(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162424
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】枕カバー
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A47G9/10 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067268
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】原 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 真也
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA01
(57)【要約】
【課題】使用者の身体に対する枕の位置ずれを抑制することができる枕カバーを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る枕カバーは、鉛直上方に向けられる第1布部2と、鉛直下方に向けられる第2布部3とを備え、第1布部2及び第2布部3の間に枕本体10が収容される内部空間Sが形成される枕カバー1であって、第2布部3の外面に設けられた第1滑り止め部5と、第1布部2の内面2pにおける枕本体10と対向する位置に設けられた第2滑り止め部7と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直上方に向けられる第1布部と、鉛直下方に向けられる第2布部とを備え、
前記第1布部及び前記第2布部の間に枕本体が収容される内部空間が形成される枕カバーであって、
前記第2布部の外面に設けられた第1滑り止め部と、
前記第1布部の内面における前記枕本体と対向する位置に設けられた第2滑り止め部と、を備える、
枕カバー。
【請求項2】
前記第1布部は、前記枕カバーの使用者の首が載せられる首載せ部を有し、
前記第2滑り止め部は、前記第1布部における少なくとも前記首載せ部の内側に設けられる、
請求項1に記載の枕カバー。
【請求項3】
前記第1布部は、前記第1布部の表面を構成する外布と、前記外布の内側において前記枕本体に対向する内布と、を含んでおり、
前記外布及び前記内布の間に内容物が収容される空間が形成されており、
前記第2滑り止め部は、前記内布に設けられる、
請求項1又は2に記載の枕カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、枕本体が収容される枕カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3052169号公報には、枕カバーが記載されている。枕カバーは、枕の上面を覆う長方形状を呈する。枕カバーの面積は、枕の上面の面積とほぼ同一である。枕カバーは、長方形状の布と、布の外周部に取り付けられた装飾用のフリルとを有する。枕カバーの裏面には、軟質ゴム又は発泡ゴム等の大きな摩擦係数を有する滑り止め部材が固着されている。
【0003】
滑り止め部材は円板状とされており、枕カバーの裏面に複数の滑り止め部材が固定される。滑り止め部材の直径は数cm程度であり、滑り止め部材の厚さは数mm程度である。滑り止め部材は、枕カバーの布の裏面に格子状に配列されている。また、枕カバーには、長方形状の滑り止め部材が配置されている。長方形状の滑り止め部材は枕の幅方向に沿って延びており、複数の長方形状の滑り止め部材が枕の長手方向に沿って並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した枕カバーの布の下面には滑り止め部材が配置されており、布の下面の滑り止め部材が枕本体の上面に接触している。従って、枕本体の上面に対する枕カバーのずれを抑制することが可能である。しかしながら、この枕カバーの場合、枕が載せられる敷き寝具と枕の下面とのずれを抑制できないので、使用しているうちに使用者の首が使用者の脚側にずれると共に、枕が使用者の頭頂部側にずれる問題が生じうる。
【0006】
一方、枕の下面に滑り止め部材を配置する枕カバーが考えられる。この場合、敷き寝具と枕の下面とのずれを抑制することが可能である。しかしながら、この枕カバーの場合、枕本体の上面に対する枕カバーのずれを抑制できないので、使用しているうちに使用者の首が使用者の脚側にずれると共に、枕が使用者の頭頂部側にずれるという上記同様の問題が生じうる。このように、枕カバーでは、使用しているうちに使用者の身体に対して枕の位置がずれるという問題が生じうる。
