(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162247
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】除菌装置
(51)【国際特許分類】
F24F 8/24 20210101AFI20221017BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20221017BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20221017BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20221017BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20221017BHJP
C02F 1/461 20060101ALI20221017BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20221017BHJP
【FI】
F24F8/24
F24F8/80 150
F24F7/007 B
A61L9/01 F
A61L9/16 F
C02F1/461 Z
B01D46/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066962
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】原田 寿子
(72)【発明者】
【氏名】寺山 勝則
(72)【発明者】
【氏名】守屋 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】占部 祥史
【テーマコード(参考)】
3L056
4C180
4D058
4D061
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BD03
3L056BD04
3L056BD07
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180AA17
4C180CB03
4C180CB08
4C180CC04
4C180DD09
4C180EA58X
4C180HH03
4C180HH05
4C180KK01
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4D058JA12
4D058KB11
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4D058TA07
4D058TA08
4D061DA01
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4D061EB05
4D061EB17
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4D061EB37
4D061EB38
4D061EB39
4D061ED12
4D061GA04
4D061GA06
4D061GA15
4D061GA30
4D061GB04
4D061GB05
4D061GB30
4D061GC15
(57)【要約】
【課題】本発明は、電解水をフィルタにかけ流す方式において、電解水の濃度が過度の増加することを抑制することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、水を貯留するタンクと、前記タンクから水を吸水する加湿ポンプ112と、加湿ポンプ112から送水された水を電気分解し、次亜塩素酸水を生成する電解部113と、電解部113で生成された次亜塩素酸水を浸透させた加湿フィルタ107と、湿度を検出する湿度センサ222と、加湿ポンプ112及び電解部113を制御する制御部120と、を備える。制御部120は、湿度センサ222で検知された湿度が所定の閾値より高い場合、低い場合に比べて、加湿ポンプ112への通電時間を短くし、電解部113への通電停止時間を長くなるように制御する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、空気を吸い込む吸込口と、空気を吹き出す吹出口と、吸い込まれた空気から塵を集塵する第1フィルタと、前記筐体の下方に設けられ、水を貯留するタンクと、前記タンクから水を吸水するポンプと、前記ポンプから送水された水を電気分解し、次亜塩素酸水を生成する電解部と、前記第1フィルタの下流側に配置され、前記電解部で生成された次亜塩素酸水を浸透させた第2フィルタと、湿度を検出する湿度検知部と、前記ポンプ及び前記電解部を制御する制御部と、を備え、
前記湿度検知部で検知された湿度が所定の閾値より高い場合、低い場合に比べて、前記ポンプへの通電時間を短くし、前記電解部への通電停止時間を長くしたことを特徴とする除菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除菌装置であって、
温度を検知する温度検知部を備え、
前記閾値は、前記温度検知部で検知された温度に基づいて変化させることを特徴とする除菌装置。
【請求項3】
請求項1に記載の除菌装置であって、
前記第2フィルタを乾燥させた状態で使用する空気清浄モードと、前記第2フィルタに水を浸透させた状態で使用する加湿空気清浄モードと、前記第2フィルタに次亜塩素酸水を浸透させた状態で使用する次亜塩素酸水加湿空気清浄モードを選択可能としたことを特徴とする除菌装置。
【請求項4】
請求項3に記載の除菌装置であって、
前記制御部は、前記次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択された場合、前記次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始された時における前記電解部への通電時間は、前記次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始されてから所定時間経過後における前記電解部への通電時間より長くしたことを特徴とする除菌装置。
【請求項5】
請求項3に記載の除菌装置であって、
