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特開2022-16242鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒及びその調製方法
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  • 特開-鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒及びその調製方法 図1
  • 特開-鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒及びその調製方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016242
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 27/224 20060101AFI20220114BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220114BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B01J27/224 Z
B01J37/08
B01J37/04 102
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183688
(22)【出願日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】202010655698.6
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520330102
【氏名又は名称】石鴻偉
(74)【代理人】
【識別番号】100115303
【氏名又は名称】岩永 和久
(72)【発明者】
【氏名】鮑周艶
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BA21C
4G169BA22C
4G169BA27C
4G169BA38
4G169BB04C
4G169BB20C
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BD01C
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD06A
4G169BD06B
4G169BE08C
4G169BE14C
4G169BE16C
4G169BE20C
4G169BE37C
4G169CC23
4G169DA05
4G169EB19
4G169FA01
4G169FB04
4G169FB29
4G169FB31
4G169FB36
4G169FB37
4G169FB57
4G169FC02
4G169FC03
4G169FC04
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い触媒活性を有し、目標生成物の選択性が高く、耐焼結性能に優れ、安定性の高い鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒を提供する。
【解決手段】20%~30%の金属鉄と、残部の炭素とを含み、前記炭素はナノポリアクリルアミド、クエン酸及びアミノ酸で調製され、本発明における鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒は、活性成分鉄及び担体炭素に加えて、任意の助剤成分を含有することができる。例えば、酸化セリウム、酸化ランタン等の希土類酸化物、酸化マンガン、酸化クロム、酸化レニウム等の遷移金属酸化物、酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属酸化物が挙げられる。助剤成分の含有量は、触媒の全重量を基準として0.5~5wt%であることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒であって、
20%~30%の金属鉄と、残部の炭素とを含み、
前記炭素はナノポリアクリルアミド、クエン酸及びアミノ酸で調製される、
ことを特徴とする鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒。
【請求項2】
前記鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒の調製方法であって、ステップ1からステップ4で調製され、
前記ステップ1は、四酸化三鉄又は酸化鉄を脱イオン水に分散し、クエン酸を加え、80℃に昇温して四酸化三鉄又は酸化鉄が完全に溶解するまで撹拌し、冷却して不溶性不純物を濾過し、濾過後、濾液にアンモニア水を加えて酸塩基性を調整し、pHを3~4にし、そして85℃に昇温した後、3h撹拌を続け、クエン酸鉄錯体を形成し、
前記ステップ2は、ナノポリアクリルアミドを脱イオン水に分散し、アミノ酸を加え、90℃に昇温し、2h撹拌し、アミノ酸変性ナノポリアクリルアミドゲルを形成し、冷却して使用に備える。
前記ステップ3は、前記ステップ2で得られたゲルに、前記ステップ1で調製したクエン酸鉄錯体を加え、60℃に昇温し、高速で0.5h撹拌し、鉄担持ゲルを得、得られた鉄担持ゲルを真空オーブンに置いて乾燥し、