【0007】
本開示は、使用者の身体に対する枕の位置ずれを抑制することができる枕カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る枕カバーは、鉛直上方に向けられる第1布部と、鉛直下方に向けられる第2布部とを備え、第1布部及び第2布部の間に枕本体が収容される内部空間が形成される枕カバーであって、第2布部の外面に設けられた第1滑り止め部と、第1布部の内面における枕本体と対向する位置に設けられた第2滑り止め部と、を備える。
【0009】
この枕カバーでは、第1布部が鉛直上方に向けられると共に第2布部が鉛直下方に向けられて使用される。第1布部と第2布部の間には枕本体が収容される内部空間が形成され、この内部空間に枕本体が収容されることによって枕が使用に供される。鉛直下方に向けられる第2布部の外面には第1滑り止め部が設けられる。従って、敷き寝具と第2布部との間に第1滑り止め部が介在するので、敷き寝具に対する枕カバーのずれを抑制することができる。鉛直上方に向けられる第1布部の内面における枕本体と対向する位置には第2滑り止め部が設けられる。従って、第1布部の上に使用者の頭部が載せられても、枕本体に対する第1布部のずれを抑制することができる。この枕カバーでは、第1滑り止め部及び第2滑り止め部を備えることにより、敷き寝具に対する第2布部のずれ、及び枕本体に対する第1布部のずれを抑制できるので、使用者の身体に対する枕の位置ずれを抑制することができる。その結果、この枕カバー及び枕本体を備えた枕では、枕の位置ずれを抑制することによって使用者の寝心地を良好にすることができる。
【0010】
第1布部は、枕カバーの使用者の首が載せられる首載せ部を有してもよい。第2滑り止め部は、第1布部における少なくとも首載せ部の内側に設けられてもよい。この場合、少なくとも首載せ部の内側に第2滑り止め部が設けられるので、第1布部に載せられた使用者の首が脚側にずれようとしても、首載せ部の内側の第2滑り止め部によって枕本体に対する第1布部のずれを抑制することができる。
【0011】
第1布部は、第1布部の表面を構成する外布と、外布の内側において枕本体に対向する内布と、を含んでもよい。外布及び内布の間に内容物が収容される空間が形成されてもよい。第2滑り止め部は、内布に設けられてもよい。この場合、第1布部が外布及び内布を備えた二重構造とされており、外布及び内布の間に形成される空間に内容物を収容可能とされている。従って、第1布部に内容物が収容されることにより、第1布部に頭部を載せて身体を休める使用者の寝心地を一層良好にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、使用者の身体に対する枕の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る枕カバーを備えた枕を示す斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1の枕の平面図である。(b)は、
図1の枕の底面図である。
【
図3】
図1の枕カバーと枕本体との関係を模式的に示す図である。
【
図5】(a)及び(b)は、
図1の枕カバーの第1布部に設けられた第2滑り止め部の例を示す図である。
【
図6】(a)及び(b)は、
図1の枕カバーの第1布部に設けられた第2滑り止め部の例を示す図である。
【
図7】(a)及び(b)は、実施形態に係る滑り止め部材の例を示す図である。
【
図8】
図1の枕カバー及び枕本体に使用者の頭部及び首が載せられた状態を模式的に示す断面図である。
【
図9】(a)は、比較例の枕カバー及び枕本体に使用者の頭部及び首が乗せられた状態を模式的に示す断面図である。(b)は、比較例の枕カバーが載せられた敷き寝具及び使用者の身体を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る枕カバーの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0015】
本実施形態に係る枕カバーは、鉛直上方に向けられる第1布部と、鉛直下方に向けられる第2布部とを備える。「布部」とは、少なくとも一部に布が含まれた部分を示している。第1布部と第2布部の間には枕本体が収容される。「枕本体」は、枕における枕カバー以外の部分又は部品を示しており、例えば、枕の芯材である。「枕カバー」は、枕本体を覆うカバーを示している。枕カバーは、枕本体の全部を覆うカバーであってもよいし、枕本体の一部を覆うカバーであってもよい。
【0016】
