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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162375
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20221017BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
H01L21/92 602R
H01L21/60 311Q
H05K1/18 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067190
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】割栢 亮
【テーマコード(参考)】
5E336
5F044
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336BC28
5E336CC02
5E336EE01
5E336GG06
5F044KK01
5F044KK17
5F044LL01
5F044QQ02
5F044QQ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対向電極間の間隙にバラツキがあり、配列する電極間の間隔が狭くても、各電極の接続信頼が向上した半導体装置を提供する。
【解決手段】第1の電子部品の基板表面に形成された複数の第1電極部と、第2の電子部品の表面に形成され各第1電極部とそれぞれ対向する複数の第2電極部とを備え、対向して対をなす第1電極部の対向面と第2電極部の対向面が、それぞれ、半田5を介して電気的に接続した半導体装置であって、対をなす第1電極部と第2電極部の少なくとも一方の電極部が、電子部品の表面から突出したピラー電極14、24からなり、対をなす第1電極部と第2電極部における、第1電極部の対向面のうちの第2電極部側に一番近い面部分である第1の先端面24aと、第2電極部の対向面のうちの第1電極部側に一番近い面部分である第2の先端面14aとは、面積が異なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子部品の基板表面に形成された複数の第1電極部と、第2の電子部品の表面に形成され上記各第1電極部とそれぞれ対向する複数の第2電極部とを備え、上記対向して対をなす第1電極部の対向面と第2電極部の対向面が、それぞれ、半田を介して電気的に接続した半導体装置であって、
上記対をなす第1電極部と第2電極部の少なくとも一方の電極部が、電子部品の表面から突出したピラー電極からなり、
上記対をなす第1電極部と第2電極部における、上記第1電極部の対向面のうちの上記第2電極部側に一番近い面部分である第1の先端面と、上記第2電極部の対向面のうちの上記第1電極部側に一番近い面部分である第2の先端面とは、面積が異なる、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上記第1の先端面と上記第2の先端面のうち、相対的に、面積が大きい先端面を有する電極部を大面電極部と記載し、面積が小さい先端面を有する電極部を小面電極部と記載したとき、
上記大面電極部の対向面のうち、上記小面電極部の先端面と対向する部分の外周位置に半田溜まりが形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載した半導体装置。
【請求項3】
上記対をなす第1電極部と第2電極部は共にピラー電極を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した半導体装置。
【請求項4】
上記対をなす第1電極部と第2電極部について、一方の電極部は上記ピラー電極を有し、他方の電極部は、上記ピラー電極が形成されずに、電子部品の表面が電極の対向面を形成し、
ピラー電極の先端面の面積が、他方の電極部の先端面である対向面の面積より小さい、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した半導体装置。
【請求項5】
上記ピラー電極のうち、少なくとも上記第1の先端面と上記第2の先端面のうちの面積が小さい方の先端面を形成するピラー電極は、電子部品の表面側から当該ピラー電極の先端面側に向けて、断面積が連続的又は段階的に小さくなっている、
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載した半導体装置。
【請求項6】
