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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016236
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】給油所システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/06 20100101AFI20220114BHJP
【FI】
B67D7/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020163057
(22)【出願日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2020119089
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 和則
(72)【発明者】
【氏名】布施 高之
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA02
3E083AB15
3E083AB20
3E083AD01
(57)【要約】
【課題】顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することができると共に、情報漏洩対策が施された給油所システムを提供する。
【解決手段】給油設定を行うデータ入出力機2a及び給油制御装置2bを有する給油装置2と、給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末4と、給油装置のデータ入出力機から給油要求信号を受けて給油装置を給油可能状態にする給油許可装置(SSC)5と、給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末6と、給油許可装置に設けられ、可搬式給油許可端末からの給油許可信号を受信する通信手段7とを備え、通信手段は、POS端末とは通信不可である給油所システム1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、
該給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末と、
前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、
該給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末と、
前記給油許可装置に設けられ、前記可搬式給油許可端末からの給油許可信号を受信する通信手段とを備え、該通信手段は、前記POS端末とは通信不可であることを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、
該給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末と、
前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、
該給油許可装置と前記POS端末に接続され、該給油許可装置と前記POS端末とで前記販売データを共有するための機器制御装置と、
該機器制御装置を介して前記給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末とを備え、
前記機器制御装置と前記給油許可装置及び前記POS端末との通信方式と、前記機器制御装置と前記可搬式給油許可端末との通信方式が異なることを特徴とする給油所システム。
【請求項3】
給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、
該給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にすると共に、前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末機能を有する給油許可装置と、
該給油許可装置に接続される機器制御装置と、
該機器制御装置を介して前記給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末とを備え、
前記機器制御装置と前記給油許可装置との通信方式と、前記機器制御装置と前記可搬式給油許可端末との通信方式が異なることを特徴とする給油所システム。
【請求項4】
給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、
該給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うと共に、前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて該給油装置を給油可能状態にする給油許可装置機能を有するPOS端末と、
前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にすると共に、前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末機能を有する給油許可装置と、
該給油許可装置と前記POS端末に接続される機器制御装置と、
該機器制御装置を介して前記給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末とを備え、
前記機器制御装置と前記給油許可装置及び前記POS端末との通信方式と、前記機器制御装置と前記可搬式給油許可端末との通信方式が異なることを特徴とする給油所システム。
【請求項5】
前記可搬式給油許可端末は、給油設定が行われた前記給油装置を含む所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、該給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項6】
前記給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に電波を発信する電波発信手段を備え、前記可搬式給油許可端末は、該電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能となることを特徴とする請求項5に記載の給油所システム。
【請求項7】
前記電波発信手段は、前記給油装置に設けられたビーコンであって、前記給油装置を含む所定範囲内の領域は、該ビーコンの電波照射範囲であることを特徴とする請求項6に記載の給油所システム。
【請求項8】
前記可搬式給油許可端末に備えられたGPS機能により、該可搬式給油許可端末が前記給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に位置するか否かを判断し、該可搬式給油許可端末は該所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、前記給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする請求項5に記載の給油所システム。
【請求項9】
前記給油装置は、車両の進入を検知した際に車両検知信号を前記可搬式給油許可端末に出力する車両検知器を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項10】
前記給油装置は、釦が押下された際に呼出し信号を前記可搬式給油許可端末に出力するインターホンを備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項11】
