(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162390
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】賃貸不動産評価装置、賃貸不動産評価方法、及び賃貸不動産評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20221017BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067213
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 勝也
(72)【発明者】
【氏名】菊池 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】賃貸不動産を担保として融資している場合に、その管理負担を低減することが可能な賃貸不動産評価装置、賃貸不動産評価方法、及び賃貸不動産評価プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本実施の形態に係る賃貸不動産評価装置は、賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得する取得手段と、前記賃貸物件データに満室時賃料を追加した担保物権登録データを登録する物件登録手段と、前記担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する洗替処理手段と、前記取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する按分処理手段と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた賃貸不動産評価装置であって、
賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得する取得手段と、
前記賃貸物件データに満室時賃料を追加した担保物権登録データを登録する物件登録手段と、
前記担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する洗替処理手段と、
前記取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する按分処理手段と、
を備えたことを特徴とする賃貸不動産評価装置。
【請求項2】
按分処理手段は、さらに、前記賃貸物件毎の債務残高に基づいて、LTV(Life Time Value)、元本返済額、支払利息(約定レート)の少なくとも1つを算出することを特徴とする請求項1に記載の賃貸不動産評価装置。
【請求項3】
前記取得手段は、不動産担保システムから前記賃貸物件データを取得し、
前記洗替処理手段は、前記不動産担保システムに評価額の洗替を行わせて、当該不動産担保システムから洗替後の評価額を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の賃貸不動産評価装置。
【請求項4】
前記賃貸物件データは、物件番号、棟番号、都道府県、市区町村、町丁目、駅からの距離(徒歩分)、用途、構造、建築年月日、年間賃料、その他収入、減価償却費、修繕費、還元利回り、評価額を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の賃貸不動産評価装置。
【請求項5】
制御部を備えた情報処理装置で実行される賃貸不動産評価理方法であって、
前記制御部において実行される、
賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得する取得工程と、
前記賃貸物件データに満室時賃料を追加した担保物権登録データを登録する物件登録工程と、
前記担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する洗替処理工程と、
前記取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する按分処理工程と、
を含むことを特徴とする賃貸不動産評価方法。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置に実行させるための賃貸不動産評価プログラムであって、
前記制御部において、
賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得する取得工程と、
前記賃貸物件データに満室時賃料を追加した担保物権登録データを登録する物件登録工程と、
前記担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する洗替処理工程と、
前記取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する按分処理工程と、
を実行するための賃貸不動産評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃貸不動産評価装置、賃貸不動産評価方法、及び賃貸不動産評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融業界では、担保とする賃貸不動産(収益物件)の時価評価を再算出する必要がある。賃貸不動産の時価評価を算出するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、賃貸不動産を担保として融資している場合に、その管理負担を低減することに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、賃貸不動産を担保として融資している場合に、その管理負担を低減することが可能な賃貸不動産評価装置、賃貸不動産評価方法、及び賃貸不動産評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた賃貸不動産評価装置であって、賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得する取得手段と、前記賃貸物件データに満室時賃料を追加した担保物権登録データを登録する物件登録手段と、前記担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する洗替処理手段と、前記取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する按分処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、按分処理手段は、さらに、前記賃貸物件毎の債務残高に基づいて、LTV(Life Time Value)、元本返済額、支払利息(約定レート)の少なくとも1つを算出することにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記取得手段は、不動産担保システムから前記賃貸物件データを取得し、前記洗替処理手段は、前記不動産担保システムに評価額の洗替を行わせて、当該不動産担保システムから洗替後の評価額を取得することにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記賃貸物件データは、物件番号、棟番号、都道府県、市区町村、町丁目、駅からの距離(徒歩分)、用途、構造、建築年月日、年間賃料、その他収入、減価償却費、修繕費、還元利回り、評価額を含むことにしてもよい。