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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162230
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】蓋固定具
(51)【国際特許分類】
   B65D 55/10 20060101AFI20221017BHJP
   B65D 45/18 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B65D55/10
B65D45/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066937
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】中井 英嗣
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA26
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC05
3E084DA03
3E084DC05
3E084FA09
3E084FD02
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB26
3E084LB02
3E084LB09
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】固定力を強くすることができる蓋固定具を提供する。
【解決手段】操作部40を後方へ押圧操作すると、第1の壁10が第2の壁20に向けて弾性変形し、第1の壁10の内面12に形成されている各補強リブ17が、引っ掛け部50の各凹部54および第2の壁20の各貫通孔29に受容される。これにより、第1の壁10の第2の壁20に向けて変位するときのストローク長を長くすることができるため、第1の係止部16の係止面16cが容器本体200のフランジ部201の裏面201aに係止されている、かかり代を増やすことができるので、固定力を強くすることができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋に貫通形成された第1の孔と、容器本体に形成された第2の孔とに挿通することにより、前記蓋を前記容器本体に固定するための蓋固定具であって、
相互に離間した第1の壁および第2の壁と、
前記第1の壁および前記第2の壁の各下端間を接続するように形成された接続部と、
前記第1の壁の外面に形成されており、前記容器本体に係止される第1の係止部と、
前記第1の壁および前記第2の壁の少なくとも一方に形成されており、前記蓋に引っ掛けられる引っ掛け部と、
前記第1の壁に設けられており、前記第2の壁に向けて押圧操作されることにより、前記第1の壁を前記第2の壁に向けて変位させるための操作部と、を備えており、
前記操作部が押圧操作されることにより前記第2の壁に向けて変位する前記第1の壁のうち、第2の壁の方を向いている部分の少なくとも一部を受容可能な受容部が、少なくとも前記第2の壁に形成されていることを特徴とする蓋固定具。
【請求項2】
前記受容部の一部が、前記引っ掛け部に形成されており、かつ、前記第2の壁に形成された前記受容部と連続していることを特徴とする請求項1に記載の蓋固定具。
【請求項3】
前記第1の孔および前記第2の孔の少なくとも一方に配置された状態となることにより当該蓋固定具の動きを規制するための規制部が、前記第2の壁の両側の側端から、それぞれ前記第1の壁の両側の側端に向けてそれぞれ形成されており、
前記各規制部のうち、前記第1の壁の両側の側端の方に位置する各側端は、前記各規制部の外面から見て前記第1の壁の外面と一致する位置、または、前記第1の壁の外面を超える位置までそれぞれ延出されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓋固定具。
【請求項4】
前記引っ掛け部の一部は、
前記各規制部の各上端と連続しており、かつ、前記各規制部の各上端から外方に張り出すように形成されており、
前記蓋の裏面に係止される第2の係止部が前記各規制部の各外面にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓋固定具。
【請求項5】
前記操作部には、
前記第1の壁の上端から外方に延出された延出部と、
前記延出部から上方に延出されており、押圧操作する部分である押圧操作部と、
前記押圧操作部と前記延出部とを連結するように形成された連結部と、が備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の蓋固定具。
【請求項6】
前記第2の壁に向けて変位する前記第1の壁のうち、第2の壁の方を向いている部分の少なくとも一部は、
前記第1の壁の内面に形成されており、当該第1の壁を補強するための補強リブであり、前記補強リブと前記連結部とが連続していることを特徴とする請求項5に記載の蓋固定具。
【請求項7】
前記第1の壁、前記第2の壁および前記接続部により構成される胴部は、
縦断面が略V字状に形成されており、
前記第1の壁と前記第2の壁との間には、それぞれの上端から前記接続部に近づくにつれて間隔が狭くなる空間が形成されており、
当該蓋固定具が取り付けられた前記蓋が上下に段積みされた状態において、上段側の蓋に取り付けられた前記蓋固定具の下端部が、下段側の前記蓋固定具の前記空間に受容可能となることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の蓋固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋を容器本体に固定するための蓋固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、本出願人が先の出願において提案した蓋固定具の縦断面図である。蓋固定具Cは、断面略U字状に形成された胴部5を備えている。胴部5は、合成樹脂により形成されており、弾性変形可能になっている。胴部5を構成する後方の壁5aの外面の上部には、幅方向全体に嵌合爪6が突出形成されており、その上部に所定間隔離間してフランジ部K2が形成されている。一方、胴部5を構成する前方の壁5bには、所定間隔離間してスリット(図示省略)が形成されており、3つに分割されている。図では3つに分割された壁5bのうち中央の壁5bの縦断面図を示している。そして、3つに分割された両側の壁5bの外面には、嵌合爪7がそれぞれ形成されており、その上部にはフランジ部K1がそれぞれ形成されている。他方、中央の壁5bの外面には、突条9が突出形成されている。また、中央の壁5bは両側の壁よりも背が高く形成されており、その背が高く延長された部分は、突条9を後方(図中Fで示す方向)に揺動操作するレバー部Lとして機能している。
【0003】
