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  • 特開-インナー・ウェア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162374
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】インナー・ウェア
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/05 20060101AFI20221017BHJP
   A41C 1/00 20060101ALI20221017BHJP
   A41B 9/02 20060101ALI20221017BHJP
   A41B 9/04 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
A41D13/05 125
A41D13/05 136
A41D13/05 143
A41C1/00 E
A41B9/02 J
A41B9/04 B
A41B9/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067189
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】504040162
【氏名又は名称】福助株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三野 たまき
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昭雄
【テーマコード(参考)】
3B011
3B128
3B131
【Fターム(参考)】
3B011AA05
3B011AB17
3B011AC17
3B128EA03
3B128EB11
3B128EB21
3B128EB29
3B128EC11
3B128EC12
3B131AA08
3B131AA29
3B131AB11
3B131AB12
3B131AB14
3B131AB18
3B131BA11
3B131BA21
3B131BA45
3B131CA02
(57)【要約】
【課題】着用した状態で軽度の運動を行うことにより、皮下脂肪を燃焼させることが可能なインナー・ウェアを提供する。
【解決手段】伸縮性の糸で編成された、ウエスト部1から股2までの腹部3及び背側を被覆するパンティ部P、膝上までの脚部を被覆する上側脚部L1、膝部K及び膝部の下端から少なくとも足首までを被覆する下側脚部L2を有する下半身用のインナー・ウェアであり、伸縮性を有するベース領域と伸縮性が前記ベース領域の伸縮性よりも小さい低伸縮性領域(斜線部分)を有し、該インナー・ウェアにおけるウエスト部1、三角形状腹部3aおよび上下のテーピング状部4、5が前記低伸縮性領域であり、膝部はベース領域となっており、上下のテーピング状部4と5は連続しておらず、下側脚部におけるテーピング状部は膝部の前側下端から脚部の外側へ廻り、そして後側のふくらはぎ対応箇所の上を通って、脚部の内側に回りこんで足首まで達している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する糸で編成された、ウエスト部から股までの腹部および背側を被覆するパンティ部と、少なくとも足首までの脚部を被覆するレッグ部を有する下半身用のインナー・ウェアであり、
前記レッグ部はパンティ部の下端から膝上までの脚部を被覆する上側脚部と、膝の前側および後側を取り囲んで膝を被覆する膝部と、前記膝部の下端から足首までを被覆する下側脚部とからなり、
該インナー・ウェアは伸縮性を有するベース領域と伸縮性が前記ベース領域の伸縮性よりも小さい低伸縮性領域を有し、
該インナー・ウェアにおけるウエスト部、三角形状腹部およびテーピング状部が前記低伸縮性領域であり、
前記三角形状腹部はウエスト部の下辺を底辺とする逆三角形状あり、
前記パンティ部から上側脚部におけるテーピング状部はウエスト部の下辺の左右脇部から下方に延び、背側を通って股下で内腿側に廻り込み、内腿に沿って膝部の上端まで達しており、
