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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016234
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】キャリア装置及びキャリアキット
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20220114BHJP
   H01J 37/26 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H01J37/20 A
H01J37/26
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157302
(22)【出願日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】109123376
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518005182
【氏名又は名称】▲コウ▼康科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 弘仁
【テーマコード(参考)】
5C001
5C033
【Fターム(参考)】
5C001AA01
5C001DD01
5C033SS02
5C033SS07
(57)【要約】
【課題】観察結果に粘着剤の混入による影響が及ばないキャリア装置を提供する。
【解決手段】本発明は、キャリア装置及びキャリアキットを開示する。キャリアキットは、キャリア装置及び試料キャリア部材を含む。キャリア装置は、試料キャリア部材をキャリアするために、試料ホルダー(specimen holder)に固設する。試料キャリア部材内に試料をキャリアするための試料収容チャネルが設けられると共に、収容チャネルの一部が2つの観測凹溝から露出する。キャリア装置の本体部の一方側に試料キャリア部材を収容するための収容溝が凹設されている。試料キャリア部材が収容溝に配置された時、本体部中の1つの観測凹溝は、観察窓に介して本体部から露出される。制限素子は本体部に配置され、収容溝内の試料キャリア部材が本体部に対する活動範囲を制限するために用いられる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子顕微鏡デバイスの試料ホルダー(specimen holder)に固設され、試料キャリア部材をキャリアするために用いられ、本体部及び少なくとも1つの制限素子を具備する、キャリア装置であって、
前記試料キャリア部材における互いに反対面となる両側面に観測凹溝がそれぞれ凹設され、前記試料キャリア部材内に、試料を収容するための収容チャネルが配置され、前記収容チャネルの一部が各前記観測凹溝から露出し、
前記本体部の一方側に、前記試料キャリア部材を収容するための収容溝が凹設され、前記本体部はさらに、前記収容溝と互いに連通する観察窓を含み、前記試料キャリア部材が前記収容溝に収容された時、前記観測凹溝中の1つは、前記観察窓から前記本体部に露出し、
前記少なくとも1つの制限素子は前記本体部に配置され、前記収容溝に配置された前記試料キャリア部材が前記本体部に対する活動範囲を制限するために用いられる、ことを特徴とする、キャリア装置。
【請求項2】
前記本体部は、シート状構造、及び支持構造を含み、前記シート状構造はディスク形状を呈し、かつ、前記シート状構造は、天面、及び底面を有し、前記シート状構造には、前記底面から外方へ延在した前記支持構造が形成され、前記支持構造における前記シート状構造から離れる側に前記観察窓が形成される、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項3】
前記本体部における前記支持構造が形成した側と反対する側に、補助収容構造が延在して形成され、前記補助収容構造と前記支持構造とは一緒に前記収容溝を形成し、前記収容溝は、前記試料キャリア部材の全部を収容し得て、前記制限素子は可動的に前記本体部に配置され、かつ、前記制限素子は、前記補助収容構造をカバーするように操作し得て、それにより、前記収容溝に配置される前記試料キャリア部材が前記本体部に対する活動範囲を制限する、請求項2に記載のキャリア装置。
【請求項4】
前記収容溝の深さは、前記試料キャリア部材の深さを下回り、前記試料キャリア部材が前記収容溝に配置された時、前記試料キャリア部材の一部が前記本体部から露出し、前記キャリア装置は2つの前記制限素子を含み、前記収容溝は、前記本体部に収容口を形成し、前記試料キャリア部材は、前記収容口を介して前記収容溝に収容され、前記キャリア装置の上面視において、各前記制限素子の一部が前記収容口に位置する、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項5】
2つの前記制限素子は互いに対向するように配置され、かつ、前記制限素子と前記本体部とは一体成型に配置され、前記本体部は屈曲されるように操作でき、前記本体部が屈曲される過程において、2つの前記制限素子の間の距離は変化される、請求項4に記載のキャリア装置。
【請求項6】
前記収容溝の深さは前記試料キャリア部材の高さを下回り、前記試料キャリア部材が前記収容溝に配置された時、前記試料キャリア部材の一部が前記本体部から露出し、前記本体部はC字形状を呈する少なくとも1つの貫通孔を有し、前記貫通孔に囲まれた前記本体部の部分は前記制限素子とされており、前記制限素子は、前記本体部に対して屈曲されるように操作されることができる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項7】
前記収容溝の深さは前記試料キャリア部材の高さを下回り、前記試料キャリア部材が前記収容溝に収容された時、前記試料キャリア部材の一部が前記本体部から露出し、前記制限素子は、前記本体部に固定され、前記制限素子における前記本体部と離間する端部は屈曲されるように操作し得て、それにより、前記収容溝に配置される前記試料キャリア部材の一方側に当接する、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項8】
前記収容溝の深さは前記試料キャリア部材の高さを下回り、前記試料キャリア部材が前記収容溝に収容された時、前記試料キャリア部材の一部が前記本体部から露出し、前記キャリア装置は2つの前記制限素子を含み、2つの前記制限素子は互いに対向するように配置され、前記試料キャリア部材を前記収容溝に配置する過程において、2つの前記制限素子は前記試料キャリア部材で圧迫され、弾性変形される、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項9】
前記収容溝の深さは前記試料キャリア部材の高さを下回り、前記試料キャリア部材が前記収容溝に配置された時、前記試料キャリア部材の一部が前記本体部から露出し、前記制限素子は、固定ベース、及び可撓性構造を含み、前記固定ベースが前記本体部に固定され、前記可撓性構造は前記収容溝に接近または離間する方向に向かって屈曲するように操作されることができ、前記可撓性構造の一方端は、前記収容溝における前記試料キャリア部材の一方側に当接し、それにより、前記試料キャリア部材が前記本体部に対する活動範囲を制限するために用いられる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項10】
前記収容溝の深さは前記試料キャリア部材の高さを下回り、前記試料キャリア部材が前記収容溝に配置された時、前記試料キャリア部材の一部が前記本体部から露出し、前記制限素子は、枢着部及び当接部を含み、前記枢着部は回転可能に前記本体部と連接され、前記当接部と前記枢着部とが連接され、なお、前記当接部は、前記枢着部と一緒に前記本体部に対して回転し得て、前記制限素子が操作され前記本体部に対して回転しており、かつ、前記当接部が前記収容溝の上方にある時、前記当接部は、前記収容溝に配置された前記試料キャリア部材を当接するようになり、前記枢着部は、前記本体部の法線方向と平行になった中心軸を中心として前記本体部に対して回転する、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項11】
前記制限素子は、摺動部及び当接部を含み、前記本体部の天面において、前記摺動部は前記収容溝に接近または離間する方向に向かって移動し得、前記当接部と前記摺動部とが互いに連接され、前記当接部は前記摺動部と一緒に前記本体部に対して移動し得る、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項12】
前記本体部は軌道構造を含み、前記制限素子の前記摺動部は可動的に前記軌道構造の軌道路に配置される、請求項11に記載のキャリア装置。
【請求項13】
前記本体部は止め構造をさらに含み、前記止め構造は前記軌道構造に一方端に位置し、前記止め構造は、前記摺動部が前記軌道構造から脱出することを防止するために用いられる、請求項12に記載のキャリア装置。
【請求項14】
前記本体部は固定穴を含み、前記制限素子は挿入部、及び当接部を含み、前記挿入部が前記固定穴に穿設され、前記当接部と前記挿入部とが連接され、前記挿入部が前記固定穴に挿入した時、前記当接部は前記収容溝に配置される前記試料キャリア部材に当接するようになる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項15】
前記制限素子は押し当て部を含み、前記押し当て部は前記本体部の天面に押し当て、前記キャリア装置が前記試料ホルダーに配置された時、前記試料ホルダーの規制部材は、前記押し当て部に押圧することにより、前記制限素子が前記本体部に対する活動範囲を制限する、請求項14に記載のキャリア装置。
【請求項16】
前記キャリア装置は処理モジュール、及び電気接続部材をさらに含み、前記処理モジュールは前記本体部に固設され、前記処理モジュールは電力供給ユニット、及び制御ユニットを含み、前記電力供給ユニットは電力を貯めるために用いられ、前記制御ユニットと前記電力供給ユニットとが電気的に接続され、前記電気接続部材と前記処理モジュールが互いに連接され、前記電気接続部材における前記処理モジュールから離れる端部は、前記試料キャリア部材における電気接続部と接続するために用いられ、前記試料キャリア部材が前記収容溝に固設され、かつ、前記電気接続部材と前記試料キャリア部材における前記電気接続部とが互いに接続された時、前記電力供給ユニットは前記制御ユニットに作動必要な電力を給電し得て、かつ、前記電力供給ユニットは、前記試料キャリア部材内の電子部品に作動必要な電力を給電し得る、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項17】
前記本体部は第1の係合構造を有し、前記制限素子は第2の係合構造、及び当接部を含み、前記制限素子における前記第2の係合構造は、前記第1の係合構造と互いに係合でき、前記当接部と前記第2の係合構造とが互いに連接され、かつ、前記当接部は、前記収容溝における前記試料キャリア部材が前記本体部に対する活動範囲を制限するために用いられる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項18】