上記半田は、導電性を有する物質であって、少なくとも錫を含む金属又は合金からなる、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した半導体装置。
【請求項7】
上記電極部は、銅又は銅合金製の電解銅めっきからなる、ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した半導体装置。
【請求項8】
上記第1の電子部品が配線基板であり、第2の電子部品が半導体素子である、ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載した半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極形成面に対し狭い間隔で電極が複数配列した電子部品同士を、半田で電気的に接続した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は、時代とともに集積度の上昇や多機能化に伴って、端子数(電極)が増える傾向にある。これに伴い、電子部品である半導体素子を電子部品である配線基板に実装する方式として、リードフレームを用いた半田接合から、半導体素子の実装面(表面)に対し複数の電極(ピン)を格子状に並べ、これを配線基板に対し半田接続するBGA(Ball Grid Array)という方式が採用された。その結果、電子部品間の接続部が多ピン化する傾向にある。
【0003】
近年は、さらなる高集積化が進み、そのため、電極の断面をより小さく、且つ電極間の間隔をより狭くすることで、更に端子数(配列する電極の数)を増やしたいという要望がある。しかし、配列した電極間の間隔が狭くなることで、対向する各電極間を接続するための半田の体積を考慮する必要がでてきた。これは、従来の半田接続(BGA方式)では、対向する、基板側の電極と電子部品側の電極との間に挟まれた半田が横に広がり(図8(a)参照)、広がった半田が、隣に位置する電極に接触して電極間にショートが発生する懸念があるためである。
【0004】
そこで、半田の横方向への広がりを抑えるために、従来、ソルダーレジストなどの絶縁層や不導体層の下にあった電極を、電子部品の表面から突出させたピラー電極とし、対向するピラー電極同士(対向する電極間)を少量の半田で接続する実装方式が行われるようになった(図8(b)参照)。この実装方式は、半田量を少なくすることで、半田の横方向への広がりを抑えることができる。一方で、半田がすべて合金化してしまうことで、半田の機械特性が大きく変化したり、電極が形成される電子部品の反り(基板などの反り)に対する許容量が小さくなったりして、配線基板の上に半導体素子(チップ)を実装できなくなってしまう、いわゆるコールドジョイント(断線不良)が発生のおそれがあるといった課題がある。
【0005】
上記課題を解決する技術として、例えば特許文献1に記載の方法がある。特許文献1には、半田層をめっきにより形成することで、従来の半田印刷法による半田高さのばらつきを改善し、均等な厚さの半田とすると共に、十分な半田を備えることができると記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、配列する電極間の間隔が狭くなる場所においては、半田が横に広がり電極間ショートがなくなるわけではない。
【0007】
また、上述のように、実際の基板は多少の反りがある。このため、対向する電極同士の間隙が、一部の対向電極間では狭く、一部の対向電極間では広くなる。このため、対向電極間の間隙が広い部分でも確実に電気的に接続させることを考慮して、各対向電極間に介在させる半田量を規定する必要がある。このため、相対的に対向電極間の距離の狭い対向電極部分では、対向距離がより近接するため、その対向電極間に介在させた半田が、対向する電極間に収まらずに横へはみ出してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-140248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、対向電極間の間隙にバラツキがあり、且つ配列する電極間の間隔が狭くても、各電極の接続信頼が向上した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題解決のために、本発明の一態様は、第1の電子部品の基板表面に形成された複数の第1電極部と、第2の電子部品の表面に形成され上記各第1電極部とそれぞれ対向する複数の第2電極部とを備え、上記対向して対をなす第1電極部の対向面と第2電極部の対向面が、それぞれ、半田を介して電気的に接続した半導体装置であって、上記対をなす第1電極部と第2電極部の少なくとも一方の電極部が、電子部品の表面から突出したピラー電極からなり、上記対をなす第1電極部と第2電極部における、上記第1電極部の対向面のうちの上記第2電極部側に一番近い面部分である第1の先端面と、上記第2電極部の対向面のうちの上記第1電極部側に一番近い面部分である第2の先端面とは、面積が異なる、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、対向電極間の間隙にバラツキがあり且つ配列する電極間の間隔が狭くても、各電極の接続信頼を向上した半導体装置を提供することが可能となる。