前記制御部は、前記次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択された場合、前記次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始されてから所定時間経過後における前記電解部への通電時間は、前記次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始された時における前記電解部への通電時間より短くしたことを特徴とする除菌装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の除菌装置であって、
前記吹出口から吹き出す風量は設定変更可能であり、
前記制御部は、前記風量が強い時は、弱い時に比べて前記電解部への通電時間を長くしたことを特徴とする除菌装置。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の除菌装置であって、
前記吹出口から吹き出す風量は設定変更可能であり、
前記制御部は、前記風量が弱い時は、強い時に比べて前記電解部への通電時間を短くしたことを特徴とする除菌装置。
【請求項8】
請求項4乃至7の何れか1項に記載の除菌装置であって、
温度を検知する温度検知部を備え、
前記制御部には、風量、温度、湿度、前記次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始されてからの運転時間、前記電解部への通電時間の関係が対応付けられたテーブルが記憶され、
前記制御部は、設定された風量と、前記温度検知部で検知された温度と、前記運転時間に基づいて前記テーブルから前記電解部への通電時間を決定することを特徴とする除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の除菌装置として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1の除菌装置は、電解水生成部と、タンク部材と、離散部と、風路とを備えている。電解水生成部は、タンク部材から供給される水を貯水する貯水部と、貯水部の水を電気分解する電解部と、貯水部に電解促進錠剤を落下投入して電気分解を促進させる電解促進錠剤投入部を備えている。電解部は、電極への通電時間と非通電時間を調整して電解水の濃度を調整するようにしている。離散部は、送風ファンと、フィルタを備えている。フィルタは、貯水部の水に浸漬されて保水され、この保水されたフィルタに送風ファンで送風し、気化した電解水を風路を通して、除菌装置の機外に放出するようにしている。そして、湿度が高い場合には、電解部の電極への通電時間を長くして貯水部の電解水の濃度を増加させ、加湿量を低減させて浄化能力を向上するようにしている。
【0003】
また、同様の除菌装置として、特許文献2に記載の技術がある。特許文献2の除菌装置は、電気分解で次亜塩素酸を生成する電解部と、電気分解により生成した次亜塩素酸水を保持するトレイと、次亜塩素酸水を浸み込ませるフィルタと、フィルタの送風する送風ファンと、対象空間の相対湿度を検知する相対湿度検知部とを備えている。そして、対象空間の相対湿度が低い時には次亜塩素酸揮発量を増加させ、対象空間の相対湿度が高い時には次亜塩素酸揮発量を減少させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-48855号公報
【特許文献2】特開2020-78421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタに次亜塩素酸水等の電解水を浸み込ませる手法としては、フィルタに電解水をかけ流す方法がある(特許文献2の段落0025)。この場合、フィルタから零れ落ちた電解水は、再びトレイに戻ることになる。この構成の除菌装置において、特許文献1及び2のように電解水を生成し続けると、零れ落ちた電解水が加わり、電解水の濃度が過度に増加する可能性がある。電解水の濃度が過度に増加すると、この電解水に接触している部品が劣化し、寿命が短くなる可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決し、電解水をフィルタにかけ流す方式において、電解水の濃度が過度の増加することを抑制する除菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、筐体と、空気を吸い込む吸込口と、空気を吹き出す吹出口と、吸い込まれた空気から塵を集塵する第1フィルタと、前記筐体の下方に設けられ、水を貯留するタンクと、前記タンクから水を吸水するポンプと、前記ポンプから送水された水を電気分解し、次亜塩素酸水を生成する電解部と、前記第1フィルタの下流側に配置され、前記電解部で生成された次亜塩素酸水を浸透させた第2フィルタと、湿度を検出する湿度検知部と、前記ポンプ及び前記電解部を制御する制御部と、を備え、前記湿度検知部で検知された湿度が所定の閾値より高い場合、低い場合に比べて、前記ポンプへの通電時間を短くし、前記電解部への通電停止時間を長くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電解水をフィルタにかけ流す方式において、電解水の濃度が過度の増加することを抑制する除菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の実施例に係る除菌装置の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る除菌装置の分解斜視図である。
【
図4】タンク、加湿フィルタ、ポンプ部の関係を示す斜視図である。
【
図5】リアパネルを外した状態における除菌装置の背面図である。
【
図6】本発明の実施例に係る電解部の分解斜視図である。
【
図7】加湿フィルタを除菌装置に着脱するための動作を説明する斜視図である。
【
図8】タンクを除菌装置に着脱するための動作を説明する斜視図である。
【
図9】本発明の実施例に係る除菌装置の制御回路ブロック図である。
【
図10】本発明の実施例に係る除菌装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施例に係る除菌装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】次亜塩素酸水加湿空気清浄モード時の電流値と塩濃度検出の関係を示す図である。
【
図13】風量・温度・湿度に対する電極ユニット及びポンプへの通電時間の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0011】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
