(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016238
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】収容体
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168123
(22)【出願日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2020118580
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 信
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA22
3B115AA25
3B115DB09
3B115DC18
(57)【要約】
【課題】皿等の容器を覆う部材に手を触れることなく、容器の取り出し等を容易に行なうことのできる、収容体を提供する。
【解決手段】本発明は、飲食物が載せられる容器を収容し、搬送路で搬送される収容体であって、前記容器が載置される載置位置を有する載置台と、前記載置台に対して開閉可能に取り付けられた蓋体と、前記載置台の前記載置位置に前記容器が載置されたときに、前記蓋体を閉状態にするとともに、前記載置位置から前記容器が離脱したときに、前記蓋体を開状態に移行するための開閉機構と、前記容器を前記載置位置から離脱させるための操作手段と、を備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物が載せられる容器を収容し、搬送路で搬送される収容体であって、
前記容器が載置される載置位置を有する載置台と、
前記載置台に対して開閉可能に取り付けられた蓋体と、
前記載置台の前記載置位置に前記容器が載置されたときに、前記蓋体を閉状態にするとともに、前記載置位置から前記容器が離脱したときに、前記蓋体を開状態に移行するための開閉機構と、
前記容器を前記載置位置から離脱させるための操作手段と、
を備えている、収容体。
【請求項2】
前記開閉機構は、
前記載置位置への前記容器の載置に伴い、前記容器による押圧によって第1の位置から第2の位置へ移動するよう構成された作動体と、
前記作動体と前記蓋体とを連結し、前記作動体が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動するのに伴って、前記蓋体を開状態から閉状態に移行させる連結手段と、
前記作動体を前記第1の位置へ付勢するための付勢手段と、
前記作動体を介して前記付勢手段によって押圧される前記容器を、前記載置位置に保持するためのストッパと、
を備えている、請求項1に記載の収容体。
【請求項3】
前記操作手段は、
押込操作が可能な操作部と、
前記操作部に対する押込操作に連動して、前記容器を前記載置位置から離脱させるように押し遣る、レバーと、
を備えている、請求項2に記載の収容体。
【請求項4】
前記載置台の周縁に切り欠き部が形成されており、
前記切り欠きに、前記操作部の少なくとも一部が配置されている、請求項3に記載の収容体。
【請求項5】
前記蓋体は、ヒンジによって前記載置台に開閉可能に取り付けられており、
前記ストッパは、前記載置台において前記ヒンジとは反対側に設けられており、
前記操作部は、前記ストッパの近傍に配置されている、請求項2から4のいずれかに記載の収容体。
【請求項6】
前記蓋体の縁部には、前記載置位置にある前記容器を掴むための切り欠きが形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の収容体。
【請求項7】
前記収容体に近接する顧客の手を検知するセンサをさらに備え、
前記センサによって前記顧客の手の近接を検知すると、前記操作手段が自動的に前記容器を前記載置位置から離脱させるように構成されている、請求項1から6のいずれかに記載の収容体。
【請求項8】
前記収容体に近接する顧客の手を検知するセンサと、
前記センサによって前記顧客の手の近接を検知すると、前記操作部に対して押し込み操作を行う、動作部材と、
をさらに備えている、請求項3または4に記載の収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物が載せられる容器を収容し、搬送路で搬送される収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に回転寿司と称される飲食店には、客席に沿って循環移動する搬送路を備えた飲食物搬送装置が設置されている。このような飲食店では、調理人が、寿司などの飲食物を容器、例えば皿に載せた後、飲食物を載せた皿を飲食物搬送装置の搬送路上に移し替えて客席に順次搬送させるようにしている。一方、顧客は、順次送られてくる寿司などの飲食物が載せられた皿を好みに応じて搬送路上から適宜取り出して飲食物を食するようにしている。
【0003】