すなわち、上記のように基板の反りなどによって、対向電極間の隙間にバラツキがあっても、本発明の態様によれば、各対向する電極間に介在させる半田量を極端に減らすことなく、より確実に半田実装を行うことができて、配列する電極間の間隔が狭い場合でも、対向する電極の接続に所定以上の信頼性を確保することができる。
【0012】
この結果、例えば、対向する電極間に介在させた半田がすべて合金化することがなくなり、機械的性能の低下を防いだり、コールドジョイントの発生を防いで、確実に実装ができたりするようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に基づく実施形態に係る半導体装置を示す、半導体パッケージの実装後を模した模式図である。
図2】本発明に基づく実施形態に係る、対向する電極間の接続(素子の実装時の接続)の例を示す模式的断面図である。
図3】本発明に基づく実施形態に係る、対向する電極間の接続の他の例を示す模式的断面図である。
図4】本発明に基づく実施形態に係る、対向する電極間の接続の他の例を示す模式的断面図である。
図5】本発明に基づく実施形態に係る、対向する電極間の接続の他の例を示す模式的断面図である。
図6】本発明に基づく実施形態に係る、対向する電極間の接続の他の例を示す模式的断面図である。
図7A】対向する電極間の接続方法の例を示す模式的断面図である。
図7B】対向する電極間の接続方法の例を示す模式的断面図である。
図8】従来の実装方法を例示する模式的断面図で、(a)は、対向する電極間に半田をボンディングした場合の例であり、(b)は、対向する電極をピラー電極でそれぞれ構成して接続する場合の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(構成)
本実施形態の半導体装置は、図1に示すように、第1の電子部品である配線基板2の接続面(電極形成面)に対し、第2の電子部品である半導体素子1を実装した半導体パッケージ基板100の例である。配線基板は、例えばインターポーザ基板である。半導体素子1は、例えば半導体集積回路である。
【0015】
半導体素子と配線基板2との対向した接続面には、それぞれ、複数の電極が格子状に配列されていて、電極数を増やすために、隣り合う電極間の間隔が狭くなっている。
すなわち、配線基板2の基板表面の接続面に、格子状に複数の第1電極部が形成されている。また、半導体素子1の接続面に、各第1電極部と対向可能な位置に複数の第2電極部が格子状に配置されて形成されている。
【0016】
図2は、図1における半導体素子1と配線基板2の基板接続部分における、1対の対向する電極14,24間の接続構造を例示する拡大図である。図2では、半導体素子1及び配線基板2における、実装に関連する部分以外の絶縁層や配線層などについては、図示を省略している。
【0017】
半導体素子1と配線基板2の表面に形成された接続面は、拡大図である図2に示すように、配線層11,21から構成され、その配線層11,21の上に絶縁層12,22が形成されている。なお、絶縁層12,22は、半田5をはじく材料から構成される。
そして、絶縁層12,22における、電極を設ける位置がそれぞれ開口して配線層11,21が露出し、その露出部が電極13,23となる。
【0018】
本実施形態では、半導体素子1及び配線基板2の上記露出した電極13,23に対し、それぞれピラー電極14,24が形成されている。すなわち、第1電極部及び第2電極部ともピラー電極を有する。すなわち、各ピラー電極14,24は、露出した配線層11,21の表面(電極13,23)から相手部材に向けて突出するように形成されている。本実施形態ではピラー電極14,24の断面形状が円形形状である。ただし、本発明は、ピラー電極14,24の断面形状が円形形状である必要はなく、突出していればよい。
なお、各ピラー電極14,24の最大直径は、例えば100μm未満である。
【0019】
本実施形態では、配線基板2側のピラー電極24及び半導体素子1側のピラー電極14ともに、柱形状から構成されているが、配線基板2側のピラー電極24の断面積S2と、半導体素子1側のピラー電極14の断面積S1が異なっている。