前記下側脚部におけるテーピング状部は膝部の前側下端から脚部の外側へ廻り、そして後側のふくらはぎ対応箇所の上を通って、脚部の内側に回りこんで足首まで達しており、
前記低伸縮性領域以外の部分が前記ベース領域であることを特徴とするインナー・ウェア。
【請求項2】
前記低伸縮性領域が、地糸と添糸とによる添糸編と、地糸による平編とタック編とからなり、前記三角形状腹部およびテーピング状部においては添糸編における添糸がカットボス編により、三角形状腹部またはテーピング状部とベース領域との境界で切断された状態で三角形状腹部およびテーピング状部に挿入されていることを特徴とする請求項1記載のインナー・ウェア。
【請求項3】
前記添糸が鞘糸と該鞘糸よりも太い芯糸とからなることを特徴とする請求項2記載のインナー・ウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下半身用のインナー・ウェアに関し、特に身体に密着して着用する下半身用インナー・ウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、身体に密着して着用する下半身用インナー・ウェアとしてはガードルがよく知られており、一般にガードルは腹部、臀部、大腿部等を押え付けて、腹部を引っ込ませたり、ヒップを持ち上げて臀部に丸みを持たせたりと、体型補正を目的として利用されている。
【0003】
また、本願発明者は先に特許第6603057号公報(特許文献1)において、脂肪燃焼効果を高める膝上丈のパンツタイプのインナー・ウェアを提案した。
身体に密着して着用する下半身用インナー・ウェアで、足首まで達する丈を有するものでは、例えば、以下のようなものが知られている。
【0004】
特許第4642524号公報(特許文献2)には、脚部の上下方向に伸長し、収縮力を発生させる緊締ベルト部と、この緊締ベルト部で挟まれた膝蓋エリアを被覆して、膝関節の屈伸運動に応じて伸縮する膝蓋サポート部とを有し、緊締ベルト部および膝蓋サポート部の伸長性が、ボトムウェアの伸張性よりも小さくなるように形成された衣類が開示されている。この衣類は屈伸動作時に膝蓋骨にかかる負荷を軽減し、膝関節の安定した動きをサポートするものである。
【0005】
特許第4216839号公報(特許文献3)には、ウエスト部から足首部まで延びる第1サポータ帯と第2サポータ帯が左右の脚部に形成されており、膝の上下で第1サポータ帯と第2サポータ帯が交差するように螺旋状に形成されたサポータ付き衣類が開示されている。この衣類により筋肉増強ないし筋肉維持(衰退防止)を図ることが特許文献3の発明の目的とされている。
【0006】
特許第6443765号公報(特許文献4)には、骨盤緊締ベルト、ヒップアップベルト、大腿部負荷ベルト、大腿部下部緊締ベルト、下腹部緊締部および側方緊締ベルトを備えた体形調整衣料が開示されている。ヒップアップベルトに接続する大腿部負荷ベルトとこの大腿部負荷ベルトに交差する大腿部下部緊締ベルトにより、膝頭の周囲が取り囲まれている。この体形調整衣料が着用者の腰部、腹部、臀部および大腿部のあたりに負荷をかけることにより、着用時にそれらの部分における筋力の維持または強化を図り体形を整えようとするものであることが特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6603057号公報
【特許文献2】特許第4642524号公報
【特許文献3】特許第4216839号公報
【特許文献4】特許第6443765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されているインナー・ウェアは、着用した状態で軽度の運動を行うことにより、皮下脂肪を燃焼させることが可能なものであるが、その丈が膝上までのパンツタイプのものである。
特許文献4には、運動方向に伸び難い部分(すなわち、複数本の緊締ベルトや負荷ベルトなど)を有する衣料を着用して運動を行い、運動時に衣料より負荷を加えることにより着用者のエネルギー消費量を増加させることが開示されている。