前記可搬式給油許可端末において、前記給油要求信号、前記車両進入信号及び前記呼出し信号の入力は異なる音声又は振動で報知されることを特徴とする請求項10に記載の給油所システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所システムに関し、特に、セルフサービス方式の給油所において顧客の安全を確保すると共に、情報の漏洩を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人件費削減等の目的で給油作業、窓拭き等のサービス作業、及び給油料金の精算作業を顧客自身が行うセルフサービス方式の給油所が急増している。このようなセルフサービス方式の給油所では、事務所内に集中制御装置(セルフサービスコンソール:SSC)が設置されて給油所作業員が待機し、顧客の操作により給油装置から給油要求があると、当該給油エリアの安全を目視確認した後にSSCを操作して給油を許可する。
【0003】
一方、セルフサービス方式の給油所において、セルフサービスによる給油に不慣れな顧客に対して説明を行う必要が生じても、給油所作業員が少ない場合には、上記給油許可作業のためにSSCの前から離れることができないことも多く、円滑にサービスを提供できないおそれがある。
【0004】
そこで、本出願人は、特許文献1において、給油装置と、該給油装置を制御するセルフコンソール及びPOS端末を有するセルフ給油管理システムにおいて、携帯端末による無線で給油許可信号を出力することで給油許可を行う給油管理システムを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-100289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記発明も有効であるが、給油所では販売時点情報管理をするPOS端末が使用され、給油装置から送られてくる給油データに基づく給油料金及び油外商品の決済処理、商品の在庫管理、販売管理を行っているので、これらの情報が無線を介して漏洩しないようにする必要がある。
【0007】
また、近年支払方法が多様化し、現金決済に加えクレジットカードによる決済が増え、クレジットカード情報の漏洩に対する十分なセキュリティ対策(カード情報に対するセキュリティ規格としてPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)という規格)を施すことが求められている。
【0008】
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することができると共に、情報漏洩対策が施された給油所システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は給油所システムであって、給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、該給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末と、前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、該給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末と、前記給油許可装置に設けられ、前記可搬式給油許可端末からの給油許可信号を受信する通信手段とを備え、該通信手段は、前記POS端末とは通信不可であることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、可搬式給油許可端末を携帯する給油所作業員が給油許可信号を出力することで、顧客の安全確認を遵守することができる。また、給油許可装置に可搬式給油許可端末と通信するための特別な通信手段を設け、この通信手段がPOS端末と通信できないようにしたため、POS端末の販売データが外部に漏洩することがない。
【0011】
また、本発明は給油所システムであって、給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、該給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末と、前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、該給油許可装置と前記POS端末に接続され、該給油許可装置と前記POS端末とで前記販売データを共有するための機器制御装置と、該機器制御装置を介して前記給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末とを備え、前記機器制御装置と前記給油許可装置及び前記POS端末との通信方式と、前記機器制御装置と前記可搬式給油許可端末との通信方式が異なることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、上記発明と同様に、顧客の安全確認を遵守することができる。また、機器制御装置において通信方式を適切に設定し、POS端末及び給油許可装置と可搬式給油許可端末とは通信できないようにしたため、POS端末及び給油許可装置の販売データが可搬式給油許可端末を介して外部に漏洩することがない。さらに、給油許可装置もPOS端末の販売データを管理するため、POS端末が故障しても給油作業に支障を来すことがない。
【0013】
さらに、本発明は給油所システムであって、給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、該給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にすると共に、前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末機能を有する給油許可装置と、該給油許可装置に接続される機器制御装置と、該機器制御装置を介して前記給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末とを備え、前記機器制御装置と前記給油許可装置との通信方式と、前記機器制御装置と前記可搬式給油許可端末との通信方式が異なることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、上記発明と同様に、顧客の安全確認を遵守することができる。また、機器制御装置において通信方式を適切に設定し、POS端末機能を有する給油許可装置と可搬式給油許可端末とは通信できないようにしたため、給油許可装置の販売データが可搬式給油許可端末を介して外部に漏洩することがない。さらに、給油許可装置にPOS端末機能を設けたため、装置構成を簡略化することができる。
【0015】
