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特開2022-162322基板収納容器の蓋体及び基板収納容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162322
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】基板収納容器の蓋体及び基板収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20221017BHJP
   B65D 43/02 20060101ALN20221017BHJP
   B65D 85/86 20060101ALN20221017BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D43/02 100
B65D85/86 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067100
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】飯田 拓也
【テーマコード(参考)】
3E084
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AA26
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CB03
3E084CC03
3E084CC05
3E084DA03
3E084DC03
3E084DC05
3E084FD11
3E084HC03
3E096AA03
3E096BA01
3E096BA15
3E096BA16
3E096BA17
3E096BB03
3E096CA02
3E096CB03
3E096CC02
3E096EA02X
3E096FA26
5F131AA02
5F131CA09
5F131CA15
5F131GA15
5F131GA43
5F131GA53
5F131GA83
(57)【要約】
【課題】 上蓋の外観を大きく変更することなく、上蓋の着脱や係止片の取り付け取り外しを自動化することのできる基板収納容器の蓋体及び基板収納容器を提供する。
【解決手段】 基板収納箱の開口上部を開閉する着脱自在の上蓋10を備え、この上蓋10の両側部に、基板収納箱を構成する外箱の両側壁上部の係止具に嵌合係止する一対の係止片11をそれぞれ吊り下げ状態に一体成形し、各係止片11に、基板収納箱の上部に対する上蓋10の自動開閉を可能とする永久磁石22等の自動開閉支援部材20を設ける。上蓋10を自動的に取り付けたり、取り外しすることができるので、半導体ウェーハの汚染のおそれを排除したり、半導体デバイスの微細化や清浄度の向上が期待でき、半導体デバイスの高性能化を図ることができる。また、上蓋10を自動開閉するので、上蓋10やその係止片11に作用する負荷を均等化することができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板収納箱の開口上部を開閉する着脱自在の上蓋を備え、この上蓋に、基板収納箱の周壁の係止具に引っかかる係止片を設け、この係止片に、基板収納箱の上部に対する上蓋の自動開閉を可能とする自動開閉支援部材を設けたことを特徴とする基板収納容器の蓋体。
【請求項2】
基板収納箱は、有底筒形の外箱と、この外箱内に着脱自在に嵌め入れられて幅200mm以下の基板を複数枚整列収納可能な内箱とを含み、外箱の両側壁上部に突起付きの係止具をそれぞれ形成した請求項1記載の基板収納容器の蓋体。
【請求項3】
上蓋を平面略矩形に形成して外箱の開口上部に嵌め合わせ可能とし、この上蓋の両側部に略板形の係止片をそれぞれ揺動自在に形成し、各係止片を横長に形成してその長手方向に複数の孔を並べ設け、この複数の孔のうち、一部の孔を係止具の突起に嵌め合わせ可能とした請求項2記載の基板収納容器の蓋体。
【請求項4】
自動開閉支援部材は、磁石と、磁石に引き寄せられる磁性体のいずれかであり、これら磁石と磁性体のいずれかが上蓋の係止片に設けられ、この上蓋の係止片が自動開閉装置に磁力で引き寄せられる請求項1、2、又は3記載の基板収納容器の蓋体。
【請求項5】
自動開閉支援部材は、係止片の複数の孔のうち、残部の孔を閉塞する略平坦な閉塞材からなり、この閉塞材が自動開閉装置の吸着部材に吸着される請求項3記載の基板収納容器の蓋体。