蓋固定具Cが取付けられる蓋体Kの端部には、蓋固定具Cを挿入可能な大きさの長孔4が形成されている。容器本体3の開口端部にはフランジ部3aが形成されており、そのフランジ部3aには、蓋固定具Cの下端部を挿入可能な係止孔8が形成されている。
蓋固定具Cを蓋体Kの長孔4に挿入すると、蓋固定具Cに設けられた両側の嵌合爪6および嵌合爪7が、蓋体Kの長孔4に係止され、蓋固定具Cが蓋体Kに仮止めされる。次に、蓋固定具Cが取付けられた蓋体Kを容器本体3に合致させると、蓋体Kに取付けられた蓋固定具Cの下端部が容器本体3の係止孔8に挿入され、前方の壁5bが後方に弾性変形し、突条9が係止孔4を乗り越え、フランジ部3aの裏面に係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4223156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、上述した蓋固定具Cを提案した後、さらに蓋固定具の研究を行う過程において新たな課題を発見した。つまり、蓋固定具Cの固定力を強くするためには、突条9がフランジ部3aの裏面に対して係止されている部分の前後方向の長さ、つまり、かかり代Wを増やす必要があるが、かかり代Wが増えると、蓋固定具Cの係止状態を解除して蓋体Kを取り外すために、レバー部Lが後方(図中Fで示す方向)へ変位可能な長さ、つまり、ストローク長を増やす必要がある。
しかし、レバー部Lのストローク長を増やすと、前方の壁5bが、後方の壁5aと干渉するため、ストローク長の増加には限界があり、かかり代Wの増加に制約が発生するという課題を発見した。特に、長孔4および係止孔8の前後の幅、つまり、短手方向の長さが短い場合は、レバー部Lのストローク長が必然的に短くなるため、かかり代Wの増加に対する制約がより一段と大きくなる。また、係止孔8の短手方向の長さが短くなった場合に、レバー部Lを薄肉に形成することにより、かかり代Wを増加させた分のストローク長を確保するという構造も考えられるが、必然的にレバー部Lの強度が低下してしまうので、そのような構造は採用し難い。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するために創出されたものであって、固定力を強くすることができる蓋固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明の蓋固定具は、蓋に貫通形成された第1の孔と、容器本体に形成された第2の孔とに挿通することにより、蓋を容器本体に固定するための蓋固定具であって、相互に離間した第1の壁および第2の壁と、第1の壁および第2の壁の各下端間を接続するように形成された接続部と、第1の壁の外面に形成されており、容器本体に係止される第1の係止部と、第1の壁および第2の壁の少なくとも一方に形成されており、蓋に引っ掛けられる引っ掛け部と、第1の壁に設けられており、第2の壁に向けて押圧操作されることにより、第1の壁を第2の壁に向けて変位させるための操作部と、を備えており、操作部が押圧操作されることにより第2の壁に向けて変位する第1の壁のうち、第2の壁の方を向いている部分の少なくとも一部を受容可能な受容部が、少なくとも第2の壁に形成されていることを第1の特徴とする。
【0008】
第1の壁に設けられた操作部を押圧操作することにより、第1の壁を第2の壁に向けて変位させると、第1の壁のうち、第2の壁の方を向いている部分の少なくとも一部が、少なくとも第2の壁に形成されている受容部に受容される。
従って、少なくとも第2の壁に受容部が形成されていない構成と比較して、第1の壁の第2の壁の方向に対する変位可能な長さであるストローク長を増やすことができ、その分、第1の係止部の容器本体に対する、かかり代を増加させることができるので、蓋固定具の固定力を強くすることができる。
【0009】
また、本発明の蓋固定具は、前述した第1の特徴において、受容部の一部が、引っ掛け部に形成されており、かつ、第2の壁に形成された受容部と連続していることを第2の特徴とする。
【0010】
受容部の一部が、引っ掛け部に形成されており、かつ、第2の壁に形成された受容部と連続しているため、第1の壁のうち、第2の壁の方を向いている部分の少なくとも一部を、引っ掛け部に形成された受容部の一部と、第2の壁に形成された受容部とに受容することができ、引っ掛け部が受容の障害にならないので、第1の壁のストローク長を確保することができる。
【0011】
また、本発明の蓋固定具は、前述した第1または第2の特徴において、第1の孔および第2の孔の少なくとも一方に配置された状態となることにより当該蓋固定具の動きを規制するための規制部が、第2の壁の両側の側端から、それぞれ第1の壁の両側の側端に向けてそれぞれ形成されており、各規制部のうち、第1の壁の両側の側端の方に位置する各側端は、各規制部の外面から見て第1の壁の外面と一致する位置、または、第1の壁の外面を超える位置までそれぞれ延出されていることを第3の特徴とする。
【0012】
当該蓋固定具を第1の孔および第2の孔に挿入すると、各規制部が第1の孔および第2の孔の少なくとも一方に配置された状態となり、当該蓋固定具の動きを規制することができるため、操作部を押圧操作するときに蓋固定具が動かないので、安定した押圧操作を行うことができる。
また、各規制部のうち、第1の壁の両側の側端の方に位置する各側端は、各規制部の外面から見て第1の壁の外面と一致する位置、または、第1の壁の外面を超える位置まで延出されている。換言すると、各規制部の外面から見て、第1の壁の外面は、各規制部の各側端から突出していない。これにより、当該蓋固定具が第1の孔および第2の孔に挿入された状態において、各規制部の各側端が第1の孔および第2の孔の各内壁面に接触することにより、第1の壁、第2の壁および接続部から構成される構造部分が、第1の孔および第2の孔の各内壁面から応力を受けて弾性変形した状態にならないため、上記の構造部分が弾性変形により疲労しないようにすることができるので、蓋固定具の寿命を延ばすことができる。
【0013】
また、本発明の蓋固定具は、前述した第3の特徴において、引っ掛け部の一部は、各規制部の各上端と連続しており、かつ、各規制部の各上端から外方に張り出すように形成されており、蓋の裏面に係止される第2の係止部が各規制部の各外面にそれぞれ形成されていることを第4の特徴とする。
【0014】
引っ掛け部の一部は、各規制部の各上端と連続しており、かつ、各規制部の各上端から外方に張り出すように形成されているため、当該蓋固定具の剛性を高めることができ、かつ、動きを強く規制することができるので、より一段と安定した状態で操作部を押圧操作することができる。
さらに、蓋の裏面に係止される第2の係止部が各規制部の各外面にそれぞれ形成されているため、蓋を容器本体から外したときに、当該蓋固定具が蓋に取付けられた状態にすることができる。これにより、当該蓋固定具が蓋に取付けられた状態にて蓋を容器本体に装着することにより、蓋と容器本体とを固定することができる。
さらに、蓋の裏面に係止される第2の係止部が各規制部の各外面にそれぞれ形成されているため、当該蓋固定具と蓋との係止力を強くすることができる。さらに、蓋固定具を単独で紛失しないようにすることもできる。