前記キャリア装置における前記本体部は、第1の本体部として定義され、前記キャリア装置の前記収容溝が第1の収容溝として定義され、前記制限素子は、第2の本体部を含み、前記第2の本体部の一方側に第2の収容溝が凹設され、前記第1の本体部及び前記第2の本体部の少なくとも一方に固定構造が配置され、前記固定構造は、前記第2の本体部を前記第1の本体部の一方側に固設するために用いられ、前記第2の本体部が前記第1の本体部の一方側に固設されたとき、前記第1の収容溝は前記第2の収容溝と互いに連通しながら、一緒に組合せ収容溝を形成し、前記組合せ収容溝は、前記試料キャリア部材を収容するために用いられ、前記組合せ収容溝に配置した前記試料キャリア部材は、前記第1の本体部と前記第2の本体部と一緒に保持されるようになる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項19】
前記キャリア装置の前記本体部が第1の本体部として定義され、前記キャリア装置の前記収容溝が第1の収容溝として定義され、前記制限素子は第2の本体部を含み、前記第2の本体部の一方側に第2の収容溝が凹設され、前記第1の本体部は2つの補助位置決め構造を含み、2つの前記補助位置決め構造は、前記第2の本体部を固定して、それにより、前記第2の本体部を前記第1の本体部の一方側に固設させるように用いられ、前記第2の本体部が前記第1の本体部の一方側に固設されたとき、前記第1の収容溝は前記第2の収容溝と互いに連通しながら、一緒に組合せ収容溝を形成し、前記組合せ収容溝は、前記試料キャリア部材を収容するために用いられ、前記組合せ収容溝に配置される前記試料キャリア部材は、前記第1の本体部と前記第2の本体部と一緒に保持されるようになる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項20】
前記キャリア装置の前記本体部は第1の本体部として定義され、前記キャリア装置の前記収容溝が第1の収容溝として定義され、前記制限素子は第2の本体部を含み、前記第2の本体部の一方側に第2の収容溝が凹設され、前記第2の本体部は2つの補助位置決め構造を含み、2つの前記補助位置決め構造は、前記第1の本体部を固定して、それにより、前記第2の本体部が前記第1の本体部の一方側に固設させるように用いられ、前記第2の本体部が前記第1の本体部の一方側に固設された時、前記第1の収容溝は前記第2の収容溝と互いに連通しながら、一緒に組合せ収容溝を形成し、前記組合せ収容溝は、前記試料キャリア部材を収容するために用いられ、前記組合せ収容溝に配置される前記試料キャリア部材は、前記第1の本体部と前記第2の本体部と一緒に保持されるようになる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項21】
前記キャリア装置における前記本体部が第1の本体部として定義され、前記キャリア装置における前記収容溝が第1の収容溝として定義され、前記制限素子は第2の本体部を含み、前記第2の本体部の一方側に第2の収容溝が凹設され、前記第1の本体部は少なくとも1つの第1の規制部を含み、前記第2の本体部は少なくとも1つの第2の規制部を含み、前記第1の規制部は、前記第2の規制部と互いに固定され、それにより、前記第2の本体部を前記第1の本体部の一方側に固設させ、前記第2の本体部が前記第1の本体部の一方側に固設されたとき、前記第1の収容溝は、前記第2の収容溝と互いに連通しながら、一緒に組合せ収容溝を形成し、前記組合せ収容溝は、前記試料キャリア部材を収容するために用いられ、前記組合せ収容溝に配置された前記試料キャリア部材は、前記第1の本体部と前記第2の本体部と一緒に保持されるようになる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項22】
前記キャリア装置における前記本体部が第1の本体部として定義され、前記キャリア装置における前記収容溝が第1の収容溝として定義され、前記制限素子は第2の本体部を含み、前記第2の本体部の一方側に第2の収容溝が凹設され、前記第1の本体部は第1の枢着部をさらに含み、前記第2の本体部は第2の枢着部をさらに含み、前記第1の枢着部と前記第2の枢着部とが互いに枢着され、前記第2の本体部は前記第1の本体部に対して回転し得、前記第2の本体部が前記第1の本体部の一方側に固設されたとき、前記第1の収容溝は前記第2の収容溝と互いに連通しながら、一緒に組合せ収容溝を形成し、前記組合せ収容溝は前記試料キャリア部材を収容するために用いられ、前記組合せ収容溝に配置された前記試料キャリア部材は、前記第1の本体部と前記第2の本体部と一緒に保持されるようになる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項23】
前記キャリア装置における前記本体部が第1の本体部として定義され、前記キャリア装置における前記収容溝が第1の収容溝として定義され、前記制限素子は第2の本体部を含み、前記第2の本体部の一方側に第2の収容溝が凹設され、前記キャリア装置は彎曲構造をさらに含み、前記彎曲構造と前記第1の本体部とが互いに連接され、前記彎曲構造と前記第2の本体部とが互いに連接され、前記第2の本体部は、前記彎曲構造を介して、前記第1の本体部に対して回転でき、前記第2の本体部が前記第1の本体部の一方側に固設されたとき、前記第1の収容溝は前記第2の収容溝と互いに連通しながら、一緒に組合せ収容溝を形成し、前記組合せ収容溝は前記試料キャリア部材を収容するために用いられ、前記組合せ収容溝に配置された前記試料キャリア部材は、前記第1の本体部と前記第2の本体部と一緒に保持されるようになる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項24】
前記キャリア装置における前記本体部が第1の本体部として定義され、前記キャリア装置における前記収容溝が第1の収容溝として定義され、前記制限素子は第2の本体部を含み、前記第2の本体部の一方側に第2の収容溝が凹設され、前記第2の本体部が前記第1の本体部の一方側に固設されたとき、前記第1の収容溝は前記第2の収容溝と互いに連通しながら、一緒に組合せ収容溝を形成し、前記組合せ収容溝は前記試料キャリア部材を収容するために用いられ、前記組合せ収容溝に配置された前記試料キャリア部材は、前記第1の本体部と前記第2の本体部と一緒に保持されるようになり、前記キャリア装置は処理モジュール、及び電気接続部材をさらに含み、前記処理モジュールは前記第2の本体部に固定され、前記処理モジュールは、電力供給ユニット及び制御ユニットを含み、前記電力供給ユニットは電力を貯めるために用いられ、前記制御ユニットと前記電力供給ユニットとが電気的に接続され、前記電気接続部材と前記処理モジュールとが接続され、前記電気接続部材における前記処理モジュールから離れる端部は、前記試料キャリア部材における電気接続部と接続するために用いられ、前記試料キャリア部材が前記組合せ収容溝に固定され、かつ、前記電気接続部材と前記試料キャリア部材における前記電気接続部とが互いに接続されたとき、前記電力供給ユニットは、前記制御ユニットに作動必要な電力を給電し得、かつ、前記電力供給ユニットが前記試料キャリア部材における電子部品に作動必要な電力を給電できる、請求項1に記載のキャリア装置。
【請求項25】
試料キャリア部材と、本体部及び少なくとも1つの制限素子を含むキャリア装置とを具備する、キャリアキットであって、
前記試料キャリア部材における互いに反対面となる両側面に観測凹溝がそれぞれ凹設され、前記試料キャリア部材内に、試料を収容するための収容チャネルが配置され、前記収容チャネルの一部が各前記観測凹溝から露出し、
前記キャリア装置は、電子顕微鏡デバイスの試料ホルダー(specimen holder)に固設され、試料キャリア部材をキャリアするために用いられ、
前記本体部の一方側に、前記試料キャリア部材を収容するための収容溝が凹設され、前記本体部はさらに、前記収容溝と互いに連通する観察窓を含み、前記試料キャリア部材が前記収容溝に収容された時、前記観測凹溝中の1つは、前記観察窓から前記本体部に露出し、
前記少なくとも1つの制限素子は前記本体部に配置され、前記収容溝に配置された前記試料キャリア部材が前記本体部に対する活動範囲を制限するために用いられる、ことを特徴とする、キャリアキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア装置及びキャリアキットに関し、特に試料キャリア部材をキャリアするために、電子顕微鏡デバイスの試料ホルダー(specimen holder)に配置されるキャリア装置、及びキャリア装置と試料キャリア部材を含むキャリアキットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子顕微鏡装置、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)、走査型トンネル電子顕微鏡(STM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)等の電子顕微鏡装置は、銅グリッド上に観察すべき被検体を配置してから、銅グリッドを試料ホルダー上に配置し、さらに、試料ホルダーを、電子顕微鏡装置上に配置して、銅グリッド上の試料を、試料に関連する電子ビームを介して観察するように構成されている。
【0003】
上記の観察態様では、液体試料を観察することができない。このため、液体試料をキャリアできるように構成される部材が提供される。その部材は、接着剤を介して銅リングに固定され、銅リングと共に試料ホルダー上に配置されることにより、液体試料を観察できるようにすることが必要である。
【0004】
上記素子は、従来の銅グリッドを用いて液状の試料を観察することができないという問題を解決することができるが、銅リングに接着剤を用いて部材を固定する工程では、試料に接着剤が混入したり、部材に接着剤が混入したりするなどの問題が発生する可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、試料をキャリアするための試料キャリア部材を改善して、粘着剤により試料キャリア部材を銅リング(Cu ring)固定することによる、粘着剤の混入が観察結果に影響がかかっている課題を解決するためのキャリア装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る実施形態の1つにはキャリア装置が開示される。キャリア装置は、電子顕微鏡デバイスの試料ホルダー(specimen holder)に固設され、試料キャリア部材をキャリアするように用いられる。試料キャリア部材における相対的な両側に観測凹溝がそれぞれ凹設されている。試料キャリア部材に試料を収容するための収容チャネルが設けられる。各観測凹溝から収容チャネルの一部が露出されている。キャリア装置は、本体部及び少なくとも1つの制限素子を含む。試料キャリア部材を収容するための収容溝が本体部の一方側に凹設され、本体部はさらに観察窓を含み、観察窓と収容溝とは互いに連通される。試料キャリア部材が収容溝に配置される時、一方の観測凹溝は観察窓を介して本体部に露出する。制限素子は本体部に配置され、制限素子は、収容溝内の試料キャリア部材が本体部に対する活動範囲を制限するために用いられる。
【0007】
本発明に係る特定の実施形態にキャリアキットが開示される。キャリアキットは、試料キャリア部材及びキャリア装置を含む。試料キャリア部材における相対的な両側にそれぞれ観測凹溝が凹設される。試料キャリア部材に試料を収容するための収容チャネルが配置され、観測凹溝のそれぞれから収容チャネルの一部が露出される。キャリア装置は、電子顕微鏡デバイスに配置される試料ホルダー(specimen holder)を固定するために用いられ、かつ、キャリア装置は、試料キャリア部材をキャリアするために用いられる。キャリア装置は、本体部及び少なくとも1つの制限素子を含む。本体部の一方側に試料キャリア部材を収容するための収容溝が凹設される。本体部は、観察窓を有し、観察窓と収容溝とは互いに連通される。試料キャリア部材が収容溝に配置される時、一方の観測凹溝は、観察窓を介して本体部に露出するようになり得る。制限素子は、本体部に配置され、制限素子は、収容溝内の試料キャリア部材が本体部に対する活動範囲を制限するために用いられる。