しかし、このような衣料を着用しても、軽度の運動では余り効果がでにくい。すなわち、有酸素運動下で運動していても、運動負荷が大きくなって、相対心拍数が高くなると、無酸素運動状態となり、脂肪燃焼から糖の燃焼に移行して、エネルギー代謝を増やすからである。そのため、かえって、体脂肪燃焼量が減少する傾向がある。また、充分に運動を行って効果が出た場合でも、その効果は皮下脂肪が落ち易い(痩せやすい)部位となり、皮下脂肪が落ち難い部位はなかなか皮下脂肪が落ちない(痩せない)という問題がある。
特に、女性の場合、内腿,臀部下端,下腹部(臍の下の腹部)に皮下脂肪が付きやすく、これらの部位は運動しても筋肉が余り動かず、いったん皮下脂肪が付くと、皮下脂肪が落ち難いという問題がある。
【0009】
本発明は気候が涼しくなると多用される、少なくとも足首付近までの丈のある下半身用のインナー・ウェア(例えば、レギンス、タイツ、トレンカなど)において、上記の従来の問題点を解消し、着用した状態で軽度の運動を行うことにより、特許文献1に開示されているパンツタイプのインナー・ウェアと同等以上の皮下脂肪燃焼効果を有するインナー・ウェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、伸縮性を有する糸で編成された、ウエスト部から股までの腹部および背側を被覆するパンティ部と、少なくとも足首までの脚部を被覆するレッグ部を有する下半身用のインナー・ウェアであり、前記レッグ部はパンティ部の下端から膝上までの脚部を被覆する上側脚部と、膝の前側および後側を取り囲んで膝を被覆する膝部と、前記膝部の下端から足首までを被覆する下側脚部とからなる。該インナー・ウェアは伸縮性を有するベース領域と伸縮性が前記ベース領域の伸縮性よりも小さい低伸縮性領域を有する。該インナー・ウェアにおけるウエスト部、三角形状腹部およびテーピング状部が前記低伸縮性領域である。前記三角形状腹部はウエスト部の下辺を底辺とする逆三角形状を有し、前記パンティ部から上側脚部におけるテーピング状部は、ウエスト部の下辺の左右脇部から下方に延び、背側を通って股下で内腿側に廻り込み、内腿に沿って膝部の上端まで達しており、前記下側脚部におけるテーピング状部は膝部の前側下端から脚部の外側へ廻り、そして後側のふくらはぎ対応箇所の上を通って、脚部の内側に回りこんで少なくとも足首まで達している構成を具備している。
そして、前記低伸縮性領域以外の部分が前記ベース領域であることを特徴とするインナー・ウェアにより前記目的を達成する。
【0011】
本発明において、 前記低伸縮性領域が、地糸と添糸とによる添糸編と、地糸による平編とタック編とからなり、前記三角形状腹部およびテーピング状部においては添糸編における添糸がカットボス編により、三角形状腹部またはテーピング状部とベース領域との境界で切断された状態で三角形状腹部およびテーピング状部に挿入されていることが好ましい。
本発明において、前記三角形状腹部または前記テーピング状部には合成樹脂またはゴムによる被覆層が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、気候が涼しくなると多用される、少なくとも足首付近までの長さを有する下半身用のインナー・ウェアにおいて、着用した状態で軽度の運動を行うことにより、特許文献1に開示されているパンツタイプのインナー・ウェアと同等以上の皮下脂肪燃焼効果を有するインナー・ウェアを提供することができる。
本発明ではインナー・ウェアが全体的に柔らかな生地として編成され、テーピング部分は特許文献2~4に開示されているようなサポートタイプのものよりも伸縮性を大きくし、筋肉に沿ったスパイラル状の設計により、無理なく必要な筋肉をアシストし、容易に有酸素運動状態を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は本発明のインナー・ウェアの正面図であり、(b)はその背面図である。
図2】本発明のインナー・ウェアにおけるテーピング状部の編組織の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示した実施例に基いて本発明を詳細に説明する。