〔除菌装置の全体構成〕
図1Aは、本発明の実施例に係る除菌装置の外観斜視図である。
図1Bは、
図1Aにおける操作・表示部の拡大図である。
図2は、本発明の実施例に係る除菌装置の分解斜視図である。
図3は、
図1AのIII-III線断面図である。
図4は、タンク、加湿フィルタ、ポンプ部の関係を示す斜視図である。
図5は、リアパネルを外した状態における除菌装置の背面図である。
【0012】
図1A乃至
図3に示すように、除菌装置100は、フロントパネル101aと、一対のサイドパネル101b(
図1Aには、左側のサイドパネル101bのみ図示)と、アッパケース101cと、リアパネル101dとを備えており、これらによって筐体101が形成されている。フロントパネル101aの上部には、操作・表示部200が備えられている。左側のサイドパネル101bには、後述する加湿フィルタ107を着脱するための開口部を覆うサイドカバー101b1が備えられている。また、リアパネル101dには、空気の取り入れ口となる格子状の吸込口101d1が形成されている。リアパネル101dは、筐体101から着脱可能となっている。
【0013】
この筐体101は、タンク102が引き出し可能に収容されるタンクベース103と、これに取り付けられるリアケース104(
図2参照)とを介して組み立てられている。
【0014】
筐体101の上方には、開閉角度の調節可能なルーバー105が備えられている。なお、このルーバー105は、後縁側を軸にして前縁側が持ち上がるように回動して開く構成となっている。なお、
図1Aは、ルーバー105が閉じた状態である。ルーバー105の前側には、電源スイッチ300が設置されている。
【0015】
図1Bに示すように操作・表示部200には、温度・湿度・タイマーの設定状況・給水・塩補給等をお知らせする表示部201と、空気清浄モード・加湿空気清浄モード・次亜塩素酸水加湿空気清浄モードの運転モードを切り替える運転モード切替部202と、風量を切り替える風量切替部203と、花粉・脱臭・省エネ運転・おやすみ運転等のコースを選択するコース設定部204と、運転を停止させる切タイマーを設定するタイマー設定部205と、プレフィルタ106aの自動おそうじを設定する自動おそうじ設定部206と、表示部201に表示する温度・湿度を切り替える表示切替部207と、ガスセンサ・ダストセンサで感知した空気の汚れ度合いを色の変化でお知らせするクリーンモニタ208を備えている。
【0016】
図2及び
図3に示すように、除菌装置100の筐体101内には、リアパネル101d側からフロントパネル101a側に向かって、空気から塵を集塵する浄化フィルタユニット106(第1フィルタ)と、加湿フィルタ107(第2フィルタ)と、送風機構108と、がこの順番で配置されている。加湿フィルタ107は浄化フィルタユニット106の下流側に配置される。また、加湿フィルタ107はタンク102の上方に配置されている。
【0017】
浄化フィルタユニット106は、プレフィルタ106aと、集塵フィルタ106bと、脱臭フィルタ106cとで主に構成されている。浄化フィルタユニット106は、リアパネル101dを筐体101から取り外すことにより、脱着が可能となっている。筐体101からリアパネル101dを取り外すと、浄化フィルタユニット106が露出し、筐体101から浄化フィルタユニット106を取り外すことができる。
【0018】
送風機構108は、送風ファン109と、スクロール110と、送風ファン109を駆動するファンモータ111(駆動部)とで主に構成されている。
【0019】
筐体101内には、送風機構108の送風ファン109が回転することによって、リアパネル101dの吸込口から外部の空気が流入する。そして、この空気流は、浄化フィルタユニット106と、加湿フィルタ107を通過する。その後、空気は、送風ファン109が収納されるスクロール110上部の吹出口110aから吹出口フィルタ127及びルーバー105を介して除菌装置100の筐体101外に吐出される。
【0020】
空気を浄化するフィルタ類は、リアパネル101d側からフロントパネル101a側に向かって、プレフィルタ106aと、集塵フィルタ106bと、脱臭フィルタ106cとがこの順番で配置されて構成されている。
【0021】
プレフィルタ106aは、綿ゴミ等の比較的大きなゴミを捕集するものである。清掃性を高めるため、プレフィルタ106aは、例えば、ポリエステル樹脂の平織りネット表面にSUS(ステンレス)を蒸着しており、これを枠にインサート成形し一体としたものである。
【0022】
集塵フィルタ106bは、塵、埃、花粉等の比較的小さな微粒子を捕集するものである。
【0023】
脱臭フィルタ106cは、臭いの元となる化学物質を吸着するものである。
【0024】
加湿フィルタ107は、これを流通する空気を除菌すると共に、空気の湿度を高めるものである。
【0025】
送風機構108は、前記したように、送風ファン109が回転することにより、リアパネル101dの吸込口101d1から吸込まれた空気を前述の浄化フィルタユニット106、及び加湿フィルタ107に流通させた後、吹出口フィルタ127及びルーバー105を介して筐体101外に送り出す。
【0026】
図2及び
図4に示すように、筐体101の内部には、タンク102に貯留された水を吸水する加湿ポンプ112(ポンプ)と、加湿ポンプ112から送水された水を電気分解し、次亜塩素酸水を生成する電解部113と、生成された次亜塩素酸水を加湿フィルタ107の上方から滴下する滴下部114を備えている。加湿フィルタ107の下方には、水受け部115が備えられており、加湿フィルタ107から流れ落ちた水を受ける。本実施例では、電解部113で電気分解を行い、次亜塩素酸水を生成するため、タンク102には、塩水を貯水する。
【0027】
タンク102の上方には、開放部を覆うようにタンクカバー116が備えられている。タンクカバー116の下方には、水を吸込む吸水口となるタンクフィルタ117が備えられている。タンクカバー116の上方には、タンクカバー116の上方から突出し、タンクフィルタ117と連通する吐出パイプ118が備えられている。タンクカバー116の上方から突出した吐出パイプ118は、加湿ポンプ112を向くように曲げられている。タンクカバー116は、その周囲から中央部に向かって下るように傾斜して形成されており、中央部には集水孔116aが形成されている。集水孔116aは、タンク102に連通している。
