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特開2022-162421ドア及びドア枠並びにそれらの製造方法
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  • 特開-ドア及びドア枠並びにそれらの製造方法 図1
  • 特開-ドア及びドア枠並びにそれらの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162421
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ドア及びドア枠並びにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/34 20060101AFI20221017BHJP
   E06B 3/88 20060101ALI20221017BHJP
   E06B 3/82 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
E06B1/34 A
E06B3/88
E06B3/82
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067265
(22)【出願日】2021-04-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】592144766
【氏名又は名称】株式会社セラ-ズ
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 高士
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA10
2E016JA11
2E016JA19
2E016JC03
2E016KA05
2E016KA09
2E016LA01
2E016MA13
(57)【要約】
【課題】貼り付けた化粧シートが経時的にずれ動いて外観を損ねるおそれがなく、高級感を醸し出すドア及びドア枠、並びに、それらのドア及びドア枠を、高品質且つ低コストにて製造し得るドア及びドア枠の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】パネル2とその木口に嵌め付けられるエッジ材4とから成るドア1及びドア枠11であって、パネル2には、接着剤を介して裏面に粘着剤層を有しない樹脂製化粧シート8が貼られ、エッジ材4には、粘着剤付化粧シート8aが貼られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルとその木口に嵌め付けられるエッジ材とから成るドア及びドア枠であって、
前記パネルには、接着剤を介して裏面に粘着剤層を有しない樹脂製化粧シートが貼られ、前記エッジ材には、粘着剤付化粧シートが貼られていることを特徴とするドア及びドア枠。
【請求項2】
前記パネルに貼られる化粧シートと前記エッジ材に貼られる粘着剤付化粧シートは、同じ色柄である、請求項1に記載のドア及びドア枠。
【請求項3】
前記パネルに塗布される前記接着剤は、PUR系ホットメルト接着剤である、請求項1又は2に記載のドア及びドア枠。
【請求項4】
パネルとその木口に嵌め付けられるエッジ材とから成るドア及びドア枠の製造方法であって、
前記パネルには、接着剤を介して裏面に粘着剤層を有しない樹脂製化粧シートを貼り付け、前記エッジ材には、粘着剤付化粧シートを貼り付けることを特徴とするドア及びドア枠の製造方法。
【請求項5】
前記パネルに貼り付ける化粧シートと前記エッジ材に貼り付ける粘着剤付化粧シートを同じ色柄のものとする、請求項4に記載のドア及びドア枠の製造方法。
【請求項6】
前記パネルに塗布する前記接着剤は、PUR系ホットメルト接着剤とする、請求項4又は5に記載のドア及びドア枠の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドア及びドア枠の製造方法に関するものであり、より詳細には、トイレブースその他の間仕切りを構成するためのドア及びドア枠、並びに、それらを高品質且つ低コストにて製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレブースは、トイレの個室空間を形成する間仕切りであり、公共施設、オフィスビル、病院等に設置されるものであり、ドアと、その両側のドア枠と、奥行きパネルとで構成される。そして、多くの場合、ドアとドア枠のエッジ(木口)に、パネル木口を保護するアルミニウム、ステンレス等の金属製エッジ材が取り付けられる。ドア枠は、従来ドアと同じ高さのものが多かったが、最近は、天井に届く高さにされることも多くなってきている。
【0003】
上記いずれのタイプのトイレブースであっても、ドアとドア枠の金属製エッジ材が露出状態となるが、言うまでもなく、金属製エッジ材は味気なく、冷たい感じのするものであり、美感や柔らかな質感とは程遠いものである。トイレブース以外の間仕切りについても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-3389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、従来の一般的トイレブースの多くは、ドアとドア枠のエッジ材がアルミニウム、ステンレス等の金属製であるため、味気なく、冷たい感じがし、美感や柔らかな質感とは程遠いものであり、そこからは到底心地よいレスト空間は生まれない。そこで、ドアとドア枠とそれらのエッジ材に、共通の樹脂製化粧シートを貼って、一体感を持たせることが考えられる。
【0006】
しかし、その場合、樹脂製化粧シートとしては、多種多様の色、柄、模様のものが用意されるが、それらは裏面に粘着剤層を有する粘着剤付化粧シートであるために、コストが嵩むだけでなく、粘着剤がゲル状態を維持するため、粘着剤が伸びて、被着体である粘着剤付化粧シートが次第にずれ動き、外観を損ねるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような粘着剤付化粧シートを用いる場合における問題に鑑みてなされたもので、貼り付けた化粧シートが経時的にずれ動いて外観を損ねるおそれがなく、高級感を醸し出すドア及びドア枠、並びに、それらのドア及びドア枠を、高品質且つ低コストにて製造し得るドア及びドア枠の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、パネルとその木口に嵌め付けられるエッジ材とから成るドア及びドア枠であって、