図1(a)および図1(b)に示すように、本発明のインナー・ウェアは伸縮性を有する糸で編成されて、着用したとき身体に密着する。ウエスト部1から股2までの腹部3および背側を被覆するパンティ部Pと、足首までの脚部を被覆するレッグ部Lを有する下半身用のインナー・ウェアである。
レッグ部Lはパンティ部Pの下端Puから膝上までの脚部を被覆する上側脚部L1と、膝の前側および後側を取り囲んで膝を被覆する膝部Kと、前記膝部Kの下端Kuから足首までを被覆する下側脚部L2とからなる。なお、本発明のインナー・ウェアは 図1では、説明のために各部位を一点鎖線で区切って示しているが、実際は一連に編成されている。
【0015】
本発明のインナー・ウェアは、伸縮性を有するベース領域(図1では白地で示した)と、伸縮性が前記ベース領域の伸縮性よりも小さい低伸縮性領域(図1では斜線を施して示した)を有している。ベース領域は小さな力でも伸び易く、低伸縮性領域はベース領域よりも伸び難く、伸ばすためにはより大きな力(すなわち、パワー)を必要とする。
本発明のインナー・ウェアを着用している状態では、低伸縮性領域はベース領域よりも身体により強く密着する(すなわち、加圧する)。
本発明のインナー・ウェアにおけるウエスト部1、三角形状腹部3aおよびテーピング状部4、5が低伸縮性領域である。
【0016】
図1に示した実施例では、ウエスト部1は上側ウエスト部11と下側ウエスト部12からなり、上側ウエスト部11はダブルウェルト編成で袋状に編成されており、下側ウエスト部12はテーピング状部4と同様の編組織で編成されている。
三角形状腹部3aはウエスト部1の下辺1aを底辺とする逆三角形状であり、この逆三角形状の頂点は股2より上方(好ましくは2~10cm上方)とする。このインナー・ウェアを着用した状態で、三角形状腹部3aが鼠径部を圧迫しないようにすることが好ましい。なお、本発明においては、この三角形状は底辺と頂点を結ぶ線が直線状ではなく、屈曲した略三角形状も含む。例えば、底辺と頂点を結ぶ線上に屈曲点が存在し、全体としては略三角形状であって、五角形となっているものも含む。
この三角形状腹部3aは着用者が動くことで腹直筋をゆすり上げる役目をする。
【0017】
パンティ部Pから上側脚部L1における上側テーピング状部4はウエスト部1の下辺1aの左右脇部から下方に延び、背側を通って股2で内腿側に廻り込み、着用者の内腿に対応する部分に沿って膝部Kの上端Kaまで達している。好ましくは、本発明のインナー・ウェアを着用した状態で、上側テーピング状部4は、ウエスト部1の脇部から着用者の腸骨稜を避けながら背側へ回り込み、大臀筋を覆わないように避けながら、内腿へと向かい、大腿部内側の内側広筋・縫工筋の筋腹と、一部の半膜様筋・半腱様筋の停止腱を覆う。
この上側テーピング状部4は臀部を下から支え、着用者が動いた際に、大殿筋をゆすり上げる役目をするとともに、内腿の大腿四頭筋に働きかける。
また、上側テーピング状部4の幅は、ウエスト部1の下辺1aから膝部Kの上端Kaまで同じ幅でもよいが、ウエスト部1の下辺1aにおける幅から股2により少し上の高さまで同じ幅で(或いは、幅をやや狭めながら)延び、そこから幅を広げてまたは狭めて、内腿に沿って上側脚部L1の下端(すなわち、膝部Kの上端Ka)まで延びるようにしてもよい。上側テーピング状部4の幅は、ウエスト部1の下辺1aの位置で5~10cm程度、着用者の内腿に対応する部分では3~12cm程度であることか好ましい(なお、ここで言う幅はインナー・ウェアに張力を掛けない状態で測るコース方向の幅である)。
【0018】
下側脚部L2における下側のテーピング状部5は膝部Kの前側下端Kuから脚部の外側へ廻り、そして脚後側のふくらはぎ対応箇所の上を通って、脚部の内側に回りこんで足首の前側まで達している。下側テーピング状部5の幅は、膝部Kの下端Kuから足首まで同じ幅でもよいが、足首に向かって広くなったり、または狭くなったりしてもよい。下側テーピング状部5はアキレス腱上部の下腿頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋を合わせた筋)を下から支える役目をする。