すなわち、本実施形態では、配線基板2側のピラー電極24の先端面24aを構成する対向面の面積S2(S21)と、半導体素子1側のピラー電極14の先端面14aを構成する対向面の面積S1(S11)とが異なっている。なお、この例では、配線基板2側のピラー電極24の対向面そのものが第1の先端面24aを構成する。また、半導体素子1側のピラー電極14の対向面そのものが第2の先端面14aを構成する。
先端面14a、24aとは、対向面のうち相手側部材に一番近い面部分を指す。対をなす電極の対向面と当接させた場合に、その当接面部分及び当該当接面部分に連続する平面部分が先端面14a、24aを構成する。
【0020】
また、配線基板2側のピラー電極24は、第1電極部を構成する。半導体素子1側のピラー電極14は、第2電極部を構成する。
そして、配線基板2側のピラー電極24と半導体素子1側のピラー電極14とが同軸になるようにして、配線基板2側のピラー電極24の対向面と、半導体素子1側のピラー電極14の対向面が対向し、その対向面間に半田5が介在している。すなわち、半田5を介して、配線基板2側のピラー電極24と半導体素子1側のピラー電極14とが電気的に接続している。
【0021】
半田5は、電極の一方又は両方に載せ、対をなす電極の先端面14a、24aを当接させた状態で、介在させた半田5を加熱する。これによって、半田5が溶融し一体化することで、対向する電極14,24間が電気的に接続する。
このとき、対をなす電極の先端面14a、24aを当接させることで、当接位置にあった半田5は横にはみ出すが、はみ出した半田5は、先端面24a(対向面)が大きなピラー電極24の対向面のうち、先端面14a(対向面)が小さなピラー電極14の先端面14a(対向面)と対向する部分の外周位置に移動して、半田溜まりが形成される。半田溜まりは、具体的には、ピラー電極24の対向面の外周位置に載り、その外周位置上と、ピラー電極14の先端面14aの外周位置(本例ではピラー電極14の側面)との間に形成される。
この例では、ピラー電極24が大面電極部となり、ピラー電極14が小面電極部となる。
【0022】
ここで、配線層11,21やピラー電極14,24は、例えば、銅又は銅合金製の電解銅めっきから形成すれがよい。
また、半田5は、導電性を有する物質であって、配線層11,21やピラー電極14,24より融点が低い材料、例えば、少なくとも錫を含む金属又は合金から構成すればよい。
【0023】
(作用その他)
図8は、従来の半田5による実装例を示す図である。
図8(a)は、BGA方式を採用した、半導体素子1及び配線基板2の露出した電極13,23間を半田5だけで接続した例である。この例では、図8(a)から分かるように、対向する電極13,23間に介在させた半田5のうちの、余分な半田5が、電極13,23の径よりも著しく横に広がる。このため、平面配置する電極間の間隔を狭くすることが困難である。
【0024】
一方、図8(b)は、露出した各電極13,23にそれぞれピラー電極14,24を設けた場合の従来例である。この図8(b)に示す接合例では、図8(a)と比較して、使用する半田量を少なくすることができるため、配列する電極間の間隔を、その分、狭くすることができる。
【0025】
しかし、図8(b)に示す接合方法では、半田量が少ないために、半田5を構成する錫がすべて合金化してしまい機械特性が低下したり、半田5の量が少ないためで部品の反りによって電極が十分に接近できず接続できない状態(コールドジョイント)が発生したりするおそれがある。また、基板などの電子部品の反りによる対向する電極14,24間の隙間のバラツキに対応するために、電極14,24の先端部に付ける半田量を多くすると、対向する電極14,24間の隙間が狭い箇所では、横方向にはみ出す半田5の量が多くなって、その分、配列する電極間の間隔を狭くすることができない。すなわち、対をなすピラー電極14,24の対向面が同じ大きさであるため、対をなすピラー電極14,24の対向面が当接すると、その間に介在させた半田5が、ピラー電極14,24の対向面よりも外側にはみ出すことになる。また、基板の反りなどで、一部の対をなすピラー電極14,24の中心軸が偏心した場合、その電極の接合面積が変化して小さくなる。
【0026】
これに対し、本実施形態では、図2に示すように、対向する電極を、対をなすピラー電極14,24で構成すると共に、ピラー電極14,24の先端部に形成される対向面(先端面14a、24a)の面積S1,S2(S11,S21)が異なるように構成している。
【0027】