【0015】
また、本発明の蓋固定具は、前述した第1ないし第4の特徴のいずれか1つにおいて、操作部には、第1の壁の上端から外方に延出された延出部と、延出部から上方に延出されており、押圧操作する部分である押圧操作部と、押圧操作部と延出部とを連結するように形成された連結部と、が備えられていることを第5の特徴とする。
【0016】
押圧操作する部分である押圧操作部は、第1の壁の上端から外方に延出された延出部から上方に延出されているため、押圧操作時に障害となるものが無く、押圧操作を行い易い。さらに、押圧操作部と延出部とを連結するように形成された連結部を備えているため、押圧操作部の強度を高めることもできるので、押圧操作時に押圧操作部が破損するおそれがない。
【0017】
また、本発明の蓋固定具は、前述した第5の特徴において、第2の壁に向けて変位する第1の壁のうち、第2の壁の方を向いている部分の少なくとも一部は、第1の壁の内面に形成されており、当該第1の壁を補強するための補強リブであり、補強リブと連結部とが連続していることを第6の特徴とする。
【0018】
第1の壁を補強するための補強リブが第1の壁の内面に形成されているため、第1の壁の強度を高めることができる。さらに、補強リブと、押圧操作部と延出部とを連結するように形成された連結部とが連続しているため、押圧操作部および第1の壁から構成される部分の強度を高めることもできる。さらに、受容部は補強リブを受容可能であるため、第1の壁の内面に補強リブが形成されていることにより、第1の壁の第2の壁に対するストローク長が短くなることがないため、第1の係止部のかかり代を増加させることができるので、蓋固定具の固定力を強くすることができる。
【0019】
また、本発明の蓋固定具は、前述した第1ないし第6の特徴のいずれか1つにおいて、第1の壁、第2の壁および接続部により構成される胴部は、縦断面が略V字状に形成されており、第1の壁と第2の壁との間には、それぞれの上端から接続部に近づくにつれて間隔が狭くなる空間が形成されており、当該蓋固定具が取り付けられた蓋が上下に段積みされた状態において、上段側の蓋に取り付けられた蓋固定具の下端部が、下段側の蓋固定具の空間に受容可能となることを第7の特徴とする。
【0020】
第1の壁と第2の壁との間には、それぞれの上端から接続部に近づくにつれて間隔が狭くなる空間が形成されており、当該蓋固定具が取り付けられた蓋が上下に段積みされた状態において、上段側の蓋に取り付けられた蓋固定具の下端部が、下段側の蓋固定具の空間に受容可能となるため、当該蓋固定具が取り付けられた蓋を上下に段積みしたときに、その段積みされた複数の蓋から構成される部分が嵩張らないようにすることができる。つまり、複数の蓋を段積みして保管するときの保管効率を良くすることができる。
ところで、第1の孔および第2の孔がそれぞれ平面視長方形に形成されている場合に、第1の孔および第2の孔の短手方向の長さを前後幅とすると、第1の壁および第2の壁により構成される胴部の縦断面が略U字状の場合は、第2の孔の前後幅が第1の孔の前後幅と略同一でなければ、第1の孔に挿入した胴部の下部をさらに第2の孔まで挿入することができない。
しかし、第7の特徴を有する本発明の蓋固定具の胴部は、縦断面が略V字状に形成されているため、第2の孔の前後幅が、第1の孔の前後幅よりも狭い場合であっても、胴部の下部を第2の孔に挿入し、蓋を容器本体に固定することができる。換言すると、第2の孔の前後幅は第1の孔の前後幅よりも狭くても良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明の蓋固定具によれば、固定力を強くすることができる蓋固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る蓋固定具と、蓋固定具が適用される蓋および容器本体の外観斜視図であり、(A)は蓋が蓋固定具により容器本体に固定された状態の外観斜視図、(B)は蓋固定具、蓋および容器本体の各外観斜視図である。
図2図1(B)において破線で囲んだ領域E2の拡大図である。
図3図1に示す蓋固定具を左前方の上方から見た拡大斜視図である。
図4図1に示す蓋固定具を斜め左後方の上方から見た拡大斜視図である。
図5図1に示す蓋固定具を左前方の下方から見た拡大斜視図である。
図6図1(A)において破線で囲んだ領域E1の拡大図である。
図7図6のA-A矢視断面図である。
図8図6のB-B矢視断面図である。
図9図6のC-C矢視断面図である。
図10】(A)は図7に示す断面図を断面と対向する方向から見て第1の壁が第2の壁に向けて変位する前と変位した後の状態を示す断面説明図であり、(B)は(A)に示す蓋の上に容器本体が段積みされた状態を示す断面図である。
図11】(A)は蓋固定具が取付けられた蓋を上下に段積みした状態を一部の断面と共に示す説明図であり、(B)は(A)のD-D矢視断面図である。
図12】本出願人が先の出願において提案した蓋固定具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る蓋固定具について図を参照しつつ説明する。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1に示す方向を各図の基準とし、図1において図面の中心から斜め左上方向を前方、斜め右下方向を後方、斜め右上方向を右方、斜め左下方向を左方とする。
【0024】
[蓋の構造]
図1に示すように、蓋100は、平面視、矩形の平板状に形成された蓋本体101を備えている。蓋本体101の表面101aの前端および後端には、蓋固定具1を挿入するための第1の孔102がそれぞれ上下方向に貫通形成されている。図2に示すように、表面101aの後端に形成された第1の孔102は、前後の幅よりも左右の幅の方が長く形成されている。第1の孔102を形成する内壁のうち、前後方向にて相対向する内壁の前方の内壁102aには、抜け防止突部103が後方の内壁に向けて突出形成されている。第1の孔102は、抜け防止突部103を除くと、左右方向に長く、平面視略長方形に形成されており、抜け防止突部103を含めると、平面視略凹形状に形成されている。
また、表面101aの前端に形成された第1の孔102は、後端に形成された第1の孔102と同一の形状に形成されており、第1の孔102を形成する内壁のうち、前後方向にて相対向する内壁の後方の内壁には、抜け防止突部103が前方の内壁に向けて突出形成されている(図示せず)。抜け防止突部103の役割については後述する。
【0025】
図1に示すように、蓋本体101において前後方向にて相対向する側縁から、長方形で板状の側壁106がそれぞれ垂下しており(前方の側壁106は図に表れていない)、蓋本体101において左右方向にて相対向する側縁から、長方形で板状の側壁107がそれぞれ垂下している(右方の側壁106は図に表れていない)。各側壁106,107により、蓋本体101の周縁から垂下する周壁を形成している。