ところで、上記搬送路上の寿司は、皿の上方が開放された状態で搬送されるために乾燥し易く、また他の客に誤って触れられることも考えられる。そのため、寿司の乾燥を防止することや寿司を衛生的に提供することが課題となっている。そこで、特許文献1では、寿司が盛られた皿にカバー部材を被せたのち、その皿を搬送装置の搬送路上に送り込むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、調理人が、カバー部材を直接手に持って皿上に被せた上で、皿をカバー部材とともに搬送路上に載せなければならない。また、顧客は、搬送されてきた皿をカバー部材とともに搬送路上から取り出した後、カバー部材を直接手で持って皿から取り外さねばならない。しかも、カバー部材の取り付け又は取り外しに際して、調理人や顧客がその都度手でカバー部材をつかんで皿へカバー部材を取り付けたり、皿からカバー部材を取り外したりするので、カバー部材が汚れるという不具合がある。また、皿から取り外されたカバー部材が客席のテーブル上に残るので、テーブル上が狭くなるという不具合もある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、皿等の容器を覆う部材に手を触れることなく、容器の取り出し等を容易に行なうことのできる、収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、飲食物が載せられる容器を収容し、搬送路で搬送される収容体であって、前記容器が載置される載置位置を有する載置台と、前記載置台に対して開閉可能に取り付けられた蓋体と、前記載置台の前記載置位置に前記容器が載置されたときに、前記蓋体を閉状態にするとともに、前記載置位置から前記容器が離脱したときに、前記蓋体を開状態に移行するための開閉機構と、前記容器を前記載置位置から離脱させるための操作部と、を備えている。
【0008】
上記収容体において、前記開閉機構は、前記載置位置への前記容器の載置に伴い、前記容器による押圧によって第1の位置から第2の位置へ移動するよう構成された作動体と、前記作動体と前記蓋体とを連結し、前記作動体が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動するのに伴って、前記蓋体を開状態から閉状態に移行させる連結手段と、前記作動体を前記第1の位置へ付勢するための付勢手段と、前記作動体を介して前記付勢手段によって押圧される前記容器を前記載置位置に保持するためのストッパと、を備えることができる。
【0009】
上記収容体において、前記操作手段は、押込操作が可能な操作部と、前記操作部に対する押込操作に連動して、前記容器を前記載置位置から離脱させるように押し遣る、レバーと、を備えることができる。
【0010】
上記収容体においては、前記載置台の周縁に切り欠きを形成し、前記切り欠きに、前記操作部の少なくとも一部を配置することができる。
【0011】
上記収容体においては、前記蓋体を、ヒンジによって前記載置台に開閉可能に取り付け、前記ストッパを、前記載置台において前記ヒンジとは反対側に設け、前記操作部を、前記ストッパの近傍に配置することができる。
【0012】
上記収容体において、前記蓋体の縁部には、前記載置位置にある前記容器を掴むための切り欠きを形成することができる。
【0013】
上記収容体においては、前記収容体に近接する顧客の手を検知するセンサをさらに備え、前記センサによって前記顧客の手の近接を検知すると、前記操作手段が自動的に前記容器を前記載置位置から離脱させるように構成することができる。
【0014】
上記収容体においては、前記収容体に近接する顧客の手を検知するセンサと、
前記センサによって前記顧客の手の近接を検知すると、前記操作部に対して押し込み操作を行う、動作部材と、をさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る収容体によれば、皿等の容器を覆う部材に手を触れることなく、容器の取り出し等を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る飲食物提供システムの平面図である。
【
図12】作動体の平面図(a)、側面図(b)、及び底面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<1.飲食物提供システムの概要>
以下、本発明に係る収容体を搬送する飲食物提供システムの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は飲食物提供システムの平面図、
図2は搬送路の断面図、