枕カバーの鉛直下方に向けられる第2布部の外面には第1滑り止め部が設けられる。「滑り止め部」とは、滑り止めとして機能する部分又は部品を示している。滑り止め部は、例えば、布より摩擦係数が高い材料によって構成されている。枕カバーの鉛直上方に向けられる第1布部は、枕カバーの使用者の首が載せられる首載せ部を有する。
【0017】
「使用者」とは、枕カバーを使用する人を示している。「使用者」は、例えば、枕本体を収容する枕カバーの上に頭部を載せる人である。「首載せ部」は、枕カバーにおける首が載せられる部分を示している。例えば、枕カバーが長方形状である場合、「首載せ部」は、枕カバーの短辺の一方側において枕カバーの長辺に沿って延びる部分を示している。
【0018】
第1布部は、第1布部の表面を構成する外布と、第1布部の裏面を構成する内布とを含んでいてもよい。「外布」は、枕カバーの外側に位置する布を示しており、例えば、外部に露出している。「内布」は、枕カバーの内側に位置する布を示しており、例えば、外部には露出しない。
【0019】
外布及び内布の間には空間が形成されてもよく、当該空間に内容物が収容されてもよい。「内容物」は、枕カバーの内部に収容される物を示しており、例えば、わた等の柔軟性素材、パイプ材等の中空内容物、又は、そば殻、アズキ若しくはヒノキ等の中実内容物であってもよい。
【0020】
図1は、実施形態に係る枕カバー1を備えた枕30を示す斜視図である。枕30は、枕カバー1と、枕カバー1に収容される枕本体10(
図3参照)とを備える。
図1に示されるように、枕カバー1は、鉛直上方に向けられる第1布部2と、鉛直下方に向けられる第2布部3とを備える。
【0021】
第1布部2は、使用者Mの頭部M1及び首M2(
図8参照)が載せられる首載せ部2Aを有する。首載せ部2Aは、第1布部2の第1方向D1の片側(
図1では手前側(下側))に設けられる。首載せ部2Aは、第1布部2の第1方向D1の片側において第2方向D2に沿って延在する。首載せ部2Aは、第1布部2の第2方向D2の中央を含む領域において第2方向D2に沿って延在する。首載せ部2Aは、第1布部2の首載せ部2A以外の部分よりも突出する部位であってもよい。
【0022】
図2(a)は、第1布部2を模式的に示す平面図である。
図2(b)は、第2布部3を模式的に示す底面図である。
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、第1布部2は、第1方向D1に延びる短辺2bと、第1方向D1に交差(一例として直交)する第2方向D2に延びる長辺2cとを有する。第2布部3も第1布部2と同様、第1方向D1に延びる短辺3bと、第2方向D2に延びる長辺3cとを有する。
【0023】
第1布部2及び第2布部3のそれぞれは、例えば、平面視において長方形状を呈する。第1布部2は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の短辺2bと、第1方向D1に沿って並ぶ一対の長辺2cとを有する。第2布部3も第1布部2と同様、第2方向D2に沿って並ぶ一対の短辺3bと、第1方向D1に沿って並ぶ一対の長辺3cとを有する。
【0024】
第1布部2の短辺2bが第2布部3の短辺3bに縫製され、第1布部2の長辺2cが第2布部3の長辺3cに縫製されることによって枕カバー1が形成されている。第1布部2と第2布部3との間には、縫い目4が形成されている。縫い目4は、例えば、短辺2b,3b及び長辺2c,3cに沿って延在している。
【0025】
例えば、第1布部2の材料と第2布部3の材料とは互いに異なっている。一例として、第1布部2にはキルティングが施されている。第2布部3はキルティングが施されていない生地によって構成されている。この場合、第1布部2はキルティングの複数の縫い目2dを有する。
【0026】
例えば、複数の縫い目2dは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に対して傾斜する第1縫い目部2fと、第1縫い目部2fに交差する第2縫い目部2gとを含む。このように第1布部2がキルティング素材によって構成されている場合、第1布部2の質感を良好にして使用者Mの寝心地を一層良好にすることが可能となる。
【0027】
第2布部3は、第2布部3の外形を構成する布3dと、布3dの外面(鉛直下方を向く面)に設けられた第1滑り止め部5とを有する。第1滑り止め部5は、枕30の鉛直下方に位置する敷き寝具に対する枕30の滑り止めとして機能する。布3dは、例えば、化学繊維(一例として合成繊維)によって構成されている。しかしながら、布3dは天然繊維によって構成されていてもよい。
【0028】