【発明の効果】
【0008】
上記を踏まえて、本発明に係るキャリア装置及びキャリアキットは、本体部及び制限素子などの配置により、粘着剤を使用することなくても、試料キャリア部材を本体部に安定的に固定させることができる。本発明に係るキャリア装置及びキャリアキットは、粘着剤を使用しなくてもよいため、液状の試料をキャリアするように構成された素子を接着剤で固定する際に、試料の接着剤汚染や素子の接着剤汚染が発生しやすく、試料の観察に支障を来すといった従来技術における問題点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子顕微鏡デバイスを示す模式図である。
図2】電子顕微鏡デバイスの試料ホルダーを示す模式図である。
図3】本発明に係るキャリアキットが設けられる電子顕微鏡デバイスの試料ホルダーを示す模式図である。
図4】電子顕微鏡デバイスの試料ホルダー、及び本発明に係るキャリアキットの第1の実施形態を示す分解模式図である。
図5】本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態に試料キャリア部材が配置される状況を示す組立模式図である。
図6】本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態に試料キャリア部材が配置される状況を示す分解模式図である。
図7】本発明に係るキャリアキットの試料キャリア部材を示す斜視模式図である。
図8】本発明に係るキャリアキットの試料キャリア部材を示す断面模式図である。
図9】本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態を示す上面模式図である。
図10】本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態を示す断面模式図である。
図11】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図12】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図13】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図14】試料キャリア部材が配置されている本発明に係るキャリア装置の第2の実施形態を示す模式図である。
図15】本発明に係るキャリア装置の第2の実施形態を示す模式図である。
図16】試料キャリア部材が配置されている本発明に係るキャリア装置の第3の実施形態を示す模式図である。
図17】本発明に係るキャリア装置の第4の実施形態及び試料キャリア部材を示す分解模式図である。
図18】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第5の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図19】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第5の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図20】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第6の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図21】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第6の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図22】本発明に係るキャリア装置の第7の実施形態及び試料キャリア部材を示す分解模式図である。
図23】本発明に係るキャリア装置の第7の実施形態及び試料キャリア部材を示す組立て模式図である。
図24】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第8の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図25】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第8の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図26】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第9の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図27】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第9の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図28】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第10の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図29】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第10の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図30】試料キャリア部材(断面されない)が配置されている本発明に係るキャリア装置の第11の実施形態(断面)を示す模式図である。
図31】本発明に係るキャリア装置の第12の実施形態(断面)と試料キャリア部材(断面されない)とが互いに組立てされる工程を示す模式図である。
図32】本発明に係るキャリア装置の第12の実施形態(断面)と試料キャリア部材(断面されない)とが互いに組立てされる工程を示す模式図である。
図33】本発明に係るキャリア装置の第12の実施形態(断面)と試料キャリア部材(断面されない)が互いに組立てされることを示す模式図である。
図34】本発明に係るキャリア装置の第13の実施形態(断面)と試料キャリア部材(断面されない)とが互いに組立てされる工程を示す模式図である。
図35】本発明に係るキャリア装置の第13の実施形態(断面)と試料キャリア部材(断面されない)とが互いに組立てされる工程を示す模式図である。
図36】本発明に係るキャリア装置の第14の実施形態及び試料キャリア部材を示す分解及び組立て模式図である。
図37】本発明に係るキャリア装置の第14の実施形態(断面)と試料キャリア部材(断面されない)が互いに組立てされる工程を示す模式図である。
図38】本発明に係るキャリア装置の第14の実施形態(断面)と試料キャリア部材(断面されない)が互いに組立てされる工程を示す模式図である。
図39】本発明に係るキャリア装置の第15の実施形態(断面)と試料キャリア部材(断面されない)を示す分解模式図である。
図40】本発明に係るキャリア装置の第16の実施形態を示す分解模式図である。
図41】試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第17の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。
図42】本発明に係るキャリア装置の製造方法の第1の実施形態による工程を示す模式図である。
図43】本発明に係るキャリア装置の製造方法の第2の実施形態による工程を示す模式図である。
図44】本発明に係るキャリア装置の製造方法の第2の実施形態による工程を示す模式図である。
図45】本発明に係るキャリア装置の製造方法の第2の実施形態を利用して作られたキャリア装置を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【0011】
以下の説明において、特定の図面または特定の図面に示されているように参照がなされる場合、これは、後続の説明において、記載されている関連する内容の大部分がその特定の図に現れることを強調するためだけであり、その後続の説明における内容をその特定の図面に限定するものではない。
【0012】
図1乃至図4を合わせて参照する。図1は、電子顕微鏡デバイスを示す模式図であり、図2は、電子顕微鏡デバイスの試料ホルダーを示す模式図であり、図3及び図4はそれぞれ電子顕微鏡デバイスの試料ホルダーと本発明に係るキャリアキットを示す組立てまたは分解模式図である。
【0013】
電子顕微鏡デバイス1は、デバイス本体10及び試料ホルダー11を含む。次の説明に、デバイス本体10について説明を行い、デバイス本体10に係る説明されない部分では、既存の透過電子顕微鏡(TEM)、走査型トンネル電子顕微鏡(STM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)等の電子顕微鏡装置に含まれる構成または電子素子と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0014】
デバイス本体10は、電子ビーム出射装置101、観測装置102、処理装置103、複数の入力装置104、及び表示装置105を含む。電子ビーム出射装置101は電子ビームを発射するために用いられる。観測装置102は、デバイス本体10に配置される試料ホルダー11における試料キャリア部材2にキャリアされた試料を、使用者が観察するために用いられる。処理装置103は、電子ビーム出射装置101に電気的に接続され、処理装置103は、電子ビーム出射装置101が電子ビームを発射させるために電子ビーム出射装置101を制御することができる。入力装置104は、処理装置103に電気的に接続される。入力装置104では、使用者が操作して、処理装置103を介してデバイス本体10内の関連機械または電子素子を作動させるために制御することができる。表示装置105は、デバイス本体10における試料ホルダー11に放置される試料キャリア部材2でキャリアされた試料に対応する画像を示すために用いられる。
【0015】
図2乃至図4に示すように、試料ホルダー11は、把持部111、棒状体112、搬送終端部113、及び規制部材114を含む。試料ホルダー11の把持部111は、使用者が把持するために用いられる。棒状体112と把持部111とは互いに連接され、搬送終端部113は、棒状体112における把持部111と反対する端部に位置する。なかでも、試料ホルダー11における棒状体112及び搬送終端部113は、デバイス本体10に取り付けられてもよい。
【0016】
図3及び図4に示すように、搬送終端部113は、凹溝1131、及び貫通孔1132を有する。凹溝1131は、本発明に係るキャリア装置3が配置するように用いられる。かつ、凹溝1131に、標準銅グリッド(Standard Cu grid)も配置されることができる。規制部材114は、可動的に搬送終端部113に配置される。規制部材114は、選択的に凹溝1131におけるキャリア装置3に押し当てるように操作されることでできる。貫通孔1132は、搬送終端部113を貫通するように配置され、かつ、貫通孔1132と凹溝1131とが互いに連通される。具体的に、規制部材114は、可動部1141、及び押し当て構造1142を含んでもよい。可動部1141と押し当て構造1142は互いに連接され、押し当て構造1142は、可動部1141を介して回転可能に搬送終端部113に配置される。凹溝1131におけるキャリア装置3を押し当てるか、または凹溝1131におけるキャリア装置3から離れるために、押し当て構造1142は、可動部1141により、凹溝1131に接近または離間させる方向に回転することができる。押し当て構造1142の形状は、C字形を呈してもよいが、この例に制限されなく、例えば、環状を呈してもよい。また、ここで、押し当て構造1142とは、実際のニーズに応じて、既存の試料ホルダーにおいて、銅グリッド(Cu grid)を押し当てるための各種の構造をいう。
