(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162425
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ワークの搬送装置
(51)【国際特許分類】
F27B 9/26 20060101AFI20221017BHJP
F27B 9/30 20060101ALI20221017BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
F27B9/26
F27B9/30
F27D7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067270
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】平井 義巳
【テーマコード(参考)】
4K050
4K063
【Fターム(参考)】
4K050AA02
4K050CD02
4K050CD06
4K050CF06
4K050CF16
4K050CG05
4K050CG06
4K050CG29
4K050DA03
4K050EA10
4K063AA05
4K063AA12
4K063AA13
4K063CA05
4K063DA22
4K063DA32
(57)【要約】
【課題】低コスト化を実現する、ワークの搬送装置を提供する。
【解決手段】高温側Hと低温側Lとを隔てる断熱壁14と、ワーク3が載置されるトレイ21と、トレイ21を支持して搬送する複数の回動体32と、回動体32を支持するシャフト31と、シャフト31を回動自在に支持する軸受33とを備え、断熱壁14が、高温側Hと低温側Lとの間を連通する開口17を有し、回動体32の一部分が、開口17を通じて高温側Hに露出するとともに、シャフト31が、低温側Lに位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温側と低温側とを隔てる断熱壁と、
ワークが載置されるトレイと、
前記トレイを支持して搬送する複数の回動体と、
前記回動体を支持するシャフトと、
前記シャフトを回動自在に支持する軸受とを備え、
前記断熱壁が、前記高温側と前記低温側との間を連通する開口を有し、
前記回動体の一部分が、前記開口を通じて前記高温側に露出するとともに、
前記シャフトが、前記低温側に位置することを特徴とする、ワークの搬送装置。
【請求項2】
前記断熱壁は、炉体を構成する底壁であることを特徴とする、請求項1に記載のワークの搬送装置。
【請求項3】
前記炉体の前記底壁には、前記開口を通じて前記炉体の内部雰囲気の漏洩や外部雰囲気からの浸入を防止するシール構造が設けられることを特徴とする、請求項2に記載のワークの搬送装置。
【請求項4】
前記トレイの下面には、前記回動体をガイドするガイド溝が形成されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワークの搬送装置。
【請求項5】
前記回動体が、前記トレイに対して接離可能に構成されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワークの搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、炉内に配置されてトレイを支持する搬送ローラと、炉外に配置される軸受とを有するローラハース式の搬送装置を開示する。特許文献2は、被加熱材を搬送する搬送ローラが炉壁を貫通し、軸受が炉外に配置されるローラ搬送式の加熱炉を開示する。特許文献3は、炉内に配置される搬送ローラと、炉外に配置される軸受とを有するローラコンベアを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-226913号公報
【特許文献2】特開2011-69509号公報
【特許文献3】特許5731062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1から特許文献3では、軸受が炉外に配置されるものの、搬送ローラを構成するローラおよびシャフトが炉内に配置される。そのため、シャフトが、高温下でも十分な機械的強度および耐熱性を有することが要求される。しかしながら、高温下でも十分な機械的強度および耐熱性を有する材料をシャフトに用いると、コストがアップする。また、シャフトに冷却構造を設けると、冷却構造が複雑になるので、コストがアップする。