但し、布3dが化学繊維によって構成されている場合には、第1滑り止め部5を一層形成しやすくすることができる。布3dの材料は、例えば、ポリエステルを含む。しかしながら、布3dの材料は、綿、レーヨン又はキュプラを含んでいてもよい。但し、布3dがポリエステル製である場合、布3dをシワになりにくく一層強い素材とすることが可能である。
【0029】
第1滑り止め部5は、一例として、布3dに固定された複数の点状部5bによって構成されており、例えば、点状部5bは布3dにおいて略均等に分散して配置されている。一例として、第1滑り止め部5は、第2布部3の全面に設けられている。点状部5bは、一例として、シリコン樹脂によって構成されている。例えば、加温されて液状とされたシリコン樹脂が布3dにドット状に滴下され、滴下されたシリコン樹脂が熱処理で硬化することによって布3dに固定される。
【0030】
一例として、布3dにはシリコン樹脂からなる点状部5bがドット状に印刷される。例えば、布3dへのシリコン樹脂の滴下は、コンベア等で布3dが搬送されながら行われる。この場合、短時間で布3dに点状部5bを形成することが可能である。また、第1滑り止め部5(点状部5b)は滑り止めエンボス加工によって布3dに形成されてもよい。
【0031】
以上、第1滑り止め部5が複数の点状部5bによって構成される例について説明した。しかしながら、第1滑り止め部5の形状は、点状部5bのようなドット状に限られず適宜変更可能である。第1滑り止め部5の材料は、前述したシリコン樹脂に限られず、弾性を有するゴム材料であってもよく適宜変更可能である。第1滑り止め部5は、PVC(ポリ塩化ビニル)によって構成されていてもよい。但し、第1滑り止め部5がシリコン製である場合、第1滑り止め部5がPVC製である場合と比較して、第1滑り止め部5の摩擦係数を一層高くしてより高い滑り止め効果を発揮することができる。
【0032】
図3は、枕カバー1と枕本体10との関係を模式的に示す平面図である。
図4は、
図2(a)のA-A線断面図である。
図3及び
図4に示されるように、枕本体10は、第1布部2と第2布部3の間に収容される。枕本体10は、例えば、第1方向D1に沿って延びる短辺10b、及び第2方向D2に沿って延びる長辺10cを有する長方形状を呈する。しかしながら、枕本体10の形状は、長方形以外の形状であってもよく特に限定されない。
【0033】
平面視における枕カバー1の面積は、平面視における枕本体10の面積よりも大きい。枕カバー1の短辺2b(短辺3b)の長さW1は、枕本体10の短辺10bの長さW2よりも長い。長さW1と長さW2との差は、例えば、1cm以上且つ5cm以下(一例として2cm)である。
【0034】
枕カバー1の長辺2c(長辺3c)の長さL1は、枕本体10の長辺10cの長さL2よりも長い。長さL1と長さL2との差は、例えば、1cm以上且つ5cm以下(一例として2cm)である。このように、長さW1と長さW2との差、及び長さL1と長さL2との差が1cm以上であることにより、枕カバー1にゆったりと余裕を持たせて枕本体10を収容することが可能である。
【0035】
例えば長さW1は30cm以上且つ55cm以下であり、一例として長さW1は45cmである。例えば長さL1は40cm以上且つ75cm以下であり、一例として長さL1は65cmである。しかしながら、長さW1、長さL1、長さW2及び長さL2の値は、上記の各例に限られず適宜変更可能である。
【0036】
図4に示されるように、第1布部2は、鉛直上方に向けられる外布2hと、枕本体10が収容される枕カバー1の内部空間Sに対向する内布2jとを含んでいる。このように、第1布部2は、外布2hと内布2jとを備えた二重構造とされている。外布2hは第1布部2の表面(上面)を構成しており、内布2jは第1布部2の内面2p(裏面、下面)を構成している。
【0037】
例えば、外布2hの材料と内布2jの材料とが互いに異なっていてもよい。一例として、外布2hには前述したキルティングが施されている。内布2jはキルティングが施されてない生地によって構成されている。外布2hは、布帛(織布)によって構成されていてもよいし、ニット(編布)によって構成されていてもよい。
【0038】
内布2jは、例えば、化学繊維(一例として合成繊維)によって構成されている。内布2jの材料は、例えば、前述した第2布部3の布3dの材料と同一であってもよい。この場合、内布2jの材料は、例えば、ポリエステル、綿、レーヨン及びキュプラの少なくともいずれかを含む。
【0039】
第1布部2は、外布2hと内布2jの間に内容物6が収容される空間2kを有する。空間2kに収容される内容物6は、例えば、柔軟性素材によって構成されている。「柔軟性素材」とは、身体が載せられて荷重を受けたときに変形するクッション性素材を示している。内容物6は、一例として、わたである。この場合、第1布部2及び内容物6でやさしく使用者Mの頭部M1を支えることができるので、使用者Mの寝心地を一層良好にすることができる。
