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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162326
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ロボット収集システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221017BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067105
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 涼太
(72)【発明者】
【氏名】平木 秀憲
(72)【発明者】
【氏名】越河 義治
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301BB05
5H301BB11
5H301BB12
5H301BB13
5H301CC10
5H301FF13
5H301GG09
5H301KK04
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】フィールド上の収集対象物の状態に応じて作業スケジュールの変更を行うことで、効率的な収集作業や収集対象物の適正な回収管理を実現する。
【解決手段】ロボット収集システムは、フィールド上を自律走行する作業ロボットを備え、フィールド上の収集対象物を作業ロボットが自律走行しながら収集するシステムであって、作業ロボットの作業スケジュールを管理する管理部を備え、管理部は、フィールド上の収集対象物の量に関する情報を取得し、この情報に基づいて既設作業スケジュールの変更を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド上を自律走行する作業ロボットを備え、フィールド上の収集対象物を前記作業ロボットが自律走行しながら収集するロボット収集システムであって、
前記作業ロボットの作業スケジュールを管理する管理部を備え、
前記管理部は、
フィールド上の収集対象物の量に関する情報を取得し、
前記情報に基づいて既設作業スケジュールの変更を行うことを特徴とするロボット収集システム。
【請求項2】
前記管理部は、
前記情報に基づいて収集作業の効率が低いと判断した場合に、前記作業ロボットを待機状態にする頻度を増やすことを特徴とする請求項1記載のロボット収集システム。
【請求項3】
前記管理部は、
設定された条件の基で取得した前記情報を閾値と比較して、前記作業スケジュールの変更を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のロボット収集システム。
【請求項4】
前記作業ロボットが待機する待機場所が、前記作業ロボットが収集した収集対象物を排出する排出場所であることを特徴とする請求項2又は3記載のロボット収集システム。
【請求項5】
前記情報は、前記作業ロボットが収集した収集対象物の収集量に基づく情報であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載のロボット収集システム。
【請求項6】
前記情報は、フィールド上の収集対象物を収集する前記作業ロボットから得た情報であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載のロボット収集システム。
【請求項7】
前記情報は、収集対象物の使用状況を管理する施設側から取得した情報であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載のロボット収集システム。
【請求項8】
前記情報は、フィールドを撮影した画像によって得られた情報であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載のロボット収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット収集システム(robotic collection system)に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット収集システムは、フィールド上を自律走行しながら、フィールド上に散乱した物(収集対象物)を自動収集するシステムである。一例としては、ゴルフ場やゴルフ練習場にて打ち放たれたボールを自動収集するロボットボールピッカー(robotic ball picker)が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-151083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のロボット収集システムは、予め設定された作業スケジュールに従って収集作業を行っている。