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特開2022-162255内管漏洩判定装置及び内管漏洩判定方法
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  • 特開-内管漏洩判定装置及び内管漏洩判定方法 図1
  • 特開-内管漏洩判定装置及び内管漏洩判定方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162255
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】内管漏洩判定装置及び内管漏洩判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/28 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
G01M3/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066977
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000142425
【氏名又は名称】アズビル金門株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染谷 将也
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 信仁
(72)【発明者】
【氏名】森畑 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 博久
(72)【発明者】
【氏名】大和久 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 恭太郎
(72)【発明者】
【氏名】守屋 優
(72)【発明者】
【氏名】岩本 壮太郎
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA14
2G067BB02
2G067BB22
2G067CC04
2G067DD04
2G067EE05
2G067EE08
2G067EE12
(57)【要約】
【課題】従来に対し、内管漏洩の誤検知を回避可能とする。
【解決手段】第一区間の期間が経過したかを判定する期間経過判定部103と、第一区間の期間が経過したと判定された場合、第一平均流量を取得する平均流量取得部104と、第二区間の期間が経過したかを判定する期間経過判定部105と、第二区間の期間が経過したと判定された場合、第二平均流量として取得する平均流量取得部106と、第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であるか、又は、第二平均流量が第二流量以上であるかを判定する流量判定部107と、第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上である又は第二平均流量が第二流量以上であると判定された期間が所定日数を経過しているかを判定する日数判定部108と、所定日数を経過していると判定された場合、警報を発する警報部109とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一区間の期間が経過したかを判定する第一期間経過判定部と、
前記第一期間経過判定部により第一区間の期間が経過したと判定された場合、当該第一区間における平均流量を第一平均流量として取得する第一平均流量取得部と、
複数の第一区間から成る第二区間の期間が経過したかを判定する第二期間経過判定部と、
前記第二期間経過判定部により第二区間の期間が経過したと判定された場合、当該第二区間における平均流量を第二平均流量として取得する第二平均流量取得部と、
前記第一平均流量取得部による取得結果及び前記第二平均流量取得部による取得結果に基づいて、第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であるか、又は、第二平均流量が第二流量以上であるかを判定する流量判定部と、
前記流量判定部により第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上である又は第二平均流量が第二流量以上であると判定された期間が所定日数を経過しているかを判定する日数判定部と、
前記日数判定部により所定日数を経過していると判定された場合、警報を発する警報部と
を備えた内管漏洩判定装置。
【請求項2】
前記流量判定部は、第二区間を構成する第一区間の個数分の第一平均流量の2乗和を、第二区間を構成する第一区間の個数で割り、第二平均流量の2乗を差し引いた値を、第二区間における第一平均流量の分散とする
ことを特徴とする請求項1記載の内管漏洩判定装置。
【請求項3】
前記流量判定部は、第一流量として、内管漏洩のばらつきの許容幅の2乗を用いる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内管漏洩判定装置。
【請求項4】
第一期間経過判定部が、第一区間の期間が経過したかを判定するステップと、
第一平均流量取得部が、前記第一期間経過判定部により第一区間の期間が経過したと判定された場合、当該第一区間における平均流量を第一平均流量として取得するステップと、
第二期間経過判定部が、複数の第一区間から成る第二区間の期間が経過したかを判定するステップと、
第二平均流量取得部が、前記第二期間経過判定部により第二区間の期間が経過したと判定された場合、当該第二区間における平均流量を第二平均流量として取得するステップと、
流量判定部が、前記第一平均流量取得部による取得結果及び前記第二平均流量取得部による取得結果に基づいて、第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であるか、又は、第二平均流量が第二流量以上であるかを判定するステップと、
日数判定部が、前記流量判定部により第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上である又は第二平均流量が第二流量以上であると判定された期間が所定日数を経過しているかを判定するステップと、
警報部が、前記日数判定部により所定日数を経過していると判定された場合、警報を発するステップと
を有する内管漏洩判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内管漏洩の有無を判定する内管漏洩判定装置及び内管漏洩判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスメータには、ガス事業法に従い、ガス漏洩検知機能が備わっている。ガス漏洩検知機能は、ガスメータが取付けられた内管(配管)において所定日数(30日)連続でガス流量が検知された場合に警報を出す機能である。
しかしながら、このガス漏洩検知機能は、脈動が発生する環境では、実際には漏洩していなくても内管漏洩を誤検知することがある。