【請求項6】
有底筒形の外箱と、この外箱内に嵌め入れられて複数枚の基板を整列収納する内箱と、外箱の開口上部を開閉する上蓋と、外箱と上蓋との間に介在される変形可能なシール部材とを含み、上蓋を、請求項1ないし5のいずれかに記載した基板収納容器の蓋体としたことを特徴とする基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の半導体ウェーハ等の収納や搬送に使用される基板収納容器の蓋体及び基板収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハは、6インチ(150mm)や8インチ(200mm)の小口径タイプ、12インチ(300mm)の大口径タイプ等に分類されるが、小型の小口径タイプの収納や搬送には、トップオープンボックスタイプの基板収納容器が使用される。この種の基板収納容器は、図示しないが、複数枚の小型の半導体ウェーハを収納する基板収納箱と、この基板収納箱の開口上部を開閉する上蓋とを備えて構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
基板収納箱は、有底筒形の外箱と、この外箱に嵌入されて小型の半導体ウェーハを複数枚収納する内箱とを備え、外箱の両側壁に係止具がそれぞれ一体形成されている。また、上蓋は、平面略矩形に成形されてその両側部に係止片がそれぞれ一体形成され、各係止片が横長に形成されてその長手方向に複数の孔が配列形成されており、この複数の孔のうち、一部の孔が係止具に係止される。
【0004】
このような基板収納容器に小型の半導体ウェーハを収納して搬送する場合には、内箱に複数枚の半導体ウェーハを整列収納し、この内箱を外箱に嵌入し、この外箱の開口上部に上蓋を嵌合し、その後、上蓋の一対の係止片を外箱の係止具にそれぞれ係止すれば、基板収納容器に小型の半導体ウェーハを収納して搬送することができる。これに対し、搬送された基板収納容器から小型の半導体ウェーハを取り出して使用する場合には、外箱の係止具から上蓋の一対の係止片を取り外し、上蓋を外箱の上部から取り外し、外箱から内箱を引き出した後、内箱から複数枚の半導体ウェーハを順次引き抜けば、搬送された基板収納容器から小型の半導体ウェーハを取り出して使用することができる。
【0005】
ところで、基板収納容器は、大型の大口径タイプの半導体ウェーハを収納したり、搬送する場合には、正面の開口したフロントオープンボックスタイプが使用され、蓋体の着脱や施錠が半導体デバイスの微細化等に資するため、自動化されている(特許文献2参照)が、小型の小口径タイプの半導体ウェーハを収納したり、搬送する場合には、上蓋の着脱や係止片の取り付け取り外しが未だに手動操作されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-170591号公報
【特許文献2】特表2018-524809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来における基板収納容器は、以上のように構成され、小型の小口径タイプの半導体ウェーハを収納したり、搬送する場合、上蓋の着脱や係止片の取り付け取り外しが手動操作されている。
【0008】
しかしながら、手動操作のままでは、力の加減が容易ではないし、半導体ウェーハの汚染のおそれも少なくなく、半導体デバイスの微細化や清浄度の向上が期待できないので、半導体デバイスの高性能化を図るためには、自動化を進める必要がある。この自動化に際しては、装置の互換性を確保するため、上蓋の外観を可能な限り変更しないことが好ましい。
【0009】
本発明は上記に鑑みなされたもので、上蓋の外観を大きく変更することなく、上蓋の着脱や係止片の取り付け取り外しを自動化することのできる基板収納容器の蓋体及び基板収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては上記課題を解決するため、基板収納箱の開口上部を開閉する着脱自在の上蓋を備え、この上蓋に、基板収納箱の周壁の係止具に引っかかる係止片を設け、この係止片に、基板収納箱の上部に対する上蓋の自動開閉を可能とする自動開閉支援部材を設けたことを特徴としている。
【0011】
なお、基板収納箱は、有底筒形の外箱と、この外箱内に着脱自在に嵌め入れられて幅200mm以下の基板を複数枚整列収納可能な内箱とを含み、外箱の両側壁上部に突起付きの係止具をそれぞれ形成することが好ましい。