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される賃貸不動産評価理方法であって、前記制御部において実行される、賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得する取得工程と、前記賃貸物件データに満室時賃料を追加した担保物権登録データを登録する物件登録工程と、前記担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する洗替処理工程と、前記取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する按分処理工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための賃貸不動産評価プログラムであって、前記制御部において、
賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得する取得工程と、前記賃貸物件データに満室時賃料を追加した担保物権登録データを登録する物件登録工程と、前記担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する洗替処理工程と、前記取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する按分処理工程と、を実行するための賃貸不動産評価プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、賃貸不動産を担保として融資している場合に、その管理負担を低減することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る事業収支システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る事業収支システム及び不動産担保システムの全体の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る事業収支システム及び不動産担保システムの処理の具体例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る事業収支システム及び不動産担保システムの処理の具体例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る事業収支システム及び不動産担保システムの処理の具体例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る事業収支システム及び不動産担保システムの処理の具体例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る事業収支システム及び不動産担保システムの処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
例えば、金融業界では、担保とする賃貸不動産(収益物件)の時価評価を再算出する必要がある。
【0016】
しかしながら、リスク管理をする上で賃貸不動産融資に対する時価評価の見直しが煩雑になっている。具体的には、リスク管理(査定業務)をする上で賃貸不動産融資に対する時価評価の見直しが自動化できずに、毎年再評価を実施し事務負荷が膨大にかかっていた。
【0017】
そこで、本実施の形態では、賃貸不動産融資の情報を蓄積することで査定業務(不動産担保の見直し)へシームレスな連携をし、賃貸不動産融資の最新の時価評価額を算出することで、融資業務の効率化を実現した。従来は、賃貸不動産融資の時価評価額の再算出は実現できていなかったが、本実施の形態では、賃貸不動産の管理をすることで再算出を実現できた。これにより、賃貸不動産を担保に取っている場合、その管理負担が軽減される。本実施の形態の賃貸不動産評価装置は、不動産賃貸融資の不動産担保を管理している業種で好適に使用することができる。
【0018】
[2.構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る事業収支システム(「賃貸不動産評価装置」ともいう)の一例について説明する。
図1は、本実施の形態に係る事業収支システム(賃貸不動産評価装置)の構成の一例を示すブロック図である。
図1において、事業収支システム100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。事業収支システム100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0019】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、事業収支システム100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、事業収支システム100と、不動産担保システム400やサーバ200等とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0020】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、および、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。
【0021】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、および、ファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等を用いることができる。また、記憶部106は、データファイル106aを備えている。
【0022】
データファイル106aは、各種データを格納するためのファイルである。