【0017】
図3乃至図10を一緒に参照されたい。図5及び図6はそれぞれ、試料キャリア部材が配置されている本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態を示す組立て及び分解模式図である。図7及び図8はそれぞれ、試料キャリア部材を示す斜視及び断面模式図である。図9及び図10はそれぞれ、本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態を示す上面及び断面模式図である。本発明に係るキャリア装置3は、試料ホルダー11における搬送終端部113の凹溝1131に配置される。キャリア装置3は試料キャリア部材2をキャリアするために用いられる。試料キャリア部材2は、観測しようとする試料をキャリアするために用いられる。試料キャリア部材2における互いに相対的な両側に、観測凹溝20がそれぞれ凹設されている。試料キャリア部材2内に収容チャネル21が設けられる。収容チャネル21は、観測しようとする前記試料を収容するために用いられる。各観測凹溝20から収容チャネル21の一部が露出される。実用上では、試料キャリア部材2は、シリコン製であってもよく、収容チャネル21を区画するために試料キャリア部材2にSi3N4膜を配置してもよい。
【0018】
キャリア装置3は、本体部30及び2つの制限素子32を含む。本実施形態において、キャリア装置3が2つの制限素子32を例として挙げられたが、キャリア装置3が含む制限素子32の数は2つに限らなく、特定の実施形態において、キャリア装置3が僅か1つの制限素子32を含んだり、或いは、キャリア装置3が3つ以上の制限素子32を含んだりしてもよい。
【0019】
本体部30の一方側に収容溝301が凹設され、かつ、収容溝301における本体部30の同側に対応的に収容口302が配置される。試料キャリア部材2の少なくとも一部は、収容口302を介して収容溝301に収容され得る。前記収容溝301主には、試料キャリア部材2を収容するために用いられるため、実用上では、収容溝301の形状、サイズは、実質的に試料キャリア部材2の形状、サイズと対応するように構成されるが、収容溝301の具体的な形状及びサイズは、図面に示されたものに制限されない。即ち、収容溝301は、試料キャリア部材2を半分以上収容できれば、収容溝301の形状は制限されない。本体部30の全体的の形状は、ディスク形状に形成されてもよい、本体部30は、標準銅グリッド(standard Cu grid)と同様なサイズを有することが好ましい。例えば、本体部30が直径3ミリメートル(mm)となるディスク形状の銅シート構造であってもよい。
【0020】
具体的に、本体部30は、シート状構造303、及び支持構造304を含んでもよい。シート状構造303がディスク形状を呈し、かつ、シート状構造303における両側面のそれぞれが天面3031と底面3032として定義される。シート状構造303に前記収容口302が有さえられ、かつ、シート状構造303は、底面3032から外方へ延在して支持構造304をなしている。支持構造304及びシート状本体部30は共に、前記収容溝301を形成させる。支持構造304におけるシート状構造303から離れる側に観察窓305が形成される。実用上では、支持構造304と本体部30とは一体成型された構造に構成されてもよいが、この例に制限されない。別の応用では、様々な加工方式で、別構造となる支持構造304を本体部30に固定してもよい。なかでも、支持構造304及び収容溝301の形状は、試料キャリア部材2の形状及びサイズに応じて設計されてもよく、図面にはただ1つの実施態様を示すに過ぎない。
【0021】
図5及び図6に示すように、実用上では、収容溝301の深さは、試料キャリア部材2の高さを下回ってもよい。なお、試料キャリア部材2が収容溝301に配置された時、試料キャリア部材2の一部が対応的に本体部30から露出されてもよいが、この例に制限されない。特定の実施形態において、収容溝301の深さが試料キャリア部材2の高さを上回ってもよい。
【0022】
図5図6図9及び図10に示すように、2つの制限素子32が本体部30に配置されており、2つの制限素子32と本体部30とは、一緒に収容溝301における試料キャリア部材2に固設されている。なかでも、2つの制限素子32は主に、試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限するために用いられる。例えば、図6及び図9に示すように、各制限素子32は、本体部30と一体成型に配置されてもよい。具体的に、キャリア装置3を製造する場合、まず、実質的にC字形状を呈する2つの貫通孔(例えば、図15に示すように)を収容溝301の両側に形成させ、さらに、関連する機械や工具によって、実質的にC字形状を呈する貫通孔の中央構造を上向いて屈曲させ、それにより、前記制限素子32を形成させる。例えば、図6に示すように、上記方法で形成した制限素子32のそばに対応的に1つの貫通孔306が配置されている。
【0023】
図9に示すように、各制限素子32が、収容溝301に配置される試料キャリア部材2を保持するように、本体部30と効果的に協働するようにするために、前記キャリア装置3に上面図では、各制限素子32の一部は、対応的に収容口302に位置する。そのように、図5に示すように、試料キャリア部材2が収容溝301に配置された時、各制限素子32は、試料キャリア部材2の一側に当接し得る。
【0024】
図10乃至図13を一緒に参照されたい。図11乃至図13は、試料キャリア部材(断面されない)を本発明に係るキャリア装置の第1の実施形態(断面)に配置する工程を示す模式図である。図10に示すように、実用上では、本実施形態に例示したキャリア装置3は、出荷の際、それに含まれた2つの制限素子32は、本体部30と一体的に構成されており、かつ、2つの制限素子32は互いに対向するように配置されると共に、2つの制限素子32の間の距離は、試料キャリア部材2の長さD(例えば、図11に示すように)を下回ってもよい。
【0025】
作業員がキャリア装置3を購入して、試料キャリア部材2をキャリア装置3の収容溝301に配置しようとする場合、図10乃至図13に示された操作流れに従って行ってもよい。詳しくは、まず、図10に示すように、作業員は、関連補助工具(図示されないが、例えば、ピンセットを使用してもよい)を使用して、本体部30における制限素子32の両側を保持して、本体部30を制限素子32が存在する方向と反対する方向に向かって屈曲させ、それにより、本体部30は、図10に示した状態から図11に示した状態に変形され、2つの制限素子32の間の距離は増加する。
【0026】
図11及び図12に示すように、次に、作業員は、試料キャリア部材2を、2つの制限素子32の間の拡張された空間から通過させ、収容溝301に配置させる。図12及び図13に示すように、試料キャリア部材2が収容溝301に配置された後、本体部30を屈曲する関連工具を開放して、本体部30はその自身の回復弾性力で、図12に示した状態から図13に示した状態に変化する。なお、2つの制限素子32は、そのように試料キャリア部材2の両側を当接し、2つの制限素子32は、試料キャリア部材2の突き当て力を受けることで回復弾性力が生じ、それにより、試料キャリア部材2に隙間なく当接されるようになる。
【0027】
上記のように、図1乃至図4及び図13に示すように、試料キャリア部材2をキャリアしているキャリア装置3が凹溝1131配置されており、かつ、規制部材114が本体部30に押し当てる場合、電子ビーム出射装置101が発射する電子ビームは、試料キャリア部材2の観測凹溝20及び収容チャネル21に位置する試料、キャリア装置3の観察窓305、搬送終端部113の貫通孔1132を通過することができる。なお、観測者は、観測装置102により、収容チャネル21に収容された試料を観察でき、かつ、処理装置103は、表示装置105が試料に対応する画像を示すように表示装置105を制御することができる。
【0028】
なお、液体試料をキャリアする部材を粘着剤により銅リングに固定さえる従来の方法では、一般には液体試料をキャリアする部材のサイズが小さいので、作業員が粘着剤を使用して、液体試料をキャリアする部材を銅リングに固定させる過程において、粘着剤が液体試料をキャリアする部材の観測窓に流れ込んで、それで電子ビームがうまく試料を通過し得ず、観測者が試料を観測できない問題が生じうることを説明しておきたい。一方、本発明に係るキャリア装置3は、制限素子32等の配置により、粘着剤を使用しないまま、試料キャリア部材2と互いに固定することができ、それにより、試料キャリア部材2にキャリアされた試料に予期せぬ外乱が発生する確率を大幅に下げることができる。
【0029】
図14及び図15を一緒に参照されたい。図14は、試料キャリア部材が配置されている本発明に係るキャリア装置の第2の実施形態を示す模式図である。図15は、本発明に係るキャリア装置の第2の実施形態を示す模式図である。本実施形態と前記第1の実施形態との最大な相違点は、試料キャリア部材2がキャリア装置3に配置された時、各制限素子32に一部は、試料キャリア部材2の天面22に対応的に当接してもよい点である。
【0030】
図14及び図15に示すように、特筆に値するのは、実用上では、キャリア装置3は、図15に示した態様で販売されてもよい。作業員が例えば、図15に示したキャリア装置3を購入した後、まず、試料キャリア部材2を収容溝301に取り付けて、さらに、関連工具(例えば、ピンセット)により、C字形状となる貫通孔307の中にある構造を、試料キャリア部材2の方向に屈曲させ、それにより、前記制限素子32を形成させてもよいことにある。
【0031】
図16を参照されたい。図16は、試料キャリア部材が配置されている本発明に係るキャリア装置の第3の実施形態を示す模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点では、各制限素子32は、本体部30と一体的に成形されず、各制限素子32は別構造として本体部30に固定される点である。実用上では、本実施形態に挙げられたキャリア装置3において、各制限素子32は、キャリア装置3のメーカーが予めに本体部30に固定しておいてもよいか、或いは、各制限素子32を予めに本体部30に取り付けなくてもよい。この場合、作業員がキャリア装置3を購入した後、まず、2つの制限素子32を本体部30に固定したから、図10乃至図13に示した方式で、試料キャリア部材2を収容溝301に配置するようになる。
【0032】
図17を参照されたい。図17は、本発明に係るキャリア装置の第4の実施形態及び試料キャリア部材を示す分解模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点では、2つの制限素子32は収容溝301の2つの長辺に隣接して配置し、かつ、2つの制限素子32の間の最短距離Lは、試料キャリア部材2の幅Wを下回ってもよい点である。試料キャリア部材2が2つの制限素子32を介して収容溝301に配置される過程において、2つの制限素子32は試料キャリア部材2に圧迫され弾性変形して、試料キャリア部材2の半分が収容溝301中に配置された時、圧迫され弾性変形した2つの制限素子32は、隙間なく試料キャリア部材2の2つの長辺側に当接するようになる。
