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特開2022-162341ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置およびその方法
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  • 特開-ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置およびその方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162341
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
G01N29/265
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067128
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000134925
【氏名又は名称】株式会社ニチゾウテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 久人
(72)【発明者】
【氏名】芝 雄大
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA07
2G047AB01
2G047BA03
2G047BC18
2G047CA02
2G047EA20
2G047GA04
2G047GA05
2G047GA21
(57)【要約】
【課題】配管に付着したスケールの除去等の前処理工程を必要としない、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置を提供する。
【解決手段】ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置は、ボイラ加熱炉配管の上端に取付けられる上部ユニット20と、ボイラ加熱炉配管の下端に取付けられる下部ユニット40と、上部ユニット20と下部ユニット40とに接続され、配管11の肉厚を測定する探触子ユニット30とを含む測定治具10と、測定治具10を、上部ユニット20と下部ユニット40との間で移動させる移動機構と、を含み、探触子ユニット30は、測定する配管11に着脱自在に当接するEMAT35を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ加熱炉配管の上端に取付けられる上部ユニットと、ボイラ加熱炉配管の下端に取付けられる下部ユニットと、上部ユニットと下部ユニットとに接続され、配管の肉厚を測定する探触子ユニットとを含む測定治具と、
前記測定治具を、上部ユニットと下部ユニットとの間で移動させる移動機構と、を含み、
前記探触子ユニットは、測定する前記配管に着脱自在に当接するEMATを有する、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置。
【請求項2】
さらに、前記EMATの後方に配置されたカメラを含む、請求項1に記載のボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置。
【請求項3】
前記EMATは磁石を含み、それによって前記EMATは前記配管に磁力で固定され、配管に固定された前記EMATを前記配管から離すための磁石脱着機構をさらに含む、請求項1または2に記載のボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置。
【請求項4】
前記複数の配管は、横方向に間隔を空けて配置され、
前記上部ユニットは、横方向の配管の間隔に合わせる配管ガイドを含む、請求項1~3のいずれかに記載のボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置。
【請求項5】
前記磁石脱着機構は、前記配管の外周に沿う面と、配管の外周に沿う面を所定の中心を軸として回転させる回転機構と、前記回転機構を配管から離す方向に持ち上げる持ち上げ機構とを含む、請求項3に記載の、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置。
【請求項6】
前記回転機構が、前記配管の外周に沿う面を所定の中心を軸として回転させたときに、磁石脱着機構の全体長さが変化しないように、調整するバネを含む、請求項5に記載の、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置。
【請求項7】
ボイラ加熱炉配管の上端に取付けられる上部ユニットと、ボイラ加熱炉配管の下端に取付けられる下部ユニットと、上部ユニットと下部ユニットとに接続され、配管の肉厚を測定する探触子ユニットとを含む測定治具を準備するステップを含み、
測定治具を、上部ユニットと下部ユニットとの間で移動させ、
探触子ユニットはEMATを有し、EMATで測定する配管に着脱自在に探触子ユニットを当接させ、複数の配管が相互に隣接して配置されたボイラ加熱炉配管の肉厚を測定する、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置およびその方法に関し、特に、EMATを用いた超音波探触子を用いたボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のボイラ等の加熱炉配管の肉厚を測定する方法を示す図である。図6を参照して、従来は、点検員100が、所定の測定具を用いて、加熱炉配管101の上から深層部の配管の肉厚の測定を行っていた。このような測定において、管ピッチは、40mm程度であり、深層部は2.5m程度下方向にあった。