【0040】
しかしながら、内容物6は、わた以外のものであってもよく、例えば、パイプ材等の中空内容物、又は、そば殻等の中実内容物であってもよい。また、内容物6は、ウレタンシート等、シート状の柔軟性素材によって構成されていてもよい。このように、内容物6の種類は特に限定されない。
【0041】
枕カバー1は、第1布部2の内面2pにおける枕本体10と対向する位置に第2滑り止め部7を備える。第2滑り止め部7は、第1布部2の内布2jに設けられている。第2滑り止め部7は、第1布部2と枕本体10との間に介在して枕本体10に対する第1布部2の滑り止めとして機能する。
【0042】
第2滑り止め部7は、例えば、内布2jに固定された複数の点状部7bによって構成されている。一例として、点状部7bは内布2jにおいて略均等に分散して配置されている。第2滑り止め部7の点状部7bは、例えば、シリコン樹脂によって構成されている。内布2jに対する点状部7bの形成方法は、前述した布3dに対する点状部5bの形成方法と同一であってもよい。例えば、第2滑り止め部7(点状部7b)は滑り止めエンボス加工によって内布2jに形成されてもよい。
【0043】
上記では第2滑り止め部7が複数の点状部7bによって構成される例について説明した。しかしながら、第2滑り止め部7の形状は、ドット状に限られず適宜変更可能である。例えば、第2滑り止め部7の材料は、第1滑り止め部5の材料と同一であってもよい。この場合、第2滑り止め部7の材料は、シリコン樹脂及びPVCの少なくともいずれかを含んでいる。但し、第2滑り止め部7がシリコン製である場合には、第2滑り止め部7がPVC製である場合と比較して、第2滑り止め部7の摩擦係数を一層高くしてより高い滑り止め効果を発揮することができる。
【0044】
図5(a)及び
図5(b)は、第1布部2の内布2jにおける第2滑り止め部7の配置態様の例を示す図である。
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、第2滑り止め部7は、第1布部2(内布2j)の全面に設けられていてもよいし、第1布部2の一部に設けられていてもよい。
【0045】
第2滑り止め部7が第1布部2の全面に設けられる場合、第1布部2に対して第2滑り止め部7を一様に形成できるので、第1布部2に対する第2滑り止め部7の形成を容易に行うことができる。第2滑り止め部7が第1布部2の一部に設けられる場合、第2滑り止め部7を部分的に設けることができるので、第1布部2に頭部M1を載せた使用者Mの寝心地を更に良好にすることができる。
【0046】
図5(b)の例では、第2滑り止め部7は、第1方向D1に延びる短辺7cと、第2方向D2に延びる長辺7dとを有する長方形状を呈する。第2滑り止め部7の第1方向D1の幅X(短辺7cの長さ)は、例えば、1cm以上且つ10cm以下(一例として5cm)である。しかしながら、幅Xの値は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0047】
第1布部2における首載せ部2Aの裏側に第2滑り止め部7が設けられている。平面視において、第2滑り止め部7の位置が首載せ部2Aの位置と一致していてもよい。また、平面視において、首載せ部2Aの領域に第2滑り止め部7が含まれていてもよいし、第2滑り止め部7の領域に首載せ部2Aが含まれていてもよい。この場合、使用者Mの首M2の部分における枕本体10に対する第1布部2のずれを抑制できるので、第1布部2及び首M2が枕本体10に対してずれることを抑制することができる。
【0048】
図5(a)及び
図5(b)では、枕カバー1におけるファスナー8の態様を示している。ファスナー8は、枕カバー1から枕本体10を出し入れするためのファスナーである。ファスナー8を開放することによって枕カバー1の内部空間Sへの枕本体10の出し入れが可能である。例えば、ファスナー8は、平面視においてL字状を成すように配置されている。この場合、ファスナー8は、第1方向D1に延びる第1部分8bと、第1部分8bの第1方向D1の端部から第2方向D2に延びる第2部分8cとを含む。
【0049】
例えば、ファスナー8は、枕カバー1の1つの短辺2b(短辺3b)と1つの長辺2c(長辺3c)に沿って延びている。この場合、当該1つの短辺2b及び当該1つの長辺2cに沿ってファスナー8を開放することによって枕カバー1への枕本体10の出し入れが可能となる。
【0050】
