前記撮像部によって撮像された前記撮像データに基づいて、前記清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する対象物判別部を備え、
前記データ反映部は、前記対象物判別部によって判別された前記収集対象物および前記非収集対象物を前記環境地図に反映し、
前記自律走行清掃装置は、
前記環境地図に基づいて前記収集対象物を清掃するように前記自動走行清掃を実行するための清掃プランを作成する清掃プラン作成部と、
前記清掃プランに基づいて前記自動走行清掃を実行する自動走行清掃制御部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項3】
前記無人飛行装置は、飛行時のダウンウォッシュを利用して前記収集対象物を前記清掃エリア内の所定の収集位置に吹き寄せ集める収集動作を制御する飛行制御部を備え、
前記撮像部は、前記収集動作の実行後に、前記収集位置を含む前記清掃エリアを撮像して前記撮像データを生成し、
前記データ反映部は、前記撮像データに撮像された前記収集位置を前記環境地図に反映し、
前記清掃プラン作成部は、前記環境地図に基づいて前記収集位置における前記収集対象物を優先的に清掃するように前記自動走行清掃を実行するための前記清掃プランを作成することを特徴とする請求項2に記載の清掃システム。
【請求項4】
前記自律走行清掃装置は、前記装置本体の周囲の障害物の位置関係を計測した計測結果に基づいて、前記障害物を認識する障害物認識部を備え、
前記対象物判別部は、前記障害物認識部によって認識された前記障害物の認識情報に基づいて、前記清掃エリアの床面上または地面上の前記非収集対象物を判別し、
前記対象物判別部によって前記撮像データまたは前記認識情報に基づいて判別された前記非収集対象物の一方の側に前記収集位置を設定する収集位置設定部を備えることを特徴とする請求項3に記載の清掃システム。
【請求項5】
無人飛行装置であって、
清掃エリアの上空を飛行したときに、前記清掃エリアを上空から撮像して撮像データを生成する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記撮像データに基づいて、前記清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する対象物判別部と、
前記対象物判別部によって前記撮像データに基づいて判別された前記非収集対象物の一方の側に収集位置を設定する収集位置設定部と、
飛行時のダウンウォッシュを利用して前記収集対象物を前記清掃エリア内の前記収集位置に吹き寄せ集める収集動作を制御する飛行制御部と、
自律走行清掃装置と無線通信を行う通信部と、
を備え、
前記撮像部は、前記収集動作の実行後に、前記収集位置を含む前記清掃エリアを撮像して前記撮像データを生成し、
前記通信部は、前記収集動作の実行後に前記撮像部によって撮像した前記撮像データを、前記自律走行清掃装置と無線通信を行って前記自律走行清掃装置へ送信することを特徴とする無人飛行装置。
【請求項6】
前記撮像データに基づいて前記自律走行清掃装置の位置を検出する清掃装置検出部を更に備え、
前記収集位置設定部は、前記対象物判別部によって判別された前記非収集対象物のうち、前記自律走行清掃装置に近い前記非収集対象物の一方の側に前記収集位置を設定することを特徴とする請求項5に記載の無人飛行装置。
【請求項7】
前記収集位置設定部は、前記清掃エリアの床面上または地面上に立設され、前記清掃エリアを区切るランドマークを前記撮像データに基づいて認識し、認識した前記ランドマークの一方の側に前記収集位置を設定することを特徴とする請求項5に記載の無人飛行装置。
【請求項8】
前記清掃装置検出部は、前記自律走行清掃装置が送出したビーコン信号を検出して前記自律走行清掃装置の位置を検出することを特徴とする請求項6に記載の無人飛行装置。
【請求項9】
前記清掃装置検出部は、前記自律走行清掃装置が周囲の障害物の位置関係を計測するためにレーザーレンジファインダによって送出した赤外線を前記ビーコン信号として検出して前記自律走行清掃装置の位置を検出することを特徴とする請求項8に記載の無人飛行装置。
【請求項10】
前記清掃エリアの床面上または地面上を移動する移動体を判別する移動体判別部を備え、
前記飛行制御部は、前記移動体判別部によって前記移動体を判別した場合には、飛行を中断することを特徴とする請求項5に記載の無人飛行装置。
【請求項11】
自律的に走行し自動で清掃する自動走行清掃を実行可能な自律走行清掃装置であって、
装置本体と、
前記装置本体を走行させる走行部と、
前記装置本体の走行経路上で清掃を行う清掃部と、
前記自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得する環境地図取得部と、
無人飛行装置が前記清掃エリアの上空を飛行して前記清掃エリアを上空から撮像して生成した撮像データを、前記無人飛行装置と無線通信を行うことによって前記無人飛行装置から受信する通信部と、
前記通信部によって前記無人飛行装置から受信した前記撮像データを前記環境地図に関連付けることで、該撮像データを前記環境地図に反映させるデータ反映部と、を備えることを特徴とする自律走行清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律的に走行し自動で清掃する自動走行清掃を実行可能な自律走行清掃装置を備えた清掃システム、この自律走行清掃装置と連携可能な無人飛行装置、およびこの自律走行清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律走行清掃装置は、清掃エリアを自律的に走行して、清掃エリアの床面上または地面上の塵埃や落葉などのゴミを自動で収集して清掃するように自動走行清掃を実行するものがある。また、自律走行清掃装置には、無人飛行装置と連携して自動走行清掃を実行するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1の掃除システムでは、床面上を掃除する自走式のロボット掃除装置と、空中を飛行移動する飛行体装置とが連携して掃除動作を行う。飛行体装置は、掃除エリア内の連携場所において、掃除補助具を用いて床面よりも高い場所の掃除対象物を床面に落下させる動作をし、掃除対象物を床面に落下させる動作に関する通知を、通信部を通じてロボット掃除装置に伝達する。ロボット掃除装置は、掃除エリア内の連携場所において、掃除対象物を床面に落下させる動作に関する通知を受けてから所定時間経過した後、連携場所の床面上を走行して掃除をすることで連携動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-91326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の掃除システムのような従来の技術では、飛行体装置が、掃除エリア内の連携場所において、床面よりも高い場所のゴミなどの掃除対象物を、掃除補助具を用いて床面に落下させている。しかしながら、床面より高い位置にある掃除対象物は、必ず連携場所に落下するとは限らないので、連携場所に落下しなかった掃除対象物が清掃されず床面に残ったままとなってしまう。
【0006】
また、例えば、木々が隣接して植えられている公園や駐車場などでは、季節によって多数の落葉などが舞い散って地面に広範囲に散乱することがある。このような広範囲に亘る清掃エリアでは、落葉などの収集対象物を清掃、収集することが大変であるため、効率よく自動清掃することが求められている。更に、駐車場では、車両がランダムに駐車され、また、落葉などの収集対象物が車両の視覚に隠れるように散乱することがあるので、駐車場において収集対象物を目視で探すことは非常に手間が掛かる。そのため、駐車場に広範囲に散乱した収集対象物を、自動的に収集、清掃することは非常に困難である。
【0007】
本発明は、上記したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、広範囲に散乱した収集対象物を、容易且つ確実に、自動的に収集、清掃することができる清掃システム、無人飛行装置および自律走行清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の清掃システムは、自律的に走行し自動で清掃する自動走行清掃を実行可能な自律走行清掃装置を備えた清掃システムであって、無人飛行装置を更に備え、前記自律走行清掃装置は、装置本体と、前記装置本体を走行させる走行部と、前記装置本体の走行経路上で清掃を行う清掃部と、前記自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得する環境地図取得部と、前記無人飛行装置と無線通信を行う第1通信部と、を備え、前記無人飛行装置は、撮像部と、前記自律走行清掃装置と無線通信を行う第2通信部と、を備え、前記撮像部は、前記無人飛行装置が前記清掃エリアの上空を飛行したときに、前記清掃エリアを上空から撮像して撮像データを生成し、前記第2通信部は、前記第1通信部と無線通信を行って前記撮像データを前記自律走行清掃装置へ送信し、前記自律走行清掃装置は、前記撮像部によって撮像された前記撮像データを前記環境地図に関連付けることで、該撮像データを前記環境地図に反映させるデータ反映部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の清掃システムによれば、無人飛行装置が撮影した清掃エリアの撮像データを環境地図に反映させることで、自律走行清掃装置が確認できない死角の情報を取得することができ、清掃エリアをより詳細に示す環境地図を取得することができる。従って、自律走行清掃装置は、清掃エリアにおいて広範囲に散乱した収集対象物を、容易且つ確実に、自動的に収集、清掃することができる。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第2の清掃システムでは、前記自律走行清掃装置は、前記撮像部によって撮像された前記撮像データに基づいて、前記清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する対象物判別部を備え、前記データ反映部は、前記対象物判別部によって判別された前記収集対象物および前記非収集対象物を前記環境地図に反映し、前記自律走行清掃装置は、前記環境地図に基づいて前記収集対象物を清掃するように前記自動走行清掃を実行するための清掃プランを作成する清掃プラン作成部と、前記清掃プランに基づいて前記自動走行清掃を実行する自動走行清掃制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の清掃システムによれば、自律走行清掃装置が確認できない死角の情報を取得することができ、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より確実に収集することができる清掃プランを作成することができる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第3の清掃システムでは、前記無人飛行装置は、飛行時のダウンウォッシュを利用して前記収集対象物を前記清掃エリア内の所定の収集位置に吹き寄せ集める収集動作を制御する飛行制御部を備え、前記撮像部は、前記収集動作の実行後に、前記収集位置を含む前記清掃エリアを撮像して前記撮像データを生成し、前記データ反映部は、前記撮像データに撮像された前記収集位置を前記環境地図に反映し、前記清掃プラン作成部は、前記環境地図に基づいて前記収集位置における前記収集対象物を優先的に清掃するように前記自動走行清掃を実行するための前記清掃プランを作成することを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の清掃システムによれば、自律走行清掃装置は、収集対象物を収集させた収集位置の清掃をすれば、清掃エリアの収集対象物の大部分を清掃できることになり、清掃効率を向上することができる。