【0033】
本実施形態の図面では、各制限素子32と本体部30とは一体成型ではないのを例として挙げられたが、この例に制限されない。特定の実施形態において、各制限素子32が本体部30と一体成型に構成されてもよい。また、試料キャリア部材2が通過する時に2つの制限素子32が弾性変形し、かつ、試料キャリア部材2の半分が収容溝301に収容された時、弾性変形した2つの制限素子32は、隙間なく試料キャリア部材2に当接し得るさえなれれば、2つの制限素子32の形状は任意に設定され、即ち、各制限素子32は、図面に示した円弧状構成に制限されない。
【0034】
本実施形態において、2つの制限素子32を収容溝301の2つの長辺に隣接して配置する構成を例として挙げられたが、この例に制限されない。特定の実施形態において、本実施形態に挙げられた2つの制限素子32が収容溝301の2つの短辺に隣接して配置されてもよいことを説明しておきたい。同様に、前記各実施形態において、2つの制限素子32は、収容溝301の2つの短辺に隣接して配置されるが、前記各実施形態に挙げられた2つの制限素子32は、収容溝301の2つの長辺に隣接して配置されてもよい。
【0035】
特筆に値するのは、前記各実施形態において、キャリア装置3が2つの制限素子32を有し、2つの制限素子32が互いに対向して配置されるのを例として挙げられたが、キャリア装置3が含む制限素子32の数は2つに限らず、特定の実施形態において、キャリア装置3が4つの制限素子32を、対応的に収容溝301の4つの側辺に隣接して配置されるように含んでもよいことにある。特別な用途では、キャリア装置3の2つの制限素子32は、収容溝301の両側辺に配置するのに限定されず、収容溝301の対向する角部に配置されていてもよい。
【0036】
図18及び図19を一緒に参照されたい。図18及び図19はそれぞれ、本発明に係るキャリア装置の第5の実施形態(断面)及び試料キャリア部材(断面されない)を示す分解模式図及び組立て模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点では、キャリア装置3は僅か1つの制限素子32を含んでもよい。制限素子32は、固定ベース321、及び可撓性構造322を含む。固定ベース321は本体部30に固定され、収容溝301に近接するかまたは離れる方向に向かって屈曲するように可撓性構造322は操作されることができる。
【0037】
図18に示すように、作業員が試料キャリア部材2を収容溝301に配置しようとする時、まず、可撓性構造322を収容溝301から離れる方向に向かって屈曲させ、それにより、試料キャリア部材2を邪魔されずに収容溝301に直々に配置することができる。図19に示すように、作業員が試料キャリア部材2を収容溝301に配置した後、作業員が可撓性構造322をさらに試料キャリア部材2に押し当てるように屈曲させ、それにより、試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限してもよい。ここでは、特定の実施形態において、キャリア装置3は、本実施形態が挙げられた制限素子32を2つ以上含んでもよいのを説明しておきたい。
【0038】
図20及び図21を一緒に参照されたい。図20及び図21はそれぞれ本発明に係るキャリア装置の第6の実施形態(断面)及び試料キャリア部材(断面されない)を示す分解模式図及び組立て模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点では、キャリア装置3が含む制限素子32は、枢着部323、及び当接部324を有する。枢着部323は、回転可能に本体部30と連接され、枢着部323は、本体部30の法線方向に平行となる中心軸Cを中心として本体部30に対して回転することができる。当接部324は枢着部323と連接されており、当接部324は枢着部323と共に本体部30に対して回転することができる。
【0039】
図20に示すように、作業員が試料キャリア部材2を収容溝301に配置しようとする時、当接部324を操作して、収容溝301の上方に当接部324が位置しないように当接部324を本体部30に対して回転させてもよい。そのように、作業員が試料キャリア部材2の半分を収容溝301に配置することができる。図21に示すように、試料キャリア部材2の半分が収容溝301内に配置された時、作業員が再び当接部324を操作して、当接部324を試料キャリア部材2の上部に当接させることにより、試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限するようになる。
【0040】
図22及び図23を一緒に参照されたい。図22及び図23は、本発明に係るキャリア装置の第7の実施形態及び試料キャリア部材を示す分解模式図及び組立て模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点では、キャリア装置3が含む制限素子32は、本体部30に対して、収容溝301に接近または離間させる方向に向かって摺動することにより、収容溝301に配置された試料キャリア部材2を選択的に規制することができることにある。
【0041】
具体的に、キャリア装置3は、2つの制限素子32及び2つの軌道構造34を含んでもよい。各制限素子32に、摺動部325、及び当接部326が含まれる。摺動部325は、本体部30における天面3031から収容溝301に近接するかまたは収容溝301から離れる方向に向かって移動することができる。当接部326は摺動部325と互いに連接され、当接部326は、摺動部325と一緒に本体部30に対して移動することができる。2つの軌道構造34は本体部30に配置され、かつ、2つの軌道構造34は収容溝301の両端部に隣接するように配置され、各軌道構造34に軌道路341が配置されており、各摺動部325は摺動可能に各軌道構造34に配置される。各軌道構造34は、粘着剤または別の方式で、別構造として本体部30に固設されてもよいが、この例に制限されない。例えば、特定の実施形態において、各軌道構造34が本体部30と一体成型に構成されてもよい。各軌道構造34の形状は、実際のニーズに応じて変更して、さらに、軌道路341及び摺動部325の形状も実際のニーズに応じて変更することができる。
【0042】
実用上では、作業員は、まず、試料キャリア部材2を収容溝301に配置した後、さらに、各制限素子32の摺動部325を軌道路341に挿入することにより、各制限素子32の当接部326が対応的に試料キャリア部材2の一方端に当接するようになり、そのように、各制限素子32は、試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限することができる。
【0043】
本実施形態に挙げられたキャリア装置3は、商品として包装される場合、各制限素子32が軌道構造34に組み合わせない状態で保持し、作業員がキャリア装置3を手に入れた後、まず、試料キャリア部材2を収容溝301に配置してから、各制限素子32を各軌道構造34と組み合わせてもよい。また、実用上では、各軌道路341のサイズが、各摺動部325のサイズよりもわずかに小さいとなってもよい、なお、各可動部1141は、軌道路341と緊嵌合で互いに固定されてもよい。特定の実施形態において、本体部30における各軌道構造34に隣接する位置に、制限素子32が軌道構造34に対して活動範囲を制限するための構造を配置してもよい。例えば、本体部30における軌道構造34に隣接する側に実質的にC字形状を呈する貫通孔308を配置してもよい。作業員が制限素子32の可動部1141を軌道路341に配置した後、関連工具でC字形状を呈する貫通孔308で囲まれた構造を上向いて屈曲させ、それにより、止め構造309を形成させることができる。前記止め構造309は、制限素子32が軌道構造34から脱出しないように制限することができる。
【0044】
なお、本実施形態に係る図面に示した制限素子32及び軌道構造34は、制限素子32が摺動可能に本体部30に固定させる手段の一つ実施形態として挙げられたが、実用上では、制限素子32が本体部30に対して摺動できると共に、収容溝301に配置された試料キャリア部材2の変化を規制できれば、いずれも、本実施形態の範囲に含まれる変形例に属する。また、キャリア装置3に含まれる制限素子32及び軌道構造34の数は図面に示された数に制限されない。
【0045】
図24及び図25を一緒に参照されたい。図24及び図25はそれぞれ、本発明に係るキャリア装置の第8の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す分解模式図及び組立模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点は、本体部30は、第1の係合構造310を含んでもよい点である。第1の係合構造310は係合溝3101を含む。制限素子32は、第2の係合構造327、及び当接部328を含んでもよい。なお、制限素子32の第2の係合構造327が係合溝3101に係合し得る。当接部328と第2の係合構造327とが互いに連接され、第2の係合構造327が係合溝3101に係合している時、当接部328は、対応的に収容溝301に配置される試料キャリア部材2の一方端に当接し、それにより、試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限する。実際の利用では、係合溝3101のサイズは第2の係合構造327のサイズよりもわずかに小さいであってもよい。なお、第2の係合構造327が係合溝3101に係合している時、緊嵌合で互いに固定されてもよい。実用上では、キャリア装置3は、単一の第1の係合構造310を含んで、それを単一の制限素子32と協働して使用してもよいか、または、2つ以上の第1の係合構造310を含んでそれらを2つ以上の制限素子32と協働して使用してもよい。
【0046】
図26及び図27を一緒に参照されたい。図26及び図27はそれぞれ、本発明に係るキャリア装置の第9の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す分解模式図及び組立模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大の相違点は、キャリア装置3の本体部30は固定穴311を含み、制限素子32に挿入部329、及び当接部330が含まれる点である。挿入部329は固定穴311に穿設され、当接部330と挿入部329とが連接されている。挿入部329が固定穴311に挿入したとき、当接部330は、対応的に収容溝301に配置された試料キャリア部材2を当接し、それにより、試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限することができる。実用上では、固定穴311は、制限素子32の挿入部329よりもわずか小さいサイズを有してもよく、かつ、挿入部329は、緊嵌合で固定穴311と互いに固定されてもよい。本実施形態に係るキャリア装置3を販売する場合、制限素子32が本体部30に組み合わされていない状況であってもよい。作業員は、まず試料キャリア部材2を収容溝301内に配置してから、挿入部329を固定穴311に挿入し、それにより、当接部330を試料キャリア部材2に当接させ、もって試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限する。本実施形態に挙げられたキャリア装置3が含む制限素子32及び固定穴311の数は、実際のニーズに応じて変化でき、1つとは限らない。制限素子32における当接部330の形状も、試料キャリア部材2の形状に応じて変化し得て、図面に示したのはただの1つ態様の例示に過ぎない。