ファスナー8は、第2滑り止め部7が設けられた枕カバー1の辺1b以外の枕カバー1の辺に設けられていてもよい。「滑り止め部が設けられた枕カバーの辺」とは、滑り止め部の近接位置において当該滑り止め部が沿うように延在する枕カバーの辺を示している。例えば、第2滑り止め部7が設けられた枕カバー1の辺1bは、首載せ部2Aが設けられる枕カバー1の第1方向D1の片側の長辺2c(長辺3c)である。
【0051】
前述したように、第2滑り止め部7が設けられた枕カバー1の辺1b以外の枕カバー1の辺にファスナー8が設けられる場合、枕本体10の出し入れのときに枕本体10が第2滑り止め部7に引っ掛からないようにできるので、枕本体10の出し入れを容易に行うことができる。
【0052】
図6(a)及び
図6(b)は、第2滑り止め部7及びファスナー8の配置態様の変形例を示している。
図6(a)に示されるように、第2滑り止め部7は、第1布部2における第1方向D1の一方側及び他端側のそれぞれに設けられていてもよい。第2滑り止め部7は、第1布部2の首載せ部2Aの裏側に位置する第1部分7Aと、第1布部2における首載せ部2Aとは反対側に位置する第2部分7Bとを含む。一例として、第1部分7A及び第2部分7Bは、第1布部2の第1方向D1の中央を通り且つ第2方向D2に延在する基準線Yに対して互いに対称となる位置に配置されていてもよい。
【0053】
図6(b)に示されるように、第2滑り止め部7は、第1布部2の首載せ部2Aの裏側に位置する第1部分7Aと、第1部分7Aから第1方向D1に延びる第3部分7Cとを含んでいてもよい。第3部分7Cは、例えば、第1部分7Aの中央から第1方向D1に延在していてもよい。この場合、第2滑り止め部7は、平面視において逆T字状を呈する。
【0054】
前述では、ファスナー8がL字状を呈する例について説明した。しかしながら、ファスナー8は、平面視においてコの字状を呈していてもよい。
図6(b)の例では、枕カバー1の一対の短辺2b(短辺3b)と、第2滑り止め部7とは反対側に位置する1つの長辺2c(長辺3c)とにファスナー8が設けられている。
【0055】
この場合も第2滑り止め部7が設けられた枕カバー1の辺1b以外の枕カバー1の辺にファスナー8が設けられるので、第2滑り止め部7への枕本体10の引っ掛かりを抑制して、枕本体10の出し入れを容易に行うことができる。以上、第2滑り止め部7及びファスナー8の形状及び配置態様の種々の例について説明した。このように、第2滑り止め部7及びファスナー8の形状及び配置態様は、特に限定されない。更に、第1滑り止め部5の形状及び配置態様も、第2滑り止め部7と同様、適宜変更可能である。
【0056】
前述の例では、液状とされたシリコン樹脂をドット状に滴下し、滴下されたシリコン樹脂が熱処理されて第1滑り止め部5及び第2滑り止め部7のそれぞれが形成される例について説明した。しかしながら、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、予め滑り止め部17が形成された滑り止め部材20を用意し、滑り止め部材20を第1布部2に貼り付けて第2滑り止め部7としてもよい。同様に滑り止め部材20を第2布部3に貼り付けて第1滑り止め部5としてもよい。
【0057】
滑り止め部材20は、例えば、正方形状の滑り止め部材20A、及び長方形状の滑り止め部材20Bを含む。しかしながら、滑り止め部材20の形状は、例えば、円形状等であってもよく特に限定されない。一例として、滑り止め部材20A、20Bは、滑り止め部材20A,20Bの外形を形成する布21と、複数の点状部22とを備える。布21及び点状部22のそれぞれの材料は、例えば、前述した布3d及び点状部5bのそれぞれの材料と同一であってもよい。
【0058】
滑り止め部材20A,20Bは、例えば、第1布部2及び第2布部3のそれぞれに縫製可能とされている。このように滑り止め部材20A,20Bが第1布部2及び第2布部3のそれぞれに縫製可能である場合、第1布部2及び第2布部3の任意の位置に滑り止め部材20A、20Bを接合することが可能となる。更に、既存の枕カバーに滑り止め部材20A,20Bを後付けすることが可能である。
【0059】
次に、本実施形態に係る枕カバー1から得られる作用効果について
図8、
図9(a)及び
図9(b)を参照しながら説明する。まず。比較例に係る枕カバー100について説明する。枕カバー100は、枕カバー1と同様、枕本体10が収容される。枕カバー100は、第2布部3と、第1布部2とは異なる第1布部102とを備え、第1布部102は前述した第2滑り止め部7を有しない点において第1布部2とは異なっている。
【0060】