また、上蓋を平面略矩形に形成して外箱の開口上部に嵌め合わせ可能とし、この上蓋の両側部に略板形の係止片をそれぞれ揺動(揺れ動く)自在に形成し、各係止片を横長に形成してその長手方向に複数の孔を並べ設け、この複数の孔のうち、一部の孔を係止具の突起に嵌め合わせ可能とすることが好ましい。
【0012】
また、自動開閉支援部材は、磁石と、磁石に引き寄せられる磁性体のいずれかであり、これら磁石と磁性体のいずれかが上蓋の係止片に設けられ、この上蓋の係止片が自動開閉装置に磁力で引き寄せられると良い。
また、自動開閉支援部材は、磁石と、この磁石に引き寄せられる磁性体とを含み、これら磁石と磁性体のいずれかが上蓋の係止片に設けられ、磁石が基板収納箱の上部に対して上蓋を自動開閉する自動開閉装置に設けられると良い。
また、自動開閉支援部材は、係止片の複数の孔のうち、残部の孔を閉塞する略平坦な閉塞材からなり、この閉塞材が自動開閉装置の吸着部材に吸着されると良い。
【0013】
また、本発明においては上記課題を解決するため、有底筒形の外箱と、この外箱内に嵌め入れられて複数枚の基板を整列収納する内箱と、外箱の開口上部を開閉する上蓋と、外箱と上蓋との間に介在される変形可能なシール部材とを含み、上蓋を、請求項1ないし5のいずれかに記載した基板収納容器の蓋体としたことを特徴としている。
【0014】
ここで、特許請求の範囲における基板収納箱と上蓋とは、透明、不透明、半透明を特に問うものではない。基板収納箱は、内箱の上下部がそれぞれ開口形成され、この内箱の対向する複数の対向壁の内面に、複数の整列溝がそれぞれ配列形成されても良い。また、上蓋の内部には、基板用の押さえリテーナを取り付けることができる。この押さえリテーナは、上蓋の内部に装着される枠体を備え、この枠体の両側部から可撓性を有する弾性片がそれぞれ複数突出しており、各弾性片を基板に接触させれば、基板の位置ずれやガタツキ等を防止することができる。上蓋と係止片とは、一体品でも良いし、別体でも良い。また、自動開閉支援部材の磁石は、汎用性に優れるフェライト磁石、高磁性のネオジム磁石、耐熱性に優れるサマリウム磁石、強度に優れるアルニコ磁石の何れでも良い。
【0015】
基板には、少なくとも6インチや8インチの半導体ウェーハ、これらとおおよそ同じ大きさ(例えば、幅200mm前後)か、それ以下の大きさのフォトマスク材のガラス板等が含まれる。また、自動開閉装置は、特に限定されるものではないが、例えば上蓋に対して少なくとも昇降可能な昇降体と、この昇降体に支持されて上蓋を吸着する吸着パッドと、昇降体に支持されて上蓋の係止片を揺動させる揺動可能な開閉爪とを備えて構成されると良い。さらに、基板収納容器は、複数枚の小型の半導体ウェーハを収納する基板収納箱と、この基板収納箱の開口上部を開閉する上蓋とを備えると良い。
【0016】
本発明によれば、例えば基板収納容器から上蓋を自動的に取り外し、基板収納箱から基板を取り出す場合、基板収納容器と自動開閉装置を対向させ、自動開閉装置を上蓋の天井に接触させ、自動開閉装置を上蓋の係止片に接触させて係止片を自動開閉支援部材により保持させた後、自動開閉装置により、基板収納箱の係止具から上蓋の係止片を取り外す。基板収納箱から上蓋の係止片を取り外したら、自動開閉装置に上蓋を保持させ、自動開閉装置を上昇させて上蓋を基板収納箱の上部から取り外し、基板収納箱内から基板を取り出せば、基板収納箱から上蓋を自動的に取り外し、基板収納箱から基板を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、係止片に、基板収納箱の上部に対する上蓋の自動開閉を可能とする自動開閉支援部材を設けるので、上蓋の外観を大きく変更することなく、上蓋の着脱や係止片の取り付け取り外しを自動化することができるという効果がある。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、内箱を利用することにより、200mm以下の幅を有する複数枚の基板を一度にまとめて外箱に収納したり、外箱からまとめて取り出すことができる。また、外箱の両側壁上部に突起付きの係止具をそれぞれ形成するので、外箱の開口上部に上蓋を上下方向に短い係止片を用いて嵌め合わせ、強固に閉鎖することができる。