【0019】
前述したように上側テーピング状部4はウエスト部1の下辺1aの左右脇部から下方に延び、背側を通って股2で内腿側に廻り込み、着用者の内腿に対応する部分に沿って上側脚部L1の下端(すなわち、膝部Kの上端Ka)まで達しているが、下側テーピング状部5は膝部Kの前側下端Kuから足首まで達しているだけである。従って、膝の前側および後側を取り囲んで膝を被覆する膝部Kにはテーピング状部4、5が存在せず、膝部Kは全体がベース領域となっており、伸縮しやすく、着用者の運動に合わせて屈伸が自由にできる状態である。なお、図示した実施例では膝部Kの上端Kaにおける上側テーピング状部4の端縁が直線状になっているが、端縁の片側または両側の端の部分を下方に少々突出させて膝の位置合わせをしやすいようにしてもよい。同様に、膝部Kの前側下端Kuにおける下側テーピング状部5の端縁が直線状になっているが、その端縁の片側または両側の端の部分を上方に少々突出させて、膝の位置合わせをしやすいようにしてもよい。
【0020】
図1(a)、(b)において白地で示したベース領域は伸縮性を有する編糸(地糸)により平編で編成されている。
図1(a)に示すように、パンティ部Pの前側(正面側)においては、三角形状腹部3a以外の腹部は伸縮性を有するベース領域であり、低伸縮領域に比べて着用した状態で着用者の腹部を締め付けない。上側脚部L1の前側(正面側)においては、上側テーピング状部4が内腿側に存在するだけで、他の部分は伸縮性を有するベース領域であり、着用者の太腿の前側および外側は伸縮性を有するベース領域で覆われる。
また、図1(b)に示すように、背側においてウエスト部1の下辺から股2までの間の中央部分は伸縮性を有するベース領域であり、本発明のインナー・ウェアを着用した状態では着用者の臀部は伸縮性を有するベース領域で覆われる。
【0021】
以上のように、本発明のインナー・ウェアにおいては、ウエスト部1、三角形状腹部3aおよび上側テーピング状部4を低伸縮性領域とする構成となっており、低伸縮性領域である三角形状腹部3aと上側テーピング状部4はウエスト部1と一連に繋がっている。このため、骨盤が動くと、連動してウエスト部1、三角形状腹部3aおよび上側テーピング状部4が動き、これらの低伸縮性領域が密着している身体の筋肉や皮下脂肪を動かす。三角形状腹部3aは着用者の下腹部に作用し、上側テーピング状部4は着用者の内腿と臀部下端部の皮下脂肪と筋肉に働きかける。このように、軽い運動でも、骨盤の動きに連動して腹部、内腿、臀部下端部の皮下脂肪を動かすことになり、皮下脂肪の、燃焼(エネルギー消費)を積極的に行なわせることができる。
【0022】
また、本発明のインナー・ウェアの左右の下側脚部L2においては、それぞれ1本の下側のテーピング状部5がふくらはぎ対応箇所を覆って螺旋状に設けられている。この下側のテーピング状部5が筋肉の動きをアシストして、筋活動量を増やし、振動させる働きをしている。左右の下側脚部L2のその他の部分は伸縮し易いベース領域であるので、下側脚部L2を締め付けることがない。
一方、着用者の臀部、太腿の前側と外側、および膝の前側と後側、に対応するインナー・ウェアの部分は伸縮し易いベース領域としているので、臀部の筋肉および太腿の前側と外側の筋肉の動きが妨げられず、更に膝の屈伸動作を妨げることなく、運動を行い易い。
本発明のインナー・ウェアを着用することにより、ウォーキングや自転車こぎ等の軽度の運動でも、皮下脂肪がついて重い体部位(内腿、臀部下端部、下腹部および膝下の脚部)を骨盤の動きに連動して動かすとともに、ふくらはぎの筋肉の動きと連動させて、皮下脂肪を燃焼させる。
このように、従来はなかなか落ちなかった部位の皮下脂肪を積極的に燃焼させることができる。
【0023】
また、図1において斜線を施して示した低伸縮性領域1、3a、4、5はベース領域の伸縮性よりも小さければよく、特に限定されない。
本発明の一実施例では、ウエスト部1は上側ウエスト部11と下側ウエスト部12からなる。