【0005】
そこで、この発明の課題は、低コスト化を実現する、ワークの搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係るワークの搬送装置は、
高温側と低温側とを隔てる断熱壁と、
ワークが載置されるトレイと、
前記トレイを支持して搬送する複数の回動体と、
前記回動体を支持するシャフトと、
前記シャフトを回動自在に支持する軸受とを備え、
前記断熱壁が、前記高温側と前記低温側との間を連通する開口を有し、
前記回動体の一部分が、前記開口を通じて前記高温側に露出するとともに、
前記シャフトが、前記低温側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、シャフトが断熱壁で隔てられた低温側に位置することにより、耐熱材料や冷却構造をシャフトに適用することが不要になるので、搬送装置の低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る搬送装置を備える熱処理設備を模式的に説明する断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】第2実施形態に係る搬送装置を備える熱処理設備を模式的に説明する断面図である。
【
図5】
図4におけるV-V線に沿った搬送装置の要部を拡大した断面図である。
【
図6】第3実施形態に係る搬送装置を備える熱処理設備を模式的に説明する断面図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図6に示した搬送装置を昇降装置によって下降させた離間位置を示す断面図である。
【
図10】第4実施形態に係る搬送装置を備える熱処理設備を模式的に説明する断面図である。
【
図12】第5実施形態に係る搬送装置を備える熱処理設備を模式的に説明する断面図である。
【
図13】第6実施形態に係る搬送装置を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る搬送装置30の実施の形態を説明する。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1から
図3を参照しながら、第1実施形態に係る搬送装置30を説明する。
図1は、第1実施形態に係る搬送装置30を備える熱処理設備1を模式的に説明する断面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【0011】
図1から
図3に示す熱処理設備1は、炉体10と、搬送装置30とを備える。熱処理設備1は、例えば床面などの設置面5に設置される。
【0012】
炉体10は、例えば、断熱性を有する箱体からなり、上壁11と、後壁12と、前壁13と、底壁14と、横壁15,15とを有する。後壁12と前壁13と横壁15,15とは、側壁を構成する。前壁13が開閉可能に構成されており、前壁13が開状態になると、搬送開口が形成される。炉体10の内部は、電熱ヒータやガスバーナーのような加熱源(図示せず)によって加熱される。被処理物としてのワーク3は、炉体10の内部において、例えば500~900℃程度の温度に加熱される。
【0013】
底壁14は、炉体10の下側に位置して、断熱壁として働く。底壁14は、炉体10の内部の高温側H(上方側)と、炉体10の外部の低温側L(下方側)とを隔てる。底壁14の所定位置には、複数の開口17が形成される。開口17は、底壁14を上下方向に貫通するように形成されて、高温側Hおよび低温側Lを連通する。
【0014】
トレイ21は、例えば平面視で矩形形状をしており、トレイ21の上面23には、ワーク3が載置される。
図2に示すように、トレイ21は、搬送開口を通じて、炉体10に対して出し入れ可能に構成されている。トレイ21は、炉体10の外部での搬出位置では外部ローラ25で支持され、炉体10の内部での搬入位置では車輪(回動体)32で支持される。トレイ21は、炉体10の外部に配設される移動装置(図示せず)によって、炉体10の内部と外部との間を移動する。移動装置は、例えば、流体圧で駆動されるシリンダや、電動モータで駆動されるリニアアクチュエータで構成されるプル・プッシャーなどである。
【0015】
トレイ21は、炉体10の手前側(
図2の左側)から奥側(