請求項3記載の発明によれば、上蓋の係止片の一部の孔を外箱の係止具の突起に外側から嵌め合わせれば、外箱の係止具に上蓋の係止片が引っかかり、外箱の開口上部に上蓋を強固に嵌め合わせて脱落を防止することができる。また、係止片の長手方向に複数の孔を並べ設けるので、係止片の可撓性を向上させ、軽量化をも実現することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、磁石と磁性体のいずれかが上蓋の係止片に設けられ、この上蓋の係止片が自動開閉装置に磁力で引き寄せられるので、自動開閉装置の動きに応じて係止片が磁力により揺動し、上蓋の着脱や係止片の取り付け取り外しを自動化することが可能となる。
請求項5記載の発明によれば、自動開閉支援部材の閉塞材が自動開閉装置の吸着部材に吸着されるので、略平坦な閉塞材と吸着部材との間に負圧を発生させることができ、自動開閉装置の動きに応じて係止片が揺動し、上蓋の着脱や係止片の取り付け取り外しを自動化することが可能となる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、上蓋の外観を大きく変更することなく、上蓋の着脱や係止片の取り付け取り外しを自動化することのできる基板収納容器を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る基板収納容器の蓋体及び基板収納容器の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
図2】本発明に係る基板収納容器の蓋体及び基板収納容器の実施形態を模式的に示す正面説明図である。
図3】本発明に係る基板収納容器の蓋体及び基板収納容器の実施形態における上蓋の内部と係止片を模式的に示す斜視説明図である。
図4図3のIV部を模式的に示す要部斜視図である。
図5】本発明に係る基板収納容器の蓋体及び基板収納容器の実施形態における上蓋とその撓んでいない係止片を模式的に示す斜視説明図である。
図6】本発明に係る基板収納容器の蓋体及び基板収納容器の実施形態における上蓋とその上方外側に撓んだ係止片を模式的に示す斜視説明図である。
図7】本発明に係る基板収納容器の蓋体及び基板収納容器の実施形態における上蓋とその上方外側に撓んだ係止片を模式的に示す正面説明図である。
図8】本発明に係る基板収納容器の蓋体及び基板収納容器の第2の実施形態における上蓋とその係止片を模式的に示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器は、図1ないし図7に示すように、複数枚の小型の半導体ウェーハを収納する基板収納箱1と、この基板収納箱1の開口上部を開閉する上蓋10と、これら基板収納箱1と上蓋10との間に介在されるエンドレスのパッキンとを備え、上蓋10に、基板収納箱1の周壁の係止具3に係止する複数の係止片11を設け、各係止片11に、基板収納箱1の上部に対する上蓋10の自動開閉を可能とする自動開閉支援部材20を設けており、国連サミットで採択されたSDGs(国連の持続可能な開発のための国際目標であり、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなる持続可能な開発目標)の目標10の達成に貢献する。
【0023】
複数枚の半導体ウェーハは、図示しないが、例えば8インチ(200mm)の小口径タイプのシリコンウェーハからなり、このシリコンウェーハの周縁部の一部分に、位置合わせ用のオリフラ又はノッチが形成される。このような複数枚の半導体ウェーハは、例えば25枚が基板収納箱1内に並べて収納される。
【0024】
基板収納箱1は、図1図2に部分的に示すように、上部が開口した有底筒形の外箱2と、この外箱2内に着脱自在に嵌入されて複数枚の半導体ウェーハを整列収納する内箱とを備える。これらの外箱2と内箱とは、成形材料により成形されるが、この成形材料の樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等があげられる。係る成形材料には、上記樹脂の他、導電性カーボン、導電性繊維、金属繊維、導電性高分子等からなる導電材、帯電防止剤、紫外線吸収剤等が選択的に添加される。
【0025】
外箱2は、例えば耐熱性、耐薬品性、機械的強度に優れる安価なポリプロピレン(PP)樹脂等を使用して上げ底の有底角筒形に成形され、開口した上部の上端部が薄肉に形成されてパッキンと密嵌する。この外箱2の周壁である両側壁の上部には、突起4付きの係止具3がそれぞれ一体形成され、各係止具3の前後部に多角形で先細りの突起4がそれぞれ一体形成される。
【0026】