図3は搬送路の正面図である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る飲食物提供システムは、一例として、寿司店舗に設けられるものであり、客室S1と厨房S2との間で飲食物を収容する収容体5を搬送する第1搬送路1と、注文された飲食物が載る皿4を搬送する第2搬送路2と、を備えている。客室S1には、パーティションで仕切られた複数の客席ブース3が設けられており、各客席ブース3は、搬送路1,2に沿うように配置されている。また、各客席ブース3には、矩形状のテーブル31が設けられており、このテーブル31の一辺が第1搬送路1に接するように設置されている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、第2搬送路2は、第1搬送路1の上方に平行に配置されている。第1搬送路1によって搬送される収容体5には、飲食物(寿司、汁物、菓子、飲み物等)が載る皿4が収容されており、各客席ブース3の顧客は、第1搬送路1上にある収容体5から、飲食物が載る皿4を取り出し、テーブル31で飲食するようになっている。一方、第2搬送路2では、注文された飲食物が載る皿4が搬送されるので、その皿4を取り出し、テーブル31で飲食を行う。
【0020】
また、
図2に示すように、客席ブース3のテーブル31上には、注文、会計等を行うためのタッチパネルディスプレイ32と、皿4を投入するための投入装置33と、が配置されている。タッチパネルディスプレイ32で注文された飲食物は、第2搬送路2によって、厨房S2から注文がなされたテーブル31まで搬送される。また、注文された飲食物に関する情報は、注文情報として処理装置(図示省略)に記憶される。以下、各装置について詳細に説明する。
【0021】
<2.搬送路>
図2に示すように、第1搬送路1は、フラットチエンコンベア11が配置された2つのレーンを有しており、このフラットチエンコンベア11は、客室S1と厨房S2との間で、モータ(図示省略)によって循環移動するようになっている。また、フラットチエンコンベア11上には、上述した収容体5が、所定間隔をおいて配置されており、第1搬送路1上を移動するようになっている。
【0022】
次に、第2搬送路2について説明する。
図2及び
図3に示すように、第2搬送路2は、第1搬送路1上に配置された支柱20によって支持されており、第1搬送路1と同様にフラットチエンコンベア21が配置された2つのレーンを有している。各フラットチエンコンベア21は、飲食物が載る皿4を搬送するようになっており、収容体5は搬送されない。各皿4に載る飲食物は、タッチパネルディスプレイ32で注文されたものである。そのため、注文された飲食物が載る皿4は、厨房S2から搬送され、注文が行われた客席ブース3で停止するようになっている。したがって、顧客は、例えば、第1搬送路1で所望の飲食物が搬送されてない場合には、タッチパネルディスプレイ32により注文を行うことができる。
【0023】
<3.投入装置>
次に、投入装置33について説明する。
図2に示すように、投入装置33は、テーブル31上で開口し、皿4が投入される投入口331を有する案内路332と、この案内路332の内部に設けられ、通過した皿4を検知するセンサ333と、を備えている。案内路332は、テーブル31から下方に向かって斜めに延びており、第1搬送路1の内部に設けられた皿回収水路22に連結されている。皿回収水路22は、厨房S2へ延びており、厨房S2に設けられた収容槽(図示省略)に連結されている。そして、この皿回収水路22には、収容槽に向かって水が流れており、投入口331から投入された皿4が、案内路332を介して皿回収水路22に落下すると、水によって収容槽まで流れるようになっている。そして、皿4は、収容槽で回収され、洗浄後、再利用される。
【0024】
案内路332を通過した皿4が、センサ333によって検知されると、その種類及び数が、上述した処理装置に送信され、投入情報として記憶される。この投入情報は、会計時に利用され、タッチパネルディスプレイ32において会計ボタン(図示省略)をタッチすると、投入情報と上述した注文情報に基づいて、飲食した皿の数や種類とともに料金がタッチパネルディスプレイに表示される。顧客が、これに承諾すると、POSレジでの料金の支払いを促す記載がタッチパネルディスプレイ32に表示される。あるいは、店舗スタッフを呼び出し、飲食した皿の数を数えてもらうことで会計処理を行うこともできる。
【0025】
<4.収容体>
次に、収容体5について、
図4~
図7を参照しつつ説明する。
図4は閉状態にある収容体の正面図、
図5は
図4の側面図、
図6は開状態にある収容体の正面図、
図7は
図6の側面図である。なお、
図4~
図7では、説明の便宜のため、皿4を着色した半透明で示している。まず、収容体5に収容される皿4について説明する。例えば、
図4に示すように、皿4は、平面視円形の皿板41と、この皿板41の下面に下方に突出する円筒状の高台42と、を備えており、これらが一体的に形成されている。そして、皿板41の上には、寿司等の飲食物(図示省略)が載せられる。
【0026】
次に、収容体5について、説明する。
図4~
図7に示すように、この収容体5は、皿4を載置する載置位置を有する載置台6と、この載置台6の上面を覆うための蓋体7と、載置位置への皿4の載置に伴い蓋体7を閉動作させるとともに、載置位置からの皿4の取り出しに伴い蓋体7を開動作させるための開閉機構80と、を備えている。また、この収容体5には、皿4を載置位置から離脱させるための操作部材(操作手段)9が設けられている。以下、各部材について詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜のため、
図4~
図7に示す方向に即して説明を行うが、本発明はこの方向には限定されない。
【0027】
<4-1.載置台>
図8は載置台及び操作部材の平面図、
図9は
図8の正面図、
図10は
図8の側面図である。但し、
図8では、説明の便宜のため、操作部材9を省略している。
図8及び
図9に示すように、載置台6は、円筒状のべース筒61と、その上端に設けられた載置部62とを備え、これらが一体的に形成されている。載置部62の上面には、皿4が載置されるようになっており、皿4は後述する載置位置に保持されるようになっている。載置部62は、平面視円形の載置板63と、この載置板63の上面の前部に配置されるストッパ64と、載置板63の後端部に配置され、蓋体7を開閉可能に支持する一対の支持片67と、を備えている。また、載置板63の前縁の中央よりもやや右側には円弧状の第1切り欠き部631と、この第1切り欠き部631から左側へ延びる矩形状の第2切り欠き部632と、が形成され、これらが連通している。そして、第2切り欠き部632の右端部を前後から挟むように、載置板63には、後述する操作部材65が取り付けられる一対の取付片633が設けられている。これら一対の取付片633は、載置板63から上方に延びるように形成されており、上端付近には貫通孔が形成されている。
【0028】
ストッパ64は、載置板63から隆起し、載置板63の前縁に沿うように、上述した第1切り欠き部631から左側に向かって延びている。そして、ストッパ64の後縁には、第2切り欠き部632の前縁に沿うように直線状に延びる第1内周面641と、この第1内周面641の左端から連続し、載置板63の左側へ延びる円弧状の第2内周面642と、が形成されている。第1内周面641は載置板63の右側に設けられており、第2内周面642は約90度の中心角を有するように、載置板63の前後方向の中心付近まで延びている。そして、第2内周面642に皿4の高台42の外周面が接するようになっている。
【0029】
また、載置板63の上面には、前後方向の中央よりも後方に平面視矩形状の凹部635が形成されており、この凹部635には、後述する作動体8が配置される。また、この凹部635の底面には、前後方向に延びる複数の長穴状の貫通孔636が形成されており、後述するように、この貫通孔636に作動体8の突部811が挿入されるようになっている。そして、皿4の高台42は、後述するように、ストッパ64の第2内周面642と作動体8によって挟まれ、これによって、皿4が載置台6に保持される。このときに皿4が載置される位置を載置位置と称することとする。
図4及び
図5は、皿4が載置位置にある状態を示している。
【0030】
図9及び
図10に示すように、上述した一対の支持片67は、凹部635を挟むように載置板63上に取り付けられ、載置板63から上方に延びている。そして、各支持片67の上端には、貫通孔671が形成されており、この貫通孔671に蓋体7の突部73が回転可能に挿入され、蓋体7が開閉するようになっている。すなわち、この支持片67は蓋体7が載置部62に対して開閉するためのヒンジとしての役割を果たす。
【0031】
<4-2.操作部材>
図8及び
図9に示すように、操作部材9は、平面視円形の操作部91と、この操作部91から左側へ延びる矩形状のレバー92と、を備え、これらが一体的に形成されている。そして、操作部91は、上述した第1切り欠き部631内に配置され、レバー92は第2切り欠き部632内に配置される。操作部91は、第1切り欠き部631からややはみ出すように配置される。レバー92の右端部付近には、前後にそれぞれ突出する突部921が形成されており、これら突部921が、上述した各取付片633の貫通孔に回転自在に取り付けられている。これにより、操作部材9は、突部921を中心に揺動可能となっている。初期状態である第1状態では、
図9の実線で示すように、レバー92が第2切り欠き部632内に概ね収容され、操作部91は第1切り欠き部631からやや上方に配置されている。そして、この第1状態から操作部91を下方に押し込むと、
図9の破線で示すように、レバー92の左端部が第2切り欠き部632よりも(載置板63の上面よりも)上方に揺動するようになっている。この状態を第2状態と称することとする。
【0032】
また、レバー92の前縁は、ストッパ64の第1内周面641に沿うように形成されているが、レバー92の先端部922の前縁のみ、第2内周面642に沿うように形成されている。但し、先端部922の左右方向の長さは短く、載置板63の中央よりも右側に位置している。
【0033】
<4-3.蓋体>
図11は蓋体の側面図である。