【0028】
加湿ポンプ112には、吐出パイプ118と接続する吸水接続口119が備えられており、吐出パイプ118と吸水接続口119が接続されることにより、タンク102内の水が加湿ポンプ112によって吸水される。
【0029】
〔電解部の構成〕
次に電解部の構成について説明する。
図6は本発明の実施例に係る電解部の分解斜視図である。
図6は上ケースを外した状態を示している。
【0030】
電解部113は、3枚の電極121(121a,121b,121c)と、各電極121に接続された端子122(122a,122b,122c)と、電極121及び端子の一部を覆う上ケース123及び下ケース124を備えている。本実施例では電解部113は除菌装置100の右側に配置され、電解部113の左側に加湿フィルタ107が配置されている。すなわち、加湿フィルタ107と電解部113は、並列配置されている。
【0031】
端子122の一部は上ケース123から突出しており、図示しない電源線と接続されている。上ケース123の上方には電解部吐出パイプ125が形成され、滴下部114と接続される。下ケース124の下方には、電解部吸水パイプ126が形成され、加湿ポンプ112と接続されている。加湿ポンプ112及び電解部113は、制御部120(
図2)によって制御される。制御部120は、送風ファン109に対して、タンク102とは反対側に配置されている。また、制御部120は、後述するように加湿ポンプ112等を制御する主制御部120aと、電解部113を制御する副制御部120bから構成されている。
【0032】
〔加湿フィルタ及びタンクの着脱〕
次に、加湿フィルタ107及びタンク102を除菌装置100へ着脱するための方法について説明する。
図7は加湿フィルタを除菌装置に着脱するための動作を説明する斜視図である。
図8はタンクを除菌装置に着脱するための動作を説明する斜視図である。
【0033】
図7に示すように、筐体101の左側に位置するサイドパネル101bには、開閉可能なサイドカバー101b1が備えている。このサイドカバー101b1を開くことにより、除菌装置100から加湿フィルタ107を左側に向かって引き出し、取り外すことが可能となっている。除菌装置100を使用すると、加湿フィルタ107に汚れが付着する。その際、使用者は、サイドカバー101b1を開き、加湿フィルタ107を左側に向かって引き抜く。加湿フィルタ107は、湿った状態にあるが、加湿フィルタ107の下方には水受け部115が装着されているので、加湿フィルタ107から水が垂れ落ちるのを抑制することができる。除菌装置100から取り外した加湿フィルタ107は、水受け部115と分離し、清掃を行う。
【0034】
清掃完了後、加湿フィルタ107を水受け部115に装着し、加湿フィルタ107を除菌装置100に装着し、サイドカバー101b1を閉じる。このようにして、除菌装置100から加湿フィルタ107の着脱を行う。加湿フィルタ107と浄化フィルタユニット106とは、着脱方向が異なっている。
【0035】
図8に示すように、タンク102は、加湿フィルタ107の下方に配置されている。タンク102は、除菌装置100から左側に向かって引き出すことにより、取り外すことが可能となっている。除菌装置100から引き出したタンク102の上方には、タンクカバー116が装着されているので、タンク102への給水にあたっては、タンクカバー116を上方に向かって取り外す(
図4参照)。タンクカバー116を取り外した状態では、上方が開放されるので、この開放部から規定量の水を注ぐ。タンク102に注いだ水が規定量に達したら、タンクカバー116を装着し、除菌装置100の左側からタンク102を押し込み、装着する。タンク102を除菌装置100に装着すると、タンクカバー116から突出した吐出パイプ118が吸水接続口119に挿入され、吐出パイプ118と吸水接続口119が接続される。本実施例では、加湿フィルタ107とタンク102の着脱方向が同じ方向となっている。また、加湿フィルタ107とタンク102はそれぞれに独立して着脱が可能である。
【0036】
〔除菌装置の制御回路構成〕
図9は、本発明の実施例に係る除菌装置の制御回路ブロック図である。前述したように、本実施例の制御部120は、主制御部120a(制御基板)と、副制御部120b(電極基板)から構成されている。主制御部120aは、制御マイコン120a1と、電源回路120a2とを備えている。
【0037】
主制御部120aには、ルーバー105を回転駆動するルーバーモータ105aと、送風ファン109を回転駆動するファンモータ111と、プレフィルタ106aの自動おそうじを実行する自動お掃除ユニット210と、空気の汚れ具合を検出するダストセンサ221と、湿度を検出する湿度センサ222(湿度検知部)と、温度を検出する温度センサ223(温度検知部)と、臭いを検出するガスセンサ224と、タンク102に貯留された水を吸水する加湿ポンプ112と、加湿フィルタ107が装着されているか否かを検出する加湿フィルタ検出スイッチ107aと、タンク102内の水が不足したか否かを検知する給水センサ231(水検知部)と、除菌装置100の水平度を検出する水平センサ232とが接続されている。さらに、主制御部120aには、操作・表示部200と、電源スイッチ300と、副制御部120bが接続されている。
【0038】
自動お掃除ユニット210には、自動お掃除ユニット210を駆動する掃除モータ210aと、自動お掃除ユニット210に位置を検出する位置検出スイッチ210bと、リアパネル101dの装着の有無を検出するリアパネル検出スイッチ210cを備えている。
【0039】
副制御部120bには、電極121の電流を検出するシャント抵抗241(電流検出手段)と、電極121への電源供給を行う電極電源部242と、電極121への電流を調整する定電流回路243と、電極121の極性を切替える極性切替部244を備えている。
【0040】
本実施例の電極121は3つの電極121a,121b,121cから構成されており、電極121aと電極121cが同極となっており、電極121bが電極121a,121cと異極となっている。極性切替部244は、電極121a,121cと電極121bとの極性を切替えるように動作する。
【0041】
〔加湿ポンプ112及び電解部113の基本動作〕