図2の右側)に搬入されて、車輪32の上に載置された状態で、所定の搬入位置に搬送される。そして、前壁13を閉じることによって炉体10の搬送開口が閉鎖されると、トレイ21の上に載置されるワーク3の熱処理が開始される。
【0016】
所定の熱処理が終了すると、炉体10の搬送開口が開放される。トレイ21は、炉体10の奥側(
図2の右側)から手前側(
図2に左側)に搬出される。トレイ21は、外部ローラ25によって所定の搬出位置に搬送される。搬出位置において、炉体10の内部で熱処理されたワーク3が取り出される。
【0017】
搬送装置30は、シャフト31と、複数対の車輪32と、複数の軸受33と、搬送駆動部36とを有する。搬送駆動部36は、例えば、電動モータ37とギアボックス38とを有する。
図1および
図2に例示した搬送装置30は、例えば、3つのシャフト31と、各シャフト31に取り付けられた2つの車輪32(合計で6つの車輪32)とを有する。例えば、
図3に示す搬送駆動の態様は、或るシャフト31に取り付けられたスプロケット34を搬送駆動部36が回動駆動し、別のシャフト31に取り付けられたスプロケット34を無端のチェーン39によって一括して駆動する一括駆動方式である。これにより、各シャフト31に取り付けられた車輪32が、一体的に回動する。なお、搬送駆動の態様は、各シャフト31を個別の電動モータで駆動する個別駆動方式とすることができる。
【0018】
シャフト31は、搬送方向Fに交わる幅方向Tに延在する。例えば、
図1に示すように、2つの車輪32,32がシャフト31で支持されるとともに、シャフト31の各端部が一対の軸受33,33で支持される。軸受33は、軸受支持部35によって支持される。シャフト31および軸受33は、底壁14を挟んだ低温側L(下方側)に位置する。シャフト31が底壁14で隔てられた低温側Lに位置することにより、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造をシャフト31に適用することが不要になるので、搬送装置30の低コスト化を実現できる。
【0019】
車輪32は、円環形状を有し、回動体として働く。トレイ21は、搬送方向Fに沿って配設される複数対の車輪32によって支持されながら搬送方向Fに搬送される。トレイ21の下面24にはガイド溝22が形成される。ガイド溝22は、搬送方向Fに延びる凹形状を有して、車輪32の回動をガイドする。車輪32は、ガイド溝22のガイド面29に接触して支持される。言い換えると、車輪32がガイド溝22に沿って回動することによって、トレイ21は搬送方向Fにまっすぐに移動できる。これにより、トレイ21が安定的に且つスムーズに搬送される。
【0020】
車輪32の上側の一部分は、底壁14に形成される開口17を通じて、炉体10の内部に位置して、底壁14を挟んだ高温側H(上方側)に露出する。車輪32の大部分は、底壁14を挟んだ低温側L(下方側)に位置し、炉体10の外部に位置する。したがって、車輪32の全部が炉体10の内部に位置する場合よりも、炉体10からの熱の影響を車輪32が受けにくくなるので、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造を車輪32に適用することが不要になり、搬送装置30の低コスト化を実現できる。また、熱処理が行われる炉体10にワーク3の搬送装置30を適用することにより、産業上の利用可能性が向上する。
【0021】
底壁14の下方には、シールボックス41が連設される。
図1に示すように、シールボックス41とパッキン42とによって、シール構造40が構成される。炉体10の内部とシールボックス41の内部とは、開口17によって連通している。車輪32の大部分は、シールボックス41の中に保持されて、車輪32の上側の一部分が、開口17を通じて炉体10の内部に露出する。シールボックス41に形成されてシャフト31が挿通される軸穴は、パッキン42によって封止される。これにより、シールボックス41が気密性を有するので、炉体10における内部雰囲気の漏洩や外部雰囲気からの浸入を防止できる。
【0022】
〔第2実施形態〕
図4および
図5を参照しながら、第2実施形態に係る搬送装置30を説明する。
図4は、第2実施形態に係る搬送装置30を備える熱処理設備1を模式的に説明する断面図である。
図5は、
図4におけるV-V線に沿った搬送装置30の要部を拡大した断面図である。
【0023】