図11に示すように、蓋体7は、ドーム状に形成された蓋本体71と、この蓋本体71の後端部から下方に延びる左右一対のアーム片72と、を備えており、これらが一体的に形成されている。蓋本体71及びアーム片72は、透明な合成樹脂材料で構成されており、外部から内部を視認可能となっている。各アーム片72の上端付近には、上述した突部73が形成されており、各突部73が載置部62の支持片67の貫通孔671に回転可能に嵌め込まれている。各突部73は左右方向に突出しており、これによって、蓋体7は、両突部73を通過し左右方向に延びる旋回軸L(
図4等参照)周りに回動し、載置板63に対して開閉可能となっている。
【0034】
また、各アーム片72の下端には、上方に延びる長穴状の切り欠き75が形成されている。この切り欠き75には、後述する作動体8の連結軸85が挿入される。
【0035】
蓋体7の外径は、載置板63の外径とほぼ同じとなっており、
図4に示すように、蓋体7が閉状態となったときには、蓋体7の下縁は、載置板63の周縁部から隙間を開けて上方に配置される。そして、この隙間に皿4が収容される。さらに、
図4に示すように、蓋体7の前部の下縁には円弧状の切り欠き76が形成されており、この切り欠き76を介して収容された皿4を掴めるようになっている。蓋体7の最上部には貫通孔77が形成されており、この貫通孔77には、各蓋体7に入っている飲食物の種類を示す表示札79が取り付けられている。この表示札79には、例えば、マグロ、鯛などの寿司の種類を表示することができる。
【0036】
<4-4.開閉機構>
次に、開閉機構について説明する。
図5及び
図7に示すように、開閉機構80は、載置板63上に配置される作動体8と、この作動体8を前方に付勢するためのコイルスプリング(付勢手段)83と、を備えている。
【0037】
まず、作動体8について説明する。
図12は、作動体の平面図(a)、側面図(b)、及び底面図(c)である。
図12に示すように、作動体8は、上述した載置板63の凹部635に配置され、凹部635内を前後方向にスライドする板状の本体部81と、この本体部81の後部から上方に突出する支持部82と、を備えている。支持部82は、平面視矩形状に形成されているが、前部には、後方に向かって円弧状に凹む内周面821が形成されており、この内周面821が皿4の高台42の外周面に接するようになっている。すなわち、この作動体8の内周面821と、ストッパ64の第2内周面642とで皿4の高台42を挟むようになっている。
【0038】
図12(c)に示すように、本体部81の下面には、前後方向に延びる複数の突部811が形成されており、これら突部811は、上述したように、載置板63の凹部635の底面に形成された貫通孔634に嵌め込まれている。これにより、本体部81は、突部811と貫通孔634とでガイドされつつ、前後方向にスライド可能となっている。そして、
図5等に示すように、複数の突部811のうち、左右方向の中央の突部811aと、載置板63の下面において、この突部811aよりも前方に形成された取付部638との間には、上述したコイルスプリング83が取り付けられている。このコイルスプリング83により、作動体8は、前方に向かって常時付勢されている。但し、後述する
図14に示すように、作動体8の本体部81は、載置板63の凹部635に配置されており、凹部635の前壁がストッパになるため、前方に付勢されているものの、前壁によってそれ以上前方へは移動しないようになっている。
【0039】
また、
図12に示すように、支持部82の後端の両側には、後方に向かって斜め上方に延びる突片84が形成されている。各突片84の上端付近には、左右方向に延びる連結軸85が形成されており、各連結軸85は、蓋体7のアーム片72に形成された切り欠き75に挿入されており、切り欠き75内を移動可能となっている。なお、連結軸85は、旋回軸Lよりも下方において、切り欠き75に挿入されている。
【0040】
次に、作動体による蓋体の開閉について説明する。
図13は閉状態の蓋体を示す、
図14は開状態の蓋体を示している。
図13及び
図14では、主として蓋体7と作動体8とを示しており、説明の便宜のため、載置台6の支持片67は省略している。
【0041】
作動体8は、常時コイルスプリング83によって前方に付勢されているため、
図13に示すように、外力が作用しないときには、作動体8は凹部635の前壁に接している。これにより、連結軸85は、アーム片72の下端部を前方に押し遣っている。すなわち、連結軸85は、旋回軸Lの下方においてアーム片72の下端部を前方に押圧するため、蓋体7は揺動軸L周りに上方に揺動し、開状態となる。作動体8はコイルスプリング83によって常時前方に付勢されているため、初期状態では、蓋体7は開状態となっている。
【0042】
この状態から、作動体8をコイルスプリング83に抗して後方に移動させると、
図14に示すように、連結軸85がアーム片72を後方に押し遣る。これにより、蓋体7は、旋回軸Lよりも下方において後方に押圧されるため、旋回軸L周りに下方に揺動し、閉状態になる。この過程において、連結軸85は、アーム片72の切り欠き75内を上方に向かって移動する。
【0043】
<5.収容体の使用方法>