次に、加湿ポンプ112及び電解部113の動作について説明する。浄化フィルタユニット106、加湿フィルタ107、貯水されたタンク102が除菌装置100に装着され、電源スイッチ300が押下されると、制御部120は、加湿ポンプ112を駆動し、タンク102から水を吸い上げ、電解部113に送水する。加湿ポンプ112が所定時間駆動し、電解部113の上ケース123、下ケース124内に水が溜まると、制御部120は、電極121に通電し、水の電気分解を行う。電解部113では、電気分解により、次亜塩素酸水が生成される。
【0042】
所定時間(例えば1分)経過後、制御部120は電極121への通電を停止し、再度加湿ポンプ112を駆動する。電解部113で生成された次亜塩素酸水は、滴下部114に送水され、滴下部114から加湿フィルタ107の上部に次亜塩素酸水が滴下される。次亜塩素酸水は加湿フィルタ107に吸水される。
【0043】
加湿ポンプ112の再起動によって電解部113には、新たな水が供給され、所定時間経過後、再度加湿ポンプ112を停止する。そして、電極121に通電し、上ケース123、下ケース124内に溜まった水を電気分解し、次亜塩素酸水を生成する。加湿ポンプ112及び電解部113では上記の動作を繰り返し実行する。
【0044】
加湿フィルタ107には、加湿ポンプ112及び電解部113の動作により、断続的に次亜塩素酸水が上方から滴下される。
【0045】
次亜塩素酸水は、加湿フィルタ107に浸透し、加湿フィルタ107の吸水量を超えると、一部が加湿フィルタ107から垂れ落ちる。垂れ落ちた次亜塩素酸水は、水受け部115で受水される。水受け部115の中央部には、開閉弁115aが備えられており、除菌装置100にタンク102が装着されると、開閉弁115aが開き、水受け部115とタンクカバー116の集水孔116aが連通する。加湿フィルタ107から垂れ落ちた次亜塩素酸水は、水受け部115を経由してタンク102に回収され、貯留される。
【0046】
加湿ポンプ112及び電解部113の動作を繰り返すことにより、タンク102に回収される次亜塩素酸水が増え、タンク102内の次亜塩素酸水の濃度が上昇する。次亜塩素酸水の濃度が上昇した時点で、制御部120は電解部113での電気分解工程を終了し、加湿ポンプ112を連続運転・若しくは間欠運転させる。加湿フィルタ107は、常時、次亜塩素酸水が浸透した状態となる。また、濃度が上昇した次亜塩素酸水により、タンク102内は除菌効果が増し、カビやぬめりの発生が抑制される。
【0047】
加湿フィルタに次亜塩素酸水を供給する方法の一例として、給水タンクから水受け皿に水を供給し、循環ポンプで吸い上げた水を電解槽で電気分解し、電解水を加湿フィルタの上部から滴下する方法がある。加湿フィルタ107から垂れ落ちた一部の電解水は水受け皿に回収される。給水タンクからは減った分の水が水受け皿に供給される。上記の例の場合、電解水で満たされるのは、加湿フィルタと水受け皿だけであり、給水タンクは水のままである。このため、給水タンク内には、カビやぬめりの発生する可能性がある。本実施例では、タンク102に次亜塩素酸水が溜まるので、タンク102内は除菌効果が増し、カビやぬめりの発生が抑制される。
【0048】
〔送風ファンの基本動作〕
次に、制御部120(主制御部120a)は、ファンモータ111に通電し、送風ファン109を駆動するよう制御する。
図3に示すように、除菌装置100は、吸込口101d1から吸い込まれた空気の流路上流から、浄化フィルタユニット106、加湿フィルタ107、送風ファン109、吹出口110a(
図2)の順に設けられている。また、浄化フィルタユニット106、加湿フィルタ107、送風ファン109はモータの回転軸方向に並んで配置されている。空気の除菌に寄与する加湿フィルタ107は、浄化フィルタユニット106と送風ファン109の間に設けられている。
【0049】
図3の矢印で示すように、リアパネル101dの吸込口101d1から吸込まれた空気は、浄化フィルタユニット106(プレフィルタ106a、集塵フィルタ106b,脱臭フィルタ106c)、加湿フィルタ107を通過し、送風ファン109にて送風ファン109の遠心方向に向きが変更され、ルーバー105が設置された吹出口110aから吹き出される。
【0050】
浄化フィルタユニット106(プレフィルタ106a、集塵フィルタ106b,脱臭フィルタ106c)を通過した空気は、綿ゴミ、チリ、ホコリ、花粉、臭い等が除去され、加湿フィルタ107に流入する。加湿フィルタ107には、次亜塩素酸水が浸透されているので、加湿フィルタ107を通過する空気は次亜塩素酸水と接触し、除菌される。そして、除菌された空気が吹出口110aから吹き出される。
【0051】
送風ファン109は、加湿ポンプ112及び電解部113の動作時に駆動させるようにしてもよい。
【0052】
本実施例では、空気の除菌に寄与する加湿フィルタ107の下流側に送風ファン109が設けられているので、吹出口から送出される風量の低下を抑制し、除菌効果の低下を抑制することができる除菌装置を提供することができる。
【0053】
なお、加湿空気清浄モードで使用する場合、加湿フィルタ107には電気分解されていない普通の水が浸透され、この加湿フィルタ107に空気を通過させることにより、加湿した空気が吹出口110aから吹き出される。また、空気清浄モードで使用する場合、加湿フィルタ107は乾燥した状態で使用され、乾燥した加湿フィルタ107に空気を通過させることにより、塵埃が濾過され乾燥した空気が吹出口110aから吹き出される。
【0054】
〔除菌装置の動作〕
次に
図10乃至
図13を用いて、除菌装置100の全体の動作について説明する。
図10及び
図11は、本発明の実施例に係る除菌装置の動作を示すフローチャートである。
図12は、次亜塩素酸水加湿空気清浄モード時の電流値と塩濃度検出の関係を示す図である。
【0055】
図10において、電源スイッチ300がONをした後、使用者は空気清浄モード・加湿空気清浄モード・次亜塩素酸水加湿空気清浄モードの中から任意の運転モードを選択する(ステップS401)。
【0056】
空気清浄モードが選択された場合(ステップS402)、制御部120は、加湿ポンプ112及び電極121への通電は行わず、ファンモータ111に通電し、送風ファン109を動作させる(ステップS403)。空気清浄モードは上記のように動作する。
【0057】
加湿空気清浄モードが選択された場合(ステップS404)、制御部120は、給水センサ231によってタンク102の水位が所定以上あるか否か判断する(ステップS405)。タンク102の水位が所定値以上ある場合(ステップS405のYES)、制御部120は、加湿ポンプ112及びファンモータ111に通電し、動作させる(ステップS406)。タンク102の水位が所定値未満の場合(ステップS405のNO)、制御部120は、加湿ポンプ112及びファンモータ111への通電をせず、操作・表示部200にタンク102内の水が不足している旨のエラー報知する(ステップS407)。エラー報知にあたっては、操作・表示部200に表示する以外に音を報知するようにしても良い。