また、本発明は給油所システムであって、給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、該給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うと共に、前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて該給油装置を給油可能状態にする給油許可装置機能を有するPOS端末と、前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にすると共に、前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末機能を有する給油許可装置と、該給油許可装置と前記POS端末に接続される機器制御装置と、該機器制御装置を介して前記給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末とを備え、前記機器制御装置と前記給油許可装置及び前記POS端末との通信方式と、前記機器制御装置と前記可搬式給油許可端末との通信方式が異なることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、上記発明と同様に、顧客の安全確認を遵守することができる。また、機器制御装置において通信方式を適切に設定し、POS端末機能を有する給油許可装置及び給油許可装置機能を有するPOS端末と可搬式給油許可端末とは通信できないようにしたため、POS端末及び給油許可装置の販売データが可搬式給油許可端末を介して外部に漏洩することがない。さらに、POS端末又は給油許可装置のいずれか一方が故障した場合でも、給油所システムの運転を継続して行うことができる。
【0017】
上記給油所システムにおいて、前記可搬式給油許可端末は、給油設定が行われた前記給油装置を含む所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、該給油装置に給油許可信号を出力可能とすることができる。可搬式給油許可端末における給油許可信号の出力条件を、給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に位置する場合にのみとすることで、可搬式給油許可端末を携帯する給油所作業員が給油装置の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。
【0018】
上記給油所システムは、前記給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に電波を発信する電波発信手段を備え、前記可搬式給油許可端末は、該電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能とすることができる。また、前記電波発信手段を前記給油装置に設けられたビーコンとし、前記給油装置を含む所定範囲内の領域を該ビーコンの電波照射範囲とすることができる。これにより、顧客の安全を確実に確認することができる。
【0019】
前記可搬式給油許可端末に備えられたGPS機能により、該可搬式給油許可端末が前記給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に位置するか否かを判断し、該可搬式給油許可端末は該所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、前記給油装置に給油許可信号を出力可能とすることで、顧客の安全を確実に確認することができる。
【0020】
前記給油装置は、車両の進入を検知した際に車両検知信号を前記可搬式給油許可端末に出力する車両検知器を備えることができる。これにより、給油所作業員に顧客の来店を迅速に報知することができ、業務効率向上に繋がる。
【0021】
前記給油装置は、釦が押下された際に呼出し信号を前記可搬式給油許可端末に出力するインターホンを備えることができる。これにより、給油装置を利用する顧客が給油所作用員を呼び出し、給油所作業員が直接対応することができるため、機器操作に不慣れな顧客には心強い。
【0022】
上記給油所システムにおいて、前記可搬式給油許可端末は、前記給油要求信号、前記車両進入信号及び前記呼出し信号の入力を異なる音声又は振動で報知するように構成することができる。これにより、給油所作業員は、作業中でも報知内容を容易に判別することができ、仕事の優先順位を迅速に把握することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することができ、情報漏洩対策等が施された給油所システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る給油所システムの第1の実施形態について説明するための概略図である。
図2図1に示す給油装置のビーコンの通信範囲を示す概略図である。
図3図1に示す給油所システムの構成を示すブロック図である。
図4図1図3に示す給油所システムの顧客来店時の動作を示すフローチャートである。
図5図1図3に示す給油所システムの給油時の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る給油所システムの第2の実施形態について説明するための概略図である。
図7図6に示す給油所システムの構成を示すブロック図である。
図8図6及び図7に示す給油所システムの給油時の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明に係る給油所システムの第3の実施形態について説明するための概略図である。
図10図9に示す給油所システムの給油時の動作を示すフローチャートである。
図11】本発明に係る給油所システムの第4の実施形態について説明するための概略図である。
図12図11に示す給油所システムの給油時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1及び図2は、本発明に係る給油所システムの第1の実施形態を示し、この給油所システム1は、複数の給油装置2(2A、2B)と、灯油給油装置3と、事務所10内に配置されるPOS端末(以下「POS」という。)4及びSSC(セルフサービスコンソール、給油許可装置)5と、給油装置2及び灯油給油装置3の各々の所定の通信範囲B1~B3内に電波を発信するビーコン(不図示)と、給油所作業員が携帯する可搬式給油許可端末6と、SSC5に設けられ、可搬式給油許可端末6と通信する通信手段7とで構成される。尚、図2に示すように、各給油装置2の表裏と、灯油給油装置3の表側には、給油エリアA1~A6が設けられる。また、同図においてビーコンの通信範囲を示すB1~B3は、各ビーコンのIDでもある。尚、ビーコン以外の電波発信手段を用いることもできる。
【0027】
給油装置2は、POS4やSSC5に給油設定データを出力するデータ入出力機2aと、給油許可信号が入力されることで給油装置2を給油可能な状態に制御する給油制御装置2bと、来店する顧客の車両を検知する車両検知器2cと、顧客が給油所作業員に機器操作等を聞くためのインターホン2dと、その他、表示器や、通常の給油装置に設けられる給油系統等を備える。
【0028】
POS4は、給油毎の売上げ管理や、日報及び月報の管理、給油許可管理等を行うものであって、既存の店内に設置されるPOSでも、クラウドに情報を集約するものでもどちらでもよい。
【0029】
SSC5は、可搬式給油許可端末6から給油許可信号を受けた際に、給油装置2の給油制御装置2bに給油許可信号を出力するために設けられる。
【0030】
具体的には、SSC5は、図3に示すように、記憶手段5aと、第1データ制御手段5bと、モニタ5cと、表示駆動手段5dと、表示制御手段5eと、給油許可手段5fと、第2データ制御手段5gと、インターホン2dからの呼出し信号によって呼び出されるスピーカーホン5hと、第1~第5データ通信手段5i~5mとを備える。
【0031】
上記構成を有するSSC5は、給油装置2から入力される給油設定データと給油要求信号を記憶手段5aに記憶すると共に、モニタ5cに表示し、給油要求信号とインターホン2dや車両検知器2cからの検知信号を通信手段7である第4データ通信手段5lを介して可搬式給油許可端末6に出力する。
【0032】