そのため本実施形態では、各ピラー電極14,24の先端面24a(本例では対向面と同義)にそれぞれ半田5を付けて、対をなすピラー電極14,24が半田5を介して接続すると、断面積が小さいピラー電極14の対向面14aと、当該対向面14aと対向するピラー電極24の対向面24aのうちの中央部が当接(電極14,24間の間隙が最小な状態で接続)すると共に、その当接した間隙からはみ出た半田5は、断面積が大きなピラー電極24の対向面24aの外周側の面位置において、断面積が小さいピラー電極14の側面に接触し、当該ピラー電極14を半田が覆う状態となる。すなわち、断面積が大きなピラー電極24の対向面24aの外周側の面位置である、断面積が小さいピラー電極14の周りに半田溜まりが形成され、半田5が、断面が大きなピラー電極24よりも横方向外方に広がることを抑えることができる。
【0028】
すなわち、基板などの電子部品の反りによる、対向する電極14,24間の隙間のバラツキに対応するために、電極の先端部に付ける半田量を多くしたとしても、対向する電極14,24間の隙間が狭い箇所でも、半田5がピラー電極24の外方側(横方向)に広がることを抑えることができる。この結果、各対向する電極14,24間に介在させる半田量を極端に減らすことなく、より確実に半田実装を行うことができて、配列する電極間の間隔が狭い場合でも、対向する電極の接続に所定以上の信頼性を確保することができる。
なお、本実施形態の場合、断面積が小さいピラー電極14の側面部分も電極の接続部となる。この観点からは、相対的に、断面積が小さいピラー電極14側の高さを、他方のピラー電極24の高さよりも高く設定することが好ましい。
【0029】
また、部品の反りなどで、対向する電極14,24間の中心軸が偏心したとしても、断面積が小さいピラー電極14の対向面14a全体を、ピラー電極24の対向面24a内に確実に納めることが可能となる。すなわち、接合面積の変化が抑制され、この点からも電極の接続信頼性を担保することができる。
【0030】
ここで、ピラー電極24の対向面24aの面積S2に対する断面積が小さいピラー電極14の対向面14aの面積S1の関係は、介在させる半田量と、断面積が小さいピラー電極14の外周でピラー電極24の対向面の外周面上に形成される半田溜まりの容積とに基づき、設定すればよい。
【0031】
例えば、ピラー電極24の対向面の面積S21に対する断面積が小さいピラー電極14の対向面の面積S11の関係は次のようにする。すなわち、面積S11は、少なくとも面積S21未満であり、好ましくは面積S21の0.75倍以下、さらに好ましくは0.5倍以下とする。
【0032】
(変形例)
次に、対向する電極における、第1の先端面24aの面積S21と第2の先端面14aの面積S11とを異なるようにする、他の変形例について説明する。
【0033】
(1)図3に第1の変形例を示す。
対をなす、対向したピラー電極14,24について、各対向面(14a,14b)(24a、24b)の形状を変更することで、第1の先端面24aと第2の先端面14aとの面積S11,S21が異なるようにしたものである。
図3の例では、対向するピラー電極14,24について、配線層11,21側の断面を同じ形状且つ面積S1,S2とし、各ピラー電極14,24の対向面の外周縁14b、24bを面取りした。その際に、その面取りのアールを変えることで、第1の先端面24aと第2の先端面14aとの面積S11,S21を異なるようにした例である。
【0034】
この場合、ピラー電極14の対向面は、第2の先端面14aとその外周のアール部14bからなる。ピラー電極24の対向面は、第1の先端面24aとその外周のアール部24bからなる。
そして、アール部14bの面積を、アール部24bよりも大きく形成することで、第2の先端面14aの面積S11が第1の先端面24aの面積S21よりも小さくなっている。
【0035】
この例においても、各ピラー電極14,24の先端面14a、24aにそれぞれ半田5を付けて、対をなすピラー電極14,24を半田5を介して接続すると、断面積が小さいピラー電極14の第2の先端面14aと、当該先端面14aと対向するピラー電極24の先端面24aのうちの中央部が当接(電極14,24間の間隙が最小な状態で接続)すると共に、その最小の間隙からはみ出た半田5は、断面積が小さいピラー電極14の対向面のうちのアール部14bと、ピラー電極24の対向面との間の空間に溜まって、当該空間が半田溜まりを形成することで、半田5がピラー電極14,24の外側(横方向)に広がることを抑えることができる。
【0036】