そのため、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より容易且つより確実に収集することができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第4の清掃システムでは、前記自律走行清掃装置は、前記装置本体の周囲の障害物の位置関係を計測した計測結果に基づいて、前記障害物を認識する障害物認識部を備え、前記対象物判別部は、前記障害物認識部によって認識された前記障害物の認識情報に基づいて、前記清掃エリアの床面上または地面上の前記非収集対象物を判別し、前記対象物判別部によって前記撮像データまたは前記認識情報に基づいて判別された前記非収集対象物の一方の側に前記収集位置を設定する収集位置設定部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の清掃システムによれば、収集位置で非収集対象物を利用することで、収集対象物をより確実に吹き寄せ集めることができ、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より容易且つより確実に収集して清掃することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1の無人飛行装置は、清掃エリアの上空を飛行したときに、前記清掃エリアを上空から撮像して撮像データを生成する撮像部と、前記撮像部によって撮像された前記撮像データに基づいて、前記清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する対象物判別部と、前記対象物判別部によって前記撮像データに基づいて判別された前記非収集対象物の一方の側に収集位置を設定する収集位置設定部と、飛行時のダウンウォッシュを利用して前記収集対象物を前記清掃エリア内の前記収集位置に吹き寄せ集める収集動作を制御する飛行制御部と、自律走行清掃装置と無線通信を行う通信部と、を備え、前記撮像部は、前記収集動作の実行後に、前記収集位置を含む前記清掃エリアを撮像して前記撮像データを生成し、前記通信部は、前記収集動作の実行後に前記撮像部によって撮像した前記撮像データを、自律走行清掃装置と無線通信を行って前記自律走行清掃装置へ送信することを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の無人飛行装置によれば、収集対象物を収集させた収集位置を自律走行清掃装置に提供することができるので、自律走行清掃装置はこの収集位置の清掃をすれば、清掃エリアの収集対象物の大部分を清掃できることになり、清掃効率を向上することができる。そのため、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より容易且つより確実に収集することができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第2の無人飛行装置は、前記撮像データに基づいて前記自律走行清掃装置の位置を検出する清掃装置検出部を更に備え、前記収集位置設定部は、前記対象物判別部によって判別された前記非収集対象物のうち、前記自律走行清掃装置に近い前記非収集対象物の一方の側に前記収集位置を設定することを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の無人飛行装置によれば、自律走行清掃装置に近い非収集対象物を収集位置として利用することで、収集対象物をより確実に吹き寄せ集めることができ、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より容易且つより確実に収集することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第3の無人飛行装置では、前記収集位置設定部は、前記清掃エリアの床面上または地面上に立設され、前記清掃エリアを区切るランドマークを前記撮像データに基づいて認識し、認識した前記ランドマークの一方の側に前記収集位置を設定することを特徴とする。
【0021】
本発明の第3の無人飛行装置によれば、収集対象物を吹き寄せ集める非収集対象物が清掃エリアにない場合でも、収集対象物を吹き寄せ集めるためのランドマークを簡単に清掃エリアに設置することができ、収集対象物を吹き寄せ集めることができるようになる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第4の無人飛行装置では、前記清掃装置検出部は、前記自律走行清掃装置が送出したビーコン信号を検出して前記自律走行清掃装置の位置を検出することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の第5の無人飛行装置では、前記清掃装置検出部は、前記自律走行清掃装置が周囲の障害物の位置関係を計測するためにレーザーレンジファインダによって送出した赤外線を前記ビーコン信号として検出して前記自律走行清掃装置の位置を検出することを特徴とする。
【0024】
本発明の第4または第5の無人飛行装置によれば、自律走行清掃装置の位置をより容易且つより確実に把握した上で、自律走行清掃装置に近い非収集対象物を、収集対象物の収集位置として利用することができ、収集対象物をより確実に吹き寄せ集めることができる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の第6の無人飛行装置は、前記清掃エリアの床面上または地面上を移動する移動体を判別する移動体判別部を備え、前記飛行制御部は、前記移動体判別部によって前記移動体を判別した場合には、飛行を中断することを特徴とする。
【0026】
本発明の第6の無人飛行装置によれば、無人飛行装置が、清掃エリアの空撮画像を撮像するための飛行や、収集対象物を収集するための飛行において、人などの移動体が存在する場合には飛行を中断することで、安全性を向上することができる。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の第1の自律走行清掃装置は、自律的に走行し自動で清掃する自動走行清掃を実行可能な自律走行清掃装置であって、装置本体と、前記装置本体を走行させる走行部と、前記装置本体の走行経路上で清掃を行う清掃部と、前記自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得する環境地図取得部と、無人飛行装置が前記清掃エリアの上空を飛行して前記清掃エリアを上空から撮像して生成した撮像データを、前記無人飛行装置と無線通信を行うことによって前記無人飛行装置から受信する通信部と、前記通信部によって前記無人飛行装置から受信した前記撮像データを前記環境地図に関連付けることで、該撮像データを前記環境地図に反映させるデータ反映部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
本発明の第1の自律走行清掃装置によれば、無人飛行装置が撮影した清掃エリアの撮像データを環境地図に反映させることで、自律走行清掃装置が確認できない死角の情報を取得することができ、清掃エリアをより詳細に示す環境地図を取得することができる。従って、自律走行清掃装置は、清掃エリアにおいて広範囲に散乱した収集対象物を、容易且つ確実に、自動的に収集、清掃することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、広範囲に散乱した収集対象物を、容易且つ確実に、自動的に収集、清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る清掃システムの構成を示す概要図である。
図2】本発明の実施形態に係る清掃システムの概要的な構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る清掃システムの電気的な構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置の手動飛行の対象となる清掃エリアの例を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置の手動飛行の対象となる清掃エリアに収集対象物が散乱した場合の例を示す平面図である。
図6】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、収集対象物が散乱した清掃エリアに対して無人飛行装置が手動飛行を行う場合の例を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置が手動飛行を行って収集対象物を収集位置に集めた場合の例を示す平面図である。
図8】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置の手動飛行の動作の例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置の手動飛行後の自律走行清掃装置の自動走行清掃の動作の例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置の自動飛行および自律走行清掃装置の自動走行清掃の動作の例を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置の自動飛行および自律走行清掃装置の自動走行清掃の動作のその他の例を示すフローチャートである。
図12】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置の自動飛行の対象となる清掃エリアに対する自律走行清掃装置の計測部の計測範囲の例を示す平面図である。
図13】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置の自動飛行の対象となる清掃エリアに対する無人飛行装置の撮像範囲の例を示す平面図である。
図14】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、収集対象物が散乱した清掃エリアに対して無人飛行装置が自動飛行を行う場合の例を示す平面図である。
図15】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、無人飛行装置が自動飛行を行って収集対象物を収集位置に集めた場合の例を示す平面図である。
図16】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、収集位置を設定する非収集対象物がない清掃エリアの例を示す平面図である。
図17】本発明の実施形態に係る清掃システムにおいて、収集位置を設定する非収集対象物がない清掃エリアに対して、収集位置を設定するためのランドマークを設置した例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0032】
本発明の実施形態による清掃システム1について説明する。図1に示すように、清掃システム1は、無人飛行装置2と、無人飛行装置2を操縦するための操縦装置3と、自律的に走行し自動で清掃する自動走行清掃を実行可能な自律走行清掃装置4とを備える。無人飛行装置2と自律走行清掃装置4とは、連携可能に構成される。