次に、上記収容体5の使用方法について説明する。まず、調理人が寿司等の飲食物(図示省略)を皿4の皿板41上に盛ったのち、皿板41の周縁部を手で持って、第1搬送路1上に置かれた開状態の収容体5に皿4を載せる。すなわち、
図7の状態から皿4を載置板63に対して後方に向けて押し込む。このとき、皿4の高台42を作動体8の内周面821に対して接触させ、皿4を作動体8とともに後方に押圧する。そして、皿4の高台42をストッパ64の第2内周面642に係合させれば、高台42は作動体8とストッパ64との間に保持される。このとき、操作部材9のレバー92は、高台42の下方に押し遣られる。この過程において、作動体8は後方に移動するため、
図4及び
図5に示すように、蓋体7は下方に揺動し、閉状態となる。これにより、皿4の上方が蓋体7によって覆われるため、寿司が蓋体7によって保護され、埃などが付着するのが防止される。但し、蓋体7は透明であるため、内部の寿司を外部から視認可能である。なお、作動体8はコイルスプリング83によって前方に付勢されているため、皿4の高台42は、作動体8に押し込まれる。したがって、高台42は作動体8とストッパ64との間でしっかりと保持される。これに伴い、蓋体7は閉状態に保持されるため、不用意に開かない。
【0044】
このように皿4が配置された収容体5は、第1搬送路1に沿って搬送されていき、テーブル31において、顧客により収容体5から皿4が取り出される。以下、この操作について説明する。
【0045】
顧客は、2通りの方法で収容体5から皿4を取り出すことができる。1つの目の方法は、操作部材9の操作部91を押圧する方法である。
図4及び
図5の状態から顧客が操作部91を下方に押し込むと、
図6に示すように、レバー92がストッパ64の近傍で高台42を上方に押し上げる。これにより、高台42がストッパ64から離脱すると、コイルスプリング83によって付勢される作動体8によって高台42が前方に押し遣られる。この過程で作動体8は前方に移動するため、
図6及び
図7に示すように、蓋体7が上方に揺動し開状態となる。この状態で、顧客は、皿板41を掴んで、皿4を収容体から取り出すことができる。
【0046】
もう一つの方法では、
図4及び
図5の状態から蓋体7の切り欠き76から指を挿入し、皿板41を指で掴んで上方に押し上げる。これにより、高台42がストッパ64から離脱すると、作動体8によって高台42が前方に押し遣られる。この過程で作動体8は前方に移動するため、これに伴って蓋体7が上方に揺動し開状態となる。この状態で、顧客は、皿板41を掴んだまま、皿4を収容体5から取り出すことができる。
【0047】
<6.特徴>
以上のように、本実施形態に係る収容体5では、次の効果を得ることができる。
(1)操作部91を押し込むと、レバー92が皿4の高台42を押し上げるため、高台42とストッパ64との係合状態が解除される。これに伴い、皿4が前方に押し出されるとともに、蓋体7が開くため、蓋体7に触れず、皿4を収容体5から取り出すことができる。
【0048】
(2)操作部91は、載置板63においてテーブル31側を向く位置に配置されている。すなわち、操作部91は、載置板63の前部に形成された第1切り欠き部631に配置され、且つ操作部91の一部が第1切り欠き部631から載置板63の外部にはみ出すように、配置されている。そのため、顧客が操作部91を視認しやすく、また押込操作をしやすくすることができる。例えば、操作部91を着色したり、「押す」等の表示が付されていると、特段の説明書きが無くても、顧客が直感的に収容体5から皿4を取り出すことができる。
【0049】
(3)操作部材9のレバー92がストッパ64の近傍に配置されているため、皿4を載置位置に向けて配置する際にレバー92が邪魔になるのを防止することができる。すなわち、皿4を載置板63上に配置する際には、上方から作動体8に対し、皿4をやや斜め下方に向けて載置板63に配置するため、載置板63の前部に配置されているレバー92は、皿4の載置の際に邪魔になりにくい。また、レバー92がストッパ64の近傍に配置されているため、高台42をストッパ64の近傍で押し上げることができる。したがって、高台42をストッパ64から離脱させやすい。
【0050】
(4)蓋体7の前部に切り欠き76が形成されているため、上記のように、この切り欠き76から指を挿入して皿4を掴み、この状態から皿4を上方に持ち上げることで、皿4を載置位置から離脱させ、収容体5から取り出すことができる。したがって、操作部材9を用いる以外の方法でも皿4を取り出すことができる。この方法であれば、収容体5に触れずに皿4を取り出すことができる。
【0051】
<7.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜、組み合わせることができる。
【0052】
(1)上記実施形態で示した開閉機構80は、一例であり、載置位置に皿4が載置されたときに、蓋体7を閉状態にするとともに、載置位置から皿4が離脱したときに、蓋体7を開状態に移行するように構成されていればよい。例えば、以下の例を挙げることができる。