【0003】
従来、EMAT(Electromagnetic Acoustic Transducer)を用いた超音波探触子を用いてボイラ管を測定することも行われていた。このようなEMATを用いたボイラ管の腐食疲労亀裂を検出する探傷方法が、例えば特許第272729号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第272729号公報(要約等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、図6に示したように、加熱炉配管101は、その配置ピッチが狭く、深層部になると、配管に付着したスケールを除去する前処理工程が必要な一般の超音波探触子を用いた測定では、点検員100が直接肉厚測定をすることができないという問題があった。また、特許文献1のようなEMATを用いた場合において、加熱炉配管101の肉厚を測定する具体的な方法についての記載はない。これは、当該箇所のような深層部に、EMATをスムーズに移動させ、肉厚測定を行う配管に自在にEMATを着脱させることが難しく、容易に肉厚測定を行うことができなかったためである。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、配管に付着したスケールの除去等の前処理工程を必要としない、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る、複数の配管が相互に隣接して配置されたボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置は、ボイラ加熱炉配管の上端に取付けられる上部ユニットと、ボイラ加熱炉配管の下端に取付けられる下部ユニットと、上部ユニットと下部ユニットとに接続され、配管の肉厚を測定する探触子ユニットとを含む測定治具と、測定治具を、上部ユニットと下部ユニットとの間で移動させる移動機構と、を含み、探触子ユニットは、測定する配管に着脱自在に当接するEMATを有する。
【0008】
好ましくは、EMATの後方に配置されたカメラを含む。
【0009】
さらに好ましくは、EMATは磁石を含み、それによってEMATは配管に磁力で固定され、配管に固定されたEMATを配管から離すための磁石脱着機構をさらに含む。
【0010】
複数の配管は、横方向に間隔を空けて配置され、上部ユニットは、横方向の配管の間隔に合わせる配管ガイドを含む。
【0011】
磁石脱着機構は、配管の外周に沿う面と、配管の外周に沿う面を所定の中心を軸として回転させる回転機構と、回転機構を配管から離す方向に持ち上げる持ち上げ機構とを含む。
【0012】
回転機構が、配管の外周に沿う面を所定の中心を軸として回転させたときに、磁石脱着機構の全体長さが変化しないように、調整するバネを含む。
【0013】
この発明の他の局面においては、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定方法は、ボイラ加熱炉配管の上端に取付けられる上部ユニットと、ボイラ加熱炉配管の下端に取付けられる下部ユニットと、上部ユニットと下部ユニットとに接続され、配管の肉厚を測定する探触子ユニットとを含む測定治具を準備するステップを含み、測定治具を、上部ユニットと下部ユニットとの間で移動させ、探触子ユニットはEMATを有し、EMATで測定する配管に着脱自在に探触子ユニットを当接させ、複数の配管が相互に隣接して配置されたボイラ加熱炉配管の肉厚を測定する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置は、測定治具を、上部ユニットと下部ユニットとの間で移動させる移動機構と、を含み、探触子ユニットは、測定する配管に着脱自在に当接するEMATを有する。
【0015】
探触子ユニットに設けられたEMATは、ボイラ加熱炉配管の肉厚を非接触で測定し、EMATを配管の外壁に着脱自在に当接させる。
【0016】
その結果、配管に付着したスケールの除去等の前処理工程が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の一実施の形態に係るEMATによる測定結果を示す図である。
図2】この発明の一実施の形態に係る測定治具の全体構成を示す図である。
図3】探触子ユニットを示す図である。
図4】手動用の治具を示す図である。
図5】磁石着脱機構を示す図である。
図6】従来のボイラ等の加熱炉配管の肉厚を測定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、この実施の形態においては、EMATを使用するため、EMATについて説明する。
【0019】
EMATは、磁石とコイルの電磁気的作用により超音波を発生させる。電磁気的作用による発生原理のため探触子を直接試験体に接触させる必要がなく、非接触での測定や探傷を行うことができる。
【0020】
そのため、非接触での測定が可能であり、かつ磁化方法とコイルの組み合わせによって、縦波や横波、表面波など種々の超音波モードの送受信が可能である。
【0021】
EMATによる測定結果を図1に示す。図1において、横軸は時間であり、縦軸が振幅である。図1(A)は健全箇所を示し、図1(B)は減肉箇所を示す。