【0058】
給水の報知を受け、使用者はタンク102への給水、若しくは電源スイッチをOFFする(ステップS408)。加湿空気清浄モードは上記のように動作する。
【0059】
次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択された場合(ステップS409)、制御部120は、給水センサ231によってタンク102の水位が所定以上あるか否か判断する(ステップS410)。タンク102の水位が所定値以上ある場合(ステップS410のYES)、
図11に示すように制御部120は、加湿ポンプ112、電極121及びファンモータ111に通電し、動作させる(ステップS411)。タンク102の水位が所定値未満の場合(ステップS410のNO)、制御部120は、加湿ポンプ112、電極121及びファンモータ111への通電をせず、操作・表示部200に給水が必要である旨のエラーを報知する(ステップS412)。エラーを報知するにあたっては、操作・表示部200に表示する以外に音を報知するようにしても良い。
【0060】
給水の報知を受け、使用者はタンク102への給水、若しくは電源スイッチ300をOFFする(ステップS408)。
【0061】
加湿ポンプ112、電極121及びファンモータ111が動作後、制御部120は、各センサ(ダストセンサ221、湿度センサ222,温度センサ223,ガスセンサ224,シャント抵抗241)からの信号、及び運転時間、電極121への通電時間を確認する(ステップS413)。
【0062】
まず、湿度・温度検出の流れについて説明する。
【0063】
制御部120は、湿度センサ222、温度センサ223からの信号に基づき、湿度・温度が閾値より変化しているか否かを判断(ステップS414)し、変化している場合(ステップS414のYES)には、加湿ポンプ112及び電極121への通電サイクルを変更する(ステップS415)。上記の状態について、
図13を用いて説明する。
【0064】
図13は、風量・温度・湿度に対する電極ユニット及びポンプへの通電時間の一例を示す図である。
図13の制御サイクルとは、通電時間と停止時間の合計値を1サイクルとするものである。
【0065】
図13において、例えば、温度が20℃の時の湿度に閾値として、湿度30%に設定されていると仮定する。温度及び湿度は、それぞれ上述した温度センサ223及び湿度センサ222によって検知される。
【0066】
テーブル「A」では、風量が「強」、検出された温度が20℃、湿度が20%(閾値:湿度30%未満)である時、制御サイクルが75秒、電界強度が「強」に設定される。運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択された直後から10分までの間は、電解部113への通電時間は75秒、停止時間は0秒となっている。運転が継続され、10分を超えると、電解部113への通電時間は59秒、停止時間は16秒となる。加湿ポンプ112への通電時間は3秒、停止時間は72秒となっている。
【0067】
テーブル「A」の状態から湿度が変化し、湿度が40%(閾値:湿度30%以上)となると、テーブル「C」の状態となる。テーブル「C」では、制御サイクルが100秒、電界強度が「強」に設定される。運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択された直後から10分までの間は、電解部113への通電時間は75秒、停止時間は25秒となっている。運転が継続され、10分を超えると、電解部113への通電時間は60秒、停止時間は40秒となる。加湿ポンプ112への通電時間は2秒、停止時間は98秒となっている。
【0068】
すなわち、本実施例の制御部120は、湿度センサ222で検知された湿度が所定の閾値(湿度30%)より高い場合、閾値(湿度30%)より低い場合に比べて加湿ポンプ112への通電時間を短く(2秒<3秒)し、電解部113への通電停止時間を長くしている(25秒>0秒、40秒>16秒)。
【0069】
閾値は、温度によって変化するようにしてもよい。テーブル「B」では、湿度が30%となり、閾値(温度20℃、湿度30%)を超えているが、テーブル「A」と比較し、温度が20℃から30℃に上昇しているので、閾値を30%から40%に変更する。このため、テーブル「B」では、テーブル「A」から制御サイクル、通電時間、停止時間が変更されない。本実施例では、温度センサ223が検知する温度に基づいて閾値が変わるようにしている。
【0070】
テーブル「F」では、温度が30℃においてさらに湿度が上昇した場合、制御サイクルを235秒とし、運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択された直後から10分までの間は、電解部113への通電時間は30秒、停止時間は205秒としている。運転が継続され、10分を超えると、電解部113への通電時間は23秒、停止時間は21240秒となる。加湿ポンプ112への通電時間は2.5秒、停止時間は232秒としている。このように、湿度の上昇に合わせ、電解部113への通電時間を短く、電解部113への通電停止時間を長くしている。
【0071】
【0072】
ステップS424において、制御部120は、給水センサ231によってタンク102の水位が所定値以上あるか否か判断する。タンク102の水位が所定値以上ある場合(ステップS424のYES)、制御部120は、ステップS411からのフローを繰り返す。タンク102の水位が所定値未満の場合(ステップS424のNO)、制御部120は、加湿ポンプ112及び電極121への通電を停止し、操作・表示部200にタンク102内の水が不足している旨のエラーを報知する(ステップS425)。エラーを報知するにあたっては、操作・表示部200に表示する以外に音を報知するようにしても良い。
【0073】
操作・表示部200に報知後、制御部120は、電極121の極性を切替える(ステップS426)。電極121の極性を切替後、制御部120は、ステップS408からのフローを実行する。
【0074】