ここで、第4データ通信手段5lは、例えば、Wi-Fi(登録商標)のアクセスポイントであって、可搬式給油許可端末6専用の通信手段であり、POS端末4専用の通信手段である第2データ通信手段5jは、SS業界標準のプロトコルであり、両通信手段5j、5lはイーサネット(登録商標)で接続されていて通信方式が異なるため、POS端末4のクレジットカード情報が可搬式給油許可端末6等を介して外部に漏洩することがない。
【0033】
可搬式給油許可端末6は、スマートホンや、スマートウォッチ等のウェアラブル端末であって、給油設定がされた給油装置2から給油要求信号が入力された際に、例えば、給油設定がされた給油装置2の近傍のビーコンの通信範囲B1~B2内に限り給油許可信号を出力可能に構成される。これにより、給油所作業員が給油を行う顧客の安全確認を遵守することができる。
【0034】
また、可搬式給油許可端末6において、SSC5から入力される給油要求信号、車両進入信号及び呼出し信号の入力を異なる音声又は振動で報知すれば、給油所作業員が可搬式給油許可端末6の画面を見ずに報知内容を容易に判別することができ、仕事の優先順位を迅速に把握することができて便利である。
【0035】
次に、上記構成を有する給油所システム1の動作について、図1図5を参照しながら説明する。尚、図4及び図5のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0036】
図4に示すように、給油装置2のステップS1において、車両検知器2cが顧客の車両を検知すると(ステップS1;Yes)、給油装置2はSSC5に対して来店信号を出力する(ステップS2)。SSC5のステップS11において、給油装置2から来店信号が入力されると(ステップS11;Yes)、SSC5は可搬式給油許可端末6に対して来店信号を出力する(ステップS12)。可搬式給油許可端末6のステップS21において、SSC5から来店信号が入力されると(ステップS21;Yes)、可搬式給油許可端末6はその旨を給油所作業員に報知する(ステップ22)。
【0037】
図5に示すように、データ入出力機2aのステップS31において、顧客による給油設定が終了すると(ステップS31;Yes)、POS4及びSSC5に給油設定データを出力し(ステップS32)、データ入出力機2aの動作を終了する。
【0038】
給油装置2のステップS41において、顧客がノズル掛けから給油ノズルを外してノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS41;Yes)、給油要求信号をPOS4に出力する(ステップS42)。
【0039】
ステップS51において、データ入出力機2aから給油設定データが入力され(ステップS51;Yes)、ステップS52において、給油装置2から給油要求信号が入力されると(ステップS52;Yes)、POS4は給油要求表示信号をSSC5に出力する(ステップS53)。
【0040】
ステップS61において、データ入出力機2aから給油設定データが入力され(ステップS61;Yes)、ステップS62において、POS4から給油要求表示信号が入力されると(ステップS62;Yes)、SSC5は可搬式給油許可端末6に給油要求表示信号を出力する(ステップS63)。
【0041】
ステップS71において、SSC5から給油要求表示信号が入力された可搬式給油許可端末6は(ステップS71;Yes)、画面に給油要求があった旨を表示する(ステップS72)。可搬式給油許可端末6のステップS73において、給油所作業員が対応するビーコンの通信範囲内において、対応する給油エリアの顧客の安全を確認して可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下すると(ステップS73;Yes)、可搬式給油許可端末6は給油許可信号をSSC5に出力する(ステップS74)。
【0042】
ステップ64において、可搬式給油許可端末6から給油許可信号が入力されたSSC5は(ステップS64;Yes)、給油設定データ及び給油許可信号を給油装置2に出力し、動作を終了する。
【0043】
ステップS43において、給油設定データ及び給油許可信号が入力された給油装置2は(ステップS43;Yes)、給油制御装置2bにより、SSC5から入力された給油設定データの下で給油可能な状態となり、表示器(不図示)にリセット信号を送信することで前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)を行い、給油ポンプを駆動する(ステップS44)。
【0044】
給油ポンプがONになることで給油ノズルより燃料油が吐出され、これにより流量パルス信号が表示器に出力され(ステップS45;Yes)、表示器において給油量の表示(計数表示)がなされる(ステップS46)。尚、流量パルス信号が出力されない場合には(ステップS45;No)、ノズルSWがOFFでない限り(ステップS47;No)、すなわち給油が中止又は終了するまで流量パルス信号の出力を待つ。
【0045】
ステップS47において、顧客が給油ノズルをノズル掛けに戻すことでノズルSWがOFFになると(ステップS47;Yes)、給油ポンプを停止し(ステップS48)、POS4に給油データを出力し(ステップS49)、給油装置2の動作を終了する。
【0046】
ステップS54で給油装置2から給油データが入力されたPOS4は(ステップS54;Yes)、売上げ管理のために入力された給油データを保存し(ステップS55)、動作を終了する。
【0047】
本実施の形態によれば、給油装置2等の特定の給油エリアが給油可能状態になる条件を、特定の給油エリアの近傍のビーコンの通信範囲において給油所作業員が可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下した場合に限ったため、可搬式給油許可端末6を携帯する給油所作業員が給油装置2の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。そして、上述のように、SSC5の第4データ通信手段5lを、POS端末4の販売データを外部に出力しないように構成したため、POS端末4の情報漏洩を防止することができる。
【0048】
次に、本発明に係る給油所システムの第2の実施形態について図6図8を参照しながら説明する。本実施の形態の給油所システム11においては、上記通信手段7に代えて、SSC12とPOS端末4とで販売データを共有するための機器制御装置13を備える。
【0049】
図7に示すように、機器制御装置13は、POS端末4及びSSC12と通信するための第3データ通信手段13aと、可搬式給油許可端末6と通信するための第4データ通信手段13bと、給油装置2のインターホン2d及び車両検知器2cと通信するための第5データ通信手段13cとを備える。
【0050】
ここで、上記給油所システム1と同様に、第4データ通信手段13bは、例えば、Wi-Fiのアクセスポイントであって、可搬式給油許可端末6専用の通信手段であり、POS端末4及びSSC12専用の通信手段である第3データ通信手段13aは、SS業界標準のプロトコルであり、両通信手段13a、13bはイーサネットで接続されていて通信方式が異なるため、POS端末4及びSSC12のクレジットカード情報が可搬式給油許可端末6を介して外部に漏洩することがない。
【0051】
次に、上記構成を有する給油所システム11の動作について、図6図8を参照しながら説明する。尚、図8のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。また、顧客の来店時の動作については、上記図4と同様であるため説明を省略する。
【0052】