【0053】
(1-1)
図15は、載置台の第1の他の例を示す正面図である。同図に示すように、この載置台6が上記実施形態と相違するのは、操作部材9の操作を機械で行う点である。この載置台6の載置板63の縁部には、操作部材9の近傍にブラケット501が取り付けられており、ブラケット501の上部には載置板63の上方に配置された支持部502が設けられている。そして、この支持部502と操作部材9の操作部91との間には、バネ504が設けられており、このバネ504によって、操作部91は常時下方に付勢されている。一方、ブラケット501の下部には載置板63の下方に配置されるサーボモータ503が取り付けられており、このサーボモータ503には、アーム505が回転可能に取り付けられている。アーム505は、サーボモータ503により
図15に示す初期位置と
図16に示す待避位置との間を旋回するようになっている。アーム505は、初期位置において上方に延びるように位置決めされており、これによって、操作部91を下方から押圧している。そのため、操作部91は、上方からバネ504によって付勢されつつ、アーム505によって上方に押し遣られているため、操作部材9は、上述した第1状態に保持されている。この状態において、
図4及び
図5に示すように、皿4が収容体5に収容される。
【0054】
サーボモータ503を駆動するために、載置台6のベース筒61の内部には、コントローラ506と電池507が設けられている。また、載置板63における前方の端部には、コントローラ506と電気的に接続されたセンサ508が設けられている。このセンサ508には投光器509と受光器510とが設けられており、投光器509から前方に光を照射するとともに、その光が障害物に当たって反射したときに、受光器510で受光し、センサ508による検知がONとなるように構成されている。すなわち、
図4及び
図5に示す状態において、顧客が皿4を手に取るために、載置台63に手を近づけると、投光器509からの光が手で反射し、受光器510で受光されるようになっている。こうして、センサによる検知がONになると、コントローラ506は、サーボモータ503を駆動し、アーム505が1回転する。この1回転の間に、例えば、アーム505が
図16に示すように初期位置からずれると、操作部91はアーム505による支持がなくなるため、バネ504によって押し遣られ下方に移動する。その結果、操作部材9は上述した第2状態に遷移するため、
図6及び
図7に示すように、蓋体4が開くとともに、皿4が前方に押し出される。そして、アーム505が1回転すると、
図15に示す初期位置に戻り、再び、操作部91がアーム505によって押し上げられ、操作部材9は第1状態に復帰する。
【0055】
以上のような構成により、顧客が収容体5に手を近づけ、これがセンサ508によって検知されると、操作部材9が自動的に操作されるため、収容体5から皿4を取り出すために、顧客が操作部材9を操作する手間を省くことができる。なお、上述したサーボモータ503、バネ504、アーム505等が、本発明の動作部材に相当する。
【0056】
(1-2)
図17は、載置台の第2の他の例を示す正面図である。なお、以下の説明では、上述した(1-2)と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略することとする。
図17に示すように、この載置台6の載置板63上には、ブラケット511で支持されたソレノイドアクチュエータ512が設けられており、このソレノイドアクチュエータ512は操作部材9の操作部91の上方に配置されている。ソレノイドアクチュエータ512には、可動鉄芯513が上下動可能に設けられている。この可動鉄芯513は、ソレノイドアクチュエータ512に内蔵された電磁コイル(図示省略)に一時的に電流が流れることで下方へ移動するように構成されている。また、ソレノイドアクチュエータ512の下方からはプッシュバー514が上下動可能に設けられており、可動鉄芯513の上下動と連動して操作部91に対して進退するように構成されている。より詳細には、センサ508の検知がONになると、コントローラ506がソレノイドアクチュエータ512を駆動し、プッシュバー514を下方に移動するようになっている。また、ソレノイドアクチュエータ512の内部には、バネ(図示省略)が設けられており、電磁コイルへの電流の印加が停止すると、このバネによって可動鉄芯513が元の位置に戻るように上方に付勢される。これと連動してプッシュバー514も上方に移動するようになっている。
【0057】
したがって、操作部材9が第1状態にある
図17の状態において、顧客が皿4を取ろうとしてセンサ508の検知がONになると、電磁コイルに一時的に電流が流れ、可動鉄芯513が下方に移動する。これに連動して、プッシュバー514が操作部91を下方に押し遣ると、
図18に示すように、操作部材9が第2状態に遷移し、
図6及び
図7に示すように、蓋体4が開くとともに、皿4が前方に押し出される。そして、電磁コイルへの電流の印加が停止すると、可動鉄芯513がバネによってプッシュバーとともに上方に移動する。これにより、