第2実施形態に係る搬送装置30は、簡易的なシール構造40を有することを特徴とする。
【0024】
炉体10の底壁14は、支持柱7によって支持され、車輪32の下端部は設置面5から離間している。シャフト31および軸受33は、底壁14を挟んだ低温側L(下方側)に位置する。シャフト31が底壁14で隔てられた低温側Lに位置することにより、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造をシャフト31に適用することが不要になるので、搬送装置30の低コスト化を実現できる。車輪32の上側の一部分は、底壁14に形成される開口17を通じて、炉体10の内部に位置して、底壁14を挟んだ高温側H(上方側)に露出する。車輪32の大部分は、底壁14を挟んだ低温側L(下方側)に位置し、炉体10の外部に位置する。したがって、車輪32の全部が炉体10の内部に位置する場合よりも、炉体10からの熱の影響を受けにくくなるので、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造を車輪32に適用することが不要になり、搬送装置30の低コスト化を実現できる。
【0025】
図4および
図5に示す第2実施形態では、グランドパッキン27によってシール構造40が形成される。すなわち、グランドパッキン27は、開口17と車輪32との間に形成される間隙に充填されることによって、シール構造40として働く。グランドパッキン27は、例えば、膨張黒鉛編糸を格子編によって加工した編組体であり、低い摺動抵抗と高い断熱性および耐熱性とを有する。これにより、炉体10が気密性を有するので、炉体10における内部雰囲気の漏洩や外部雰囲気からの浸入を防止できるとともに、シール構造40の低コスト化を実現できる。
【0026】
〔第3実施形態〕
図6から
図9を参照しながら、第3実施形態に係る搬送装置30を説明する。
図6は、第3実施形態に係る搬送装置30を備える熱処理設備1を模式的に説明する断面図である。
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8は、
図6に示した搬送装置30を昇降装置50によって下降させた離間位置(下降位置)を示す断面図である。
図9は、
図8のIX-IX線に沿った断面図である。
【0027】
第3実施形態に係る搬送装置30は、シール構造40に加えて昇降装置50を有することを特徴とする。
図6は、搬送装置30を昇降装置50によって上昇させた接触位置(上昇位置)を示し、
図8は、搬送装置30を昇降装置50によって下降させた離間位置(下降位置)を示す。
【0028】
シールボックス41は、台座部55によって支持される。昇降装置50は、昇降駆動部51および昇降支持部52を有する。昇降駆動部51は、例えば、流体圧で駆動されるシリンダであり、昇降支持部52を上下方向に移動させる。昇降支持部52が上下方向に移動すると、台座部55で支持されるシールボックス41が上下方向に移動することによって、搬送装置30が上下方向に移動する。
【0029】
第3実施形態におけるシール構造40は、第1実施形態において説明したのと同様のシールボックス41およびパッキン42に加えて、新たな構成要素としてベーズ43を有する。ベローズ43は、シールボックス41の上部と底壁14の下部とに接続される。シールボックス41が上下方向に移動するとき、ベローズ43が伸縮することによって、炉体10およびシールボックス41のシール状態が保持される。これにより、炉体10およびシールボックス41が気密性を有するので、炉体10における内部雰囲気の漏洩や外部雰囲気からの浸入を防止できるとともに、シール構造40の低コスト化を実現できる。
【0030】
図6および
図7に示すように、搬送装置30が接触位置(上昇位置)にあるとき、トレイ21は、ガイド溝22のガイド面29において、複数の車輪32に接触して支持される。
図8および
図9に示すように、搬送装置30が離間位置(下降位置)にあるとき、車輪32は、ガイド溝22のガイド面29から離れるとともに、トレイ21は、底壁14に設けられる複数のトレイ受け54に接触して支持される。したがって、昇降装置50により、搬送装置30の車輪32がトレイ21のガイド溝22に対して接離可能に構成される。これにより、トレイ21の搬送を行わない場合には、車輪32がトレイ21から離れることにより、車輪32が熱の影響を受けにくくなる。
【0031】