図8のステップS31、S32、S41、S42、S51~S53、S61、S62は、図5のこれらのステップと同じであり、これらの動作により、データ入出力機2aからの給油設定データがSSC12やPOS端末4に入力されると共に、給油装置2からの給油要求信号がPOS端末4に入力され、POS端末4からSSC12に給油要求表示信号が入力される。
【0053】
その後、SSC12はPOS端末4から入力された給油要求表示信号と、給油設定データを機器制御装置13に出力し(ステップS81)、動作を終了する。機器制御装置13のステップS82において、SSC12から給油要求表示信号と、給油設定データが入力されると(ステップS82;Yes)、機器制御装置13は給油要求表示信号を可搬式給油許可端末6に出力する(ステップS83)。
【0054】
可搬式給油許可端末6のステップS84において、機器制御装置13から給油要求表示信号が入力されると(ステップS84;Yes)、可搬式給油許可端末6は、画面に給油要求があった旨を表示し(ステップS72)、ステップS73において、給油所作業員が対応するビーコンの通信範囲内において、対応する給油エリアの顧客の安全を確認して可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下すると(ステップS73;Yes)、可搬式給油許可端末6は給油許可信号を機器制御装置13に出力する(ステップS85)。
【0055】
機器制御装置13のステップS86において、可搬式給油許可端末6から給油許可信号が入力されると(ステップS86;Yes)、機器制御装置13は、給油設定データと給油許可信号を給油装置2に出力し(ステップS87)、動作を終了する。
【0056】
給油装置2のステップS88において、機器制御装置13から給油許可信号等が入力されると(ステップS88;Yes)、上記図5と同様に、ステップS44~S49、S54、S55の動作により、給油装置2で実際に給油が行われると共に、POS端末4に給油データが入力されて保存される。
【0057】
以上のように、本実施の形態によれば、第1の実施形態と同様に、顧客の安全確保とPOS端末4及びSSC12のセキュリティの向上を図ることができるのに加え、SSC12とPOS端末4とで販売データを共有するため、POS端末4が故障した場合でも給油作業に支障がない。
【0058】
次に、本発明に係る給油所システムの第3の実施形態について、図9及び図10を参照しながら説明する。
【0059】
図9に示す給油所システム21は、図6に示す給油所システム11において、POS4を削除し、POS端末機能を有するSSC22を設けたことで給油所システム11と相違し、その他の構成は給油所システム11と同一である。すなわち、SSC22は、給油装置2の給油制御装置2bから給油データを受けて売上管理も行う。
【0060】
機器制御装置13は、可搬式給油許可端末6とはWi-Fiのアクセスポイントで通信可能であり、SSC22及び給油装置22とはSS業界標準のプロトコルで通信可能であり、通信方式が異なるため、SSC22のクレジットカード情報が可搬式給油許可端末6を介して外部に漏洩することがない。
【0061】
次に、上記構成を有する給油所システム21の動作について、図9及び図10を参照しながら説明する。
【0062】
データ入出力機2aのステップS101において、顧客による給油設定が終了すると(ステップS101;Yes)、機器制御装置13に給油設定データを出力する(ステップS102)。
【0063】
機器制御装置13は、データ入出力機2aからの給油設定データの入力があると(ステップS141;Yes)、SSC22へ入力された給油設定データを出力する(ステップS142)。
【0064】
給油装置2のステップS111において、顧客がノズル掛けから給油ノズルを外してノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS111;Yes)、給油装置2は油種・給油要求信号を機器制御装置13に出力する(ステップS112)。
【0065】
機器制御装置13は、給油装置2からの油種・給油要求信号の入力があると(ステップS143;Yes)、SSC22へ油種・給油要求信号を出力する(ステップS144)。
【0066】
SSC22のステップS121において、機器制御装置13から給油設定データが入力され(ステップS121;Yes)、ステップS122において、機器制御装置13から油種・給油要求信号が入力されると(ステップS122;Yes)、SSC22は給油要求表示信号を機器制御装置13に出力する(ステップS123)。
【0067】
ステップS145において、SSC22から給油要求表示信号が入力されると(ステップS145;Yes)、機器制御装置13は、給油要求表示信号を可搬式給油許可端末6に出力する(ステップS146)。
【0068】
ステップS146の後は、ステップS131~ステップS134の動作により、給油設定がされた給油装置2の給油エリアの近傍に給油所作業員が移動し、給油エリアの安全を確認した上で可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下すると、可搬式給油許可端末6は給油許可信号を機器制御装置13に出力する(ステップS134)。ステップS147において、可搬式給油許可端末6から給油許可信号が入力された機器制御装置13は(ステップS147;Yes)、給油許可信号をSSC22に出力する(ステップS148)。
【0069】
SSC22は、機器制御装置13から給油許可信号が入力されると(ステップS124;Yes)、ステップS125において、データ入出力機2aのステップS101で入力された油種に対応する給油ノズルが取り外されているか否かを判定し、正しい給油ノズルが取り外されている場合には(ステップS125;Yes)、機器制御装置13に給油許可信号を出力する。正しい給油ノズルが取り外されていない場合には(ステップS125;No)、その旨を報知して(ステップS129)、動作を終了する。
【0070】
機器制御装置13は、SSC22から給油許可信号が入力されると(ステップS149;Yes)、給油許可信号を給油装置2に出力する(ステップS150)。その後、ステップS113~S119、S151、S152、S127、S128の動作により、機器制御装置13から入力された給油設定データの下で通常通り給油を行い、給油データをSSC22に保存して動作を終了する。
【0071】
以上のように、本実施の形態によれば、顧客の安全確保と、POS端末機能を有するSSC22のセキュリティの向上を図ることができるのに加え、POS4を削除し、POS端末機能を有するSSC22を設けたことで、機器構成を簡略化しながら、給油所の運営を効率よく行うことができる。
【0072】
次に、本発明に係る給油所システムの第4の実施形態について、図11及び図12を参照しながら説明する。
【0073】
図11に示す給油所システム31は、図6に示す給油所システム11において、POS4に代えてSSC機能を有するPOS34を設け、SSC12に代えてPOS端末機能を有するSSC32を設けたことで給油所システム11と相違し、その他の構成は給油所システム11と同一である。すなわち、POS34は、給油装置2の給油制御装置2bから給油データを受けて売上管理を行うと共に、給油装置2の給油制御装置2bから給油要求信号を受けて給油装置2を給油可能状態にする給油許可装置機能も有する。また、SSC32は、給油装置2の給油制御装置2bから給油要求信号を受けて給油装置2を給油可能状態にする給油許可装置機能を有すると共に、給油装置2の給油制御装置2bから給油データを受けて売上管理も行う。
【0074】