前記ステップ4は、完全に乾燥したゲルをマッフル炉に置き、窒素気流中、10℃/minの加熱速度で600~900℃で2h炭化し、Fe@C/Nナノハイブリッド、すなわち鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒を得る、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒の調製方法。
【請求項3】
前記ステップ1における四酸化三鉄又は酸化鉄とクエン酸の配合比率は鉄元素とクエン酸のモル比が1:1.3‐1:1.4である、
ことを特徴とする請求項2に記載の鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒。
【請求項4】
前記ステップ2におけるナノポリアクリルアミドとアミノ酸との質量比は、1:0.1‐1:0.2であり、前記アミノ酸は、トリプトファンと、アラニンと、ロイシンとから選択される、
ことを特徴とする請求項2に記載の鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒。
【請求項5】
前記ステップ3におけるクエン酸鉄錯体とゲルとの質量比は、2‐3:7である、
ことを特徴とする請求項2に記載の鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触媒の分野に属し、具体的には鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィッシャー・トロプシュ反応(Fischer‐Tropschsynthesis、略称FTS)はカイザー・ウィルヘルム研究所に勤務していたドイツの研究者、フランツ・フィッシャー(Franz Fischer)とハンス・トロプシュ(Hans Tropsch)によって1920年代に開発されたのが起源である。触媒としては鉄やコバルトの化合物が一般的である。この方法の主な目的は、石油の代替品となる合成油や合成燃料を作り出すことである。「フィッシャー・トロプシュ反応」や「フィッシャー・トロプシュ合成」とも呼ばれる。この反応は、石油資源が不足する現状を緩和するだけでなく、石炭や天然ガスやバイオマスなどの資源の効率的な利用が可能となる。我が国のエネルギー分布は「石炭に富み、石油に貧しく、天然ガスに貧しい」であり、石炭の採掘期は石油を遥かに超えるが、中国の大部分の石炭はそのまま燃焼して利用され、環境を深刻に汚染するSO、NO等の物質が放出される。資源利用及び環境保護の観点から見れば、石炭代替燃料及び非石油ルートを開発して高付加価値の化学工業製品を調製することは大きな市場将来性及び重要な戦略的意義を有する。
【0003】
フィッシャー・トロプシュ合成触媒は一般的に鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒、コバルト系フィッシャー・トロプシュ合成触媒及びルテニウム系フィッシャー・トロプシュ合成触媒を含む。フィッシャー・トロプシュ合成反応において、選択性に影響を及ぼす重要な要素の一つは触媒の選択であり、触媒の調製方法を改善することは目標生成物の選択性を明らかに向上させることができる。
【0004】
CN1398669Aには、コバルト・ジルコニウムフィッシャートロプシュ合成触媒に関するものが開示されていますが、重量百分率でコバルト10.0~80.0%、酸化ジルコニウムは15.0~85.0%、金属酸化物助剤0~5.0%を含み、前記金属酸化物助剤は酸化セリウム、酸化マンガン等である。担体としてジルコニアを用い、フィッシャー・トロプシュ合成の反応条件ではコバルトとジルコニアとの間に化合物が形成されないため、触媒は安定性に優れ、失活レートが低く、高い還元度及び金属分散度を有する。しかし、この触媒は、通常の還元温度(420℃程度)で還元する必要があり、これにより、調製過程で必要なエネルギー消費を高める他、担体のセル構造を破壊しやすい。
【0005】
US5733889Aには、Ptを助剤とし、Al2O2を担体とするコバルト系フィッシャー・トロプシュ合成触媒に関するものが開示されていますが、PtとCoの重量比が(0.00005‐0.1):1である。この触媒は、高い触媒活性を有するものの、貴金属Ptが導入されているため、触媒の生産コストが高くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第110075844号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒及びその調製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒であって、20%~30%の金属鉄と、残部の炭素とを含む。前記炭素はナノポリアクリルアミド、クエン酸及びアミノ酸で調製される。
【0009】
本発明における鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒は、活性成分鉄及び担体炭素に加えて、任意の助剤成分を含有することができる。例えば、酸化セリウム、酸化ランタン等の希土類酸化物、酸化マンガン、酸化クロム、酸化レニウム等の遷移金属酸化物、酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属酸化物が挙げられる。助剤成分の含有量は、触媒の全重量を基準として0.5~5wt%であることが好ましい。
【0010】
鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒の調製方法であって、ステップ1からステップ4で調製され、
前記ステップ1は、四酸化三鉄又は酸化鉄を脱イオン水に分散し、クエン酸を加え、80℃に昇温して四酸化三鉄又は酸化鉄が完全に溶解するまで撹拌し、冷却して不溶性不純物を濾過し、濾過後、濾液にアンモニア水を加えて酸塩基性を調整し、pHを3~4にし、そして85℃に昇温した後、3h撹拌を続け、クエン酸鉄錯体を形成し、使用に備える。