枕カバー100の場合、第1布部102が第2滑り止め部7を有しないことにより、枕本体10の上面に対する第1布部102のずれを抑制できない。従って、使用者Mが使用しているうちに使用者Mの首M2が使用者Mの脚M3側にずれると共に、枕カバー100を備える枕Zが脚M3の反対側(頭頂部側)にずれるという問題が生じうる。このように、枕カバー100では、使用しているうちに使用者Mの身体に対して枕Zの位置がずれるという問題が生じうる。
【0061】
本実施形態に係る枕カバー1では、第1布部2が鉛直上方に向けられると共に第2布部3が鉛直下方に向けられて使用される。第1布部2と第2布部3の間には枕本体10が収容される内部空間Sが形成され、内部空間Sに枕本体10が収容されることによって枕30が使用に供される。鉛直下方に向けられる第2布部3の外面には第1滑り止め部5が設けられる。従って、敷き寝具Fと第2布部3との間に第1滑り止め部5が介在するので、敷き寝具Fに対する枕カバー1のずれを抑制することができる。
【0062】
鉛直上方に向けられる第1布部2の内面2pにおける枕本体10と対向する位置には第2滑り止め部7が設けられる。従って、第1布部2の上に使用者Mの頭部M1が載せられても、枕本体10に対する第1布部2のずれを抑制することができる。枕カバー1では、第1滑り止め部5及び第2滑り止め部7を備えることにより、敷き寝具Fに対する第2布部3のずれ、及び枕本体10に対する第1布部2のずれを抑制できるので、使用者Mの身体に対する枕30の位置ずれを抑制することができる。その結果、枕カバー1及び枕本体10を備えた枕30では、枕30の位置ずれを抑制することによって使用者Mの寝心地を良好にすることができる。
【0063】
第1布部2は、枕カバー1の使用者Mの首M2が載せられる首載せ部2Aを有してもよい。第2滑り止め部7は、第1布部2における少なくとも首載せ部2Aの内側に設けられてもよい。この場合、少なくとも首載せ部2Aの内側に第2滑り止め部7が設けられるので、第1布部2に載せられた使用者Mの首M2が脚側にずれようとしても、首載せ部2Aの内側の第2滑り止め部7によって枕本体10に対する第1布部2のずれを抑制することができる。
【0064】
第1布部2は、第1布部2の表面を構成する外布2hと、外布2hの内側において枕本体10に対向する内布2jと、を含んでもよい。外布2h及び内布2jの間に内容物6が収容される空間2kが形成されてもよい。第2滑り止め部7は、内布2jに設けられてもよい。この場合、第1布部2が外布2h及び内布2jを備えた二重構造とされており、外布2h及び内布2jの間に形成される空間2kに内容物6を収容可能とされている。従って、第1布部2に内容物6が収容されることにより、第1布部2に頭部M1を載せて身体を休める使用者Mの寝心地を一層良好にすることができる。
【0065】
以上、本開示に係る枕カバーの実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態又は種々の例に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、枕カバーの各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述の例に限られず適宜変更可能である。
【0066】
例えば、前述の実施形態では、L字状又はコの字状を呈するファスナー8について説明した。しかしながら、枕本体10を枕カバー1から出し入れ可能とするファスナーの形状は、例えば直線状であってもよく、L字状又はコの字状以外の形状であってもよい。また、前述の実施形態では、外布2h及び内布2jを備える二重構造の第1布部2について説明した。しかしながら、二重構造でない第1布部を備えた枕カバーであってもよく、第1布部の構成は適宜変更可能である。第2布部の構成についても、前述した第2布部3の構成に限られず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…枕カバー、1b…辺、2…第1布部、2A…首載せ部、2b…短辺、2c…長辺、2d…縫い目、2f…第1縫い目部、2g…第2縫い目部、2h…外布、2j…内布、2k…空間、2p…内面、3…第2布部、3b…短辺、3c…長辺、3d…布、4…縫い目、5…第1滑り止め部、5b…点状部、6…内容物、7…第2滑り止め部、7A…第1部分、7b…点状部、7B…第2部分、7c…短辺、7C…第3部分、7d…長辺、8…ファスナー、8b…第1部分、8c…第2部分、10b…短辺、10c…長辺、17…滑り止め部、20,20A,20B…滑り止め部材、21…布、22…点状部、30…枕、D1…第1方向、D2…第2方向、F…敷き寝具、M…使用者、M1…頭部、M2…首、M3…脚、S…内部空間、X…幅、Y…基準線。