本実施例の制御部120は、給水センサ231がタンク102内の水が不足していることを検知すると、加湿ポンプ112及び電解部113(電極121)への通電を停止すると共に、複数の電極121a,121b,121cの極性を切り替える。例えば、電極121aと電極121cが正極、電極121bが負極となっている状態からステップS426によって電極を切替えると、電極121aと電極121cが負極、電極121bが正極となる。
【0075】
複数の電極121a,121b,121cの極性の切り替えは、加湿ポンプ112の駆動が停止され、且つ電解部113への通電が停止された場合から、加湿ポンプ112の駆動が開始され、且つ電解部113への通電が開始された場合に、行われる。
【0076】
次に電流検出の流れについて説明する。
【0077】
制御部120は、電解部113に流す電流指令値(閾値)を出力する。また、制御部120は、シャント抵抗241(電流検出手段)からの信号に基づき、電流値が所定の閾値(電流指令値)以下か否かを判断(ステップS416)し、電流値が所定の閾値以下である場合(ステップS416のYES)には、電極121への通電を停止し、操作・表示部200に塩濃度が不足であり確認する旨のエラーを報知する(ステップS417)。エラーを報知するにあたっては、操作・表示部200に表示する以外に音を報知するようにしても良い。
【0078】
電流値が閾値未満の場合(ステップS416のNO)、制御部120は電流値が上限値以上であるか否か判断する(ステップS418)。電流値が上限値以上である場合(ステップS418のYES)、制御部120は電流が一定になるように電極121を制御する。電流値が上限値未満の場合(ステップS418のNO)、ステップS242へ進む。
【0079】
本実施例の制御部120は、シャント抵抗241(電流検出手段)が検出する電流値に基づいて電解部113に送水された塩濃度を検知するようにしている。シャント抵抗241(電流検出手段)による電流検出は、電解部113に水が供給される必要があるため、加湿ポンプ112か駆動されたから所定時間経過後に実行する。
【0080】
図12に、次亜塩素酸水加湿空気清浄モード時の電流値と塩濃度検出の関係を示す。制御部120は、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードでは電極間電流が上限値と下限値の間に収まるよう電流値を調整すると共に、次亜塩素酸水の生成に必要な塩濃度を検出する。塩濃度は、シャント抵抗241が検出する電極間電流値で検出する。ここで言う塩濃度検出とは、濃度が何%といった具体的な数値を検出することを意図するものでは無く、次亜塩素酸水の生成に必要な濃度を検出することを意図するものである。
【0081】
図12において、シャント抵抗241(電流検出手段)で検出される電流値Iaが予め設定された閾値(下限値Imin)以下の場合には、塩濃度が低く、十分な次亜塩素酸水が生成できないので、本実施例では、操作・表示部200に塩濃度を確認する旨のエラーを報知するようにしている(ステップS417)。
【0082】
また、次亜塩素酸水加湿空気清浄モード中に水分が蒸発し、塩濃度が上昇すると、シャント抵抗241(電流検出手段)で検出される電流値Ibが増加し、予め設定された上限値Imaxに到達する。上限値Imax以上の電流値で次亜塩素酸水を生成すると、次亜塩素酸水の生成が過剰となるので、電流値Ibが上限値Imaxに達した場合には、制御部120電流が一定になるように制御する(ステップS419)。本実施例によれば、次亜塩素酸の過剰な生成を抑制することができる。
【0083】
さらに、次亜塩素酸水加湿空気清浄モード中に次亜塩素酸水の生成等によって塩濃度が下降すると、シャント抵抗241(電流検出手段)で検出される電流値Icが減少し、閾値(下限値Imin)に到達する。シャント抵抗241(電流検出手段)で検出される電流値Icが閾値(下限値Imin)以下の場合には、塩濃度が低く、十分な次亜塩素酸水が生成できないので、操作・表示部200に塩濃度を確認する旨を報知する(ステップS417)。
【0084】
次に運転時間の流れについて説明する。
【0085】
制御部120は、電源スイッチ300がONされ、運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択されてからの時間を計測する。制御部120は、除菌装置100の運転時間が所定時間以下であるか否かを判断(ステップS420)し、所定時間以下の場合(ステップS420のYES)には、ステップS324へ進む。除菌装置100の運転時間が所定時間以下でない場合(ステップS420のNO)には、電極121の通電時間を変更する。
図13を用いて具体的に説明する。
【0086】
図13において、テーブル「A」では、制御サイクルが75秒となっている。運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択され、運転開始(0分)から10分までの間は、電解部113への通電時間は75秒、停止時間は0秒となっている。運転が継続され、10分を超えると、電解部113への通電時間は59秒、停止時間は16秒となる。
【0087】
同様に、テーブル「C」では制御サイクルが100秒となっている。運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択され、運転開始(0分)から10分までの間は、電解部113への通電時間は75秒、停止時間は25秒となっている。運転が継続され、10分を超えると、電解部113への通電時間は60秒、停止時間は40秒となる。
【0088】
すなわち、制御部120は、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択された場合、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始された時(0分から10分)の電解部113への通電時間は、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始されてから所定時間経過後(10分以降)における電解部113への通電時間より長くなるように制御している。逆の見方をすると、制御部120は、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択された場合、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始されてから所定時間経過後(10分以降)の電解部113への通電時間は、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始されたとき(0分から10分)における電解部113への通電時間より短くなるように制御している。