このため、フィールドに存在する収集対象物が少ない状況であっても、設定されたスケジュールで作業を行うことになり、自律走行する作業ロボットのバッテリー消費などを考慮すると、効率的な収集作業を行うことができない問題があった。また、反対に、フィールドに存在する収集対象物が多い状況であっても、設定されたスケジュールで作業を行うことになり、スケジュール通りの作業では収集対象物の適正な回収管理ができない問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、フィールド上の収集対象物の状態に応じて作業スケジュールの変更を行うことで、効率的な収集作業を行い、また適正な回収管理を行うこと、などを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
フィールド上を自律走行する作業ロボットを備え、フィールド上の収集対象物を前記作業ロボットが自律走行しながら収集するロボット収集システムであって、前記作業ロボットの作業スケジュールを管理する管理部を備え、前記管理部は、フィールド上の収集対象物の量に関する情報を取得し、前記情報に基づいて既設作業スケジュールの変更を行うことを特徴とするロボット収集システム。
【発明の効果】
【0007】
このような特徴を有するロボット収集システムは、フィールド上に存在する収集対象物の状態に応じて作業ロボットの作業スケジュールを変更することで、効率的な収集作業を行い、また適正な回収管理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るロボット収集システムの配設状態を示した説明図。
図2】本発明の実施形態に係るロボット収集システムの設備構成例を示した説明図。
図3】本発明の実施形態に係るロボット収集システムのシステム構成例を示した説明図。
図4】本発明の実施形態に係るロボット収集システムの制御部を説明する説明図。
図5】本発明の実施形態に係るロボット収集システムにおける既設作業スケジュール例を示した説明図。
図6】本発明の実施形態に係るロボット収集システムの管理部の処理フロー例を示した説明図。
図7】本発明の実施形態に係るロボット収集システムの管理部の処理フロー例を示した説明図。
図8】本発明の実施形態に係るロボット収集システムの管理部の処理フロー例を示した説明図。
図9】本発明の実施形態に係るロボット収集システムの管理部の処理フロー例を示した説明図。
図10】本発明の実施形態に係るロボット収集システムの管理部の処理フロー例を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
図1に示すように、ロボット収集システム1は、フィールドFに対して設置され、フィールドF上に散乱している収集対象物(例えば、ボールなど)Oを収集するものである。ここでのフィールドFは、収集対象物の収集作業を行う作業領域である。フィールドFの表面は、芝草、人工芝、地面、カーペットなど、どのようなものであっても良い。
【0011】
ロボット収集システム1は、フィールドF上を自律走行する作業ロボット10を備えている。作業ロボット10は、フィールド上を自律走行することで、走行経路上にある収集対象物Oを拾い上げて収集する。ここでは、実施例の一例として、ロボット収集システム1は、自律走行する作業ロボット10の作業領域が位置情報による仮想領域として設定されるので、システム上では、フィールドFは位置情報に基づく仮想領域として認識される。また作業領域は、仮想領域でなくてもよく、ビーコンやマーカーなどを用いて設定されたものであっても良い。
【0012】
図1に示した例では、全体的なフィールドFが、複数のフィールドF1,F2,F3に区分けされており、各フィールドF1,F2,F3に作業ロボット10が配備されている。図示の例では、フィールドFを複数に区分しているが、1つのフィールドFに対して単数又は複数の作業ロボット10を設置しても良い。また、複数設けた作業ロボット10の中には、収集対象物Oを収集する作業を行うものだけでなく、自律走行しながら他の作業(例えば、芝刈りなどのフィールドFの管理作業)を行う作業ロボットを含めても良い。
【0013】
フィールドF(F1,F2,F3)の周囲には、作業ロボット10が待機する待機場所20が設けられている。この待機場所20は、一例としては、電動式の作業ロボット10に搭載されたバッテリーの充電を行う充電基地になっている。また、待機場所20は、作業ロボット10の機内に収集された収集対象物Oを排出する排出場所になっている。他にも、待機場所20は、作業ロボットの管理者もしくは作業ロボットが設定した特定の場所であっても良い。図示の例では、待機場所20をフィールドFの外側に設けているが、待機場所20はフィールドF内に設けても良い。なお、図示の例では、複数の待機場所20のそれぞれに排出場所が設けられ、各排出場所は、収集対象物Oの搬送流路Tで接続され、搬送流路Tは、フィールドFに隣接される管理施設Mまで延びている。
【0014】