【0022】
図1(A)において、EMATによる測定値は5.0mmであった。これに対して表面にスケール(燃焼灰等が固着したもの)が付着していてもそれを除去して、一般の探触子で測定した結果は、5.1mmであった。
【0023】
また、図1(B)において、EMATによる測定値は2.4mmであった。これに対して表面にスケール(燃焼灰等が固着したもの)が付着していてもそれを除去して、一般の探触子で測定した結果は、2.3mmであった。
【0024】
したがって、健全箇所、減肉箇所ともに、反射エコーの情報から測定値が得られた。また、当該箇所をスケール除去後に一般探触子で測定した結果と比較したところ、同等(±0.1mm)の値が得られていることを確認した。
【0025】
したがって、EMATを使用すれば、配管の減肉箇所を測定できることが分かった。
【0026】
次に、EMATを用いた測定治具について説明する。EMATを用いた測定冶具は、配置ピッチの狭い配管間に挿入する必要があるため、次のような課題がある。
【0027】
まず、測定冶具の寸法に制限がある。
【0028】
さらに、EMAT(永久磁石)を狭隘部(パイプの隙間)、深層部へアクセスする必要がある。
【0029】
安定した状態でパイプの隙間を移動させる必要がある(周りのパイプにEMATがつかないようにする必要がある)。
【0030】
パイプの円周方向に複数点測定が可能なものにする(EMATをパイプから容易に取り外しできる)必要がある。
【0031】
そこで、次のような測定冶具を開発した。
【0032】
図2は、測定冶具10を示す図である。図2(A)は、測定治具10を配管11に取付けて測定する場合の全体構成を示す斜視図であり、図2(C)は、図2(A)において、矢印IIC-IICで示す部分の矢視図であり、図2(B)は、図2(A)において、矩形の点線で囲んだ部分の矢視図で、探触子ユニット30を示す図であり、図2(D)は、図2(A)において、矢印IID-IIDで示す部分の矢視図である。
【0033】
図2(A)~図2(D)を参照して、測定治具10は、EMATを有する測定子となる探触子ユニット30と、探触子ユニット30を移動する移動機構となる、上部ユニット20、および下部ユニット40とで構成される。上部ユニット20と下部ユニット40とは主に探触子ユニット30の昇降を行う機構であり、図2(E)は、探触子ユニット30を制御するコントローラ30aを示す図である。
【0034】
測定治具10は、上部ユニット20を最上部の配管の上に置き、下部ユニット40を最下部の配管にラッシングベルト42のようなクランプ部品で固定することによって配管に取付ける。探触子ユニット30はZ軸チェーン21で配管の隙間に沿って昇降させる。
【0035】
上部ユニット20は、探触子ユニット30を昇降させるZ軸チェーン21と、Z軸チェーン21と係合するチェーンスプロケット22と、Z軸チェーン21を巻き上げるZ軸チェーン巻き上げハンドル23と、Z軸クラッチ24と、管軸方向調整ハンドル25と、レーザポインタ26と、配管ガイド27と、配管ガイド27の間隔を広げる配管ガイドハンドル28とを含む。
【0036】
配管ガイド27は、上部ユニット20を配管に沿って固定させる装置であり、取付ける配管に沿うように、ガイドハンドル28を回して開閉することができる。すなわち、配管ガイドハンドル28は、測定治具10を配管と配管との中心に位置決めする機構である。
【0037】
探触子ホルダユニット29は、Z軸チェーン21と接続して昇降する。
【0038】
下部ユニット40は、配管ガイド41と、ラッシングベルト42と、配管ガイドハンドル43と、ラッシングベルト42で配管に固定する取手ハンドル44と、トルクワイヤ45と、レーザポインタターゲット46とを含む。
【0039】
探触子ユニット30は小型EMAT35を有し、主に探触子の動作を行う機構である。探触子は、手元のコントローラでサーボモータを制御し動作させる。測定中の探触子の状況は探触子後方に取り付けたファイバースコープカメラの画像により確認する。
【0040】
なお、図2(E)に示すように、コントローラ30aは、小型EMAT35の後方に設置されたカメラの画像を表示するディスプレイ30bと、EMATを操作する操作部30cとを含む。また、コントローラ30aは、後に説明する、θモータを制御する。
【0041】
次に、測定治具10を用いた配管の測定方法について説明する。図2を参照して、ボイラ加熱炉配管11の最上部の配管に上部ユニット20を配置し、最下部の配管に下部ユニット40をラッシングベルトで固定する。上部ユニット20と、下部ユニット40との間にZ軸チェーン21を介して接続された探触子ユニット30を昇降させ、探触子ユニット30に取り付けたモータにより小型EMAT35を上下・左右・回転方向に操作し測定を行う。
【0042】
また、ボイラパネルの端部の測定不可領域の対策として、探触子ユニット30を取付ける棒状の冶具も製作したが、これについては、後に説明する。
【0043】
次に、探触子ユニット30について説明する。図3は探触子ユニット30を示す図であり、図3(A)は、探触子ユニット30の斜視図であり、図3(B)は、探触子ユニット30の側面図(図3(A)において、矢印IIIB-IIIBで示す部分の矢視図)であり、図3(C)は、図3(A)において、矢印IIIC-IIICで示す部分の矢視図であり、探触子ユニット30で配管11の肉厚を測定する状態を示す図であり、図3(D)は、図3(C)において、矢印IIID-IIIDで示す部分の矢視図であり、図3(B)に対応する図である。