前記パネルには、接着剤を介して裏面に粘着剤層を有しない樹脂製化粧シートが貼られ、前記エッジ材には、粘着剤付化粧シートが貼られていることを特徴とするドア及びドア枠である。
【0009】
上記課題を解決するための請求項4に記載の発明は、パネルとその木口に嵌め付けられるエッジ材とから成るドア及びドア枠の製造方法であって、
前記パネルには、接着剤を介して裏面に粘着剤層を有しない樹脂製化粧シートを貼り付け、前記エッジ材には、粘着剤付化粧シートを貼り付けることを特徴とするドア及びドア枠の製造方法である。
【0010】
一実施形態においては、前記パネルに貼り付ける化粧シートと前記エッジ材に貼り付ける粘着剤付化粧シートは同じ色柄のものとされ、また、前記パネルに塗布される前記接着剤は、PUR系ホットメルト接着剤とされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るドア及びドア枠並びにそれらの製造方法は上記の通りであって、パネルについては、高価な粘着剤付化粧フィルムを用いず、裏面に粘着剤層を有しない廉価な化粧シートを、工場ラインで接着強度の強い接着剤を塗布して貼り付ける方法を採るため、貼り付けた化粧シートが経時的にずれ動いて外観を損ねるおそれがなく、高級感を醸し出すドア及びドア枠が得られ、また、それらのドア及びドア枠を、高品質且つ低コストにて製造し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るドアとドア枠の上部の分解斜視図である。
図2】本発明に係るドアとドア枠のパネルの表面板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態につき、添付図面に依拠して説明する。本発明に係るドアとドア枠は、主にトイレプース用であるので、以下の説明においては、トイレブースのドア及びドア枠として説明するが、その他の間仕切りの構成に用いられるドア及びドア枠についても同様の構成となる。
【0014】
図1は、本発明に係るドア1とドア枠11の上部の分解斜視図である。そこに示されるように、ドア1は、パネル2と、パネル2の木口にアルミ受け材3を介して嵌め付けられるエッジ材4とから成る。ドア枠11も同様に、パネル12と、パネル12の木口にアルミ受け材13を介して嵌め付けられるエッジ材14とから成る。
【0015】
パネル2は、枠材5と、枠材5内に配置されるペーパーコア等の芯材と、枠材5の両面を閉塞する表面板6とから成る。表面板6は、例えば、厚さ4mmのMDF(中密度繊維板)7の表面に化粧シート8を貼り付け、必要に応じ、裏面に防湿シート9を貼り付けたものである(図2)。通例、パネル2の天面には、化粧シート8に近似色(単色)の硬質塩ビテープ10が貼られる。
【0016】
化粧シート8は、木目模様その他多種多様の模様や色柄表現等の印刷を施したもので、例えば、グラビア印刷可能な、厚さ0.17mm以下の塩化ビニル樹脂系フィルムであるが、ここで用いる化粧シート8は、裏面に粘着剤層を有しないものである。この化粧シート8のMDF7への貼り付けは、予め工場ラインにおいて、好ましくは、PUR系ホットメルト接着剤を用いて行う。この接着剤は、接着強度が強く、塗布量が少なくて済み、経時劣化しにくいという利点がある。本発明においては、このように、裏面に粘着剤層を有しない比較的廉価な化粧シート8を、予め、平坦な板材であるMDF7へ工場ラインで接着するため、化粧シート8の貼り付け作業を効率よく低コストにて行うことができる。
【0017】
一方、見栄えを良くするために断面が湾折曲形状にされることが多いエッジ材4については、裏面に粘着剤層を有する、3M社製「ダイノックフィルム」や、タキロンシーアイ社製「ベルビアン」等の粘着剤付化粧フィルム8aを用い、裏面の剥離紙を剥離して、エッジ材4の表面に粘着する。その場合、粘着剤付化粧フィルム8aの両端部を、エッジ材4の内側に巻き込むようにする。
【0018】
ここで、接着剤と粘着剤の違いについて説明しておく。接着剤は、使用前は液体であり、貼り付け後に固体となるが、硬化に時間がかかるため、硬化反応進行度が接着強度に依存してくる。これに対して粘着剤は、常時濡れた状態(ゲル状態)を安定的に保持しており、貼り付け後もその状態を維持している。粘着剤は瞬時に接着反応が完了するため、短時間で貼り付け完了となるが、貼り付け強度は一定以上強くならない。そして、ゲル状態のため、粘着力、保持力に問題があり、経時的に粘着剤が伸びて、被着体が次第にずれてくる可能性がある。
【0019】
接着剤と粘着剤には以上のような違いがあるところから、本発明においては、パネル2については、裏面に粘着剤層を有しない化粧シート8を、PUR系ホットメルト接着剤のような接着強度が強い接着剤を用い、工場ラインでMDF7へ接着することで、十分な接着強度が得られるようにしているのである。この構成の場合は、被着体である化粧シート8が、経時的にずれ動くことはない。
【0020】
一方、表面が平坦ではないエッジ材4には粘着剤付化粧フィルム8aを貼り付けるが、その場合、粘着剤付化粧フィルム8aの両端部をエッジ材4の内側に巻き込むようにすることで、粘着剤付化粧フィルム8aがアルミ受け材3との間に強く挟持され、そのずれ動きが防止される。上記の通り、粘着剤は瞬時に接着反応が完了するので、トイレブース施工現場において貼り付け作業を行うことができるが、接着剤の場合は硬化に時間がかかるため、施工現場において貼り付け作業を行うに適さない。
【0021】
以上はドア1についての説明であるが、パネル12とその木口に嵌め付けられるエッジ材14とから成るドア枠11についても、ドア1と同様の構成で、ドア1と同様の方法で製造される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係るドア及びドア枠並びにそれらの製造方法は上記の通りであって、パネルについては、高価な粘着剤付化粧フィルムを用いず、裏面に粘着剤層を有しない比較的廉価な化粧シートを、工場ラインで接着強度が強い接着剤を塗布して貼り付ける方法を採るため、貼り付けた化粧シートが経時的にずれ動いて外観を損ねるおそれがなく、高級感を醸し出すドア及びドア枠が得られ、また、それらのドア及びドア枠を、高品質且つ低コストにて製造し得る効果のあるものであり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0023】
1 ドア
2 パネル
3 エッジ材取り付け材
4 エッジ材
5 枠材
6 表面板
7 MDF
8,8a 化粧シート
9 防湿シート
10 硬質塩ビテープ
11 ドア枠
12 パネル
13 エッジ材取り付け材
14 エッジ材
図1
図2