【0003】
内管漏洩の誤検知を回避する手法として、例えば特許文献1に開示された手法が挙げられる。この手法では、所定区間の期間における平均流量が所定の許容範囲内であり、且つ、当該平均流量の平均が所定の許容流量以内でない場合に流量ありと判定し、流量ありの期間が所定日数継続した場合に内管漏洩ありと確定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-216724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガスが使用されていない状態であっても、温度変化等の影響により長期間にわたってガスが流れることがある。そのため、このような場合には上記手法を用いても内管漏洩を誤検知する可能性がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、従来に対し、内管漏洩の誤検知を回避可能とする内管漏洩判定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る内管漏洩判定装置は、第一区間の期間が経過したかを判定する第一期間経過判定部と、第一期間経過判定部により第一区間の期間が経過したと判定された場合、当該第一区間における平均流量を第一平均流量として取得する第一平均流量取得部と、複数の第一区間から成る第二区間の期間が経過したかを判定する第二期間経過判定部と、第二期間経過判定部により第二区間の期間が経過したと判定された場合、当該第二区間における平均流量を第二平均流量として取得する第二平均流量取得部と、第一平均流量取得部による取得結果及び第二平均流量取得部による取得結果に基づいて、第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であるか、又は、第二平均流量が第二流量以上であるかを判定する流量判定部と、流量判定部により第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上である又は第二平均流量が第二流量以上であると判定された期間が所定日数を経過しているかを判定する日数判定部と、日数判定部により所定日数を経過していると判定された場合、警報を発する警報部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、従来に対し、内管漏洩の誤検知を回避可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る内管漏洩判定装置の構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る内管漏洩判定装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1の構成例を示す図である。
内管漏洩判定装置1は、ガスメータに設けられ、ガスメータにおける内管漏洩の有無を判定する。内管漏洩判定装置1は、図1に示すように、記憶部101、計時部102、期間経過判定部(第一期間経過判定部)103、平均流量取得部(第一平均流量取得部)104、期間経過判定部(第二期間経過判定部)105、平均流量取得部(第二平均流量取得部)106、流量判定部107、日数判定部108及び警報部109を備えている。
【0011】
なお、内管漏洩判定装置1は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0012】
記憶部101は、内管漏洩判定装置1で扱われる各種情報を示すデータを記憶する。記憶部101は、例えば、平均流量取得部104により取得された第一平均流量及び平均流量取得部106により取得された第二平均流量を示すデータを記憶する。また、記憶部101は、例えば、閾値である第一流量、第二流量及び所定日数を示すデータを記憶する。
記憶部101は、メモリ等によって構成される。
【0013】
なお、図1では、記憶部101が内管漏洩判定装置1の内部に設けられた場合を示した。しかしながら、これに限らず、記憶部101は内管漏洩判定装置1の外部に設けられ、内管漏洩判定装置1が記憶部101からデータを適宜読出すように構成されていてもよい。
【0014】
計時部102は、内管漏洩の期間を計時する。計時部102は、流量判定部107により第二区間における第一平均流量の分散が第一流量未満であり且つ第二平均流量が第二流量未満であると判定された場合、計時している内管漏洩の期間をリセットする。
【0015】
期間経過判定部103は、第一区間の期間が経過したかを判定する。
【0016】
平均流量取得部104は、期間経過判定部103により第一区間の期間が経過したと判定された場合、当該第一区間における平均流量を第一平均流量として取得する。この際、平均流量取得部104は、ガスメータにより一定時間間隔で計測された内管(配管)におけるガスの瞬時流量から流量値を算出し、当該算出した流量値を第一区間分積算して平均を算出することで、第一区間における平均流量を算出する。
【0017】
期間経過判定部105は、第二区間の期間が経過したかを判定する。第二区間は、複数の第一区間から構成される期間である。
【0018】
平均流量取得部106は、期間経過判定部105により第二区間の期間が経過したと判定された場合、当該第二区間における平均流量を第二平均流量として取得する。この際、平均流量取得部106は、第一平均流量を第二区間分積算して平均を算出することで、第二区間における平均流量を取得する。
【0019】
流量判定部107は、第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であるか、又は、第二平均流量が第二流量以上であるかを判定することで、内管におけるガス流量の有無を判定する。なお、流量判定部107は、第一平均流量及び第二平均流量は記憶部101からデータを読出すことで得る。
【0020】
日数判定部108は、流量判定部107により第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であると判定された場合又は第二平均流量が第二流量以上であると判定された場合、計時部102により計時されている内管漏洩の期間が所定日数(30日)を経過しているかを判定する。なお、日数判定部108は、所定日数は記憶部101からデータを読出すことで得る。
【0021】
警報部109は、日数判定部108により内管漏洩の期間が所定日数を経過していると判定された場合、内管漏洩が生じている旨を通知するための警報を発する。この際、例えば、警報部109は、表示装置(不図示)への画面表示、音声出力装置(不図示)を介した音声出力、又は、警報ランプ(不図示)の点灯を行うことで、警報を発する。
【0022】
次に、図1に示す実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1の動作例について、図2を参照しながら説明する。
図1に示す実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1の動作例では、図2に示すように、まず、計時部102は、内管漏洩の期間の計時を開始する(ステップST201)。