内箱は、図示しないが、例えば耐熱性、耐薬品性、機械的強度に優れる安価なポリプロピレン樹脂等を使用して略角筒形のカセットに成形され、上下部がそれぞれ開口形成されており、上部が広く開口するとともに、下部が上部よりも狭く開口する。この内箱の相対向する一対の両側壁は、下方に向かうに従い徐々に湾曲し、下部が相互に接近して半導体ウェーハの脱落を防止する。一対の両側壁の内面には、上下方向に伸びる複数の整列溝がそれぞれ配列形成され、この複数の整列溝に半導体ウェーハの周縁部が挿入されることにより、複数枚の半導体ウェーハが立てて整列収納される。
【0027】
上蓋10は、図1ないし図7に示すように、例えば耐衝撃性、耐熱性、耐候性、寸法安定性に優れるポリカーボネート(PC)樹脂を用いて平面略矩形のトレイ形に成形され、内部の天井に、半導体ウェーハ用の押さえリテーナが装着されており、外箱2の開口上部に着脱自在に嵌合される。この上蓋10の成形材料としては、特に限定されるものではないが、例えば外箱2や内箱と同様の成形材料があげられる。また、押さえリテーナは、図示しないが、上蓋10内部の天井中央に装着される枠体を備え、この枠体の左右両側部から可撓性を有する略L字形の弾性片がそれぞれ複数突出しており、各弾性片が半導体ウェーハの周縁部に圧接してその位置ずれやガタツキを防止するよう機能する。
【0028】
上蓋10の両側部には、可撓性を有する略板形の係止片11がそれぞれ上下方向に揺動自在に吊り下げ状態で一体形成され、各係止片11が前後方向に指向する横長に形成されて基板収納箱1に対する上蓋10の嵌合時に外箱2の係止具3に外側から対向可能であり、係止片11の長手方向に複数の孔12が並べて穿孔される。この複数の孔12は、例えば嵌合長孔13、横長孔14、嵌合長孔13が一列に配列され、一部の孔12、具体的には一対の嵌合長孔13が係止具3の突起4に外側から嵌合係止される。
【0029】
パッキンは、図示しないが、所定のエラストマーを使用して弾性の枠形に成形され、基板収納箱1の外箱2の上端部と上蓋10の内周面との間に介在されることにより、シール部材として変形して基板収納容器の密閉性を向上させるよう機能する。このパッキンの所定のエラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム、熱可塑性エラストマーがあげられる。
【0030】
自動開閉支援部材20は、図3図4図7に部分的に示すように、磁石21、あるいは磁石21に引き寄せられる強磁性体からなり、これらのいずれかが上蓋10の各係止片11に選択的に設けられ、この上蓋10の係止片11が基板収納箱1の上部に対して上蓋10を自動開閉する自動開閉装置に磁力で引き寄せられる。磁石21は、特に限定されるものではないが、例えばフェライト磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石、サマリウム磁石からなる永久磁石22や電磁石、好ましくは永久磁石22からなり、この永久磁石22が用いられる場合には、上蓋10の係止片11内にインサート成形されたり、係止具3に対向する係止片11の内面下部、又は外面下部に細長い複数の帯形に形成されて接着される。
【0031】
自動開閉装置は、特に限定されるものではないが、例えば上蓋10に対して少なくとも昇降可能な昇降体と、この昇降体に支持されて上蓋10の天井表面を上方から真空吸着する複数本の吸着パッドと、昇降体に支持されて上蓋10の係止片11を揺動させる上下方向に揺動可能な一対の開閉爪とを備え、複数本の吸着パッドが真空ポンプ等に接続され、一対の開閉爪に、通電により磁力を発生させる電磁石が選択的に設置されており、この電磁石に上蓋10の永久磁石22付きの係止片11が磁力により引き寄せられる。
【0032】
強磁性体は、例えば鉄板や鉄片、ニッケル片等の金属材からなり、永久磁石22が上蓋10の係止片11に設けられない場合に、金属材が上蓋10の係止片11内にインサート成形されたり、金属材が係止具3に対向する係止片11の内面下部、又は外面下部に細長い複数の帯形に形成されて接着され、この金属材付きの係止片11が自動開閉装置の一対の開閉爪の電磁石に磁力により引き寄せられる。
【0033】
このような自動開閉支援部材20は、磁石21や強磁性体の種類を特に問うものではないが、上蓋10の係止片11を確実に揺動させ、上蓋10を確実に自動開閉する観点からすると、永久磁石22が上蓋10の係止片11に設けられ、電磁石が自動開閉装置の開閉爪に設置されるのが望ましい。
【0034】