【0047】
ところで、制限素子32はさらに押し当て部331を含んでもよい。押し当て部331と挿入部329とは互いに連接される。例えば、図26に示すように、挿入部329が固定穴311に挿入したとき、押し当て部331は、対応的に本体部30の天面3031に押し当て、さらに、試料キャリア部材2をキャリアしているキャリア装置3が試料ホルダー11(例えば、図4に示すように)に配置される時、規制部材114(例えば、図4に示すように)における押し当て構造1142(例えば、図4に示すように)は、対応的に制限素子32の押し当て部331に押し当て、それにより、制限素子32が本体部30に対する活動範囲を制限することができる。即ち、押し当て部331は、試料ホルダー11の押し当て構造1142が押し当てるために用いられる。
【0048】
図28及び図29を一緒に参照されたい。図28及び図29はそれぞれ、本発明に係るキャリア装置の第10の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す分解模式図及び組立模式図である。前記各実施形態が挙げられたキャリア装置3のいずれも、収容溝301の深さが試料キャリア部材2の高さよりも小さいように構成される。なお、試料キャリア部材2が収容溝301に配置されたとき、試料キャリア部材2の半分が本体部30に露出する。一方、本実施形態が挙げられたキャリア装置3では、収容溝301の深さが試料キャリア部材2の高さ以上であり、かつ、試料キャリア部材2が収容溝301に配置されたとき、試料キャリア部材2は実質的に完全に収容溝301に入り込んで、試料キャリア部材2が収容溝301から露出されない。
【0049】
本実施形態と前記実施形態との最大の相違点は、本体部30における支持構造304とは反対の一側に、補助収容構造304Aが外方へ延在するように形成される。補助収容構造304A、本体部30及び支持構造304はともに、試料キャリア部材2を完全に収容できる収容溝301をなしている。また、制限素子32は、可動的に本体部30に配置され、制限素子32は、補助収容構造304Aの一側をカバーするように操作され、それにより、収容溝301における試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限することができる。
【0050】
特筆に値するのは、実用上では、試料キャリア部材2が収容溝301に配置されたとき、試料キャリア部材2の中心軸CPは、実質的に本体部30の天面3031と揃えていることことにある。そのように、電子顕微鏡デバイスで試料を観測している場合、試料キャリア部材2に焦点が合わないという問題を回避することができる。実用上では、補助収容構造304Aの形状や本体部30に対する高さのいずれも、試料キャリア部材2の形状及びサイズに応じて変更し得、本実施形態の図面はその一態様を示すに過ぎない。また、制限素子32と本体部30との連接方式は、図面に制限されない。制限素子32が補助収容構造304Aと協働して、収容溝301における試料キャリア部材2が本体部30に対する活動範囲を制限できれば、制限素子32のサイズ、形状、及び本体部30との連接方式等いずれもニーズに応じて変更することができる。
【0051】
図30を参照されたい。図30は、本発明に係るキャリア装置の第11の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す分解模式図及び組立模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点は、キャリア装置3はさらに、処理モジュール35、及び電気接続部材36を含む点である。処理モジュール35は本体部30に固設され、処理モジュール35に、電力供給ユニット351、及び制御ユニット352が含まれている。電力供給ユニット351は電力を蓄えるように用いられ、制御ユニット352と電力供給ユニット351とが電気的に接続される。電気接続部材36と処理モジュール35とが互いに連接される。電気接続部材36は、導電性を有する可撓性構造であり、電気接続部材36における処理モジュール35と連接する端部と離れる端部では、試料キャリア部材2の電気接続部23と連接するために用いられる。実用上では、前記電力供給ユニット351としては例えば、各種のキャパシタンスが挙げられ、前記制御ユニット352としては、例えば、各種のマイクロプロセッサが挙げられる。
【0052】
試料キャリア部材2が収容溝301に固設され、かつ、電気接続部材36と試料キャリア部材2との電気接続部23が互いに接続されたとき、電力供給ユニット351は、制御ユニット352が作動するに必要な電力を提供する。かつ、電力供給ユニット351は、試料キャリア部材2内の電子部品に必要な電力を提供する。試料キャリア部材2の電子部材は、例えば、加熱器、混合器、流量制御器、濾過機、スイッチ等、少なくとも1つを含む。
【0053】
上記のように本実施形態が挙げられたキャリア装置3では、処理モジュール35及び電気接続部材36により、収容溝301に配置される試料キャリア部材2の電子部品に対して給電することができ、それで試料キャリア部材2内の試料を所定の温度または条件が維持されながら観測できる。特に、本発明にかかるキャリア装置3、及び電子部品付きの試料キャリア部材2は、対応的に各種の試料ホルダー11に適用し得て、試料ホルダー11に電力供給ユニットまたは制御ユニットを追加する必要はない。そのように、観察コストを大幅に低減することができる。具体的に、既存の試料ホルダー11では、電力供給ユニット及び制御ユニットを有しないのが一般的であり、作業員が試料に対して加熱等の作業を行うために、別部材として高額な特定仕様の試料ホルダー11を購入しなければならない。そのように、観測に必要なコストは大幅に高まれてしまう。一方、本発明に係るキャリア装置3は、電子部品付きの試料キャリア部材2と互いに協働することにより、試料ホルダー11を追加購入する必要なく、直接に試料に対して加熱等の作業を行うことができる。なお、本実施形態に挙げられた処理モジュール35及び電気接続部材36は、前記いずれの実施形態に適用でき、本実施形態には限らない。
【0054】
図31乃至図33を一緒に参照されたい。図31及び図32はそれぞれ、本発明に係るキャリア装置の第12の実施形態(断面)と試料キャリア部材とを組み合わせる過程を示す模式図である。図33は、本発明に係るキャリア装置の第12の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す組立模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点は、キャリア装置3の本体部が第1の本体部30Aとして定義され、キャリア装置3の収容溝が第1の収容溝301Aとして定義される点である。制限素子32は、第2の本体部332を含み、第2の本体部332の一方側に第2の収容溝3321が凹設され、かつ、第2の本体部332は、第2の開口3322を有し、第2の収容溝3321は、第2の開口3322を介して外部と連通する。第2の本体部332及び第2の収容溝3321のサイズや形状は、第1の本体部30A及び第1の収容溝301のサイズや形状と実質的に同じであってもよい。なかでも、第1の本体部30Aの観察窓305の大きさ及び第2の本体部332の第2の開口3322の大きさのいずれも、試料キャリア部材2の両端の観測凹溝20の大きさを上回る。電子ビームは、観察窓305及び第2の開口3322を介して、試料キャリア部材2に出たり入ったりすることができる。
【0055】
第1の本体部30Aはさらに2つの補助位置決め構造312を含み、2つの補助位置決め構造312は、第2の本体部332を固定し、第2の本体部332が第1の本体部30Aに対する活動範囲を制限するために用いられる。具体的に、2つの補助位置決め構造312は第1の本体部30Aと一体成型に配置されてもよい。2つの補助位置決め構造312はシート状構造であってもよい。かつ、2つの補助位置決め構造312が互いに対向して配置されてもよい。2つの補助位置決め構造312同士の間の距離は、第2の本体部332の外径を下回って、即ち、第2の本体部332は、第1の本体部30Aの一方側に直接に取り付けることができない。
【0056】
図31及び図32に示すように、作業員が第2の本体部332を第1の本体部30Aの一方側に取り付けようとするとき、まず、試料キャリア部材2を第1の収容溝301A内に配置してから、第2の本体部332を屈曲して、さらに屈曲された状態になった第2の本体部332を、第1の本体部30Aにおける2つの補助位置決め構造312の間に組込んで、最後に、第2の本体部332を屈曲する力を解放して、第2の本体部332はその自体の回復弾性力で、屈曲される前の状態に戻して、そのように、第2の本体部332は、安定的に2つの補助位置決め構造312同士の間に当接される。第1の本体部30Aが含む補助位置決め構造312の数、配置位置、形状等では、第2の本体部332のサイズ、形状に応じて変更し得て、本実施形態に係る図面に示されたのはただの一つ例に過ぎない。
【0057】
図33に示すように、第1の本体部30Aにおける2つの補助位置決め構造312により、第2の本体部332が第1の本体部30Aの一方側に固定されたとき、第1の収容溝301A及び第2の収容溝3321は一緒に組合せ収容溝SPを形成し、試料キャリア部材2は、対応的に前記組合せ収容溝SPに配置される。好ましい実施形態において、組合せ収容溝SPのサイズや形状は、試料キャリア部材2のサイズや形状に応じてなされるが、これに制限されない。即ち、組合せ収容溝SPが試料キャリア部材2を収容できれば、組合せ収容溝SPのサイズや形状は、実際のニーズに応じて変更できる。
【0058】
図34及び図35を一緒に参照されたい。図34図35はそれぞれ、本発明に係るキャリア装置の第13の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す分解模式図及び組立て模式図である。本実施形態と前記本発明に係るキャリア装置の第12の実施形態との最大な相違点では、第1の本体部30Aに補助位置決め構造312が配置されず、かつ、第2の本体部332に、2つの補助位置決め構造3323が配置される点である。作業員が第2の本体部332を第1の本体部30Aの一方側に固定しようとする時、第2の本体部332における2つの補助位置決め構造3323が互いに離れる方向に屈曲されるように、第2の本体部332を屈曲させ、その後、2つの補助位置決め構造3323は第1の本体部30Aを挟持し、第2の本体部332及びそれに含まれた2つの補助位置決め構造3323は、一緒に第1の本体部30Aを保持するようになる。
【0059】
なお、前記本発明に係るキャリア装置3の第12の実施形態及び第13の実施形態に挙げられた補助位置決め構造は、1つの例に過ぎないのが注意されたい。実用上では、第1の本体部30A及び第2の本体部332の少なくとも1つに、固定構造を有して、かつ、第1の本体部30A及び第2の本体部332は、前記固定構造により互いに固定されるとすれば、いずれも本発明に係るキャリア装置3の第12の実施形態及び第13の実施形態の変形例に属する。
【0060】