【0089】
電解部113に通電し、次亜塩素酸水が生成されると、タンク102内の次亜塩素酸水の濃度が上昇する。そこで、本実施例では、時間の経過と共に、電解部113への通電時間を短くし、次亜塩素酸水が過剰に生成されるのを抑制している。本実施例によれば、次亜塩素酸水が過剰に生成されるのを抑制し、次亜塩素酸水に接触している部品の劣化を抑制することができる。
【0090】
次に通電時間の流れについて説明する。
【0091】
制御部120は、電源スイッチ300がONされ、運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択され、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードで運転して電解部113へ通電された累積通電時間を計測する。制御部120は、除菌装置100の累積運転時間が所定時間以下であるか否かを判断(ステップS422)し、所定時間以下の場合(ステップS422のYES)には、ステップS324へ進む。除菌装置100の累積運転時間が所定時間を超えた場合(ステップS422のNO)には、電解部113への通電を停止し、電極121が寿命である旨のエラーを報知する。エラーを報知するにあたっては、操作・表示部200に表示する以外に音を報知するようにしても良い。本実施例によれば、電極121の寿命を把握することができ、電極121を交換することにより次亜塩素酸水の生成を継続しておこなうことができる。
【0092】
また、本実施例では、風量によっても電解部113への通電時間を変更している。
図13において、本実施例の除菌装置100の吹出口110aから吹き出す風量は、使用者が任意に設定変更できるようになっている。
【0093】
例えば、温度が20℃、湿度が40%であるテーブル「D」とテーブル「E」とを比較する。テーブル「D」の風量は「強」、テーブル「E」の風量はテーブル「D」より弱い「中」となっている。
【0094】
テーブル「D」では制御サイクルが100秒となっている。運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択され、運転開始(0分)から10分までの間は、電解部113への通電時間は18秒、停止時間は82秒となっている。運転が継続され、10分を超えると、電解部113への通電時間は14秒、停止時間は86秒となる。
【0095】
一方、テーブル「E」では制御サイクルが160秒となっている。運転モードとして次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択され、運転開始(0分)から10分までの間は、電解部113への通電時間は11秒、停止時間は149秒となっている。運転が継続され、10分を超えると、電解部113への通電時間は8秒、停止時間は152秒となる。
【0096】
すなわち、制御部120は、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択され、風量「強」が設定された場合、風量「中」が設定された場合に比べて、電解部113への通電時間を長くなるように制御している(18秒>11秒、14秒>8秒)。逆の見方をすると、制御部120は、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが選択され、風量「中」が設定された場合、風量「強」が設定された場合に比べて、電解部113への通電時間を短くなるように制御している(11秒<18秒、8秒<14秒)。
【0097】
また、電解強度を切り替えて、電極の寿命を延ばすようにしても良い。
【0098】
上述したように本実施例の制御部120には、風量、温度、湿度、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始されてからの運転時間、電解部113への通電時間、電解部113への通電停止時間、加湿ポンプ112への通電時間、加湿ポンプ112への通電停止時間の関係が対応付けられたテーブルが記憶されている。そして、制御部120は、設定された風量と、温度センサ223で検知された温度と、湿度センサ222で検知された湿度と、次亜塩素酸水加湿空気清浄モードが開始されてからの運転時間に基づいて、テーブルから電解部113への通電時間、電解部113への通電停止時間、加湿ポンプ112への通電時間、加湿ポンプ112への通電停止時間を決定するようにしている。
【0099】
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
【符号の説明】
【0100】
100…除菌装置、101a…フロントパネル、101b…サイドパネル、101c…アッパケース、101d…リアパネル、101…筐体、101a…フロントパネル、101b…サイドパネル、101c…アッパケース、101d…リアパネル、101d1…吸込口、102…タンク、103…タンクベース、104…リアケース、105…ルーバー、106…浄化フィルタユニット(第1フィルタ)、106a…プレフィルタ、106b…集塵フィルタ、106c…脱臭フィルタ、107…加湿フィルタ、108…送風機構、109…送風ファン、110…スクロール、110a…吹出口、111…ファンモータ、112…加湿ポンプ(ポンプ)、113…電解部、114…滴下部、115…水受け部、116…タンクカバー、116a…集水孔、117…タンクフィルタ、118…吐出パイプ、119…吸水接続口、120…制御部、121,121a,121b,121c…電極、122,122a,122b,122c…端子、123…上ケース、124…下ケース、125…電解部吐出パイプ、126…電解部吸水パイプ、127…吹出口フィルタ、200…操作・表示部、201…表示部、202…運転モード切替部、203…風量切替部、204…コース設定部、205…タイマー設定部、206…自動おそうじ設定部、207…表示切替部、208…クリーンモニタ、210…自動お掃除ユニット、210a…掃除モータ、210b…位置検出スイッチ、210c…リアパネル検出スイッチ、221…ダストセンサ、222…湿度センサ、223…温度センサ、224…ガスセンサ、231…給水センサ、232…水平センサ、241…シャント抵抗(電流検出手段)、242…電極電源部、243…定電流回路、244…極性切替部、300…電源スイッチ、300…電源スイッチ