すなわち、基板などの電子部品の反りによる対向する電極14,24間の隙間のバラツキに対応するために、電極の先端部に付ける半田量を多くしたとしても、対向する電極14,24間の隙間が狭い箇所でも、半田5がピラー電極14,24の外側(横方向)に広がることを抑えることができる。この結果、各対向する電極14,24間に介在させる半田量を極端に減らすことなく、より確実に半田実装を行うことができて、配列する電極間の間隔が狭い場合でも、対向する電極14,24の接続に所定以上の信頼性を確保することができる。
なお、本実施形態の場合、断面積が小さいピラー電極14の対向面を構成するアール部14b及びピラー電極24の対向面を構成するアール部24bにも半田5が付着して、電極の接続部となる。
【0037】
また、部品の反りなどで、対向する電極14,24間の中心軸が偏心したとしても、断面積が小さいピラー電極14の先端面14a全体を、ピラー電極24の先端面24a内に納めることが可能となる。この結果、接合面積が変化せず、この点からも電極の接続信頼性を担保することができる。
【0038】
ここで、ピラー電極24の先端面24aの面積S21に対する断面積が小さいピラー電極14の先端面14aの面積S11の関係は、介在させる半田量と、上記半田溜まりを形成する空間の体積とに基づき、設定すればよい。
【0039】
例えば、ピラー電極24の先端面24aの面積S21に対する断面積が小さいピラー電極14の先端面14aの面積S11の関係は、次のようにする。すなわち、面積S11は、少なくとも面積S21未満であり、好ましくは面積S21の0.75倍以下、さらに好ましくは0.5倍以下とする。
また、本実施形態では、半田溜まりを大きくするために、大面電極部であるピラー電極24にもアール部24bを形成しているが、ピラー電極24の先端部にアール部を形成しなくても良い。
また。ピラー電極24の配線層21側の断面積が、ピラー電極14の配線層21側の断面積よりも大きくなるように設定しても良い。
【0040】
ここで、図2に示す構造のように、ピラー電極14の断面が小さすると、その断面が小さくなる分だけ、ピラー電極14の強度に不安がある場合には、図3のように、ピラー電極14の先端部のみ、先端に向けて断面が小さくなるように設定することで、半田溜まりを設けつつ、ピラー電極14全体の強度を保つことができるメリットを有する。
【0041】
(2)図4に第2の変形例を示す。
第2の変形例では、ピラー電極14の先端部の形状を錘台形状(断面台形形状)とすることで、ピラー電極24の先端面24aの面積S21よりもピラー電極14の先端面14aの面積S11を小さく構成したものである。
第2の変形例の作用効果は、第1の変形例の同様である。
第2の変形例では、先端部に形成する錘台形状の高さを大きくすることで、半田溜まりを大きくすることが可能となる。
【0042】
(3)図5に第3の変形例を示す。
第3の変形例では、ピラー電極14の先端部を小径の柱部とすることで、半田溜まりを大きくしたもので、図2の構造と図4の構造と同様の作用効果を有する。
【0043】
(4)図6に第4の実施形態を示す。
第4の変形例は、図2の構成を基に、ピラー電極14を半導体素子1側だけに設け、配線基板2側は、配線層21の露出部分で電極の面23を構成したものである。
この場合、配線基板2側の電極23の対向面の部分は、露出部分自体となる。また、その対向面自体が先端面となる。
本例では、ピラー電極の先端部の対向面(先端面14a)の面積S1を、配線基板2側の電極23の面積S2よりも小さく設定したものである。
【0044】
第4の変形例は、図2の構造と同様の作用効果を有する。
なお、ピラー電極14として、第1~第3の変形例の構成を適宜組み合わせて採用しても良い。
また、以上の説明では、配線基板2側の先端面24aの面積S21の方が、半導体素子1側の先端面14aの先端面14aの面積S11よりも大きい場合を例示しているが、半導体素子1側の先端面14aの面積S11の方が大きくても良い。ただし、配線基板2側の先端面24aの面積S21が大きいことが好ましい。
【0045】
また、対をなして対向する電極の組毎に、個別に上記構造の電極構造を採用すればよいが、すべて同じ構造とした方が、製造上簡易である。
【0046】
(製造方法の例)
次に、上記説明した対をなす電極14,24間の接合構造の例を説明する。
ここでは、配線基板2側の例を主として示すが、半導体素子1側に対しても同様の工程を取ることができる。また、製造方法はこの例に限定されず、同様の形状を得られれば、製造方法は自由に選択することが可能である。また電極1つのみ図示しているが、1つ以上の電極に対し、同時に処理を行ってもよい。
【0047】
図7A(a)は、配線基板2の最外表面の配線層21を形成したのちに、その上に絶縁層22を形成したものである。ここまでの製造方法は既知の方法を採用すればよい。