管理施設Mは、例えばゴルフ練習場であれば、フィールドFに向けて収集対象物Oであるボールを打ち放つ打席が複数設けられており、前述した搬送流路Tに回収された収集対象物Oを各打席に供給する供給装置などが設けられている。管理施設Mは、例えば、各打席に供給した収集対象物Oの供給量と回収された収集対象物の回収量とで収集対象物Oの使用状況が把握できるようになっている。
【0015】
図2には、ロボット収集装置1の設備構成例を示している。作業ロボット10は、フィールドF上を走行するための車輪などを有する走行部11、フィールドF上の収集対象物Oを拾い上げて収集する作業部(ピッカー)12、作業部12にて収集された収集対象物Oを収容する収容部(収容タンク)13、走行部11を駆動する走行駆動部(モーター)11Aと作業部12を駆動する作業駆動部(モーター)12Aの動作を制御する制御部(CPU)10A、作業ロボット10の電源となるバッテリー14などを備えている。
【0016】
走行部11は、左右の走行車輪を備えており、各走行車輪を独立駆動する走行駆動部11Aの制御で、作業ロボット10は、前後進と左右回りの旋回と任意方向への操舵が可能になっている。
【0017】
作業部12は、フィールドF上の収集対象物Oを拾い上げて収容部13に収める機構を備えており、作業部12と収容部13の一方又は両方には、収集された収集対象物Oの収集量を計量する計量部15が設けられている。計量部15としては、作業部12が拾い上げた収集対象物Oの数量をカウントするカウンター、収容部13に収められた収集対象物Oの数量又は重量を計量する計量器、作業部12の作業負荷を計測する負荷計測器などを用いることができる。計量部15が計量した情報は制御部10Aに入力される。
【0018】
また、作業ロボット10は、自律走行するための位置検知部16を備えている。位置検知部16は、一例としては、GPSなどの衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)における衛星100から発信される電波信号を受信するGNSSセンサ、フィールドF内又はフィールドF周囲に配置されるビーコンなどが発信する電波を受信する受信装置などを用いることができる。なお、位置検出部16は、複数あってもよい。作業ロボット10の自律走行は、位置検知部16の検知位置が制御部10Aに入力され、設定された走行経路の位置と検知位置が一致するように、或いは設定された領域内に検知位置が含まれるように、制御部10Aが走行駆動部11Aを制御することで実行される。
【0019】
作業ロボット10は、必要に応じて、他の装置との間で情報の送受信を行う通信部17を備えている。作業ロボット10が通信部17によって情報の送受信を行う相手は、1つには、前述した管理施設Mに設置された管理装置30であり、他の相手は、フィールドFに複数の作業ロボット10を配備した場合の他の作業ロボット10である。また、フィールドF上の画像をマルチコプター200などで撮影する場合には、撮影した画像情報が通信部17にて受信される。通信部17が受信した情報は制御部10Aに入力され、制御部10Aが出力する情報は通信部17にて相手先に送信される。なお、作業ロボット10の制御部10Aが単独で制御処理を実行する場合には、通信部17は省くことができる。
【0020】
また、作業ロボット10は、必要に応じて、カメラ18を備えている。カメラ18は、フィールドF上の画像を取得するものであり、カメラ18が撮影した画像の情報は制御部10Aに入力される。カメラ18によって撮影された画像によって、フィールドF上の収集対象物Oの散乱状況やフィールドF上の表面状況などを把握することができる。
【0021】
管理施設Mに設けられる管理装置30は、管理施設Mに配備されたコンピュータ或いはネットワークに接続されたサーバーであり、管理施設Mにおける収集対象物Oの使用状況を管理している。収集対象物Oの使用状況は、管理する収集対象物Oの総量、各打席に供給した収集対象物Oの供給量、回収された収集対象物の回収量によって管理することができる。
【0022】
管理装置30は、作業ロボット10の通信部17と情報の送受信を行う通信部31を備えている。通信部31は、マルチコプター200を用いてフィールドFの画像を取得する場合には、取得した画像情報を受信することができる。また、管理施設Mにカメラ32を設けてフィールドFの画像を取得している場合には、取得した画像は、直接又は通信部31を介して管理装置30に送信される。
【0023】
図3には、ロボット収集システム1のシステム構成例を示している。作業ロボット10の制御部10Aは、前述したように通信部17を介して情報の送受信を行っており、管理装置30の制御部(CPU)30Aは、通信部31を介して情報の送受信を行っている。また、待機場所20にも、必要に応じて制御部(CPU)20Aが設けられており、この制御部20Aも、通信部21を介して情報の送受信を行っている。
【0024】