上記構成において、基板収納容器に小型の半導体ウェーハを収納し、外箱2の開口上部に上蓋10を自動的に嵌合して搬送する場合には、先ず、内箱内に複数枚の半導体ウェーハを整列収納し、この内箱を外箱2に上方から嵌入する。この作業に前後して、上蓋10は、自動開閉装置の複数本の吸着パッドに位置決めした状態で真空吸着される。また、上蓋10の永久磁石22付きの各係止片11は、自動開閉装置の電磁石付きの開閉爪に磁力により保持され、この開閉爪の上方への開放揺動に伴い、上方外側に均等に撓みながら揺動した状態を維持する(図6参照)。
【0035】
内箱を外箱2に嵌入したら、外箱2と自動開閉装置の昇降体とをそれぞれ位置決めして上下方向に対向させ、自動開閉装置の昇降体を下降させて外箱2の開口上部に真空吸着された上蓋10を上方から嵌合し、昇降体の一対の開閉爪を下方に閉塞揺動して上蓋10の一対の係止片11を外箱2の係止具3の突起4にそれぞれ嵌合係止すれば、外箱2の開口上部に上蓋10を自動的に嵌合して小型の半導体ウェーハを収納して搬送することができる。
【0036】
次に、外箱2から上蓋10を自動的に取り外し、基板収納容器から小型の半導体ウェーハを取り出して使用する場合には、先ず、基板収納容器と自動開閉装置の昇降体とをそれぞれ位置決めして上下方向に対向させ、自動開閉装置の昇降体を下降させて複数本の吸着パッドを上蓋10の天井表面に接触させ、昇降体の各開閉爪を上蓋10の係止片11に外側から接触させて開閉爪に係止片11を磁力により保持させた後、各開閉爪を上方に開放揺動させて係止片11を上方に撓ませながら揺動させる(図7の矢印参照)ことにより、外箱2の係止具3から上蓋10の一対の係止片11を取り外す。
【0037】
こうして外箱2の係止具3から上蓋10の一対の係止片11を取り外したら、昇降体の複数本の吸着パッドに上蓋10を真空吸着させ、昇降体を上昇させて上蓋10を外箱2の上部から取り外し、外箱2から内箱を引き出した後、内箱から複数枚の半導体ウェーハを順次引き抜けば、外箱2から上蓋10を自動的に取り外し、基板収納容器から小型の半導体ウェーハを取り出して使用することができる。
【0038】
上記構成によれば、基板収納容器の上蓋10を自動的に取り付けたり、取り外しすることができるので、小型の半導体ウェーハの汚染のおそれを排除したり、半導体デバイスの微細化や清浄度の向上が期待でき、半導体デバイスの高性能化を図ることができる。また、上蓋10を自動開閉するので、上蓋10やその係止片11に作用する負荷を均等にすることができる。
【0039】
また、手作業の代わりの自動開閉により、外箱2の係止具3と上蓋10の係止片11の擦れが減少するので、発塵の抑制が大いに期待でき、小型の半導体ウェーハの汚染や基板収納箱1の破損を防止することが可能になる。また、上蓋10の外観を何ら変更しないので、装置の互換性を確保することが可能となる。
【0040】
また、磁力により、開閉爪と係止片11とが密接したり、開閉爪の動きに係止片11が連動して揺動するので、例え開閉爪と係止片11が多少位置ずれしていても、上蓋10の自動開閉が可能となる。さらに、上蓋10の両側部に係止片11を吊り下げ状態にそれぞれ一体形成し、しかも、各係止片11に貫通孔の横長孔14を穿孔して成形に要するポリカーボネート樹脂の樹脂量を減少させるので、係止片11の可撓性を安価に向上させることができる。
【0041】
次に、図8は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、自動開閉支援部材20を、係止片11の複数の孔12のうち、残部の孔12である横長孔14を閉塞する略平坦な閉塞材23とし、この閉塞材23を自動開閉装置の開閉爪の吸盤に吸着させるようにしている。
【0042】
係止片11は、上蓋10の側部に吊持して一体成形されるが、この一体成形の際、横長孔14がポリカーボネート樹脂により平坦に閉塞されて平面領域を拡大し、この閉塞したポリカーボネート樹脂が閉塞材23として自動開閉支援部材20を形成する。また、吸盤は、例えばニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料により弾性変形可能に成形され、上蓋10の係止片11を均一、かつ確実に揺動させる観点から、自動開閉装置の開閉爪に複数個が一列に並べて装着され、係止片11の横長孔14を埋めたポリカーボネート樹脂、すなわち、閉塞材23の平坦で滑らかな表面に圧接変形して吸着される。
【0043】