【0033】
本実施形態の無人飛行装置2について説明する。
【0034】
無人飛行装置2は、例えば、操縦装置3による操縦や予め設定されたプログラムに従って飛行動作を行うものであり、いわゆるドローンなどで構成される。図1に示すように、無人飛行装置2は、各部を収容するための装置本体10と、装置本体10を飛行させるための飛行部11と、周囲の画像を撮像するための撮像部12とを備える。
【0035】
また、無人飛行装置2は、図2に示すように、無人飛行装置2の位置情報を取得する測位部13と、無人飛行装置2の飛行状態を検知する飛行検知部14と、無人飛行装置2の各部に電力を供給し、バッテリー(図示せず)の残量監視や充電を制御するための電源部15とを備える。
【0036】
更に、無人飛行装置2は、無人飛行装置2の各部および各種機能(飛行部11による飛行、撮像部12による撮像など)を統括制御する制御部16と、飛行部11の飛行プログラムである飛行プランや撮像部12が撮像した撮像データなどを記憶する記憶部17とを備える。なお、無人飛行装置2は、操縦装置3や自律走行清掃装置4などの外部機器と無線通信するための通信部18(第2通信部)を備える。
【0037】
次に、無人飛行装置2の各部を説明する。飛行部11は、装置本体10の上部に複数(例えば、4つ)の飛行翼11aを備え、また、複数の飛行翼11aをそれぞれ回転駆動する複数の飛行用モータ11bを備える。飛行部11は、制御部16によって各飛行用モータ11bの回転数を制御することで、無人飛行装置2の飛行高度、飛行方向、飛行姿勢、飛行速度などを制御する。
【0038】
撮像部12は、装置本体10の下部に設けられ、無人飛行装置2の下方の空撮画像を撮像して撮像データを生成する。撮像部12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどで構成される。撮像部12は、撮像データとして、撮像した空撮画像の画像そのもの、または/および、撮像した空撮画像の画像解析データを生成して出力する。
【0039】
測位部13は、GNSS(Global Navigation Satellite System)やGPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムを利用して無人飛行装置2の位置情報を取得する。飛行検知部14は、ジャイロセンサなどで構成され、飛行中の無人飛行装置2の姿勢変化や加速度などの飛行状態を検知する。
【0040】
電源部15は、装置本体10内部に搭載されたバッテリー(電源)および充電回路を備え、外部電源に接続することでバッテリーが充電され、また、無人飛行装置2の各部へと電力を供給する。
【0041】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータ用デバイスで構成され、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどを含む記憶部17に接続されている。また、制御部16は、上記の飛行部11、撮像部12、測位部13、飛行検知部14および電源部15などの無人飛行装置2の各部に接続されている。
【0042】
また、制御部16は、通信部18を介して外部機器と通信可能に接続される。通信部18は、例えば、操縦装置3や自律走行清掃装置4と、Bluetooth(登録商標)などの通信規格によって無線通信を行う。通信部18は、例えば、操縦装置3から飛行指示を受信したり、操縦装置3から撮像部12に対する空撮画像の撮像指示を受信したり、撮像部12が撮像した空撮画像の撮像データを操縦装置3や自律走行清掃装置4へと送信したりする。
【0043】
記憶部17は、無人飛行装置2の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御部16が、記憶部17に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、無人飛行装置2の各部および各種機能を統括制御する。例えば、制御部16は、記憶部17に記憶されたプログラムを実行することにより、図3に示すように、飛行制御部50、飛行プラン作成部51、撮像制御部52、対象物判別部53、収集位置設定部54、清掃装置検出部55および移動体判別部56として動作する。
【0044】
飛行制御部50は、通信部18が操縦装置3から飛行指示を受信したときに、その飛行指示に応じて飛行部11の複数の飛行用モータ11bを制御して飛行翼11aをそれぞれ回転駆動し、飛行部11の手動飛行を制御して、無人飛行装置2の飛行高度、飛行方向、飛行姿勢、飛行速度などを制御する。なお、飛行制御部50は、飛行部11を手動飛行するとき、飛行部11の飛行翼11aの回転によって生じるダウンウォッシュによって、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物を所定の収集方向(収集位置)に向けて収集することができる。
【0045】
また、飛行制御部50は、記憶部17に予め記憶された飛行プログラムである飛行プランに従って自動飛行を行うように飛行部11を制御する。なお、飛行プランには、無人飛行装置2の飛行経路や、飛行経路の各位置の飛行高度、飛行方向、飛行姿勢、飛行速度などの情報が含まれる。
【0046】
例えば、飛行プランには、自律走行清掃装置4によって清掃する清掃エリアを事前に確認するために予め作成された事前飛行プランがある。事前飛行プランは、無人飛行装置2の撮像部12によって清掃エリアの空撮画像を撮像するために、清掃エリアの所定位置で清掃エリアを見渡せるような飛行高度までホバリングする事前飛行を行うように作成される。事前飛行プランには、撮像部12の撮像タイミングとして、無人飛行装置2の飛行経路上の撮像位置や撮像高度が設定される。なお、事前飛行プランは、清掃エリアの一つの撮像位置で空撮画像を撮像するために一回のホバリングを行うように作成されてもよく、あるいは、清掃エリアの複数の撮像位置で空撮画像を撮像するために各撮像位置への移動飛行と各撮像位置でのホバリングとを行うように作成されてもよい。
【0047】
飛行制御部50は、通信部18が操縦装置3から自動飛行指示を受信すると、事前飛行プランに基づいて飛行部11を制御して、無人飛行装置2の事前飛行を行う。
【0048】
飛行プラン作成部51は、飛行プランとして、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物を、飛行部11の飛行翼11aの回転によって生じるダウンウォッシュによって収集補助(アシスト)する自動収集飛行を行うように収集飛行プランを作成する。清掃エリアの地形や大きさは、清掃エリア毎に異なり、また、清掃エリア上の収取対象物の散乱状況は、清掃を行う毎に異なるので、飛行プラン作成部51は、清掃を行う毎に収集飛行プランを作成する。
【0049】
飛行プラン作成部51は、対象物判別部53によって判別された収集対象物および非収集対象物や、収集位置設定部54によって設定された収集位置に基づいて収集飛行プランを作成する。具体的には、飛行プラン作成部51は、ダウンウォッシュによって収集対象物を収集位置に吹き寄せ集めるように飛行する飛行経路であって、非収集対象物を避けて飛行する飛行経路となるように収集飛行プランを作成する。
【0050】
また、飛行プラン作成部51は、自動収集飛行の終了時に、無人飛行装置2の撮像部12によって清掃エリアの空撮画像を撮像して清掃エリアの解析用の撮像データを生成するために、清掃エリアの所定位置で清掃エリアを見渡せるような飛行高度までホバリングする事後飛行を行うように収集飛行プランを作成する。なお、事後飛行は、事前飛行と同様に動作してよい。
【0051】
飛行プラン作成部51は、飛行制御部50が無人飛行装置2の事前飛行を行って清掃エリアの撮像データを生成すると、この撮像データにもとづいて収集飛行プランを作成する。また、飛行制御部50は、飛行プラン作成部51が収集飛行プランを作成すると、この収集飛行プランに基づいて飛行部11を制御して、無人飛行装置2の自動収集飛行を行う。
【0052】
撮像制御部52は、無人飛行装置2が手動飛行または自動飛行する間に飛行状況を操縦装置3で確認するために、撮像部12を制御して無人飛行装置2の下方の空撮画像を撮像する。このとき、撮像制御部52は、撮像部12によって定期的な静止画または動画を撮像させて確認用の撮像データを生成させ、通信部18によって操縦装置3へと送信させる。
【0053】
撮像制御部52は、清掃エリアを解析する撮像データを生成するために、操縦装置3から撮像指示を受信したときに、その撮像指示に応じて撮像部12を制御して無人飛行装置2の下方の空撮画像を撮像する。また、撮像制御部52は、清掃エリアを解析する撮像データを生成するために、無人飛行装置2が事前飛行プランに応じて自動飛行する際に、事前飛行プランに設定された撮像位置や撮像高度に応じて撮像部12を制御して無人飛行装置2の下方の空撮画像を撮像する。このとき、撮像制御部52は、撮像部12によって静止画を撮像させて解析用の撮像データを生成させ、通信部18によって操縦装置3や自律走行清掃装置4へと送信させる。
【0054】
対象物判別部53は、飛行プラン作成部51によって収集飛行プランを作成するために、撮像部12によって撮像された解析用の撮像データに基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する。例えば、対象物判別部53は、床面や地面と、落葉などの収集対象物と、壁などの非収集対象物とのそれぞれの形状や色の違いに基づいてセマンティックセグメンテーション手法などに代表される画像解析技術を利用して、収集対象物や非収集対象物を床面や地面と識別して判別し、更に、収集対象物や非収集対象物とを識別して判別する。対象物判別部53は、判別した収集対象物や非収集対象物の清掃エリアにおける位置情報を算出する。
【0055】
収集位置設定部54は、対象物判別部53によって判別された収集対象物や非収集対象物の判別結果に基づいて、清掃エリアにおいて収集対象物を収集すべき収集位置を判定して設定する。例えば、収集位置設定部54は、判別された非収集対象物のうち、自律走行清掃装置4に近い非収集対象物の一方の側であって、自律走行清掃装置4に近い側に収集位置を設定する。このとき、収集位置設定部54は、清掃装置検出部55によって検出された自律走行清掃装置4の位置に基づいて収集位置を設定すべき非収集対象物を判定する。
【0056】
あるいは、収集位置設定部54は、収集対象物が最も集中している集中位置を判定し、その集中位置に近い非収集対象物の一方の側であって、その集中位置に近い側に収集位置を設定してもよい。なお、収集位置設定部54は、清掃エリアに対して一つの収集位置を設定してもよく、あるいは複数の収集位置を設定してもよい。
【0057】
清掃装置検出部55は、無人飛行装置2に対する自律走行清掃装置4の位置を検出するもので、例えば、無人飛行装置2がビーコン受信機を備えて、自律走行清掃装置4が送出した赤外線やBluetooth(登録商標)などのビーコン信号を受信し、清掃装置検出部55は、自律走行清掃装置4が送出したビーコン信号を検出する。
【0058】
清掃装置検出部55は、ビーコン信号を検出することで無人飛行装置2に対する自律走行清掃装置4の位置を認識して、清掃エリアにおける自律走行清掃装置4の位置を認識する。例えば、清掃装置検出部55は、自律走行清掃装置4の計測部34の後述するLRF34aによって送出した赤外線をビーコン信号として検出して自律走行清掃装置4の位置を認識する。なお、清掃装置検出部55は、検出した自律走行清掃装置4の位置を撮像部12によって撮像された撮像データに反映するとよい。