また、蓋本体101の表面101aにおいて左右方向にて相対向する側縁から直方体形状の嵌合突部104がそれぞれ上方に突出形成されており、表面101aの各角部から、角部の形状に対応した形状(平面視略L字状)の嵌合突部105がそれぞれ上方に突出形成されている。図10(B)に示すように、容器本体200に装着された蓋100の上側に他の容器本体200を段積みしたときに、操作部40が上段側の容器本体200と干渉しないため、操作部40の破損を防止することができる。また、下段側の蓋100の各嵌合突部104,105が、上側の容器本体200の底面に形成された嵌合凹部209に嵌合されるため(図10(B))、段積み状態がずれ難い。
【0026】
[容器本体の構造]
図1(B)に示すように、容器本体200は、上面が開口した平面視矩形の箱状に形成されている。容器本体200は、前後方向にて相対向する側壁203,203(前方の側壁203は図に表れていない)と、左右方向にて相対向する側壁204,204(右方の側壁204は図に表れていない)とを備えている。各側壁203,204は、それぞれ長方形で板状に形成されている。また、容器本体200の前後方向にて相対向する側縁から上フランジ部201がそれぞれ外方に張り出し形成されており(前方の上フランジ部201は図に表れていない)、容器本体200の左右方向にて相対向する側縁から上フランジ部210がそれぞれ外方に張り出し形成されている(右方の上フランジ部210は図に表れていない)。各上フランジ部201には、蓋固定具1を挿入するための第2の孔202がそれぞれ上下方向に貫通形成されている。前方の第2の孔202は、蓋100によって隠れている。各第2の孔202は、蓋100を容器本体200に装着したときに、蓋100に形成された各第1の孔102と上下方向にて相対向する位置にそれぞれ形成されている。
【0027】
図2に示すように、第2の孔202は、前後の幅よりも左右の幅の方が長い、平面視長方形に形成されている。また、図8に示すように、第2の孔202の左右の幅は、第1の孔102の左右の幅よりも広く形成されており、第1の孔102の左右方向の内壁102d(図2参照)が第2の孔202の左右方向の内壁202c(図2参照)よりも内方に突出しており、第1の孔102と第2の孔202との境界に段差部101cが形成されている。
図7に示すように、蓋100が容器本体200に装着された状態では、蓋本体101の裏面101bと容器本体200の上フランジ部201の表面とが相互に接触し、第1の孔102および第2の孔202が相互に連通した状態になる。また、容器本体200の各上フランジ部201が、蓋100の側壁205によって覆われた状態になるため、各第2の孔202が外部に露出していない状態になる(図1(A)参照)。
【0028】
図1(B)に示すように、容器本体200は、各上フランジ部201の下方に下フランジ部205をそれぞれ備えており(前方の下フランジ部205は図に表れていない)、各上フランジ部210の下方に下フランジ部206をそれぞれ備えている(右方の下フランジ部206は図に表れていない)。相対向する上フランジ部201および上フランジ部206間には、補強リブ211,212が形成されており、上フランジ部201および上フランジ部206の強度が高められている。容器本体200の底部の前後方向にて相対向する側縁から底フランジ部207,207がそれぞれ外方に突出形成されており(前方の底フランジ部207は図に表れていない)、容器本体200の底部の左右方向にて相対向する側縁から底フランジ部208,208がそれぞれ外方に突出形成されている(右方の底フランジ部208は図に表れていない)。
本実施形態では、蓋100および容器本体200は、それぞれポリプロピレンなどの合成樹脂を原料とした射出成形により形成されている。
【0029】
[蓋固定具の構造]
(概略構造)
図7に示すように、蓋固定具1は、蓋100に貫通形成された第1の孔102と、容器本体200に形成された第2の孔202とに挿通することにより、蓋100を容器本体200に固定するための蓋固定具である。図3ないし図5に示すように、蓋固定具1は、前後方向に相互に離間した第1の壁10および第2の壁20と、第1の壁10および第2の壁20の各下端間を接続するように形成された接続部30と、第1の壁10に形成された操作部40と、第2の壁20に形成された引っ掛け部50と、第2の壁20および引っ掛け部50に形成された一対の規制部60とを備えている。第1の壁10および第2の壁20は、それぞれ前後方向から見て略板状に形成されており、接続部30は、下方に膨らんだ縦断面円弧状に形成されている。
【0030】
第1の壁10と第2の壁20との間には、それぞれの上端から接続部30に近づくにつれて間隔が狭くなる空間80が形成されている。空間80は、第1の壁10が第2の壁20に向けて弾性変形するために確保された空間である。第1の壁10、第2の壁20および接続部30が、蓋固定具1の胴部2を構成している。胴部2の縦断面は略V字状に形成されている。蓋固定具1を左右に2分割する分割線を上下に引いた場合、蓋固定具1は、前方または後方から見て、上記の分割線に対して線対称に構成されている。
本実施形態では、蓋固定具1は、ポリプロピレンなどの合成樹脂を原料とした射出成形により形成されている。
【0031】
(第1の壁の構造)
図3および図5に示すように、胴部2を構成する第1の壁10の外面11には、容器本体200に係止するための第1の係止部16,16が前方に突出形成されている。各第1の係止部16は、左右方向に離間している。
各第1の係止部16は、第1の壁10の外面11から斜め上方に傾斜した傾斜部16aと、この傾斜部16aから直上方向に延出した垂直部16bと、この垂直部16bから外面11に水平に延出した係止面16cとが、それぞれ形成されている。図7に示すように、各係止面16cは、蓋固定具1の胴部2を第2の孔202に挿入したときに、容器本体200の上フランジ部201の裏面201aに係止される面である。
【0032】
図7では、係止面16cと裏面201aとの間に隙間が形成されているが、これは、次の理由による。つまり、第1の係止部16が容器本体200に係止された状態を解除するときに、操作部40を後方へ押圧操作して第1の壁10が第2の壁20に向けて弾性変形(変位)させるが、第1の壁10は第2の壁20に向けて水平移動せず、接続部30を回動中心にして時計回りの方向に回動するため、上記の隙間が存在しないと、第1の係止部16が第2の孔202の下側の開口縁202b(図2参照)を上方に乗り越えることができないからである。
【0033】
また、図7に示すように、第1の壁10の内面12には、第1の壁10の強度を補強するための補強リブ17,17が上下方向に形成されている。各補強リブ17は、第1の壁10の内面12の左右両端から第2の壁20(後方)に向けて突出形成されており、かつ、相互に左右方向に離間している。各補強リブ17は、後述する操作部40の各連結部43とそれぞれ連続している。