【0023】
図1に戻り、制御部102は、事業収支システム100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、連携部(取得部)102aと、物件登録部102bと、洗替処理部102cと、按分処理部102dと、確認処理部102eと、画面表示制御部102fと、を備えている。
【0024】
連携部(取得部)102aは、賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得して、データファイル106aに格納する。連携部(取得部)102aは、例えば、不動産担保システム400と連携して、不動産担保システム400から賃貸物件データを取得してもよい。
【0025】
賃貸物件データは、物件番号、棟番号、都道府県CD、都道府県名、市区町村CD、市区町村名、町丁目CD、町丁目名、駅からの距離(徒歩分)、用途、構造、建築年月日、年間賃料、その他収入、減価償却費、修繕費、還元利回り、評価額を含むことにしてもよい。
【0026】
物件登録部102bは、賃貸物件データに満室時賃料等を追加した担保物権登録データを生成して、データファイル106aに登録する。
【0027】
洗替処理部102cは、担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する。洗替処理部102cは、不動産担保システム400と連携して、評価額の洗い替えを行わせて、不動産担保システム400で洗い替えした評価額を取得してもよい。
【0028】
按分処理部102dは、洗替処理部102cで取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する。また、按分処理部102dは、さらに、賃貸物件毎の債務残高に基づいて、LTV(Life Time Value)、元本返済額、支払利息(約定レート)の少なくとも1つを算出することにしてもよい。
【0029】
確認処理部102eは、例えば、モニタ114に表示されるデータ出力画面(
図7参照)上でのオペレータの操作に応じて、指定される抽出条件に該当するデータファイル106aに登録されている物件登録データを抽出して、物件概要データとして出力する。
【0030】
画面表示制御部102fは、例えば、モニタ114に表示する各種画面(例えば、自動洗替処理画面、データ出力画面等)の表示及びその入力の受付を制御する。
【0031】
[3.具体例]
本実施の形態に係る事業収支システム100の処理の具体例について、
図1~
図7を参照して説明する。
図2は、本実施の形態に係る事業収支システム100の全体の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。
図3~
図7は、本実施の形態に係る事業収支システム100の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【0032】
(3-1.全体の処理)
図2を参照して、事業収支システム100と不動産担保システム400の全体の処理の流れの概略を説明する。
【0033】
不動産担保システム400では、物件登録を行う(ステップS1)。具体的には、不動産担保システム400では、担保物件の情報を、評価テーブル、調査・査定テーブル、収益還元楝情報テーブルに登録する。
【0034】
事業収支システム100の連携部102aは、不動産担保システム400と連携して、賃貸物件データ(賃貸物件テーブル)を取得する(ステップS2)。
【0035】
事業収支システム100の物件登録部102bは、賃貸物件データに必要な情報(例えば、店番、口座番号、債務残高、満室時賃料)を登録して、担保物権登録データを生成する(ステップS3)。
【0036】
事業収支システム100の洗替処理部102cは、モニタ114に表示される自動洗替処理画面でのオペレータの操作に応じて、自動洗替の条件を設定して、不動産担保システム400と連携し、不動産担保システム400で満室時賃料を使用して時価評価額の自動
洗替えを行い、計算後の結果(時価評価額)を不動産担保システム400から取得する(ステップS4)。
【0037】
事業収支システム100の按分処理部102dは、残高按分処理を実行して、計算後の時価評価額を使用して、債務残高を按分して、物件毎の債務残高を算出する(ステップS4)。また、按分処理部102dは、算出された債務残高にて、元本返済額、支払利息(約定レート)、LTVを算出する。
【0038】
確認処理部102eは、確認処理を実行して、例えば、モニタ114に表示されるデータ出力画面(
図7参照)上でのオペレータの操作に応じて、指定される抽出条件に該当するデータファイル106aに登録されている物件登録データを抽出して、物件概要データとして表示出力する。
【0039】
(サンプルデータ)
つぎに、
図3~
図7のサンプルデータを参照して、本実施の形態に係る事業収支システム100及び不動産担保システム400の処理の具体例を説明する。
【0040】
(物件登録S1)
不動産担保システム400は、担保物件の情報を、評価テーブル、調査・査定テーブル、収益還元楝情報テーブルに登録する。
図3は、不動産担保システムでの物件登録を説明するための図である。
【0041】
図3(A)は、評価テーブル、
図3(B)は、査定・調査テーブル、
図3(C)は、収益還元楝情報テーブルの例を示している。
【0042】
評価テーブル(Key:評価受付番号)は、
図3(A)に示すように、評価受付番号、物件番号、都道府県CD、都道府県名、市区町村CD、市区町村名、町丁目CD、町丁目名を含んでいてもよい。
【0043】
図3(A)に示す評価テーブルの例では、1行目は、評価受付番号「112180000001」、物件番号「100000001000」、都道府県CD「13」、都道府県名「東京都」、市区町村CD「102」、市区町村名「中央区」、町丁目CD「004002」、町丁目名「京橋2丁目」、2行目は、評価受付番号「112180000002」、物件番号「100000002000」、都道府県CD「13」、都道府県名「東京都」、市区町村CD「102」、市区町村名「中央区」、町丁目CD「012001」、町丁目名「日本橋1丁目」となっている。
【0044】
調査・算定テーブル(Key:評価受付番号、棟番号)は、
図3(B)に示すように、評価受付番号、棟番号、駅からの距離(徒歩分)、用途、構造、建築年月日のデータを含んでいてもよい。
【0045】
図3(B)に示す調査・算定テーブルの例では、1行目は、評価受付番号「112180000001」、棟番号「1」、駅からの距離(徒歩分)「10」、用途「居宅」、構造「木造」、建築年月日「2019/01/01」、2行目は、評価受付番号「112180000002」、棟番号「1」、駅からの距離(徒歩分)「15」、用途「居宅」、構造「鉄骨造」、建築年月日「2018/12/20」となっている。