前記ステップ2は、ナノポリアクリルアミドを脱イオン水に分散し、アミノ酸を加え、90℃に昇温し、2h撹拌し、アミノ酸変性ナノポリアクリルアミドゲルを形成し、冷却して使用に備える。
前記ステップ3は、前記ステップ2で得られたゲルに、前記ステップ1で調製したクエン酸鉄錯体を加え、60℃に昇温し、高速で0.5h撹拌し、鉄担持ゲルを得、得られた鉄担持ゲルを真空オーブンに置いて乾燥する。
前記ステップ4は、完全に乾燥したゲルをマッフル炉に置き、窒素気流中、10℃/minの加熱速度で600~900℃で2h炭化し、Fe@C/Nナノハイブリッド、すなわち鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒を得る。
【0011】
好ましくは、前記ステップ1における四酸化三鉄又は酸化鉄とクエン酸の配合比率は鉄元素とクエン酸のモル比が1:1.3‐1:1.4である。
【0012】
好ましくは、前記ステップ2におけるナノポリアクリルアミドとアミノ酸との質量比は、1:0.1‐1:0.2であり、前記アミノ酸は、トリプトファンと、アラニンと、ロイシンとから選択される。
【0013】
好ましくは、前記ステップ3におけるクエン酸鉄錯体とゲルとの質量比は、2‐3:7である。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べ、本発明は下記のメリットを有する:
【0015】
本発明のフィッシャー・トロプシュ合成触媒は、活性成分と担体とを含む。前記担体は、変性ゲルから調製され、クエン酸鉄を担持した後、高温焼成を経て触媒を形成する。担体中にN元素が含まれることにより、焼成中に鉄とFe‐N‐C構造を形成することができ、鉄基触媒の触媒効率を効果的に向上させることができる。また、窒素原子が塩基性を有し、担体の表面塩基性が向上するとともに、担体の構造と活性成分とが結合し、目標生成物の選択性が高く、耐焼結性能に優れ、安定性の高いフィッシャー・トロプシュ合成触媒が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1で調製された触媒が反応前の透過型電子顕微鏡写真である。
図2】実施例1で調製された触媒が800h反応した後の透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明における実施例を参照して、本発明における技術的解決手段を明確に、十分に説明する。
【0018】
実施例1
鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒であって、ステップ1からステップ4で調製され、
前記ステップ1は、四酸化三鉄を脱イオン水に分散し、クエン酸を加え、80℃に昇温して四酸化三鉄が完全に溶解するまで撹拌し、冷却して不溶性不純物を濾過し、濾過後、濾液にアンモニア水を加えて酸塩基性を調整し、pHを3にした後、85℃に昇温した後、3h撹拌を続け、クエン酸鉄錯体を形成し、使用に備える。
前記ステップ2は、ナノポリアクリルアミドを脱イオン水に分散し、トリプトファンを加え、90℃に昇温し、2h撹拌し、変性ナノポリアクリルアミドゲルを形成し、冷却して使用に備える。
前記ステップ3は、前記ステップ2で得られたゲルに、前記ステップ1で調製したクエン酸鉄錯体を加え、60℃に昇温し、高速で0.5h撹拌し、鉄担持ゲルを得、得られた鉄担持ゲルを120℃の真空オーブンに置いて乾燥する。
前記ステップ4は、完全に乾燥したゲルをマッフル炉に置き、窒素気流中、10℃/minの加熱速度で600℃で2h炭化し、Fe@C/Nナノハイブリッド、すなわち鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒を得る。
好ましくは、前記ステップ1における四酸化三鉄とクエン酸の配合比率は鉄元素とクエン酸のモル比が1:1.3である。
好ましくは、前記ステップ2におけるナノポリアクリルアミドとトリプトファンとの質量比は、1:0.1である。
好ましくは、前記ステップ3におけるクエン酸鉄錯体とゲルとの質量比は、2:7である。
本実施例で得られた鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒100mgをフィッシャー・トロプシュ合成反応器に入れ、Hを20mL/minの流量で注入し、400℃で3hインサイチュ還元し、反応器の温度を350℃に下げた後、Hの注入を停止し、合成ガスの注入を開始し、前記合成ガスはHとCO体積比が1:1の混合気であり、350℃を維持し、圧力1bar、合成ガス空間速度3000mL/(h・g)の条件でフィッシャー・トロプシュ合成反応を行う。本実施例で得られた触媒の反応前及び800h反応後の透過型電子顕微鏡写真は、図1に示すように、触媒として800hを使用したところ、触媒の表面には明確な炭素デポジットがない。
【0019】
実施例2
鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒であって、ステップ1からステップ4で調製され、
前記ステップ1は、四酸化三鉄を脱イオン水に分散し、クエン酸を加え、80℃に昇温して四酸化三鉄が完全に溶解するまで撹拌し、冷却して不溶性不純物を濾過し、濾過後、濾液にアンモニア水を加えて酸塩基性を調整し、pHを3.5にした後、85℃に昇温した後、3h撹拌を続け、クエン酸鉄錯体を形成し、使用に備える。
