(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162434
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】縫合糸アンカー及び縫合糸アンカーシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A61B17/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067288
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】317011595
【氏名又は名称】帝人メディカルテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三上 勝大
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL30
(57)【要約】
【課題】縫合糸をセットし易く且つ骨くずの影響を低減させることができる縫合糸アンカーを提供する。
【解決手段】縫合糸アンカー10は、前端部12が閉鎖され且つ後端面に挿入穴16が設けられた中空のアンカー本体部材11であって、中心軸線Cに直交する直交軸線Pに沿って延びるように当該アンカー本体部材11の外周面を貫通する貫通孔17が設けられ、且つ外周面にねじ状に形成されたねじ部13が設けられたアンカー本体部材11と、貫通孔17の内部において、アンカー本体部材11の後端から挿入穴16を通して前記貫通孔17の内部に挿入された縫合糸2を係止する縫合糸係止部20と、を具備し、縫合糸係止部20は、中心軸線C及び直交軸線Pを含む断面において、前側が凸曲線状に形成された凸部20aと、後側がテーパー状に形成されたテーパー部20bとを有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部が閉鎖され且つ後端面に挿入穴が設けられた中空のアンカー本体部材であって、中心軸線に直交する直交軸線に沿って延びるように当該アンカー本体部材の外周面を貫通する貫通孔が設けられ、且つ外周面にねじ状に形成されたねじ部が設けられたアンカー本体部材と、
前記貫通孔の内部において、前記アンカー本体部材の後端から前記挿入穴を通して前記貫通孔内部に挿入された縫合糸を係止する縫合糸係止部と、を具備し、
前記縫合糸係止部は、前記中心軸線及び前記直交軸線を含む断面において、前側が凸曲線状に形成された凸部と、後側がテーパー状に形成されたテーパー部とを有していることを特徴とする縫合糸アンカー。
【請求項2】
前記貫通孔が、前記直交軸線に沿った方向から見て、前記縫合糸係止部の前後の部分が貫通している請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項3】
前記縫合糸係止部に係止された状態で縫合糸が前記アンカー本体部材の外部にはみ出さないように、前記縫合糸係止部が形成されている請求項1又は2に記載の縫合糸アンカー。
【請求項4】
前記アンカー本体部材の外周面において、前記貫通孔内部に連通する1つ又は複数の横穴が設けられた請求項1乃至3のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー。
【請求項5】
生体吸収性を持つ生体材料によって形成された請求項1乃至4のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の縫合糸アンカーと、縫合糸と、挿入具と、を具備する縫合糸アンカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫合糸アンカー及び縫合糸アンカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンカーを骨に埋め込んだ後、アンカーから延びる縫合糸を使用して、周辺にある損傷した軟部組織(靭帯、腱及び筋肉等)を骨に固定し、関節の機能改善を促すために用いられるインプラントの一種である縫合糸アンカーが公知である(特許文献1)。縫合糸アンカーは、例えば肩関節の腱板断裂の修復手術に用いられる。
【0003】
特許文献1には、外周面がねじ状に形成された縫合糸アンカーであって、先端近傍の側面において軸方向に離間して設けられた2つの貫通孔及び貫通孔間に画成された縫合糸係止部(ブリッジ)を有する縫合糸アンカーが開示されている。特許文献1に記載の縫合糸アンカーには、後端部から前方に向かって挿入穴が設けられている。縫合糸は、縫合糸アンカーの挿入穴内に挿入され且つ折り返されて縫合糸係止部に引っかけられ、両端が穴から外方へ延びるように、縫合糸アンカーに対してセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の縫合糸アンカーによれば、縫合糸を縫合糸アンカーにセットするとき、まず縫合糸の一端を、挿入穴に挿入して内部に送り込み、後端側の貫通孔から外方へ突出させる。次いで、縫合糸の一端を、前端側の貫通孔に挿入して反対側に突出させた後、再び後端側の貫通孔から挿入穴の内部に挿入する。それによって、折り返された縫合糸を縫合糸係止部に引っかけることができる。