絶縁層22上に無電解めっき法やスパッタ法により、次工程である電解めっきのためのシード層(図示しない)を形成し、その後にめっきレジスト6を貼りピラー電極24を形成する部分のみをフォトリソによって開口して電極23部分を露出する。
【0048】
次に、電解銅めっきによってめっきレジスト6のない部分に銅ピラー電極24を形成する。このとき、電解銅めっき液の添加剤を調整することで電極が先端から基板側に向かって断面積が広くなる凸形状に仕上げることが可能になる(図7A(b)参照)。
電解めっき工程が終わったのち、めっきレジスト6を剥離し、絶縁層22上にあるシード層をエッチング工程によって除去する(図7A(c)参照)。
また、図7A(d)のように、半導体素子1側にも、対向させるピラー電極14を形成する。
【0049】
次に、ピラー電極14,24の先端面14a、24aの上に半田5を載せる。半田5を載せる方法としては、ペーストを印刷する方法、球状の半田5をピラー電極14,24上に実装する方法、めっき法などがあるが、これに限定されない。いずれの方法においても半田5を実装した後に加熱し半田5を溶融させピラー電極14,24に接続することができる(図7B(e)参照)。
【0050】
次に、上記方法によってピラー電極14を設けた半導体素子1と配線基板2を電極どうしが対向するように配置し、電極の先端面14a、24aにある半田5同士が接触するように固定する(図7B(f)参照)。
【0051】
次に、半田5を加熱し溶融させ、ピラー電極14と24を接合させる。このとき、半田5はピラー電極14,24の面積の広い部分に溜まることができ、半田量が多くても横に広がらずに電極14,24間距離を狭くすることが可能となる。最後に半導体素子1と配線基板2の間にアンダーフィル7を行うことで、基板を完全に固定させる(図7B(g)参照)。
【0052】
(その他)
本開示は、次のような構成も取ることができる。
(1)第1の電子部品の基板表面に形成された複数の第1電極部と、第2の電子部品の表面に形成され上記各第1電極部とそれぞれ対向する複数の第2電極部とを備え、上記対向して対をなす第1電極部の対向面と第2電極部の対向面が、それぞれ、半田5を介して電気的に接続した半導体装置であって、上記対をなす第1電極部と第2電極部の少なくとも一方の電極部が、電子部品の表面から突出したピラー電極14,24からなり、上記対をなす第1電極部と第2電極部における、上記第1電極部の対向面のうちの上記第2電極部側に一番近い面部分である第1の先端面24aと、上記第2電極部の対向面のうちの上記第1電極部側に一番近い面部分である第2の先端面14aとは、面積が異なる。
(2)上記第1の先端面24aと上記第2の先端面14aのうち、相対的に、面積が大きい先端面14a、24aを有する電極部を大面電極部と記載し、面積が小さい先端面14a、24aを有する電極部を小面電極部と記載したとき、上記大面電極部の対向面のうち、上記小面電極部の先端面14a、24aと対向する部分の外周位置に半田溜まりが形成される。
(3)上記対をなす第1電極部と第2電極部は共にピラー電極14,24を有する。
(4)上記対をなす第1電極部と第2電極部について、一方の電極部は上記ピラー電極14,24を有し、他方の電極部は、上記ピラー電極14,24が形成されずに、電子部品の表面が電極の対向面を形成し、ピラー電極14,24の先端面24aの面積S21が、他方の電極部の先端面14a、24aである対向面の面積より小さい。
(5)上記ピラー電極14,24のうち、少なくとも上記第1の先端面24aと上記第2の先端面14aのうちの面積が小さい方の先端面14a、24aを形成するピラー電極14,24は、電子部品の表面側から当該ピラー電極14,24の先端面24a側に向けて、断面積が連続的又は段階的に小さくなっている。
(6)上記半田5は、導電性を有する物質であって、少なくとも錫を含む金属又は合金からなる、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した半導体装置。
(7)上記電極部は、銅又は銅合金製の電解銅めっきからなる。
(8)上記第1の電子部品が配線基板2であり、第2の電子部品が半導体素子1である。
【符号の説明】
【0053】
1 半導体素子
2 配線基板
5 半田
11,21 配線層
12,22 絶縁層
13,23 接続面に形成された電極
14,24 ピラー電極
14a 第2の先端面(対向面)
14b アール部(外周縁)(対向面)
24a 第1の先端面(対向面)
24b アール部(外周縁)(対向面)
55 半田
100 半導体パッケージ基板

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8