そして、作業ロボット10の制御部10Aと管理装置30の制御部30Aは、通信部17と通信部31間で通信接続可能になっており、作業ロボット10の制御部10Aと待機場所20の制御部20Aは、通信部17と通信部21間で通信接続可能になっており、待機場所20の制御部20Aと管理装置30の制御部30Aは、通信部21と通信部31間で通信接続可能になっている。なお、通信部17と通信部21と通信部31間相互の通信接続は、直接的な接続であってもよいしネットワークを介した接続であってもよい。なお、通信接続の方式は、無線、有線等、いかなる方式であってもよい。
【0025】
制御部10A,20A,30Aは、それぞれ時刻を計時して出力するリアルタイムクロック(real-time clock)などの計時部50,51,52を備え、また、情報やプログラムを記憶するメモリ60,61,62をそれぞれ備えている。また、制御部10A,20A,30Aは、相互の情報交換によって統合した1つの制御部Uを構成しており、制御部10A,20A,30Aの1つが備える機能は、他の制御部10A,20A,30Aで代替えできるようになっている。
【0026】
作業ロボット10の制御部10Aには、設定入力部19から、作業指示情報(既設作業スケジュール、作業範囲、走行経路等の情報)が入力され、計量部15から収集された収集対象物Oの収集量に関する情報が入力され、位置検知部16から作業ロボット10の現在位置に関する情報が入力され、カメラ18からフィールドF上の画像情報が入力され、バッテリー14からバッテリー残量に関する情報が入力される。そして、制御部10Aは、これらの入力情報に基づいて、走行駆動部11Aと作業駆動部12Aを制御して、入力された作業指示情報に応じた作業ロボット10の作業を実行する。
【0027】
待機場所20に設けた制御部20Aには、作業ロボット10のバッテリー14に充電する充電装置22から充電経過情報が入力される。また、制御部20Aには、待機場所20に設置された回収量計測部23から、待機場所20の排出場所に排出された収集対象物Oの回収量に関する情報が入力される。回収量計測部23では、待機場所20に戻った作業ロボット10から排出される収集対象物Oの個数や重量が計測される。
【0028】
管理装置30の制御部30Aには、設定入力部34から、作業指示情報(既設作業スケジュール、作業範囲、走行経路等の情報)や管理施設M情報(営業時間、使用者、使用場所、収集対象物Oの供給量、管理施設のイベント及びその時間等の情報)が入力され、管理施設Mに設置された回収量計測部33から、管理施設Mに回収された収集対象物の回収量に関する情報が入力され、カメラ32からはフィールドF上の画像情報が入力される。ここでの回収量計測部33では、搬送流路Tを通って管理施設Mに回収された収集対象物Oの個数や重量が計測される。
【0029】
そして、ロボット作業システム1の制御部U(10A,20A,30A)が行う制御は、図4に示すように、走行部11(走行駆動部11A)の自律走行制御を行う走行動作制御部P1、作業部12(作業駆動部12A)の動作制御を行う作業動作制御部P2、作業ロボット10の作業スケジュールを管理する管理部P3を有している。ここでの走行動作制御部P1、作業動作制御部P2、管理部P3は、制御部U(10A,20A,30A)のCPUを動作制御するプログラムである。
【0030】
以下、管理部P3の制御処理についての一例を詳細に説明する。管理部P3の基本処理は、フィールドF上の収集対象物Oの量に関する情報を取得し、この情報に基づいて既設作業スケジュールの変更を行う。フィールドF上の収集対象物Oの量に関する情報は、前述した計量部15からの情報、回収量計測部23,33からの情報、設定入力部34からの管理施設M情報、カメラ18,32やカメラ搭載のマルチコプター200からの画像情報、位置検知部16からの位置情報、計時部50,51,52が計時した時間情報、メモリ60,61,62に記憶された過去の収集作業によって得た情報等を適宜選択組み合わせることで取得できる。
【0031】
そして、管理部P3の基本処理としては、フィールドF上の収集対象物Oの量に関する情報に基づいて、収集作業の効率が低いと判断した場合に、作業ロボット10を待機状態にする頻度を増やす(待機時間を増やす)ことにある。また逆のケースでは、フィールドF上の収集対象物Oの量に関する情報に基づいて、使用可能な収集対象物Oが逼迫していると判断した場合には、作業ロボット10を待機状態にする頻度を減らす(作業時間を増やす)ことにある。
【0032】
制御部U(10A,20A,30A)に設定入力される既設作業スケジュールは、図5に示すように、例えば、1日(24時間)の営業時間内と営業時間外の両方に対して、所定時刻に合わせて作業時間と待機時間が設定されている。図示の例では、作業時間を2~3時間継続した後1時間の充電時間(待機時間)を設定し、営業時間外の1回目作業と2回目作業を合わせた6時間で、フィールドF(F1,F2,F3)全体に対する作業を行い、営業時間内での3~5回目作業で、それぞれ収集対象物Oが集中している箇所の部分作業を行う設定になっている。この例では、待機時間と作業時間の比は、12/12になっている。
【0033】