上側ウエスト部11はダブルウェルト編成で袋状になっており、上側ウエスト部11の内側(着用者の肌に接する側)は地糸で平編目のみで編成され、上側ウエスト部11の外側は地糸で平編とタック編とで編成される。上側ウエスト部11はダブルウェルト編成で編まれて2重になっており、タック編も入っているので、上側ウエスト部11はベース領域よりも低伸縮性である。
本発明の一実施例においては、下側ウエスト部12、三角形状腹部3aおよび上下のテーピング状部4、5は、地糸と添糸とによる添糸編と、地糸による平編とタック編とから編成されている。
下側ウエスト部12、三角形状腹部3aおよび上下のテーピング状部4、5においては、添糸編における添糸が三角形状腹部3aまたはテーピング状部4、5とベース領域との境界で切断されるカットボス編により、三角形状腹部3aおよびテーピング状部4、5に挿入されている。
【0024】
図2は下側ウエスト部12、三角形状腹部3aまたはテーピング状部4、5の編組織の一実施例の1リピートを示している。符号〇は地糸と添糸とによるカットボス編の編目を表わし、符号×はタック編の編目を表わし、符号□は平編の編目を表わす。例えば4口給糸の場合、第1と第3フィーダーでは地糸と添糸が給糸され、第2と第4フィーダーでは地糸が給糸される。第1と第3フィーダーで給糸された地糸と添糸は2本一緒に平編目で編成され、第2と第4フィーダーで給糸された地糸は平編とタックが交互して編成される。タックした箇所の糸は編針のフックまたは針幹にかけたままで編針とともに移動し、次コースの編成時に編まれる(すなわちニューループ(編目)をつくる)。この実施例ではカットボス編の際に地糸および添糸と一緒にタックした箇所の糸が編まれる。
【0025】
本発明ではタック編を使用しているため、伸び難い編組織となっている。また、タック編を1コースおきに入れた場合、全部平編で編成した場合よりもウェール方向に長さが短くなる。従って、インナー・ウェアの腹側は三角形状腹部3aにタック編が使用されているので、背側よりも股上の長さが短くなり、ウエスト部1は後側が高く、前側が下がる。このため、着用した際にも、圧迫刺激に対して敏感な部位の圧迫が避けられるので、ウエスト部1による締め付け感が少ない。
レッグ部Lの下端部6の編組織は特に限定されないが、地糸のみで編成し、着用者の脚を強く締め付けないようにすることが好ましい。例えば、平編とフロート編とを交互に行い、ゴム編風に編んで、コース方向(横方向)に伸び易くしてもよい。
地糸は伸縮性を有する編糸であればよく、例えば、ウーリーナイロンやシングルカバードヤーン(SCY)、ダブルカバードヤーン(DCY)などが適している。地糸に使用するカバードヤーンの場合、ポリウレタン弾性糸などの細番手の弾性糸を芯糸としてこれより太番手のナイロン等の長繊維を鞘糸として巻き付けたものは伸縮性がよいので好ましい。
これに対して、添糸編における添糸がカバードヤーンの場合、鞘糸よりも芯糸が太く、その芯糸が地糸の芯糸よりも太いことが好ましい。
本発明において、前記低伸縮性領域を、地糸と添糸とによる添糸編と、地糸による平編とタック編として、前記テーピング状部においては添糸編における添糸がカットボス編とし、テーピング状部とベース領域との境界で切断された状態でテーピング状部に挿入することにより、ウェール方向(編組織の縦方向)にもコース方向(編組織の横方向)にも伸縮性を低くすることができる。
添糸として鞘糸とこの鞘糸よりも太い芯糸とから糸を使用すると、より伸縮性を低くすることができる。
また、三角形状腹部または、および前記テーピング状部には合成樹脂またはゴムによる被覆層を形成すると、伸縮性をより一層低くすることができる。
本実施例ではレッグ部は足首までの形態を説明したが、レッグ部はかかと部分を覆うトレンカ型、足先まで覆うタイツ型であっても、同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0026】
1 ウエスト部
11 上側ウエスト部
12 下側ウエスト部
1a ウエスト部の下辺
2 股
3 腹部
3a 三角形状腹部
4 上側テーピング状部
5 下側テーピング状部
P パンティ部
L レッグ部
L1 上側脚部
L2 下側脚部
図1
図2