また、図3ないし図8に示すように、第1の壁10の上部中央には、第1の孔102の内壁から突出形成された抜け防止突部103を嵌合するための嵌合開口部15が前後方向に貫通形成されている。図8に示すように、抜け防止突部103が嵌合開口部15に嵌合されることにより、蓋固定具1が蓋100から抜けることを防止する。各第1の係止部16は、嵌合開口部15の両側下方に配置されている。各第1の係止部16の離間幅は、抜け防止突部103の左右の幅よりも広い。つまり、各第1の係止部16は、胴部2を第1の孔102に挿入するときに、各第1の係止部16と抜け止め防止突部103とが干渉せず、抜け防止突部103が第1の係止部16,16間を通過できるように配置されている(図7参照)。
【0034】
(第2の壁の構造)
図4および図10に示すように、胴部2を構成する第2の壁20には、操作部40が第2の壁20の方に押圧操作されることにより第2の壁20に向けて変位する第1の壁10のうち、第1の壁10の内面12(図5)に突出形成された各補強リブ17(図4)を受容可能な貫通孔29,29が、第2の壁20の外面21(図4)から内面22(図5)に貫通形成されている(図4)。各貫通孔29の左右方向の幅は、補強リブ17の左右方向の幅よりも広く、補強リブ17との摩擦が生じないようにして補強リブ17を滑らかに受容するように構成されている。
第2の壁20の左側の下部には、接続部30から直上方向に延出された一方の下部側端23が形成されており、その一方の下部側端23から左斜め上方に傾斜した一方の傾斜部25が形成されている。その一方の傾斜部25の上端から直上方向に一方の側端27が形成されている。つまり、第2の壁20の左側の下部には、一方の下部側端23および一方の傾斜部25により、一方のくびれ部20aが形成されている。
また、第2の壁20の右側の下部には、接続部30から直上方向に延出された他方の下部側端24が形成されており、その他方の下部側端24から右斜め上方に傾斜した他方の傾斜部26が形成されている。その他方の傾斜部26の上端から直上方向に他方の側端28が形成されている。つまり、第2の壁20の右側の下部には、他方の下部側端24および他方の傾斜部26により、他方のくびれ部20bが形成されている。
【0035】
また、第2の壁20の下部の左右に傾斜部25,26が形成されているため、胴部2を第1の孔102に挿入するときに、傾斜部25,26が第1の孔102の上側の開口縁のうち短手方向の上側の開口縁102b(図2)に接触することにより、胴部2が第1の孔102の下方に案内される。これにより、蓋固定具1を蓋100に容易に取付けることができる。特に、蓋固定具1を蓋100に取付けた状態で蓋100を容器本体200に装着するときは、蓋100によって胴部2が見難く、胴部2を容器本体200の第2の孔202に挿入し難いが、傾斜部25,26が第2の孔202の開口縁のうち短手方向の上側の開口縁202a(図2)に接触することにより、胴部2が第2の孔202の下方に案内されるため、蓋固定具1を容器本体200に容易に取付けることができる。
【0036】
(規制部の構造)
図3に示すように、第2の壁20の左方に位置する一方の側端27から、第1の壁10の左方に位置する一方の側端13に向けて左側の規制部60が形成されている。また、第2の壁20の右方に位置する他方の側端28(図4)から、第1の壁10の右方に位置する他方の側端14(図3)に向けて、右側の規制部60(図5図11(A))が形成されている。各規制部60は、それぞれ左右方向から見て略板状に形成されており、各規制部60の各外面61には、蓋100に係止するための第2の係止部63がそれぞれ突出形成されている。図3に示すように、左側の規制部60に備えられた第2の係止部63は、規制部60の外面61から斜め上方に傾斜した傾斜部63aと、この傾斜部63aから直上方向に延出した垂直部63bと、この垂直部63bの上端から水平に外面61に延出された係止面63cとを備えている。
【0037】
第2の係止部63は、規制部60の前後の幅と略同一の幅を有し、その前端63dは、規制部60の側端62と面一になっている。
右側の規制部60に備えられた第2の係止部63は、上記の左方の規制部60に備えられた第2の係止部63と線対称の形状であり、図5に示すように、その前端63dは、左方の規制部60の側端62と面一になっている。
図8に示すように、各第2の係止部63の各係止面63cは、蓋固定具1を第1の孔102および第2の孔202に挿入したときに、第1の孔102と第2の孔202との境界に形成された段差部101cの裏面、つまり、蓋100の裏面101bに係止される面である。
【0038】
図3に示すように、左側の規制部60の下部であって第2の壁20の一方の傾斜部25との境界部分には、略矩形に切り欠かれた切り欠き部64が形成されており、この切り欠き部64の上方に第2の係止部63が配置されている。同様に、図11(A)に示すように、右側の規制部60の下部にも同一形状の切り欠き部64が形成されており、その切り欠き部64の上方に第2の係止部63が配置されている(図5)。
また、右側の規制部60の側端62と反対側(後方)の側端は、第1の壁10の一方の側端27でもあり、側端同士を共有している。また、左側の規制部60の側端62と反対側(後方)の側端は、第1の壁10の他方の側端28(図4)でもあり、側端同士を共有している。
【0039】
左側に配置された規制部60のうち、第1の壁10の一方の側端13の方に位置する側端62は、規制部60の左方を向いている外面から見て、第1の壁10の外面11と一致する位置まで延出されている。
また、図5に示すように、右側に配置された規制部60のうち、第1の壁10の他方の側端14の方に位置する側端62は、規制部60の左方を向いている外面から見て、第1の壁10の外面11と一致する位置まで延出されている。
つまり、規制部60が、第2の壁20の両側の側端27,28から、それぞれ第1の壁10の両側の側端13,14に向けて形成されており、各規制部60,60のうち、第1の壁10の両側の側端13,14の方に位置する各側端62は、各規制部60の外面61から見て第1の壁10の外面11と一致する位置までそれぞれ延出されている。
【0040】
また、左側の規制部60と第1の壁10の一方の側端13とは相互に離間しており、右側の規制部60と第1の壁10の他方の側端14とは相互に離間している。つまり、各規制部60および第1の壁10は、相互に干渉しないように構成されている。これは、次の理由による。つまり、蓋100に係止された蓋固定具1を取り外す場合、各規制部60をそれぞれ内方に弾性変形させ、各第2の係止部63が蓋100に係止された状態を解除する必要があるからである。また、各規制部60および第1の壁10は、相互に干渉しないように構成されているため、蓋固定具1を容器本体200から取り外すときに操作部40を押圧操作しても、その押圧力が各規制部60に作用し難いので、操作性が安定する。
また、各規制部60と第1の壁10の各側端13,14とが相互に離間した状態にするために第2の壁20の形状が工夫されている。つまり、第2の壁20において、一方の下部側端23と他方の下部側端24との間の幅は、第1の壁10の幅と略同一であるが、一方の下部側端23および他方の下部側端24よりも上部の幅は、第2の壁20よりも広くなっている。これにより、各規制部60と第1の壁10の各側端13,14とが相互に離間した状態となり、各規制部60が第1の壁10の側端13,14(図3)と干渉しないため、第2の壁の側端27,28から前方に延出された各規制部60を内側に弾性変形させることができる。