図36乃至図38を一緒に参照されたい。図36は、本発明に係るキャリア装置の第14の実施形態及び試料キャリア部材を示す分解模式図である。図37及び図38はそれぞれ、本発明に係るキャリア装置の第14の実施形態(断面)及び試料キャリア部材(断面ではない)を示す分解模式図及び組立て模式図である。本実施形態と前記第12の実施形態との最大な相違点では、本実施形態に係る第1の本体部30Aは前記2つの補助位置決め構造を備えず、かつ、本実施形態に係る第1の本体部30Aが2つの第1の規制部313を備え、第2の本体部332が2つの第2の規制部3324を含む点である。第1の規制部313は第2の規制部3324と互いに固定することにより、第1の本体部30Aと第2の本体部332との互いの活動範囲を制限することができる。
【0061】
図36に示すように、第1の本体部30Aに含まれる各第1の規制部313は、柱構造であってもよい。第2の本体部332における各第2の規制部3324は対応的に貫通孔(または盲穴)に形成される。別の実施形態において、各第1の規制部313が貫通孔(または盲穴)であり、各第2の規制部3324が柱構造に形成されてもよい。なかでも、柱構造となった第1の規制部313(または第2の規制部3324)は、例えば、円柱状構造、ドーム状構造形成されてもよい。即ち、第2の規制部3324(または第1の規制部313)と互いに係合できれば、第1の規制部313及び第2の規制部3324の数、形状、サイズ、設置位置等は実際のニーズに応じて変更できる。
【0062】
図37及び図38に示すように、第1の収容溝301Aと第2の収容溝3321は実質的に同じ大きさや形状を有する。第1の本体部30A及び第2の本体部332は、2つの第1の規制部313及び2つの第2の規制部3324によって、互いに固定された時、第1の収容溝301Aは、第2の収容溝3321と互いに連通して組合せ収容溝SPをなしており、試料キャリア部材2は、対応的に組合せ収容溝SPに収容される。
【0063】
別の実施形態において、第1の規制部313及び第2の規制部3324の数を変更するか、或いは、第1の規制部313及び第2の規制部3324の形状を、別の第1の規制部313及び第2の規制部3324と異なる形状や設計を持たせることにより、作業員が所定の方向に沿って第1の本体部30Aを第2の本体部332に配置するようにさせることができる。例えば、第1の規制部313の中の1つを円形を呈した貫通孔として、別の第1の規制部313を四角形を呈した貫通孔にして、さらに、2つの第2の規制部3324を対応的に円柱状構造及び四角柱構造にすることにより、作業員が所定の方向に沿って第2の本体部332を第1の本体部30Aに配置することを制限できる。或いは、第1の本体部30Aに3つの第1の規制部313を持たせると共に、その中の2つの第1の規制部313が第1の収容溝301Aの一方端に位置し、残りの1つ第1の規制部313が第1の収容溝301Aの他方端に位置して、かつ、第2の本体部332に対応的に3つの第2の規制部3324が備えられ、そのようにしても、作業員が所望な方向に沿って第1の本体部30Aに第2の本体部332を配置するのを制限できる。
【0064】
図39を参照されたい。図39は、本発明に係るキャリア装置の第15の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す分解模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点では、キャリア装置3に、さらに彎曲構造37が含まれる点である。彎曲構造37は第1の本体部30Aと連接され、彎曲構造37は第2の本体部332と連接され、かつ、第2の本体部332は、彎曲構造37を介して第1の本体部30Aに対して回転することにより、第1の本体部30Aに接近または離間させる方向に移動し得る。前記彎曲構造37は任意の可撓性構造であってもよい。彎曲構造37は任意の方式で第1の本体部30A及び第2の本体部332と連接される。第1の本体部30Aと彎曲構造37との連接箇所、及び第2の本体部332と彎曲構造37との連接箇所については、実際のニーズに応じて変更でき、図面に例示したものに制限されない。
【0065】
なお、前記各実施形態に挙げられたキャリア装置3は、ディスク形状構造を例として挙げられたが、本実施形態に挙げられた第1の本体部30Aに形状は、ディスク形状構造に限らず、第1の本体部30A及び第2の本体部332の形状は、彎曲構造37の配置位置に応じて変更できることが注意されたい。達例えば、第1の本体部30A及び第2の本体部332の形状は実質的に四角形に形成されてもよい。また、実用上では、彎曲構造37は別構造として第1の本体部30A及び第2の本体部332に追加固定される構造であってもよい。また、第1の本体部30A、第2の本体部332及び彎曲構造37は所定の製造工程により一緒に製造されたものであってもよい。
【0066】
特筆に値するのは、別の実施形態において、第1の本体部30Aは第1の補助位置決め部314を、第2の本体部332は、第2の補助位置決め部3325をさらに含んでもよい点である。第1の補助位置決め部314は、第2の補助位置決め部3325と互いに係合され、第2の本体部332が彎曲構造37を介して第1の本体部30Aに向かう方向に屈曲して第1の本体部30Aに配置された時、第2の補助位置決め部3325は、第1の補助位置決め部314と互いに係合するようになり、そのように、第2の本体部332が第1の本体部30Aに対する活動範囲を制限する。そのように、第2の本体部332が第1の本体部30Aに対して活動しないように確報できる。本実施形態の図面において、第1の補助位置決め部314を貫通孔として、第2の補助位置決め部3325を突出構造として挙げられるが、この例に制限されない。即ち、第1の補助位置決め部314及び第2の補助位置決め部3325としては、互いに係合できば、任意の構造であってもよい。
【0067】
図40を参照されたい。図40は、本発明に係るキャリア装置の第16の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す分解模式図である。本実施形態と前記第15の実施形態との最大な相違点では、第1の本体部30Aはさらに第1の枢着部315を含み、第2の本体部332はさらに2つの第2の枢着部3326を含む点である。第1の枢着部315と第2の枢着部3326とは互いに枢着されており、かつ、第2の本体部332が第1の本体部30Aに対して回転自由に設置される。具体的に、第1の本体部30Aの第1の枢着部315は円柱状構造に形成されてもよく、かつ、第1の本体部30Aにおける第1の枢着部315に近接する位置に2つの回避貫通孔316が形成され、各第2の枢着部3326は円弧状構造に構成される。なお、円弧状構造に構成される各第2の枢着部3326は、対応的に円柱状構造に構成される第1の枢着部315と互いに係合される。なかでも、第2の本体部332が第1の本体部30Aに対して回転しながら、円弧状構造に構成された第2の枢着部3326は貫通孔316を回避することにより、円柱状構造をなしている第1の枢着部315に対して回転する。本実施形態において、第2の本体部332に円柱状構造をなしている第2の枢着部3326を2つ有するのを例として説明するが、第2の本体部332が含む第2の枢着部3326の数は2つに限らず、実際のニーズに応じて変更できる。
【0068】
また、本実施形態の図面に挙げられた第1の枢着部315及び第2の枢着部3326の形状、サイズ、数量、並びに第1の本体部30A及び第2の本体部332での設置位置のいずれも、一つの実施形態に過ぎず、実用上では、第1の本体部30Aを第2の本体部332に対して回転させることができる構造のいずれも、本実施形態が挙げられた第1の枢着部315及び第2の枢着部3326が適用し得る範囲に属する。勿論、特別の用途では、第1の枢着部315、第2の枢着部3326は別の部材と共働して、第1の本体部30Aを第2の本体部332に対して回転させてもよい。
【0069】
上記を踏まえて、本発明に係るキャリア装置3は、粘着剤を使用しなくても、作業員が簡単に関連工具を介して、試料キャリア部材2を収容溝に配置させるのみで、試料の前処理を完成できるため、粘着剤で液体試料をキャリアし得る部材を銅グリッドに固定する既存の技術と比べて、本発明に係るキャリア装置3は、操作が簡単かつ迅速で、サンプル前処理歩留りが高い等の利点を有する。従来の技術において、作業員がサンプルの前処理を行う最中、粘着剤が試料キャリア部材2の観測凹溝20に流れ込んでしまう問題が生じ易いため、従来の技術は、本発明に係るキャリア装置3に比べると、サンプル前処理の歩留りは低めである。また、本発明に係るキャリア装置3は、従来技術と比較して、低コストで拡張性が高いという利点もある(例えば、キャリア装置の機能を向上させるために、処理モジュール及び電気接続部材をキャリア装置に配置することができる。)
【0070】
図41を参照されたい。図41は、本発明に係るキャリア装置の第17の実施形態(断面)及び試料キャリア部材を示す分解模式図である。本実施形態と前記実施形態との最大な相違点では、第2の本体部332には、処理モジュール35における電力供給ユニット351及び制御ユニット352が配置されると共に、電気接続部材36の一方端は、対応的に第2の本体部332の第2の開口3322に位置する。図43に示すように、第2の本体部332が第1の本体部30Aに一方側に配置された時、電気接続部材36の一方端は、対応的に試料キャリア部材2に配置される的電気接続部23と互いに接続される。そのように、電力供給ユニット351は試料キャリア部材2内の電子部品に作動必要な電力を給電することができる。本実施形態が挙げられた処理モジュール35及び電気接続部材36は、前記キャリア装置3の第12の実施形態乃至第16の実施形態のいずれかに適用し得る。
【0071】
図42を参照されたい。図42は、本発明に係るキャリア装置を製造する製造方法の1つを示す模式図である。本実施形態に挙げられた製造方法は主に、第1の本体部30A及び第2の本体部332を含むキャリア装置3を製造する方法を説明する。前記製造方法は次のステップを含む。
銅箔基材4の表面を洗浄する表面洗浄ステップ;
図42における一番目の図に示すように、銅箔基材4をドライエッチングすることにより、銅箔基材4の一方側に第1の凹溝40、複数の中央凹溝41、及び第2の凹溝42を形成させるドライエッチングステップであって、なかでも、複数の中央凹溝41は互いに離間して配置され、複数の中央凹溝41が第1の凹溝40と第2の凹溝42との間に位置し、なかでも、第1の凹溝40、各中央凹溝41及び第2の凹溝42が銅箔基材4貫通していないドライエッチングステップ;
銅箔基材4における第1の凹溝40、複数の中央凹溝41及び第2の凹溝42が形成された側に、ニッケル層43を形成させてから、ニッケル層43に金層44を形成させる、ニッケル-金層形成ステップ;
金層44に、複数の中央凹溝41の上方以外に、フォトレジスト層を形成させるフォトレジスト形成ステップ;
露光現像技術を用いて、フォトレジスト層で遮蔽されていない金層44を除去した後、補助金層46を厚めにめっきする露光現像・電気めっきステップ;
金層44及び補助金層46に保護膜を形成する保護膜接合ステップ;
銅箔基板4をエッチング液中に置き、銅箔基板4の金層44が形成されている側とは反対側の面をエッチング液がエッチングし、ニッケル層43の一部が外側に露出するようにする(図42の上から下への2番目の図に示すように)ウェットエッチングステップ;
金層44上の保護膜を除去する、保護膜除去ステップ;
上型5、及び下型6を使用して、銅箔基材4を押圧することにより、銅箔基材4におけるニッケル層43が露出したセクションを、銅箔基材4のニッケル層43が形成されていない一方側からニッケル層43が形成された他方側に屈曲させ、それで、複数の中央凹溝41の両側それぞれに、大きさ及び形状がほぼ同じとなった第1の収容溝301A及び第2の収容溝3321を形成する(例えば、図42の上から下への3番目の図に示すように)、金型成形ステップと、