【0023】
次いで、期間経過判定部103は、第一区間の期間が経過したかを判定する(ステップST202)。第一区間は例えば2秒の区間である。
【0024】
このステップST202において、期間経過判定部103により第一区間の期間は経過していないと判定された場合、シーケンスはステップST202に戻る。
【0025】
一方、ステップST202において、期間経過判定部103により第一区間の期間が経過したと判定された場合、平均流量取得部104は、当該第一区間における平均流量を第一平均流量として取得する(ステップST203)。第一平均流量は、例えば2秒間の平均流量である。Qave1は、第一平均流量を示している。
【0026】
次いで、期間経過判定部105は、第二区間の期間が経過したかを判定する(ステップST204)。第二区間は例えば120秒の区間である。
【0027】
このステップST204において、期間経過判定部105により第二区間の期間は経過していないと判定された場合、シーケンスはステップST202に戻る。
【0028】
一方、ステップST204において、期間経過判定部105により第二区間の期間が経過したと判定された場合、平均流量取得部106は、当該第二区間における平均流量を第二平均流量として取得する(ステップST205)。第二平均流量は、例えば120秒間の平均流量である。Qave2は、第二平均流量を示している。
【0029】
次いで、流量判定部107は、第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であるか、又は、第二平均流量が第二流量以上であるかを判定する(ステップST206)。第二区間における第一平均流量の分散は、第二区間を構成する第一区間の個数分の第一平均流量の2乗和を、第二区間を構成する第一区間の個数で割り、第二平均流量の2乗を差し引くことで、求められる。また、第一流量は、内管漏洩のばらつきの許容幅の2乗である。内管漏洩のばらつきの許容幅は、例えば1.5L/hである。
【0030】
このステップST206において、流量判定部107により第二区間における第一平均流量の分散が第一流量未満であり且つ第二平均流量が第二流量未満であると判定された場合、計時部102は内管漏洩の期間の計時をリセットする(ステップST207)。その後、シーケンスは、ステップST202に戻る。
【0031】
一方、ステップST206において、流量判定部107により第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であると判定された場合又は第二平均流量が第二流量以上であると判定された場合、日数判定部108は、計時部102により計時されている内管漏洩の期間が所定日数(30日)を経過しているかを判定する(ステップST208)。
【0032】
このステップST208において、日数判定部108により内管漏洩の期間が所定日数を経過していないと判定された場合には、シーケンスはステップST202に戻る。
【0033】
一方、ステップST208において、日数判定部108により内管漏洩の期間が所定日数を経過していると判定された場合、警報部109は内管漏洩が生じている旨を通知するための警報を発する(ステップST209)。
【0034】
このように、実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1は、瞬時流量から第一区間における平均流量を算出し、また、複数の第一区間から成る第二区間における平均流量を算出し、第二区間内における第一平均流量の分散値が第一流量以上である、又は、第二平均流量が第二流量以上である場合に流量ありと判定し、その流量ありの期間が所定日数(30日)経過した場合に内管漏洩ありと判定する。これにより、実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1は、ガスが使用されず漏洩していないにも関わらず、温度変化等の影響によるガスの流れによって内管漏洩の誤検知が発生する可能性を低減可能となる。また、この実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1は、脈動が発生する環境においても、内管漏洩の誤検知を回避可能である。
【0035】
また、内管漏洩の検知方法として、第二区間における平均流量の最大値と最小値との差分から判定する方法もある。一方、実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1による判定方法では、上記方法に対して正確性が向上するものと考えられる。すなわち、上記のような第二区間における平均流量の最大値と最小値との差分から判定する方法では、1つでも特異値が存在する場合には流量ありと判定してしまう。これに対し、実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1による判定方法では、第二区間における第一平均流量の分散値を用いているため、上記のような場合でも、ばらつきは少なくなり、流量無しと判定可能となる。
【0036】
以上のように、この実施の形態1によれば、内管漏洩判定装置1は、第一区間の期間が経過したかを判定する期間経過判定部103と、期間経過判定部103により第一区間の期間が経過したと判定された場合、当該第一区間における平均流量を第一平均流量として取得する平均流量取得部104と、複数の第一区間から成る第二区間の期間が経過したかを判定する期間経過判定部105と、期間経過判定部105により第二区間の期間が経過したと判定された場合、当該第二区間における平均流量を第二平均流量として取得する平均流量取得部106と、平均流量取得部104による取得結果及び平均流量取得部106による取得結果に基づいて、第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上であるか、又は、第二平均流量が第二流量以上であるかを判定する流量判定部107と、流量判定部107により第二区間における第一平均流量の分散が第一流量以上である又は第二平均流量が第二流量以上であると判定された期間が所定日数を経過しているかを判定する日数判定部108と、日数判定部108により所定日数を経過していると判定された場合、警報を発する警報部109とを備えた。これにより、実施の形態1に係る内管漏洩判定装置1は、従来に対し、内管漏洩の誤検知を回避可能となる。
【0037】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合わせ、或いは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 内管漏洩判定装置
101 記憶部
102 計時部
103 期間経過判定部(第一期間経過判定部)
104 平均流量取得部(第一平均流量取得部)
105 期間経過判定部(第二期間経過判定部)
106 平均流量取得部(第二平均流量取得部)
107 流量判定部
108 日数判定部
109 警報部
図1
図2