【0041】
各規制部60は、蓋固定具1を容易に第1の孔102および第2の孔202に挿入できるように、前後の幅が上端から下端に近づくにつれて次第に狭くなるように形成されている。本実施形態では、各規制部60は、図9に示すように、蓋固定具1を第1の孔102および第2の孔202に挿入したときに、各規制部60の前後の端部、つまり、各側端62と、各側端62の反対側の各側端(第2の壁20の一方の側端27および他方の側端28)とが、第1の孔102の前方の内壁102aおよび後方の内壁102eと接触する形状にそれぞれ形成されている。
このように、各規制部60は、蓋固定具1の胴部2を第1の孔102および第2の孔202に挿入したときに、第1の孔102および第2の孔202に配置された状態となり、各規制部60の前後の側端(62,62,27,28)が第1の孔102の内壁102a,102eに接触した状態となり、蓋固定具1の動きを規制する。
【0042】
(引っ掛け部の構造)
図3および図4に示すように、引っ掛け部50は、第2の壁20の上端と各規制部60の各上端とから外方に張り出し形成されている。換言すると、引っ掛け部50は、第2の壁20の上端と各規制部60の各上端とから外方に張り出し形成されたフランジ部である。引っ掛け部50は、平面視略コ字状に形成されている。引っ掛け部50は、第2の壁20の上端から後方に張り出し形成された後方の引っ掛け部51と、一方(左側)の規制部60の上端から左方に張り出し形成された一方の引っ掛け部52と、他方(右側)の規制部60の上端から右方に張り出し形成された他方の引っ掛け部53とを備えており、後方の引っ掛け部51と、一方の引っ掛け部52と、他方の引っ掛け部53とは、連続している。引っ掛け部50の裏面には、蓋本体101の表面101aに引っ掛けるための引っ掛け面55が形成されている(図5)。
【0043】
また、後方の引っ掛け部51の内面には、操作部40が押圧操作されることにより第2の壁20に向けて変位する第1の壁10のうち、第1の壁10の内面12(図5)に突出形成された各補強リブ17(図4)を受容可能な凹部54,54が形成されている。各凹部54は、開口部が対向する補強リブ17の方を向いており、低壁が後方を向いた姿勢になっている。また、各凹部54の各低壁の各下端は、各貫通孔29の各上端と共有されており、各凹部54の内部に形成される各空間と、各貫通孔29に形成される空間とが連続している。つまり、各凹部54は、各貫通孔29と連続しており、各凹部54が各補強リブ17の上端部を受容可能であり、各貫通孔29が、各補強リブ17のうち、各凹部54が受容可能となっていない部分を受容可能になっている。換言すると、後方の引っ掛け部51に形成された各凹部54と、第2の壁20に形成された各貫通孔29とが、各補強リブ17を受容可能になっている。また、各凹部54の開口幅は、各貫通孔29の開口幅と同様に、補強リブ17の左右の幅よりも広くなっており、補強リブ17との摩擦が生じないようにして補強リブ17を滑らかに受容するように構成されている。
各補強リブ17は、本発明の「第2の壁に向けて変位する第1の壁のうち、第2の壁の方を向いている部分の少なくとも一部」の一例である。各凹部54および各貫通孔29は、本発明の「受容部」の一例である。
【0044】
図6ないし図11に示すように、引っ掛け部50は、蓋固定具1の胴部2を第1の孔102に挿入したときに、蓋本体101の表面101aのうち、第1の孔102の左右および後方の周縁と連続する部分に接触し、蓋100に引っ掛けられた状態になる。これにより、第2の壁20および各規制部60が第1の孔102から下方に落ち込むことが阻止され、蓋固定具1の取付状態が安定する。また、引っ掛け部50と、第2の壁20と、各規制部60とが連続して形成されているため、第2の壁20および各規制部60から構成される部分の剛性が高くなり、強度を高めることができる。
【0045】
(操作部の構造)
図3ないし図5に示すように、第1の壁10の上端には、第2の壁20に向けて押圧操作されることにより、第1の壁10を第2の壁20に向けて変位させるための操作部40が設けられている。操作部40には、延出部41と、押圧操作部42と、連結部43とが備えられている。延出部41は、第1の壁10の上端から外方(図3では前方)に水平に延出されている。押圧操作部42は、押圧操作する部分であり、延出部41の前端から直上に延出されている。押圧操作部42の外面(図3では前面)には、略平面状の押圧操作面44が形成されている。押圧操作面44には、複数の滑り止め部42aが形成されている。本実施形態では、各滑り止め部42aは、それぞれ左右方向に延びる帯状に形成されており、それぞれ押圧操作面44から突出形成されている。各滑り止め部42aは、相互に離間した状態で上下方向に配置されている。また、押圧操作部42は、引っ掛け部50の前端50a(図3)よりも前方に位置している。これにより、ロボットアームなどの装置によって押圧操作部42を押圧操作するときに、その装置が押圧操作部42から上下方向に外れた場合であっても、その装置による押圧により、引っ掛け部52の前端50aが押圧されないため、引っ掛け部50が破損するおそれがない。
【0046】
図4に示すように、各連結部43は、押圧操作部42の内面45の左右の端部近傍から、それぞれ後方に突出形成されており、押圧操作部42と延出部41とを連結するように形成されている。これにより、押圧操作部42の強度が高くなり、押圧操作部42が後方に押圧されたときに、押圧操作部42が破損するおそれがなくなる。
また、各連結部43は、第1の壁10の内面(図5)に形成された各補強リブ17とそれぞれ連続している。これにより、操作部40および第1の壁10から構成される部分の剛性が高められ、強度が高められている。本実施形態では、各連結部43は、左右方向から見て直角三角形にそれぞれ形成されている。
【0047】
[蓋固定具の使用方法]
先ず、蓋固定具1を蓋100に取付ける。蓋固定具1の胴部2を蓋本体101の第1の孔102に挿入すると、第1の壁10の外面11の下部が、抜け止め防止突部103(図8)の先端に接触する。そしてさらに胴部2の挿入を進めると、第1の壁10は抜け止め防止突部103によって第2の壁20の方に押圧され、第2の壁20の方に弾性変形(変位)し、第1の壁10の後方から突出した各補強リブ17が、引っ掛け部50の各凹部54および第2の壁20の各貫通孔29に受容される。そしてさらに胴部2の挿入を進めると、抜け止め防止突部103が、第1の壁10に形成された嵌合開口部15に嵌合される(図4)。
【0048】