中央凹溝41に配置されたニッケル層43と金層44と補助金層46のみを残して、中央凹溝41以外のニッケル層43と金層44と補助金層46を除去して、観察口305と第2の開口部3322とを形成する。なお、いて、第1の収容溝301Aは、観察窓305中の1つを介して外部と連通可能であり、第2の収容溝3321は、第2の開口部3322中の1つを介して外部と連通可能である(図42の上から下への4番目の図に示すように)、孔を開けるステップ;
銅箔基板4を、第1の収容溝と第2の収容溝とが互いに対向するように屈曲させ、複数の凹溝と、そこに形成されたニッケル層43、金層44及び補助金層46とを、前記彎曲構造37として機能させる、屈曲ステップ。
【0072】
以上のように、ニッケル層43の配置により、金層44及び補助金層46を銅箔基板4に強固に固定することができる。また、金層44及び補助金層46は、比較的良好な変形性を有しているので、作業員がキャリア装置の製造方法を実行する際に、第1の本体部30Aと第2の本体部332とを互いに接近または離間させることができる。
【0073】
他の実施形態では、上述の製造方法は、保護膜接合ステップおよび保護膜除去ステップを除外することができる。さらに、本実施形態の図42には、銅箔基板4の部分的な断面のみが示されている。実際には、上述した製造方法は、1つの銅箔基板4に複数のキャリアデバイス3を形成することができる。なお、実用的には、上型5および下型6の形状および大きさは、実際の試料キャリア部材2の形状および大きさに応じて調整できることに留意すべきである。本実施形態の図42に示す担体装置の製造方法における要素の大きさ及び形状は、構成の一例に過ぎない。
【0074】
図43乃至図45を一緒に参照されたい。図43は本発明に係るキャリア装置の第1の本体部(または第2の本体部)を製造する方法を示す模式図である。図44は、本発明に係るキャリア装置の第2の本体部(または第1の本体部)を製造する製造方法を示す模式図である。図45は、図43乃至図44の製造方法に従って製造した2つのキャリア装置を示す模式図である。
【0075】
図43に示すように、本発明に係るキャリア装置の第1の本体部(または第2の本体部)を製造する製造方法は次のステップを含む。
銅箔基材4の表面を洗浄する表面洗浄ステップ;
図43における一番目の図に示すように、銅箔基材4をドライエッチングすることにより、銅箔基材4の一方側に第1の凹溝40、中央凹溝41、及び第2の凹溝42を形成させるドライエッチングステップであって、なかでも、中央凹溝41が第1の凹溝40と第2の凹溝42との間に位置し、第1の凹溝40、各中央凹溝41及び第2の凹溝42が銅箔基材4貫通していないドライエッチングステップ;
銅箔基材4における第1の凹溝40、中央凹溝41及び第2の凹溝42が形成された側に、ニッケル層43を形成させてから、ニッケル層43に金層44を形成させる、ニッケル-金層形成ステップ;
金層44に、中央凹溝41に隣接する位置、第1の凹溝40に隣接する位置、第2の凹溝42に隣接する位置を除いて、フォトレジスト層(図示しない)を形成させるフォトレジスト形成ステップ;
露光現像技術により、フォトレジスト層で遮蔽されていない金層44を除去した後、補助金層46をめっきするステップであって、補助金層46が柱状構造である(図43の上から下に向かって2番目の図に示すように)、露光現像・電気めっきステップ;
金層44及び補助金層46に保護膜(図示しない)を形成する保護膜接合ステップ;
銅箔基板4をエッチング液中に置き、銅箔基板4の金層44が形成されている側と反対側の面をエッチング液がエッチングするようにして、ニッケル層43の一部を外側に露出させる。ウェットエッチングステップ;
金層44上の保護膜を除去する、保護膜除去ステップ;
上型5、及び下型6を使用して、銅箔基材4を押圧することにより、銅箔基材4におけるニッケル層43が露出したセクションを、銅箔基材4のニッケル層43が形成されていない一方側からニッケル層43が形成された他方側に屈曲させ、それで、例えば、図43の上から下への3番目の図に示すように、中央凹溝41の両側それぞれに、大きさ及び形状がほぼ同じとなった第1の収容溝301A及び第2の収容溝3321を形成する、金型成形ステップ;
補助金層46と各補助金層46に接続されたニッケル層43とを除いて、他の金層44とニッケル層43を除去して、例えば、図43の上から下への4番目の図に示すように、第1の収容溝301Aのそれぞれが観察窓305を介して外部と連通可能な観察口305を1つ形成する、孔を開けるステップ。
【0076】
図43の上から下への4番目の図に示すように、本発明に係る複数のキャリア装置3の第1の本体部30Aは、上述した製造方法により製造することができる。 他の実施形態では、前記製造方法は、保護膜接合ステップおよび保護膜除去ステップを除外することができる。さらに、上型5および下型6の形状や大きさは、実際の試料キャリア部材2の形状や大きさに応じて調整することができ、本実施形態の図面に限定されるものではない。
【0077】
図44に示すように、本発明に係るキャリア装置の第2の本体部(または第1の本体部)を製造する製造方法は次のステップを含む。
銅箔基材4の表面を洗浄する表面洗浄ステップ;
図44における一番目の図に示すように、銅箔基材4をドライエッチングすることにより、銅箔基材4の一方側に、第1の凹溝40、中央凹溝41、第2の凹溝42、及び4つの予備凹溝48を形成させるドライエッチングステップであって、なかでも、中央凹溝41が第1の凹溝40と第2の凹溝42との間に位置し、2つの予備凹溝48がそれぞれ第1の凹溝40の両側に位置し、残り2つの予備凹溝48が第2の凹溝42の両側に位置し、第1の凹溝40、各中央凹溝41、第2の凹溝42及び各予備凹溝48が銅箔基材4貫通していない、ドライエッチングステップ;
銅箔基材4における第1の凹溝40、中央凹溝41及び第2の凹溝42が形成された側に、ニッケル層43を形成させてから、ニッケル層43に金層44を形成させる、ニッケル-金層形成ステップと、
銅箔基板4をエッチング液中に置き、銅箔基板4の金層44が形成されている側とは反対側の面をエッチング液がエッチングし、ニッケル層43の一部が外側に露出するようにする(図44の上から下への2番目の図に示すように)ウェットエッチングステップ;
上型5、及び下型6を使用して、銅箔基材4を押圧することにより、2つの予備凹溝48の間に位置した銅箔基材4を、銅箔基材4のニッケル層43が形成されていない一方側からニッケル層43が形成された他方側に屈曲させ、それで、2つの第2の収容溝を形成する(例えば、図44の上から下への3番目の図に示すように)、金型成形ステップ;
ニッケル層43および金層44の全体を除去して、例えば、図44の上から下への4番目の図に示されているように、2つの第2の開口3322を形成し、なかでも、2つの第2の収容溝3321の各々は、第2の開口3322の1つを介して外部連通することができる、孔を開けるステップ。
【0078】
図44に示すように、本発明に係る複数のキャリア装置3の第2の本体部332は、上記の製造方法によって製造することができる。他の実施形態では、上記製造方法は、保護膜接合ステップおよび保護膜除去ステップを除外することができる。さらに、上型5および下型6の形状や大きさは、実際の試料キャリア部材2の大きさや形状に応じて調整することができ、本実施形態の図面に限定されるものではない。
【0079】
図45に示すように、上記製造方法により製造された第1の本体部30A及び第2の本体部332は、製品として直接包装して販売することができる。 さらに、上記製造方法により製造された第1の本体部30Aおよび第2の本体部332はそれぞれ、第1の規制部(すなわち、図45に示す補助金層46およびニッケル層43)および第2の制限部3324を対応的に有しており、第1の規制部および第2の制限部3324によって、作業員は、第1の本体部30Aと第2の本体部332とを互いに固定することができる。
【0080】
上述したように、前記実施形態で述べたキャリア装置3は、例えば、精密機械加工や電気メッキ、半導体技術、微小電気機械技術などを用いて、実際に製造することができるが、これに限定されるものではない。さらに、キャリア装置3の本体部30の材質は、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、金、白金、錫、セラミック、プラスチック、またはシリコンであってもよいが、これに限定されるものではない。また、制限素子32の材質は、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、金、白金、錫、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、ポリマー、ゴム、アクリル等とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0081】
先の実施形態で述べたキャリア装置3は、別個に販売することができ、先の実施形態で述べたキャリア装置3は、試料キャリア部材2と一緒に販売してキャリアキットを形成することもできることに留意すべきである。換言すれば、本発明のキャリアキットは、試料キャリア部材2とキャリア装置3とを含む。
【0082】
以上に開示された内容は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。そのため、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0083】
1 電子顕微鏡デバイス
10 デバイス本体
101 電子ビーム出射装置
102 観測装置
103 処理装置
104 入力装置
105 表示装置
11 試料ホルダー
111 把持部
112 棒状体
113 搬送終端部
1131 凹溝
1132 貫通孔
114 規制部材
1141 可動部
1142 押し当て構造
2 試料キャリア部材
20 観測凹溝
21 収容チャネル
22 天面
23 電気接続部
3 キャリア装置
30 本体部
30A 第1の本体部
301 収容溝
301A 第1の収容溝
302 収容口
303 シート状構造
3031 天面
3032 底面
304 支持構造
304A 補助収容構造
305 観察窓
306 貫通孔
307 貫通孔
308 貫通孔
309 止め構造
310 第1の係合構造
3101 係合溝
311 固定穴
312 補助位置決め構造
313 第1の規制部
314 第1の補助位置決め部
315 第1の枢着部
316 回避貫通孔
32 制限素子
321 固定ベース
322 可撓性構造
323 枢着部
324 当接部
325 摺動部
326 当接部
327 第2の係合構造
328 当接部
329 挿入部
330 当接部
331 押し当て部
332 第2の本体部
3321 第2の収容溝
3322 第2の開口
3323 補助位置決め構造
3324 第2の規制部
3325 第2の補助位置決め部
3326 第2の枢着部
34 軌道構造
341 軌道路
35 処理モジュール
351 電力供給ユニット
352 制御ユニット
36 電気接続部材
37 彎曲構造
4 銅箔基材
40 第1の凹溝
41 中間凹溝
42 第2の凹溝
43 ニッケル層
44 金層
46 補助金層
48 予備凹溝
C 中心軸
CP 中心軸
D 長さ
L 距離
W 幅
SP 組合せ収容溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図40
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