管理部P3の具体的な処理フローを説明する。図6に示す例では、既設作業スケジュールにおける作業時間の開始で、処理が「開始」になる。そして、作業ロボット10を走行させて収集作業が実行され(ステップS01)、それに伴って収集情報が取得される(ステップS02)。ここでの収集情報は、例えば、計量部15によって計量される収集対象物Oの収集量(個数又は重量)であり、この収集情報を設定された条件が満たされるまで継続して計量する(ステップS03:NO)。
【0034】
この際の条件の設定は、ユーザーが経験値に基づいて、設定入力部19,34から設定入力することができ、また、作業ロボット10の制御部10Aや管理装置30の制御部30Aがメモリ60,62に記憶された過去の情報に基づいて自動設定することができる。
【0035】
前述した条件は、1例としては「時間」である。作業開始から設定された時間が経過するまで収集情報としての収集量を計量する。また前述した条件の他の例は、「経路」である。作業開始から設定された経路での作業がなされるまで収集情報としての収集量を計量する。前述した条件の他の例は、「距離」である。作業開始から設定された距離での作業がなされるまで収集情報としての収集量を計量する。前述した条件の他の例は、「領域」である。作業開始から設定された領域での作業がなされるまで収集情報としての収集量を計量する。
【0036】
そして、前述した条件が満たされた場合(ステップS03:YES)、ステップS03がNOのループで取得された収集情報の積算値を閾値と比較して(ステップS04)、作業を継続するか否かを判断する(ステップS05)。すなわち、収集情報が閾値を超えている場合には作業継続する(ステップS05:YES)が、収集情報が閾値を超えていない場合には作業は継続せず(ステップS05:NO)、作業ロボット10を待機場所20に移動し(ステップS06)、既設作業スケジュールを変更して待機時間にする(ステップS07)。
【0037】
図6に示した例は、収集情報を「時間」にして、前述した条件を「収集量」にしてもよい。この場合には、前述した条件として設定された収集量が集められるまでの時間を、収集情報として計測し、その時間を閾値と比較して、作業を継続するか否かが判断される(ステップS05)。
【0038】
そして、ステップS05で作業を継続する場合(ステップS05:YES)、作業終了(ステップS08:YES)まで、引き続きステップS01~S04が繰り返されることになり(ステップS08:NO)、所定の条件が満たされると、作業を継続するか否かの判断が行われる。
【0039】
これによると、既設作業スケジュールにおいて設定されている作業時間内で、常時一定条件下での収集情報の比較がなされ、フィールド上での収集対象物Oの量が少ないと判断されると、その時点で待機状態が選択されることになるので、効率的な収集作業が可能になり、また作業ロボット10の無駄な走行を抑止することができる。
【0040】
次に図7に示す処理フローの例を説明する。この例では、予め基準収集作業が設定されている。基準収集作業は、設定時間内の作業、設定経路での作業、設定距離内の作業、設定領域内の作業などから選択される。この例でも、既設作業スケジュールにおいて作業時間の開始が、処理の「開始」になり、前述した基準収集作業が実行され(ステップS10)、基準収集作業が終了するまで収集情報(例えば、計量部15による収集量)が取得される(ステップS11,ステップS12:NO)。
【0041】
基準収集作業が終了すると(ステップS12:YES)、図6に示した例と同様に収集情報を閾値と比較し(ステップS13)、既設作業スケジュールを変更するか否かを判断する(ステップS14)。そして、既設作業スケジュールを変更する場合(ステップS14:YES)、作業ロボット10を待機場所20に移動し(ステップS15)、既設作業スケジュールを変更して待機時間にして(ステップS16)、また、既設作業スケジュールを変更しない場合(ステップS14:NO)、既設スケジュールにて作業終了まで作業を行う(ステップS17,ステップS18)。
【0042】
これによると、既設作業スケジュールにおいて作業を行う前段で、基準収集作業を行い、そこで既設作業スケジュールを継続するか否かの判断がなされるので、基準収集作業を適正に設定することで、効率的な収集作業が可能になり、また作業ロボット10の無駄な走行によるフィールドFの悪化を抑止することができる。
【0043】
前述した管理部P3の処理フローは、作業ロボット10が収集作業を行った後に、既設作業スケジュールを変更するか否か判断しているが、以下の例は、作業ロボット10が収集作業を行う前に、既設作業スケジュールを変更するか否かを判断することができる。
【0044】
図8に示す例は、既設作業スケジュールの作業開始時刻前に処理を「開始」して、フィールド情報を取得する(ステップS20)。ここでのフィールド情報は、作業ロボット10に搭載されたカメラ18にてフィールドFを撮影した画像、管理施設Mに設置されたカメラ32にてフィールドFを撮影した画像、マルチコプター200搭載カメラでフィールドFを撮影した画像、或いはフィールドFの衛星画像などである。このフィールド情報は、画像処理を行うことで、フィールドF上の収集対象物Oの量に関する情報に変換することができ、この情報を基にして、既設作業スケジュールを変更するか否かの判断を行う(ステップS21)。