【0046】
収益還元棟情報テーブル(Key:評価受付番号、棟番号)は、
図3(C)に示すように、評価受付番号、棟番号、A.年間賃料、B.その他収入、C.減価償却費、D.修繕費、還元利回り、F.敷金保証金、評価額を含んでいてもよい。
【0047】
図3(C)に示す収益還元棟情報テーブルの例では、1行目は、評価受付番号「112180000001」、棟番号「1」、A.年間賃料「12,480,000」、B.その他収入「2,400,000」、C.減価償却費「2,004,000」、D.修繕費「2,680,000」、E.還元利回り「5.50」、F.敷金保証金「1,248,000」、価額「184,133,818」、2行目は、評価受付番号「112180000002」、棟番号「1」、A.年間賃料「16,835,000」、B.その他収入「1,300,000」、C.減価償却費「2,034,000」、D.修繕費「3,450,000」、E.還元利回り「7.00」、F.敷金保証金「1,683,500」、価額「180,728,571」となっている。
【0048】
評価額の計算式は以下の通りである。
[1]年間総収入=A.年間賃料+B.その他収入
[2]年間総費用=C.減価償却費+D.修繕費
[3]年間純収益=[1]年間総収入-[2]年間総費用
[4]収益価格=[3]年間純収益÷(E.還元利回り/100)
評価額=[4]収益価格-F.敷金保証金で算出する。但し、評価額<0の場合、評価額=0とする。
【0049】
評価テーブルの物件番号、都道府県CD、都道府県名、市区町村CD、市区町村名、町丁目CD、町丁目名と、調査・算定テーブルの棟番号、駅からの距離(徒歩分)、用途、構造、建築年月日と、収益還元棟情報テーブルのA.年間賃料、B.その他収入、C.減価償却費、D.修繕費、還元利回り、評価額とが事業収支システム100に連携される。
【0050】
(不動産担保システム400と連携S2)
事業収支システム100は、不動産担保システム400と連携して、賃貸貸物件データ(テーブル)を取得する(ステップS2)。
【0051】
図4(A)は、賃貸物件データの一例を示している。賃貸物件データ(Key:物件番号)は、
図4に示すように、物件番号、棟番号、都道府県CD、都道府県名、市区町村CD、市区町村名、町丁目CD、町丁目名、駅からの距離(徒歩分)、用途、構造、建築年月日、年間賃料、その他収入、減価償却費、修繕費、還元利回り、評価額を含んでいてもよい。これらの項目のデータは、不動産担保システム400の評価テーブル、査定・調査テーブル、収益還元楝情報テーブルと連携して取得する。
【0052】
(物件登録S3)
事業収支システム100は、賃貸物件データに必要な情報(店番、口座番号、債務残高、満室時賃料)を登録して、担保物権登録データを生成する(ステップS4)。
【0053】
担保物件登録データは、
図4(B)に示すように、物件番号、棟番号、都道府県CD、都道府県名、市区町村CD、市区町村名、町丁目CD、町丁目名、駅からの距離(徒歩分)、用途、構造、建築年月日、年間賃料、その他収入、減価償却費、修繕費、還元利回り、評価額、店番、口座番号、債務残高、満室時賃料のデータを含んでいてもよい。
【0054】
担保物件登録データは、賃貸物件データに、店番、口座番号、債務残高、満室時賃料を追加したものとなっている。
【0055】
図4(B)に示す担保物件登録データの例では、物件番号「100000001000」は、店番「100」、口座番号「1000001」、債務残高「114,200,000」、満室時賃料「10,000,000」、物件番号「100000002000」は、店番「100」、口座番号「1000001」、債務残高「135,800,000」、満室時賃料「17,000,000」となっている。
【0056】
(自動洗替処理S4)
事業収支システム100は、モニタ114に表示される自動洗替処理画面でのオペレータの操作に応じて、自動洗い替えの条件を設定し、設定した条件で不動産担保システム400に自動洗替処理を実行させて、計算後の結果(時価評価額)を不動産担保システム400から取得する。
【0057】
図5(A)は、自動洗替処理画面の表示例を示している。自動洗替処理画面は、洗替日の入力欄と、店番号、顧客番号の抽出条件の入力欄と、実行ボタンとを備えている。洗替日と、店番号、顧客番号の抽出条件を入力して、実行ボタンを押すと、不動産担保システム400へデータ(満室時賃料)を連携し、設定した条件で不動産担保システム400に時価評価の洗替を自動実行させる。図に示す例では、洗替日「2021/2/10」、店番号「000~999」、顧客番号「0000000~9999999」となっている。
【0058】
不動産担保システム400では、事業収支システム100で登録した満室時賃料を使用し、時価評価額を自動算出する。
【0059】
時価評価額は以下のようにして算出する。
(1)年間総収入
担保物権登録データの満室時賃料=年間総収入
(2)年間総費用
(1)年間総収入×経費率/100=年間総費用
(3)年間純収益
(1)年間総収入-(2)年間総費用=年間純収益
(4)収益価格
(3)年間純収益÷(担保物件登録データの還元利回り(%)/100)=収益価格
(5)時価評価
(4)収益価格-担保物件登録データの(年間)敷金保証金=時価評価
【0060】
図5(B)は、計算例を示しており、物件番号、棟番号、満室時賃料、経費率、年間総費用、年間純収益、還元利回り、収益価格、敷金保証金、時価評価が算出されている。
【0061】
不動産担保システム400は、計算処理後の時価評価額を事業収支システム100に再連携する。
図5(C)は、計算処理後の時価評価額を示しており、
図5(C)に示す例では、物件番号「100000001000」、棟番号「1」、時価評価「126,872,727」、物件番号「100000002000」、棟番号「1」、時価評価「169,400,000」となっている。
【0062】
(残高按分処理S5)
事業収支システム100は、自動洗替処理で算出された物件の時価評価額(「収益還元評価額」ともいう)を元に、債務残高を按分して、物件毎の債務残高を算出し、また、
算出された債務残高に基づいて、元本返済額、支払利息(約定レート)、LTVを算出し、これらのデータを担保物件登録データに追加して、物件登録データとしてデータファイル106aに格納する。
【0063】
図6(A)は最新融資残高情報の例を示している。
図6(B)は前回融資残高情報の例を示している。
図6(C)は、計算前の物件登録データの例を示している。
【0064】
LTVの計算は以下のようにして行う。
LTV=(債務残高/時価評価額)×100