前記ステップ2は、ナノポリアクリルアミドを脱イオン水に分散し、アラニンを加え、90℃に昇温し、2h撹拌し、変性ナノポリアクリルアミドゲルを形成し、冷却して使用に備える。
前記ステップ3は、前記ステップ2で得られたゲルに、前記ステップ1で調製したクエン酸鉄錯体を加え、60℃に昇温し、高速で0.5h撹拌し、鉄担持ゲルを得、得られた鉄担持ゲルを120℃の真空オーブンに置いて乾燥する。
前記ステップ4は、完全に乾燥したゲルをマッフル炉に置き、窒素気流中、10℃/minの加熱速度で700℃で2h炭化し、Fe@C/Nナノハイブリッド、すなわち鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒を得る。
好ましくは、前記ステップ1における四酸化三鉄とクエン酸の配合比率は鉄元素とクエン酸のモル比が1:1.35である。
好ましくは、前記ステップ2におけるナノポリアクリルアミドとアラニンとの質量比は、1:0.15である。
好ましくは、前記ステップ3におけるクエン酸鉄錯体とゲルとの質量比は、2.5:7である。
【0020】
実施例3
鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒であって、ステップ1からステップ4で調製され、
前記ステップ1は、酸化鉄を脱イオン水に分散し、クエン酸を加え、80℃に昇温して四酸化三鉄が完全に溶解するまで撹拌し、冷却して不溶性不純物を濾過し、濾過後、濾液にアンモニア水を加えて酸塩基性を調整し、pHを4にした後、85℃に昇温した後、3h撹拌を続け、クエン酸鉄錯体を形成し、使用に備える。
前記ステップ2は、ナノポリアクリルアミドを脱イオン水に分散し、ロイシンを加え、90℃に昇温し、2h撹拌し、変性ナノポリアクリルアミドゲルを形成し、冷却して使用に備える。
前記ステップ3は、前記ステップ2で得られたゲルに、前記ステップ1で調製したクエン酸鉄錯体を加え、60℃に昇温し、高速で0.5h撹拌し、鉄担持ゲルを得、得られた鉄担持ゲルを120℃の真空オーブンに置いて乾燥する。
前記ステップ4は、完全に乾燥したゲルをマッフル炉に置き、窒素気流中、10℃/minの加熱速度で800℃で2h炭化し、Fe@C/Nナノハイブリッド、すなわち鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒を得る。
好ましくは、前記ステップ1における酸化鉄とクエン酸の配合比率は鉄元素とクエン酸のモル比が1:1.3である。
好ましくは、前記ステップ2におけるナノポリアクリルアミドとロイシンとの質量比は、1:0.2である。
好ましくは、前記ステップ3におけるクエン酸鉄錯体とゲルとの質量比は、2.5:7である。
【0021】
実施例4
鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒であって、ステップ1からステップ4で調製され、
前記ステップ1は、四酸化三鉄を脱イオン水に分散し、クエン酸を加え、80℃に昇温して四酸化三鉄が完全に溶解するまで撹拌し、冷却して不溶性不純物を濾過し、濾過後、濾液にアンモニア水を加えて酸塩基性を調整し、pHを4にした後、85℃に昇温した後、3h撹拌を続け、クエン酸鉄錯体を形成し、使用に備える。
前記ステップ2は、ナノポリアクリルアミドを脱イオン水に分散し、ロイシンを加え、90℃に昇温し、2h撹拌し、変性ナノポリアクリルアミドゲルを形成し、冷却して使用に備える。
前記ステップ3は、前記ステップ2で得られたゲルに、前記ステップ1で調製したクエン酸鉄錯体を加え、60℃に昇温し、高速で0.5h撹拌し、鉄担持ゲルを得、得られた鉄担持ゲルを120℃の真空オーブンに置いて乾燥する。
前記ステップ4は、完全に乾燥したゲルをマッフル炉に置き、窒素気流中、10℃/minの加熱速度で900℃で2h炭化し、Fe@C/Nナノハイブリッド、すなわち鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒を得る。
好ましくは、前記ステップ1における四酸化三鉄とクエン酸の配合比率は鉄元素とクエン酸のモル比が1:1.4である。
好ましくは、前記ステップ2におけるナノポリアクリルアミドとロイシンとの質量比は、1:0.2である。
好ましくは、前記ステップ3におけるクエン酸鉄錯体とゲルとの質量比は、3:7である。
【0022】
比較例1
市販されている四酸化三鉄を触媒とする。(純度99.5%、上海泰坦科技)
【0023】
比較例2
四酸化三鉄を脱イオン水に分散し、クエン酸を加え、80℃に昇温して四酸化三鉄が完全に溶解するまで撹拌し、冷却して不溶性不純物を濾過し、濾過後、濾液にアンモニア水を加えて酸塩基性を調整し、pHを3にした後、85℃に昇温した後、3h撹拌を続け、クエン酸鉄錯体を形成し、使用に備え、クエン酸鉄錯体の120℃の真空オーブンに放置して乾燥し、完全に乾燥したクエン酸鉄錯体をマッフル炉に置き、窒素気流中、10℃/minの加熱速度で600℃で2h炭化し、鉄基フィッシャー・トロプシュ合成触媒を得る。
【0024】
比較例3
特許CN102911694Bにおける実施例1の方法で調製された触媒。
【0025】
触媒性能試験
実施例1‐4、比較例1‐2で得られた触媒の触媒性能をそれぞれ試験したところ、試験結果を表1に示す。寿命とは、触媒の活性と選択性がほぼ変わらない場合に触媒を連続して使用できる時間を意味する。
上記触媒10gを固定床反応器にとり反応させ、具体的な条件は、210℃、1.5Mpa、1000h‐1(V/V)、H/CO(mol)=2とした。
表1 触媒性能試験結果
表1から明らかなように、本発明により調製された触媒は、CO転化率がより高い、C5+アルカン類選択性がより低く、メタン選択性がより低い。
図1
図2