【0045】
そして、既設作業スケジュールを変更すべきと判断した場合は、作業時間を待機時間に変更するなどのスケジュール変更を実施し(ステップS22)、変更すべきとの判断がなされない場合は、既設作業スケジュールを継続する(ステップS23)。
【0046】
図9に示す例は、既設作業スケジュールの作業開始時刻前に処理を「開始」して、収集対象物管理情報を取得する(ステップS30)。ここでの収集対象物管理情報は、管理施設Mの管理装置30が生成する情報であり、例えば、管理施設Mが管理する収集対象物Oの総量に対する回収済み収集対象物Oの量の比率などで表すことができる。この比率が高い場合は、回収済みの収集対象物Oが多いので必然的にフィールド上の収集対象物Oの量は少なく、この比率が低い場合は、必然的にフィールド上の収集対象物Oの量は多い。
【0047】
この情報を基にして、既設作業スケジュールを変更するか否かの判断を行う(ステップS31)。既設作業スケジュールを変更すべきと判断した場合は、作業時間を待機時間に変更するなどのスケジュール変更を実施し(ステップS32)、変更すべきとの判断がなされない場合は、既設作業スケジュールを継続する(ステップS33)。
【0048】
図10に示す例は、過去の収集情報を基に、既設作業スケジュールを変更するか否かを判断する。作業ロボット10は、フィールドF上の収集対象物Oの収集作業を行うと、収集した収集対象物Oの位置情報と時刻情報が制御部10Aのメモリ60に記憶され、継続的に作業ロボット10による収集作業を行うことで、フィールド上に散乱していた収集対象物Oが何時何処にあったかという過去の収集情報が、逐次メモリ60に記憶されることになる。
【0049】
図10に示す例は、例えば図5に示したような1日分の既設作業スケジュールを変更の対象にする場合、或いは1週間分或いは1ヶ月分の既設作業スケジュールの変更を対象にする場合、1年間の季節毎に設定した既設作業スケジュールの変更を対象にする場合に適用することができる。この際、対象とする既設作業スケジュールを実行する前に、処理を「開始」し、過去の収集情報を取得する(ステップS40)。
【0050】
そして、この情報を基にして、既設作業スケジュールを変更するか否かの判断を行い(ステップS41)、既設作業スケジュールを変更すべきと判断した場合は、待機時間と作業時間の比率を変更するなどのスケジュール変更を実施し(ステップS42)、変更すべきとの判断がなされない場合は、既設作業スケジュールを継続する(ステップS43)。
【0051】
より具体的には、1日分の既設作業スケジュールを対象とする場合、本日の曜日と同じ曜日の過去の収集情報或いは本日の月日と同じ月日の過去の集情報を取得し、本日1日のフィールド上の収集対象物Oの量に関する情報を予測する。そして、この予測情報に基づいて、例えば、フィールド上の収集対象物Oの量が少なくなることが予測される日であれば、既設作業スケジュールにおける待機時間/作業時間の比率を上げる(待機状態にする頻度を増やす)ようにスケジュールを変更し、逆に、フィールド上の収集対象物Oの量が多くなることが予測される日であれば、既設作業スケジュールにおける待機時間/作業時間の比率を下げる(作業時間を増やす)ようにスケジュールを変更する。
【0052】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るロボット収集システム1は、フィールドF上に存在する収集対象物Oの現在又は過去の状態に応じて作業ロボット10の作業スケジュールを変更することで、フィールド上の収集対象物が少ない場合には、作業ロボット10のバッテリー消費を抑えるなど効率的な収集作業が可能なると共に、フィールド上の無駄な走行を減らすことで、フィード表面のダメージを抑制することができ、フィールド上の収集対象物が多い場合には、収集作業を適正に増やして、収集対象物の適正な回収管理を実現することができる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:ロボット収集システム,10:作業ロボット,
10A,20A,30A,U:制御部,
11:走行部,11A:走行駆動部,12:作業部,12A:作業駆動部,
13:収容部,14:バッテリー,15:計量部,16:位置検知部,
17,21,31:通信部,18,32:カメラ,19,34:設定入力部,
20:待機場所,22:充電装置,23,33:回収量計測部,
30:管理装置,50,51,52:計時部,60,61,62:メモリ,
100:衛星,200:マルチコプター,
P1:走行動作制御部,P2:作業動作制御部,P3:管理部,
F,F1,F2,F3:フィールド,O:収集対象物,T:搬送流路,
M:管理施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10