搬送装置30が離間位置(下降位置)にあるとき、車輪32の上端部は、底壁14の上面よりも下方に引っ込んでいる。これにより、車輪32の上端部が炉体10の内部に位置する場合よりも、炉体10からの熱の影響を受けにくくなるので、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造を車輪32に適用することが不要になり、搬送装置30のさらなる低コスト化を実現できる。
【0032】
〔第4実施形態〕
図10および
図11を参照しながら、第4実施形態に係る搬送装置30を説明する。
図10は、第4実施形態に係る搬送装置30を備える熱処理設備1を模式的に説明する断面図である。
図11は、
図10のXI-XI線に沿った断面図である。
【0033】
第4実施形態に係る搬送装置30は、第3実施形態において説明した昇降装置50に加えて、第3実施形態において説明したシール構造40の変形例に係るシール構造40を有することを特徴とする。
図10は、搬送装置30を昇降装置50によって下降させた離間位置(下降位置)を示す。
【0034】
第4実施形態におけるシール構造40は、第3実施形態において説明したのと同様のシールボックス41およびパッキン42に加えて、新たな構成要素として摺接部44を有する。摺接部44は、固定端部45と可動端部46とを有する。固定端部45は、底壁14の下面から下方に突出する。可動端部46は、シールボックス41の上端部である。可動端部46は、固定端部45に対して摺接可能に構成されており、例えば、可動端部46の外周部が固定端部45の内周部に対して摺接する。シールボックス41が上下方向に移動するとき、可動端部46が固定端部45に対して摺接する。これにより、炉体10およびシールボックス41が気密性を有するので、炉体10における内部雰囲気の漏洩や外部雰囲気からの浸入を防止できるとともに、シール構造40の低コスト化を実現できる。
【0035】
図示しないが、搬送装置30が接触位置(上昇位置)にあるとき、トレイ21は、ガイド溝22のガイド面29において、複数の車輪32に接触して支持される。
図10および
図11に示すように、搬送装置30が離間位置(下降位置)にあるとき、車輪32は、ガイド溝22のガイド面29から離れるとともに、トレイ21は、底壁14に設けられる複数のトレイ受け54に接触して支持される。
【0036】
搬送装置30が離間位置(下降位置)にあるとき、車輪32の上端部は、底壁14の上面よりも下方に引っ込んでいる。これにより、車輪32の上端部が炉体10の内部に位置する場合よりも、炉体10からの熱の影響を受けにくくなるので、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造を車輪32に適用することが不要になり、搬送装置30のさらなる低コスト化を実現できる。
【0037】
〔第5実施形態〕
図12を参照しながら、第5実施形態に係る搬送装置30を説明する。
図12は、第5実施形態に係る搬送装置30を備える熱処理設備1を模式的に説明する断面図である。
【0038】
第5実施形態に係る搬送装置30は、第2実施形態において説明したのと同様のグランドパッキン27(シール構造40)に加えて、3つ以上の車輪32を備えるシャフト31を有することを特徴とする。
【0039】
シャフト31は、例えば、
図12に示すように、4つの車輪32を支持するように幅方向Tに長く延在する。シャフト31は、例えば、両端部および中央部において、合計で4つの軸受33で支持される。各軸受33は、支持柱7に設けられる軸受支持部35によって支持される。シャフト31および軸受33は、底壁14を挟んだ低温側L(下方側)に位置する。シャフト31が底壁14で隔てられた低温側Lに位置することにより、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造をシャフト31に適用することが不要になり、搬送装置30の低コスト化を実現できる。また、幅方向Tに幅広に延在するワーク3をスムーズに搬送できる。
【0040】
〔第6実施形態〕
図13を参照しながら、第6実施形態に係る搬送装置30を説明する。
図13は、第6実施形態に係る搬送装置30を模式的に説明する断面図である。
【0041】
第6実施形態に係る搬送装置30は、平面視で、車輪32が千鳥状に配置されることを特徴とする。
【0042】
シャフト31は、例えば、