【0006】
特許文献1に記載の縫合糸アンカーでは、縫合糸係止部の縦断面形状において、後端部が後方に向かって突出する凸曲線状に形成されている。そうすると、挿入穴から挿入された縫合糸の一端が、ちょうど凸曲線の頂点又は頂点近傍に当たってしまうと縫合糸が撓んでしまい、貫通孔からうまく外方へ突出させることが難しい場合がある。
【0007】
また、縫合糸アンカーを骨に埋め込む際、縫合糸アンカーの進入に伴い周囲の骨を切削し、粉末状の骨くずが発生する。骨くずは、縫合糸アンカーの外面と骨との間に入り込むと、縫合糸アンカーの進入時に抵抗となり、縫合糸アンカーの損傷の原因になり得る。特許文献1に記載の縫合糸アンカーは、発生した骨くずの一部は貫通孔内に貯留されるものの、一部は上述したように縫合糸アンカーの外面と骨との間に入り込む可能性がある。
【0008】
本発明は、縫合糸をセットし易く且つ骨くずの影響を低減させることができる縫合糸アンカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、前端部が閉鎖され且つ後端面に挿入穴が設けられた中空のアンカー本体部材であって、中心軸線に直交する直交軸線に沿って延びるように当該アンカー本体部材の外周面を貫通する貫通孔が設けられ、且つ外周面にねじ状に形成されたねじ部が設けられたアンカー本体部材と、前記貫通孔の内部において、前記アンカー本体部材の後端から前記挿入穴を通して前記貫通孔内部に挿入された縫合糸を係止する縫合糸係止部と、を具備し、前記縫合糸係止部は、前記中心軸線及び前記直交軸線を含む断面において、前側が凸曲線状に形成された凸部と、後側がテーパー状に形成されたテーパー部とを有していることを特徴とする縫合糸アンカーが提供される。
【0010】
前記貫通孔が、前記直交軸線に沿った方向から見て、前記縫合糸係止部の前後の部分が貫通していてもよい。縫合糸が前記縫合糸係止部に係止した状態で前記アンカー本体部材の外部に突出しないように、前記縫合糸係止部が形成されていてもよい。前記アンカー本体部材の外周面において、前記貫通孔内部に連通する1つ又は複数の横穴が設けられていてもよい。生体吸収性を持つ生体材料によって形成されていてもよい。
【0011】
本発明の別の態様によれば、上記縫合糸アンカーと、縫合糸と、挿入具と、を具備する縫合糸アンカーシステムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、縫合糸をセットし易く且つ骨くずの影響を低減させることができる縫合糸アンカーを提供するという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による縫合糸アンカーシステムの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の縫合糸アンカーの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の縫合糸アンカーの正面図である。
【
図4】
図4は、
図3の線A-Aにおける本発明の縫合糸アンカーの縦断面図である。
【
図5】
図5は、縫合糸がセットされた本発明の縫合糸アンカーの縦断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態による縫合糸係止部の縦断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の縫合糸アンカーの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に亘り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による縫合糸アンカーシステム100の斜視図である。縫合糸アンカーシステム100は、挿入具1と、縫合糸2と、中空の縫合糸アンカー10とを有している。本明細書中では、挿入具1及び縫合糸アンカー10の軸線方向において、縫合糸アンカー10のある側、すなわち先端側を「前」側とし、その反対側を「後」側と規定する。
【0016】
挿入具1は、使用者が把持する把持部3と、中空のシャフト部4とを有している。縫合糸2は、把持部3及びシャフト部4の内部を通って、縫合糸アンカー10の内部に挿入されて係止される。縫合糸アンカー10は、挿入具1を用いて回転させられることによって骨に対して埋め込まれる。挿入具1の前端、すなわちシャフト部4の前端は、後述する縫合糸アンカーの後端面に設けられた挿入穴16と嵌合するように形成されている。
【0017】
図2は、縫合糸アンカー10の斜視図であり、
図3は、縫合糸アンカー10の正面図であり、
図4は、
図3の線A-Aにおける縫合糸アンカー10の縦断面図であり、
図5は、縫合糸2がセットされた縫合糸アンカー10の縦断面図である。
【0018】
縫合糸アンカー10は、生体材料から形成される。縫合糸アンカー10は、合成高分子等からなる生体吸収性を持つ生体材料で形成されることが好ましいが、金属やセラミック等の生体吸収性を持たない生体材料で形成されてもよい。
【0019】