【0059】
移動体判別部56は、無人飛行装置2の周囲(所定距離内)に移動または存在する人などの移動体を判別する。例えば、移動体判別部56は、人感センサなどで構成されて移動体を判別してよく、あるいは、撮像部12によって撮像された撮像データに基づいた画像解析技術を利用して移動体を判別してもよい。例えば、移動体判別部56は、無人飛行装置2が自動飛行を行っている間に稼働し、移動体を判別した場合、飛行制御部50は、自動飛行を一時中断して、その場でホバリングを行う。その後、移動体判別部56が移動体を判別しなくなると、飛行制御部50は、自動飛行を再開する。
【0060】
本実施形態の操縦装置3について説明する。
【0061】
操縦装置3は、無線通信によって無人飛行装置2を操縦するものであり、例えば、図2に示すように、操縦部20と、表示部21とを備えて構成される。また、操縦装置3は、操縦装置3の各部および各種機能を統括制御する制御部22と、各種情報を記憶する記憶部23とを備える。また、操縦装置3は、無人飛行装置2などの外部機器と無線通信するための通信部24を備える。
【0062】
制御部22は、CPUなどのコンピュータ用デバイスで構成され、ROM、RAM、SSD、フラッシュメモリなどを含む記憶部23に接続されている。また、制御部22は、上記の操縦部20および表示部21などの操縦装置3の各部に接続されている。
【0063】
また、制御部22は、通信部24を介して外部機器と通信可能に接続される。通信部24は、例えば、無人飛行装置2と、Bluetooth(登録商標)などの通信規格によって無線通信を行う。通信部24は、例えば、操縦部20の操縦に応じた飛行指示や清掃エリアの空撮画像の撮像指示を無人飛行装置2へと送信したり、無人飛行装置2から撮像部12が撮像した空撮画像の撮像データを受信したりする。
【0064】
記憶部23は、操縦装置3の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御部22が、記憶部23に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、操縦装置3の各部および各種機能を統括制御する。
【0065】
操縦部20は、例えば、左右のジョイスティックで構成され、ジョイスティックの操作に応じて無人飛行装置2の飛行指示を出力して、通信部24によって無人飛行装置2へ送信させる。飛行指示は、例えば、無人飛行装置2の飛行高度、飛行方向、飛行姿勢、飛行速度などを示す。
【0066】
表示部21は、タッチパネルなどで構成され、無人飛行装置2の操縦に関する情報を表示する。例えば、表示部21は、無人飛行装置2の撮像部12が撮像した清掃エリアの空撮画像の撮像データを通信部24によって無人飛行装置2から受信して表示する。これにより、作業者は、表示部21に表示された清掃エリアの空撮画像を確認しながら、操縦部20によって無人飛行装置2の飛行を操縦することができる。
【0067】
また、無人飛行装置2の手動飛行において清掃エリアの解析用の撮像データを取得するために、表示部21は、撮像部12の撮像を指示する撮像ボタンを操作可能に表示し、撮像ボタンの操作に応じて撮像指示を通信部24によって無人飛行装置2へ送信させる。
【0068】
更に、無人飛行装置2の自動飛行(事前飛行や自動収集飛行)を行うために、表示部21は、清掃エリアにおける自動飛行を指示する自動飛行ボタンを操作可能に表示し、自動飛行ボタンの操作に応じて自動飛行指示を通信部24によって無人飛行装置2へ送信させる。なお、表示部21は、無人飛行装置2の事前飛行や自動収集飛行を個別に指示可能なボタンを備えていてもよい。
【0069】
なお、操縦装置3は、タブレット端末やスマートフォンで代替されてもよく、その場合に操縦部20や撮像ボタンなどは、タッチパネル上のGUI(Graphical User Interface)により構成されてもよい。更に、操縦装置3は、音声入力操作技術を用いて操作可能に構成されてもよい。
【0070】
本発明の実施形態による自律走行清掃装置4について説明する。
【0071】
自律走行清掃装置4は、例えば、公園や駐車場などの広範囲な領域を清掃エリアとして、清掃エリアを走行しながら、清掃エリアの床面上または地面上に散乱した塵埃や落葉などのゴミを収集対象物として収集、清掃する。一例として、図4に示すように、清掃エリアである駐車場には、複数の駐車スペースが設けられ、駐車スペースには、非収集対象物である車両が駐車され、また、駐車場には、非収集対象物である壁が設けられている。そして、このような駐車場において、図5に示すように収集対象物である落葉が散乱した清掃エリアを自律走行清掃装置4は清掃の対象とする。
【0072】
図1に示すように、自律走行清掃装置4は、各部を収容するための装置本体30と、装置本体30を走行させる走行部31と、装置本体30の下方の床面や地面の清掃作業を実行する清掃部32と、走行部31の手動操作を受け付ける走行操作部33とを備える。
【0073】
また、自律走行清掃装置4は、装置本体30と周囲の壁、車両や障害物(例えば、置物など)などの非収集対象物との位置関係を計測する計測部34と、装置本体30の周囲の画像を撮像する撮像部35とを備える。また、自律走行清掃装置4は、図2に示すように、自律走行清掃装置4の各種機能の操作や各種情報の表示のための操作表示部36と、自律走行清掃装置4の各部に電力を供給し、バッテリー(図示せず)の残量監視や充電を制御するための電源部37とを備える。
【0074】
更に、自律走行清掃装置4は、自律走行清掃装置4の各部および各種機能(走行部31による走行、清掃部32による清掃作業、計測部34による計測など)を統括制御する制御部38と、走行部31の走行データや清掃部32の清掃データからなる清掃プランを記憶する記憶部39とを備える。また、自律走行清掃装置4は、無人飛行装置2などの外部機器と無線通信するための通信部40(第1通信部)を備える。
【0075】
次に、自律走行清掃装置4の動作の概要を説明する。
【0076】
自律走行清掃装置4は、清掃エリアの自動走行清掃を実行する前に、事前に清掃エリアの環境地図を取得し、自動走行清掃の走行データおよび清掃データを含む清掃プランを環境地図に基づいて作成する。自律走行清掃装置4は、清掃エリアに環境地図および清掃プランを関連付けて記憶部39に記憶する。走行データは、自動走行清掃の走行経路や走行状態を示し、清掃データは、自動走行清掃の清掃状態を示す。自律走行清掃装置4は、清掃エリアに所定の収集位置を設定して、この収集位置に収集対象物を収集した場合に、この収集位置における収集対象物を優先的に清掃するように清掃プランを作成する。自律走行清掃装置4は、清掃対象である清掃エリアに関連付けられた環境地図および清掃プランに基づいて自動走行清掃を行うように制御部38によって走行部31および清掃部32を制御する。
【0077】
清掃プランは、例えば、走行経路に沿った複数のステップで構成され、各ステップには、走行データおよび清掃データが関連付けられる。ステップの間隔は、所定の時間間隔(例えば、25ms)に設定されてもよく、あるいは、所定の移動距離(例えば、0.5m)に設定されてもよい。清掃プランは、清掃開始からの経過時間をステップ毎に関連付けて記憶してもよい。
【0078】
走行データは、例えば、走行部31の走行経路上の自己位置データ(環境地図上の自己位置を示すX座標およびY座標、開始位置の向きに対する角度)、操舵フラグ(直進、左折、右折)、進行方向への走行速度[m/s]および旋回速度[deg/s]を含み、走行データに基づいて走行経路を図化することができる。あるいは、走行速度は、複数段階の速度の何れかに切り替えられてよく、走行データは、走行速度の段階的な速度を数字(例えば、0~7の8段階)に換算して記憶するとよい。
【0079】
清掃データは、例えば、清掃部32のブラシ32aの回転数および吸引部32bの吸引量を含む。なお、ブラシ32aの回転数および吸引部32bの吸引量は、複数段階の強度の何れかに切り替えられてよく、清掃データは、回転数および吸引量の段階的な強度を数字(例えば、0~2の3段階や、0~4の5段階など)に換算して記憶するとよい。なお、清掃データは、ブラシ32aや吸引部32bの作動/停止、回転速度を含んでもよい。
【0080】
次に、自律走行清掃装置4の各部を説明する。
【0081】
走行部31は、装置本体30の下部に設けられていて、例えば、駆動輪として一対の前輪31aを備え、補助輪として後輪31bを備える。前輪31aは、進行方向前側で装置幅方向両側(左右側)に設けられ、左右一対の走行駆動用モータ(図示せず)と前輪回転用エンコーダ(図示せず)とを備える。走行部31は、走行駆動用モータを駆動して前輪31aを回転させることで装置本体30を前進させ、前輪31aの回転を停止させることで装置本体30を停止させる。走行駆動用モータの駆動を制御することで、自律走行清掃装置4(走行部31)の走行速度の調整(加減速)が行われる。なお、走行部31は、走行駆動用モータが前輪31aを逆転させることで装置本体30を後退させてもよい。
【0082】
また、一対の前輪31aは、操舵回転用エンコーダ(図示せず)を備え、一対の前輪31aを互いに逆方向に回転させることで装置本体30を左側または右側に信地旋回する。例えば、右前輪31aを正転させ、左前輪31aを逆転させることで左方向に旋回し、一方、右前輪31aを逆転させ、左前輪31aを正転させることで右方向に旋回する。一対の前輪31aのそれぞれの回転を制御することで、自律走行清掃装置4(走行部31)の旋回半径が調整される。
【0083】
後輪31bは、進行方向後側で装置幅方向中央に回転自在に設けられる。後輪31bは、一対の前輪31aの駆動による装置本体30の移動に応じて従動回転する。なお、本実施形態では、駆動輪の前輪31aと補助輪の後輪31bとを備える例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、例えば、他の実施形態では、補助輪の前輪31aと駆動輪の後輪31bとを備えてもよい。
【0084】
走行部31は、自律走行清掃装置4が清掃エリアの自動走行清掃を実行するとき、この清掃エリアに関連付けられた環境地図および清掃プランの走行データに基づく制御部38の制御に応じて動作する。
【0085】
清掃部32は、装置本体30の下部に設けられ、装置本体30の下方の床面または地面を清掃するように構成される。清掃部32は、自律走行清掃装置4が清掃エリアの自動走行清掃を実行するとき、この清掃エリアに関連付けられた環境地図および清掃プランの清掃データに基づく制御部38の制御に応じて動作する。
【0086】
清掃部32は、床面上や地面上の塵埃や落葉などのゴミを収集対象物として収集、清掃する乾式の清掃機構で構成される。清掃部32は、装置本体30の下方の床面や地面を掃いて床面上や地面上の収集対象物を収集するブラシ32aと、ブラシ32aによって収集した収集対象物を吸引する吸引部32bと、吸引部32bによって吸引した収集対象物を回収して蓄積する回収部32cと備える。また、清掃部32は、ブラシ32aを床面上または地面上で回転させるブラシ用モータ(図示せず)や吸引部32bによる吸引を稼働する吸引用モータ(図示せず)を備える。
【0087】
ブラシ32aは、装置幅方向両側(左右側)に並んで設けられ、左右のブラシ32aは、装置幅方向中央側で接触し、装置幅方向の外側に突出するような大きさで構成される。左ブラシ32aが上方視時計回りに回転し、右ブラシ32aが上方視反時計回りに回転して、幅方向中央側で前方から後方へ向かうように回転する。これにより、ブラシ32aの前方の収集対象物を幅方向中央側に収集しつつ後方へ収集する。吸引部32bは、ブラシ32aの後方に設けられ、例えば、吸引ブロアで構成される。吸引部32bは、回収部32cに接続されていて、吸引した収集対象物を回収部32cへと排出する。