【0044】
図3(A)~図3(D)を参照して、探触子ユニット30は、側面から見たとき、矩形状を有し、その左上端部に小さな矩形状部分31を有する(図3(B)参照)。この矩形状部分31は、カメラのケーブルを保持するためのブラケットとして利用される。また、それに隣接してコの字状の部分32を有し、その上に、第1のモータ(θ1モータ)33と第2のモータ(θ2モータ)34と、EMAT35と、ファイバースコープカメラ48とが設けられている。
【0045】
第1のモータ33と第2のモータ34とは、それぞれが、配管11の延びる方向に沿う回転軸を有し、それによって、それぞれのモータ33,34を駆動することによって、配管11の外周にEMAT35の磁石37で接触するように構成されている(図3(C)参照)。第1のモータ33は、EMAT35を、測定する配管11に近づけるようにEMATを横方向に移動するためのモータであり、第2のモータ34は、制御用のモータであり、配管11からのEMAT35の着脱用のモータである。ここでは、EMAT35が配管11aの外周に接している。
【0046】
次に、探触子ユニット30を取付ける棒状の冶具について説明する。図4は、測定治具10では測定できない、ボイラパネルの端部の測定不可領域を測定する手動用の治具50を示す図である。図4(A)は全体図であり、図4(B)は、図4(A)において、IVB-IVBで示す部分の矢視図である。
【0047】
図4(A),図4(B)を参照して、手動用の治具50は、探触子ユニット30の上端部に固定される、探触子ユニット固定具51と、探触子ユニット固定具51を固定するクランプケースマウント55と、クランプケースマウント55を操作棒53に固定するクランプケース54とを含む。
【0048】
このようにして、操作棒53に固定された探触子ユニット30を用いて、ボイラパネルの端部を測定する。
【0049】
次に、探触子ユニット30に設けられた、EMAT35の磁石脱着機構61について図5を参照して説明する。図5を参照して、磁石脱着機構61は、縦方向に長い棒状の部材であって、本体62と、本体62の上部に設けられたブッシュ63を有するシャフト64と、ブッシュ63を挟んで、その上下のシャフト64の外周に設けられたばね39a,39bと、本体62の下部に設けられたEMAT35と、EMAT35を、回転軸38を中心として、回転させる第2のモータ34(回転機構として作動する)とを含む。
【0050】
図5(A)は、MAT35が、配管11の外周に磁力で接触している場合を示し、図5(B)は、モータ34を回転することによって、EMAT35が配管11から離れた状態を示し、図5(C)は、EMAT35を離した状態で、配管11から磁石脱着機構61を持ち上げた状態を示す図である。
【0051】
次に、磁石脱着機構61の動作について説明する。まず、ばね機構の先端にあるEMAT35を対象物(配管11)に吸着させる。EMAT35はモータ回転軸38上近傍に保持することが望ましい。この時ばね39a、および39bは均一な力で中立点を保持する。
【0052】
次いで、磁石を、回転軸38を中心に回転させると、EMAT35の角が吸着面を迫り上げ、機構全体が上昇する力を受ける。この時ばね39aが撓み、上昇する力を吸収する持ち上げ機構として作動する。
【0053】
次いで、図5(B)~(C)に示すように、EMAT35の吸着面を対象物から遠ざけることで吸着力が弱まり、EMAT35を容易に引きはがすことが可能になる。ばね39aにかかる負荷はなくなるため、ばね機構は元の状態に戻る。
【0054】
なお、上記実施の形態では、配管の肉厚を測定する探触子ユニットが、ボイラ加熱炉配管の上端に取付けられる上部ユニットと、ボイラ加熱炉配管の下端に取付けられる下部ユニットとに接続された構成を有する場合について説明したが、これに限らず、下部ユニットはなくてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、手動用の治具を縦向きで使用して測定する場合について説明したが、これに限らず、手動用の治具は横向きで使用しても測定が可能である。
【0056】
図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明によれば、配管に付着したスケールの除去等の前処理工程を必要としない、ボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置を提供できるため、配管に付着したスケールの除去等の前処理工程を必要としないボイラ加熱炉配管の肉厚測定装置として有利に利用される。
【符号の説明】
【0058】
10 測定治具、11 配管、20 上部ユニット、21 Z軸チェーン、22 チェーンスプロケット、23 Z軸チェーン巻き上げハンドル、24 Z軸クラッチ、25 管軸方向調整ハンドル、26 レーザポインタ、27 配管ガイド、30 探触子ユニット、31 矩形状部分、32 コの字状の部分、33 第1のモータ、34 第2のモータ、35 EMAT、36 ディスプレイ、38 回転軸、39 ばね、40 下部ユニット、41 配管ガイド、42 ラッシングベルト、44 取手ハンドル、45 トルクワイヤ、46 レーザポインタターゲット、47 モータ、48 ファイバースコープカメラ、50 手動用の治具、51 固定具、52 本体、53 ブッシュ、54 シャフト、61 磁石脱着機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6