物件番号100000001000の場合の場合は、LTV=(126,872,727/114,200,000)×100=70%となる。
【0065】
債務残高、元本返済額、支払利息は以下のようにして算出する。
(1)口座別収益還元評価額合計=物件登録データに登録されてある店番、口座番号毎に時価評価を集計。計算項目であり、テーブルには保持しない。
(2)物件ごとの債務残高=債務残高×(物件登録データの時価評価/(1))
(3)元本返済額=前回債務残高-(2)
(4)支払利息(約定レート)=(2)×約定利率
【0066】
物件番号100000002000の場合は、二つの口座に紐づいているため、それぞれの口座で算出した債務残高の合計が物件の債務残高となる。
【0067】
店番「100」、口座番号「1000001」の場合は以下のようになる。
(1)口座別収益還元評価額合計=126,872,727+169,400,000=296,272,727
(2)債務残高(物件番号「100000001000」)=180,000,000×(169,400,000/296,272,727)=102,780,000
(2’)債務残高(物件番号「100000002000」)=180,000,000-102,780,000=77,220,000
【0068】
店番「100」、口座番号「1000002」の場合は以下のようになる。
(1)口座別収益還元評価額合計=169,400,000
(2’)債務残高=40,000,000×(169,400,000/169,400,000)=40,000,000
【0069】
(2)物件ごとの債務残高=77,220,000+40,000,000=117,220,000
(3)元本返済額=135,800,000-117,220,000=18,580,000
(4)支払利息(約定レート)=18,580,000×1.5%=278,700
【0070】
計算後の物件登録データは、
図6(D)に示すようになる。
図6(D)に示す例では、
物件番号「100000001000」の場合は、時価評価「126,872,727」、店番1「100」、口座番号1「1000001」、債務残高「102,780,000」、LTV「81%」となる。物件番号「100000002000」の場合は、債務残高「169,400,000」、店番1「100」、口座番号1「1000001」、店番2「100」、口座番号2「1000002」、債務残高「117,220,000」、LTV「69%」となる。物件番号「100000001000」の場合は、LTVが80%を越えているので、注意が必要となる。
【0071】
(確認処理S6)
確認処理部102eは、確認処理を実行して、例えば、モニタ114に表示されるデータ出力画面(
図7参照)上でのオペレータの操作に応じて、指定される抽出条件に該当するデータファイル106aに登録されている物件登録データを抽出して、物件概要データとして表示出力する。物件概要データを出力して、更新後の債権状態に影響がないかを判断する。例えば、LTVが80%を越えているか否かを確認する。
【0072】
図7(A)は、データ出力画面の表示例を示している。データ出力画面は、対象データを指定する欄と、店番号、顧客番号、物件番号、LTVの範囲(%)等の抽出条件を入力する欄と、出力ボタンを備えている。抽出条件を指定して、出力ボタンを押すと、データファイル106aに登録されている物件登録データが抽出されて、物件概要データとして表示出力される。
図7(B)は、物件概要データの出力例を示す図である。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態によれば、賃貸物件毎の評価額を含む概況を登録した賃貸物件データを取得する連携部102aと、賃貸物件データに満室時賃料を追加した担保物権登録データを登録する物件登録部102bと、担保物権登録データの満室時賃料を使用して、評価額を洗い替えした評価額を取得する洗替処理部102cと、取得した評価額に基づいて、債務残高を按分して賃貸物件毎の債務残高を算出する按分処理部102dと、を備えているので、賃貸不動産を担保として融資している場合に、その管理負担を低減することが可能となる。
【0074】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0077】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0078】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0079】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0080】
また、事業収支システム100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0081】
例えば、事業収支システム100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて事業収支システム100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
【0082】
また、このコンピュータプログラムは、事業収支システム100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0083】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0084】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0085】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0086】
また、事業収支システム100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、事業収支システム100は、当該情報処理装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0087】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能付加に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0088】
100 事業収支システム
102 制御部
102a 連携部(取得部)
102b 物件登録部
102c 洗替処理部
102d 按分処理部
102e 確認処理部
102f 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
400 不動産担保システム