【0088】
走行操作部33は、装置本体30の後上側に設けられ、作業者が手動操作可能なハンドルおよびスロットルを備える。なお、走行操作部33は、例えば、環境地図を作成する場合に、作業者による手動操作を受け付けるが、自動走行清掃を行う場合には、緊急停止ボタンの操作以外の手動操作を受け付けない。
【0089】
走行操作部33は、作業者によるハンドルの操舵量を電気信号に変換し、電気信号を走行駆動用モータに出力して駆動させることで、一対の前輪31aを回転させて装置本体30を左折(左旋回)または右折(右旋回)させる。走行操作部33のハンドルの操舵量に応じて自律走行清掃装置4(走行部31)の旋回半径が調整される。
【0090】
また、走行操作部33は、作業者によるスロットルの回動量(開度)を電気信号に変換し、電気信号を走行駆動用モータに出力して駆動させることで、一対の前輪31aを回転させて装置本体30を進行方向に前進させる。走行操作部33のスロットルの回動量に応じて自律走行清掃装置4(走行部31)の走行速度が調整される。
【0091】
計測部34は、装置本体30と周囲の壁や障害物などの非収集対象物との位置情報(例えば、装置本体30の進行方向に対する角度や距離)を計測するレーザーレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)34aなどを備える。計測部34は、装置本体30が走行している間、例えば、所定のタイミング毎(例えば、25ms毎)に非収集対象物との位置情報を計測する。LRF34aは、装置本体30の前側で左右方向に亘って切り欠いて形成された切り欠き部に配置され、図12に示すように、前側および左右両側に亘って計測範囲を有する。なお、図12では、LRF34aの計測範囲は、LRF34aの周囲の扇形で示されている。
【0092】
また、計測部34は、装置本体30から所定距離内の壁や障害物などの非収集対象物の有無を検知する超音波センサや赤外線センサなどの障害物検知部(図示せず)を備える。障害物検知部は、装置本体30が走行している間、常時稼働していてよく、走行を継続することで装置本体30と接触する可能性のある非収集対象物を検知して警報信号を出力する。
【0093】
撮像部35は、装置本体30の上部などに設けられ、自律走行清掃装置4の周囲画像を撮像して周囲画像データを生成する。撮像部35は、例えば、CCDカメラなどで構成される。
【0094】
操作表示部36は、装置本体30の後上側に設けられ、例えば、操作表示部36は、キースイッチと、緊急停止ボタンと、タッチパネルとを備える。また、操作表示部36は、環境地図作成ボタンと、環境地図入力ボタンと、自動走行清掃実行ボタンとを備える。操作表示部36は、装置本体30に取り付けられる操作表示パネルなどで構成されてよく、あるいは、装置本体30に対して着脱可能に装着されるタブレット端末などで構成されてもよい。なお、タブレット端末などで構成される操作表示部36は、通信部40によって無線通信を介して制御部38に接続されて、自律走行清掃装置4を遠隔操作可能となる。
【0095】
キースイッチは、オン、オフを切替可能に構成されている。キースイッチをオンに切り替えることで、電源部37から各部に電力が供給されて自律走行清掃装置4が稼働する一方、キースイッチをオフに切り替えることで、電源部37から各部への電力供給が停止されて自律走行清掃装置4の稼働が停止する。緊急停止ボタンは、操作されることで、自律走行清掃装置4の各部の動作、特に、自動走行清掃を強制的に停止(制動)する。
【0096】
タッチパネルは、制御部38からの制御信号に応じて様々な画面を表示し、各画面でのタッチ操作に基づく操作信号を制御部38へと送信する。例えば、キースイッチをオンにして自律走行清掃装置4を稼働すると、タッチパネルは、自律走行清掃装置4の自動走行清掃を操作可能な操作画面を表示する。操作画面は、例えば、自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図や走行経路、清掃プランの走行データや清掃データを識別可能に表示する。また、操作画面は、走行部31の走行速度、清掃部32のブラシ32aの回転数や吸引部32bの吸引量などを操作可能に構成されてよい。
【0097】
環境地図作成ボタンは、操作されることで、自律走行清掃装置4が清掃エリアを走行している間の計測部34の計測結果に基づいて制御部38にこの清掃エリアの環境地図を作成させる。このとき、自律走行清掃装置4は、走行操作部33の操作に応じて清掃エリアを手動走行してもよく、あるいは、計測部34の計測結果に基づいて清掃エリアを簡易的に自動走行してもよい。環境地図入力ボタンは、操作されることで、制御部38に外部機器から環境地図のデータを入力させる。自動走行清掃実行ボタンは、操作されることで、制御部38に自律走行清掃装置4の自動走行清掃を実行させる。なお、環境地図作成ボタン、環境地図入力ボタンおよび自動走行清掃実行ボタンは、タッチパネルの操作画面に操作可能に表示されてもよい。
【0098】
電源部37は、装置本体30内部に搭載されたバッテリー(電源)および充電回路を備え、外部電源に接続することでバッテリーが充電され、また、自律走行清掃装置4の各部へと電力を供給する。電源部37は、バッテリーの残量を示す信号を制御部38へと出力してもよい。
【0099】
制御部38は、CPUなどのコンピュータで構成され、図2に示すように、ROM、RAM、SSD、フラッシュメモリなどを含む記憶部39に接続されている。また、制御部38は、上記の走行部31、清掃部32、走行操作部33、計測部34、操作表示部36および電源部37などの自律走行清掃装置4の各部に接続されている。
【0100】
また、制御部38は、通信部40を介して外部機器と通信可能に接続される。通信部40は、装置本体30と別体となるタブレット端末などで構成される操作表示部36や、作業者の操縦装置3などの外部機器と、Bluetooth(登録商標)などの通信規格によって無線通信を行う。
【0101】
記憶部39は、自律走行清掃装置4の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御部38が、記憶部39に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各部および各種機能を統括制御する。例えば、制御部38は、記憶部39に記憶されたプログラムを実行することにより、図3に示すように、環境地図取得部60、データ反映部61、対象物判別部62、障害物認識部63、収集位置設定部64、清掃プラン作成部65、自動走行清掃制御部66および移動体判別部67として動作する。これにより、自律走行清掃装置4は、事前に記憶された清掃プランに従って自律的に走行し自動で作業することができる。記憶部39は、自動走行清掃の対象となる清掃エリアに関連付けて環境地図および清掃プランを記憶していて、複数の清掃エリアのそれぞれについて環境地図および清掃プランを記憶してよい。
【0102】
環境地図取得部60は、自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得して記憶部39に記憶するものである。例えば、環境地図取得部60は、操作表示部36の環境地図作成ボタンの操作に応じて、自律走行清掃装置4が清掃エリアを走行している間に、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などの技術を用いて、リアルタイムで自己位置の推定と環境地図の作成とを行う。なお、環境地図を作成する際の自律走行清掃装置4の走行は、走行操作部33の操作に応じて手動走行されてよく、あるいは、計測部34の計測結果に基づいて清掃エリアを簡易的に自動走行されてもよい。
【0103】
このとき、環境地図取得部60は、清掃エリアを走行している間に、計測部34の計測結果として、装置本体30と装置本体30の周囲の障害物との位置情報を取得し、この計測部34の計測結果に基づいて、所定の時間間隔毎または所定の距離間隔毎に、装置本体30の周囲の局所地図を作成する。環境地図取得部60は、局所地図と走行部31の各エンコーダによる検出結果(走行部31の移動量)とに基づいて、局所地図中の自律走行清掃装置4の自己位置(座標)を推定する。環境地図取得部60は、各局所地図をつなぎ合わせる(合成する)ことで清掃エリアの環境地図を作成する。
【0104】
あるいは、環境地図取得部60は、操作表示部36の環境地図入力ボタンの操作に応じて、外部機器からCADデータなどの環境地図のデータを入力してもよい。
【0105】
データ反映部61は、自動走行清掃の対象とする清掃エリアについて、無人飛行装置2が撮像した空撮画像の撮像データを環境地図に関連付けて記憶部39に記憶すると共に、環境地図に対して撮像データを反映させる。例えば、データ反映部61は、環境地図取得部60が清掃エリアの環境地図を取得した状態で、この清掃エリアの空撮画像の撮像データを通信部40によって無人飛行装置2から受信したとき、撮像データと環境地図との関連付けを行う。
【0106】
データ反映部61は、対象物判別部62によって撮像データから取得された非収集対象物の位置(座標)や大きさ(範囲)に関するデータや、非収集対象物のデータに基づいて収集位置設定部64によって設定された収集位置の位置(座標)や大きさ(範囲)に関するデータを環境地図に反映させ、同様に撮像データから取得された収集対象物の位置(座標)や大きさ(範囲)に関するデータを環境地図に重畳させる。あるいは、データ反映部61は、無人飛行装置2において対象物判別部53によって撮像データから取得された非収集対象物の位置(座標)や大きさ(範囲)に関するデータや、収集位置設定部54によって設定された収集位置の位置(座標)や大きさ(範囲)に関するデータを環境地図に反映させ、収集対象物の位置(座標)や大きさ(範囲)に関するデータを環境地図に重畳させてもよい。
【0107】
対象物判別部62は、通信部40によって無人飛行装置2から受信した清掃エリアの空撮画像の撮像データに基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する。例えば、対象物判別部62は、床面や地面と、落葉などの収集対象物と、壁などの非収集対象物とのそれぞれの形状や色の違いに基づいてセマンティックセグメンテーション手法などに代表される画像解析技術を利用して、収集対象物や非収集対象物を床面や地面と識別して判別し、更に、収集対象物や非収集対象物とを識別して判別する。対象物判別部62は、判別した収集対象物や非収集対象物の清掃エリアにおける位置(座標)や大きさ(範囲)のデータを判別結果として算出する。
【0108】
また、対象物判別部62は、清掃エリアの空撮画像の撮像データだけでなく、計測部34の計測結果に基づいて障害物認識部63が認識した障害物の認識情報に基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の非収集対象物を判別する。なお、対象物判別部62は、撮像部35によって自律走行清掃装置4の周囲画像を撮像した周囲画像データに基づいて、自律走行清掃装置4の周囲の収集対象物および非収集対象物を判別してもよい。
【0109】