機器制御装置13は、図9のものと同様、可搬式給油許可端末6はWi-Fiのアクセスポイントでと通信可能であり、SSC32、POS34及び給油装置2とはSS業界標準のプロトコルで通信可能であり、通信方式が異なるため、SSC32及びPOS34のクレジットカード情報が可搬式給油許可端末6を介して外部に漏洩することがない。
【0075】
上記構成を有する給油所システム31は、図12に示すように、図10と同様の動作を行うと共に、機器制御装置13は、データ入出力機2aからの給油設定データの入力があると(ステップS141;Yes)、POS34及びSSC32へ入力された給油設定データを出力し(ステップS142)、機器制御装置13から給油設定データが入力されたPOS34が機器制御装置13へ給油要求表示信号を出力する(ステップS162)。また、POS34は、機器制御装置13から給油データの入力があると(ステップS163;Yes)、給油データを保存して(ステップS164)動作を終了する。
【0076】
本実施の形態によれば、顧客の安全確保と、POS34又はSSC32のセキュリティの向上を図ることができるのに加え、SSC機能を有するPOS34と、POS端末機能を有するSSC32を設けたことで、POS34又はSSC32のいずれか一方が故障した場合でも、給油所システム31の運転を継続して行うことができる。
【0077】
尚、上記実施の形態では、可搬式給油許可端末6がビーコン等、給油装置2を含む所定範囲内の領域に電波を発信する電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能としたが、可搬式給油許可端末6に備えられたGPS機能により、給油設定が行われた給油装置2を含む所定範囲内の領域に可搬式給油許可端末6が位置するか否かを判断し、所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、給油装置2に給油許可信号を出力可能としてもよい。
【0078】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0079】
1 給油所システム
2(2A、2B) 給油装置
2a データ入出力機
2b 給油制御装置
2c 車両検知器
2d インターホン
3 灯油給油装置
4 POS
5 SSC
6 可搬式給油許可端末
7 通信手段
10 事務所
11 給油所システム
12 SSC
13 機器制御装置
21 給油所システム
22 SSC
31 給油所システム
32 SSC
34 POS
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、
該給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末と、
前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、
該給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末と、
前記給油許可装置に設けられ、前記可搬式給油許可端末からの給油許可信号を受信する通信手段とを備え、該通信手段は、前記POS端末とは通信不可であり、前記可搬式給油許可端末は、給油設定が行われた前記給油装置を含む所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、該給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
前記給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に電波を発信する電波発信手段を備え、前記可搬式給油許可端末は、該電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能となることを特徴とする請求項に記載の給油所システム。
【請求項3】
前記電波発信手段は、前記給油装置に設けられたビーコンであって、前記給油装置を含む所定範囲内の領域は、該ビーコンの電波照射範囲であることを特徴とする請求項に記載の給油所システム。
【請求項4】
前記可搬式給油許可端末に備えられたGPS機能により、該可搬式給油許可端末が前記給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に位置するか否かを判断し、該可搬式給油許可端末は該所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、前記給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする請求項に記載の給油所システム。
【請求項5】
前記給油装置は、車両の進入を検知した際に車両検知信号を前記可搬式給油許可端末に出力する車両検知器を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項6】
前記給油装置は、釦が押下された際に呼出し信号を前記可搬式給油許可端末に出力するインターホンを備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項7】
前記可搬式給油許可端末において、前記給油要求信号、車両進入信号及び前記呼出し信号の入力は異なる音声又は振動で報知されることを特徴とする請求項に記載の給油所システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所システムに関し、特に、セルフサービス方式の給油所において顧客の安全を確保すると共に、情報の漏洩を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人件費削減等の目的で給油作業、窓拭き等のサービス作業、及び給油料金の精算作業を顧客自身が行うセルフサービス方式の給油所が急増している。このようなセルフサービス方式の給油所では、事務所内に集中制御装置(セルフサービスコンソール:SSC)が設置されて給油所作業員が待機し、顧客の操作により給油装置から給油要求があると、当該給油エリアの安全を目視確認した後にSSCを操作して給油を許可する。
【0003】
一方、セルフサービス方式の給油所において、セルフサービスによる給油に不慣れな顧客に対して説明を行う必要が生じても、給油所作業員が少ない場合には、上記給油許可作業のためにSSCの前から離れることができないことも多く、円滑にサービスを提供できないおそれがある。
【0004】
そこで、本出願人は、特許文献1において、給油装置と、該給油装置を制御するセルフコンソール及びPOS端末を有するセルフ給油管理システムにおいて、携帯端末による無線で給油許可信号を出力することで給油許可を行う給油管理システムを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-100289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記発明も有効であるが、給油所では販売時点情報管理をするPOS端末が使用され、給油装置から送られてくる給油データに基づく給油料金及び油外商品の決済処理、商品の在庫管理、販売管理を行っているので、これらの情報が無線を介して漏洩しないようにする必要がある。
【0007】
また、近年支払方法が多様化し、現金決済に加えクレジットカードによる決済が増え、クレジットカード情報の漏洩に対する十分なセキュリティ対策(カード情報に対するセキュリティ規格としてPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)という規格)を施すことが求められている。
【0008】