上記構成において、基板収納容器に小型の半導体ウェーハを収納し、外箱2の開口上部に上蓋10を自動的に嵌合して搬送する場合には、先ず、内箱内に複数枚の半導体ウェーハを整列収納し、この内箱を外箱2に上方から嵌入する。この作業に前後して、上蓋10は、自動開閉装置の複数本の吸着パッドに位置決めした状態で真空吸着される。また、上蓋10の各係止片11は、自動開閉装置の開閉爪に吸盤の負圧作用により保持され、この開閉爪の上方への開放揺動に伴い、外側に均等に撓みながら揺動した状態を維持する。
【0044】
内箱を外箱2に嵌入したら、外箱2と自動開閉装置の昇降体とをそれぞれ位置決めして上下方向に対向させ、自動開閉装置の昇降体を下降させて外箱2の開口上部に真空吸着された上蓋10を上方から嵌合し、昇降体の一対の開閉爪を下方に閉塞揺動して上蓋10の一対の係止片11を外箱2の係止具3の突起4にそれぞれ嵌合係止すれば、外箱2の開口上部に上蓋10を自動的に嵌合して小型の半導体ウェーハを収納して搬送することができる。
【0045】
次に、外箱2から上蓋10を自動的に取り外し、基板収納容器から小型の半導体ウェーハを取り出して使用する場合には、先ず、基板収納容器と自動開閉装置の昇降体とをそれぞれ位置決めして上下方向に対向させ、自動開閉装置の昇降体を下降させて複数本の吸着パッドを上蓋10の天井表面に接触させ、昇降体の各開閉爪を上蓋10の係止片11に外側から接触させて開閉爪に係止片11を変形した吸盤の負圧作用により保持させた後、各開閉爪を上方に開放揺動させて係止片11を外側に撓ませながら揺動させることにより、外箱2の係止具3から上蓋10の一対の係止片11を取り外す。
【0046】
こうして外箱2の係止具3から上蓋10の一対の係止片11を取り外したら、昇降体の複数本の吸着パッドに上蓋10を真空吸着させ、昇降体を上昇させて上蓋10を外箱2の上部から取り外し、外箱2から内箱を引き出した後、内箱から複数枚の半導体ウェーハを順次引き抜けば、外箱2から上蓋10を自動的に取り外し、基板収納容器から小型の半導体ウェーハを取り出して使用することができる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0047】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、上蓋10の係止片11の形を多少変更するだけで、基板収納容器の上蓋10を自動的に取り付けたり、取り外しすることができるので、半導体デバイスの微細化や清浄度の向上が期待でき、半導体デバイスの高性能化を図ることができるのは明らかである。また、上蓋10を自動開閉するので、上蓋10やその係止片11に作用する負荷を均等にすることができる。さらに、自動開閉装置の開閉爪に電磁石を設置する必要が無いので、自動開閉装置の構成の簡素化が大いに期待できる。
【0048】
なお、上記実施形態の外箱2に対する内箱の出し入れは、自動化が好ましいが、特に支障を来さなければ、手動操作でも良い。また、パッキンは、必要に応じ、複数に分割しても良い。また、上蓋10については、新たに製造する上蓋10でも良いし、既存の製品でも良い。また、上記実施形態では上蓋10の両側部に係止片11をそれぞれ一体形成したが、上蓋10の両側部に別体の係止片11をピン等を介しそれぞれ揺動可能に軸支させても良い。
【0049】
また、上記実施形態では係止片11の内面下部に永久磁石22を設けたが、何らこれに限定されるものではない。例えば、係止片11の内面両側部に永久磁石22や強磁性体を設けても良いし、係止片11の全内面に永久磁石22や強磁性体を設けることができる。さらに、係止片11の閉塞材23を開閉爪の弾性変形可能な吸盤に吸着させたが、何らこれに限定されるものではない。例えば、各開閉爪に吸着部材である複数本の吸着パッドを配列形成し、この複数の吸着パッドに閉塞材23を真空吸着させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る基板収納容器の蓋体及び基板収納容器は、半導体デバイスや精密機器等の製造分野で使用される。
【符号の説明】
【0051】
1 基板収納箱
2 外箱
3 係止具
4 突起
10 上蓋
11 係止片
12 孔
13 嵌合長孔(一部の孔)
14 横長孔(残部の孔)
20 自動開閉支援部材
21 磁石
22 永久磁石
23 閉塞材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8