障害物認識部63は、計測部34によって装置本体30と装置本体30の周囲の障害物との位置関係を計測した計測結果に基づいて、装置本体30の周囲の障害物を認識し、例えば、障害物の形状を認識する。また、障害物認識部63は、装置本体30に対する障害物の位置情報を取得する。障害物認識部63は、認識した障害物の形状や位置情報を認識情報とする。なお、障害物認識部63は、撮像部35によって自律走行清掃装置4の周囲画像を撮像した周囲画像データに基づいて、自律走行清掃装置4の周囲の障害物を認識してもよい。
【0110】
収集位置設定部64は、清掃エリアの撮像データおよび/または清掃エリアにおける障害物の認識情報に基づいて、または対象物判別部62によって判別された収集対象物や非収集対象物の判別結果に基づいて、清掃エリアにおいて収集対象物を収集すべき収集位置を判定して設定する。例えば、収集位置設定部64は、判別された非収集対象物のうち、自律走行清掃装置4に近い非収集対象物の一方の側であって、自律走行清掃装置4に近い側に収集位置を設定する。
【0111】
あるいは、収集位置設定部64は、収集対象物が最も集中している集中位置を判定し、その集中位置に近い非収集対象物の一方の側であって、その集中位置に近い側に収集位置を設定してもよい。なお、収集位置設定部64は、清掃エリアに対して一つの収集位置を設定してもよく、あるいは複数の収集位置を設定してもよい。
【0112】
清掃プラン作成部65は、データ反映部61によって清掃エリアの撮像データから取得された非収集対象物に関するデータが環境地図に反映されると、清掃エリアの床面上または地面上の土や砂などのゴミを清掃するように自動走行清掃を実行するための清掃プランを作成し、清掃エリアおよび環境地図に関連付けて記憶部39に記憶する。更に、収集対象物に関するデータが環境地図に重畳されると、清掃プラン作成部65は、この環境地図に基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物を清掃するように自動走行清掃を実行するための特別清掃プランを作成して、清掃エリアおよび環境地図に関連付けて、通常の清掃プランとは別に記憶部39に記憶する。なお、収集位置設定部64によって収集位置が設定されている場合には、清掃プラン作成部65は、収集位置における収集対象物を優先的に清掃するように自動走行清掃を実行するための特別清掃プランを作成する。清掃プラン作成部65は、環境地図における非収集対象物や障害物から安全距離を保つような走行経路の清掃プランを作成する。清掃プラン作成部65は、収集対象物がない位置では、清掃を停止するように清掃プランを作成してもよい。なお、清掃プラン作成部65は、作成した通常の清掃プランや特別清掃プランを操作表示部36に表示して、操作表示部36の操作に応じて編集可能にしてもよい。
【0113】
自動走行清掃制御部66は、操作表示部36の自動走行清掃実行ボタンの操作に応じて、自動走行清掃の対象となる清掃エリアに関連付けられた環境地図および清掃プランまたは特別清掃プランを記憶部39から読み出し、この環境地図や清掃プランまたは特別清掃プランの走行データおよび清掃データに基づいて、走行部31および清掃部32を制御して自動走行清掃を行う。自動走行清掃制御部66は、清掃エリアを清掃プランで自動走行清掃中、収集対象物を判別した位置では、自動走行清掃中の清掃プランを特別清掃プランに変更して自動走行清掃を継続してもよい。つまり、自動走行清掃制御部66は、環境地図に反映された収集対象物の分布状況に応じて、清掃プランおよび特別清掃プランの何れか一方に切り替え更新して自動走行清掃を継続してもよい。
【0114】
このとき、自動走行清掃制御部66は、清掃プランまたは特別清掃プランに対応する環境地図上の自律走行清掃装置4の自己位置を推定しながら自動走行清掃を実行する。例えば、自動走行清掃制御部66は、環境地図取得部60を利用してSLAMなどの技術を用いて局所地図を作成し、局所地図中の自律走行清掃装置4の自己位置を推定して、局所地図を環境地図にマッチングさせることで、環境地図上の自己位置を推定する。そして、自動走行清掃制御部66は、清掃プランまたは特別清掃プランの走行データのステップ毎の自己位置データと、環境地図上で推定される自己位置を合わせて走行部31を制御しつつ、清掃部32の清掃データに基づいてステップ毎に清掃作業を制御する。
【0115】
更に、自動走行清掃制御部66は、自動走行清掃において、計測部34の計測結果に基づいて非収集対象物の検知を行い、自律走行清掃装置4と非収集対象物との距離が所定の安全距離に近づくと減速するように走行部31を制御し、非収集対象物との距離が所定の安全距離以下になると停止するように走行部31を制御するとよい。
【0116】
なお、自動走行清掃制御部66は、移動体判別部67によって自律走行清掃装置4の周囲に移動または存在する移動体を判別した場合には、自動走行清掃を一時中断する。その後、移動体判別部67が移動体を判別しなくなると、自動走行清掃制御部66は、自動走行清掃を再開する。
【0117】
移動体判別部67は、自律走行清掃装置4の周囲(所定距離内)に移動または存在する人などの移動体を判別する。例えば、移動体判別部67は、人感センサなどで構成されて移動体を判別してよく、あるいは、撮像部35によって撮像された周囲画像データに基づいた画像マッチング技術を利用して移動体を判別してもよい。
【0118】
本実施形態の清掃システム1において、作業者が無人飛行装置2を操縦して手動飛行させる場合の自律走行清掃装置4の自動走行清掃の動作を図8図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0119】
先ず、図8に示すように、作業者は、操縦装置3を操作して無人飛行装置2を起動し(ステップS1)、操縦装置3の操縦部20を操作して無人飛行装置2を操縦して、自動走行清掃の対象となる清掃エリアの上空を手動飛行させる。このとき、操縦装置3は、飛行指示を無人飛行装置2へと送信し(ステップS2)、無人飛行装置2は、受信した飛行指示に応じて飛行制御部50が飛行部11を制御して手動飛行する(ステップS3)。なお、手動飛行中、無人飛行装置2は、撮像制御部52が撮像部12を制御して、無人飛行装置2の下方の空撮画像を撮像して確認用の撮像データを生成させて、操縦装置3へ送信する(ステップS4)。無人飛行装置2は、確認用の撮像データとして、動画を撮影して送信してもよいが、動画に限らず、数秒毎に静止画を撮影して逐一送信してもよい。
【0120】
操縦装置3は、確認用の撮像データを無人飛行装置2から受信して表示部21に表示し(ステップS5)、作業者は、表示部21に表示された空撮画像を確認しながら、無人飛行装置2を操縦可能となる。例えば、作業者は、表示部21の空撮画像から、図6および図7に示すように、清掃エリアの床面上または地面上の落葉などの収集対象物を確認して、飛行部11のダウンウォッシュを利用して、収集対象物を所定の収集方向(収集位置)に向けて吹き寄せ集めるように無人飛行装置2が飛行するように操縦することができる(ステップS6)。また、作業者は、表示部21の空撮画像から、図7に示すように、清掃エリアの床面上または地面上の壁などの非収集対象物を確認して、この非収集対象物の隣接位置を収集位置として収集対象物を吹き寄せ集めるように無人飛行装置2が飛行するように操縦することができる。
【0121】
収集対象物を収集位置に集めた後、清掃エリアの上空で無人飛行装置2を手動飛行させている間に、作業者は、操縦装置3の撮像送信ボタンを操作して、清掃エリアの解析用の撮像データを取得するために、無人飛行装置2に清掃エリアの空撮画像を撮像させる。このとき、操縦装置3は、撮像送信指示を無人飛行装置2へと送信し(ステップS7)、無人飛行装置2は、受信した撮像送信指示に応じて撮像制御部52が撮像部12を制御して、無人飛行装置2の下方の空撮画像を撮像させて撮像データを生成させる(ステップS8)。また、無人飛行装置2は、撮像した解析用の撮像データを自律走行清掃装置4へと送信する。無人飛行装置2は、解析用の撮像データとして、少なくとも1つの静止画を撮影して送信すればよい。
【0122】
なお、清掃エリアの解析用の撮像データの取得操作を完了すると、作業者は、操縦装置3の操縦部20を操作して無人飛行装置2を操縦して、手動飛行を終了させる。このとき、操縦装置3は、飛行終了の操縦指示を無人飛行装置2へと送信し(ステップS9)、無人飛行装置2は、受信した飛行終了の操縦指示に応じて、飛行制御部50が飛行部11を制御して手動飛行を終了し(ステップS10)、例えば、手動飛行の開始位置に戻るように制御する。あるいは、作業者は、無人飛行装置2の飛行終了までのすべての飛行を、操縦装置3の操作による手動飛行によって行ってもよい。なお、作業者は、無人飛行装置2を飛行終了させずにそのままホバリングさせ続けてもよい。
【0123】
一方、図9に示すように、自律走行清掃装置4は、起動後(ステップS11)、環境地図取得部60によって自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得して記憶部39に記憶しておく(ステップS12)。また、自律走行清掃装置4は、無人飛行装置2が撮像した清掃エリアの解析用の撮像データを無人飛行装置2から受信し(ステップS13)、対象物判別部62によって撮像データを画像解析して、非収集対象物の位置(座標)や大きさ(範囲)に関するデータおよび収集対象物の位置(座標)や大きさ(範囲)に関するデータを取得する(ステップS14)。更に、データ反映部61によって、取得した非収集対象物のデータを環境地図に反映させ、取得した収集対象物のデータを環境地図に重畳させる(ステップS15)。
【0124】
自律走行清掃装置4は、対象物判別部62によって、無人飛行装置2から受信した撮像データから取得した収集対象物および非収集対象物や収集位置のデータに基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する(ステップS16)。
【0125】
清掃エリアに収集対象物がない場合には(ステップS16:No)、自律走行清掃装置4は、清掃プラン作成部65によって、土や砂などのゴミを清掃するように自動走行清掃を実行するための通常の清掃プランを作成して(ステップS17)、清掃エリアおよび環境地図に関連付けて記憶部39に記憶する。
【0126】
一方、清掃エリアに収集対象物がある場合には(ステップS16:Yes)、自律走行清掃装置4は、清掃プラン作成部65によって、清掃エリアの非収集対象物のデータが反映され、収集対象物のデータが重畳された環境地図に基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物を優先的・重点的に清掃するように自動走行清掃を実行するための特別清掃プランを作成して(ステップS18)、清掃エリアおよび環境地図に関連付けて記憶部39に記憶する。
【0127】
次に、自律走行清掃装置4は、自動走行清掃制御部66によって、自動走行清掃の対象となる清掃エリアに関連付けられた環境地図および清掃プランまたは特別清掃プランに基づいて、走行部31および清掃部32を制御して自動走行清掃を実行する(ステップS19)。
【0128】
本実施形態の清掃システム1において、無人飛行装置2を自動飛行させる場合の自律走行清掃装置4の自動走行清掃の動作を図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0129】
先ず、作業者は、操縦装置3を操作して無人飛行装置2を起動し(ステップS21)、操縦装置3の自動飛行ボタンを操作して、自動走行清掃の対象となる清掃エリアにおける無人飛行装置2の自動飛行を行う(ステップS22)。このとき、操縦装置3は、自動飛行指示を無人飛行装置2へと送信し、無人飛行装置2は、受信した自動飛行指示に応じて自動飛行を開始し、先ず、飛行制御部50が事前飛行プランに基づいて飛行部11を制御して事前飛行する。なお、事前飛行中、無人飛行装置2は、撮像制御部52が撮像部12を制御して、清掃エリアの空撮画像を撮像して清掃エリアの解析用の撮像データを生成させる。すなわち、収集対象物の収集前の清掃エリアの撮像データを生成する(ステップS23)。