図17の状態に戻る。この例においても、操作部材9が自動的に操作されるため、収容体5から皿4を取り出すために、顧客が操作部材9を操作する手間を省くことができる。なお、上述したソレノイドアクチュエータ512、プッシュバー514等が、本発明の動作部材に相当する。
【0058】
(1-3)
図19は、載置台の第3の他の例を示す正面図である。なお、以下の説明では、上述した(1-1)と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略することとする。
図19に示すように、この載置台6には、操作部材9は取り付けられておらず、その代わりに、ベース筒61の内部に、コントローラ506と接続されたサーボモータ515と、このサーボモータ515に回転可能に取り付けられたアーム516と、が設けられている。また、回転したアーム516が、上述した第2切り欠き部632を介して載置板63から上方に突出するようになっている。
【0059】
図19に示すように、皿4が収容体5に保持されているときには、アーム516は第2切り欠き部632の下方において、水平方向に延びるように位置決めされている。したがって、アーム516は皿4には接触していない。この状態において、顧客が皿4を取ろうとしてセンサ508の検知がONになると、アーム516が一回転するように構成されている。この一回転の間に、
図20に示す位置にアーム516が移動すると、第2切り欠き部632を介してアーム516が皿の高台42を上方に押し上げ、皿4はストッパ64から離脱するとともに前方に押し遣られる。これとともに、上述したように蓋体7が開き、皿4が取り出し可能な状態となる。そして、アーム516が1回転すると、
図19に示す初期位置に戻り、再び、皿4を収容体5に収容できる状態となる。この例においては、操作部材を設けず、自動的に収容体5から皿4を取り出し可能な状態にすることができる。この(1-3)における、サーボモータ515及びアーム516が本発明の操作手段に相当する。
【0060】
なお、サーボモータ515とアーム516の代わりに、(1-2)で説明したソレノイドアクチュエータ512を用いることもできる。また、上記各例においては、収容体5に電池507を設け、コントローラ506、サーボモータ503,515、ソレノイドアクチュエータ512、センサ508に電源を供給しているが、電池を設ける位置は特には限定されず、電池を設けず、有線または無線で電流を供給することもできる。また、センサ508の構成も特には限定されず、例えば、皿4を取り出そうとする顧客の動作を検知できるものであればよい。
【0061】
(2)載置台6、蓋体7、皿4の形状は特には限定されず、平面視円形以外の形状であってもよい。また、皿4の形状に合わせて、これらの形状も適宜変更することができる。
【0062】
(3)操作部材9の構成は特には限定されず、顧客の操作により、皿4を載置位置から離脱させることができればよい。すなわち、顧客の操作により、皿4とストッパ64との係合状態を解除できるように、皿4を移動させることができるのであれば、種々の構成が可能である。
【0063】
(4)蓋体7の切り欠き76は必須ではなく、操作部材9のみによって、皿4を収容体5から取り出せるように構成されていてもよい。
【0064】
(5)上記実施形態では、本発明の容器として皿4を例示しているが、皿4以外の容器であってもよい。この場合、容器の一部がストッパ64と作動体8との間に保持されるように構成されていればよい。
【0065】
(6)上記実施形態では、投入口331に皿4を投入することで、第1搬送路1から取り出した皿の数を算出している。しかしながら、皿4の数の算出方法は特には限定されず、例えば、カメラで第1搬送路1を搬送される収容体5を撮影し、収容体5から取り出された皿4の数を画像処理により算出することもできる。また、上述した会計処理も一例であり、適宜変更することができる。
【0066】
(7)上記実施形態では、注文された飲食物は、第2搬送路2で搬送しているが、搬送路を第1搬送路1だけにし、注文された飲食物が載る皿4もこの第1搬送路1で搬送することができる。この場合、注文された皿4には、その旨が分かるような目印等(例えば、客席ブース3の番号、注文内容など)を付する必要がある。
【0067】
(8)上記実施形態では、寿司の提供システムについて説明したが、これ以外の飲食物の提供に本発明の収容体を用いることもできる。また、上述した搬送路の構成、客席ブースの構成は一例であり、適宜変更することができる。また、投入装置は必須ではなく、皿の数のカウント方法は特には限定されない。したがって、店舗スタッフによって皿の数、種類をカウントすることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 第1搬送路
4 皿
6 載置台
64 ストッパ
7 蓋体
8 作動体
82 コイルスプリング(付勢手段)
9 操作部材(操作手段)
91 操作部
92 レバー