縫合糸アンカー10は、中空のアンカー本体部材11と縫合糸係止部20とを有している。アンカー本体部材11は、前端部12は閉鎖されており、外周面にはねじ状に形成されたねじ部13が設けられている。ねじ部13は、螺旋状に形成された山部14と、山部14間に設けられた谷部15とを有している。アンカー本体部材11の後端面には、前方に向かって延びる挿入穴16が設けられている。ねじ部13の山部14は、圧力側フランク、すなわち締結固定時に直接荷重を受ける側のフランクのフランク角が負(マイナス)の角度に形成された逆歯ねじ又は逆角度ねじのように形成してもよい。それによって、縫合糸アンカー10が骨に埋入された後に、抜けにくくすることができる。
【0020】
図4を参照すると、縫合糸アンカー10の中心軸線Cに直交する直交軸線Pに沿って延びるように、アンカー本体部材11の外周面を貫通する貫通孔17が設けられている。アンカー本体部材11の外周面には、貫通孔17以外に、貫通孔17の内部に連通する複数の横穴18が設けられている。複数の横穴18は、アンカー本体部材11の外周面において縫合糸アンカー10の軸方向及び周方向に沿って等間隔に整列している。具体的には、
図2に示されるように、アンカー本体部材11の外周面において縫合糸アンカー10の軸方向に沿って、貫通孔17及び1つの横穴18が整列し、180度反対側も同様に整列すると共に、90度回転した位置では、3つの横穴が整列しているが、横穴18の配置はこれに限定されない。
図2における横穴18は、挿入穴16に達するものと貫通孔17に達するものとがあるが、いずれも貫通孔17の内部に連通している。なお、横穴18は、複数ではなく、いずれか1つであってもよく、挿入穴16又は貫通孔17のいずれかに達するもののみが設けられていてもよい。かかる横穴18は、円柱状にくりぬかれた形状であることが好ましい。縫合糸アンカー10に横穴18が設けられていることによって、縫合糸アンカー10が骨に埋入された後、骨伝導性によって横穴18内に骨が形成され、縫合糸アンカー10がより抜けにくくなる。
【0021】
貫通孔17の内部には、アンカー本体部材11の後端から内部に挿入された縫合糸2を係止する縫合糸係止部20が設けられている。縫合糸係止部20は、貫通孔17の対向する内面を接続する柱状に形成されている。したがって、貫通孔17は、直交軸線Pに沿った方向から見て、
図3に示されるように、縫合糸係止部20の前後の部分が貫通している(貫通孔17a及び貫通孔17b)。言い換えると、軸方向に離間して設けられた2つの貫通孔17a及び貫通孔17b間に縫合糸係止部20が画成されている。
【0022】
図4に示されるように、縫合糸係止部20は、中心軸線C及び直交軸線Pを含む断面において、前側が凸曲線状に形成された凸部20aと、後側が後方に向かってテーパー状に形成されたテーパー部20bとを有している。
【0023】
縫合糸2を縫合糸アンカー10にセットするとき、まず縫合糸2の一端を、挿入穴16に挿入して内部に送り込み、後端側の貫通孔17bから外方へ突出させる。次いで、縫合糸2の一端を、前端側の貫通孔17aに挿入して反対側に突出させた後、再び後端側の貫通孔17bから挿入穴16の内部に挿入する。それによって、折り返されて輪状に形成された縫合糸2を、縫合糸係止部20に引っかけることができる。
【0024】
このとき、縫合糸係止部20が上述したような断面形状で形成されていることによって、縫合糸アンカー10に対してよりスムーズに縫合糸2をセットすることができる。すなわち、挿入穴16から挿入された縫合糸2の一端は、テーパー部20bの表面、具体的には
図4において上側又は下側の斜面の一方に当たって、上方又は下方から縫合糸アンカー10の外方へ突出する。テーパー部20bの表面が斜面であることから、縫合糸アンカー10の外方への向きの変更がスムーズに行われる。さらに、縫合糸2の一端を前端側の貫通孔17aに挿入するとき、縫合糸2の一端が、凸曲線状に形成された凸部20aの表面に当たってスムーズに挿入することができる。次いで、縫合糸2の一端を後端側の貫通孔17bに挿入すると、縫合糸2の一端は、テーパー部20bの上側又は下側の斜面の他方に当たって、挿入穴16内に誘導される。結果として、縫合糸アンカー10に対してよりスムーズに縫合糸2をセットすることができる。
【0025】
凸部20aは、凸曲線状に形成されている限りにおいて、任意の曲率や形状であってもよい。例えば、凸部20aは、中心軸線C及び直交軸線Pを含む断面において、複数の曲率を有する曲線の組み合わせで形成してもよい。テーパー部20bは、後方側の先端が尖っている必要はなく、僅かばかり丸みを帯びていてもよい。また、テーパー部20bは、
図4に示されるように後方側の先端に向かって直線状に先細りになる以外にも、後方側の先端に向かって凸状に先細りになってもよく(
図6(A))、凹状に先細りになってもよい(
図6(B))。本明細書では、
図6に示されるような凸状又は凹状に先細りになった態様も、テーパー状と称する。
本発明の縫合糸アンカーは、例えば丸棒形状の材料から旋盤を使用して切削する一体成形により製造できるが、部材を個別に製造した後、それら融着等することにより製造してもよい。
【0026】