【0130】
清掃エリアの撮像データが生成されると、無人飛行装置2の対象物判別部53が、生成した撮像データを画像解析し(ステップS23)、清掃エリアの床面上または地面上の非収集対象物のデータを取得して自律走行清掃装置4に送信する(ステップS24)。更に、対象物判別部53は、生成した撮像データを画像解析することで清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物のデータを取得する(ステップS25)。その後、対象物判別部53は、飛行プラン作成部51によって収集飛行プランを作成するために、撮像データに基づいて清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する。また、無人飛行装置2の収集位置設定部54は、取得された収集対象物や非収集対象物のデータに基づいて、図14に示すように、清掃エリアにおいて収集対象物を収集すべき収集位置を判定して設定する(ステップS26)。
【0131】
清掃エリアの撮像データの画像解析により収集対象物および非収集対象物のデータが取得されると、無人飛行装置2の飛行プラン作成部51が、判別された収集対象物および非収集対象物や、設定された収集位置に基づいて収集飛行プランを作成する(ステップS27)。このとき、飛行プラン作成部51は、非収集対象物を避けて飛行しながら、ダウンウォッシュによって収集対象物を収集位置に吹き寄せ集めるように飛行する収集飛行プランを作成する。
【0132】
収集飛行プランが作成されると、飛行制御部50は、図14に示すように、収集飛行プランに基づいて飛行部11を制御して自動収集飛行を行う(ステップS28)。この自動収集飛行によって、無人飛行装置2は、図14および図15に示すように、飛行部11のダウンウォッシュを利用して、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物を収集位置に向けて吹き寄せ集める収集補助動作をするように飛行する。
【0133】
自動収集飛行の終了時に、飛行制御部50は、収集飛行プランに基づいて飛行部11を制御して事後飛行を行い、撮像制御部52が撮像部12を制御して、清掃エリアの空撮画像を撮像して清掃エリアの解析用の撮像データを生成させる。すなわち、収集対象物の収集後の清掃エリアの撮像データを生成し、生成した撮像データを対象物判別部53が画像解析する(ステップS29)。無人飛行装置2は、画像解析の結果より撮像データ中の収集対象物のデータを取得し、既に設定された収集位置のデータと共に自律走行清掃装置4へと送信する(ステップS30)。
【0134】
なお、取得された収集対象物のデータおよび既に設定された収集位置のデータを自律走行清掃装置4へと送信すると、無人飛行装置2は、自動飛行を終了する。飛行制御部50は、飛行部11を制御して自動飛行を終了し、例えば、自動飛行の開始位置に戻るように制御する。または、飛行制御部50は、無人飛行装置2を清掃エリア上でそのままホバリングし続けていてもよい。
【0135】
一方、自律走行清掃装置4は、起動後(ステップS31)、環境地図取得部60によって自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得して記憶部39に記憶しておく(ステップS32)。環境地図取得部60は、例えば、計測部34のLRF34aの計測結果に応じて環境地図を作成する。このとき、図12に示すように、清掃エリアにおけるLRF34aの計測範囲は、自律走行清掃装置4(LRF34a)の周囲の扇形で示されるが、ランダムに駐車された車両がLRF34aから見て障害物となって計測範囲を遮り、LRF34aの計測に死角が生じ、計測部34の計測結果からは検出できない非収集対象物が存在することがある。
【0136】
また、自律走行清掃装置4は、無人飛行装置2が取得した清掃エリアの非収集対象物のデータを無人飛行装置2から受信し、データ反映部61によって、この非収集対象物のデータを環境地図に反映させる(ステップS33)。このとき、無人飛行装置2の撮像範囲は、図13に破線で示すように、広範囲に亘っていて、撮像される清掃エリアの撮像データは、計測部34の計測結果では把握できない範囲を含む。そのため、撮像データを画像解析して取得した非収集対象物を環境地図に反映することで、計測部34の計測結果からは車両などの障害物の死角となって検出できない清掃エリアの存在を環境地図に反映することができる。その後、収集対象物と収集位置を反映すればよい。死角の無い清掃エリア全体を環境地図に反映することで、死角に存在する収集対象物を確実に清掃することができる。
【0137】
自律走行清掃装置4は、データ反映部61によって、無人飛行装置2から受信した収集対象物および収集位置のデータに基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物を環境地図に重畳し、収集位置を環境地図に反映する(ステップS35)。
【0138】
清掃エリアに収集対象物がない場合には(ステップS36:No)、自律走行清掃装置4は、清掃プラン作成部65によって、土や砂などのゴミを清掃するように自動走行清掃を実行するための通常の清掃プランを作成して(ステップS37)、清掃エリアおよび環境地図に関連付けて記憶部39に記憶する。
【0139】
一方、清掃エリアに収集対象物がある場合には(ステップS36:Yes)、自律走行清掃装置4は、清掃プラン作成部65によって、清掃エリアの非収集対象物と収集位置のデータが反映され、収集対象物のデータが重畳された環境地図に基づいて、図15に示すように、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物を清掃するように自動走行清掃を実行するための特別清掃プランを作成して(ステップS38)、清掃エリアおよび環境地図に関連付けて記憶部39に記憶する。
【0140】
次に、自律走行清掃装置4は、自動走行清掃制御部66によって、自動走行清掃の対象となる清掃エリアに関連付けられた環境地図および清掃プランまたは特別清掃プランに基づいて、走行部31および清掃部32を制御して自動走行清掃を実行する(ステップS39)。
【0141】
上記のように無人飛行装置2が対象物判別部53および収集位置設定部54を備える構成では、無人飛行装置2の制御部16に大きな演算能力が求められ、実施できる無人飛行装置2が限られてしまう。そこで、自律走行清掃装置4の対象物判別部62や障害物認識部63および収集位置設定部64を利用して、撮像データ中に収集対象物、非収集対象物、収集位置を設定する場合の動作について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0142】
作業者は、操縦装置3を操作して無人飛行装置2を起動し(ステップS41)、操縦装置3の自動飛行ボタンを操作して、自動走行清掃の対象となる清掃エリアにおける無人飛行装置2の自動飛行を行う(ステップS42)。このとき、操縦装置3は、自動飛行指示を無人飛行装置2へと送信し、無人飛行装置2は、受信した自動飛行指示に応じて事前の自動飛行を開始しする。自動飛行中、無人飛行装置2は、撮像制御部52が撮像部12を制御して、清掃エリアの空撮画像を撮像して清掃エリアの解析用の撮像データを生成し、自律走行清掃装置4に送信する(ステップS43)。
【0143】
一方、自律走行清掃装置4は、上記と同様に、起動後(ステップS51)、環境地図取得部60によって自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得して記憶部39に記憶しておく(ステップS52)。また、自律走行清掃装置4は、無人飛行装置2から撮像データを受信すると(ステップS53)、対象物判別部62が、撮像データに基づいて画像解析を実施し、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物のデータを取得して判別する(ステップS54)。一方、データ反映部61によって非収集対象物のデータを環境地図に反映し(ステップS55)、清掃プラン作成部65によって、清掃エリアの土や砂などのゴミを清掃するように自動走行清掃を実行するための通常の清掃プランを事前に作成する(ステップS56)。その後、画像解析の結果から取得して判別した非収集対象物および収集対象物のデータに基づいて、収集位置設定部64は、図14に示すように、清掃エリアにおいて収集対象物を収集すべき収集位置を設定する。自律走行清掃装置4は、判別した非収集対象物および収集対象物のデータおよび設定した収集位置のデータを無人飛行装置2に送信する(ステップS57)。
【0144】
無人飛行装置2は、非収集対象物および収集対象物のデータおよび設定した収集位置のデータを受信すると(ステップS44)、飛行プラン作成部51が、判別された収集対象物および非収集対象物や、設定された収集位置に基づいて収集飛行プランを作成する(ステップS45)。無人飛行装置2の飛行制御部50は、作成された収集飛行プランに基づいて飛行部11を制御して自動収集飛行を行い、収集対象物を収集位置に向けて吹き寄せ集める(ステップS46)。自動収集飛行の終了時に、飛行制御部50は、収集飛行プランに基づいて飛行部11を制御して事後飛行を行い、撮像制御部52が撮像部12を制御して、清掃エリアの空撮画像を撮像して清掃エリアの解析用の撮像データを生成させる。すなわち、収集対象物の収集後の清掃エリアの撮像データを生成し、自律走行清掃装置4に送信する(ステップS47)。
【0145】
自律走行清掃装置4は、自動収集飛行を行った無人飛行装置2から解析用の撮像データを受信すると、対象物判別部62が、撮像データに基づいて画像解析を実施し、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物のデータを取得し判別する(ステップS58)。画像解析の結果、受信した撮像データ中に収集対象物がない場合には(ステップS59:No)、自動走行清掃制御部66は、清掃エリアに関連付けられた環境地図および清掃プラン作成部65によって既に作成済みの土や砂などのゴミを清掃するように自動走行清掃を実行するための通常の清掃プランの走行データおよび清掃データに基づいて、走行部31および清掃部32を制御して自動走行清掃を行う(ステップS62)。
【0146】
一方、画像解析の結果、受信した撮像データ中に収集対象物がある場合には(ステップS59:Yes)、データ反映部61によって、取得した収集対象物のデータを環境地図に重畳し、収集位置のデータを環境地図に反映して設定し(ステップS60)、清掃プラン作成部65によって、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物を清掃するように自動走行清掃を実行するための特別清掃プランを作成して、清掃エリアおよび環境地図に関連付けて記憶部39に記憶する。その後、清掃プラン作成部65によって、清掃エリアを自動走行清掃するための通常の清掃プランが特別清掃プランに更新される(ステップS61)。次に、自律走行清掃装置4は、自動走行清掃制御部66によって、自動走行清掃の対象となる清掃エリアに関連付けられた環境地図および特別清掃プランに基づいて、走行部31および清掃部32を制御して自動走行清掃を実行する(ステップS62)。
【0147】