図13に示すように、2つの車輪32を支持するとともに、或るシャフト31の車輪32が、搬送方向Fにおいて隣に位置するシャフト31の車輪32に対して千鳥状に配置される。例えば、或るシャフト31における一側の車輪32が端部寄りに位置して、搬送方向Fの次のシャフト31における一側の車輪32が中央寄りに位置する。このような配置が交互に繰り返されることにより、平面視で、車輪32が千鳥状に配置される。これにより、搬送方向Fにおいてトレイ21を支持する支持ピッチが短くなり、搬送方向Fにおける寸法が短いトレイ21を搬送できる。
【0043】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0044】
上記実施の形態では、回動体として、幅方向Tに幅が狭い車輪32を例示したが、幅方向Tに幅が広いロール体などの線接触の回動体や、球体などの点接触の回動体を採用することもできる。
【0045】
上記実施の形態では、搬送駆動部36による車輪32の回動力を利用してトレイ21を搬送するが、図示しない供給装置の搬入・搬出力を利用してトレイ21を複数の車輪(回動体)32の上で滑動させる態様にすることもできる。
【0046】
上記実施の形態では、ワーク3の搬送装置30は、断熱性を有する箱体からなる炉体10に適用されるが、高温のワーク3が載置されるトレイ21を搬送するための断熱テーブルにも適用可能である。
【0047】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0048】
この発明の一態様に係るワーク3の搬送装置30は、
高温側Hと低温側Lとを隔てる断熱壁14と、
ワーク3が載置されるトレイ21と、
前記トレイ21を支持して搬送する複数の回動体32と、
前記回動体32を支持するシャフト31と、
前記シャフト31を回動自在に支持する軸受33とを備え、
前記断熱壁14が、前記高温側Hと前記低温側Lとの間を連通する開口17を有し、
前記回動体32の一部分が、前記開口17を通じて前記高温側Hに露出するとともに、
前記シャフト31が、前記低温側Lに位置することを特徴とする。
【0049】
上記態様によれば、シャフト31が断熱壁14で隔てられた低温側Lに位置することにより、耐熱材料や冷却構造をシャフト31に適用することが不要になるので、搬送装置30の低コスト化を実現できる。
【0050】
また、一実施形態のワーク3の搬送装置30では、
前記断熱壁14は、炉体10を構成する底壁14である。
【0051】
上記実施形態によれば、熱処理が行われる炉体10にワーク3の搬送装置30を適用することにより、産業上の利用可能性が向上する。
【0052】
また、一実施形態のワーク3の搬送装置30では、
前記炉体10の前記底壁14には、前記開口17を通じて前記炉体10における内部雰囲気の漏洩や外部雰囲気からの浸入を防止するシール構造40が設けられる。
【0053】
上記実施形態によれば、炉体10における内部雰囲気の漏洩や外部雰囲気からの浸入を防止できる。
【0054】
また、一実施形態のワーク3の搬送装置30では、
前記トレイ21の下面24には、前記回動体32をガイドするガイド溝22が形成される。
【0055】
上記実施形態によれば、トレイ21が安定的に且つスムーズに搬送される。
【0056】
また、一実施形態のワーク3の搬送装置30では、
前記回動体32が、前記トレイ21に対して接離可能に構成される。
【0057】
上記実施形態によれば、トレイ21を搬送しない場合には、回動体32がトレイ21から離れることにより、回動体32が熱の影響を受けにくくなる。
【符号の説明】
【0058】
1…熱処理設備
3…ワーク
5…設置面
7…支持柱
10…炉体
11…上壁
12…後壁(側壁)
13…前壁(側壁)
14…底壁(断熱壁)
15…横壁(側壁)
17…開口
21…トレイ
22…ガイド溝
23…上面
24…下面
25…外部ローラ
27…グランドパッキン
29…ガイド面
30…搬送装置
31…シャフト
32…車輪(回動体)
33…軸受
34…スプロケット
35…軸受支持部
36…搬送駆動部
37…電動モータ
38…ギアボックス
39…チェーン
40…シール構造
41…シールボックス
42…パッキン
43…ベローズ
44…摺接部
45…固定端部
46…可動端部
50…昇降装置
51…昇降駆動部
52…昇降支持部
54…トレイ受け
55…台座部
F…搬送方向
H…高温側(上方側)
L…低温側(下方側)
T…幅方向