また、上記のように、蓋固定具1の胴部2を蓋本体101の第1の孔102に挿入すると、各規制部60の各外面61が、第1の孔102の左右方向の内壁102d(図2参照)に接触する。そしてさらに胴部2の挿入を進めると、各規制部60の各第2の係止部63の各傾斜部63a(図8)が、第1の孔102の短手方向の開口縁であって蓋本体101の表面101a側の開口縁、つまり、上側の開口縁102b(図2参照)と接触する。そしてさらに胴部2の挿入を進めると、各傾斜部63aが上側の開口縁102bによって第1の孔102の内方(長手方向)にそれぞれ押圧され、各規制部60がそれぞれ第1の孔102の内方に弾性変形(変位)する。そして、各第2の係止部63の各垂直部63bが、第1の孔102の短手方向の開口縁であって蓋本体101の裏面101b側の開口縁、つまり、下側の開口縁102c(図2参照)をそれぞれ下方に乗り越えると、内方に弾性変形していた各規制部60は、それぞれ自身の弾性力により弾性変形前の姿勢に復帰し、各第2の係止部63の各係止面63cがそれぞれ段差部101cに係止される。つまり、各第2の係止部63が蓋100に係止される。
また、操作部40の係止面46が蓋本体101の表面101aに接触した状態になる。つまり、操作部40が蓋100に係止された状態になる。また、引っ掛け部50の引っ掛け面55が蓋本体101の表面101aに接触した状態になる。つまり、引っ掛け部50が蓋100に引っ掛けられた状態になる。
上述したように、蓋固定具1の胴部2を蓋100の第1の孔102に挿入するだけで、操作部40を押圧操作しなくても、蓋固定具1を蓋100に取付けることができる。
【0049】
次に、蓋固定具1が取付けられた蓋100を容器本体200に装着する。蓋固定具1の胴部2が容器本体200の第2の孔202に挿入されるように、蓋100を容器本体200に嵌合し、蓋100を下方に押圧する。このとき、第1の壁10の外面11に形成された各第1の係止部16の各傾斜部16aが、第2の孔202の長手方向の開口縁のうち、上側の開口縁202f(図2図7)によって押圧され、図10(A)において実線の断面にて示すように、第1の壁10が第2の壁20の方に弾性変形(変位)し、第1の壁10の後方から突出した各補強リブ17が、引っ掛け部50の各凹部54および第2の壁20の各貫通孔29に受容される。
【0050】
そしてさらに胴部2の挿入を進めると、各第1の係止部16の各垂直部16bが、第2の孔202の長手方向の開口縁のうち、下側の開口縁202b(図2図7)を下方に乗り越え、図10(A)において破線の断面にて示すように、第2の壁20の方に弾性変形していた第1の壁10は、自身の弾性力により弾性変形前の姿勢に復帰する。これにより、各第1の係止部16の各係止面16cが、それぞれ容器本体200の上フランジ部201の裏面201aと対向した状態になる。つまり、各第1の係止部16が容器本体200に係止された状態になる。これにより、蓋固定具1により、蓋100および容器本体200が固定された状態になる。
【0051】
また、蓋100を容器本体200から外す場合は、操作部40の押圧操作部42を第2の壁20の方に押圧し、第1の壁10を第2の壁20の方に弾性変形(変位)させる。このとき、第1の壁10の各補強リブ17が、引っ掛け部50の各凹部54および第2の壁20の各貫通孔29にそれぞれ受容され、各第1の係止部16が容器本体200に係止された状態が解除される。そして、その状態を維持しながら蓋100を上方に持ち上げると、蓋固定具1の胴部2が容器本体200の第2の孔202から上方に抜かれ、蓋100が容器本体200から外れる。また、各第1の係止部16が容器本体200に係止された状態が解除されたときに、抜け防止突部103が、一旦、嵌合開口部15から離脱するが、第1の壁10が自身の弾性力によって弾性変形前の姿勢に復帰したときに、抜け防止突部103が嵌合開口部15に嵌合され、蓋固定具1が蓋100に取付けられた状態になる。
【0052】
また、蓋固定具1を蓋100から外す場合は、押圧操作部42を押圧操作して第1の壁10を第2の壁20の方に弾性変形させ、抜け防止突部103を嵌合開口部15から離脱させる。また、これと同時に各規制部60をそれぞれ内方(第1の壁10の側端13,14に近づく方向)に弾性変形させ、各第2の係止部63と蓋100との係止状態を解除させる。例えば、各規制部60の各外面61を指で挟んで各規制部60をそれぞれ内方に弾性変形させることができる。そして、蓋固定具1を第1の孔102から上方へ引き抜く。
【0053】
[蓋の段積み]
図11に示すように、本実施形態の蓋固定具1は、蓋100に取付けた状態で蓋100を上下に段積みすることができるように構成されている。上下に段積みされたとき、上段側の蓋100に取付けられた蓋固定具1の胴部2の下端が、下段側の蓋100に取付けられた蓋固定具1の第1の壁10および第2の壁20間に形成された空間80に受容された状態になる。つまり、上段側の蓋100に取付けられた蓋固定具1と、下段側の蓋100に取付けられた蓋固定具1とが干渉しない。
従って、蓋固定具1を蓋100に取付けた状態で蓋100を上下に段積みした場合に、段積みされた複数の蓋から構成される部分が嵩張らないようにすることができる。つまり、複数の蓋100を段積みして保管するときの保管効率を良くすることができる。
【0054】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態の蓋固定具1によれば、第1の壁10に設けられた操作部40を押圧操作することにより、第1の壁10を第2の壁20に向けて弾性変形(変位)させると、第1の壁10のうち、第2の壁20の方を向いて突出形成されている各補強リブ17(図7)が、引っ掛け部50の各凹部54および第2の壁20の各貫通孔29に受容される(図10(A))。
従って、引っ掛け部50の各凹部54および第2の壁20の各貫通孔29が形成されていない構成と比較して、第1の壁10の第2の壁20の方向に対する変位可能な長さであるストローク長を増やすことができ、その分、各第1の係止部16の容器本体200に対する、かかり代W(図9)を増加させることができるので、蓋固定具1の固定力を強くすることができる。
【0055】
(2)しかも、前述した実施形態の蓋固定具1によれば、引っ掛け部50の各凹部54が第2の壁20の各貫通孔29と連続しているため、第1の壁10の各補強リブ17が各凹部54および各貫通孔29に受容されるときに、引っ掛け部50が各補強リブ17を受容するための障害にならないので、第1の壁10のストローク長を確保することができる。
【0056】
(3)さらに、前述した実施形態の蓋固定具1によれば、蓋固定具1を第1の孔102および第2の孔202に挿入すると、各規制部60が第1の孔102および第2の孔202に配置された状態となり(図9)、蓋固定具1の動きを規制することができるため、操作部40を押圧操作するときに蓋固定具1が動かないので、安定した押圧操作を行うことができる。
また、各規制部60のうち、第1の壁10の両側の側端13,14の方に位置する各側端62は、各規制部60の外面61から見て第1の壁10の外面11と一致する位置まで延出されている。換言すると、各規制部60の外面61から見て、第1の壁10の外面11は、各規制部60の各側端62から突出していない(図9)。これにより、蓋固定具1が第1の孔102および第2の孔202に挿入された状態において、各規制部60の各側端62が第1の孔102の内壁102a,102eに接触することにより(図9)、第1の壁10、第2の壁20および接続部30から構成される構造部分が、第1の孔102の内壁102a,102eから応力を受けて弾性変形した状態にならないため、上記の構造部分が弾性変形により疲労しないようにすることができるので、蓋固定具1の寿命を延ばすことができる。