例えば、自律走行清掃装置4は、上述の無人飛行装置2から送信された撮像データの画像解析により取得された非収集対象物のデータを先行で環境地図に反映して事前に清掃プランを作成した後すぐに自動走行清掃を実施してもよい。更に、自律走行清掃装置4は、通常の清掃プランの自動走行清掃を実施中に無人飛行装置2から送信された撮像データを画像解析して収集対象物のデータを判別した場合、この収集対象物のデータに基づいて特別清掃プランを作成し、清掃プランから特別清掃プランに更新して自動走行清掃を継続してもよい。
【0148】
上記のように、本実施形態によれば、自律的に走行し自動で清掃する自動走行清掃を実行可能な自律走行清掃装置4を備えた清掃システム1は、無人飛行装置2を更に備える。自律走行清掃装置4は、装置本体30と、装置本体30を走行させる走行部31と、装置本体30の走行経路上で清掃を行う清掃部32と、自動走行清掃を行う清掃エリアの環境地図を取得する環境地図取得部60として機能する制御部38と、無人飛行装置2と無線通信を行う通信部40(第1通信部)と、を備える。無人飛行装置2は、撮像部12と、自律走行清掃装置4と無線通信を行う通信部18(第2通信部)と、を備える。撮像部12は、無人飛行装置2が清掃エリアの上空を飛行したときに、清掃エリアを上空から撮像して撮像データを生成する。通信部18は、通信部40と無線通信を行って撮像データを自律走行清掃装置4へ送信する。自律走行清掃装置4の制御部38は、撮像部12によって撮像された撮像データを環境地図に関連付けることで、撮像データを環境地図に反映させるデータ反映部61として機能する。
【0149】
このような構成により、清掃システム1は、無人飛行装置2が撮影した清掃エリアの撮像データを環境地図に反映させることで、自律走行清掃装置4が確認できない死角の情報を取得することができ、清掃エリアをより詳細に示す環境地図を取得することができる。従って、自律走行清掃装置4は、清掃エリアの全体を認識することができる。
【0150】
また、本実施形態では、自律走行清掃装置4の制御部38は、撮像部12によって撮像された撮像データに基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する対象物判別部62として機能する。データ反映部61は、対象物判別部62によって判別された収集対象物および非収集対象物を環境地図に反映する。自律走行清掃装置4の制御部38は、環境地図に基づいて収集対象物を清掃するように自動走行清掃を実行するための清掃プランを作成する清掃プラン作成部65として機能し、清掃プランに基づいて自動走行清掃を実行する自動走行清掃制御部66として機能する。
【0151】
これにより、自律走行清掃装置4が確認できない死角の情報を取得することができ、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より確実に収集することができる清掃プランを作成することができる。
【0152】
また、本実施形態では、無人飛行装置2は、飛行時のダウンウォッシュを利用して収集対象物を清掃エリア内の所定の収集位置に吹き寄せ集める収集動作を制御する飛行制御部50として機能する制御部16を備える。撮像部12は、収集動作の実行後に、収集位置を含む清掃エリアを撮像して撮像データを生成する。データ反映部61は、撮像データに撮像された収集位置を環境地図に反映する。清掃プラン作成部65は、環境地図に基づいて収集位置における収集対象物を優先的に清掃するように自動走行清掃を実行するための清掃プランを作成する。
【0153】
これにより、自律走行清掃装置4は、収集対象物を収集させた収集位置の清掃をすれば、清掃エリアの収集対象物の大部分を清掃できることになり、清掃効率を向上することができる。そのため、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より容易且つより確実に収集することができる。
【0154】
また、本実施形態では、自律走行清掃装置4の制御部38は、装置本体30の周囲の障害物の位置関係を計測した計測結果に基づいて、障害物を認識する障害物認識部63として機能する。対象物判別部62は、障害物認識部63によって認識された障害物の認識情報に基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の非収集対象物を判別する。また、自律走行清掃装置4の制御部38は、対象物判別部62によって撮像データまたは認識情報に基づいて判別された非収集対象物の一方の側に収集位置を設定する収集位置設定部64として機能する。
【0155】
これにより、収集位置で非収集対象物を利用することで、収集対象物をより確実に吹き寄せ集めることができ、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より容易且つより確実に収集して清掃することができる。
【0156】
換言すれば、本実施形態では、無人飛行装置2は、清掃エリアの上空を飛行したときに、清掃エリアの空撮画像を上空から撮像して撮像データを生成する撮像部12と、制御部16と、自律走行清掃装置4と無線通信を行う通信部18とを備える。制御部16は、撮像部12によって撮像された撮像データに基づいて、清掃エリアの床面上または地面上の収集対象物および非収集対象物を判別する対象物判別部53として機能し、対象物判別部53によって撮像データに基づいて判別された非収集対象物の一方の側に収集位置を設定する収集位置設定部54として機能し、飛行時のダウンウォッシュを利用して収集対象物を清掃エリア内の収集位置に吹き寄せ集める収集動作を制御する飛行制御部50として機能する。撮像部12は、収集動作の実行後に、収集位置を含む清掃エリアを撮像して撮像データを生成する。通信部18は、収集動作の実行後に撮像部12によって撮像した撮像データを、自律走行清掃装置4と無線通信を行って自律走行清掃装置4へ送信する。
【0157】
これにより、無人飛行装置2は、収集対象物を収集させた収集位置を自律走行清掃装置4に提供することができるので、自律走行清掃装置4はこの収集位置の清掃をすれば、清掃エリアの収集対象物の大部分を清掃できることになり、清掃効率を向上することができる。そのため、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より容易且つより確実に収集することができる。
【0158】
また、本実施形態では、無人飛行装置2は、撮像データに基づいて自律走行清掃装置4の位置を検出する清掃装置検出部55を更に備える。収集位置設定部54は、対象物判別部53によって判別された非収集対象物のうち、自律走行清掃装置4に近い非収集対象物の一方の側に収集位置を設定する。
【0159】
これにより、自律走行清掃装置4に近い非収集対象物を収集位置として利用することで、収集対象物をより確実に吹き寄せ集めることができ、清掃エリアの収集対象物を残すことのないように、より容易且つより確実に収集することができる。
【0160】
また、本実施形態では、清掃装置検出部55は、自律走行清掃装置4が送出したビーコン信号を検出して自律走行清掃装置4の位置を検出する。
【0161】
例えば、清掃装置検出部55は、自律走行清掃装置4が周囲の障害物の位置関係を計測するためにレーザーレンジファインダによって送出した赤外線をビーコン信号として検出して自律走行清掃装置4の位置を検出する。
【0162】
これにより、自律走行清掃装置4の位置をより容易且つより確実に把握した上で、自律走行清掃装置4に近い非収集対象物を、収集対象物の収集位置として利用することができ、収集対象物をより確実に吹き寄せ集めることができる。
【0163】
また、本実施形態では、無人飛行装置2は、清掃エリアの床面上または地面上を移動する移動体を判別する移動体判別部56を備え、飛行制御部50は、移動体判別部56によって移動体を判別した場合には、飛行を中断する。
【0164】
これにより、無人飛行装置2が、清掃エリアの空撮画像を撮像するための飛行や、収集対象物を収集するための飛行において、人などの移動体が存在する場合には飛行を中断することで、安全性を向上することができる。
【0165】
なお、上記した実施形態では、清掃エリアに非収集対象物がある場合に、無人飛行装置2の収集位置設定部54や、自律走行清掃装置4の収集位置設定部64が、非収集対象物の一方の側に収集位置を設定する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、図16に示すように、清掃エリアに非収集対象物がない場合には、収集位置設定部54や収集位置設定部64は、収集位置を設定する非収集対象物を判別することができない。
【0166】
そこで、作業者は、図17に示すように、清掃エリアを区切る屏風や衝立などのランドマークを清掃エリアの床面上または地面上に立設し、収集位置設定部54や収集位置設定部64は、撮像部12が撮像した清掃エリアの撮像データに基づいてランドマークを認識し、認識したランドマークの一方の側に収集位置を設定してもよい。なお、ランドマークは、無人飛行装置2の撮像部12が撮像した撮像データや自律走行清掃装置4の計測部34が計測した計測結果から識別できるように、繰り返し形状を有して構成されるとよい。
【0167】
例えば、無人飛行装置2の対象物判別部53や自律走行清掃装置4の対象物判別部62によって、清掃エリアの撮像データに基づいて非収集対象物が判別されない場合、無人飛行装置2、操縦装置3または自律走行清掃装置4によって、非収集対象物がないことを作業者へ報知し、ランドマークの設置を促してもよい。
【0168】
これにより、収集対象物を吹き寄せ集める非収集対象物が清掃エリアにない場合でも、収集対象物を吹き寄せ集めるためのランドマークを簡単に清掃エリアに設置することができ、収集対象物を吹き寄せ集めることができるようになる。
【0169】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う清掃システム、無人飛行装置および自律走行清掃装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、自律的に走行し自動で清掃する自動走行清掃を実行可能な自律走行清掃装置によって、公園や駐車場などの広範囲な領域を清掃エリアとして、清掃エリアを走行しながら、清掃エリアの床面上または地面上に散乱した塵埃や落葉などのゴミを収集対象物として収集、清掃する清掃ロボットに好適に利用することができる。また、本発明は、カメラなどの撮像部を備えたドローンなどの無人飛行装置を、自動走行清掃を行う清掃ロボットなどの自律走行清掃装置を備える清掃システムに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0171】
1 清掃システム
2 無人飛行装置
3 操縦装置
4 自律走行清掃装置
11 飛行部
12 撮像部
16 制御部
18 通信部(第2通信部)
31 走行部
32 清掃部
34 計測部
38 制御部
40 通信部(第1通信部)
50 飛行制御部
51 飛行プラン作成部
52 撮像制御部
53 対象物判別部
54 収集位置設定部
55 清掃装置検出部
56 移動体判別部
60 環境地図取得部
61 データ反映部
62 対象物判別部
63 障害物認識部
64 収集位置設定部
65 清掃プラン作成部
66 自動走行清掃制御部
67 移動体判別部
図1
図2
図3
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図5
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