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することができると共に、情報漏洩対策が施された給油所システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は給油所システムであって、給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、該給油装置の給油制御装置から給油データを受けて販売データの管理を行うPOS端末と、前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて前記給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、該給油許可装置に給油許可信号を出力する可搬式給油許可端末と、前記給油許可装置に設けられ、前記可搬式給油許可端末からの給油許可信号を受信する通信手段とを備え、該通信手段は、前記POS端末とは通信不可であり、前記可搬式給油許可端末は、給油設定が行われた前記給油装置を含む所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、該給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、可搬式給油許可端末を携帯する給油所作業員が給油許可信号を出力することで、顧客の安全確認を遵守することができる。また、給油許可装置に可搬式給油許可端末と通信するための特別な通信手段を設け、この通信手段がPOS端末と通信できないようにしたため、POS端末の販売データが外部に漏洩することがない。また、可搬式給油許可端末における給油許可信号の出力条件を、給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に位置する場合にのみとすることで、可搬式給油許可端末を携帯する給油所作業員が給油装置の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。
【0011】
上記給油所システムは、前記給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に電波を発信する電波発信手段を備え、前記可搬式給油許可端末は、該電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能とすることができる。また、前記電波発信手段を前記給油装置に設けられたビーコンとし、前記給油装置を含む所定範囲内の領域を該ビーコンの電波照射範囲とすることができる。これにより、顧客の安全を確実に確認することができる。
【0012】
前記可搬式給油許可端末に備えられたGPS機能により、該可搬式給油許可端末が前記給油設定が行われた給油装置を含む所定範囲内の領域に位置するか否かを判断し、該可搬式給油許可端末は該所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、前記給油装置に給油許可信号を出力可能とすることで、顧客の安全を確実に確認することができる。
【0013】
前記給油装置は、車両の進入を検知した際に車両検知信号を前記可搬式給油許可端末に出力する車両検知器を備えることができる。これにより、給油所作業員に顧客の来店を迅速に報知することができ、業務効率向上に繋がる。
【0014】
前記給油装置は、釦が押下された際に呼出し信号を前記可搬式給油許可端末に出力するインターホンを備えることができる。これにより、給油装置を利用する顧客が給油所作用員を呼び出し、給油所作業員が直接対応することができるため、機器操作に不慣れな顧客には心強い。
【0015】
上記給油所システムにおいて、前記可搬式給油許可端末は、前記給油要求信号、車両進入信号及び前記呼出し信号の入力を異なる音声又は振動で報知するように構成することができる。これにより、給油所作業員は、作業中でも報知内容を容易に判別することができ、仕事の優先順位を迅速に把握することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することができ、情報漏洩対策等が施された給油所システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る給油所システムの一実施の形態について説明するための概略図である。
図2図1に示す給油装置のビーコンの通信範囲を示す概略図である。
図3図1に示す給油所システムの構成を示すブロック図である。
図4図1図3に示す給油所システムの顧客来店時の動作を示すフローチャートである。
図5図1図3に示す給油所システムの給油時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2は、本発明に係る給油所システムの一実施の形態を示し、この給油所システム1は、複数の給油装置2(2A、2B)と、灯油給油装置3と、事務所10内に配置されるPOS端末(以下「POS」という。)4及びSSC(セルフサービスコンソール、給油許可装置)5と、給油装置2及び灯油給油装置3の各々の所定の通信範囲B1~B3内に電波を発信するビーコン(不図示)と、給油所作業員が携帯する可搬式給油許可端末6と、SSC5に設けられ、可搬式給油許可端末6と通信する通信手段7とで構成される。尚、図2に示すように、各給油装置2の表裏と、灯油給油装置3の表側には、給油エリアA1~A6が設けられる。また、同図においてビーコンの通信範囲を示すB1~B3は、各ビーコンのIDでもある。尚、ビーコン以外の電波発信手段を用いることもできる。
【0020】
給油装置2は、POS4やSSC5に給油設定データを出力するデータ入出力機2aと、給油許可信号が入力されることで給油装置2を給油可能な状態に制御する給油制御装置2bと、来店する顧客の車両を検知する車両検知器2cと、顧客が給油所作業員に機器操作等を聞くためのインターホン2dと、その他、表示器や、通常の給油装置に設けられる給油系統等を備える。
【0021】
POS4は、給油毎の売上げ管理や、日報及び月報の管理、給油許可管理等を行うものであって、既存の店内に設置されるPOSでも、クラウドに情報を集約するものでもどちらでもよい。
【0022】
SSC5は、可搬式給油許可端末6から給油許可信号を受けた際に、給油装置2の給油制御装置2bに給油許可信号を出力するために設けられる。
【0023】
具体的には、SSC5は、図3に示すように、記憶手段5aと、第1データ制御手段5bと、モニタ5cと、表示駆動手段5dと、表示制御手段5eと、給油許可手段5fと、第2データ制御手段5gと、インターホン2dからの呼出し信号によって呼び出されるスピーカーホン5hと、第1~第5データ通信手段5i~5mとを備える。
【0024】
上記構成を有するSSC5は、給油装置2から入力される給油設定データと給油要求信号を記憶手段5aに記憶すると共に、モニタ5cに表示し、給油要求信号とインターホン2dや車両検知器2cからの検知信号を通信手段7である第4データ通信手段5lを介して可搬式給油許可端末6に出力する。
【0025】
ここで、第4データ通信手段5lは、例えば、Wi-Fi(登録商標)のアクセスポイントであって、可搬式給油許可端末6専用の通信手段であり、POS端末4専用の通信手段である第2データ通信手段5jは、SS業界標準のプロトコルであり、両通信手段5j、5lはイーサネット(登録商標)で接続されていて通信方式が異なるため、POS端末4のクレジットカード情報が可搬式給油許可端末6等を介して外部に漏洩することがない。
【0026】