【0057】
(4)さらに、前述した実施形態の蓋固定具1によれば、引っ掛け部50の一部は、各規制部60の各上端と連続しており、かつ、各規制部60の各上端から外方に張り出すように形成されているため(図3図4)、蓋固定具1の剛性を高めることができ、かつ、動きを強く規制することができるので、より一段と安定した状態で操作部40を押圧操作することができる。
さらに、蓋100の裏面101bに係止される第2の係止部63が各規制部60の各外面61にそれぞれ形成されているため、蓋100を容器本体200から外したときに、蓋固定具1が蓋100に取付けられた状態にすることができる。これにより、蓋固定具1が蓋100に取付けられた状態にて蓋100を容器本体200に装着することにより、蓋100と容器本体200とを固定することができる。
さらに、蓋の裏面に係止される第2の係止部が各規制部の各外面にそれぞれ形成されているため、当該蓋固定具と蓋との係止力を強くすることができる。さらに、蓋固定具1を単独で紛失しないようにすることもできる。
【0058】
(5)さらに、前述した実施形態の蓋固定具1によれば、押圧操作する部分である押圧操作部42は、第1の壁10の上端から前方に延出された延出部41から直上に延出されているため(図3ないし図5)、押圧操作時に障害となるものが無く、押圧操作を行い易い。さらに、押圧操作部42と延出部41とを連結するように形成された連結部43を備えているため、押圧操作部42の強度を高めることもできるので、押圧操作時に押圧操作部42が破損するおそれがない。
【0059】
(6)さらに、前述した実施形態の蓋固定具1によれば、第1の壁10を補強するための補強リブ17,17が第1の壁10の内面12に形成されているため(図7)、第1の壁10の強度を高めることができる。さらに、各補強リブ17と、押圧操作部42と延出部41とを連結するように形成された連結部43とが連続しているため、押圧操作部42および第1の壁10から構成される部分の強度を高めることもできる。さらに、引っ掛け部50の各凹部54および第2の壁20の各貫通孔29は、各補強リブ17を受容可能であるため、第1の壁10の内面12に各補強リブ17が形成されていることにより、第1の壁10の第2の壁20に対するストローク長が短くなることがないため、各第1の係止部16のかかり代W(図9)を増加させることができるので、蓋固定具1の固定力を強くすることができる。
【0060】
(7)さらに、前述した実施形態の蓋固定具1によれば、胴部2は、縦断面が略V字状に形成されているため、第2の孔202の前後幅が、第1の孔102の前後幅よりも狭い場合であっても、胴部2の下部を第2の孔202に挿入し、蓋100を容器本体200に固定することができる。換言すると、第2の孔202の前後幅は第1の孔102の前後幅よりも狭くても良い。
また、胴部20にくびれ部20a,20bが形成されていることで、蓋固定具1の左右方向における胴部20の下部の幅も小さくなるため、蓋固定具1を蓋100に取付けた状態で蓋100を上下に段積みした場合に、下側の蓋100に取付けられた蓋固定具1のV字状の空間80に、上側の蓋100に取付けられた蓋固定具1の胴部20を容易に受容することができる。
【0061】
(8)前述した実施形態の蓋固定具1によれば、固定力を強くすることができる蓋固定具を提供することができる。
【0062】
〈他の実施形態〉
(1)各規制部60が第1の孔102のみに配置された状態となるように、各規制部60の高さをそれぞれ短く形成し、蓋固定具1の動きを規制するように構成することもできる。
(2)各規制部60は、両側の側端(62,62,27,28)が第1の孔102および第2の孔202の各内壁(102a,102e,202d,202e)と接触するように構成し、蓋固定具1の動きを規制することもできる。
(3)各規制部60,60は、第1の壁10の両側の側端13,14の方に位置する各側端62が、各規制部60の外面61から見て第1の壁10の外面11を超える位置までそれぞれ延出するように形成し、第1の壁10が弾性変形により疲労しないようにすることもできる。
(4)各規制部60のうち、第1の孔102および第2の孔202と対向する部分の前後幅を同一に形成し、各規制部60の前後の端部が第1の孔102の内壁102a,102eおよび第2の孔202の内壁202d,202eと接触するように構成することもできる。また、各規制部60の前後の端部に突部を形成し、その突部が、第1の孔102の内壁102a,102eおよび第2の孔202の内壁202d,202eのうち、少なくとも1つ以上と接触するように構成することもできる。また、各規制部60は、第1の孔102および第2の孔202と接触しないで近接した状態に配置されるように構成することもできる。
【0063】
(5)引っ掛け部を第1の壁10に形成することもできる。例えば、第1の壁10の両側の側端13,14の各上端から外方に引っ掛け部を張り出し形成することもできる。また、引っ掛け部を第1の壁10および第2の壁20の両方に形成することもできる。
(6)抜け防止突部103を設けない場合は、第1の壁10に嵌合開口部15を形成しなくても良い。また、第1の係止部16を2つに分けないで、第1の壁10の外面11において左右方向(幅方向)に連続形成することもできる。
【0064】
(7)第2の壁20に形成された各貫通孔29に代えて、各貫通孔29の形状に対応した凹部を第2の壁20に形成することもできる。
(8)第1の壁10および第2の壁20を相互に平行に形成し、胴部2の縦断面が略U字状となるように構成することもできる。
(9)高さが第2の壁20よりも高くなるように第1の壁10を形成し、その第2の壁20よりも高くなった部分を操作部にすることもできる。この場合、操作部の部分を蓋100の表面101aに対して垂直となるように形成し、操作性を高めるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0065】
1 蓋固定具
10 第1の壁
11 外面
12 内面
13 一方の側端
14 他方の側端
15 嵌合開口部
16 第1の係止部
17 補強リブ
20 第2の壁
21 外面
22 内面
27 一方の側端
28 他方の側端
29 貫通孔
30 接続部
40 操作部
41 延出部
42 押圧操作部
43 連結部
50 引っ掛け部
54 凹部
60 規制部
61 外面
62 側端
63 第2の係止部
80 空間
100 蓋
101 蓋本体
101a 表面
102 第1の孔
103 抜け防止突部
200 容器本体
201 上フランジ部
202 第2の孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12