縫合糸アンカー10を骨に埋め込む際、縫合糸アンカー10の進入に伴い周囲の骨を切削し、粉末状の骨くずが発生する。骨くずは、縫合糸アンカー10の外面と骨との間に入り込むと、縫合糸アンカー10の進入時に抵抗となり、縫合糸アンカー10の損傷の原因になり得る。貫通孔17において、上述したように、縫合糸係止部20の前後の部分が貫通し、且つ、テーパー部20bが設けられていることによって、縫合糸アンカー10の埋入時に生じた骨くずを収容できる、縫合糸係止部20周囲の貫通孔17内の空間が増大している。その結果、骨くずが発生したとしても、その影響が低減される。
【0027】
図5に示されるように、縫合糸係止部20は、縫合糸2が縫合糸係止部20に係止した状態でアンカー本体部材11の外部に突出しないように形成されている。言い換えると、縫合糸係止部20に係止されている状態では縫合糸2がアンカー本体部材11の外部にはみ出さない大きさ及び形状で、縫合糸係止部20が画成されている。それによって、縫合糸アンカー10を骨に対して埋入させる際に、縫合糸2が骨と擦れることが防止され、縫合糸アンカー10の挿入抵抗が低減するとともに、縫合糸2の摩耗及び骨くずの発生が防止される。
【0028】
図2に示されるように、貫通孔17に向かって延びる山部14の端部に、貫通孔17に向かって高さが徐々に低くなる傾斜部21が形成されている。本実施形態では、
図3に示されるように、貫通孔17を介して対応する山部14a及び山部14bにおいて、軸方向のより後方に位置する山部14bの端部にのみ傾斜部21が形成されている。しかしながら、より前方に位置する山部14aの端部にも傾斜部21が形成されていてもよい。貫通孔17近傍の山部14に傾斜部21が設けられていることによって、縫合糸アンカー10を回転させながら骨に埋入させる際、山部14の端部によって骨が切削されることが防止され、骨くずの発生が防止される。また、結果として縫合糸アンカー10を埋入させる際の進入時の抵抗が低減され、よりスムーズに縫合糸アンカー10を埋入させることができる。なお、傾斜部21は、
図2に示されるような斜面状のみならず、貫通孔17内に向かって湾曲する凸曲面状に形成されていてもよい。
【0029】
図3の線L1に示されるように、一連の山部14は、アンカー本体部材11の先端に向かって、高さ、すなわち近傍の谷部15からの山部14の高さが徐々に低くなるように形成されている。さらに、
図3の線L2に示されるように、ねじ部13におけるアンカー本体部材11の外形が、先端に向かってテーパー状に形成されている。言い換えると、谷部15の外径は、先端に向かって徐々に小さくなるように形成されている。その結果、縫合糸アンカー10を埋入させる際の挿入時の抵抗が抑制され、よりスムーズに縫合糸アンカー10を埋入させることができる。
【0030】
なお、山部14の高さを等しくして且つアンカー本体部材11の外形が先端に向かってテーパー状に形成してもよい。また、山部14の高さをアンカー本体部材11の先端に向かって徐々に低くなるように形成して且つアンカー本体部材11の外形が先端に向かって等しい外径となるように形成してもよい。
【0031】
図7は、縫合糸アンカー10の底面図である。
図7に示されるように、挿入穴16の入口部分は、円形16aと、円形16aに外接し且つ等間隔に配置された、1つ又は複数、具体的には6つの円弧16bとの組み合わせからなる形状に設けられている。円弧16bは、例えば半円形状とすることができる。円形16aの中心は、縫合糸アンカー10の軸中心と一致している。上述したように、挿入具1の前端は、縫合糸アンカー10の後端面に設けられた挿入穴16と嵌合するように形成されている。挿入穴16の入口部分が上述した形状に形成されていることによって、挿入具1の前端が嵌合して回転させられる際、トルク抵抗が分散し、縫合糸アンカー10の損傷が防止される。
【0032】
縫合糸アンカー10の前端部12の先端は半球状に形成され且つストレート部が後方に続いていることから、縫合糸アンカー10を、骨に設けられた下穴に対して容易に位置合わせでき、スムーズに挿入することができる。かかる前端部12の先端部は、こうした機能を奏する形状であるかぎり、紡錘形状や円錐状など、他の形状であってもよい。ねじ部の山部を、縫合糸アンカー10を1回転させると1ピッチ進む一条ねじとして形成してもよく、二条ねじ以上の多条ねじとして形成してもよい。それによって、少ない回転数で、縫合糸アンカー10を埋入させることができる。
【0033】
上述した実施形態によれば、縫合糸をセットし易く且つ骨くずの影響を低減させることができる縫合糸アンカーを提供することができ、また、骨に対する埋入時において損傷しにくい縫合糸アンカーを提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 挿入具
2 縫合糸
3 把持部
4 シャフト部
10 縫合糸アンカー
11 アンカー本体部材
12 前端部
13 ねじ部
14 山部
14a 山部
14b 山部
15 谷部
16 挿入穴
16a 円形
16b 半円
17 貫通孔
17a 貫通孔
17b 貫通孔
18 横穴
20 縫合糸係止部
20a 凸部
20b テーパー部
21 傾斜部
100 縫合糸アンカーシステム
C 中心軸線
P 直交軸線
L1 線
L2 線