可搬式給油許可端末6は、スマートホンや、スマートウォッチ等のウェアラブル端末であって、給油設定がされた給油装置2から給油要求信号が入力された際に、例えば、給油設定がされた給油装置2の近傍のビーコンの通信範囲B1~B2内に限り給油許可信号を出力可能に構成される。これにより、給油所作業員が給油を行う顧客の安全確認を遵守することができる。
【0027】
また、可搬式給油許可端末6において、SSC5から入力される給油要求信号、車両進入信号及び呼出し信号の入力を異なる音声又は振動で報知すれば、給油所作業員が可搬式給油許可端末6の画面を見ずに報知内容を容易に判別することができ、仕事の優先順位を迅速に把握することができて便利である。
【0028】
次に、上記構成を有する給油所システム1の動作について、図1図5を参照しながら説明する。尚、図4及び図5のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0029】
図4に示すように、給油装置2のステップS1において、車両検知器2cが顧客の車両を検知すると(ステップS1;Yes)、給油装置2はSSC5に対して来店信号を出力する(ステップS2)。SSC5のステップS11において、給油装置2から来店信号が入力されると(ステップS11;Yes)、SSC5は可搬式給油許可端末6に対して来店信号を出力する(ステップS12)。可搬式給油許可端末6のステップS21において、SSC5から来店信号が入力されると(ステップS21;Yes)、可搬式給油許可端末6はその旨を給油所作業員に報知する(ステップ22)。
【0030】
図5に示すように、データ入出力機2aのステップS31において、顧客による給油設定が終了すると(ステップS31;Yes)、POS4及びSSC5に給油設定データを出力し(ステップS32)、データ入出力機2aの動作を終了する。
【0031】
給油装置2のステップS41において、顧客がノズル掛けから給油ノズルを外してノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS41;Yes)、給油要求信号をPOS4に出力する(ステップS42)。
【0032】
ステップS51において、データ入出力機2aから給油設定データが入力され(ステップS51;Yes)、ステップS52において、給油装置2から給油要求信号が入力されると(ステップS52;Yes)、POS4は給油要求表示信号をSSC5に出力する(ステップS53)。
【0033】
ステップS61において、データ入出力機2aから給油設定データが入力され(ステップS61;Yes)、ステップS62において、POS4から給油要求表示信号が入力されると(ステップS62;Yes)、SSC5は可搬式給油許可端末6に給油要求表示信号を出力する(ステップS63)。
【0034】
ステップS71において、SSC5から給油要求表示信号が入力された可搬式給油許可端末6は(ステップS71;Yes)、画面に給油要求があった旨を表示する(ステップS72)。可搬式給油許可端末6のステップS73において、給油所作業員が対応するビーコンの通信範囲内において、対応する給油エリアの顧客の安全を確認して可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下すると(ステップS73;Yes)、可搬式給油許可端末6は給油許可信号をSSC5に出力する(ステップS74)。
【0035】
ステップ64において、可搬式給油許可端末6から給油許可信号が入力されたSSC5は(ステップS64;Yes)、給油設定データ及び給油許可信号を給油装置2に出力し、動作を終了する。
【0036】
ステップS43において、給油設定データ及び給油許可信号が入力された給油装置2は(ステップS43;Yes)、給油制御装置2bにより、SSC5から入力された給油設定データの下で給油可能な状態となり、表示器(不図示)にリセット信号を送信することで前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)を行い、給油ポンプを駆動する(ステップS44)。
【0037】
給油ポンプがONになることで給油ノズルより燃料油が吐出され、これにより流量パルス信号が表示器に出力され(ステップS45;Yes)、表示器において給油量の表示(計数表示)がなされる(ステップS46)。尚、流量パルス信号が出力されない場合には(ステップS45;No)、ノズルSWがOFFでない限り(ステップS47;No)、すなわち給油が中止又は終了するまで流量パルス信号の出力を待つ。
【0038】
ステップS47において、顧客が給油ノズルをノズル掛けに戻すことでノズルSWがOFFになると(ステップS47;Yes)、給油ポンプを停止し(ステップS48)、POS4に給油データを出力し(ステップS49)、給油装置2の動作を終了する。
【0039】
ステップS54で給油装置2から給油データが入力されたPOS4は(ステップS54;Yes)、売上げ管理のために入力された給油データを保存し(ステップS55)、動作を終了する。
【0040】
本実施の形態によれば、給油装置2等の特定の給油エリアが給油可能状態になる条件を、特定の給油エリアの近傍のビーコンの通信範囲において給油所作業員が可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下した場合に限ったため、可搬式給油許可端末6を携帯する給油所作業員が給油装置2の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。そして、上述のように、SSC5の第4データ通信手段5lを、POS端末4の販売データを外部に出力しないように構成したため、POS端末4の情報漏洩を防止することができる。
【0041】
尚、上記実施の形態では、可搬式給油許可端末6がビーコン等、給油装置2を含む所定範囲内の領域に電波を発信する電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能としたが、可搬式給油許可端末6に備えられたGPS機能により、給油設定が行われた給油装置2を含む所定範囲内の領域に可搬式給油許可端末6が位置するか否かを判断し、所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、給油装置2に給油許可信号を出力可能としてもよい。
【0042】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0043】
1 給油所システム
2(2A、2B) 給油装置
2a データ入出力機
2b 給油制御装置
2c 車両検知器
2d インターホン
3 灯油給油装置
4 POS
5 SSC
6 可搬式給油許可端末
7 通信手段
10 事務所
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
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【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
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【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
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【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
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【補正の内容】